JPH11325096A - 等速自在継手 - Google Patents

等速自在継手

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JPH11325096A
JPH11325096A JP13309798A JP13309798A JPH11325096A JP H11325096 A JPH11325096 A JP H11325096A JP 13309798 A JP13309798 A JP 13309798A JP 13309798 A JP13309798 A JP 13309798A JP H11325096 A JPH11325096 A JP H11325096A
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ball
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Takeo Yamamoto
武郎 山本
Yukihiro Tanigawa
幸広 谷川
Toshiki Sugiura
豪軌 杉浦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボールの保持器に作用する押圧力を抑制する
ことの可能な等速自在継手を提供する。 【解決手段】 複数のインナー溝16を有するインナー
レース10と、複数のアウター溝17を有するアウター
レース11と、複数のインナー溝16および複数のアウ
ター溝17に各々配置される複数のボール12と、複数
のボール12を保持する保持器13とを備え、複数のイ
ンナー溝16の円弧形状部分の曲率中心D1と、複数の
アウター溝17の円弧形状部分の曲率中心G1とが2等
分面C1の両側にオフセットされている等速自在継手1
において、インナー溝9とボール4との第1当接点J1
が2等分面C1に近づく方向に、インナー溝9が螺旋方
向に傾斜され、アウター溝10とボール4との第2当接
点K2が2等分面C1に近づく方向に、アウター溝10
が螺旋方向に傾斜されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両の動力伝達
装置の構成部品として用いられる等速自在継手に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両用のプロペラシャフトは自
在継手を備えているが、駆動側回転部材と従動側回転部
材との接続角が大きい場合には、主としてダブルカルダ
ン型等速自在継手が利用されている。このダブルカルダ
ン型等速自在継手は、フックジョイントを2個結合する
ことにより、各回転部材同士の等速性を維持するもので
ある。しかしながら、ダブルカルダン型等速自在継手
は、フックジョイントを2個結合する構造であるため、
製造コストが高く、大重量化する問題がある。そこで、
最近では構造が簡単で軽量なバーフィールド型等速自在
継手が広く用いられるている。
【0003】上記のようなバーフィールド型等速自在継
手を有するプロペラシャフトの一例が、特開平7−91
458号公報に記載されている。この公報に記載された
バーフィールド型等速自在継手は、インナーレースと、
インナーレースの外側に配置されたアウターレースとを
備えている。このインナーレースの外周面には複数のイ
ンナー溝が形成されており、アウターレースの内周面に
は複数のアウター溝が形成されている。そして、1つの
インナー溝および1つのアウター溝を1組として、各組
毎にボールが各々保持されている。
【0004】さらに、インナーレースの第1軸線と、ア
ウターレースの第2軸線とのなす角度を2等分する2等
分面が設定されている。そして、第1軸線を含む平面内
におけるインナー溝の曲率中心と、第2軸線を含む平面
内におけるアウター溝の曲率中心とが、2等分面の両側
にオフセットされている。さらにまた、インナーレース
とアウターレースとの間には、環状の保持器が配置され
ている。この保持器により各ボールが保持されている。
【0005】そして、プロペラシャフトの取付状態にお
いては、インナーレースがトランスミッション側に連結
され、アウターレースがデファレンシャル側に接続され
ている。また、インナーレースの第1軸線とアウターレ
ースの第2軸線とが交差し、所定の接続角が設定されて
いる。
【0006】上記構成のプロペラシャフトによれば、ト
ランスミッションから出力されたトルクが、インナーレ
ースおよびボールならびにアウターレースを介してデフ
ァレンシャルに伝達される。ここで、バーフィールド型
等速自在継手によるトルクの伝達中は、各ボールがイン
ナー溝内およびアウター溝内を、2等分面に直交する方
向に移動するとともに、各ボールの中心が2等分面上に
維持されてインナーレース(駆動側回転部材)とアウタ
ーレース(従動側回転部材)との等速性が保たれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載されたバーフィールド型等速自在継手において
は、インナー溝の曲率中心およびアウター溝の曲率中心
が2等分面の両側にオフセットされている。つまり、ボ
ールとインナー溝の内面とが当接する当接点と、ボール
とアウター溝の内面とが当接する当接点とが、2等分面
の一方にオフセットされている。このため、トルクの伝
達時に、各当接点からボールの中心に向かう2つの力
(荷重)が作用する。そして、2つの力により、2等分
面に直交する方向の合力が生じて、各ボールがその方向
に押圧される。
【0008】すると、各ボールの押圧力が保持器に伝達
されるとともに、保持器の内周面がインナーレースの外
周面に押し付けられ、保持器の外周面がアウターレース
の内周面に押し付けられる。このため、保持器とインナ
ーレースおよびアウターレースとの当接部分が発熱す
る。その結果、これらの当接部分に疲労または摩耗ある
いは剥離が生じる可能性があり、バーフィールド型等速
自在継手の耐久性およびトルク伝達機能が低下する可能
性があった。
【0009】この発明は上記事情を背景としてなされた
もので、ボールから保持器に対して作用し、かつ、保持
器を2等分面に直交する方向に押圧する力を可及的に抑
制することができる等速自在継手を提供することを目的
としている。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記目的
を達成するためこの発明は、外周面に複数のインナー溝
が形成されたインナーレースと、このインナーレースの
外側に配置され、かつ、内周面に複数のアウター溝が形
成されたアウターレースと、前記1つのインナー溝およ
び前記1つのアウター溝を1組として各組毎に配置され
た複数のボールと、前記インナーレースと前記アウター
レースとの間に配置され、前記インナーレースの第1軸
線と前記アウターレースの第2軸線とのなす角度を2等
分する2等分面上に前記ボールの中心を保持させる環状
の保持器とを備え、前記第1軸線を含む平面内における
前記インナー溝の円弧形状部分の曲率中心と、前記第2
軸線を含む平面内における前記アウター溝の円弧形状部
分の曲率中心とが、前記2等分面の両側にオフセットさ
れることにより、前記ボールと前記インナー溝の円弧形
状部分とが当接する第1当接点と、前記ボールと前記ア
ウター溝の円弧形状部分とが当接する第2当接点が、前
記2等分面の一方にオフセットされている等速自在継手
において、前記インナー溝の円弧形状部分と前記ボール
との間でトルクを伝達する第1当接点が、前記2等分面
に近づく方向に、前記インナー溝の円弧形状部分の少な
くとも一部を螺旋方向に傾斜させるとともに、前記アウ
ター溝の円弧形状部分と前記ボールとの間でトルクを伝
達する第2当接点が、前記2等分面に近づく方向に、前
記アウター溝の円弧形状部分の少なくとも一部を螺旋方
向に傾斜させたことを特徴とする。
【0011】この発明によれば、インナーレースとアウ
ターレースとの間で、ボールによるトルクの伝達がおこ
なわれる。また、各ボールの中心が2等分面上に保持さ
れてインナーレースとアウターレースとが等速回転す
る。
【0012】一方、インナー溝およびアウター溝の円弧
形状部分の曲率中心が、2等分面の両側にオフセットさ
れているため、ボールとインナー溝およびアウター溝と
の当接点も、2等分面からオフセットされている。この
ため、インナーレースとアウターレースとの間でボール
を介してトルクの伝達がおこなわれると、ボールとイン
ナー溝の円弧形状部分との第1当接点、およびボールと
アウター溝の円弧形状部分との第2当接点において、ボ
ールの中心に向かう2つの荷重が生じる。
【0013】この発明においては、第1当接点が2等分
面に近づく方向に、インナー溝の円弧形状部分の少なく
とも一部が螺旋方向に傾斜され、第2当接点が2等分面
に近づく方向に、アウター溝の円弧形状部分の少なくと
も一部が螺旋方向に傾斜されている。このため、各荷重
のベクトルと2等分面とのなす鋭角側の角度が可及的に
小さくなり、2つの荷重の合力、すなわち、保持器を2
等分面に直交する方向に押圧する押圧力が低減される。
したがって、保持器とインナーレースおよびアウターレ
ースとの当接部分の発熱が抑制される。
【0014】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の等速自在継手
を、プロペラシャフトの構成部品として用いた場合の実
施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、こ
の発明の一実施例であるバーフィールド型等速自在継手
1の組立状態を示す断面図である。なお、等速自在継手
の技術分野において、バーフィールド型等速自在継手が
ツェッパ型等速自在継手と呼ばれる場合もある。バーフ
ィールド型等速自在継手1は、インナーレース2および
アウターレース3と、6個のボール4と、環状の保持器
5とを備えている。以下、これらの部品の構成、および
これらの部品と他の部品との位置関係を具体的に説明す
る。
【0015】インナーレース2は、シャフト6の一端側
にスプライン嵌合され、スナップリング(図示せず)に
より、インナーレース2がシャフト6の長手方向に対し
て位置決めされている。上記構成により、インナーレー
ス2は第1軸線A1を中心として回転可能になってい
る。なお、シャフト6はデファレンシャル(図示せず)
側に接続されている。
【0016】アウターレース3は円筒形状に構成され、
このアウターレース3はインナーレース2の外側に配置
されている。アウターレース3におけるシャフト6とは
反対側の端部には、アウターレース3と一体的にボス部
7が形成されており、このボス部7の外端にはシャフト
8が設けられている。このシャフト8がトランスミッシ
ョン(図示せず)側に接続されている。上記構成によ
り、アウターレース3が第2軸線B1を中心として回転
可能になっている。
【0017】上記構成のバーフィールド型等速自在継手
1を有するプロペラシャフトが車両に取り付けられた状
態においては、第1軸線A1と第2軸線B1とに所定の
接続角が設定されるが、図1においては、便宜上、第1
軸線A1と第2軸線B1とが、ほぼ直線状に設定された
状態で示されている。
【0018】図2はインナーレース2の平面図、図3は
インナーレース2の側面図である。インナーレース2の
外周には、円周方向に等間隔をおいて6条のインナー溝
9が形成されている。図1に示すように、第1軸線A1
を含む平面内における各インナー溝9の断面形状は、そ
の長さ方向の全部が、インナーレース2の外周側に向け
て突出する円弧形状に構成されている。そして、各イン
ナー溝9の円弧形状部分の曲率中心D1が、第1軸線A
1を含む平面内において、2等分面C1と第1軸線A1
との交点E1の一方にオフセットされている。なお、各
インナー溝9の側面形状はほぼ半円形に構成されてい
る。
【0019】また、全てのインナー溝9はその長さ方向
の全部が、インナーレース2の外周に螺旋方向に傾斜し
て形成されている。具体的には、各インナー溝9の幅方
向の中心線F1が直線状に構成され、第1軸線A1に対
して中心線F1が角度α1だけ傾斜されている。なお、
各インナー溝9の傾斜方向については、後述する。
【0020】一方、アウターレース3の内周には、円周
方向に等間隔に6条のアウター溝10が形成されてい
る。各アウター溝10は、第2軸線B1を含む平面内に
おける断面形状が、その長さ方向の全部が、アウターレ
ース3の外周側に向けて突出する円弧形状に構成されて
いる。そして、第2軸線B1を含む平面内において、各
アウター溝10の円弧形状部分の曲率中心G1が、2等
分面C1と第2軸線B1との交点E1の他方にオフセッ
トされている。つまり、第1軸線A1と第2軸線B1と
の交点E1の両側に、曲率中心D1と曲率中心G1とが
配置されている。また、各アウター溝10の側面形状
は、ほぼ半円形に構成されている。
【0021】図4はアウターレース3の構成を示す概念
的な平面図、図5はアウターレース3を、その開口端側
から見た側面図である。全てのアウター溝10は、その
長さ方向の全部が、アウターレース3の内周に螺旋方向
に傾斜して形成されている。具体的には、各アウター溝
10の幅方向の中心線H1が、第2軸線B1に対して角
度β1だけ傾斜している。各アウターレース10の傾斜
方向と、各インナー溝9の傾斜方向とは逆に設定されて
いる。なお、各アウターレース10の傾斜方向について
は後述する。
【0022】前記保持器5の外周面形状は、図1に示す
ように、その中心軸線(図示せず)を含む平面内におい
て、外周側に突出する方向に湾曲している。つまり、保
持器5の外球面(外周面)5Aの形状は、アウターレー
ス3の内球面3Aに近似する形状を備えている。そし
て、バーフィールド型等速自在継手1の組立状態におい
ては、外球面5Aと内球面3Aとが密着する。また、保
持器5の内球面(内周面)5Bの形状は、その中心軸線
を含む平面内において、外周側に突出する方向に湾曲し
ている。つまり、保持器5の内球面5Bはインナーレー
ス2の外球面2Aに近似する形状を備えている。そし
て、バーフィールド型等速自在継手1の組立状態におい
ては、内球面5Bと外球面2Aとが密着する。
【0023】また、保持器5には、円周方向に等間隔お
きに6箇所のボール保持孔11が、保持器5を厚さ方向
に貫通して形成されている。ここで、2等分面C1に直
交する平面内において、各ボール保持孔11の形状がほ
ぼ方形に構成されている。各ボール保持孔11に各ボー
ル4が配置されており、各インナー溝9および各アウタ
ーレース10を1組として、各組毎にボール4が保持さ
れている。
【0024】そして、アウターレース3とインナーレー
ス2との間で、ボール4を介してトルクが伝達される場
合は、ボール4がインナー溝9およびアウター溝10内
を、その長さ方向に移動することに伴って、ボール4と
インナー溝9の内面との当接点が3次元的に変位する。
この当接点は、例えば図2の1点鎖線で示す軌跡に沿っ
て移動する。そして、この実施例では、曲率中心D1と
曲率中心G1とが、2等分面C1の両側にオフセットさ
れている。このため、ボール4がインナー溝9の長さ方
向の所定位置にある場合において、インナー溝9の内面
とボール4との第1当接点J1,J2が、2等分面C1
からオフセットされた位置に設定される。
【0025】また、ボール4とアウター溝10の内面と
の当接点も3次元的に変位し、この当接点は、例えば図
4の1点鎖線で示す軌跡に沿って移動する。そして、こ
の実施例では、曲率中心D1と曲率中心G1とが、2等
分面C1の両側にオフセットされている。このため、ボ
ール4とアウター溝10の長さ方向の所定位置にある場
合において、アウター溝10の内面とボール4との第2
当接点K1,K2が、2等分面C1からオフセットされ
た位置に設定される。
【0026】ここで、前記アウター溝10およびインナ
ー溝9の傾斜方向について説明する。上記バーフィール
ド型等速自在継手1は、アウターレース3がトランスミ
ッション側に接続され、インナーレース2がデファレン
シャル側に接続されている。このため、図4に示すよう
に、アウターレース3が矢印方向に回転した場合は、ア
ウターレース3のトルクがボール4を介してインナーレ
ース2に伝達される。このトルク伝達時には、第2当接
点K2において、アウター溝10の内面からボール4の
中心M1に向かう荷重N1が作用する。また、第1当接
点J1において、インナー溝6の内面からボール4の中
心M1に向かう荷重(反力)N2が作用する。
【0027】そして、この実施例においては、第2中心
線H1と第2軸線B1とを一直線上に設定した状態か
ら、第2当接点K2が2等分面C1に近づく方向に、第
2中心線H1を第2軸線B1に対して角度β1だけ傾斜
している。言い換えれば、荷重N1のベクトルと2等分
面C1とのなす鋭角側の角度が、小さくなる方向に第2
中心線H1が傾斜されている。つまり、アウター溝10
は、所定の深さに設定され、かつ、第2軸線B1を含む
平面内で湾曲され、さらには、所定方向に傾斜されるこ
とにより、アウター溝10に3次元的な形状が付与され
ている。
【0028】また、この実施例においては、第1中心線
F1と第1軸線A1とを一直線上に設定した状態から、
第1当接点J1が2等分面C1に近づく方向に、第1中
心線F1を第1軸線A1に対して角度α1だけ傾斜して
いる。言い換えれば、荷重N2のベクトルと2等分面C
1とのなす鋭角側の角度が、小さくなる方向に第1中心
線F1が傾斜されている。つまり、インナー溝9は、所
定の深さに設定され、かつ、第1軸線A1を含む平面内
で湾曲され、さらには、所定方向に傾斜されることによ
り、インナー溝9に3次元的な形状が付与されている。
このようにして、インナー溝9とアウター溝10とが相
互に逆方向に傾斜されている。
【0029】一方、アウターレース3の開口部には、蛇
腹形状のブーツ(図示せず)の一端側が固定されてお
り、このブーツの他端側がシャフト6に固定されてい
る。このブーツにより、バーフィールド型等速自在継手
1の内部空間が密封され、密封された空間にはグリース
(図示せず)が封入されている。
【0030】上記インナーレース2およびアウターレー
ス3は、炭素鋼またはクロム鋼などの材料により構成さ
れている。また、保持器5はクロム鋼などの材料により
構成され、ボール4は軸受鋼などの材料により構成され
ている。さらに、シャフト6は炭素鋼または炭素鋼鋼管
またはボロン鋼などの材料により構成されている。そし
て、これらシャフト6およびインナーレース2およびア
ウターレース3およびボール4および保持器5を構成す
る材料には、全て熱処理が施されている。すなわち、中
炭素鋼には高周波焼入れが施され、低炭素鋼には浸炭焼
入れが施されている。このようにして、各種の材料を表
面硬化させることにより、各部品は、トルクの伝達に必
要な強度が確保されている。
【0031】つぎに、図1に示されたバーフィールド型
等速自在継手1によるトルクの伝達動作を説明する。バ
ーフィールド型等速自在継手1を有するプロペラシャフ
トが車両に取り付けられた状態では、第1軸線A1と第
2軸線B1とに所定の接続角が設定される。そして、ト
ランスミッションから出力されたトルクがプロペラシャ
フトのバーフィールド型等速自在継手1に伝達され、つ
いでデファレンシャルに伝達される。このようにして、
プロペラシャフトが高速回転するとともに、アウターレ
ース3に伝達されたトルクが、ボール4を介してインナ
ーレース2に伝達される。
【0032】そして、バーフィールド型等速自在継手1
においては、インナー溝9の曲率中心D1と、アウター
溝10の曲率中心G1とが交点E1に対してオフセット
され、かつ、各ボール4が保持器5により保持されてい
る。このため、各ボール4の中心M1が2等分面C1に
沿って円形の軌跡上を移動する。その結果、アウターレ
ース3とインナーレース2との等速回転が保たれる。
【0033】なお、アウターレース3およびインナーレ
ース2の回転位相の変化に伴って、アウターレース3お
よびインナーレース2に対して、保持器5が交点E1を
中心として変向運動する。したがって、アウターレース
3の内球面3Aと、保持器5の外球面5Aとが摺動し、
インナーレース2の外球面2Aと、保持器5の内周面5
Bとが摺動する。これらの摺動部位(発熱部位)および
その他の摺動部位が、グリースにより冷却および潤滑さ
れる。
【0034】アウターレース3およびインナーレース2
の回転中は、各ボール4が各インナー溝9およびアウタ
ー溝10をその長さ方向に移動する。ところで、バーフ
ィールド型等速自在継手1は、インナー溝9の円弧形状
部分の曲率中心D1およびアウター溝10の円弧形状部
分の曲率中心G1が、2等分面C1の両側にオフセット
されているため、ボール4とインナー溝9の内面との第
1当接点J1、およびボール4とアウター溝10の内面
との第2当接点K2も、2等分面C1からオフセットし
て設定されている。
【0035】このため、アウターレース3からボール4
を介してインナーレース2にトルクが伝達される場合
は、各ボール4とアウター溝10の内面との第2当接点
K2において、ボール4の中心M1に向かう荷重N1が
作用する。また、各ボール4とインナー溝9の内面との
第1当接点J1において、ボール4の中心M1に向かう
荷重N2が作用する。
【0036】この実施例においては、第1の当接点J1
が2等分面C1に近づく方向に、インナー溝9が傾斜し
ているとともに、第2の当接点K2が2等分面C1に近
づく方向に、アウター溝10が傾斜している。このた
め、前記第1当接点J1および第2当接点K2におい
て、ボール4の中心M1に向かう2つの荷重N1,N2
のベクトルと、2等分面C1とのなす鋭角側の角度が可
及的に小さくなる。その結果、2つの荷重N1,N2の
合力N3、すなわち、保持器5を2等分面C1に直交す
る方向に押圧する押圧力が低減される。
【0037】このようにして、保持器5の内球面5Bと
インナーレース2の外球面2Aとの当接部分P1、およ
び保持器5の外球面5Aとアウターレース3の内球面3
Aとの当接部分P2の摩擦力(言い換えれば仕事量)が
軽減され、当接部分P1,P2の発熱が抑制される。し
たがって、当接部分P1,P2の疲労または摩耗あるい
は剥離が生じにくくなり、バーフィールド型等速自在継
手1の耐久性およびトルク伝達機能が向上する。
【0038】なお、本出願人らの行った試験によれば、
アウター溝およびインナー溝が、傾斜されていない比較
例のバーフィールド型等速自在継手と、実施例のバーフ
ィールド型等速自在継手1とを比較した場合、前記仕事
量が約2/3程度に低減されることが確認されている。
【0039】また、当接部分P1,P2の発熱が抑制さ
れるため、インナーレース2およびアウターレース3な
らびに保持器5などの部品のサイズ(具体的には外径)
を小型化した場合でも、必要なトルクを伝達することが
可能になる。したがって、バーフィールド型等速自在継
手1自体の小型化および軽量化が実現され、かつ、バー
フィールド型等速自在継手1の周囲に配置される部品と
の隙間を狭めることができ、車載性が向上する。
【0040】さらに、当接部分P1,P2の発熱が抑制
されるため、バーフィールド型等速自在継手1の内部に
封入されるグリースの成分や、ブーツの材料の選択幅が
広がる。さらにまた、当接部分P1,P2の発熱が抑制
されるため、アウターレース3とインナーレース2との
接続角を可及的に大きく設定することが可能になる。し
たがって、アウターレース3とインナーレース2との接
続角を所定値以上に大きく設定する必要性のある車両も
しくは取付部位に対して、バーフィールド型等速自在継
手1を適用することが可能になり、その適用範囲が拡大
されて大量生産を促進することになる。
【0041】なお、この発明においては、アウター溝の
長さ方向の一部を螺旋方向に傾斜させ、インナー溝の長
さ方向の一部を螺旋方向に傾斜させる構成を採用するこ
とも可能である。また、この発明においては、6本のイ
ンナー溝およびアウター溝のうち、5本以下のインナー
溝およびアウター溝を螺旋方向に傾斜させる構成を採用
することも可能である。
【0042】また、この発明は、アンダーカットフリー
型等速自在継手と呼ばれる構成の等速自在継手にも適用
可能である。このアンダーカットフリー型等速自在継手
は、第1軸線を含む平面内におけるインナー溝の一部に
円弧形状部分が形成され、インナー溝における円弧形状
部分以外の部分が、第1軸線と平行に構成されている。
また、第2軸線を含む平面内におけるアウター溝の一部
に円弧形状部分が形成され、アウター溝における円弧形
状部分以外の部分が、第2軸線と平行に構成されてい
る。
【0043】さらに、この発明の等速自在継手は、イン
ナーレースがトランスミッション側に接続され、アウタ
ーレースがデファレンシャル側に接続される構成のプロ
ペラシャフトにも適用可能である。この場合は、インナ
ーレースのインナー溝の傾斜方向、およびアウターレー
スのアウター溝の傾斜方向が、図示実施例とは逆に設定
されることになる。さらにまた、この発明の等速自在継
手は、ドライブシャフトに適用することも可能である。
【0044】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、インナ
ーレースおよびアウターレースとボールとの間でトルク
が伝達される場合に、第1当接点および第2当接点から
ボールの中心に向けて2つの荷重が作用する。ここで、
第1当接点が2等分面に近づく方向に、インナー溝の円
弧形状部分の少なくとも一部が螺旋方向に傾斜され、第
2当接点が2等分面に近づく方向に、アウター溝の円弧
形状部分の少なくとも一部が螺旋方向に傾斜されてい
る。
【0045】このため、各荷重のベクトルと2等分面と
のなす鋭角側の角度が可及的に小さくなり、2つの荷重
の合力、すなわち、保持器を2等分面に直交する方向に
押圧する押圧力が低減される。したがって、保持器とイ
ンナーレースおよびアウターレースとの当接部分の発熱
が抑制され、当接部分の疲労または摩耗あるいは剥離が
生じにくくなり、等速自在継手の耐久性およびトルク伝
達機能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例であるバーフィールド型
等速自在継手の断面図である。
【図2】 図1に示されたバーフィールド型等速自在継
手に用いられるインナーレースの平面図である。
【図3】 図2に示されたインナーレースの側面図であ
る。
【図4】 図1に示されたバーフィールド型等速自在継
手に用いられるアウターレースの平面図である。
【図5】 図4に示されたアウターレースの側面図であ
る。
【符号の説明】
2…インナーレース、 3…アウターレース、 4…ボ
ール、 5…保持器、9…インナー溝、 10…アウタ
ー溝、 C1…2等分面、 D1,G1…曲率中心、
J1…第1当接点、 K2…第2当接点。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面に複数のインナー溝が形成された
    インナーレースと、このインナーレースの外側に配置さ
    れ、かつ、内周面に複数のアウター溝が形成されたアウ
    ターレースと、前記1つのインナー溝および前記1つの
    アウター溝を1組として各組毎に配置された複数のボー
    ルと、前記インナーレースと前記アウターレースとの間
    に配置され、前記インナーレースの第1軸線と前記アウ
    ターレースの第2軸線とのなす角度を2等分する2等分
    面上に前記ボールの中心を保持させる環状の保持器とを
    備え、前記第1軸線を含む平面内における前記インナー
    溝の円弧形状部分の曲率中心と、前記第2軸線を含む平
    面内における前記アウター溝の円弧形状部分の曲率中心
    とが、前記2等分面の両側にオフセットされることによ
    り、前記ボールと前記インナー溝の円弧形状部分とが当
    接する第1当接点と、前記ボールと前記アウター溝の円
    弧形状部分とが当接する第2当接点が、前記2等分面の
    一方にオフセットされている等速自在継手において、前
    記インナー溝の円弧形状部分と前記ボールとの間でトル
    クを伝達する第1当接点が、前記2等分面に近づく方向
    に、前記インナー溝の円弧形状部分の少なくとも一部を
    螺旋方向に傾斜させるとともに、前記アウター溝の円弧
    形状部分と前記ボールとの間でトルクを伝達する第2当
    接点が、前記2等分面に近づく方向に、前記アウター溝
    の円弧形状部分の少なくとも一部を螺旋方向に傾斜させ
    たことを特徴とする等速自在継手。
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