JPH11335171A - セラミックス繊維/SiC複合材料の製造方法 - Google Patents

セラミックス繊維/SiC複合材料の製造方法

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JPH11335171A
JPH11335171A JP10143045A JP14304598A JPH11335171A JP H11335171 A JPH11335171 A JP H11335171A JP 10143045 A JP10143045 A JP 10143045A JP 14304598 A JP14304598 A JP 14304598A JP H11335171 A JPH11335171 A JP H11335171A
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晃 香山
Hiroshi Araki
弘 荒木
Tetsuji Noda
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 空隙率が低く、優れた高温特性を示すセラミ
ックス繊維/SiC複合材料を得る。 【構成】 SiC繊維又はC繊維の成形体を1〜3MP
aで加圧し、加圧状態の繊維成形体にアルキルクロロシ
ランを浸透させ、アルキルクロロシランの熱分解反応に
よって生成したSiC相で相互に隣接するSiC繊維又
はC繊維を結合した後、繊維成形体を加圧状態から解放
し、更にアルキルクロロシランの熱分解反応によってS
iC相を繊維成形体の内部に析出させる。アルキルクロ
ロシランは、繊維成形体を900〜1200℃に加熱保
持することにより熱分解してSiC相を析出する。 【効果】 加圧状態及び加圧解除状態の2段階でSiC
相を析出させることにより、繊維成形体の内部空隙を万
遍なくSiC相のマトリックスで充填し、緻密度の高い
複合材料となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温雰囲気においても
高度に安定した高強度を示すC繊維,SiC繊維等を用
いたセラミックス繊維/SiC複合材料を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力,航空宇宙分野等の特殊環境や極
限環境で使用される材料として、耐熱性や耐摩耗性に優
れたセラミックス系材料が注目されている。セラミック
ス系材料は、熱交換器,メカニカルシール等の過酷な条
件に曝される部材としても使用されている。なかでも、
SiC,Si34 等の非酸化物系セラミックスは、高
温雰囲気においても優れた強度を維持する材料である。
特に、SiCやCは、強度,耐熱性,高熱伝導性,耐摩
耗性に優れていることに加え、中性子照射によっても長
寿命の放射性核種を生じないことを活用し、宇宙航空用
から核融合炉の第1隔壁に至るまでの広範な分野におい
て有望視されている材料である。SiCは、融点が非常
に高く高温特性に優れているが、それ自体では脆い材料
である。そこで、C繊維やSiC繊維で強化した複合材
料の開発が進められており、400MPaを超える強度
をもつセラミックス繊維/SiC複合材料も提案されて
いる[A.Lacombe and C.Bonne
t,2nd Int.Aerospace Plane
s Conf.Proc.AIAA−90−5208
(1990),C.W.Hollenberg et
al.,J.Nucl.Mat.,219,(199
5)70−86参照]。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】マトリックスとなるS
iC相を形成する方法として、クロロシランの熱分解を
利用する方法が一部で採用されている。この方法は、最
終製品に近い形状の複合材料が得られるため、過酷な環
境における耐熱性が要求される航空機部品等の製造に適
用されている。しかし、クロロシランの熱分解でマトリ
ックスのSiC相を形成する場合、SiC繊維又はC繊
維を予め所定形状に成形した繊維成形体の内部空隙がS
iC相で十分に充填されない部分が生じがちである。S
iC相で充填されていない内部空隙は層間剥離や破壊の
起点になり易いが、従来法によるとき最終的な空隙率を
20体積%以下に低下することは困難である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、加圧状態でのS
iC相析出反応を組み込むことにより、90体積%を超
える高緻密度をもち、SiC本来の特性を活用した高温
特性に優れたセラミックス繊維/SiC複合材料を得る
ことを目的とする。本発明の製造方法は、SiC繊維又
はC繊維の成形体を1.0〜3.0MPaで加圧し、加
圧状態の繊維成形体にアルキルクロロシランを浸透さ
せ、アルキルクロロシランの熱分解反応によって生成し
たSiC相で相互に隣接するSiC繊維又はC繊維を結
合した後、繊維成形体を加圧状態から解放し、更にアル
キルクロロシランの熱分解反応によってSiC相を繊維
成形体の内部に析出させることを特徴とする。アルキル
クロロシランを熱分解するため、繊維成形体を900〜
1200℃に加熱保持することが好ましい。
【0005】セラミックス繊維としてはC繊維又はSi
C繊維が使用され、SiC相の析出に先立って繊維束又
は織物にされる。たとえば、C繊維又はSiC繊維を平
織し、或いは朱子織物としたものが使用される。繊維束
又は織物の積層材を加圧保持して繊維成形体とし、繊維
成形体の内部にアルキルクロロシランを浸透させ、マト
リックスとなるSiC相を析出させる。アルキルクロロ
シランには、メチルクロロシラン,ジメチルクロロシラ
ン,エチルクロロシラン,プロピルクロロシラン等のア
ルキルクロロシランが反応性ガスとして使用される。
【0006】
【作用】本発明者等は、アルキルクロロシランの熱分解
によってSiC繊維,C繊維等の繊維成形体の内部をS
iC相で充填する場合、得られる複合材料の緻密度が低
い理由を次のように推察した。アルキルクロロシラン
は、流路抵抗の少ない箇所を優先的に流れて繊維成形体
の内部に浸透する。浸透したアルキルクロロシランが熱
分解してSiCを析出させると、析出部分の流路抵抗が
上昇し、アルキルクロロシランが一層流れにくくなる。
繊維成形体の内部でアルキルクロロシランの流量分布に
変動があるため、析出するSiC相も不均一になる。そ
の結果、繊維成形体の内部にクローズドポアが生じ、製
品に持ち込まれる。また、SiC繊維又はC繊維の隣接
間距離が大きな箇所では間隙を析出SiC相で埋め切れ
ず、空隙のまま残留する。
【0007】そこで、繊維成形体内部の流路抵抗が緻密
度の向上にネックとなっているとの前提で、繊維成形体
内部の流路抵抗を均一化して、アルキルクロロシランを
繊維成形体の内部に万遍なく行き渡らせ、SiCの析出
反応を均一化させる方法を検討した。その結果、加圧条
件下でアルキルクロロシランを熱分解させる第1工程,
無負荷の条件下でアルキルクロロシランを熱分解させる
第2工程に分けてSiCを析出させるとき、繊維成形体
の内部空隙が析出したSiC相で効率よく充填されるこ
とを見出した。
【0008】第1工程では、繊維束又は織物の積層材を
1.0〜3.0MPa,好ましくは1.0〜2.0MP
aの一定加圧条件下に保持した繊維成形体にアルキルク
ロロシランを浸透させる。圧力付加によって繊維成形体
が圧縮され、各繊維間の空隙が一定化する。しかし、
3.0MPaを超える圧力では、切断等による繊維の損
傷が生じ易くなる。加圧された繊維成形体を900〜1
200℃に加熱すると、繊維と繊維が接触している箇所
にアルキルクロロシランからSiCが析出し、析出した
SiCによりその箇所で繊維が部分的に結束される。こ
のようにして、アルキルクロロシランの熱分解生成物で
あるSiCが繊維成形体の内部に均等に析出する。ま
た、隣接するSiC繊維又はC繊維が析出SiCで結束
されるため、繊維成形体に形状自己保持性が付与され
る。しかし、繊維成形体に加える圧力が1MPaに満た
ないと、空隙の大きさにバラツキが生じ、次の工程でS
iCを含浸析出させても空隙率を20体積%以下にする
ことが困難になる。
【0009】第1工程のSiC析出処理は、繊維成形体
に加えている圧力を解除した後でも繊維成形体の圧縮状
態が維持されるように、繊維を部分的に結束するまで続
けられる。具体的には、950℃の反応温度では、第1
工程のSiC析出処理を3時間程度継続し、厚さ0.2
〜0.5μmのSiC析出層を形成する。第1工程でC
繊維又はSiC繊維の表面に析出したSiC相は、第2
工程で析出するSiC相に対する呼び水としての作用を
呈する。すなわち、第1工程でC繊維又はSiC繊維が
析出SiC相に対してなじみ易い表面に調整されている
ため、通常の条件下でアルキルクロロシランを熱分解し
ても、生成したSiCがC繊維又はSiC繊維の表面に
良好な付着力で均一に析出する。しかも、第1工程で析
出したSiC相によって隣接繊維が相互に結合されてい
るため、繊維成形体内部にある空隙も平均化されてい
る。その結果、繊維間の空隙が十分にSiC相で充填さ
れ、緻密度の高いセラミックス繊維/SiC複合材料が
得られる。
【0010】得られたセラミックス繊維/SiC複合材
料は、空隙率が10体積%以下に抑えられており、機械
的破壊の起点や破壊の伝播経路が低減され、高強度の材
料となる。たとえば、SiC繊維/SiC複合材料では
500〜750MPa,C繊維/SiC複合材料では4
00〜800MPaの曲げ強度を示す材料となる。
【0011】
【実施例】実施例1:線径15μmのSiC繊維を束に
し、直径40mm,厚み2mmの円盤状に7枚積層し
た。繊維積層体1を図1に示すように孔の開いたMo製
円盤2,2に挟み、炭素質ホルダー3にボルト4で固着
した。Mo製円盤2,2としては、厚みが2mmで、多
数のガス透過孔5を全面に形成したものを使用した。M
o製円盤2の外周縁部には円周方向に等間隔でボルト挿
通孔6が形成されており、挿通孔6に差し通されたボル
ト4は、炭素質ホルダー3に形成されているネジ孔7に
ねじ込まれる。炭素質ホルダー3にも、同様な複数のガ
ス透過孔8が形成されている。繊維積層体1に加える圧
力はボルト4のねじ込み量によって調節され、また繊維
積層体1の全体に均等な圧力が加えられる。
【0012】繊維積層体1に1.0MPaの圧力を加
え、0.133MPaの真空チャンバに配置した。真空
チャンバに反応性ガス8としてエチルクロロシランを流
量2×10-5Nm3 /分で供給し、Mo製円盤2,2及
び炭素質ホルダー3のガス透過孔5,8を介して繊維積
層体1にエチルクロロシランを浸透させた。エチルクロ
ロシランを供給しながら繊維積層体1を900℃に加熱
し、SiC相の析出を3時間継続した。3時間経過時点
では、繊維積層体1の内部に析出したSiC相によって
SiC繊維が相互に結着されているため、ボルト4を緩
めても繊維積層体1はその形状を自己保持していた。
【0013】圧力から解放された繊維積層体1を円筒状
の炭素質ホルダーに取り付け、繊維成形体1の露呈面全
域に反応性ガス9が当るようにエチルクロロシランを供
給し、SiC相の析出を温度900℃で20時間継続さ
せた。得られたSiC繊維/SiC複合材料は、顕微鏡
で観察した組織写真を示す図2(80倍)及び図3(8
00倍)にみられるように、個々のSiC繊維の間にS
iC相が均一に析出しており、緻密度が極めて高い複合
材料であることが判った。実際、密度測定法で空隙率を
測定したところ、従来法では得られない5体積%と低い
値であった。
【0014】実施例2:線径15μmのSiC繊維でで
きた平織材を直径40mmに切り出したものを7枚重ね
て繊維積層体とした。この繊維積層体を6.2×10-3
〜1.0MPaで加圧成形し、加圧状態でエチルクロロ
シランの気相熱分解によりSiCの析出反応を950℃
で3時間継続した。次いで、加圧状態から繊維積層体を
解放し、更にSiCの析出反応を950℃で20時間継
続した。得られたSiC繊維/SiC複合材料の空隙率
を実施例1と同じ方法で測定すると共に、JISに規定
する金属材料曲げ試験方法に準拠して曲げ強度を測定し
た。測定結果を熱分解時に繊維成形体に加えた圧力で整
理したところ、第1表に示す関係があることが判った。
すなわち、第1工程でエチルクロロシランを熱分解させ
るときに繊維成形体に加える圧力を大きくするほど、得
られたSiC繊維/SiC複合材料の緻密度及び曲げ強
度が向上している。なかでも、1.0MPaで加圧した
ものでは、複合材料の緻密度が90体積%に達し、曲げ
強度も750MPaと極めて高い値を示した。
【0015】
【0016】実施例1及び2では、SiC繊維を使用し
た場合を説明したが、SiC繊維に替えてC繊維を用い
た場合でも、同様にして緻密度の高いC繊維/SiC複
合材料が得られた。
【0017】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、SiC繊維又はC繊維の繊維成形体の内部にSiC
相を析出させてマトリックスを形成する際、先ず加圧状
態の繊維成形体にアルキルクロロシランを浸透させ、繊
維成形体の内部に万遍なくSiC相を析出させている。
このときに析出したSiC相によって、繊維成形体の内
部構造が平均化されると共に、SiC繊維又はC繊維の
表面が改質され、析出SiCに対する馴染み性が向上す
る。そのため、加圧力を解除してアルキルクロロシラン
の熱分解反応を続行しても、繊維成形体の内部にSiC
相が均一に析出し、SiC繊維又はC繊維間の空隙が析
出SiC相で十分に充填される。このようにして得られ
たセラミックス繊維/SiC複合材料は、従来法による
複合材料に比較して緻密度が極めて高く、曲げ強度に優
れ、しかも軽量なことから、航空宇宙用部品,原子炉隔
壁,熱交換器部品等として過酷な環境に曝される用途に
使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で採用した繊維成形体を加圧保持す
る手段を示す図
【図2】 実施例1で製造されたSiC繊維繊維/Si
C複合材料の組織を示す顕微鏡写真(倍率80倍)
【図3】 実施例1で製造されたSiC繊維繊維/Si
C複合材料の組織を示す顕微鏡写真(倍率800倍)
【手続補正書】
【提出日】平成10年5月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野田 哲二 茨城県つくば市千現一丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiC繊維又はC繊維の成形体を1.0
    〜3.0MPaで加圧し、加圧状態の繊維成形体にアル
    キルクロロシランを浸透させ、アルキルクロロシランの
    熱分解反応によって生成したSiC相で相互に隣接する
    SiC繊維又はC繊維を結合した後、繊維成形体を加圧
    状態から解放し、更にアルキルクロロシランの熱分解反
    応によってSiC相を繊維成形体の内部に析出させるこ
    とを特徴とするセラミックス繊維/SiC複合材料の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 繊維成形体を900〜1200℃に加熱
    保持し、繊維成形体の内部に浸透したアルキルクロロシ
    ランを熱分解する請求項1記載のセラミックス繊維/S
    iC複合材料の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002211984A (ja) * 2001-01-16 2002-07-31 National Institute For Materials Science SiC又はC繊維/SiC複合材料の製造方法
EP1457472A1 (de) * 2003-03-11 2004-09-15 ARC Seibersdorf research GmbH Verbundwerkstoff und Verfahren zu dessen Herstellung

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002211984A (ja) * 2001-01-16 2002-07-31 National Institute For Materials Science SiC又はC繊維/SiC複合材料の製造方法
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