JPH11316297A - 使用済燃料輸送用容器と使用済燃料の輸送方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャニスタと容器蓋との間にギャップがあっ
ても輸送時の振動や衝撃等によってキャニスタが容器蓋
に衝突するようなことがなく、キャニスタの変形や破損
等を防止することのできる使用済燃料輸送用容器を提供
することを目的とする。 【解決手段】 使用済燃料を収容したキャニスタ１を収
容するために一端を開口させて筒状に形成された容器本
体２と、この容器本体２の開口した端部を閉塞する容器
蓋３とを具備してなる使用済燃料輸送用容器において、
容器蓋３にキャニスタ１を容器本体２に弾性的に押し付
ける押し付け機構４を設けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉で使用され
た使用済燃料集合体（以下、使用済燃料という）を原子
力発電所から貯蔵施設等に輸送する場合に使用される使
用済燃料輸送用容器と使用済燃料の輸送方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】原子炉で使用された使用済燃料は、通
常、再処理工場で再処理に供されるが、近年では原子力
発電所で発生する使用済燃料の発生量と再処理工場の再
処理能力とのアンバランスから使用済燃料を発電所外の
貯蔵施設に貯蔵する必要性が生じつつある。

【０００３】使用済燃料を発電所外の貯蔵施設に貯蔵す
る場合には、使用済燃料をキャニスタと称される鋼製の
容器に収容し、このキャニスタを空気により通風冷却し
て使用済燃料から発生する崩壊熱を除熱する必要があ
る。また、使用済燃料を発電所外の貯蔵施設に貯蔵する
場合には、キャニスタに収容された使用済燃料を発電所
から貯蔵施設に輸送しなければならないが、使用済燃料
からはγ線等の放射線が放出されるため、使用済燃料の
輸送に際しては放射線の遮蔽対策を施す必要がある。

【０００４】このような観点からキャニスタに収容され
た使用済燃料を貯蔵施設に輸送するための容器として、
図２に示すような輸送用容器が従来において提案されて
いる。ここで、図中１は使用済燃料を収容したキャニス
タ、２はキャニスタ１を収納するための容器本体であ
り、この容器本体２は一端を開口させて略円筒状に形成
されている。また、図中３は容器本体２の開口した端部
を閉塞する容器蓋であり、この容器蓋３は複数本のボル
トとナットによって容器本体２に締結固定されるように
なっている。なお、容器本体２はキャニスタ１からの放
射線を遮蔽するために、鉄等の金属からなる内側円筒容
器２ａと、この内側円筒容器２ａの外周に設けられた円
筒状のγ線遮蔽体２ｂと、このγ線遮蔽体２ｂの外周に
設けられた円筒状の中性子遮蔽体２ｃとで構成されてい
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記のような輸送用容
器では容器本体２が放射線の遮蔽機能を有しているた
め、キャニスタ１に収容された使用済燃料を目的地まで
安全に輸送できるという利点を有しているが、使用済燃
料を輸送する際にはキャニスタ１と容器蓋３との間にギ
ャップが生じる。このため、輸送時の振動や衝撃等によ
りキャニスタ１が容器蓋３に衝突し、キャニスタ１の変
形や破損を招く惧れがあった。

【０００６】本発明は上述した点に鑑みてなされたもの
で、キャニスタと容器蓋との間にギャップがあっても輸
送時の振動や衝撃等によってキャニスタが容器蓋に衝突
するようなことがなく、キャニスタの変形や破損等を防
止することのできる使用済燃料輸送用容器と使用済燃料
の輸送方法を提供することが本発明の目的とするところ
である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、請求項１の発明は、使用済燃料を収容したキャニ
スタを収容するために一端を開口させて筒状に形成され
た容器本体と、この容器本体の開口した端部を閉塞する
容器蓋とを具備してなる使用済燃料輸送用容器におい
て、前記容器蓋に前記キャニスタを前記容器本体に弾性
的に押し付ける押し付け機構を設けたことを特徴とす
る。請求項２の発明は、請求項１記載の使用済燃料輸送
用容器において、前記押し付け機構が前記容器蓋に一端
を固定された複数のコイルばねと、このコイルばねの他
端に固定された押え板とから構成されることを特徴とす
る。請求項３の発明は、使用済燃料を収容したキャニス
タを収容する使用済燃料輸送用容器の容器蓋に押し付け
機構を設け、この押し付け機構により前記キャニスタを
前記容器本体に押し付けて使用済燃料を輸送するように
したことを特徴とする。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。本発明の一実施形態に係る使用済燃
料輸送用容器を図１に示す。同図に示すように、本発明
の一実施形態に係る使用済燃料輸送用容器は、使用済燃
料を収容したキャニスタ１を収納するために一端を開口
させて略円筒状に形成された容器本体２と、この容器本
体２の開口した端部を閉塞する容器蓋３とを有してお
り、容器蓋３の図中下面には、使用済燃料を収容したキ
ャニスタ１を容器本体２の底面に押し付ける押し付け機
構４が設けられている。

【０００９】なお、容器本体２は鉄等の金属からなる内
側円筒容器２ａと、この内側円筒容器２ａの外周に設け
られた円筒状のγ線遮蔽体２ｂと、このγ線遮蔽体２ｂ
の外周に設けられた円筒状の中性子遮蔽体２ｃとから構
成され、容器蓋３は複数本のボルトとナットによって容
器本体２に締結固定されるようになっている。

【００１０】押し付け機構４は容器蓋３の図中下面に一
端を固定された複数のコイルばね５と、このコイルばね
５の固定端と反対側の自由端に固定された押え板６とで
構成されており、キャニスタ１はコイルばね５の弾性力
によって容器本体２の底面に押し付けられるようになっ
ている。

【００１１】上記のような使用済燃料輸送用容器では、
使用済燃料を収容したキャニスタ１を容器本体２の内部
に収納した後、容器本体２の開口端を容器蓋３で閉塞す
ると、キャニスタ１が押し付け機構４によって容器本体
２の底面に押し付けられる。したがって、キャニスタ１
と容器蓋３との間にギャップがあっても輸送時の振動や
衝撃等によってキャニスタ１が容器蓋３に衝突すること
がないため、キャニスタ１の変形や破損等を防止するこ
とができる。

【００１２】また、上述した実施形態では押し付け機構
４が容器蓋３に一端を固定された複数のコイルばね５
と、このコイルばね５の固定端と反対側の自由端に固定
された押え板６とで構成されているため、使用済燃料の
崩壊熱によるキャニスタ１の熱膨脹を抑制することなく
キャニスタ１の変形や破損等を防止することができる。

【００１３】なお、本発明は上述した実施形態に限定さ
れるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で
種々の変更が実施可能である。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
キャニスタと容器蓋との間にギャップがあっても輸送時
の振動や衝撃等によってキャニスタが容器蓋に衝突する
ようなことがなく、キャニスタの変形や破損等を防止す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る使用済燃料輸送用容
器の断面図である。

【図２】従来の使用済燃料輸送用容器の断面図である。

【符号の説明】

１ キャニスタ ２ 容器本体 ３ 容器蓋 ４ 押し付け機構 ５ コイルばね ５ 押え板

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 使用済燃料を収容したキャニスタを収容
   するために一端を開口させて筒状に形成された容器本体
   と、この容器本体の開口した端部を閉塞する容器蓋とを
   具備してなる使用済燃料輸送用容器において、 前記容器蓋に前記キャニスタを前記容器本体に弾性的に
   押し付ける押し付け機構を設けたことを特徴とする使用
   済燃料輸送用容器。
2. 【請求項２】 前記押し付け機構は、前記容器蓋に一端
   を固定された複数のコイルばねと、このコイルばねの他
   端に固定された押え板とから構成されることを特徴とす
   る請求項１記載の使用済燃料輸送用容器。
3. 【請求項３】 使用済燃料を収容したキャニスタを収容
   する使用済燃料輸送用容器の容器蓋に押し付け機構を設
   け、この押し付け機構により前記キャニスタを前記容器
   本体に弾性的に押し付けて使用済燃料を目的地まで輸送
   することを特徴とする使用済燃料の輸送方法。