JPH1146770A - β−カロチンハイドロキシラーゼ遺伝子およびその使用 - Google Patents
β−カロチンハイドロキシラーゼ遺伝子およびその使用Info
- Publication number
- JPH1146770A JPH1146770A JP9213648A JP21364897A JPH1146770A JP H1146770 A JPH1146770 A JP H1146770A JP 9213648 A JP9213648 A JP 9213648A JP 21364897 A JP21364897 A JP 21364897A JP H1146770 A JPH1146770 A JP H1146770A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- leu
- ala
- gly
- arg
- gene
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Abstract
ラーゼと相同性を有さない同酵素活性タンパク質をコー
ドする新規遺伝子およびその使用法を提供する。 【解決手段】 典型的にはラン藻に由来し、β‐イオノ
ン環の3位(または3′位)に水酸基を導入する酵素活
性を有するタンパク質をコードする遺伝子。上記の遺伝
子を宿主(微生物または植物)に導入してこれを発現さ
せ、該宿主中のβ‐イオノン環を有する化合物における
該環の3位(および/または3′位)に水酸基を導入す
ることを特徴とする、キサントフィルの発現もしくは製
造方法。 【効果】 上記遺伝子を微生物や植物に導入することに
より、ゼアキサンチンやβ‐クリプトキサンチン等のキ
サントフィルおよびこれらのキサントフィルの代謝物の
生産量を増やすことができる。
Description
有する化合物に水酸基を導入する酵素をコードする遺伝
子、代表的にはラン藻に由来する遺伝子、およびその遺
伝子を用いてβ-カロチン等の環状カロチノイドに水酸
基を導入する方法に関する。
ドとも呼ばれる) とは、通常、炭素鎖が40のイソプレン
骨格からなる自然界に豊富に存在する天然色素の総称で
ある。現在までに、約600 種類のカロチノイドが単離さ
れている (Pfander, H., ed.,Key to Carotenoids. Bas
el, Birkhauser, 1987)。カロチノイドは、植物や光合
成微生物では必須の色素であり、光合成の補助色素とし
て機能するほか、光酸化的障害から組織や細胞を保護す
る機能を担っている。本色素は、また、黄色や赤色の天
然着色料として利用され、さらに、癌予防や免疫賦活活
性などを有する栄養価改善剤として食用や飼料用にすで
に一部実用化され、将来の発展が有望視されているもの
である(松野隆男、幹渉、動物におけるカロテノイドの
生理機能と生物活性、化学と生物, 28, 219-227, 199
0)。
びその他のイソプレノイドと共通なイソプレン基本生合
成経路によって合成される。最初のイソプレノイドであ
るC5のイソペンテニルピロリン酸 (IPP) は異性化反応
によりジメチルアリルピロリン酸 (DMAPP) に変換さ
れ、さらに、DMAPP は、C5のIPP と順次、縮合すること
により、C10 のゲラニルピロリン酸 (GPP)、C15 のファ
ルネシルピロリン酸 (FPP)、C20 のゲラニルゲラニルピ
ロリン酸 (GGPP) というふうに、炭素数を5 つづつ延ば
していく。カロチノイドに特異的な生合成経路は、GGPP
においてイソプレン基本生合成経路から分岐する。すな
わち、2 分子のGGPPが縮合して、最初のカロチノイドで
ある無色のフィトエン (phytoene) が合成される。フィ
トエンは、不飽和化反応により、順次、二重結合が導入
されることにより、フィトフルエン(phytofluene ;フ
ィトエンに二重結合1 個) 、ζ- カロチン (ζ-caroten
e ;二重結合2 個) 、ノイロスポレン (neurosporene;
二重結合3 個) 、リコペン(lycopene ;二重結合4 個)
に変換される。さらに、リコペンは環化反応によりβ-
カロチン (β-carotene) やα- カロチン (α-caroten
e) に変換される。そして、β- カロチンやα- カロチ
ンに水酸基やケト基などが導入され、ゼアキサンチン
(zeaxanthin) 、ルテイン (lutein) 、アスタキサンチ
ン (astaxanthin)などの種々のキサントフィルが合成さ
れる。
は、1990年代に入って飛躍的に進展した。現在までに、
多くのカロチノイド生合成遺伝子が、植物常在 (epiphy
tic)細菌Erwinia やトマト、赤ピーマンなどの植物を始
めとして、光合成細菌Rhodob acter 、ラン藻Synechococ
cus sp. strain PCC7942、カビNeurospora crassa な
ど、種々の生物から単離され、それらの機能が明らかに
された (三沢典彦,遺伝子レベルで解明されたカロチノ
イド生合成経路,蛋白質 核酸 酵素, 41, 337-346, 1
996))。したがって、取得された種々のカロチノイド生
合成遺伝子を利用して、遺伝子工学的手法により大腸菌
や酵母などの微生物、さらには植物などを形質転換し発
現させることによって、種々の生物に、カロチノイドの
生合成能を新たに付与したり、カロチノイドの代謝経路
を変えたりすることが可能となった(三沢典彦,セミナ
ー室 メタボリックエンジニアリングの展開 −2 .大
腸菌・酵母によるカロテノイド生産,化学と生物,35,
60-68 ,1997、および、三沢典彦,イソプレノイド生合
成遺伝子による植物の代謝工学,第33回 植物化学シン
ポジウム 講演要旨集,22-32 ,1997) 。
経てゼアキサンチンに変換する酵素であるβ- カロチン
ハイドロキシラーゼ (β-carotene hydroxylase) をコ
ードする遺伝子 (crtZ またはbhy) は、植物常在細菌
Erwinia 、Flavobacterium属細菌、海洋細菌Agrobacter
ium aurantiacum, Alcaligenes sp. strain PC-1、植
物シロイヌナズナ (Arabidopsis thaliana) から取得さ
れている (N. Misawa, Y. Satomi, K. Kondo, A. Yokoy
ama, S. Kajiwara, T. Saito, T. Ohtani,W. Miki, St
ructure and functional analysis of a marine bacter
ial carotenoid biosynthesis gene cluster and astax
anthin biosynthetic pathway proposed at the gene l
evel. J. Bacteriol., 177, 6575-6584, 1995 、およ
び、Z.Sun, E. Gantt, F. X. Cunningham, Jr., Clonin
g and functional analysis of the β-caortene hydro
xylase of Arabidopsis thaliana, J. Biol. Chem., 27
1, 24349-24352, 1996 、および、L. Pasamontes, D. H
ug, M. Tessier, H.-P.Hohmann, J. Schierle, A. P.
G. A. M. van Loon, Isolation and characterization
of the carotenoid biosynthesis genes of Flavobacte
rium sp. strainR1534, Gene, 185, 35-41, 1997) 。こ
れらのβ- カロチンハイドロキシラーゼは、種を超え
て、アミノ酸配列レベルでよく保存されていた。たとえ
ば、Erwini a と海洋細菌のCrtZは53-56 %の同一のアミ
ノ酸配列を有しており、これらの細菌と植物Arabidopsi
s のβ- カロチンハイドロキシラーゼは、31-37 %の同
一のアミノ酸配列を有していた。
る" カロチン" (たとえば、リコペン、β- カロチン、
α- カロチン等)、及び、カロチンに水酸基、ケト基な
どの酸素を含む基が導入された" キサントフィル" (た
とえば、ゼアキサンチン、ルテイン、アスタキサンチン
等)からなりたっている。一般的に言って、キサントフ
ィルは、カロチンと比べると、水溶性が若干あるため、
癌予防や免疫賦活活性などの生理活性が高いと考えられ
ている(西野輔翼, 食品中のカロテノイドによる発癌抑
制, 農化誌, 67, 39-41, 1993)。
チン、特に食品に最もよく含まれているカロチンである
β- カロチンをβ- クリプトキサンチンやゼアキサンチ
ンに変換する技術の開発が望まれる。本発明の課題は、
前述した種々の生物由来のβ- カロチンハイドロキシラ
ーゼと同様の活性を持ちながら、これらのβ- カロチン
ハイドロキシラーゼとアミノ酸配列レベルで相同性を有
さない酵素をコードする遺伝子を見出し、これを用い
て、β- カロチン等のβ- イオノン環の3位(および/
または3′位)に水酸基を導入し、β-クリプトキサンチ
ンやゼアキサンチン等のキサントフィルを合成する方法
を提供することである。
p. strain PCC6803は、そのゲノム情報が明らかにされ
た唯一のラン藻である (T. Kaneko, S. Sato, H. Kotan
i, A. Tanaka et al., S equence analysis of the geno
me of the unicellular cyanobacterium Synecho cystis
sp. strain PCC6803. II. Sequence determination o
f the entire genome and assignment of potential pr
otein-coding regions. DNA Res. 3, 109-136, 1996)
。一方、Synechocystis PCC6803は、ゼアキサンチ
ン、エキネノン、ミキソキサントフィル等のキサントフ
ィルを生産することができる。それゆえ、本ラン藻はゼ
アキサンチンを作るためのβ- カロチンハイドロキシラ
ーゼ遺伝子を有するはずであるが、相同性検索の結果、
既存のβ- カロチンハイドロキシラーゼと類似性のある
タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム
(ORF)は見出されなかった。したがって、Synechocysti
s PCC6803のβ- カロチンハイドロキシラーゼ遺伝子
は、既存のβ- カロチンハイドロキシラーゼとは少なく
とも構造の違う酵素をコードしていると考えられる。発
明者らは、Synechocys tis PCC6803のゲノム上に推定さ
れた3,166 個のタンパク質をコードしうるORFの中か
ら、β- カロチンをβ- クリプトキサンチンを経てゼア
キサンチンに変換するβ- カロチンハイドロキシラーゼ
をコードするORF sll 1468を見出し、本発明を完成する
に至った。
号1で示されるアミノ酸配列、または該アミノ酸配列に
おいて1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入も
しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつβ‐イオノ
ン環の3位(および/または3′位)に水酸基を導入す
る酵素活性を有するポリペプチド(β‐カロチンハイド
ロキシラーゼ)をコードするものである。また本発明
は、上記の遺伝子を用いたキサントフィルの発現もしく
は製造方法をも提供する。すなわち、本発明によるキサ
ントフィルの発現もしくは製造方法は、配列番号1で示
されるアミノ酸配列、または該アミノ酸配列において1
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付
加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードす
る遺伝子を宿主に導入してこれを発現させ、宿主中のβ
‐イオノン環を有する化合物における該環の3位(およ
び/または3′位)に水酸基を導入することを特徴とす
るものであり、好ましい具体的態様は、該遺伝子を宿主
に導入してこれを発現させ該宿主中のβ‐カロチンをβ
‐クリプトキサンチンまたはこれを経てゼアキサンチン
に変換することを特徴とするものである。
来型のβ- カロチンハイドロキシラーゼ遺伝子を有して
いる微生物や植物に本発明によるβ- カロチンハイドロ
キシラーゼ遺伝子を導入しても、相同組み換えやco-sup
pression 等の問題を気にすることなく、これらの微生
物や植物においてβ- カロチンハイドロキシラーゼ活性
を付与または増大させることができる。
本発明は遺伝子は、配列番号1で示されるアミノ酸配
列、または該アミノ酸配列において1もしくは数個のア
ミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加されたアミノ酸
配列を有するポリペプチド(β‐カロチンハイドロキシ
ラーゼ)をコードするものであることは前記したところ
であり、その典型的な例は配列番号1のアミノ酸配列を
コードするラン藻由来の遺伝子である。また本発明は、
上記遺伝子を用いたキサントフィルの発現もしくは製造
方法にも関し、このキサントフィルの製造方法は、上記
遺伝子を宿主に導入してこれを発現させ、該宿主中のβ
‐イオノン環を有する化合物における該環の3位(およ
び/または3′位)に水酸基を導入することを特徴とす
るものである。本発明方法の好ましい具体的態様は、上
記遺伝子を宿主に導入して発現させ、該宿主中のβ‐カ
ロチンをβ‐クリプトキサンチンまたはこれを経てゼア
キサンチンに変換することを特徴とする方法である。
を産生している(蓄積している)場合、好適な例として
トマト、ニンジン、トウモロコシ、カンキツ類、タバ
コ、Phaffia属酵母などでは、β‐カロチン生成
に関与する遺伝子はすでに存在しているため本発明遺伝
子のみを宿主細胞に導入すればよい。また、宿主がβ‐
カロチンを産生していない場合、本発明遺伝子の他に、
β‐カロチン生成に関与する不足の遺伝子、すなわち、
カロチノイド生合成遺伝子crtE、crtB、crt
I、crtYの全部または一部を導入する必要がある。
例えば、本発明において好ましい宿主である大腸菌、Z
ymomonas属細菌、Saccharomyces
属酵母、Candida属酵母の場合は、上記のカロチ
ノイド生合成遺伝子を保有していないか、crtEと同
様な働きをする遺伝子を保有している場合でもその活性
が弱いのでそれらの遺伝子すべてを導入する必要があ
る。
E、crtB、crtI、crtYは、公知の種々の生
物由来、たとえば植物常在細菌Erwinia(たとえ
ばErwinia uredovora)、海洋細菌
(たとえばAgrobacterium aurant
iacum)、Alcaligenes sp.str
ain PC−1等に由来するものを用いることがで
き、これらの具体的な配列については、例えばN.Mi
sawa et al.,J.Bacteriol.1
72,6704−6712,1990、N.Misaw
a et al.,J.Bacteriol.,17
7,6575−6584,1995等に記載されてい
る。具体的に例示すれば、crtEは本願明細書の配列
番号4のアミノ酸番号1〜302、crtBは配列番号
3のアミノ酸番号1〜296、crtIは配列番号5の
アミノ酸番号1〜492、crtYは配列番号6のアミ
ノ酸番号1〜382または配列番号2の1〜386、で
それぞれ示されるアミノ酸配列およびそれらの変異体
(例えば1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入
もしくは付加されたアミノ酸配列を有しかつ同じ酵素活
性を有するタンパク質)をコードする遺伝子を使用する
ことができる。
を取得する一つの手段は、核酸合成の方法に従って、そ
の鎖長の少なくとも一部を化学合成することであるが、
遺伝子のサイズが大きく数が多いということを考えれ
ば、この化学合成法よりも染色体DNAライブラリーを
作製し、このライブラリーから遺伝子工学の分野で慣用
されている方法、例えば適当なプローブ(たとえば、化
学合成したDNAプローブなど)によるハイブリダイゼ
ーション法、によりこれを取得するほうが早いといえ
る。
03のゲノム情報>Synechocystis sp. strain PCC6803
( 以下 PCC6803) は単細胞性のラン藻で、約3.6 Mb の
環状ゲノムを持っている (金子貴一, 中村保一, 田畑哲
之, ラン藻ゲノムの全構造解明がもたらすもの, 化学と
生物, 34, 786-792, 1996)。1996年の2 月に、光合成生
物としては始めてPCC6803 ゲノムの全塩基配列が決定さ
れ、9 月には、配列データーとコンピューターによる解
析データが公開された (T.Kaneko, S. Sato, H. Kotan
i, A. Tanaka et al., Sequence analysis of thegeno
me of the unicellular cyanobacterium Synechocystis
sp. strain PCC6803. II. Sequence determination of
the entire genome and assignment of potential pro
tein-coding regions. DNA Res. 3, 109-136, 1996)。
現在では、pCC6803 に関するすべてのゲノム情報は、ft
p://ftp.kazusa.or.jp/pub/cyano/cyano.p.aa.z にてア
クセスすることができる。
パク質をコードしうる遺伝子領域 (ORF) が推定され
た。3,166 個のうち、既知の遺伝子と類似性を示したも
のは 1,742個 (全体の55%) であり、そのうち機能が予
測できるものは 1,402個であった。したがって、既知の
遺伝子と類似性を示さない未知の遺伝子は 1,424個とい
うことになる。β- カロチンをβ- クリプトキサンチン
を経てゼアキサンチンに変換するβ- カロチンハイドロ
キシラーゼをコードするORF sll 1468は、この未知の遺
伝子の中から、思いがけず見いだされたものである。
キシラーゼ遺伝子の取得>β- カロチンをβ- クリプト
キサンチンを経てゼアキサンチンに変換するβ-カロチ
ンハイドロキシラーゼをコードするORF sll 1468は、そ
の塩基配列の情報(T. Kaneko, S. Sato, H. Kotani, A.
Tanaka et al., DNA Res. 3, 109-136,1996)に基づい
て、PCR 反応 (林健志 編、実験医学別冊、PCR 法の最
新技術、羊土社) や化学合成法等の方法により取得する
ことができる。たとえば、発明者らは、化学合成した以
下のDNA 配列をプライマーとして用いたPCR 法により、
PCC6803 の染色体DNA 断片からORF sll 1468の配列を単
離した。5'- TCC TCG AGC GTG TGC CAG GAG TCC G -3'5
'- ACT CTA GAG CTA GGG CTT GTC AGA TG -3'ここで得
られたDNA 断片をXhoI/XbaI で消化後、pBluescript II
KS+ (Stratagene) のXhoI-XbaI 部位に挿入し、大腸菌
でPCC6803 のβ- カロチンハイドロキシラーゼ遺伝子を
発現するプラスミドを得た。
キシラーゼを含むプラスミドの作製法、及び各種生物へ
の導入・発現法>次に、前述の単離したORF (本発明の
遺伝子を含む)を用いた各種生物での発現用プラスミド
の作製法、及びこれらのプラスミドの各種生物への導入
・発現法についてさらに詳しく説明する。
の概要について記載したものである。外来遺伝子を含む
プラスミドの作製法、大腸菌等の微生物へのプラスミド
の導入および発現のための手順ないし方法は、本発明に
おいて下記したところ以外のものにおいても、遺伝子工
学の分野により慣用されているものを含み、その手法な
いし方法(たとえば、"Vectors for cloning genes", M
ethods in Enzymology, 216, p. 469-631, 1992, Acade
mic Press 、および、"Other bacterial systems", Met
hods in Enzymology, 204, p.305-636, 1991, Academic
Press 参照)に準じて実施すればよい。組換え微生物
の培養は、導入されたプラスミドが有する薬剤耐性等の
形質に合わせて、薬剤を添加したりすること以外は、も
ともとの微生物の親株の培養に準じて行えばよい(たと
えば、Sambrook, J., Fritsch,E. F., Maniatis, T., "
Molecular cloning -A laboratory manual." Cold Spri
ng Harbor Laboratory Press, 1989、または、財団法人
発行研究所, LIST OFCULTURES 10th Edition, 1996
参照)。
関与する遺伝子 crt E、crt B、crt I、crt Y の導入が
必要となる。大腸菌への外来遺伝子の導入法は、ハナハ
ンの方法、ルビジウム法などすでに確立されたいくつか
の効率的方法があり、それを用いて行えばよい(たとえ
ば、J. Sambrook, E. F. Fritsch, T.Maniatis, "Mol
ecular cloning -A laboratory manual." Cold Spring
HarborLaboratory Press, 1989 参照)。大腸菌での外
来遺伝子の発現は常法に従って行えばよいが(たとえ
ば、前述の "Molecular cloning -A laboratory manua
l."参照)、たとえば、pUC 系やpBluescript 系等のlac
のプロモーター等を有する大腸菌用ベクターを用いて
行うことができる。発明者等は、lac のプロモーターを
有する大腸菌用ベクターpBluescript II KS+ (Stratage
ne) を用いて、lac のプロモーターの転写およびlacZ
の翻訳のリードスルーを受ける用に PCC6803のORF sll
1468 遺伝子(本発明の遺伝子を含む)および4種の上
記β‐カロチン合成遺伝子)を挿入し、この遺伝子を大
腸菌で発現させればよい。なお、本発明遺伝子を含む上
記5種の遺伝子を連結する際のそれらの結合順位は特に
限定されない。
種の crt遺伝子の導入が必要となる。エタノール生産細
菌 Zymomonas mobilis への外来遺伝子の導入法は、グ
ラム陰性菌に共通な接合伝達法により行うことができ、
Zymomonas mobi lis での外来遺伝子の発現は、たとえば
Zymomonas mobilis 用ベクターpZA22を用いて行うこと
ができる(中村克己、「Zymomonas 細菌の分子育種」、
日本農芸化学会誌, 63, p.1016-1018, 1989 、および、
N. Misawa, S. Yamano, H. Ikenaga, Production of β
-carotene in Zymomonas mobilis and Agrobacterium t
umefaciens by introduction of the biosynthesis gen
es from Erwinia uredovora. Appl. Environ. Microbio
l., 57, 1847-1849, 1991参照)。
の導入が必要となる。酵母Saccharomyces cerevisiae
への外来遺伝子の導入法は、リチウム法などすでに確立
された方法があり、それを用いて行えばよい(たとえ
ば、秋山裕一監修バイオインダストリー協会編集、「酵
母のニューバイオテクノロジー」医学出版センター刊参
照)。酵母での外来遺伝子の発現は、PGK や GPD (GAP)
等のプロモーターおよびターミネーターを用いて、外
来遺伝子(本発明遺伝子および4種の crt遺伝子)をこ
のプロモーターとターミネーターの間に転写のリードス
ルーを受けるように挿入した発現カセットを構築し、こ
の発現カセットを、 S. cere visiae のベクター、たと
えば、YRp 系(酵母染色体のARS 配列を複製起点とする
酵母用マルチコピーベクター)、YEp 系(酵母の2μm
DNA の複製起点を持つ酵母用マルチコピーベクター)、
YIp 系(酵母の複製起点を持たない酵母染色体組込み用
ベクター)等のベクターに挿入することにより行うこと
ができる(前述の「酵母のニューバイオテクノロジー」
医学出版センター刊、日本農芸化学会ABC シリーズ「物
質生産のための遺伝子工学」朝倉書店刊、および、S. Y
amano, T. Ishii, M. Nakagawa, H. Ikenaga, N. Misaw
a, Metabolic engineering for production of β-car
otene and lycopene in Saccharomyces cerevisiae. B
iosci. Biotech. Biochem., 58, 1112-1114, 1994 参
照)。
入法については、すでに本発明者らにより開示された方
法(近藤、三沢、梶原、特開平8-173170号公報)に従っ
て実施できる。具体的にはシクロヘキシミド耐性遺伝
子、G418耐性遺伝子、あるいはハイグロマイシン耐性遺
伝子などの薬剤耐性マーカー遺伝子を含んだプラスミド
を直鎖状にした後、電気パルス法もしくはリチウム法に
よって、染色体上に組み込むことができる。外来遺伝子
(本発明遺伝子および4種の crt遺伝子)の発現には同
公報に記載されたGAP, PGK, PMA などのプロモーターを
使用することができる。
(本発明遺伝子および4種の crt遺伝子)の導入法につ
いては、Van Ooyen らにより、開示された方法(Van Oo
yen etal., Transformation of Phaffia rhodozyma,WO9
4/06918, 1994)により、G418耐性遺伝子などの選択マ
ーカー遺伝子を含むプラスミドをリチウム法などによっ
て染色体上に組み込むことができる。
製法 培養物からのβ‐クリプトキサンチン、ゼアキサンチン
等のカロチノイドの単離・精製は、微生物代謝生産物を
その培養物から単離精製するために常用される方法に従
っておこなわれる。例えば、培養物をろ過や遠心分離に
より培養ろ液と菌体に分け、菌体を有機溶剤(たとえ
ば、アセトン、メタノール、クロロホルムおよびこれら
の2種以上の混合物など)で抽出する。ついで抽出液を
濃縮後、シリカゲル、化学結合型シリカゲル (ODS ゲル
等) 、ゲルろ過剤などを用いた液体クロマトグラフィ−
により精製する。得られたカロチノイドは、着色料、栄
養価改善として食用や飼料用に、あるいは試薬用などに
用いられる。
発明遺伝子のみを導入すればよい。前述のPCC6803 の本
発明β- カロチンハイドロキシラーゼ遺伝子 (ORF sll
1468) を含むプラスミドを作製し、これをトマト、ニン
ジン、トウモロコシ、カンキツ類、タバコなどの適切な
植物に導入し、発現させることにより、ゼアキサンチン
やβ- クリプトキサンチンおよびこれらのカロテノイド
代謝物を得たり、増やしたりすることができる。微生物
の場合は形質転換体で生成したカロチノイドを単離する
ことが主目的である。植物体ではむしろ、果実や花にお
けるカロチノイド含量を増やしたり、カロチノイドの種
類を変化させることにより、栄養価を高めたりカロチノ
イド色を増大させることを主目的とする。
法の概要について記載したものである。外来遺伝子を含
むプラスミドの作製法、植物(細胞)へのプラスミドの
導入および発現(植物体)のための手順ないし方法は、
本発明において下記したところ以外のものにおいても、
植物の遺伝子工学の分野により慣用されているものを含
み、その手法ないし方法(たとえば、石田功, 三沢典
彦, 細胞工学実験操作入門, 講談社, 1992 参照)に準
じて実施すればよい。
細菌Agrobacterium tumefaciensを介する方法、エレク
トロポレーション法、パーティクルガンを用いる方法等
が知られている。導入したい植物の種類に応じてこれら
の方法を使い分けることができるが、現在では、Agroba
cterium tumefaciens を介する方法が最も多用されてい
る。プロモーターは、全身高発現プロモーターであるカ
リフラワーモザイクウイルス (CaMV) の35S プロモータ
ーを始めとして、種々の器官特異的に発現するものも使
うことができる。CaMV 35S プロモーターを含んだバイ
ナリーベクターpBI121 は Clontech 社より入手でき、
Agrobacterium tumefaciens を介するためのベクターと
して、広く使われているものである。Erwinia のcrtI
などの細菌のカロテノイド生合成遺伝子は、pBI121 を
ベクターとして用いることにより、タバコやトマト等の
植物に導入でき、これらの遺伝子がタバコの葉やトマト
の実などで発現し、機能することがすでに示されている
(三沢典彦, カロテノイド生合成阻害剤抵抗性植物の作
出, 植物の化学調節, 31, 143-149, 1996)。なお、この
際、植物細胞質内で合成されたCrt タンパク質を、カロ
テノイド生産の場である葉緑体や色素体などのプラスチ
ドに移行させるのに、トランジットペプチド配列 (例え
ばRubisco の小サブユニットのトランジットペプチド配
列) をcrt遺伝子(ここでは本発明遺伝子)の開始コド
ンの直前に付与する必要がある (三沢典彦, カロテノイ
ド生合成阻害剤抵抗性植物の作出, 植物の化学調節, 3
1, 143-149, 1996)。
だ大腸菌は、下記のように工業技術院生命工学工業技術
研究所にFERM BP−2377として寄託されてお
り、配列番号2に関する遺伝子を組み込んだ大腸菌はB
P−4505として寄託されている。 (1) Escherichia coli JM109(pCAR1) 受託番号:FERM BP-2377 受託年月日:平成元年4月11日 (2) Escherichia coli JM101(pAccrt-EIB,pAK92) 受託番号:FERM BP-4505 受託年月日:平成5年12月20日 菌株(1)は、Erwinia uredovora の crtE(zexA)、crt
B(zexE)、crtI(zexD)、crtY(zexC)等の遺伝子を含んで
おり、菌株(2)は、Agrobacterium aurantia cum の c
rtY 等の遺伝子を含んでいる。
明はこれに限定されるものではないことは言うまでもな
い。 〔実施例1〕 プラスミドの作製 植物常在 (epiphytic) 細菌Erwinia uredovora のcrt
E, crtB, crtI, crtY遺伝子を有するプラスミドpACCAR1
6ΔcrtXは大腸菌にβ- カロチンを合成する能力を与え
ることができる (N. Misawa et al., Structure and fu
nctional analysis of a marine bacterial carotenoid
biosynthesis gene cluster and astaxanthin biosynt
hetic pathway proposed at the gene level. J. Bacte
riol., 177, 6575-6584, 1995) 。このプラスミドは、
マーカー遺伝子としてクロラムフェニコール耐性遺伝子
を有しており、よく使われているpBluescript やpUC 等
の大腸菌ベクターと1つの細胞内で共存可能である。
PCC6803 ゲノムのコスミドライブラリーの内 ORF sll 1
468 ( 後にβ- カロチンハイドロキシラーゼ遺伝子, bh
y と同定された) を含むコスミドクローン cs 0827 (T.
Kaneko et al., DNA Res. 3, 109-136, 1996 ) を鋳型
として用いて、以下の1本鎖DNA をプライマーとしてPC
R 反応を行った。 5'- TCC TCG AGC GTG TGC CAG GAG TCC G -3' 5'- ACT CTA GAG CTA GGG CTT GTC AGA TG -3'
限酵素XhoI/XbaI で消化後、pBluescript II KS+ (ア
ンピシリン耐性, Stratagene社) のXhoI-XbaI 部位に挿
入することによりプラスミドpBS-bhy を得た。塩基配列
の分析等により、pBS-bhy は目的とするORF sll 1468
を含んでいることを確認した。なお、このプラスミドで
は、ORF sll 1468 は、ベクターpBluescript II KS+
のlac プロモーターの転写のリードスルーを受けるだけ
でなく、pBluescript II KS+ のlacZ の翻訳のリード
スルーを受けること、すなわち、LacZの最初のN 末領域
と融合タンパク質ができるようにデザインされている。
ロテノイドの同定 2つのプラスミドpACCAR16ΔcrtXおよびpBS-bhy を有す
る大腸菌を、150 μg/ml のアンピシリン、30 μg/ml
のクロラムフェニコール、0.1 mMのイソプロピル- 1
- チオ- β-D- ガラクトピラノシド (IPTG) を含むLB培
地 (1 % トリプトン、0.5 % 酵母エキス、1 % NaC
l) で30℃で24時間、定常期まで培養を行った。集菌
後、菌体からカロチノイド色素をアセトンで抽出し、乾
固した後、クロロフォルム−メタノール (9:1) で再抽
出を行った。乾固後、色素を少量のメタノール、2-プロ
パノールまたはアセトンに溶かした後、高速液体クロマ
トグラフィー (HPLC) または薄層クロマトグラフィー
(TLC) のサンプルとした。HPLCは、Nova-pak HR 6 μ
カラム (300 x 3.9 mm, Waters) を用い、1 ml/minの
速度で、アセトニトリル−メタノール−2-プロパノール
(90:6:4) で展開を行った。TLC は、シリカゲル (60F2
54) を用い、クロロフォルム−メタノール (15:1) で展
開を行った。β- カロチン (all-trans 型) はSigma 社
から購入したものを標品として用いた。さらに、ゼアキ
サンチン (all-trans 型) 、β- クリプトキサンチン
(all-trans 型) 、カンタキサンチン (all-trans 型)
、エキネノン (all-trans 型)は、開示された方法 (N.
Misawa et al., J. Bacteriol., 177, 6575-6584, 199
5) に従って、Erwinia 、またはErwinia と海洋細菌のc
rt 遺伝子を有する組換え大腸菌から精製を行った。
腸菌から抽出されたカロチノイド色素は、上記の条件で
HPLCおよびTLC 分析した結果、ゼアキサンチン (all-tr
ans型) (全体の65%) 、β-クリプトキサンチン (all-t
rans 型) ( 全体の5 %)、β- カロチン (all-trans
型) ( 全体の24%) の混合物であると同定された。な
お、β- カロチンにケト基が導入されたカロチノイドで
あるカンタキサンチン やエキネノンは全く見いだされ
なかった。したがって、プラスミドpBS-bhyに含まれるO
RF sll 1468 は、β- カロチンを基質として、β- カ
ロチンの3 位に水酸基が導入されたカロチノイドである
β- クリプトキサンチンを経て、さらに、β- クリプト
キサンチンの3'位に水酸基が導入されたカロチノイドで
あるゼアキサンチンを合成する酵素β- カロチンハイド
ロキシラーゼ (β-carotene hydroxylase) をコードす
る遺伝子であることがわかった。すなわち、ORF sll 14
68 は、β- イオノン環の 3位 (3'位) に水酸基を導入
する酵素をコードする遺伝子であることがわかる。
た。なぜなら、β- カロチンハイドロキシラーゼをコー
ドする遺伝子 (crtZ またはbhy) は、植物常在細菌Er
winia、Flavobacterium 属細菌、海洋細菌Agrobacteri
um aurantiacum, Alcaligenessp. strain PC-1 、植物
シロイヌナズナ (Arabidopsis thaliana) からすでに取
得されているが (N. Misawa, et. al., J. Bacteriol.,
177, 6575-6584, 1995、および、Z. Sun, et. al., J.
Biol. Chem., 271, 24349-24352, 1996 、および、L.
Pasamontes, et al., Gene, 185, 35-41, 1997)、これ
らのβ- カロチンハイドロキシラーゼは、種を超えて、
アミノ酸配列レベルでよく保存されていることがわかっ
ていた。たとえば、Erwinia と海洋細菌のCrtZは53-56
%の同一のアミノ酸配列を有しており、これらの細菌と
植物Arabidopsis のβ- カロチンハイドロキシラーゼ
は、31-37 %の同一のアミノ酸配列を有していた。一
方、ラン藻 PCC6803 のβ- カロチンハイドロキシラー
ゼ遺伝子と同定されたORF sll1468がコードするタンパ
ク質は、上記の種々のβ- カロチンハイドロキシラーゼ
とはアミノ酸レベルで相同性を有していなかった。むし
ろ、PCC6803 のORF sll1468がコードするタンパク質
は、海洋細菌Agrobacterium aurantiacum やAlcal igen
es sp. strain PC-1 のCrtW や緑藻Haematococcus pl
uvialis のBKT といったβ- カロチンケトラーゼ (β-
carotene ketolase) (S. Kajiwara, T. Kakizono, T.
Saito, K. Kondo, T. Ohtani, N. Nishio, S. Nagai,
N. Misawa, Isolation and functional identification
of a novel cDNA for astaxanthin biosynthesis from
Haematococcus pluvialis, and astaxanthin synthesi
s in E scherichia coli. Plant Mol. Biol., 29, 343-
352, 1995) とアミノ酸配列レベルで意義深い相同性を
有していた。そこで、発明者らは、ORF sll 1468は、β
- カロチンの4 位にケト基が導入されたエキネノンを経
てエキネノンの3'位に水酸基が導入されたカロチノイド
であるカンタキサンチンを合成する酵素でβ- カロチン
ケトラーゼをコードする遺伝子であろうと考え、β- カ
ロチンを合成できる大腸菌を宿主として用いて、上記の
実験を行ったのである。その結果、予想に反して思いが
けず、ORF sll 1468は、β- カロチンケトラーゼではな
くβ- カロチンハイドロキシラーゼをコードする遺伝子
であることを発見したのであった。
(遺伝子名) 配列 GTG TGC CAG GAG TCC GTC ATA GTA ATG CAG GCG ACC CAA CCG CTG CAA 48 Met Cys Gln Glu Ser Val Ile Val Met Gln Ala Thr Gln Pro Leu Gln 1 5 10 15 ACC GTT TCC CAA GCT GTC CCA AAA GAG TTT TTA CAG GCG GAC GGC GGC 96 Thr Val Ser Gln Ala Val Pro Lys Glu Phe Leu Gln Ala Asp Gly Gly 20 25 30 TTC AAT CCC AAC GTG GCC ATG TTC GGG ATA GCT ATT CTC TTA ATG CTC 144 Phe Asn Pro Asn Val Ala Met Phe Gly Ile Ala Ile Leu Leu Met Leu 35 40 45 GCT AAC GTT TTT GGC TAC TGG CAA TGG GGG CTG CCC CAC TGG CTT TGT 192 Ala Asn Val Phe Gly Tyr Trp Gln Trp Gly Leu Pro His Trp Leu Cys 50 55 60 TTT AGT TGT TCG GTG CTG GCG CTG CAC CTG TCA GGC ACA GTG ATC CAT 240 Phe Ser Cys Ser Val Leu Ala Leu His Leu Ser Gly Thr Val Ile His 65 70 75 80 GAT GCA TCC CAC AAT GCG GCC CAT CGG AAC ACC ATT ATT AAT GCA GTG 288 Asp Ala Ser His Asn Ala Ala His Arg Asn Thr Ile Ile Asn Ala Val 85 90 95 CTT GGC CAC GGT AGT GCC TTA ATG TTG GGC TTT GCT TTT CCC GTC TTT 336 Leu Gly His Gly Ser Ala Leu Met Leu Gly Phe Ala Phe Pro Val Phe 100 105 110 ACC CGG GTT CAT CTC CAA CAC CAC GCC AAC GTC AAT GAC CCT GAA AAT 384 Thr Arg Val His Leu Gln His His Ala Asn Val Asn Asp Pro Glu Asn 115 120 125 GAC CCA GAC CAT TTT GTT TCC ACC GGC GGT CCC CTC TTC CTC ATT GCC 432 Asp Pro Asp His Phe Val Ser Thr Gly Gly Pro Leu Phe Leu Ile Ala 130 135 140 GCC CGG TTC TTC TAC CAT GAG ATC TTT TTC TTT AAA CGG CGG TTA TGG 480 Ala Arg Phe Phe Tyr His Glu Ile Phe Phe Phe Lys Arg Arg Leu Trp 145 150 155 160 CGC AAA TAT GAG CTA CTA GAG TGG TTC TTA AGT CGG CTT GTG TTG TTC 528 Arg Lys Tyr Glu Leu Leu Glu Trp Phe Leu Ser Arg Leu Val Leu Phe 165 170 175 ACG ATC GTT TTT CTC GGC ATT CAT TAC GGC TTT ATC GGC TTT GTG ATG 576 Thr Ile Val Phe Leu Gly Ile His Tyr Gly Phe Ile Gly Phe Val Met 180 185 190 AAT TAC TGG TTT GTG CCT GCT TTA ATT GTT GGC ATT GCC CTG GGA CTG 624 Asn Tyr Trp Phe Val Pro Ala Leu Ile Val Gly Ile Ala Leu Gly Leu 195 200 205 TTT TTT GAT TAC CTG CCC CAT CGA CCT TTC CAA GAA CGC AAC CGT TGG 672 Phe Phe Asp Tyr Leu Pro His Arg Pro Phe Gln Glu Arg Asn Arg Trp 210 215 220 AAA AAT GCC AGG GTT TAT CCC AGC CCC ATT TTA AAT TGG CTC ATT TTC 720 Lys Asn Ala Arg Val Tyr Pro Ser Pro Ile Leu Asn Trp Leu Ile Phe 225 230 235 240 GGG CAA AAT TAC CAC CTG ATC CAC CAC CTT TGG CCT TCT ATT CCT TGG 768 Gly Gln Asn Tyr His Leu Ile His His Leu Trp Pro Ser Ile Pro Trp 245 250 255 TAT CAG TAC CAA AAC ACC TAT CAC ATC ACC AAG CCC ATT TTG GAT GAG 816 Tyr Gln Tyr Gln Asn Thr Tyr His Ile Thr Lys Pro Ile Leu Asp Glu 260 265 270 AAG GGT TGT GAT CAA TCC CTG GGA TTA CTG GAA GGG AAA AAT TTC TGG 864 Lys Gly Cys Asp Gln Ser Leu Gly Leu Leu Glu Gly Lys Asn Phe Trp 275 280 285 AGC TTC CTC TAT GAT GTT TTC CTT GGT ATT CGT TTT CAC GGC CAT AAT 912 Ser Phe Leu Tyr Asp Val Phe Leu Gly Ile Arg Phe His Gly His Asn 290 295 300 AAT TCT CAA TCA TCT GAC AAG CCC TAG 939 Asn Ser Gln Ser Ser Asp Lys Pro*** 305
のβ‐カロチンハイドロキシラーゼと同様の活性を持ち
ながら、これらのβ‐カロチンハイドロキシラーゼとア
ミノ酸配列レベルで相同性を有さない酵素をコードする
ものであり、むしろβ‐カロチンケトラーゼとアミノ酸
レベルで意義深い相同性を有していたことからすれば全
く思いがけない配列と機能の関係を有するといえる。本
発明により、β- カロチンを多く蓄積している微生物や
植物に、本発明によるβ- カロチンハイドロキシラーゼ
遺伝子を導入して、あるいはβ‐カロチンを産生しない
微生物や植物に本発明遺伝子をβ‐カロチン生合成に関
与する遺伝子と共に導入して、ゼアキサンチンやβ- ク
リプトキサンチンなどのキサントフィルに変換すること
ができる。また、もともと従来型のβ- カロチンハイド
ロキシラーゼ遺伝子を有している微生物や植物に、本発
明によるβ- カロチンハイドロキシラーゼ遺伝子を導入
しても、相同組み換えやco-suppression 等の問題を気
にすることなく、これらの微生物や植物においてβ- カ
ロチンハイドロキシラーゼ活性を付与または増大させる
ことができ、その結果として、ゼアキサンチンやβ- ク
リプトキサンチン等のキサントフィルおよびこれらのキ
サントフィルの代謝物の生産量を増やすことができる。
Claims (7)
- 【請求項1】配列番号1で示されるアミノ酸配列、また
は該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が
置換、欠失、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を有
し、かつβ‐イオノン環の3位(および/または3′
位)に水酸基を導入する酵素活性を有するポリペプチド
をコードする遺伝子。 - 【請求項2】配列番号1で示されるアミノ酸配列、また
は該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が
置換、欠失、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を有
するポリペプチドをコードする遺伝子を宿主に導入して
これを発現させ、宿主中のβ- イオノン環を有する化合
物における該環の3位(および/または3′位)に水酸基
を導入することを特徴とする、キサントフィルの発現も
しくは製造方法。 - 【請求項3】配列番号1で示されるアミノ酸配列、また
は該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が
置換、欠失、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を有
するポリペプチドをコードする遺伝子を宿主に導入して
これを発現させ、宿主中のβ- カロチンをβ- クリプト
キサンチンまたはこれを経てゼアキサンチンに変換する
ことを特徴とする、請求項2記載のキサントフィルの発
現もしくは製造方法。 - 【請求項4】宿主がβ‐カロチンを産生している植物ま
たは微生物である、請求項2または3記載の方法。 - 【請求項5】植物または微生物がトマト、ニンジン、ト
ウモロコシ、カンキツ類、タバコ、またはPhaffi
a属酵母である、請求項4記載の方法。 - 【請求項6】宿主がβ‐カロチンを産生しない微生物で
あり、β‐カロチンの産生に関与する遺伝子を該宿主に
更に導入する請求項2または3記載の方法。 - 【請求項7】β‐カロチンを産生しない微生物が大腸
菌、Zymomonas属細菌、Saccharomy
ces属酵母、またはCandida属酵母である、請
求項6記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21364897A JP3874897B2 (ja) | 1997-08-07 | 1997-08-07 | β−カロチンハイドロキシラーゼ遺伝子およびその使用 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21364897A JP3874897B2 (ja) | 1997-08-07 | 1997-08-07 | β−カロチンハイドロキシラーゼ遺伝子およびその使用 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1146770A true JPH1146770A (ja) | 1999-02-23 |
JP3874897B2 JP3874897B2 (ja) | 2007-01-31 |
Family
ID=16642647
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21364897A Expired - Fee Related JP3874897B2 (ja) | 1997-08-07 | 1997-08-07 | β−カロチンハイドロキシラーゼ遺伝子およびその使用 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3874897B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000061764A1 (de) * | 1999-04-09 | 2000-10-19 | Basf Aktiengesellschaft | Carotinhydroxylase und verfahren zur herstellung von xanthophyllderivaten |
KR100620510B1 (ko) * | 2004-03-11 | 2006-09-12 | 숙명여자대학교산학협력단 | 뿌리혹 형성과정에서 항산화 기능을 수행하는 신규한 대두베타-카로틴 히드록실라아제 |
US8148431B2 (en) | 2002-10-25 | 2012-04-03 | Kemin Health, L.C. | Osteogenesis promoter containing β-cryptoxanthin as the active ingredient |
WO2015132411A3 (en) * | 2014-03-07 | 2015-10-29 | Evolva Sa | Methods for recombinant production of saffron compounds |
-
1997
- 1997-08-07 JP JP21364897A patent/JP3874897B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000061764A1 (de) * | 1999-04-09 | 2000-10-19 | Basf Aktiengesellschaft | Carotinhydroxylase und verfahren zur herstellung von xanthophyllderivaten |
US8148431B2 (en) | 2002-10-25 | 2012-04-03 | Kemin Health, L.C. | Osteogenesis promoter containing β-cryptoxanthin as the active ingredient |
KR100620510B1 (ko) * | 2004-03-11 | 2006-09-12 | 숙명여자대학교산학협력단 | 뿌리혹 형성과정에서 항산화 기능을 수행하는 신규한 대두베타-카로틴 히드록실라아제 |
WO2015132411A3 (en) * | 2014-03-07 | 2015-10-29 | Evolva Sa | Methods for recombinant production of saffron compounds |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3874897B2 (ja) | 2007-01-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Kajiwara et al. | Isolation and functional identification of a novel cDNA for astaxanthin biosynthesis from Haematococcus pluvialis, and astaxanthin synthesis in Escherichia coli | |
Misawa et al. | Structure and functional analysis of a marine bacterial carotenoid biosynthesis gene cluster and astaxanthin biosynthetic pathway proposed at the gene level | |
Cunningham Jr et al. | A study in scarlet: enzymes of ketocarotenoid biosynthesis in the flowers of Adonis aestivalis | |
Armstrong | Eubacteria show their true colors: genetics of carotenoid pigment biosynthesis from microbes to plants | |
Armstrong et al. | Genetics and molecular biology of carotenoid pigment biosynthesis | |
US5744341A (en) | Genes of carotenoid biosynthesis and metabolism and a system for screening for such genes | |
Schmidt-Dannert | Engineering novel carotenoids in microorganisms | |
Sandmann | Carotenoid biosynthesis in microorganisms and plants | |
León et al. | Metabolic engineering of ketocarotenoids biosynthesis in the unicelullar microalga Chlamydomonas reinhardtii | |
EP0725137B2 (en) | Keto group introducing enzyme, dna coding for the same, and process for producing ketocarotenoid | |
Masamoto et al. | rβCarotene hydroxylase gene from the Cyanobacterium Synechocystis sp. PCC6803 | |
Sieiro et al. | Genetic basis of microbial carotenogenesis | |
Misawa et al. | Expression of a tomato cDNA coding for phytoene synthase in Escherichia coli, phytoene formation in vivo and in vitro, and functional analysis of the various truncated gene products | |
EP0769551B1 (en) | Dna strand useful in increasing carotenoid yield | |
Lee et al. | Cloning and characterization of the astaxanthin biosynthesis gene cluster from the marine bacterium Paracoccus haeundaensis | |
US7256014B2 (en) | Method to increase hydrophobic compound titer in a recombinant microorganism | |
US7393671B2 (en) | Mutant carotenoid ketolases | |
EP1693377B1 (en) | Novel carotenoid hydroxylase gene, process for producing hydroxylated carotenoid, and novel geranylgeranyl pyrophosphate synthase gene | |
US5910433A (en) | Keto group-introducing enzyme, DNA coding therefor and method for producing ketocarotenoids | |
US8373023B2 (en) | Biochemical route to astaxanthin | |
JP3874897B2 (ja) | β−カロチンハイドロキシラーゼ遺伝子およびその使用 | |
WO2003016503A2 (en) | Genes encoding carotenoid compounds | |
US7422873B2 (en) | Mutant carotenoid ketolase | |
Ausich | Production of carotenoids by recombinant DNA technology | |
WO2019016384A1 (en) | NEW ENZYME |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040806 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060630 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060829 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060929 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061025 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091102 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101102 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111102 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121102 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131102 Year of fee payment: 7 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |