JPH11337491A - カルボン酸基含有水溶性ポリマーの定量方法 - Google Patents

カルボン酸基含有水溶性ポリマーの定量方法

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JPH11337491A
JPH11337491A JP14861598A JP14861598A JPH11337491A JP H11337491 A JPH11337491 A JP H11337491A JP 14861598 A JP14861598 A JP 14861598A JP 14861598 A JP14861598 A JP 14861598A JP H11337491 A JPH11337491 A JP H11337491A
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carboxylic acid
soluble polymer
acid group
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JP14861598A
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Shintaro Someya
新太郎 染谷
Toshiharu Wake
敏治 和気
Hiromichi Murata
浩陸 村田
Hidetoshi Takami
英俊 高見
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Organo Corp
Japan Organo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水系中のカルボン酸基含有水溶性ポリマーを
特定の波長で鉄−チオシアネート比色法により定量する
ことにより、簡便且つ低コストで定量可能なカルボン酸
基含有水溶性ポリマーの定量方法を提供する。 【解決手段】 水系中のカルボン酸基含有水溶性ポリマ
ーを鉄−チオシアネート比色法により定量するに当た
り、500nmを超え且つ580nm以下、好ましくは
500nmを超え且つ550nm以下の波長範囲の可視
光線を用いる。サンプル水は、pH調整、選択的吸着、
溶離等の処理を行い、イオン性物質等の他の成分類を除
去して、カルボン酸基含有水溶性ポリマーの定量に対す
る妨害を防ぐのが好ましい。例えば、一点波長での吸光
度を測定する携帯型で直読式の簡易型硝酸性窒素濃度測
定機器(測定波長:528nm)を用い、この機器に内
蔵されている硝酸性窒素の検量線プログラムを利用して
カルボン酸基含有水溶性ポリマーの検量線を作成してお
き、これを利用して容易に水系中のカルボン酸基含有水
溶性ポリマーの定量を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルボン酸基含有
水溶性ポリマーの定量方法に関する。本発明は、カルボ
ン酸基含有水溶性ポリマーが利用されている分野、即
ち、冷却水、ボイラー水、汚泥処理水、屎尿処理水、膜
利用処理水(膜分離処理水)、製造プロセス水等の工業
的水系の分野に利用できる。
【0002】
【従来の技術】冷却水、ボイラー水等の工業用水分野で
は、防食剤として亜硝酸塩(消費される過程で硝酸性窒
素となる)を使用することがあり、その濃度分析の手段
として硝酸性窒素濃度を測定することにより、管理濃度
の目安を立て、また、その濃度の管理を行っている。ま
た、汚泥処理水、屎尿処理水等の廃水処理水や膜分離処
理水等の分野では、放流等における排水規制の問題から
硝酸性窒素濃度を測定している。更に、これらの分野で
は、スケール防止剤、防食剤、分散剤、洗浄剤、その他
の用途として、カルボン酸基含有水溶性ポリマーを使用
しており、硝酸性窒素と共にカルボン酸基含有水溶性ポ
リマーの定量分析が必要となっている。
【0003】従来から市販されている分析装置を用いて
カルボン酸基含有水溶性ポリマー濃度を測定する一方法
としては、カルボン酸基含有水溶性ポリマーを含む水系
にカチオン系ポリマーを添加、懸濁させて濁度計で濁度
を測定し、カルボン酸基含有水溶性ポリマーの定量を行
う比濁法を用いることが可能である。他のカルボン酸基
含有水溶性ポリマー濃度の測定方法としては、鉄イオン
とチオシアン酸イオンとの発色反応を利用してカルボン
酸基含有水溶性ポリマー濃度を測定する鉄−チオシアネ
ート比色法を用いることが可能である。後者の方法で
は、後述するように、サンプル水とポリマーを含まない
ブランク水に対して、それぞれpH調整、選択的吸着、
溶離等の処理操作を行い、得られる溶出液に鉄(III) イ
オンとチオシアネートイオンの2種類の発色試薬液を加
え、鉄−チオシアネート錯体の最大吸収波長である48
2nmで2発色液の吸光度の差を求め、濃度対吸光度の
傾きが負の検量線を用いてカルボン酸基含有水溶性ポリ
マーの定量を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】比濁法は、分析方法と
しては、分析精度や分析安定性に劣り、実用性に欠け
る。また、鉄−チオシアネート比色法を使用できる分析
装置は、測定波長を任意に設定でき、硝酸性窒素とカル
ボン酸基含有水溶性ポリマーの両者に加えて、多種の水
質測定項目をも測定ができる高性能タイプの装置(全水
質測定項目についてそれぞれ検量線プログラム内蔵)で
あるため、価格的に非常に高価である。上記のような工
業的水系では、特にカルボン酸基含有水溶性ポリマー濃
度が水系の性能維持上重要となるので、このカルボン酸
基含有水溶性ポリマー濃度を測定できる安価な装置を利
用できることが望まれている。
【0005】従って、本発明は、安価な分析装置を用い
ることができるカルボン酸基含有水溶性ポリマーの実用
的な定量方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、水系中のカル
ボン酸基含有水溶性ポリマーを鉄−チオシアネート比色
法により定量するに当たり、500nmを超え且つ58
0nm以下、好ましくは500nmを超え且つ550n
m以下の波長範囲の可視光線を用いることを特徴とする
カルボン酸基含有水溶性ポリマーの定量方法を提供する
ものである。
【0007】鉄−チオシアネート比色法とは、例えば、
米国特許第4514504号の明細書において「Chemis
try and Technological Waters, U. Glukhova, P.A. Pe
rov,Kiev (Russia), 3(3), p 236-237 (1981)」に記載
されているとして挙げられている方法で、この原理につ
いて上記米国特許の記載に基づいて説明する。
【0008】この方法は、鉄(III) イオンとポリアクリ
ル酸類(上記米国特許明細書では、ポリアクリル酸、ポ
リメタクリル酸、ポリマレイン酸、これらの単量体を5
0重量%以上用いて得られる共重合体類、および、これ
らの混合物を総称するものとして定義され、カルボン酸
基含有水溶性ポリマーの代表例)とは無色の錯体を形成
し、これに対し、鉄(III) イオンとチオシアン酸イオン
(チオシアネートイオン)とは赤色の錯体を形成すると
言う現象を利用したものである。従って、鉄とポリアク
リル酸類との錯体形成による鉄−チオシアネート錯体の
色の減少分は、ポリアクリル酸濃度に直接的に相関す
る。鉄(III) (即ち、Fe+3)とポリアクリル酸類
(「PAA」と略す)との反応は、下記の通りである。 xFe+3 + y(PAA) → Fe(PAA)
【0009】鉄(III) をポリアクリル酸類と錯体形成反
応させて、無色のFe(PAA)を形成させた後、
チオシアン酸カリウムの水溶液を上記Fe(PAA)
錯体を含有する水系に添加する。チオシアン酸イオン
(SCN)は、錯体形成に関与しなかった鉄(III) イ
オンと反応し、赤色の鉄−チオシアネート錯体を生成す
る。その反応は、下記の通りである。 Fe+3 + nSCN → Fe(SCN)
(3−n) (但し、n=1、2又は3)
【0010】従って、得られる溶液の色は、鉄(III) と
チオシアン酸イオンの添加量に相関させることができ、
これによりポリアクリル酸類の濃度を求めることができ
る。得られる溶液の色を光透過度で表すと、ポリアクリ
ル酸濃度の正確な尺度となる。なお、この方法は、迅速
且つ正確で、また、硫酸イオン含有水中では硫酸イオン
による妨害などは生じない。また、鉄−チオシアネート
比色法の感度は、ポリアクリル酸類の分子量の関数で、
この分子量の増大と共に上記感度が増大するので、水系
に添加されたポリアクリル酸類の分子量は記録しておく
のが良い。
【0011】ここで、鉄−チオシアネート錯体の最大吸
収波長は、482nmである。従来は、この最大吸収波
長での吸光度の測定を利用して、吸光度対カルボン酸基
含有水溶性ポリマー濃度の検量線を作成しておき、サン
プル水のカルボン酸基含有水溶性ポリマーの定量を行う
のが通常であった。しかし、この最大吸収波長で測定で
きる安価な分析装置は、市販されていない。そこで、本
発明者等は、敢えて、鉄−チオシアネート錯体の吸収バ
ンド内の500nmを超え且つ580nm以下、好まし
くは500nmを越え且つ550nm以下の波長範囲内
の可視光線を利用することを考えた。
【0012】このような波長範囲を利用した安価な分析
装置としては、数種類の直読式水質測定機器が市販され
ており、このような測定機器を本発明では使用する。そ
の好ましい一例として、一点波長での吸光度を測定する
携帯型で直読式の簡易型硝酸性窒素濃度測定機器「POCK
ET COLORIMETER」(測定項目である硝酸性窒素のみにつ
いて検量線プログラム内蔵、測定波長:528nm、米
国HACH社製)を挙げることができる。この測定機器
は、2箇所に測定操作ボタン(ブランク用とサンプル
用)があり、その使用方法は、ブランク水(純水)に発
色試薬を入れブランクボタンを押し、ゼロ点調整し、次
いで被測定サンプル水に発色試薬を入れサンプルボタン
を押し、ディスプレイに表示される硝酸性窒素濃度の測
定値を読み取る。
【0013】簡易型測定装置に多種類のカルボン酸基含
有水溶性ポリマーのそれぞれについての検量線を入力し
ておくことは困難であり、また、測定精度の補償をする
のも困難であることから、本発明者等は、例えば、上記
簡易型硝酸性窒素濃度測定機器に内蔵されている硝酸性
窒素定量用検量線を利用して、カルボン酸基含有水溶性
ポリマーを簡便に定量することができないか鋭意検討
し、これが可能であることをも見出した。
【0014】上記の簡易型硝酸性窒素濃度測定機器「PO
CKET COLORIMETER」は、528nmの測定波長を有し、
カドミウム還元測定法による硝酸性窒素濃度の検量線が
内蔵されている一点分光光度計である。この測定機器に
内蔵されている検量線の傾きは、硝酸性窒素濃度に対し
て吸光度が正であるのに対し、鉄イオンとチオシアン酸
イオンとの発色反応を利用した鉄−チオシアネート比色
法によるカルボン酸基含有水溶性ポリマーの測定濃度
は、吸光度に対する検量線の傾きが負となる関係にあ
る。従って、カドミウム還元測定法の硝酸性窒素濃度算
出プログラムが内臓されている上記簡易型硝酸性窒素濃
度測定機器による通常の硝酸性窒素濃度測定方法では、
ブランク水の発色操作処理液〔元々ブランク水には殆ど
硝酸性窒素が含まれていないので、殆ど発色しない〕の
吸光度を測定した後(ゼロ点調整した後)、サンプル水
の発色液の吸光度を測定するのが手順であるが、同じ手
順でこの硝酸性窒素濃度測定機器を用いてカルボン基含
有酸水溶性ポリマーの定量を行うことはできない。
【0015】本発明者等は、かかる簡易型硝酸性窒素濃
度測定機器で、カルボン酸基含有水溶性ポリマーの定量
方法について、鋭意検討を重ねた結果、この測定機器の
吸光度測定順序とは逆に、サンプル水の発色液を先に吸
光度測定し、次にブランク水の発色液を吸光度測定し
て、両吸光度の差を求めることにより、該簡易型硝酸性
窒素濃度測定機器に内蔵されている検量線を利用してカ
ルボン酸基含有水溶性ポリマーの定量が可能となること
をも見出した。
【0016】即ち、一代表例として下記実施例で実証さ
れる様に、例えば、試料水であるカルボン酸基含有水溶
性ポリマー水溶液に所定量の鉄(III) イオンを添加し無
色の錯体を形成させた後、所定量のチオシアン酸イオン
を添加し、残存する鉄(III)イオンとチオシアン酸イオ
ンとを発色反応(赤色の鉄−チオシアネート錯体の形成
反応)させ、先ず、得られた発色液を恰も硝酸性窒素濃
度測定時のブランク水に発色処理を施した水かの如く用
いて上記簡易型硝酸性窒素濃度測定機器の基準値に設定
(ゼロ点調整)し、その後、カルボン酸基含有水溶性ポ
リマーを含まないブランク水に上記と各同量の鉄(III)
イオンとチオシアン酸イオンを添加して発色反応させた
発色液について上記プログラムをそのまま用い硝酸性窒
素濃度として測定したところ、読み取った硝酸性窒素濃
度測定値(測定機器のディスプレイに表示される値)と
実際のカルボン酸基含有水溶性ポリマー濃度との間に相
関性が有ることが分かった。更に、ディスプレイに表示
される値をカルボン酸基含有水溶性ポリマー濃度へ換算
する検量線を作成することができ、この検量線を用いて
サンプル水のカルボン酸基含有水溶性ポリマー濃度を算
出することが可能であることが分かった。
【0017】即ち、下記実施例の結果を表した図1から
明らかなように、恰も硝酸性窒素濃度測定値としてディ
スプレイに表示される値とカルボン酸基含有水溶性ポリ
マー濃度とは充分な相関性が得られることが分かった。
このことより、簡易型硝酸性窒素濃度測定機器をカルボ
ン酸基含有水溶性ポリマー濃度測定用に使用できること
が明らかとなり、本発明の方法が有効であることが証明
された。簡易型硝酸性窒素濃度測定機器を本発明の方法
に用いると、水系の硝酸性窒素濃度の測定も必要な場合
に、新たに硝酸性窒素濃度測定の為の分析機器を入手す
る必要も無いのは勿論である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を説明するが、本発明はこのような実施の形態に限定
されるものでは無い。
【0019】米特許第4514504号に記載されてい
るように、例えば、下記の様な手順でカルボン酸基含有
水溶性ポリマーを含むサンプル水を処理する。pH調整
によりカルボン酸基含有水溶性ポリマーのイオン化を抑
制し、次いで吸着・溶離操作を行って、該サンプル水中
に含まれているイオン性物質等の他の成分類を除去する
と共にカルボン酸基含有水溶性ポリマーを必要に応じて
濃縮して、発色用ポリマー含有試料液を調製する。カル
ボン酸基含有水溶性ポリマーのイオン化の抑制は、吸着
操作における選択性に決定的な意義を有し、イオン性物
質等の他の成分類の除去は、これらのカルボン酸基含有
水溶性ポリマーの定量に対する妨害を防ぐためであり、
カルボン酸基含有水溶性ポリマーを濃縮すれば、特に該
ポリマー濃度が低い水系について測定する場合に測定感
度を確保できる。
【0020】即ち、先ず、カルボン酸基含有水溶性ポリ
マーを含むサンプル水を一定量採取し、その中にpH調
整液を適当量添加して、pHが2〜3、好ましくは約
2.5になったことを確認する。このpH調整によりカ
ルボン酸基含有水溶性ポリマーのイオン化を抑制するこ
とができる。pH調整液は、塩酸、硝酸、硫酸等のpH
調整試薬を純水で希釈して調製し、グリシン等を添加し
てもよい。pHが1以下では、サンプル水に(有機)燐
酸イオン類や(有機)ホスホン酸イオン類(両者ともス
ケール防止剤として用いる場合がある)が混入している
と、これが非イオン物質となり、また、pHが2以下で
は、下記する吸着カラムが劣化する傾向が有り、好まし
く無い。pHが高過ぎて、サンプル水中の他の水溶性イ
オン類が中和されると、吸着操作がカルボン酸基含有水
溶性ポリマーに選択的で無くなり、望ましく無い。な
お、pH調整に先立って、孔径約5μmの前処理フィル
ターに通水して除濁するのが好ましい。
【0021】所定量の得られたpH調整サンプル水を無
極性の吸着剤ゲルを充填した吸着カラムに通水し、吸着
剤ゲルにカルボン酸基含有水溶性ポリマーを選択的に吸
着させ、通過水は捨てる。ポリマーが吸着した吸着剤ゲ
ル充填吸着カラムに、例えば、メタノールと水からなる
溶離液を所定量通液し、ポリマーを溶離する。他の溶離
液としては、例えば、約0.1M濃度のNaOH水溶液
を挙げることができる。ポリマーを含む溶出液はメスシ
リンダーに採取し、一定液量となるまで脱塩水で希釈す
る。また、ポリマーを含まないブランク水についても同
様の手順で処理する。吸着剤ゲルとしては、無極性であ
るのが好ましく、例えば、オクタデシルシラン結合シリ
カゲルやオクチルシラン結合シリカゲル、および、硬質
でマクロ多孔性組織(macroreticular)を有するスチレ
ン−ジビニールベンゼン共重合体等の有機樹脂類を挙げ
ることができる。
【0022】この様にして得られたサンプル水とブラン
ク水の各処理液のそれぞれに鉄イオンとチオシアン酸イ
オンの2種類の発色試薬液をこの順で加え、適切な発色
待機時間を与えて、サンプル水とブランク水のそれぞれ
の発色液を得る。これらの発色液を簡易型硝酸性窒素濃
度測定機器「POCKET COLORIMETER」付属のガラスセルに
入れる。先ず、サンプル水の発色液が入ったガラスセル
を測定機器に入れて吸光度を測定させ、この発色液で測
定機器のゼロ点調整を行う。次に、ブランク水の発色液
が入ったガラスセルを測定機器に入れて吸光度を測定さ
せる。こうすることにより、測定機器が両者の吸光度の
差を自動的に計算し、測定機器に内蔵された検量線から
硝酸性窒素濃度としての測定値をディスプレイに表示す
る。
【0023】ディスプレイに表示された測定値(ディス
プレイ表示値)をカルボン酸基含有水溶性ポリマー濃度
に換算すれば、サンプル水の発色液のカルボン酸基含有
水溶性ポリマー濃度を求めることができる。この換算を
容易に行うには、異なる既知カルボン酸基含有水溶性ポ
リマー濃度の幾つかの対照水について、それぞれ上述と
全く同じ処理操作を行い、ブランク水の発色液との吸光
度の差を上記測定機器により自動的に計算し、測定機器
に内蔵された検量線を利用して、ディスプレイ表示値対
カルボン酸基含有水溶性ポリマー濃度の検量線を作成し
ておき、ディスプレイ表示値から容易にカルボン酸基含
有水溶性ポリマー濃度に換算することができるようにし
ておくのが好都合である。なお、例えば、カルボン酸基
含有水溶性ポリマー濃度が低く、測定感度を確保するた
めに多量のサンプル水を上記吸着カラムに通水させて該
ポリマーを高度に濃縮する様な場合は、サンプル水のカ
ルボン酸基含有水溶性ポリマー濃度は、吸着カラムに通
水したサンプル水の量とその発色液の量から容易に算出
することができる。
【0024】なお、ブランク水としては、カルボン酸基
含有水溶性ポリマーのみを含まず他の成分は同じブラン
ク水を用いるのが測定精度の点で好ましいことは言うま
でも無いが、測定時間短縮の為には、純水を吸着カラム
を通過させずに用い、サンプル水の場合と溶離液量が同
じになる様な量の溶離液を加え、2種類の発色試薬液で
発色させて、ブランク水の発色液として用いても良い。
この場合、予め測定対象水系と純水との関連で、ディス
プレイ表示値対カルボン酸基含有水溶性ポリマー濃度の
検量線を作成しておくのが好ましく、また、ブランク水
として純水を用いた発色液を安定した状態で保存できる
時間は、暗所保存で約15分間である。また、サンプル
水の数が複数の場合、該複数のサンプル水の発色液を、
例えば、実質的に同時に調製し、同じブランク水の発色
液を用い、その安定保存時間内に複数の測定を行うこと
もできる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により具体的に本発明を説明す
るが、本発明は実施例に限定されるものでは無い。
【0026】実施例1 簡易型硝酸性窒素濃度測定機器「POCKET COLORIMETER」
を用いて、表1に示すような5種類の既知ポリアクリル
酸濃度の水溶液(サンプル水)について、次の方法でポ
リアクリル酸(分子量:4500)の定量を行った。
【0027】表1に示すポリアクリル酸濃度の各サンプ
ル水をビーカーに30ml採取し、pH2.5の緩衝液
0.5mlを加えサンプル水のpHを2〜3に調整後、
このpH調整サンプル水20mlをオクタデシルシラン
を結合したシリカゲルを充填したカラムに通過させた。
サンプル水が通過したカラムにメタノール/水から成る
溶離液を10ml通過させ、得られた溶出液を25ml
メスシリンダーに採取し、25mlになるまで脱塩水で
希釈した。また、脱塩水(以後、「ブランク水」と言
う)についても以上と同様の操作を行った。その2本の
25mlメスシリンダーそれぞれに所定濃度の鉄イオン
含有水溶液を1ml加え、撹拌後、5分間静置し、更に
それぞれに所定濃度のチオシアン酸イオン含有水溶液を
1ml加え、撹拌後、5分間静置させた。
【0028】所定時間経過後、それぞれ得られた各発色
液を簡易型硝酸性窒素濃度測定機器「POCKET COLORIMET
ER」付属のガラスセルに入れた。先ず、サンプル水の発
色液が入ったガラスセルを測定機器に入れて吸光度を測
定させ、この発色液で測定機器のゼロ点調整を行った。
次に、ブランク水の発色液が入ったガラスセルを測定器
に入れて吸光度を測定させた。これにより、測定機器が
両者の吸光度の差を自動的に計算し、測定機器に内蔵さ
れた検量線から硝酸性窒素濃度としての測定値がディス
プレイに表示された。
【0029】このディスプレイ表示値(硝酸性窒素濃度
としての測定値)とポリアクリル酸濃度の関係は表1に
示す通りで、これをグラフに表すと、ポリアクリル酸濃
度が0〜20ppmでは図1に示す様な相関関係が得ら
れた。なお、図1における縦軸の「硝酸性窒素濃度(p
pm)」は、上記ディスプレイ表示値であり、勿論、硝
酸性窒素を検出したものでは無く、上記測定機器がポリ
アクリル酸を恰も硝酸性窒素濃度の如く検出したもので
ある。
【0030】
【表1】 ポリアクリル酸濃度(ppm) ディスプレイ表示値(ppm) 0 0 5 3.24 10 8.95 15 15.7 20 23.7
【0031】次に、ポリアクリル酸濃度未知のポリアク
リル酸含有水について、上述の方法に従って、簡易型硝
酸性窒素濃度測定機器を用いて測定し、図1を検量線と
して用いて定量したところ、ポリアクリル酸濃度は1
5. 4ppmであった。
【0032】一方、上記のポリアクリル酸濃度未知のポ
リアクリル酸含有水のポリアクリル酸濃度を米国HAC
H社製多種水質測定項目分光光度計で測定波長482n
mで従来法により測定したところ、15. 3ppmであ
り、本発明の方法による値と非常に良い一致を示した。
【0033】
【発明の効果】本発明の方法を利用すれば、安価な一点
分光光度計を用いても、水系のカルボン酸基含有水溶性
ポリマーの定量を行うことができ、しかも、カルボン酸
基含有水溶性ポリマーの定量を簡便且つ低コストに行う
ことが可能となる。本発明の方法は、水系中のポリアク
リル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、これらの
単量体単位を有する共重合体類、および、これらの混合
物等の各種カルボン酸基含有水溶性ポリマー類の定量に
利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1において簡易型硝酸性窒素濃
度測定機器を用いて行ったカルボン酸基含有水溶性ポリ
マーの定量の結果に基づいて得られたディスプレイ表示
値(硝酸性窒素濃度としての測定値)とポリアクリル酸
濃度の関係を示すグラフ図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年5月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】上記の簡易型硝酸性窒素濃度測定機器「PO
CKET COLORIMETER」は、528nmの測定波長を有し、
カドミウム還元測定法による硝酸性窒素濃度の検量線が
内蔵されている一点分光光度計である。この測定機器に
内蔵されている検量線の傾きは、硝酸性窒素濃度に対し
て吸光度が正であるのに対し、鉄イオンとチオシアン酸
イオンとの発色反応を利用した鉄−チオシアネート比色
法によるカルボン酸基含有水溶性ポリマーの測定濃度
は、吸光度に対する検量線の傾きが負となる関係にあ
る。従って、カドミウム還元測定法の硝酸性窒素濃度算
出プログラムが内臓されている上記簡易型硝酸性窒素濃
度測定機器による通常の硝酸性窒素濃度測定方法では、
ブランク水の発色操作処理液〔元々ブランク水には殆ど
硝酸性窒素が含まれていないので、殆ど発色しない〕の
吸光度を測定した後(ゼロ点調整した後)、サンプル水
の発色液の吸光度を測定するのが手順であるが、同じ手
順でこの硝酸性窒素濃度測定機器を用いてカルボン酸基
含有水溶性ポリマーの定量を行うことはできない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高見 英俊 東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガ ノ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水系中のカルボン酸基含有水溶性ポリマ
    ーを鉄−チオシアネート比色法により定量するに当た
    り、500nmを超え且つ580nm以下、好ましくは
    500nmを超え且つ550nm以下の波長範囲の可視
    光線を用いることを特徴とするカルボン酸基含有水溶性
    ポリマーの定量方法。
  2. 【請求項2】 前記可視光線として波長528nmの可
    視光線を用いることを特徴とする請求項1に記載のカル
    ボン酸基含有水溶性ポリマーの定量方法。
  3. 【請求項3】 前記可視光線を用いる硝酸性窒素濃度測
    定機器を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載
    のカルボン酸基含有水溶性ポリマーの定量方法。
  4. 【請求項4】 前記硝酸性窒素濃度測定機器にプログラ
    ムされた吸光度対硝酸性窒素濃度の検量線により得られ
    る測定値をカルボン酸基含有水溶性ポリマー濃度に換算
    することを特徴とする請求項3に記載のカルボン酸基含
    有水溶性ポリマーの定量方法。
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