JPH11351749A - 堅型シャフトキュポラ・高炉・溶融炉法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】金属アルミニウムやアルミ灰の発熱を堅型シャ
フトキュポラ・高炉・溶融炉の燃料であるコークスの代
替えとして、またその発熱を鉄や非っ鉄の金属ダスト・
屑の還元製錬反応の迅速化に利用させること。 【解決手段】金属アルミニウムやアルミ灰を炉の燃料で
あるコークスと混合して、鉄鉱石や金属原料とレア・バ
イ・レアに多層状に炉に装入し炉内で金属アルミニウム
やアルミ灰を高温に発熱させて、コークスの代替燃料と
するとともに金属原料の反応を迅速化せしめる方法。ま
た金属アルミニウムやガス灰を金属原料と混合して団鉱
して装入する方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コークスとアルミ
灰または金属アルミニウムの燃焼発熱によって鉄鉱石、
各種金属屑類、ダスト類あるいは各種金属成分含有廃棄
物類を溶融して銑鉄や金属合金を取り出す堅型シャフト
キュポラ・高炉・溶融炉法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来製鉄用の高炉溶融炉としては、図１
の示すように、耐火性レンガを敷きつめた炉床１を形成
し、その上部部は溶解した銑鉄が集まるように熔銑床２
を設けその上部には鉱滓を分離する鉱滓床３を設けてあ
り、それらを囲んで耐火性レンガで形成した炉腹４を設
け、その上部には一体として耐火性レンガを積み上げて
シャフト５を形成し、これらの周囲は鉄板６で包囲され
保護されている。炉壁には温風を送り込む羽口７が数十
ヵ所開いており、炉内ではレースウエイ８を通して完全
に熱が行き渡るように形成されている。ここから吹き込
まれた高熱の熱風は、多段層９Ａになった鉄鉱石原料と
コークス（例えば２５層ずつ）の間を通り燃焼ガスとな
り鉄鉱石を還元させ、溶解して銑鉄を下に落として取り
出すとともに、ガスは炉頂１０から高炉ガス上昇管１１
に集められる。また、鉱滓も系外に取り出す構造になっ
ている。鉄鉱石、コークス、石灰石などの原料９の装入
はベルトコンベア１２で上部の炉頂１０に運ばれホッパ
ー１３に投入され、外部の信号により大ベル１４によ
り、一定周期で常に原料装入表面１５まで補給されてい
く。炉内温度は、下部ほど高く、最高域では約２０００
℃の高温になっている。１６は高炉支柱、１７は熱風
管、１８はガス灰ダスト沈降装置、１９は出銑口２０は
そこから出た銑鉄を運ぶトーピードカー、２１は鉱滓の
出口、２２は鉱滓車、２３は熱風環状管である。

【０００３】金属屑類やそのダスト類の溶融製錬は電気
炉や高周波炉などで行われている。

【０００４】金属成分含有廃棄物類からの金属分の回収
は、適切な前処理を施して後に還元雰囲気下での電気炉
や高周波炉による溶融製錬、または化学的な抽出分離方
法で行われている。

【０００５】一般の高炉溶融炉ではシャフト内部に鉄鉱
石とコークスの多段層が詰まっており、羽口より供給さ
れた空気はレースウエイの所でコークスを燃焼させて約
２０００℃の高温の一酸化炭素と炭酸ガスとの混合ガス
となり、これにより鉄鉱石を溶融還元させる。炉の下部
から溶融物として銑鉄や金属溶融物を取り出す。高炉の
中で、アルミ灰を混合して用いて鉄鉱石や金属屑から溶
融して銑鉄や金属を取り出すことを目的とする。

【０００６】以上のような技術は広く検討されている
が、鉄鉱石とコークスを使う一般の高炉溶融法を除い
て、経済性に優れた効率的な方法とはなって居らず、金
属屑やそのダスト類、金属成分含有廃棄物類の溶融回収
法としては普及していない。発明者らは、高いコストを
負担しながら処理している金属屑やそのダスト類あるい
は金属成分含有廃棄物類の有効な再資源化技術の検討過
程において、コークスとアルミ灰中に含まれる金属アル
ミニウムの燃焼を利用することにより、低コストで効率
的な金属分の回収の図れることを見いだした。本発明に
よる方法は、鉄鉱石や金属塊などの製錬原料の他、屑や
ダスト類あるいは金属成分含有廃棄物にも適用すること
が出来る。

【０００７】金属屑の電気などの製錬では電気代のラン
ニングコストが高く、またこれらの諸経費も高価である
という問題を解決するものである。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の知見に
基づいてなされたものである。一般の高炉溶融炉ではシ
ャフト内部に鉄鉱石とコークスの多段層が詰まってお
り、羽口より供給された空気はレースウエイの所でコー
クスを燃焼させて約２０００℃の高温の一酸化炭素と炭
酸ガスとの混合ガスとなり、これにより鉄鉱石や金属屑
などを溶融還元させ、炉の下部から溶融物として銑鉄や
金属溶融物を取り出す。

【０００９】本発明では、高炉の中でアルミ灰または金
属アルミニウムを混合して用いることにより、鉄鉱石、
金属屑類やそのダスト類あるいは金属成分含有廃棄物類
から銑鉄や金属合金と取り出すことを目的とする。コー
クスとアルミ灰中に含まれる金属アルミニウム分または
金属アルミニウムの燃焼を利用するので、容易に高温を
得ることが出来、エネルギー効率がよく、電気炉などに
よる製錬の電気代のランニングコストや諸経費が高価で
あるという問題を解決して、安価に金属製錬や金属回収
が図れる特徴を持つ。

【００１０】コークスの燃焼による還元性とアルミ灰中
の金属アルミニウム分または金属アルミニウムが燃焼す
ることによる還元能力を利用するので、種々の化合物形
態で存在する原料からも金属成分を還元溶融して取り出
すことが出来る特徴を持つ。

【００１１】よって、本発明は、有用資源の消費を抑制
し、屑やダスト類の安かな再資源化法を提供し金属成分
含有廃棄物類の処理法と金属分の回収法を提供する。よ
って廃棄処理や高温処理などに伴う環境負荷の低減を図
りつつ、有価資源を回収することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決しようとする手段】上記目的を解決するた
めに、炉下部に設けた羽口より上方部に鉄鉱石などの製
錬原料とコークスおよびアルミ灰または金属アルミニウ
ムとからなる層を形成し、コークスとアルミ灰または金
属アルミニウムの発熱によって鉄鉱石、金属屑または金
属成分含有廃棄物などの原料を溶融し、銑鉄または金属
合金を取り出すことを第一の特徴とする。

【００１３】製錬原料として鉄鉱石などの金属鉱石類、
普通鋼、ステンレス鋼、特殊鋼などの屑類、モリブデ
ン、ニッケル、コバルト、鋼、アルミニウムなどの非鉄
金属類、これら金属材料の製造工程から発生した金属成
分含有ダスト・スケール類、あるいはめっきスラッジ、
廃触媒、赤泥などの金属成分含有廃棄物類などの一つま
たは複数を用いることを第二の特徴とする。

【００１４】また、金属アルミニウム分を１重量％以上
含有するアルミ灰またはこれに相当する量の金属アルミ
ニウムを用いることを第三の特徴とする。

【００１５】本発明において装入される金属屑やそのダ
スト類は、溶解工程、加工工程、熱処理工程などで発生
した金属塊やスケール類など、あるいは廃棄・回収され
た金属屑やスケール類など金属成分を含有するものであ
れば良い。また、表面処理液や各種触媒類として使用さ
れた残滓として排出する金属成分またはその化合物を含
有したものであればよい。

【００１６】本発明において使用されるアルミ灰は、金
属アルミニウム分を１重量％以上含むものであれば良
い。１重量％未満の場合には燃焼による熱効率と還元能
力が不足するので望ましくない。アルミ灰の代わりに、
アルミ灰を使用した場合に相当する量の金属アルミニウ
ムを利用することもできる。アルミ灰と金属アルミニウ
ムの混合によって含有量を調整することもできる。この
金属アルミニウムは炉内において燃焼反応を起こすよう
な組成と形態を持っておればよい。アルミ灰とは、アル
ミニウムおよびその合金の溶解時に生成する鉱滓で、含
まれるメタル分を回収したあとは廃棄物として扱われ
る。溶解時に生成したもの、種々工程を経たもの、破棄
されるものおよびこれらの混合物のいずれであっても、
上記条件を満足すれば使用することが出来る。

【００１７】上記目的を解決するために、炉下部に設け
た羽口より上方部に鉄鉱石原料やステンレス、モリブデ
ン、ニッケル、コバルトなどの金属屑の少なくとも１ま
たは複数とコークス、アルミ灰との層を形成しコークス
とアルミ灰の発熱によって鉄鉱石またはこれらの金属屑
の原料を溶融して銑鉄または金属合金を取り出す。

【００１８】

【発明の実施の形態】堅型シャフトキュポラ・高炉・溶
融炉に鉄鉱石などの製錬原料、金属屑、ダスト類、金属
成分含有廃棄物類などの１または複数と、コークスおよ
びアルミ灰または金属アルミニウムを混合して装入し、
コークスとアルミ灰または金属アルミニウムの燃焼反応
を利用して金属分を還元溶融させて取り出す。装入原料
は効率的な還元溶融が為されるように原料種、混合比、
前処理などの選択が為されればよい。

【００１９】

【実施例】本発明の実施の形態を実施例にもとづき図面
を参照して説明する。図１における一般の高炉を用いて
原料層として鉄鉱石または金属屑の一種または混合の層
と、コークスまたはアルミ灰の層または混合層を用いて
多段に積み重ねて層状とし発熱反応を起こし、溶融させ
て取り出す。アルミ灰とは、アルミ製錬で発生する不良
品で、悪いものでは金属アルミニウムが５％、良質のも
のでは３５％含まれ、その他は酸化アルミニウムＡＬ_２
Ｏ_３である。

【００２０】また他実施例として、図２のごとき、高炉
内部に空槽を設けた構造、即ち、炉床１は耐火性レンガ
を載置して形成され、その上部には溶融された銑鉄の溜
まる溶銑床２と鉱滓床３が形成されその上部に炉腹４が
あり、炉腹４の上部には耐火性レンガを積み上げた構造
のシャフト５があり、この高炉全体を鉄板６などで囲ん
で強化保護している。鉄鉱石または金属屑の一種または
混合物、コークスまたはアルミ灰、石灰石等７は原料装
入ベルトコンベアー１２で高炉の炉頂１０から投入され
る。１３は指示信号にしたがって鉄鉱石または金属屑の
一種または混合物、コークスまたはアルミ灰、石灰石を
順次投入していく投入ホッパーである。２４は炉内での
原料鉄鉱石などとコークスなどの層で最下段の位置は羽
口７の上方部に形成されており、最上段の上方にはシャ
フト内に空槽２５が形成され、これが微粉ダストの沈降
槽となる。

【００２１】炉壁に開口された数十箇所の羽口７から熱
風を送り込むと、炉内ではレースウェイ８を通して完全
に熱が行き渡るように形成されている。ここから吹き込
まれた高温の熱風は、段層になった原料鉄鉱石または金
属屑の一種または混合物とコークスまたはアルミ灰の間
を通り鉄鉱石または金属屑の一種または混合物を還元さ
せるとともに溶解して銑鉄または金属溶融物を下に落と
して取り出す。また溜まった鉱滓も系外に取り出す構造
になっている。炉内上部に大きな空槽２５があり、鉄鉱
石とコークスの段層は数段程度と少ないので、燃焼ガス
の速度は従来の燃焼ガスの速度よりも約１／３〜１／１
０以下となり、ダストを吹き上げることがない。すなわ
ち、炉頂に達しない。

【００２２】また金属アルミニウムあるいはアルミ灰を
羽口７から吹込むと、このアルミニウムの発熱がレース
ウェイ８で発生し、炉内の熱の向上に大きく寄与する。

【００２３】また金属アルミニウムあるいはアルミ灰を
鉄や他の金属と混合あるいはペレットあるいはブリケッ
トにして炉に装入すると、金属アルミニウムの発熱がそ
の鉄や他の金属の反応を大きく向上させる。

【００２４】

【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、コークス
等の高価な材料を多く利用しないでも、アルミ灰または
金属アルミニウムの燃焼発熱を利用して温度を高めるこ
とができ、安価に精錬でき、コスト低減を図れる。

【００２５】アルミニウムの燃焼による還元能力を利用
することが出来るので、ダスト・スケールや金属成分含
有廃棄物などからも金属分を還元製錬することができ、
製錬コストを安価にできるとともに有価金属類の回収が
図れる。

【００２６】従来のような大がかりなガス・灰・ダスト
沈降装置などを必要とせず、設備コストの低減が図れ
る。

【００２７】微粉などが排出しにくい構造であるから、
微粉状の鉄鉱石、転炉ダストや電気炉ダストまたその他
のダスト、スケール粉、粉末状廃棄物類なども使用でき
る。併せて、微粉状の原料を取り扱う際に必要であった
焼結やペレット化といった工程を省略または簡略化でき
る。

【００２８】各種ダスト類、金属系粉末類、粉末状廃棄
物類または含油スケール類なども処理できるので、資源
の有効活用、リサイクルの推進、廃棄物の減量、無害化
などに貢献できる。

【００２９】また金属アルミニウムやアルミ灰に鉄鋼製
造や加工プロセスで発生するダストや屑を混合したり、
あるいはステンレス製造や加工で発生するダストや屑を
混合したり、あるいは廃触媒の屑やダストに混合したり
またあるいはめっきスラジと混合したりしてさらにその
混合をペレットやブリケットに団鉱して、炉に装入する
と金属アルミニウムやアルミ灰が温度の上昇によって高
温に発熱し、還元や溶解反応が迅速に進み、燃料のコス
トダウンになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明一実例の堅型シャフト高炉の模型的部分
断面図である。

【図２】本発明他実施例の堅型シャフト高炉の模型的部
分断面図である。

【符号の説明】

１ 炉床 ２ 溶銑床 ３ 鉱滓床 ４ 炉腹 ５ シャット ６ 鉄板マンテル ７ 羽口 ８ レースウェイ ９ 原料装入装置 ９Ａ 多段層 １０ 炉頂 １１ ガス上昇管 １２ ベルトコンベァ １３ ホッパー １４ 大ベル １５ 原料装入表面 １６ 高炉支柱 １７ 熱風管 １８ ガス灰ダスト沈降装置 １９ 出銑口 ２０ トッピード ２１ 鉱滓出口 ２２ 鉱滓車 ２３ 熱風環状管 ２４ 原料とコークス層 ２５ 空槽

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】溶銑床、鉱滓床を形成するように炉床の上
   部を囲んで炉腹とその上部にシャフトを設けた堅型シャ
   フトキュポラ・高炉・溶融炉法において、炉下部に設け
   た羽口より上方部に鉄鉱石などの製錬原料とコークス及
   びアルミ灰または金属アルミニウムとからなる層を形成
   し、コークスとアルミ灰または金属アルミニウムの燃焼
   発熱によって製錬原料を溶融し、銑鉄または金属合金を
   取り出すことを特徴とする堅型シャフトキュポラ・高炉
   ・溶融炉法。
2. 【請求項２】製錬原料として鉄鉱石など金属鉱石類、普
   通鋼、ステンレス鋼、特殊鋼などの鉄系金属屑類、モリ
   ブデン、ニッケル、コバルト、銅、アルミニウムなどの
   非鉄金属屑類、これら金属材料の製造工程から発生した
   金属成分含有ダスト・スケール類、めっきスラジ、廃触
   媒、赤泥などの金属成分含有廃棄物などの少なくとも１
   または複数を用いることを特徴とする請求項１記載の堅
   型シャフトキュポラ・高炉・溶融炉法。
3. 【請求項３】金属アルミニウム分を１重量％以上含むア
   ルミ灰またはこれに相当する量の金属アルミニウムを用
   いることを特徴とする請求項１および請求項２記載の堅
   型シャフトキュポラ・高炉・溶融炉法。
4. 【請求項４】金属アルミニウムまたはアルミ灰は単独の
   粉体で、堅型シャフトキュポラ・高炉・溶融炉のシャッ
   ト部、炉腹部、あるいは羽口部を含むその近辺より炉内
   への粉体吹込法。また金属アルミニウムまたはアルミ灰
   を他の鉄や非鉄の金属と混合したり、ペレットやブリケ
   ットにして炉に装入することを特徴とする請求項１およ
   び請求項２、請求項３記載の堅型シャフトキュポラ・高
   炉・溶融炉法。