JPH1147108A - 生体磁場計測装置 - Google Patents

生体磁場計測装置

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JPH1147108A
JPH1147108A JP9206626A JP20662697A JPH1147108A JP H1147108 A JPH1147108 A JP H1147108A JP 9206626 A JP9206626 A JP 9206626A JP 20662697 A JP20662697 A JP 20662697A JP H1147108 A JPH1147108 A JP H1147108A
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coil
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coils
biomagnetic
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Abstract

(57)【要約】 【課題】定期検査や保守時などに検出コイルのコイルバ
ランスを計測・補正し、コイルバランスの崩れに因る環
境雑音除去能力の低下を防止し、生体磁場計測の精度を
向上させる。 【解決手段】生体磁場を検出する複数の検出コイル26
を有する磁場センサを備える。外来磁場を人工的に発生
する外来磁場人工発生手段を備え、この外来磁場人工発
生手段を複数のコイル28,…,28で形成する。例え
ば、複数のコイル28,…,28はデュワ11の外周表
面上の既知の位置に取り付けられる。複数のコイル28
を駆動しかつその駆動電流値を得る手段(38、39、
36)と、複数のコイル28が発生した人工的外来磁場
に対する検出コイル26の検出値から磁場計測値を得る
手段25、34、35、36と、駆動電流値および磁場
計測値を用いて検出コイル28の感度、コイルバランス
を演算する手段36とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超伝導量子干渉素
子(Superconducting QUantum InterferenceDevice ; S
QUID)を利用して生体の脳や心臓などから発生する微弱
な磁場(磁気、磁界)を計測する生体磁場計測装置に関
する。とくに、本発明は、かかる生体磁場計測装置に備
える磁場検出用の検出コイルの感度およびコイルバラン
スの推定、並びにコイルバランスの補正に関する。
【0002】
【従来の技術】超伝導システムの1分野として、SQU
IDを用いた生体磁場計測装置の研究開発が盛んに行わ
れている。この生体磁場計測装置は、例えば人体の脳か
ら発生する微弱な脳磁界や、心臓から発生する微弱な心
磁界を計測する装置である。この計測装置は、近年、検
出磁界に基づき機能診断を行うことができるモダリティ
として富に注目されている。
【0003】生体磁場計測装置は、通常、生体が発生し
た微弱な磁場を各検出位置にて検出コイルで検出し、こ
の検出磁場をSQUID(超伝導量子干渉素子)である
超伝導リングに導くように形成した磁場センサを備えて
いる。SQUIDには、感度も良く、雑音もあまり発生
しない点でdc型のSQUIDが好んで使用される。ま
た、現在では、SQUIDの多チャンネル化が進んでい
る。
【0004】磁場センサ(SQUIDセンサとも呼ばれ
る)は、検出チャンネル毎に、検出コイルとSQUID
部とを備える。各検出コイルは超伝導コイルを用いた1
個または複数個のピックアップコイルで形成される。S
QUID部は、インプットコイル、超伝導リング(SQ
UID)、およびフィードバックコイルを備える。dc
型SQUIDの場合、超伝導リング(SQUID)のジ
ャンクション接合部には超伝導状態が保持できなくなる
程度の直流バイアス電流が流される。この状態で、ピッ
クアップコイルが生体から検知した磁場をインプットコ
イルを介して超伝導リングに導くと、ジャンクション接
合部には検出磁場に対して周期的に変化する電圧が発生
する。ジャンクション接合部には駆動回路が電気的に接
続されている。駆動回路は、かかる電圧変化を打ち消す
ような磁束をフィードバックコイルから超伝導リングに
与える。これと共に、駆動回路はフィードバックコイル
に流す電流に比例した電圧を読み出し、これを生体磁場
に比例した電圧信号として出力する。
【0005】このように動作させる磁場センサは、液体
ヘリウムなどの極低温溶液により極低温に冷却させる必
要がある。この冷却を行うため、通常、真空断熱容器
(デュア)が利用される。真空断熱容器には、極低温溶
液が入れられるとともに磁場センサが収納され、これに
より極低温冷却が行われる。
【0006】検出コイル(検出器とも呼ばれる)を形成
するピックアップコイルには、マグネットメータ、1次
微分型グラジオメータ、2次微分型グラジオメータな
ど、種々のタイプのものが使用される。生体磁場計測の
精度を向上させる上で、このピックアップコイルのコイ
ルバランス(ピックアップコイルの微分次数と同じ次数
の磁場勾配に対する感度と、それ以下の次数の磁場勾配
に対する感度との比:すなわち外来磁場の除去率)の維
持は重要なファクタである。
【0007】従来のコイルバランスの計測法などに関す
る例として以下のものが知られていた。ピックアップコ
イルが1次微分型グラジオメータである場合、へルムホ
ルツコイルを用いて均一な磁場を形成し、その均一磁場
領域内にSQUID磁束計の検出部(磁場センサ)を置
いて、その検出部のピックアップコイル(1次微分型グ
ラジオメータ)のコイルバランス(すなわち、均一磁場
の除去率)を計測する方法が在る。また、ピックアップ
コイルが2次微分型グラジオメータである場合、1次微
分型と同様にしてコイルバランスを計測し、さらに、勾
配磁場発生用のコイルを用いて均一な1次勾配磁場を発
生させ、その均一な1次勾配磁場空間に同検出部を置い
て、その検出部のピックアップコイル(2次微分型グラ
ジオメータ)のコイルバランス(すなわち、1次勾配磁
場の除去率)を計測する方法が在る。
【0008】また、ピックアップコイルのコイルバラン
スの補正方法としては、ピックアップコイルに直列に小
さなコイルを挿入して補正する方法が知られている。
【0009】さらに、コイルバランスの推定方法とし
て、特開平7−122789号に記載の方法も知られて
いる。この推定方法は、既知の位置に設置した複数の磁
場発生用コイルを用いるものである。具体的には、既知
の複数の位置に設置した磁場発生用コイルから磁場を発
生させ、その夫々の磁場を、グラジオメータ型ピックア
ップコイルを有するSQUID磁束計で計測するととも
に、そのグラジオメータ型ピックアップコイルと同じコ
イル面積のマグネットメータ型ピックアップコイルを有
する別のSQUID磁束計で計測する。これらのSQU
ID磁束計の計測結果から最小2乗法により、グラジオ
メータおよびマグネットメータ双方のピックアップの位
置、方向、および感度を推定する手法である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のコイルバランスの計測法、補正法、および推定
方法には以下のような種々の問題が未解決のまま残され
ていた。
【0011】(1)まず、へルムホルツコイルで均一磁
場を生成してコイルバランスを計測するときの問題が在
る。頭部全体を囲うように磁場センサが配置されたホー
ルヘッドの磁束計の全ての検出チャンネルのコイルバラ
ンスを計測するには、磁場センサが占有する空間の全領
域が均一磁場になるような大きなへルムホルツコイルが
必要になる。
【0012】しかし、そのような大きなヘルムホルツコ
イルは生体磁場計測装置が設置される磁気シールドルー
ムの扉から搬入することは実際上、困難である。このた
め、生体磁場計測装置を磁気シールドルーム内に設置し
た後ではコイルバランスを計測することができないとい
う問題があつた。とくに、生体磁場計測装置の定期検査
のときにコイルバランスを計測できないという、看過す
ることのできない不都合が生じていた。また、センサ故
障などのためピックアップコイルやSQUID部を交換
した後においてもコイルバランスを計測し直すことがで
きないという不都合もあった。
【0013】(2)第2に、環境磁場の影響を低減させ
るときのコイルバランスの問題が在る。生体磁場を主に
計測する生体磁場計測チャンネルの他に、環境磁場のみ
を測定するリファレンスコイルを用いて、生体磁場計測
チャンネルに含まれる環境磁場の影響を低減する方法が
知られている。具体的には、例えば、複数のリファレン
ス・チャンネルからの出力を補間して、各生体磁場計測
チャンネルのピックアップコイル位置での環境磁場の値
を求め、この磁場値を生体磁場検出値から減ずるもので
ある。
【0014】しかし、このような環境磁場低減法にあっ
ては、生体磁場計測チャンネルのコイルバランスの影響
を考慮していないため、コイルバランスの低さに因る測
定誤差を排除できていないという問題があった。
【0015】また、2乗平均推定法により生体磁場計測
チャンネルのデータ中に含まれる環境雑音磁場を除去す
る方法も知られている。この方法の場合、コイルバラン
スの影響を除去することは可能だが、自然に存在する環
境磁場を用いてリファレンス・チャンネルと生体磁場計
測チャンネルとで測定される環境磁場の間の相関を計算
することから、相関の計算に使用した環境磁場と大きく
異なるパターンの環境磁場が混入した場合、環境磁場除
去能が低下するという問題があった。
【0016】(3)第3にコイルバランスを補正すると
きの問題が在る。ピックアップコイルに直列に小さなコ
イルを挿入してコイルバランスを補正する方法の場合、
各チャンネル毎に補正のための調整作業が必要になる。
したがって、多チャンネル型の生体磁場計測装置の全て
の生体計測(検出)チャンネルについて、そのコイルバ
ランスを調整するには非常に多くの手間と時間が掛か
り、計測能率が良くないという問題があった。
【0017】(4)第4に、前述した複数の磁場発生用
コイルを用いるコイルバランスの推定法(特開平7−1
22789号)に関して、以下のような問題がある。
【0018】この推定法は、大型のコイルを設置する必
要がなく、必要なときに容易にコイルバランスを計測・
推定できるものの、その推定原理の性質によって、コイ
ルバランスの計測対象であるグラジオメータのほかに、
このグラジオメータと同一のコイル面積を有するマグネ
ットメータの計測値を参照する必要があった。このた
め、装置が比較的大掛かりになり、また高価になる。
【0019】また、この推定法の場合、コイルの位置は
複数の磁場発生用コイルとの相対位置関係の情報として
推定されることから、これを高精度に推定しようとすれ
ば、磁場発生用コイルの位置自体を再現性良くかつ高精
度に設置する必要がある。この従来例では、複数の磁場
発生用コイルは共通の支持体に設置されているから、そ
れらのコイル間の相対位置は正確性を期することができ
るものの、磁場センサ本体との位置関係には各別の配慮
がなされておらず、位置推定が不安定である。このた
め、装置全体として、コイルの位置を正確にかつ再現性
良く推定することが難しく、強いてはコイルバランスの
推定精度が低かった。
【0020】本発明は、以上のような従来技術の問題に
鑑みてなされたもので、生体磁場計測装置を磁気シール
ドルームに設置した後でも、定期検査や保守時などの適
宜なタイミングで検出コイルのコイルバランスをよりコ
ンパクトなシステムで、より高精度に、再現性良く、且
つ安定して計測、または、計測および補正することがで
き、これにより、コイルバランスの崩れに因る環境雑音
除去能力の低下を防止し、生体磁場計測の精度を向上さ
せることを、その1つの目的とする。
【0021】また、本発明は、複数のリファレンスコイ
ルの検出値を用いて生体磁場計測チャンネルの計測値に
含まれる環境磁場の影響を低減させる場合、コイルバラ
ンスの影響に因る測定誤差を減らすことを、別の目的と
する。
【0022】さらに、本発明は、2乗平均推定法により
生体磁場計測チャンネルのデータ中に含まれる環境雑音
磁場を除去するときに、相関計算に使用した環境磁場と
は大幅に異なるパターンの環境磁場が混入した場合で
も、環境磁場除去能力を十分に発揮させることを、別の
目的とする。
【0023】さらに、本発明は、多チャンネルの生体磁
場計測チャンネルを有する生体磁場計測装置であって
も、従来のような調整ための手間を各別に必要とせず、
ピックアップコイルのコイルバランスの影響を自動的に
補正できるようにすることを、別の目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成させるた
め、本発明の主要な特徴によれば、生体の磁場を検出す
る複数の検出コイルを有する磁場センサを備えた生体磁
場計測装置において、前記検出コイルのコイルバランス
を求めるために外来磁場を人工的に発生する外来磁場人
工発生手段を備え、この外来磁場人工発生手段を複数の
コイルで形成したことを特徴とする。
【0025】これにより、従来のへルムホルツコイルな
どを用いたコイルバランス計測方法が大きな形状のコイ
ルを必要としたため、生体磁場計測装置を設置した後に
コイルバランスを計測することが事実上、困難だったの
に対し、本発明によれば、複数のコイルを適宜に小形に
形成できるので、生体磁場計測装置を設置した後の保
守、点検時などのときに、容易にコイルバランスを計測
できる。
【0026】また、上記装置において、前記複数のコイ
ルは、この生体磁場計測装置の構造体であるデュワ、ガ
ントリ、患者ベッド、および磁気シールドルームの内の
一つまたは複数の構造体に取り付けることができる。例
えば、前記複数のコイルは、前記デュワの外周表面上の
既知の位置に取り付けることができる。さらに、上記装
置において、前記複数のコイルは専用の支持体に取り付
けられ、この支持体はこの生体磁場計測装置の構造体で
あるデュワ、ガントリ、患者ベッド、および磁気シール
ドルームの内の一つまたは複数の構造体に着脱自在に取
り付けられるという構造を採用することもできる。
【0027】このため、従来は、コイルバランスを計測
するためには専用の大型のコイルを生体磁場計測装置を
囲むように設置しなければならず、装置設置後のコイル
バランス計測は事実上、困難だった。しかし、本発明の
構造を用いれば、特別な外来磁場発生装置を用いる必要
が無い。また、外来磁場人工発生手段としての小形の複
数のコイルは生体磁場計測装置に常に設置されているの
で、必要なときに容易にコイルバランスの計測を行うこ
とができる。
【0028】また、上記装置において、前記複数のコイ
ルを駆動しかつその駆動電流値を得るコイル制御・駆動
手段と、前記複数のコイルが発生した人工的な外来磁場
に対する前記検出コイルの検出値から磁場計測値を得る
計測手段と、前記駆動電流値および前記磁場計測値を用
いて前記検出コイルの少なくともコイルバランスを演算
する演算手段とを備えることが望ましい。この態様の場
合、好ましくは、前記演算手段は、前記検出コイルの感
度も併せて演算する手段である。例えば、前記検出コイ
ルは1次微分型グラジオメータを含む。また例えば、前
記検出コイルは2次微分型グラジオメータを含む。
【0029】また、前記コイル制御・駆動手段は、前記
複数のコイルに電流を順次供給するか、または、一度に
供給するかのいずれか機能を備えている。後者の場合、
各検出コイルで検出される出力値がなるべく直交するよ
うに外来磁場人工発生手段を成す各コイルに流す電流量
が設定される。この結果、複数のコイル全てに一度に電
流を供給する方が、一度に1つのコイルのみに電流を流
すよりもコイルバランスの計測精度が向上する。
【0030】さらに、好ましくは、前記演算手段は、前
記検出コイルのコイルバランスに加えて当該検出コイル
の位置も併せて推定演算する手段とすることである。つ
まり、感度とコイルバランスのほかに、検出コイル位置
も推定パラメータにされる。検出コイル位置と検出コイ
ル出力の関係は非線型であるから、磁場源推定アルゴリ
ズムには非線型最適化手法が使用される。感度、コイル
バランスの計測と検出コイル位置の計測とを同時に行う
ことで、検出コイル位置が不正確なために発生する感度
・コイルバランスの推定精度の劣化、または、コイルバ
ランスの影響による検出コイルの位置推定精度の劣化が
改善される。また、上述した外来磁場人工発生手段とし
ての複数のコイルの設置法と組み合わせれば、特別な磁
場発生手段を用意する必要が無いというメリットがあ
る。
【0031】さらに、好ましくは、前記複数のコイルを
駆動しかつその駆動電流値を得るコイル制御・駆動手段
と、前記複数のコイルが発生した人工的な外来磁場およ
び生体磁場に対する前記検出コイルの検出値から磁場計
測値を得る計測手段と、前記駆動電流値に基づく情報お
よび前記磁場計測値を用いて前記検出コイルの感度およ
びコイルバランスを演算する演算手段と、この演算手段
の演算情報を少なくとも参照して前記生体磁場の磁場計
測値から前記検出コイルのコイルバランスの影響を補正
する補正手段とを備えることである。この場合、前記検
出コイルは、同一あるいは近傍の検出位置に複数の磁場
方向および磁場勾配成分の少なくとも一方を検出するピ
ックアップコイルを配置するコイル構造を有し、前記補
正手段は、前記検出コイルによる検出チャンネルの前記
感度およびコイルバランスから補正行列を算出する手段
と、前記検出コイルのそれぞれの検出値に対応した前記
生体磁場の磁場計測値に前記補正行列を掛けて当該検出
コイルのコイルバランスの歪み分を補正した磁場計測値
を演算する手段とを備えることができる。これにより、
コイルバランスの影響による生体磁場検出精度の劣化を
低減できる。
【0032】さらに好ましい1つの態様は、前記検出コ
イルは被検体の近傍の検出位置に配置して生体磁場を主
に計測させる一方、この検出コイルの検出位置よりも被
検体から離れた位置に環境磁場を主に計測させるリファ
レンスコイルを配置し、前記リファレンスコイルの検出
値から前記検出コイルの位置での環境磁場の磁場勾配成
分を求める手段を備え、前記補正手段は、前記環境磁場
の磁場勾配成分と前記検出コイルのコイルバランスとを
用いて前記検出コイルによる前記生体磁場の磁場計測値
に含まれるコイルバランスの影響を補正する手段として
構成することである。
【0033】これにより、リファレンスコイルの出力値
から、各生体磁場検出コイルの位置の環境雑音磁場を求
める従来周知の方法(例えば2乗平均推定法)により、
各生体磁場検出コイルの位置における各種磁場勾配成分
が求められる。この各種磁場勾配成分と生体磁場検出コ
イルのコイルバランスの計測値とを用いて、生体磁場検
出コイルに含まれるコイルバランスの影響が補正され
る。その後、例えば上述と同様の方法で各生体磁場検出
コイルに含まれるコイルバランスの影響が補正される。
【0034】生体磁場検出コイルのみでコイルバランス
を補正する場合、補正できる磁場成分が生体磁場検出コ
イルの各チャネルが測定する磁場成分のみに限られる
が、本発明によればリファレンスコイルで測定する磁場
成分に対応するコイルバランスの影響も補正できるよう
になるため、補正できる磁場成分が生体磁場検出コイル
の各測定点毎にコイルバランスの影響を補正するよりも
広範囲の磁場成分のコイルバランスの補正を行うことが
でき、測定精度が格段に向上する。
【0035】この場合、前記補正手段は、前記環境磁場
の磁場勾配成分を用いて、前記検出コイルによる前記生
体磁場の磁場計測値の磁場成分と同じ成分の環境磁場を
その磁場計測値から除く手段を含むこともできる。これ
により、コイルバランスの補正した上で、さらに従来法
などを用いて生体磁場検出コイルと同一の磁場成分の環
境磁場が除去される。コイルバランスの補正のほかに、
生体磁場検出コイルと同一の磁場成分の環境磁場が除去
されるので、コイルバランスの補正のみを行うよりも生
体磁場の測定精度が確実に向上するという効果がある。
【0036】さらに好適な1つの態様として、前記複数
のコイルを駆動しかつその駆動電流値を得るコイル制御
・駆動手段と、前記検出コイルが配置されている環境の
環境磁場を検出するリファレンスコイルと、前記検出コ
イルおよび前記リファレンスコイルの検出値のそれぞれ
から磁場計測値を得る計測手段と、前記リファレンスコ
イルと前記検出コイルとによる前記磁場計測値間の相関
を算出する手段と、前記相関、前記リファレンスコイル
による磁場計測値、および前記検出コイルによる磁場計
測値に基づき、当該検出コイルの生体磁場の磁場計測値
からその検出コイルのコイルバランスの崩れの影響を除
いた磁場計測値を演算する手段とを備えることができ
る。例えば、前記コイル制御・駆動手段は、前記複数の
コイルに同時に電流を供給することでこれらのコイルを
駆動する手段を有する。
【0037】以上のように、本発明によれば、外来磁場
人工発生手段として小形の複数のコイルを装置に付随さ
えて備えることを基本的特徴とし、これに伴って、磁場
センサの検出コイルの感度、コイルバランスを高精度に
且つ安定して、しかも小形のシステムで計測するととも
に、検出コイルの検出値より求められた生体磁場計測値
からコイルバランスの崩れの影響を高精度に補正するこ
とができる。したがって、コイルバランスの崩れに起因
した環境磁場雑音除去の誤差が少なくなり、その除去能
力が向上し、生体磁場の計測精度を確実に向上させるこ
とができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0039】第1の実施の形態 第1の実施の形態を図1〜図11を参照して説明する。
【0040】図1に、本発明の実施形態に係る生体磁場
計測装置としての多チャンネル型dc−SQUID磁束
計の全体構成を概略的に示す。この磁束計は、検出チャ
ンネル毎に1個または複数個のピックアップコイルで形
成される検出コイルとSQUID部とを有する磁場セン
サを収納するとともに外来磁場を人工的に発生させるコ
イルを装備した真空断熱容器11と、この容器内の磁場
センサを駆動するとともに当該センサの検出信号を処理
し、その一方で、外来磁場発生コイルを駆動する駆動処
理部12とを備える。
【0041】真空断熱容器11は、その外側に位置する
外容器21と、この外容器21の内側に同心状に配置さ
れた内容器22と、両方の容器を密閉する蓋体23とを
備える。外容器21および内容器22は例えばGFR
P,CFRPなどのFRP(強化プラスチック)を主材
料として形成されている。内容器22は外容器21より
も小径でかつ浅く形成されており、両容器間の隙間は真
空断熱層ALになっている。内容器22には液体ヘリウ
ムなどの極低温溶液が充填される。
【0042】内容器22の底面には、ピックアップコイ
ル巻装用およびSQUID部実装用のボビンBが複数個
配設される。具体的には、各ボビンBの上部側面にはS
QUIDチップ25が装着され、このSQUIDチップ
25に磁気的に結合する検出コイルを成すピックアップ
コイル26がそのボビン下側に巻装されている。SQU
IDチップ25は、ジョセフソン接合を2個有する超伝
導リング(SQUID)のほか、このリングに磁気結合
するインプットコイル、フィードバックコイル(図示せ
ず)をSQUID回路として備えるとともに、このSQ
UID回路から出力端子、直流バイアス供給端子、およ
びフィードバック回路端子(図示せず)を取り出したチ
ップであり、極低温で超伝導状態となって磁場検出する
ものである。インプットコイルはピックアップコイルに
接続される。
【0043】ピックアップコイル26はNbTiなどの
部材から成る超伝導コイルであり、マグネットメータ、
1次微分グラジオメータ、2次微分グラジオメータなど
種々のタイプのものを採用できる。なお、ピックアップ
コイルには上述した巻装型のコイルのみならず、別の種
々の方法で形成することができる。例えば、ピックアッ
プコイルとして、スパッタリング、塗装、多層基板化な
どによる一体型の平面コイルを使用することもできる。
また、このピックアップコイルは、ボビンBに超伝導体
を成膜し、この超伝導体膜をエッチング法などの手法に
よりパターニングすることで形成してもよい。また、フ
レキシブル基板などの基材にパターニングされたピック
アップコイルを、ボビンに巻き付けることもできる。
【0044】SQUIDチップ25,…,25の端子に
接続した超伝導または常伝導のリード線は容器外に引き
出される。引き出されたリード線は、各検出(磁場計
測)チャンネル毎に、駆動処理部12の後述する駆動回
路に電気的に接続される。
【0045】また真空断熱容器11の外表面、すなわち
外容器21の外周面の既知の複数の位置には、図1、2
に示すように、外来磁場を人工的に(疑似的に)発生さ
せる複数のコイル28,…,28を配設してある。この
外来磁場発生コイル28,…,28をこのように容器表
面に配設する理由は、容器内部のピックアップコイル2
6,…,26から相当に離れた空間位置を比較的容易に
確保できることに拠る。本実施形態の場合、外来磁場発
生コイル28,…,28は容器外周上の既知で一定間隔
の位置に分布・配設してある。このコイル28,…,2
8のそれぞれは、小形のソレノイドコイル(例えばコイ
ル半径50cm以下)に形成され、例えば図3に示すよ
うに、各コイル配設位置においてx軸、y軸、z軸周り
に巻かれ、x軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれに磁
場検出感度を有する3つのコイル28x,28y,28
zから成る。
【0046】一方、駆動処理部12は、検出チャンネル
毎に設けられる駆動回路341 ,…,34n およびA/
D変換器351 ,…,35n を備えるとともに、磁場源
解析/推定などのデータ処理を所望のアルゴリズム(例
えば、リードフィールド行列法、準ニュートン法、共役
勾配法など)で実施するデータ処理器36を備える。
【0047】駆動回路341 ,…,34n のそれぞれ
は、SQUIDチップ25の超伝導リングに直流バイア
ス電流を供給するとともに、例えば、この超伝導リング
のジョセフソン接合の電圧が変化しないように磁束フィ
ードバックを掛ける、いわゆるFLL(flux locked lo
op)操作を行う。このときのフィードバック信号が被検
体の計測磁場の強度に対応した信号となるので、駆動回
路341 ,…,34n はこのフィードバック信号を検出
電圧信号として検出チャンネル毎に後段のA/D変換器
351 ,…,35n に出力する。検出信号はA/D変換
器351 ,…,35n によりデジタル信号に変換され、
データ処理器36のコンピュータ36Aに送出される。
コンピュータ36Aにより、磁場源(電流源)の空間的
位置(分布)、大きさ、向きなどの推定解析が実行され
る。
【0048】駆動処理部12はさらに、複数の外来磁場
発生コイル28,…,28に外来磁場を発生させるため
の電流を供給するコイル電源38と、外来磁場の人工発
生制御を行う外来磁場コントローラ39とを備える。外
来磁場コントローラ39は一例としてはCPU、メモリ
を主要素とするコンピュータを備えており、例えば、こ
の生体磁場計測装置の磁場センサ(ピックアップコイ
ル、SQUID部)の交換毎に、または、定期検査毎
に、生体磁場計測に先立って、所定の外来磁場発生の処
理を実行する。この実行の制御情報はコイル電源38に
送られ、コイル電源38がコイル28,…,28のそれ
ぞれを順次または同時に駆動できるようになっている。
【0049】すなわち、外部磁場コントローラ39は、
CPUのソフトウエア処理に拠り電流の目標値を演算
し、この目標値に応じた制御信号をコイル電源38に送
出する。コイル電源38は、制御信号に表されている電
流目標値に基づき定電流制御を実行し、外来磁場発生コ
イル28,…,28に供給する電流値を目標値に一致さ
せる。これにより、外来磁場発生コイル28,…,28
の駆動電流を、指令された目標値に正確に制御すること
ができる。なお、コイル電源38は予め電流目標値の情
報を記憶しておくことができ、この電流目標値に基づき
例えば定電流制御を行う。この場合、外部磁場コントロ
ーラ39は駆動タイミングなどを知らせる制御信号のみ
をコイル電源38に送出するようにすればよい。
【0050】このように外部磁場コントローラ39およ
びコイル電源38は、コイル駆動電流を正確に目標値に
制御する、例えばソフトウエア処理に基づく手段を備え
ている。
【0051】また、外来磁場コントローラ39は、コイ
ル電源38が各コイル28に供給した電流値をデータ処
理器36に送出できるようになっている。具体的には、
外部磁場コントローラ39が電流目標値を指令した場
合、その電流目標値をデータ処理器36に出力するよう
にソフトウエア処理が設定されている。一方、コイル電
源38が予め電流目標値の情報を記憶している場合、そ
の情報を読み出すことにより電流値を求め、その電流値
をデータ処理器36に出力するようにソフトウエア処理
が設定されている。データ処理器36は、前述した生体
磁場源の推定・解析のほか、外来磁場コントローラ39
から与えられる電流計測値およびSQUID磁束計とし
ての磁束計測値に基づき、各ピックアップコイル26の
コイルバランスおよび磁束計感度(単に感度という)を
計算できるようになっている。
【0052】なお、上述の構成において、外来磁場を人
工的に発生させるコイル28,…,28の設置位置は、
上述したような真空断熱容器の外周表面上の既知位置に
限定されるものではない。それらのコイル28,…,2
8は例えば、ガントリ、患者ベッド、磁気シールドルー
ム、電磁シールドルームなどの固定構造物の既知位置に
設置するようにしてもよい。このコイル28,…,28
を磁気シールドルームや電磁シールドルームに設置する
場合、コイルをそれらのルームの外壁側、内壁側のいず
れに取り付けてもよい。
【0053】この生体磁場計測装置のコイルバランスの
計測動作を説明する。
【0054】外来磁場コントローラ39は、コイル電源
38に、例えば、目標電流値の制御信号を送り、各外来
磁場発生コイル28に順次、目標値に正確に制御された
コイル電流を流すように指令する。同時に、外来磁場コ
ントローラは、コイル電源38から各コイル28に供給
される電流を割り出す(演算する)。この電流値はデー
タ処理器36に送られる。
【0055】外来磁場発生コイル28,…,28のそれ
ぞれを順次駆動すると、その駆動の度に、真空断熱容器
11を取り巻く雰囲気中に外来磁場分布が人工的に発生
する。この外来磁場分布はその発生の都度、容器内部の
磁場センサの各ピックアップコイル(検出コイル)2
6,…,26により検出される。このため、駆動回路3
41 ,…,34n から外来磁場の検出値に対応した電圧
信号が個別に出力され、この電圧値がデジタル値として
データ処理器36に出力される。
【0056】このように、データ処理器36には、外来
磁場コントローラ39から各コイル28への供給電流値
が与えられ、磁場センサを検出部とする検出系から各コ
イル28に拠る外来磁場の計測値が与えられる。そこ
で、データ処理器36は、各検出チャンネルのコイルバ
ランス(ピックアップコイルの微分次数と同じ次数の磁
場勾配に対する感度と、それ以下の次数の磁場勾配に対
する感度の比:すなわち環境雑音磁場の除去率)およ
び、磁束計感度(入力磁場当たりの出力電圧値)を計算
する。この計算法の具体的な手法は、後の項で詳細に説
明する。
【0057】磁束計感度の計算のためには、各外来磁場
発生コイル28の発生磁場の強度を知る必要があるが、
この発生磁場の大きさ及び向きは、外来磁場コントロー
ラ39から与えれる電流値と各コイル28の巻き数およ
び形状の情報とからデータ処理器36において算出され
る。
【0058】このように、各外来磁場発生コイル28に
流す電流は、外来磁場コントローラ39およびコイル電
源38の共働して、指定値になるよう制御されているか
ら、各外来磁場発生コイルのコイル電流値は既知であ
る。このため、データ処理器36は各外来磁場発生コイ
ルの発生磁場を正確に演算することができるので、上述
したコイルバランスと感度の推定精度を従来例に係るシ
ステムよりも格段に向上させることができる。
【0059】上述した構成および動作において、容器外
周面に設けた複数のコイル28,…,28が外来磁場人
工発生手段を形成し、コイル電源38および外来磁場コ
ントローラ39がコイル制御手段およびコイル電流計測
手段を形成し、データ処理器36がコイルバランス演算
手段および感度演算手段の機能を有している。したがっ
て、これらの手段とSQUID磁束計との機能的または
磁気的な関わり具合は、模式的には図4のように表され
る。
【0060】[感度、又は、感度およびコイルバランス
の具体的な演算方法] (1)ピックアップコイルが1次微分型グラジオメータ
である場合 ピックアップコイルを1次微分型グラジオメータで構成
する場合、図5に示すように、N個の外来磁場発生コイ
ル28,…,28の位置をx1 ,x2 ,…,xN 、その
電流値をI1 ,I2 ,…,IN 、着目した1つのピック
アップコイルに鎖交する磁場B1 ,B2 、そのコイル中
心位置r1 ,r2 とする。
【0061】
【数1】
【数2】 と表される。
【0062】
【外1】
【0063】
【数3】 となる。
【0064】そこで、図5の1次微分型グラジオメータ
の出力Vは磁束一電圧間の伝達係数をa、コイルjの面
積をΑj 、コイルjの中心点での磁場をBj として、
【数4】 となる。ここで、aはピックアップコイルを鎖交する磁
束から出力電圧への変換係数。b1 ,b2 は1次微分グ
ラジオメータの第1のコイルと第2のコイルの出力電圧
への変換係数である。
【0065】
【数5】 として
【数6】 と表される。従って感度αは
【数7】 の式で表される。
【0066】また、一様の環境雑音磁場(外来磁場の一
つ)に対するコイルバランスβ0
【数8】 で表される。
【0067】上式を係数b1 ,b2 について解くと、
【数9】
【0068】また、i番目の外来磁場発生コイルに電流
を流したときの出力電圧値Vi は
【数10】 と表される。上の連立方程式を最小2乗法など公知の方
法を用いて解くことで、感度αおよびコイルバランスβ
0 を求めることができる。
【0069】(2)ピックアップコイルがマグネットメ
ータである場合 ピックアップコイルをマグネットメータで構成する場合
を説明する。このマグネットメータに用いる記号を図6
に示す(複数の外来磁場発生用コイルのコイル位置およ
び電流値は図5参照。) j番目のマグネットメータの出力Vは磁束一電圧間の伝
達係数をa、そのコイルjの面積をAj 、コイルjの中
心点での磁場をBj として、
【数11】 と表される。従って、感度αは
【数12】 である。i番目の外来磁場発生コイルに電流を流したと
きの出力電圧値Vi は
【数13】 である。上の連立方程式を最小2乗法など、公知の方法
で解いて、感度αを求めることができる。
【0070】(3)ピックアップコイルが2次微分型グ
ラジオメータである場合 ピックアップコイルを2次微分型グラジオメータで構成
する場合を説明する。この2次微分型グラジオメータに
用いる記号を図7に示す(複数の外来磁場発生コイルの
コイル位置および電流値は図5参照。)。
【0071】j番目の2次微分型グラジオメータの出力
Vは磁束一電圧間の伝達係数をa、そのコイルjの面積
をΑj 、コイルjの中心点での磁場をBj として、
【数14】
【数15】 と表される。従って、感度αは
【数16】 となる。一様の環境雑音磁場(外来磁場の1つ)に対す
るコイルバランスβ0
【数17】 となる。1次勾配を持つ環境雑音磁場(外来磁場の1
つ)に対するコイルバランスβ1
【数18】 である。上式をb1,b2,b3 について解くと、
【数19】 であるので、i番目の外来磁場発生コイルに電流を流し
たときの出力電圧値Viは、
【数20】 と表される。上の連立方程式を最小2乗法など、公知の
方法を用いて解くことにより、感度α、コイルバランス
β0 ,β1 を算出することができる。
【0072】また、上式のような定式化による感度およ
びコイルバランスの算出法に代わる方法として、α,β
0 ,β1 を縦に並べたべクトルを推定するように定式化
することも可能である(この方法は1次微分型グラジオ
メータについても同様に適用できる)。
【0073】以上の生体磁場計測装置により感度、コイ
ルバランスを推定するときの精度の評価結果を説明す
る。
【0074】各種のタイプ(マグネットメータ、1次微
分グラジオメータおよび2次微分グラジオメータ)のピ
ックアップコイルに座標系を図8に示す如く設定し、そ
れらのピックアップコイルの空間位置を図9に示す如く
仮定する。このとき外来磁場発生コイルの空間位置を図
10に示す如く仮定する。下記の誤差要因を加味してピ
ックアップコイルと鎖交する磁場を計算し(100回)、感
度、コイルバランスの推定を行い、推定値の標準偏差を
求めた。
【0075】
【外2】
【0076】以上の設定に基づく、感度およびコイルバ
ランスの推定精度の評価結果は図11(a)〜(c)に
示す通りであった。
【0077】このように、本実施形態に係る生体磁場計
測装置によれば、磁場センサを内部に設ける真空断熱容
器の外周上の複数の既知位置それぞれに小形の外来磁場
発生コイルを設けるというコンパクトな外来磁場の人工
発生構造を採用している。そして、このコイルを時系列
的に順次駆動して外来磁場を次々と発生させたときそれ
ぞれの正確に指令値に制御されたコイル供給電流値と磁
場センサの出力電圧とを使って、磁場センサのピックア
ップコイルの感度およびコイルバランスを安定して且つ
高精度に推定でき、これらの推定値を磁場計測に活用す
ることができる。
【0078】第2の実施の形態 第2の実施の形態を図12に基づき説明する。
【0079】この実施形態の生体磁場計測装置は、とく
に、外来磁場発生コイルの別の設置構造を提供するもの
である。ここで、前述の実施形態における構成要素と同
一または同等な機能の要素には同一符号を用い、説明を
省略または簡略化する。
【0080】図12に示すように、外来磁場発生コイル
28,…,28を専用の支持体50に取り付ける。この
支持体50は、デュア、ガントリ、患者ベッド、および
磁気シールドルームの内の一つまたは複数のものに着脱
自在に取り付けるようになっている。支持体50は、柱
状のポール50aと、このポールを支持するベース50
bとを備える。コイル28,…,28はポール50aの
既定に位置に取り付けられている。また、ベース50b
には、ポール50aの鉛直性を調整するための長さ調整
可能な調整部材50eが取り付けられている。ポール5
0aには、その傾きを測定する重り50wtが内部に取
り付けられ、この重りの位置を窓50wdから観察でき
るようになっている。このような支持体50を生体磁場
計測装置本体の所定の位置に設置し、鉛直性を調整し、
外来磁場発生コイル28,…,28を生体磁場計測装置
本体に対して既知の位置に設置することができる。
【0081】この生体磁場計測装置によっても、前述し
たものと同等の作用効果を得ることができ、また、複数
の外来磁場発生コイルの設置位置の自由度を大幅に上げ
ることができる。
【0082】第3の実施の形態 第3の実施の形態を説明する。
【0083】この実施形態の生体磁場計測装置では、前
述の実施形態のように設置した複数の外来磁場発生コイ
ルを一度に駆動して(すなわち、一度に複数の外来磁場
発生コイルに電流を流して)電流値の最適化を図るもの
である。その他の構成は前述の実施形態のものと同一で
ある。
【0084】ここで、前述の実施形態のコイル駆動につ
いての、さらに改善を要する点について説明する。前述
の実施形態で採用していたように、1回に一つの外来磁
場発生コイルに電流を流す場合、一般に、感度およびコ
イルバランスの演算は
【数21】
【外3】
【0085】この方程式は外来磁場発生コイルの数や配
置に影響を受け、その条件如何によっては演算結果が好
ましくないものとなることがある。つまり、外来磁場発
生コイルに流す電流値や出力電圧の測定誤差、外来磁場
発生コイルの位置精度を高くした場合でも、求めた感度
やコイルバランスの精度が悪くなることがある。とく
に、2次微分グラジオメータのコイルバランスを求める
ときに、このことが当てはまる。
【0086】この問題を改善するため、本実施形態では
複数の外来磁場発生コイル全部に一度に電流を流して計
測した情報から感度やコイルバランスを求めるようにす
る。この電流駆動は、生体磁場計測装置の外来磁場コン
トローラ39およびコイル電源38によって行うもので
ある。
【0087】
【外4】
【0088】
【数22】
【0089】Μ=NかつFが可逆になるように外来磁場
発生コイルの数や向きを選ぶとき、kをスカラーとし
て、
【数23】
【数24】 となり、各計測における出力電圧の値から直接、感度や
コイルバランスを計算することが可能になる。
【0090】Μ≠Nの場合は、行列Fを
【数25】 のように特異値分解し、Dの対角要素上の特異値を全て
逆数で置き換えた行列D′を用いて
【数26】
【数27】
【数28】 本実施形態によれば、外来磁場発生コイルの数や配置に
よっては悪条件となり易い連立方程式を解く必要が無い
ので、感度やコイルバランスの測定精度を向上さえるこ
とができる。
【0091】第4の実施の形態 本発明の第4の実施の形態を説明する。この実施形態に
係る生体磁場計測装置は、感度やコイルバランスの推定
と同時に、検出コイルの位置も推定するようにしたもの
である。
【0092】前述した実施形態において、感度やコイル
バランスを推定することは前述したように連立1次方程
【数29】 を解くことに帰着する。行列Fは検出コイルの位置と向
きに依存するので、上式は
【数30】
【外5】
【数31】
【数32】
【外6】
【数33】 に代入して感度とコイルバランスも同時に求めることが
できる。
【0093】これにより、検出コイル位置が不正確なこ
とに因り発生する感度やコイルバランスの推定精度の低
下、コイルバランスの影響に因る検出コイルの位置推定
精度の低下などを改善できる。
【0094】第5の実施の形態 本発明の第5の実施の形態を図13および図14を参照
して説明する。この実施形態の生体磁場計測装置は、と
くに、複数種類のピックアップコイルを備えた検出コイ
ルのコイルバランス補正方法を改善したものである。
【0095】かかる検出コイルとして、本実施形態の装
置は、マグネットメータ、1次微分型グラジオメータ、
および2次微分型グラジオメータで構成されたコイル群
(図13参照)を3組用いて1つの検出コイルを形成し
た例を挙げる。この検出コイルのx軸方向、y軸方向、
z軸方向にそれぞれ設置したコイル群のコイルバランス
を補正する。
【0096】一般にΝ種類のピックアップコイルを用い
る場合、それぞれのコイルをC1,...,CN のように表
す。上記の9種類のピックアップコイルを用いる場合、
Ν=9である。また、Ci のピックアップコイルが検出
する磁場成分をBi の様に記す(i=1…N)。また、
Ci のBj 成分に対する感度をαi j とする(j=1…
N)。αi j は前述した第1の実施形態の手法によって
計測してもよいし、従来周知の方法を用いて計測しても
よい。第1の実施形態を用いて計測した場合、例えば、
x軸方向成分を計測する2次微分型コイルの感度がα、
1次勾配成分に対するコイルバランスがβ1 であった場
合、x軸成分2次勾配磁場に対する感度はαとし、x軸
成分1次勾配磁場に対する感度はαβ1 とする。また、
マグネットメータ型コイルの1次、2次勾配成分に対す
る感度は0と仮定してもよいし、仮想的に2次微分型グ
ラジオメータと考えて2次微分型グラジオメータのコイ
ルバランス測定法を用いて算出してもよい。同様に、x
軸方向のマグネットメータやグラジオメータのy軸方向
成分に対する感度も0と仮定してもよいし、仮想的にy
軸方向成分を測定するマグネットメータやグラジオメー
タと考えて、各勾配成分に対する感度を計算してもよ
い。
【0097】コイルCi の出力Vi は各磁場成分の大き
さBj とそれぞれの磁場成分に対する感度αi j の積の
総和であるので、下記のような連立1次方程式が成立す
る。
【0098】
【数34】
【0099】各磁場成分Bj は上記の連立1次方程式を
解いて求めることができる。形式的には逆行列を用いて
次のように表されるが、実際に計算を行う際にはLU分
解法など数値計算上の種々の手法を用いることができ
る。
【0100】
【数35】
【0101】上記の方法によりコイルバランス補正の機
能を備えた生体磁場計測装置の機能ブロック図を図14
に示す(前述した図4に対応)。
【0102】第6の実施の形態 本発明の第6の実施の形態を図15参照して説明する。
この実施形態の生体磁場計測装置は、検出コイルを成す
ベクトル型ピックアップコイルのコイルバランスを補正
するようにしたものである。
【0103】図15のようなx軸方向の磁場のz方向の
勾配を計測するコイルをC1 、y軸方向の磁場のz方向
の勾配を計測するコイルをC2 、z軸方向の磁場のz方
向の勾配を計測するコイルをC3 とし、それぞれに対応
する磁場成分をB1 ,B2 ,B3 にとれば、前述の第5
の実施形態と同様の方法を用いてコイルバランスの崩れ
による歪みを補正することができる。このように、本法
によるコイルバランス補正法(前述した第5の実施形態
で説明したコイルバランス補正法)は、任意のΝ種類の
ピックアップコイルを用いる磁場センサを搭載した装置
に適用することができる。例えば、図6に示したマグネ
ットメータと図7に示した2次微分グラジオメータとを
用いた検出コイルを搭載した装置に適用することができ
る。また例えば、図8に示した複数種類のピックアップ
コイルから成る検出コイルを複数用いる磁場センサを搭
載した装置にも適用することができる。
【0104】第7の実施の形態 本発明の第7の実施の形態を図16、17を参照して説
明する。この実施形態の生体磁場計測装置は、単一の勾
配次数からなる検出コイルのコイルバランスが崩れてい
るときに、そのコイルバランスの崩れに因る測定誤差を
補正(コイルバランスの補正)する手法に関する。
【0105】図16には、この実施形態に係る真空断熱
容器11内のコイル配置を概念的に示す。同図に示すよ
うに、この容器11内には、その被検体に近い側に、生
体磁場を主に計測する複数個の生体磁場計測用の検出コ
イルが配置され、また、被検体に対して検出コイルより
も離れた位置に、環境磁場を主に計測する複数個のリフ
ァレンスコイルが配置されている。各検出コイルは、単
一の勾配次数のピックアップコイルにより構成されてい
る。例えば、この検出コイルは1つの1次微分型ピック
アップコイルから成る。
【0106】リファレンスコイルのそれぞれは検出コイ
ルよりも低い次数の磁場勾配も計測するように構成され
る。例えば、リファレンスコイルとして、磁場のx,
y,z成分それぞれを計測するマグネットメータと1次
微分型グラジオメータとが備えられている。このような
構造の複数のリファレンスコイル(リファレンスチャン
ネル)のそれぞれは、前述した第5又は第6の実施形態
で説明した手法を用いて、そのコイルバランスが補正さ
れている。各生体磁場計測用検出コイル(生体磁場計測
チャンネル)の感度およびコイルバランスは、前述した
第1の実施形態で説明した手法または従来の手法を用い
て測定されているものとする。
【0107】以下の説明では他のタイプのグラジオメー
タを用いる場合や複数の検出コイルからなる一般の場合
について説明する。
【0108】生体磁場計測用検出コイルはそれそれN種
類の磁場成分Βi (i=1..N)を測定するピックアップコ
イルからなる。この検出コイルがそれぞれ1つのピック
アップコイルから成る場合、N=1である。また、リフ
ァレンスコイルの出力を用いて、検出コイルの位置にお
けるR種類の磁場成分が、例えば補間を用いる従来法に
より求められているとする。リファレンスチャネルより
求めたR個の磁場成分をΒN+j (j=1..R) とすると、生
体磁場計測用検出コイルのΝ個の出力Vi は以下の式の
ように表される。
【0109】
【数36】
【0110】上式中の行列の各成分は第5の実施形態に
おける手法と同じように計測することができる。コイル
バランスの影響が補正された各磁場成分Bj は上記の連
立1次方程式を解いて求めることができる。磁場成分B
j は形式的には
【数37】
【0111】と表される。
【0112】さらに、各生体磁場計測用検出コイルの位
置での、この検出コイルと同じ磁場勾配成分の環境磁場
の値をリファレンスコイルの出力値から、例えば従来法
を用いて求め、この求めた値を検出コイルによる測定値
から減ずる演算処理を付加することが望ましい。
【0113】かかる一連の補正方法のフローチャートを
図17に示す。
【0114】第8の実施の形態 本発明の第8の実施の形態を図18参照して説明する。
この実施形態の生体磁場計測装置は、簡略的な2乗平均
推定を用いる生体磁場計測用検出コイルのコイルバラン
ス補正方法を実施する。とくに、先の第7の実施形態に
組み合わせて好適に実施することができる方法である。
つまり、第7の実施形態においてリファレンスコイルの
出力値から検出コイルの位置での環境磁場の値を推定す
るときに2乗平均推定を用いる場合、以下に説明する簡
略法を用いることができる。
【0115】この簡略化した2乗平均推定によるコイル
バランス補正機能を搭載した生体磁場計測装置の機能ブ
ロック図を図18に示す。
【0116】このコイルバランス補正法にあっては、生
体磁場の計測に先立ち、予めリファレンスコイルと生体
磁場検出コイルの測定値間の相関Rを相関計算手段によ
り計算する。相関計算手段はデータ処理器36にソフト
ウエア上の処理として達成される。この相関計算は次の
ような手順で行われる。
【0117】外来磁場人工発生手段に含まれる複数のコ
イル28,…,28により第1の実施形態のときと同様
に人工的な磁場分布が発生される(この磁場発生の制御
は相関計算用制御手段により実行される)。リファレン
スコイルと生体磁場検出コイルにより外来磁場人工発生
手段で発生させた磁場が計測される(図18には、リフ
ァレンスコイルと生体磁場検出コイルに対するSQUI
DおよびSQUID駆動手段の図示は省略している)。
相関計算用制御手段に指令を受けた相関計算手段によ
り、リファレンスコイルと生体磁場検出コイルの計測値
とに基づき次式による計算が行われる。
【0118】
【数38】
【0119】
【外7】
【0120】
【外8】
【0121】
【数39】
【0122】以上の補正方法は基本的には第7の実施形
態のものと同等であるが、第7の実施形態の補正方法を
そのまま実行するときの様な複雑な計測、計算手順が不
要で、簡略化した手法となる。その一方で、補正につい
ては第7の実施形態のものと同等の効果を得ることがで
きる。
【0123】
【外9】
【0124】また、外来磁場発生コイル一つずつに単位
電流を流したときのリファレンスチャネルの出力ベクト
ルを横に並べた行列をL、Lのムーアペンローズ一般逆
行列をL+ とし、
【数40】
【外10】 以上、上述した実施形態によれば、外来磁場発生コイル
を生体磁場計測装置の構造体に、または、着脱可能な既
知の位置に取り付けており、この外来磁場発生コイルの
発生磁場の計測値とその理論値との差がなるべく小さく
なるように、線形または非線形の推定理論を用い、コイ
ルバランスおよびそのほかの値(磁場センサの位置、向
き、感度)を推定している。この推定に際し、とくに、
以下の利点を発揮できる。
【0125】すなわち、外来磁場発生コイルに流す電流
を正確に指令値に制御し、または、外来磁場発生コイル
に流した電流を正確に認識(計測)するようにしてい
る。このため、外来磁場発生コイルが発生する磁場を正
確に計算することができ、異なる複数の位置に設置した
外来磁場発生コイルの発生磁場に対する計測値の違いか
らグラジオメータのコイルバランスと感度などのその他
のパラメータとを分離して推定することができる。した
がって、従来技術で見られた、グラジオメータと同じ面
積を有するマグネットメータを備えるという構成を採用
する必要がなく、装置をその分、小形にかつ安価に製造
することができる。
【0126】また、外来磁場発生コイルを生体磁場計測
装置の構造体に、または、着脱可能な既知の位置に取り
付けているので、この外来磁場発生コイルを再現性良く
かつ高精度に設置可能である。これにより、磁場センサ
(ピックアップコイル)それぞれの位置を高精度に推定
できる。
【0127】さらに、コイルバランスの補正手段(測定
したコイルバランスを用いて補正する手段、または、リ
ファレンスコイルの計測値と生体磁場計測チャンネルの
計測値と相関を用いてコイルバランスを補正する手段)
を有している。このため、コイルバランスの崩れに因る
計測値の歪みを低減させることができ、閑居磁場雑音除
去能力が格段に向上し、したがって、生体磁場の計測精
度をも確実に向上させることができる。
【0128】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る生体
磁場計測装置によれば、外来磁場人工発生手段として、
従来使用していたヘルムホルツコイルよりも小形の複数
のコイルを装置に付随させて備えることを基本的特徴と
し、これに伴って、磁場センサの検出コイルの感度、コ
イルバランスを安定して且つ高精度に計測するとととも
に、検出コイルの検出値より求められた生体磁場計測値
からコイルバランスの崩れの影響を高精度に補正するこ
とができる。したがって、コイルバランスの崩れに起因
した環境磁場雑音除去の誤差が少なくなり、その除去能
力が向上し、生体磁場の計測精度を確実に向上させるこ
とができる。
【0129】また、生体磁場計測装置を磁気シールドル
ームに設置した後でも、定期検査や保守時(SQUID
素子を交換するとき)などの適宜なタイミングでピック
アップコイルのコイルバランスを計測(あるいは計測し
直し)、または、計測および補正することができ、これ
により、コイルバランスの崩れに因る環境雑音除去能力
の低下を防止できる。また、複数のリファレンスコイル
の検出値を用いて生体磁場計測チャンネルの計測値に含
まれる環境磁場の影響を低減させる場合、コイルバラン
スの影響に因る測定誤差を減らすことができる。さら
に、2乗平均推定法により生体磁場計測チャンネルのデ
ータ中に含まれる環境雑音磁場を除去するときに、相関
計算に使用した環境磁場とは大幅に異なるパターンの環
境磁場が混入した場合でも、環境磁場除去能力を十分に
発揮させることができる。以上により、生体磁場計測の
精度を従来よりも格段に向上させることができる。
【0130】さらに、多チャンネルの生体磁場計測チャ
ンネルを有する生体磁場計測装置であっても、従来のよ
うな調整ための手間を各別に必要とせず、ピックアップ
コイルのコイルバランスの影響を自動的に補正できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る生体磁場計測装
置の概略構成を示す図。
【図2】第1の実施形態における外来磁場発生コイルの
設置状況を示す模式図。
【図3】各設置位置における外来磁場発生コイルの一例
を説明する図。
【図4】第1の実施形態における機能的および磁気的な
関わりを示すブロック図。
【図5】ピックアップコイルが1次微分型グラジオメー
タであるときの記号の取り方を説明する図。
【図6】ピックアップコイルがマグネットメータである
ときの記号の取り方を説明する図。
【図7】ピックアップコイルが2次微分型グラジオメー
タであるときの記号の取り方を説明する図。
【図8】種々のタイプのピックアップコイルに対して設
定した座標系の図。
【図9】感度およびコイルバランスの推定精度の評価を
行ったときのピックアップコイルの位置を示す表図。
【図10】感度およびコイルバランスの推定精度の評価
を行ったときの外来磁場発生コイルの位置を示す表図。
【図11】感度およびコイルバランスの推定精度の評価
を示す表図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る外来磁場発生
コイルの別の設置構造を示す概略図。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る検出コイルに
搭載される3個のコイル群の内の1つのコイル群を示す
図。
【図14】第5の実施形態に係る生体磁場計測装置の主
要部の機能ブロック図。
【図15】本発明の第6の実施形態に係るベクトル型検
出コイルの配置状況を示す図。
【図16】本発明の第7の実施形態に係る検出コイルお
よびリファレンスコイルの配置状況を示す概念図。
【図17】第7の実施形態のコイルバランス補正方法の
概要を示すフローチャート。
【図18】本発明の第8の実施形態に係る生体磁場計測
装置の主要機能ブロック図。
【符号の説明】
11 真空断熱容器(デュア) 12 駆動処理部 25 SQUIDチップ 26 検出コイル 28 外来磁場発生コイル 34 駆動回路 35 A/D変換器 36 データ処理器 38 コイル電源 39 外来磁場コントローラ 50 支持体 B ボビン

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体の磁場を検出する複数の検出コイル
    を有する磁場センサを備えた生体磁場計測装置におい
    て、 前記検出コイルのコイルバランスを求めるために外来磁
    場を人工的に発生する外来磁場人工発生手段を備え、こ
    の外来磁場人工発生手段を複数のコイルで形成したこと
    を特徴とする生体磁場計測装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発明において、 前記複数のコイルは、この生体磁場計測装置の構造体で
    あるデュワ、ガントリ、患者ベッド、および磁気シール
    ドルームの内の一つまたは複数の構造体に取り付けられ
    ている生体磁場計測装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の発明において、 前記複数のコイルは、前記デュワの外周表面上の既知の
    位置に取り付けられている生体磁場計測装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の発明において、 前記複数のコイルは専用の支持体に取り付けられ、この
    支持体はこの生体磁場計測装置の構造体であるデュワ、
    ガントリ、患者ベッド、および磁気シールドルームの内
    の一つまたは複数の構造体に着脱自在に取り付けられて
    いる生体磁場計測装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の発明において、 前記複数のコイルを駆動しかつその駆動電流値を得るコ
    イル制御・駆動手段を備え、このコイル制御・駆動手段
    は、前記複数のコイルを駆動するときの駆動電流値を指
    令値に制御する手段、または、前記複数のコイルを駆動
    したときの駆動電流値を計測する手段のいずれか一方を
    備える生体磁場計測装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の発明において、 前記複数のコイルが発生した人工的な外来磁場に対する
    前記検出コイルの検出値から磁場計測値を得る計測手段
    と、前記駆動電流値および前記磁場計測値を用いて前記
    検出コイルの少なくともコイルバランスを演算する演算
    手段とを備えた生体磁場計測装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の発明において、 前記演算手段は、前記検出コイルの感度も併せて演算す
    る手段である生体磁場計測装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の発明において、 前記検出コイルは1次微分型グラジオメータを含む生体
    磁場計測装置。
  9. 【請求項9】 請求項7記載の発明において、 前記検出コイルは2次微分型グラジオメータを含む生体
    磁場計測装置。
  10. 【請求項10】 請求項5記載の発明において、 前記コイル制御・駆動手段は、前記複数のコイルに電流
    を順次供給するか、または、一度に供給するかのいずれ
    か機能を備えている生体磁場計測装置。
  11. 【請求項11】 請求項6記載の発明において、 前記演算手段は、前記検出コイルのコイルバランスに加
    えて当該検出コイルの位置も併せて推定演算する手段で
    ある生体磁場計測装置。
  12. 【請求項12】 請求項5記載の発明において、 前記複数のコイルが発生した人工的な外来磁場および生
    体磁場に対する前記検出コイルの検出値から磁場計測値
    を得る計測手段と、前記駆動電流値に基づく情報および
    前記磁場計測値を用いて前記検出コイルの感度およびコ
    イルバランスを演算する演算手段と、この演算手段の演
    算情報を少なくとも参照して前記生体磁場の磁場計測値
    から前記検出コイルのコイルバランスの影響を補正する
    補正手段とを備えた生体磁場計測装置。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の発明において、 前記検出コイルは、同一あるいは近傍の検出位置に複数
    の磁場方向および磁場勾配成分の少なくとも一方を検出
    するピックアップコイルを配置するコイル構造を有し、 前記補正手段は、前記検出コイルによる検出チャンネル
    の前記感度およびコイルバランスから補正行列を算出す
    る手段と、前記検出コイルのそれぞれの検出値に対応し
    た前記生体磁場の磁場計測値に前記補正行列を掛けて当
    該検出コイルのコイルバランスの歪み分を補正した磁場
    計測値を演算する手段とを備える生体磁場計測装置。
  14. 【請求項14】 請求項12記載の発明において、 前記検出コイルは被検体の近傍の検出位置に配置して生
    体磁場を主に計測させる一方、この検出コイルの検出位
    置よりも被検体から離れた位置に環境磁場を主に計測さ
    せるリファレンスコイルを配置し、 前記リファレンスコイルの検出値から前記検出コイルの
    位置での環境磁場の磁場勾配成分を求める手段を備え、 前記補正手段は、前記環境磁場の磁場勾配成分と前記検
    出コイルのコイルバランスとを用いて前記検出コイルに
    よる前記生体磁場の磁場計測値に含まれるコイルバラン
    スの影響を補正する手段である生体磁場計測装置。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の発明において、 前記補正手段は、前記環境磁場の磁場勾配成分を用い
    て、前記検出コイルによる前記生体磁場の磁場計測値の
    磁場成分と同じ成分の環境磁場をその磁場計測値から除
    く手段を含む生体磁場計測装置。
  16. 【請求項16】 請求項5記載の発明において、 前記検出コイルが配置されている環境の環境磁場を検出
    するリファレンスコイルと、前記検出コイルおよび前記
    リファレンスコイルの検出値のそれぞれから磁場計測値
    を得る計測手段と、前記リファレンスコイルと前記検出
    コイルとによる前記磁場計測値間の相関を算出する手段
    と、前記相関、前記リファレンスコイルによる磁場計測
    値、および前記検出コイルによる磁場計測値に基づき、
    当該検出コイルの生体磁場の磁場計測値からその検出コ
    イルのコイルバランスの崩れの影響を除いた磁場計測値
    を演算する手段とを備えた生体磁場計測装置。
  17. 【請求項17】 請求項16記載の発明において、 前記コイル制御・駆動手段は、前記複数のコイルに同時
    に電流を供給することでこれらのコイルを駆動する手段
    を有する生体磁場計測装置。
  18. 【請求項18】 請求項14または16記載の発明にお
    いて、 前記リファレンスコイルのコイルバランスを補正する手
    段をさらに備える生体磁場計測装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11309122A (ja) * 1998-04-28 1999-11-09 Hitachi Ltd 生体磁場計測装置
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US6462540B1 (en) 1999-09-14 2002-10-08 Hitachi, Ltd. Magnetic field measuring apparatus which enables external magnetic noise cancellation
JP2007170880A (ja) * 2005-12-20 2007-07-05 Yokogawa Electric Corp 磁場検出装置

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