JPH1134218A - 免震構造体 - Google Patents

免震構造体

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JPH1134218A
JPH1134218A JP18941797A JP18941797A JPH1134218A JP H1134218 A JPH1134218 A JP H1134218A JP 18941797 A JP18941797 A JP 18941797A JP 18941797 A JP18941797 A JP 18941797A JP H1134218 A JPH1134218 A JP H1134218A
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JP
Japan
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rubber
weight
seismic isolation
plate
isolation structure
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JP18941797A
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Inventor
Hiroyuki Tachibana
博之 橘
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Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴム板2のうち熱源に近い部分の接着部の劣
化が起こりにくく、長期間使用されてもゴム板2と金属
部分との界面の接着性が高レベルに維持される免震構造
体1を提供すること。 【解決手段】 ゴム板2と金属板3とが積層された積層
体4を備えた免震構造体1のゴム板2に、ジエン系ゴム
を主要ポリマーとする基材ゴム100重量部に、0.1
重量部以上3.0重量部以下の硫黄と、0.1重量部以
上3.0重量部以下の有機過酸化物と、0.1重量部以
上5.0重量部以下の加硫促進剤とが配合されたゴム組
成物を用いる。加硫促進剤は、チウラム系のテトラキス
(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィドが好まし
い。ゴム板2と金属板3との間は、塩素含有率が15重
量%以上30重量%以下の加硫接着剤で処理されること
が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は免震構造体に関する
ものであり、特にゴム板と金属部分との接着性に優れた
免震構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゴム製品は、一般に生ゴムを架橋するこ
とにより得られる。架橋には、硫黄加硫、有機過酸化物
架橋、樹脂架橋、金属イオン架橋等の種々の形態があ
り、また、硫黄加硫と有機過酸化物架橋とを併用する技
術も知られている(例えば、1970年発行の「ラバー
ケミストリー アンド テクノロジー(RUBBER
CHEMISTRY AND TECHNOLOG
Y)」第43(6)第1312頁、1974年発行の
「ラバー ケミストリー アンド テクノロジー(RU
BBER CHEMISTRY AND TECHNO
LOGY)」第47(2)第267頁、特開平9−20
836号公報等参照)。
【0003】ところで、従来、地震時に建物、橋梁等の
構築物の被害を防ぐため、ゴム板と金属板とが交互に積
層されて接着された積層体を備えた免震構造体が用いら
れている。この免震構造体では、構築物に伝わる振動の
周期を地震の周期よりも長くする機能(いわゆる免震機
能)と振動を減衰させる機能(いわゆる減衰機能)とが
ゴム板により発現されるとともに、構築物の鉛直荷重を
支持する機能が金属板により発現される。
【0004】このゴム板と金属板との界面は、異物間の
接着であるため接着力が不充分となりやすい。界面の接
着力が不充分となると、地震により免震構造体に水平方
向の荷重が作用する際にゴム板と金属板との界面での破
断が生じやすく、免震構造体の強度を低下させてしまう
こととなる。界面の接着性を高めるため、界面には加硫
接着剤による処理が施される。なお、積層体の上端及び
下端には、免震構造体取付け用の金属製フランジ部が設
けられるが、この金属製フランジ部とゴム板との界面
も、同様の目的で加硫接着剤による処理が施される。
【0005】免震構造体は、大きいものでは積層体の直
径が1.5メートルを越えるものもあり、ゴム製品とし
ては極めて大型の部類に属する。このように大型の免震
構造体を加硫する際には、ゴム板のうち熱源から離れた
部分まで熱が伝導しにくい。図3のグラフには、積層体
の直径が約1メートルである免震構造体を熱源の温度が
150゜Cの条件で加硫したときの、ゴム板のうち熱源
に近い部分及び熱源から離れた部分の、加硫時間と実測
温度及び反応量との関係が示されている。熱源に近い部
分は加硫開始直後から急激に温度が上昇し、加硫の初期
段階で熱源の温度とほぼ同等の温度に達する。これに伴
い、反応量も急激に高まる。一方、熱源から離れた部分
は温度上昇が緩やかであり、反応量も緩やかに高まって
いく。
【0006】一般的に、ゴムを適正に加硫するには20
ERU程度の反応量が必要である。ここで反応量とは、
下記数式で表されるアレニウス式で求められるUの値の
ことである。
【0007】
【数1】
【0008】本明細書では、基準温度T0を150゜C
とし、測定間隔時間を1分として反応量を求めている。
従って、150゜Cの温度にて1分間加硫したときの反
応量が、1ERUとされる(反応量の詳細については、
特開昭60−13250号公報等参照のこと)。免震構
造体のゴム板において熱源から離れた部分の反応量を2
0ERU程度とするには、加硫時間を長くするか、加硫
温度を高くする必要がある。長時間の加硫又は高温での
加硫により、ゴム板のうち熱源に近い部分は熱エネルギ
ーを過剰に受け、例えば500ERU程度の反応量とな
り、オーバー加硫となってしまう。この免震構造体が長
期間使用されると、オーバー加硫となった部分では接着
部の劣化が起こり、ゴム板と金属板及び金属製フランジ
部(以下金属部分ともいう)との界面の接着性が極端に
低下し、免震構造体の強度が低下してしまうという問題
がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述の問題に
鑑みてなされたものであり、ゴム板のうち熱源から離れ
た部分が適正に加硫されるような長時間加硫又は高温加
硫がなされても、ゴム板のうち熱源に近い部分の接着部
の劣化が起こりにくく、従って長期間使用されてもゴム
板と金属部分との界面の接着性が高レベルに維持される
免震構造体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前述の目的
を達成するために鋭意検討した結果、大型ゴム製品であ
る免震構造体において硫黄加硫と有機過酸化物架橋とを
併用することにより、ゴム板のうち熱源に近い部分の接
着部の劣化が起こりにくく、従って長期間使用されても
ゴム板と金属部分との界面の接着性が高レベルに維持さ
れる免震構造体が得られることを見出した。
【0011】すなわち、本発明はゴム板と金属板とが積
層された積層体を備える免震構造体において、そのゴム
板には、ジエン系ゴムを主要ポリマーとする基材ゴム1
00重量部に、0.1重量部以上3.0重量部以下の硫
黄と、0.1重量部以上3.0重量部以下の有機過酸化
物と、0.1重量部以上5.0重量部以下の加硫促進剤
とが配合されたゴム組成物が使用されることを特徴とす
る免震構造体、である(請求項1)。
【0012】この発明によれば、基材ゴム中に硫黄及び
加硫促進剤と有機過酸化物とが配合されるため、つまり
硫黄/促進剤系加硫(以下、これを単に「硫黄加硫」と
いう)と有機過酸化物架橋とが併用されるため、免震構
造体が長期間使用されても、ゴム板のうち熱源に近いの
でオーバー加硫となった部分の接着部の劣化を抑えるこ
とができ、この部分と金属部分との接着性を高レベルに
維持することができる。硫黄加硫と有機過酸化物架橋と
を併用すること(以下併用加硫ともいう)により接着性
を高レベルに維持することができる理由は詳細には不明
であるが、併用加硫により形成された接着部のゴム分子
鎖架橋構造においては、長期間経過後の劣化(架橋密度
の低下等)が起こりにくいためと考えられる。
【0013】本発明においては、ゴム板に用いられるゴ
ム組成物に0.1重量部以上5.0重量部以下の加硫促
進剤が配合される。これにより、ゴム板の架橋密度を高
めてゴム弾性を高めクリープ特性を向上させることがで
き、また、加硫速度を高めることができる。配合される
加硫促進剤には、接着部の劣化の抑制、スコーチ安定性
の向上の観点からチウラム系加硫促進剤が含まれること
が好ましく(請求項2)、特にテトラキス(2−エチル
ヘキシル)チウラムジスルフィドが含まれることが好ま
しい(請求項3)。
【0014】免震構造体のゴム板と金属部分との界面は
加硫接着剤にて処理されて接着性が高められるが、接着
性を高レベルに維持するには塩素含有量が15重量%以
上30重量%以下の加硫接着剤を用いることが好ましい
(請求項4、請求項5)。この加硫接着剤による処理と
して、一般的には、積層される前の金属板又はゴム板に
加硫接着剤を塗布することが行われる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、適宜図面を参照しつつ、本
発明を詳説する。
【0016】図1には本発明の一実施形態にかかる免震
構造体1の断面図が示されている。この免震構造体1
は、ゴム板2と金属板3とが複数枚ずつ交互に積層され
た積層体4を備えている。ゴム板2と金属板3とは、加
硫接着されている。ゴム板2及び金属板3の平面形状
は、円形である。積層体4は、その外周に外皮ゴム5を
備えている。ゴム板2と外皮ゴム5とは、積層体4の加
硫時にゴム流動により一体とされる。金属板3には種々
の金属材料が適用可能であるが、一般的にはスチールが
用いられる。積層体4の上下には、スチール等からなる
フランジ部6a、6bが設けられている。フランジ部6
a、6bとこのフランジ部6a、6bに当接するゴム板
2とは、加硫接着されている。下方のフランジ部6aは
適切な連結手段(図示されず)により基礎地盤と連結さ
れ、上方のフランジ部6bは適切な連結手段(図示され
ず)により建物、橋梁等の構築物と連結される。
【0017】ゴム板2には、天然ゴム、イソプレンゴ
ム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロ
プレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレ
ンプロピレンゴム、これらの混合物等の、ジエン系ゴム
を基材ゴムとしたゴム組成物が用いられる。
【0018】このゴム組成物には、硫黄、有機過酸化物
及び加硫促進剤が配合される。これにより、硫黄加硫と
有機過酸化物架橋とが併用される。従って、ゴム板2の
うち熱源に近いためオーバー加硫となった部分におい
て、ゴム板2と金属部分との界面の接着性を高レベルに
維持することができる。
【0019】配合される硫黄としては、ゴム加硫用とし
て市販されている各種の硫黄を用いることができる。硫
黄の配合量は、基材ゴム100重量部に対して0.1重
量部以上3.0重量部以下である必要がある。硫黄の配
合量が上記範囲未満であると、免震構造体が製造された
直後であって長期間の使用がなされる前の段階での界面
の接着力(以下初期接着力ともいう)が不充分となって
しまう。逆に硫黄の配合量が上記範囲を超えると、免震
構造体が長期間使用された場合に、ゴム板2のうち熱源
に近いためオーバー加硫となった部分の接着部の劣化を
防ぐことが困難になり、ゴム板2と金属部分との界面の
接着性を維持することができなくなってしまう。この観
点から、硫黄の配合量は基材ゴム100重量部に対して
0.8重量部以上2.5重量部以下がより好ましい。
【0020】配合される有機過酸化物としては、例えば
ジクミルペルオキシド、1,1−ビス−t−ブチルペル
オキシ−3,3,5−トリ−メチルシクロヘキサン、n
−ブチル−4,4−ビス−t−ブチルペルオキシバレレ
ート、ジ−(t−ブチルペルオキシ)−m−ジ−イソプ
ロピルベンゼン等が挙げられる。有機過酸化物の配合量
は、基材ゴム100重量部に対して0.1重量部以上
3.0重量部以下である必要がある。有機過酸化物の配
合量が上記範囲未満であると、硫黄単独での加硫に近い
状態となり、免震構造体が長期間使用された場合に、ゴ
ム板2のうち熱源に近いためオーバー加硫となった部分
の接着部の劣化を防ぐことができず、ゴム板2と金属部
分との界面の接着性を維持することができなくなってし
まう。逆に有機過酸化物の配合量が上記範囲を超える
と、有機過酸化物単独での架橋に近い状態となり、初期
接着力が不充分となってしまう。この観点から、有機過
酸化物の配合量は基材ゴム100重量部に対して0.8
重量部以上2.5重量部以下がより好ましい。
【0021】配合される加硫促進剤としては、例えばチ
ウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、スルフ
ェンアミド系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫
促進剤等が挙げられる。加硫促進剤の配合量は、基材ゴ
ム100重量部に対して0.1重量部以上5.0重量部
以下である必要がある。加硫促進剤の配合量が上記範囲
未満であると架橋密度が低くなり、また加硫速度が遅く
なってしまうこととなる。逆に加硫促進剤の配合量が上
記範囲を超えるとスコーチタイムが短くなり、ロール加
工時やシート成形時のゴム素材加工性が劣ってしまうこ
ととなる。
【0022】上記の加硫促進剤は、単独で又は組み合わ
されて配合される。加硫促進剤を組み合わせて配合する
場合、その中にチウラム系加硫促進剤を含ませるのが好
ましい。チウラム系加硫促進剤を含ませる場合、加硫促
進剤全量に占めるチウラム系加硫促進剤の比率は、0.
1重量%以上60重量%以下が好ましい。このようなチ
ウラム系加硫促進剤としては、例えばテトラキス(2−
エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT)、テ
トラメチルチウラムモノスルフィド(TS)、テトラメ
チルチウラムジスルフィド(TT)、テトラエチルチウ
ラムジスルフィド(TET)、ジペンタメチレンチウラ
ムヘキサスルフィド(TRA)等が挙げられる。なかで
も、接着部の劣化が小さく、しかもスコーチ安定性に優
れるテトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスル
フィドを用いることが好ましい。なお、チウラム系加硫
促進剤が含まれる場合、これと併用される他の加硫促進
剤としては、スルフェンアミド系加硫促進剤が好まし
い。
【0023】この免震構造体1のゴム板2と金属板3と
の界面及びゴム板2とフランジ部6a、6bとの界面
は、塩素を含有する加硫接着剤で処理されている。加硫
接着剤の塩素含有量の好ましい範囲は15重量%以上3
0重量%以下である。塩素含有量が上記範囲未満である
と、加硫接着剤を用いた効果が充分には発現されず、免
震構造体が長期間使用された場合にゴム板2と金属部分
との界面の接着性を高レベルに維持することができなく
なってしまうことがある。逆に塩素含有量が上記範囲を
超えると、接着後の脱塩素反応が過剰に起こり金属板が
腐食する等の理由により、接着力が低下してしまうこと
がある。
【0024】このゴム板2に用いられるゴム組成物に
は、上述の硫黄、有機過酸化物及び加硫促進剤の他、加
硫促進助剤、老化防止剤、補強剤、軟化剤、充填剤等の
種々の薬品が適宜配合される。
【0025】なお、このゴム組成物は、図1に示される
ような単にゴム板2と金属板3とを積層させたタイプの
免震構造体1のゴム板2のみならず、例えば積層体4の
中央を刳り抜いて中空部を形成し、この中空部に鉛、生
ゴム等を充填したタイプの免震構造体のゴム板にも用い
ることができる。
【0026】[実験例] [実験1 硫黄の配合量を変量させた実験]天然ゴム
(SMRCV−60)100重量部を1.5リッターの
BR型バンバリーに投入し、素練りした。これに、硫黄
0.8重量部と、有機過酸化物としてのジクミルペルオ
キシド(日本油脂株式会社製の商品名「パークミル
D」)0.8重量部と、スルフェンアミド系加硫促進剤
としてのN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールス
ルフェンアミド(大内新興化学工業株式会社製の商品名
「ノクセラーCZ」)1.0重量部と、チウラム系加硫
促進剤としてのテトラキス(2−エチルヘキシル)チウ
ラムジスルフィド(大内新興化学工業株式会社製の商品
名「ノクセラーTOT」)0.5重量部と、酸化亜鉛5
重量部と、ステアリン酸1重量部と、カーボンブラック
(東海カーボン株式会社製の商品名「シーストSO」)
20重量部と、ナフテン系プロセスオイル10重量部
と、老化防止剤5重量部とを投入し、5分間混練して排
出させた。
【0027】排出されたゴム組成物をオープンロールで
練り、厚み5ミリメートルのシートとなるようにシーテ
ィングし、図2に符号7で示されるような縦・横25.
4ミリメートルのブロック状のゴム片に打ち抜いた。一
方、スチール板8a、8bの接着面をサンドブラストに
より研磨して脱脂し、直後に塩素含有量が15重量%の
加硫接着剤を塗布して乾燥させた。そして、図2に示さ
れるようにゴム片7の上面及び下面にスチール板8a、
8bを貼り付け、150゜C×500分の条件で加硫し
て、試験例1の試験片を得た。この150゜C×500
分の条件での加硫によるゴム片7の相当反応量は500
ERUであり、これは一般的な免震構造体1を加硫する
際の、ゴム板2のうち最も熱源に近い部分の反応量にほ
ぼ相当する。
【0028】また、硫黄の配合量を下記の表1に示され
るように変量させた他は試験例1と同様にして、試験例
2及び比較例2の試験片を得た。さらに、硫黄を全く配
合せず、その代わりにジクミルペルオキシドを2.5重
量部に増量させた他は試験例1と同様にして、比較例1
の試験片を得た。
【0029】これら試験片の上側のスチール板8aを固
定し、下側のスチール板8bを、図2中右側に50mm
/minの速度で、破断するまで引っ張った。破断後の
スチール板8a、8bの破断面のうち、ゴムが付着して
いる面積の比率を画像処理により求めた。この比率と破
断時応力との積を界面接着強度とした。
【0030】また、各試験片を100゜Cのオーブンで
100時間保持して老化させた後、同様に界面接着強度
を求めた。この老化条件によりゴム片7に与えられる熱
エネルギーは、免震構造体1を常温で数十年間使用した
に相当するものである。老化前後の界面接着強度が、試
験例1の結果を100としたときの指数として下記の表
1に示されている。
【0031】
【表1】
【0032】表1中、硫黄と有機過酸化物とが適量配合
された試験例1及び試験例2の試験片は、老化前後にお
いて界面接着強度に優れていることが解る。これに対
し、硫黄が配合されていない比較例1の試験片は老化前
の界面接着強度が極端に低い。これは、初期接着力が低
いことを示す。このことより、本発明において硫黄の配
合が必須であることが解る。また、硫黄が3.5重量部
配合された比較例2は、初期接着力には優れるものの、
老化により界面接着強度が極端に低下することが解る。
これは、硫黄が多すぎるため老化によりゴム片7の接着
部の劣化が起こっているためである。試験例2と比較例
2とを比べれば、硫黄の配合量を3.0重量部以下とす
る必要があることが解る。
【0033】[実験2 有機過酸化物の配合量を変量さ
せた実験]ジクミルペルオキシドの配合量を下記の表2
に示されるように変量させた他は試験例1と同様にし
て、試験例3及び比較例4の試験片を得た。さらに、ジ
クミルペルオキシドを全く配合せず、その代わりに硫黄
を2.5重量部に増量させた他は試験例1と同様にし
て、比較例3の試験片を得た。これら試験片につき、前
述の実験1と同様にして、老化前後の界面接着強度を測
定した。その結果が、試験例1の結果と共に下記の表2
に示されている。
【0034】
【表2】
【0035】表2中、硫黄と有機過酸化物とが適量配合
された試験例3の試験片は、試験例1の試験片と同様老
化前後において界面接着強度にすぐれていることが解
る。これに対し、有機過酸化物が配合されていない比較
例3の試験片は、初期接着力には優れるものの、老化に
より界面接着強度が極端に低下することが解る。これ
は、硫黄単独加硫であるために老化によりゴム片7の接
着部の劣化が起こっているためである。このことより、
本発明において有機過酸化物の配合が必須であることが
解る。また、有機過酸化物が3.5重量部配合された比
較例4は、老化前の界面接着強度が極端に低い。これ
は、初期接着力が低いことを示す。試験例3と比較例4
とを比べれば、硫黄の配合量を3.0重量部以下とする
必要があることが解る。
【0036】[実験3 加硫促進剤の種類を変更した実
験]チウラム系加硫促進剤であるテトラキス(2−エチ
ルヘキシル)チウラムジスルフィドに代えて、同じくチ
ウラム系加硫促進剤であるテトラメチルチウラムモノス
ルフィド(大内新興化学工業株式会社製の商品名「ノク
セラーTS」)0.5重量部を配合した他は試験例1と
同様にして、試験例4の試験片を得た。また、チウラム
系加硫促進剤を全く配合せず、その代わりにN−シクロ
ヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(前
述の「ノクセラーCZ」)を1.5重量部に増量した他
は試験例1と同様にして、試験例5の試験片を得た。こ
れら試験片につき、前述の実験1と同様にして、老化前
後の界面接着強度を測定した。その結果が、試験例1の
結果と共に下記の表3に示されている。
【0037】
【表3】
【0038】表3より、老化後の界面接着強度は試験例
1の試験片が最も高く、試験例4の試験片はこれよりも
低下し、試験例5の試験片はさらに低下することが解
る。このことより、免震構造体1を長期間使用した後の
界面の接着性を高レベルに維持するには、チウラム系の
加硫促進剤を配合するのが好ましいこと、そのチウラム
系の加硫促進剤の中でもテトラキス(2−エチルヘキシ
ル)チウラムジスルフィドが特に好ましいことが解る。
【0039】[実験4 加硫接着剤の種類を変更した実
験]用いる加硫接着剤を、塩素含有量が10重量%のも
の、30重量%のもの及び35重量%のものとした他は
試験例1と同様にして、それぞれ試験例6、試験例7及
び試験例8の試験片を得た。これら試験片につき、前述
の実験1と同様にして、老化前後の界面接着強度を測定
した。その結果が、試験例1の結果と共に下記の表4に
示されている。
【0040】
【表4】
【0041】表4より、加硫接着在中の塩素含有量が1
5重量%である試験例1及び30重量%である試験例7
は、老化前後の界面の接着性に優れることが解る。一
方、塩素含有量が10重量%である試験例6は老化後の
界面接着強度が80であり、試験例1に比べると界面の
接着性に劣ることが解る。これは、加硫接着剤の塩素含
有量が少ないためゴムと金属との接着反応が不充分とな
ってしまったためと推察される。また、塩素含有量が3
5重量%である試験例8は老化後の界面接着強度が90
であり、試験例1に比べると界面の接着性に劣ることが
解る。これは、加硫接着剤の塩素含有量が多すぎて、老
化処理により界面の金属が腐食してしまうためと推察さ
れる。これらの結果より、加硫接着在中の塩素含有量は
15重量%以上30重量%以下が好ましいことが解る。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、硫黄加硫と過酸化
物架橋とを併用することにより、免震構造体が長期間使
用された場合であっても、加硫時に過大の熱エネルギー
を受けた部分の接着部の劣化を防ぐことができる。従っ
て、免震構造体において、ゴム板のうち熱源から離れた
部分が適正に加硫されるような長時間加硫又は高温加硫
がなされても、ゴム板のうち熱源に近い部分の金属部分
との界面の接着性を高レベルに維持することができる。
本発明は、大型ゴム製品であり、金属との接着面が製品
のほぼ全域にわたって広く存在し、しかも長期間使用さ
れ続ける免震構造体に固有の課題を解決したものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる免震構造
体が示された断面図である。
【図2】図2は、ゴムと金属との界面の接着性を評価す
る実験の様子が示された斜視図である。
【図3】図3は、図1に示された免震構造体の加硫時の
温度変化と反応量の推移が表されたグラフである。
【符号の説明】 1・・・免震構造体 2・・・ゴム板 3・・・金属板 4・・・積層体 5・・・外皮ゴム 6a、6b・・・フランジ部
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F16F 7/00 F16F 7/00 D 15/04 15/04 A 15/08 15/08 D

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム板と金属板とが積層された積層体を
    備える免震構造体において、 そのゴム板には、ジエン系ゴムを主要ポリマーとする基
    材ゴム100重量部に、0.1重量部以上3.0重量部
    以下の硫黄と、0.1重量部以上3.0重量部以下の有
    機過酸化物と、0.1重量部以上5.0重量部以下の加
    硫促進剤とが配合されたゴム組成物が使用されることを
    特徴とする免震構造体。
  2. 【請求項2】 上記加硫促進剤がチウラム系加硫促進剤
    を含む請求項1に記載の免震構造体。
  3. 【請求項3】 上記チウラム系加硫促進剤がテトラキス
    (2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィドである請
    求項2に記載の免震構造体。
  4. 【請求項4】 上記ゴム板と金属板との間が、塩素含有
    量が15重量%以上30重量%以下の加硫接着剤で処理
    された請求項1から3のいずれかに記載の免震構造体。
  5. 【請求項5】 積層体両端のゴム板の上下に金属製のフ
    ランジ部が設けられており、そのフランジ部とゴム板と
    の間が、塩素含有量が15重量%以上30重量%以下の
    加硫接着剤で処理された請求項1から4のいずれかに記
    載の免震構造体。
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