JPH1129498A - 胎児由来組織への遺伝子導入方法 - Google Patents

胎児由来組織への遺伝子導入方法

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JPH1129498A
JPH1129498A JP9188847A JP18884797A JPH1129498A JP H1129498 A JPH1129498 A JP H1129498A JP 9188847 A JP9188847 A JP 9188847A JP 18884797 A JP18884797 A JP 18884797A JP H1129498 A JPH1129498 A JP H1129498A
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nucleic acid
gene
cationic lipid
tissue
fetal
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JP9188847A
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Takeshi Sugaya
健 菅谷
Chinami Kurokawa
千浪 黒川
Yukiko Nishioka
由紀子 西岡
Makoto Tsukamoto
真 塚本
Yasushi Saito
康 齋藤
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Tanabe Seiyaku Co Ltd
Original Assignee
Tanabe Seiyaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 【解決手段】 遺伝情報を有する核酸を、妊娠中の哺乳
動物(非ヒト動物)の母体に投与することにより、該核
酸を母体中の胎生期特異的組織中に導入し、出生後の新
生児の組織においては該核酸が機能することなく、胎生
期の間、胎生期特異的組織において該核酸を機能させる
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、哺乳動物の組織へ
の遺伝子導入方法に関し、更に詳細には、胎児由来組織
へ遺伝子を導入する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】動物に外来遺伝子を導入する技術は、遺
伝子の働きを解明するために有用な手段となる。また、
先天性遺伝子異常に起因する疾病の遺伝子治療などにも
応用が期待されている。
【0003】動物の受精卵に外来遺伝子を導入するマイ
クロインジェクション法〔Palmiterら、 Annu. Rev. Ge
net.、第20巻、第465〜499頁、1986年〕やこれを応用し
た遺伝子ターゲティング法が開発され、これら技術を利
用して作製されたトランスジェニック動物やノックアウ
ト動物(遺伝子機能不全動物)により、さまざまな遺伝
子の働きが明らかにされつつある。
【0004】しかし、このマイクロインジェクション法
や遺伝子ターゲティング法は、初期胚に外来遺伝子を導
入したり固有の遺伝子を欠損させるものであり、発生開
始から個体の大半の細胞のゲノム遺伝子自体を変化させ
る。従って、変化させる目的遺伝子が発生段階において
重要な働きをもつような場合には、これら技術を適用し
ても胎生致死となってしまうケースが多く、成体動物を
得ることができないという問題があった。実際、TGF
−β1遺伝子、ET1遺伝子、トロンボモジュリン遺伝
子、fgf−4遺伝子、c−myc遺伝子など、成体に
おいて重要な役割を持ち、病態に深く関わっていると考
えられる遺伝子のノックアウトマウス作製においては、
胎生致死が生じることが報告されており、成体における
これら遺伝子の働きを解明することが不可能であった。
このような問題のため、ノックアウト動物やトランスジ
ェニック動物において生じる胎生致死をレスキューする
方法が望まれていた。
【0005】一方、近年、成体動物へ直接遺伝子を導入
する方法が開発され、アデノウイルス、レトロウイルス
等のベクターを用いる方法のほか、化学合成物質を担体
として用いる方法等が知られている。化学合成物質を担
体とする方法として、例えばZhuらの文献〔Science、第
261巻、第209〜211頁、1993年〕には、リポソームとD
NAの複合体をマウスに投与することにより組織に外来
遺伝子を導入したことが記載されており、また、WO9
5/18863には、リポポリアミン(カチオニックリ
ピッド)と核酸の複合体を投与することにより動物組織
に遺伝子を導入することが記載されている。しかし、出
生前の胎児に遺伝子を導入する方法は、ほとんど知られ
ていなかった。
【0006】胎児組織への遺伝子を導入する方法は、胎
児の遺伝子治療に応用できると考えられる。また、より
発生の進んだ段階において外来遺伝子を導入するので、
発生途中における遺伝子の働きを解明する方法や、先に
述べたトランスジェニック動物やノックアウト動物の胎
生致死をレスキューする方法にも用い得ると考えられ
る。
【0007】最近、本願発明者の一人を含む塚本らの研
究グループは、遺伝子を含むDNAとカチオニックリピ
ッドとの複合体を、妊娠マウスに静脈内投与することに
より母体を介して胎児に外来遺伝子を導入することに成
功した〔Nature Genetics、第9巻、第243〜248頁、1995
年、及び、WO96/11713〕。この方法におい
て、遺伝子を含む複合体は、驚くべきことに、母体から
胎児に移行する。しかしながら、この方法においては、
胎児への遺伝子の移行効率が低く、胎児組織で遺伝子を
発現させることが難しいという問題があった。また、こ
の方法について、再現性が低いとの指摘もあった〔Natu
re Medicine、第1巻、第864〜866頁、1995年〕。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、卵黄
膜などの胎生期特異的な組織に外来遺伝子を導入し、胎
生期特異的に外来遺伝子を機能させる方法を提供するこ
とにある。また、それによって、例えば胎生致死をレス
キューする方法を提供することにある。また、本発明の
他の目的は、胎児由来組織に外来遺伝子を効率よく導入
し得る組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、塚本らの方
法で用いられる、カチオニックリピッド/DNA複合体粒
子の粒子径安定化条件などを検討し、遺伝子の導入効率
を高めるため改良を試みた。この過程で、胎児由来組織
のうち胎生期特異的な組織である卵黄膜に、高い効率で
遺伝子が導入されているという全く予期しない事実を見
いだし、本発明を完成するに至った。本発明は、胎生期
特異的な組織に着目してこれに外来遺伝子を導入すると
いう、従来にない発想に基づいて完成されたものであ
る。
【0010】すなわち、本発明は、遺伝情報を有する核
酸を、妊娠中の哺乳動物(非ヒト動物)の母体に投与す
ることにより、該核酸を母体中の胎生期特異的組織中に
導入し、出生後の新生児の組織においては該核酸が機能
することなく、胎生期の間、胎生期特異的組織において
該核酸を機能させる方法、である。
【0011】また、本発明は、遺伝情報を有する核酸及
びカチオニックリピッドからなる複合体を含有し、妊娠
中の哺乳動物の母体に投与することにより母体中の胎児
由来組織へ該核酸を導入するために使用される組成物で
あって、該組成物中の核酸とカチオニックリピッドから
なる複合体の粒子径が50nm〜1000nmに分布す
ることを特徴とする組成物、である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において、胎生期特異的組
織とは、哺乳動物の胎生期にのみ存在もしくは発現し、
出生後は新生児と分離するか、消失する組織を意味す
る。胎生期特異的組織としては、例えば、絨毛膜、栄養
膜、ライヘルト膜、卵黄膜、羊膜、臍帯などが挙げられ
る。
【0013】これらのうち、卵黄膜は、臍帯循環が始ま
り胎盤が機能する妊娠中期以前において、母子の物質交
換において中心的役割を果たすとされている。卵黄膜
は、特に齧歯類やウサギ類において、重要な機能的を有
することが知られている。齧歯類およびウサギ類の卵黄
膜は胎児をとりまき、血管網を有して胎児と交流し、胎
盤の補助的な役割も果たしていると言われている。
【0014】本発明において、胎児由来組織とは、胎児
組織の他、上記のような胎生期特異的組織(卵黄膜な
ど)も含むものとして用いる。
【0015】これら胎児由来の各組織の模式図を図1に
示した。
【0016】本発明において、母体に投与された核酸
は、胎児由来組織の細胞中に導入される。この時、大半
のケースにおいて、胎児組織に比べ、胎生期特異的組織
(とりわけ卵黄膜)に、効率よく多量の核酸が移行す
る。また、投与された核酸が遺伝子を含む場合、胎生期
特異的組織(とりわけ卵黄膜)において導入遺伝子の発
現が認められる。胎生期特異的組織は、出生後は新生児
と分離するか消失し、従って、胎生期特異的組織での導
入遺伝子発現は胎生期特異的であって新生児組織での発
現には関与しない。
【0017】本発明における哺乳動物としては、イヌ、
ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、サル、チンパンジー、ネ
コ、ブタ、ウサギ、ラット及びマウスなどの非ヒト動物
のほか、ヒトが挙げられる。これらのうち、齧歯類(ラ
ット、マウス等)及びウサギ類などの小動物は、実験動
物として容易に扱える。このうち、ラット及びマウス、
特にマウスが好適に使用できる。
【0018】本発明において、遺伝情報を有する核酸と
しては、典型的な例として、遺伝子を含む核酸、あるい
は遺伝子の断片を含む核酸が挙げられる。遺伝子は、自
然界に存在する遺伝子の他、化学合成や遺伝子組換え等
により人為的に改変した変異型遺伝子、人為的に設計構
築された遺伝子であってもよい。人為的に改変した変異
型遺伝子は、導入された細胞内の染色体遺伝子との間で
例えば相同組換えを生じるように設計されたものであっ
てもよい。
【0019】また、前記のほか、遺伝情報を有する核酸
は、例えば、ある標的遺伝子の発現を阻害するよう特定
の塩基配列に設計されたポリ又はオリゴヌクレオチドで
あってもよい。このようなポリ又はオリゴヌクレオチド
としては、標的遺伝子に相補的な塩基配列を有するアン
チセンスヌクレオチド、標的遺伝子に対するリボザイム
やデコイ等が挙げられる。
【0020】本発明において、遺伝情報を有する核酸
は、DNAであってもRNAであってもよいが、安定性
の点からDNAが好ましい。
【0021】本発明において、遺伝情報を有する核酸が
「機能する」とは、典型的な例として、核酸が遺伝子を
含む場合にこれが発現すること、すなわち、遺伝子から
遺伝子産物(転写産物又はこれがさらに翻訳されてでき
るタンパク質)が作られることを意味する。また、その
遺伝子が染色体上の対応遺伝子との間で相同組換えを生
じるように設計されたものである場合には、このような
組換えが起こることを意味する。また、遺伝情報を有す
る核酸が、アンチセンス、リボザイム、デコイ等の場合
には、標的遺伝子の発現を阻害することを意味する。
【0022】本発明において、遺伝情報を有する核酸
は、例えば、該核酸及び担体からなる組成物として投与
することができる。
【0023】遺伝情報を有する核酸の投与方法は、通
常、妊娠中の母体に注射する方法で実施でき、このう
ち、特に血管内(動脈又は静脈内)に注射する方法が好
ましい。
【0024】投与時期は、胚の着床後、胎児の器官形成
期が好ましい。具体的には、動物がマウスの場合、妊娠
約5.0日で着床、妊娠約19日目で分娩が起こるの
で、投与時期としては妊娠6.0〜18.0日目が好ま
しく、とりわけ妊娠8.0日〜12.0日目が好まし
い。投与量は、核酸がDNAの場合、母体動物の体重1
00g当たり、通常5〜500μg程度、好ましくは5
0〜100μgを投与すればよい。
【0025】本発明において、核酸とともに使用する担
体としては、例えば、カチオニックリピッドなどの化学
合成物質を用いることができる。
【0026】カチオニックリピッドは、親水性領域と疎
水性領域からなり、核酸とともにヘキサゴナルのミセル
状態を形成するか、あるいは、核酸とともに複合体を形
成する性質を有するものであればよく、複合体は、核酸
の表面がカチオニックリピッドの膜層で覆われた形態を
有していればよい。
【0027】カチオニックリピッドとしては、リポポリ
アミン、より詳細には、式 H2N−((−CH−)m−NH−)n−H (mは2以上の整数、nは1以上の整数を表す。)で表
される親水性のポリアミンの領域と、飽和もしくは不飽
和の脂肪族基からなる疎水性の領域とを有するリポポリ
アミンが挙げられる。具体的には、例えば、ジオクタデ
シルアミドグリシルスペルミン(DOGS)又はジパル
ミトイルホスファチジルエタノールアミドスペルミン
(DPPES)などのリポスペルミン〔Methods in Enz
ymology、第217巻、第599〜618頁、1993年及びProc.Nat
l. Acad. Sci. USA、第86巻、第6982〜6986頁、1989
年、特開平2−292246及びWO95/1886
3〕が挙げられ、特にジオクタデシルアミドグリシルス
ペルミン(DOGS)が好ましい。
【0028】上記のほか、カチオニックリピッドとし
て、例えばN−〔1−(2,3−ジオレイルオキシ)プ
ロピル〕−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロラ
イド(DOTMA)が挙げられる。DOTMAは、例え
ばホスファチジルエタノールアミンなどの中性リピッド
で形成されたリポソーム中に取り込んで用いられる〔Sc
ience、第261巻、第209〜211頁、1993年及びProc.Natl.
Acad. Sci. USA、第86巻、第6077〜6081、1989年〕。
【0029】核酸及び担体からなる組成物としては、担
体がカチオニックリピッドであってこれが核酸とともに
複合体を形成しているものが好ましい。また、カチオニ
ックリピッドと核酸の複合体の粒子径は、母体に投与す
るためには通常50nm〜1000nmに分布している
ことが好ましく、とりわけ50nm〜100nmに分布
していることが好ましい。さらに粒子径が(例えば調製
後約20分まで)安定であることが好ましい。
【0030】核酸とカチオニックリピッドの配合比は、
核酸がDNAの場合、DNA1μgに対し、カチオニッ
クリピッドを通常0.5〜50nmol、とりわけ1.
5〜5nmol配合するのが好ましい。
【0031】核酸及び担体からなる組成物は、例えば、
核酸と担体を混合し、機械的振動を加えたり、超音波処
理することにより調製できる。
【0032】また、核酸及び担体からなる組成物には、
例えば、ホスファチジルエタノールアミン類(ジオレオ
イルホスファチジルエタノールアミン、オレオイルパル
ミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロ
イルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイル
ホスファチジルエタノールアミンなど)、ホスファチジ
ルグリセロール類、ジアシルグリセロール類、グリシル
ジアシルグリセロール類、スフィンゴリピド類、アシア
ロガングリオシド類、等の中性リピッドを添加すること
もできる。
【0033】本発明の方法において、遺伝情報を含む核
酸が遺伝子を含む場合、当該遺伝子に適当なプロモータ
ー(例えば、ニワトリアクチンプロモーター、SV40
プロモーター、LTRプロモーター、エロンゲーション
1αプロモーター等)及び/又はエンハンサーを連結し
て用いることもできる。強力なプロモータ及び/又はエ
ンハンサーを連結することにより遺伝子発現を高め得
る。また、臓器選択性の高いプロモータを用いることに
より、遺伝子を特定の臓器において発現させることも可
能である。
【0034】本発明の方法において、遺伝情報を含む核
酸は、適当なベクター中に挿入されていてもよい。ベク
ターとしては、例えば、SV40系ベクター、アデノウ
イルス系ベクター、M13系ファージベクター等が挙げ
られる。
【0035】また、これらベクター中には、適当なマー
カ遺伝子が挿入されていてもよい。マーカ遺伝子として
は、薬剤耐性遺伝子であるネオマイシン耐性遺伝子(n
eo)、ヘルペスウィルスチミジンリン酸化酵素(HS
V−tk)、ジフテリアトキシンAフラグメント遺伝子
(DT−A)等のほか、一般的なレポータ遺伝子、例え
ば、大腸菌由来のベータガラクトシダーゼ遺伝子(la
cZ)、バクテリアトランスポゾン由来のクロラムフェ
ニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(CA
T)、ホタル由来のルシフェラーゼ遺伝子(Luc)、
オワンクラゲ由来のグリーンフルオレセンスプロテイン
遺伝子(GTP)等が挙げられる。これらレポータ遺伝
子が挿入されている場合には、その発現(例えばレポー
ター遺伝子がlacZの場合、基質となる色素の発色な
ど)を指標にしてベクターが導入された組織や細胞を検
出することができる。
【0036】本発明の方法により核酸が組織中に導入さ
れたことは、例えば組織からDNAを抽出してこれにつ
いてサザンブロッティング法などで解析することにより
確認できる。遺伝子の発現は、組織からRNAを抽出し
てこれについてノザンブロッティング法で解析すること
により確認できる。あるいは、遺伝子産物の蛋白質を直
接その活性により検出するか、抗体を用いる免疫組織学
的染色などにより検出してもよい。
【0037】遺伝情報を含む核酸を胎児由来組織に導入
することにより、導入された組織において特定の標的遺
伝子の発現を増幅又は阻害することが可能である。この
ような標的遺伝子としては、遺伝子機能解析や遺伝子改
変実験動物作製のための標的遺伝子等が挙げられる。ま
た、先天性遺伝子疾患に関わる欠損遺伝子など、遺伝子
治療のために標的遺伝子が挙げられる。また、家畜等の
産業用動物などの品種改良のために用いられる遺伝子が
挙げられる。
【0038】具体的には、例えば、ノックアウト動物の
作製の過程で胎生致死が障害となっているTGF-β1遺伝
子、ET1遺伝子、トロンボモジュリン(thrombomoduli
n)遺伝子、fgf-4遺伝子、c-myc遺伝子などを標的とす
ることができる。これら遺伝子を含む核酸を、胎生致死
が生じるステージ以前に母体に投与し、胎生期特異的組
織で発現させることにより、遺伝子産物が液性因子であ
れば胎児側に移行して、胎児を胎生致死から救済(レス
キュー)し得るものと考えられる。
【0039】また、先天性遺伝子疾患に関わる欠損遺伝
子としては、脂質代謝異常に関わる低比重リポ蛋白質受
容体やアポリポ蛋白質の遺伝子、フェニルケトン尿症に
関わるフェニルアラニンヒドトキシラーゼ遺伝子、血友
病に関わる第VIII因子や凝固代IX因子の遺伝子
等、オルニチントランスカルバモイラーゼ欠損症に関わ
るオルニチントランスカルバモイラーゼ遺伝子、遺伝子
チロシン血症に関わるフマリルアセトアセテートヒドロ
キシラーゼ遺伝子、嚢疱性肺繊維症に関わる嚢疱性肺繊
維症膜貫通コンダクタンス調節因子、Duchenne型筋ジス
トロフィーに関わるミニジストロフィン遺伝子、リフラ
ウメニ症候群(Li-Fraumeni Syndrome)に関わるP53
遺伝子、レチノブラストーマ(網膜芽腫)に関わるRB
蛋白質の遺伝子、Lesch-Nyhan症候群に関わるヒポキサ
ンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝
子、アデノシンデアミナーゼ欠損症に関わるアデノシン
デアミナーゼ遺伝子、Nieman-Pick病に関わるスフィン
ゴミエリンホスホジエステラーゼIの遺伝子、Tay-Sach
s病に関わるヘキソサミニダーゼAの遺伝子、α1−ア
ンチトリプシン欠損症に関わるα1−アンチトリプシン
の遺伝子、アンチトロンビンIII欠損症に関わるアンチ
トロンビンIIIの遺伝子、カルバミルリン酸合成酵素欠
損症に関わるカルバミルリン酸合成酵素の遺伝子、成長
ホルモン欠損症に関わる成長ホルモン遺伝子、Thyroglo
bulin欠損症に関わるThyroglobulin遺伝子、先天副腎過
形成に関わる21-水酸化酵素の遺伝子、ピルビン酸脱水
素酵素欠損症に関わるピルビン酸脱水素酵素の遺伝子等
が挙げられる。これら遺伝子の非欠損変異型遺伝子を胎
児由来組織に導入することによる胎児遺伝子治療が考え
られる。
【0040】また、疾患の治療のための標的遺伝子とし
ては、上記のほか、ウイルス遺伝子やがん遺伝子が挙げ
られる。これら遺伝子の発現を抑制し得るアンチセンス
オリゴヌクレオチドなどを胎児由来組織に導入すること
による胎児遺伝子治療が考えられる。
【0041】以下、実施例をもって本発明をさらに詳し
く説明するが、これらの実施例は本発明を制限するもの
ではない。
【0042】なお、下記実施例において、DNAを扱う
各操作は特に明示がない限り、「Molecular
Cloning」〔Sambrook, J., Fritsch, E.F.及び
Maniatis, T. 著、Cold Spring Harbor Laboratory Pre
ssより1989年に発刊〕に記載の方法に準じて行うか、ま
たは、市販の試薬やキットを用いる場合には市販品の指
示書に従って行った。
【0043】
【実施例】
実施例1 遺伝子導入用組成物(カチオニックリピッド
/DNA複合体)の調製 (1)使用プラスミド 使用した組換えプラスミドCA−nls−LacZ及び
pact−β−galの模式図を、図2に示した。
【0044】両プラスミドは、ニワトリβ-アクチン遺
伝子のプロモータ〔Miyazakiら、Gene 第79巻、第269〜
277頁、1989年、及び、Kostら、Nucleic Acids Researc
h 第11巻、第8287〜8301頁、1983年〕及び大腸菌β−ガ
ラクシトシターゼ遺伝子(lacZ)〔Luzeら、Proc.N
atl.Acad.Sci. USA、第90巻、第7322〜7326頁、1993
年、及びHallら、Journal of Bacteriology、第148巻、
第941〜949頁、1981年〕を含有している。β−ガラクシ
トシターゼ遺伝子は、β-アクチンプロモータの下流に
正方向に連結されており、β-アクチンプロモータの制
御下に発現し得るよう構築されている。
【0045】CA−nls−LacZは、ニワトリβ-
アクチンプロモータを含むプラスミドpCAGGS〔Ni
waら、Gene 第108巻、第193〜200頁、1991年〕に、la
cZ及び核移行シグナル(nls)を含む構成を挿入し
て構築されたものを用いた。また、pact−β−ga
lは、Tsukamotoらの文献で用いられたのと同じものを
用いた〔β-actin-lacZ plasmid、Nature Genetics 第
9巻、第243〜248頁、1995年〕。
【0046】前記のプラスミド各々について、塩化セシ
ウム平衡密度勾配遠心法を用いて大量調製した。調製の
際、超遠心は2回行った。得られたプラスミドは、0.
5〜1.0μg/mlとなるように滅菌した超純水に溶
解して0℃で保存した。
【0047】調製した各プラスミド溶液について、後記
参考例1記載の方法に準じ、溶液中のLPS濃度をリム
ルス試験により測定した結果、LPS濃度はいずれも約
3EU/mgDNAであった。
【0048】(2)カチオニックリピッド/DNA複合
体の調製 カチオニックリピッドとしては、ジオクタデシルアミド
グリシルスペルミン(dioctadecylamid
oglycylspermine:DOGS)(Bio
sepra社製、商品名:Transfectam)を
用いた。
【0049】DOGS 100μg(80nmol相
当)(2mM DOGS/10%エタノール を40μ
L)に、媒体として150mM塩化ナトリウム水溶液4
10μLを添加し、ボルテックスミキサーにて十分攪拌
してDOGS溶液(450μL)を調製した。上記
(2)にて調製したプラスミド27μgを用い、これ
に、媒体として150mM塩化ナトリウム水溶液を添加
しボルテックスミキサーにて攪拌してプラスミド溶液
(250μL)を調製した。
【0050】得られたカチオニックリピッド溶液とプラ
スミド溶液とを混合し、ふたたびボルテックスミキサー
にて機械的振動を与えて攪拌し、カチオニックリピッド
/DNA複合体分散液を調製した。
【0051】調製したカチオニックリピッド/DNA複
合体分散液について、後記実験例1記載の方法に従っ
て、調製直後から調製後30分までの複合体の粒子径を
測定した結果、調製直後から調製後20分までの間、粒
子径のピーク(約80nm及び335nm付近)に変化
はなく、安定していることが確認できた。
【0052】また、調製直後のカチオニックリピッド/
DNA複合体溶液(プラスミドCA−nls−LacZ
を用いて調製したもの)をグリッドにのせ、ネガティブ
染色を施した後、透過型電子顕微鏡にて観察を行ったと
ころ、幅約6nmの円筒状ヘキサゴナル様の構造物が無
数に観察された。
【0053】実施例2 カチオニックリピッド/DN
A複合体を用いた動物への遺伝子導入 (1)妊娠マウスへのカチオニックリピッド/DNA複
合体の投与 カチオニックリピッド/DNA複合体は、プラスミドC
A−nls−LacZまたはプラスミドpact−β−
galを用いて前記実施例1で得られたものを用いた。
【0054】マウスは、日本チャールズリバー(株)よ
り購入した、妊娠7日のマウス(Crj:ICR)を用
いた。マウスは、温度23±2℃、湿度55±15%、
毎時12回以上の換気および12時間照明(6:30〜
18:30)の条件に設定された動物室で、放射線滅菌
(15kGy)を施した固型飼料(CRF−1、オリエ
ンタル酵母工業)と水道水を自由に摂取させて飼育し
た。
【0055】妊娠8.5日のマウスに、エーテル吸入に
よる軽度の麻酔下で、27Gの注射針を用いて、カチオ
ニックリピッド/DNA複合体分散液を、尾静脈内に注
射した。
【0056】(2)組織サンプルの調製 投与48時間後にエーテル深麻酔下全採血によりマウス
を安楽死させ、母体臓器、胎児、および胎児由来組織を
摘出した。摘出サンプルは生理食塩水にて洗浄後、ただ
ちに液体窒素中にて急速凍結し、−80℃の冷凍庫中で
保存するか、または氷冷した固定液(2% パラフォル
ムアルデヒド、0.2% グルタールアルデヒド、0.
02% NP−40)中に浸漬した。
【0057】(3)サザンハイブリダイゼーションによ
る導入プラスミドの検出及び Bluo−gal染色によるLacZ発現の検出 上記(2)得られた凍結サンプルからDNAを以下のよ
うにして抽出した。すなわち、凍結サンプルを、プロテ
アーゼK及びアクチナーゼEを含む溶解用緩衝液中に
て、50℃で一晩振盪培養して溶解させた。得られたサ
ンプル溶解液をフェノール処理して核酸を抽出した後、
RNase処理によりRNAを除去、エタノール添加に
よりDNAを塩析させ、遠心沈澱物をTE緩衝液に溶解
してDNAサンプルとした。
【0058】得られたDNAサンプルについて、以下の
ようにサザンハイブリダイゼーションを行いプラスミド
の導入を検出した。DNAサンプルの一定量を制限酵素
BamHIまたはEcoRIで切断、これを0.8%ア
ガロースゲルにて電気泳動した後、塩酸処理し、これを
アルカリ溶液中でメンブレン(商品名:Hibond−
N+、Amersham社製)にトランスファーさせ
た。DNAプローブとしては、プラスミドCA−nls
−LacZまたはpact−β−gal中のLacZ配
列を含むMluI切断片(約780bp)を32Pで標識
して用いた。このDNAプローブと前記のメンブレンと
を、60℃のハイブリダイゼーション用緩衝液中で一晩
ハイブリダイゼーションさせた後、メンブレンを60℃
の洗浄液(2%〜0.1% SSC、1% SDS)中
で洗浄した。これを、オートラジオグラム(−80℃で
X線感光フィルムに露光)により、導入プラスミドの存
在を検出した。
【0059】また、以下のようにBluo−gal染色
を行い、組織サンプル中のβ−ガラクトシダーゼ(La
cZ)の発現を検出した。すなわち、上記(2)で得ら
れた摘出サンプルを、氷冷した固定液(2% パラフォ
ルムアルデヒド、0.2%グルタールアルデヒド、0.
02% NP−40)中、30〜90分間固定したの
ち、PBS(−)で2回洗浄した。これを、37℃のB
luo−gal染色液(Bluo−gal、GIBCO
BRL製)中でインキュベートしてLacZ遺伝子産
物であるβ−ガラクシトシダーゼの存在を発色基質によ
って検出した。
【0060】(4)導入プラスミドの検出及びLacZ
発現の検出の結果 妊娠8.5日にプラスミドpact−β−galとカチ
オニックリピッドの複合体分散液を投与した妊娠マウス
3例から、投与2日後に摘出した母体各臓器及び胎児組
織から抽出したDNAについて、サザンハイブリダイゼ
ーションを行った結果を、図3に示した。母体の血液、
肺、肝臓ならびに子宮胎盤、および胎児組織において
は、コントロールのプラスミドと同泳動距離のバンドが
検出された。母体の血液、肺および肝臓においてはバン
ド位置より低分子側においてスメア状にプラスミドの分
解産物が検出された。一方、胎児組織においてはプラス
ミドの分解は観察されなかった。なお、このとき胎児細
胞中に存在したプラスミドのコピー数は、プラスミドを
用いたポジティブコントロールのサザンハイブリダイゼ
ーションにおけるバンド濃度の比較から、約2〜3コピ
ー/細胞であると計算された。
【0061】また、上記の投与例と同様にして、プラス
ミドCA−nls−LacZとカチオニックリピッドの
複合体を用い、別の8例に投与を行った。妊娠マウスは
妊娠8.5日のものを用いた。これら13例から投与2
日後に摘出した卵黄膜組織及び胎児組織から抽出したD
NAについて、サザンハイブリダイゼーションを行った
結果の写真を図4−A、図4−B及び下表1に示した。
図4−A及び図4−Bの、レーン1〜8は、各々投与例
No.1〜8の結果を表わしている。また、レーン9
は、コントロールのプラスミドCA−nls−LacZ
である。この結果は、下表1にも示した通りである。
【0062】
【表1】
【0063】表1には、上記の同妊娠マウス8例の胎児
組織及び卵黄膜組織について、Bluo−gal染色で
β−ガラクトシダーゼ(LacZ)の発現を検出した結
果を併せて示した。また、3例(投与例No.4、6、
7)について、胎児由来組織のBluo−gal染色結
果の写真を、図5に示した。図5−aは投与例No.4
の胎児とそれに付属する卵黄膜(卵黄膜内から胎児を摘
出した状態)を、図5−bは投与例No.4の卵黄膜の
拡大写真を、図5−cは投与例 No.6の卵黄膜の拡
大写真を、図5−dは、No.7の卵黄膜の拡大写真を
各々示す。また、図5−eは、コントロールとして、複
合体を投与しなかったマウスの卵黄膜の拡大写真を示
す。
【0064】これらの結果から、投与例8例において、
非常に再現性よく、卵黄膜に多量のプラスミドが導入さ
れているのが認められた。また、卵黄膜で強いBluo
−gal染色像が見られ、LacZが発現していること
が確認された。一方、同腹の胎児組織では、組織に導入
されたプラスミドの量は卵黄膜と比較すると少量であっ
た。また、Bluo−gal染色によってLacZ遺伝
子の発現を確認することはできなかった。
【0065】実施例3 (1)カチオニックリピッド/DNA複合体の粒子径に
及ぼす溶液中塩濃度 及びLPSの影響 カチオニックリピッド/DNA複合体分散液の調製にお
いて、媒体を変えた場合、及びLPSを添加した場合に
ついて、複合体の粒子径を測定し比較した。
【0066】実施例1(1)〜(2)記載の方法、及び
これに準じる方法で複合体分散液を調製した。但、溶液
(カチオニックリピッド及びDNA溶液)調製時に用い
る媒体は、下表2の通りとした。また、調製Dについて
は、DNA溶液に10μgのLPSを添加したものを用
いた。なお、プラスミドとしては、調製A及びDはCA
−nls−LacZを、調製B及びCはpact−β−
galを用いた。
【0067】複合体溶液中の粒子径は、サブミクロン粒
度分布測定装置(NICOMP MODEL370、N
ICOMP Particle Sizing System社製、代理店:野
崎産業社)を用い、動的光散乱法により、調製直後から
30分間、5分間隔で測定した。測定は室温にて行っ
た。結果を下表2及び図6に示した。
【0068】
【表2】
【0069】実施例1(1)〜(2)と記載の方法で調
製した調製Aの場合、複合体の粒子径のピークは調製直
後から20分後まで約80nmと330nmで安定して
いた(図6−A)。一方、調製Bの場合、調製直後は約
110nmおよび530nmの微粒子であったが、調製
20分後には約140nmと980nmに推移し粒子径
の増大が見られた(図6−B)。また、調製Cの場合、
調製直後は粒子径が50nm未満であり、調製20分後
までで約30nmを示した(図6−C)。すなわち、カ
チオニックリピッド及びDNA溶液調製時の媒体をかえた
調製Bでは調製Aに比べて粒子径が安定でないこと、ま
た調製Cでは遺伝子導入に至適な大きさの粒子が存在し
ないことがわかった。
【0070】また、プラスミド溶液にLPSを添加した
調製Dの場合、粒子径は調製直後から1000nm以上
で測定装置の測定範囲外であり、また、肉眼観察でも凝
集が認められた。このことから、プラスミドDNA調製
の際、LPSの混入が多いと、複合体の凝集性が強くな
ると考えられた。
【0071】(2)種々のカチオニックリピッド/DN
A複合体調製物を用いた遺伝子導入上記(1)と同様に
して、粒子径などの特性が異なる4種のカチオニックリ
ピッド/DNA複合体(調製A〜D)を調製し、これら
を妊娠マウス各2〜8例ずつに投与した(A:8匹、
B:5匹、C:2匹、D:3匹)。なお、プラスミドと
しては、調製A、B及びCはCA−nls−LacZ
を、調製Dはpact−β−galを用いた。
【0072】妊娠マウスへの投与は、前記実施例2の
(1)と同様に実施した。マウスは妊娠8.5日のマウ
スを用いた。前記実施例2の(2)と同様にして、胎児
組織へのプラスミドの導入を検出した。その結果、下記
表3に示す通り、調製Aでは、全例で約0.1コピー/
細胞以上の高い効率の遺伝子導入が見られたが、調製B
では、5匹中2匹にわずかに導入が認められたのみであ
り、調製C及びDでは導入は全く認められなかった。
【0073】
【表3】
【0074】参考例 プラスミド調製物中のLPS濃度
測定 塩化セシウム平衡密度勾配遠心法またはQiagen法
を用いて大量調製したプラスミド調製物中に混入したL
PSの濃度を比較した。
【0075】塩化セシウム平衡密度勾配遠心法による調
製は、「Molecular Cloning」〔Samb
rook, J., Fritsch, E.F.及びManiatis, T. 著、Cold
Spring Harbor Laboratory Pressより1989年に発刊〕記
載の方法に準じて行った。但、超遠心は、1回又は2回
行った。Qiagen法(簡便法)によるプラスミドD
NAの調製は、Qiagenキット(QIAGEN G
mbH社製)を用い、キット添付の使用説明書に準じて
行った。得られたプラスミドは、滅菌した超純水に溶解
して0℃で保存した。
【0076】得られた各プラスミド溶液について、溶液
中のLPS濃度を、測定キット(商品名:エンドスぺシ
ー、生化学工業社製)を用いるリムルス試験法により測
定した。その結果、下記表4に示した通り、塩化セシウ
ム平衡密度勾配遠心法では、Qiagen法に比べて、
LPSの混入量が非常に低かった。また、塩化セシウム
平衡密度勾配遠心法のうち、遠心1回と遠心2回とでは
遠心2回行って調製したプラスミドほうがLPSの混入
量が低かった。
【0077】
【表4】
【0078】
【発明の効果】本発明の方法によれば、卵黄膜などの胎
生期特異的組織に再現性よく、高い効率で外来遺伝子を
導入することができる。胎生期特異的組織は、出生後は
新生児と分離するか消失する組織であるので、本発明方
法によれば導入遺伝子を胎生期において特異的に発現さ
せ得る。また、本発明の組成物を用いることにより、再
現性よく、胎児由来組織に外来遺伝子を導入することが
できる。
【0079】本発明の遺伝子導入方法を利用して、発生
過程における遺伝子の働きを解明することができるほ
か、ノックアウトマウスの胎児を胎生致死からレスキュ
ーすることも可能となる。また、種々の先天性遺伝子疾
患を有する胎児の遺伝子治療に応用できる可能性があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 胎児由来の各組織を示した模式図。
【図2】 実施例に使用するプラスミドCA−nls−
LacZおよびpact−β−galの模式図。
【図3】 プラスミドpact−β−galとカチオニ
ックリピッドの複合体を投与した妊娠マウスの母体及び
胎児の各組織から抽出したDNAについてサザンプロッ
テイングを行った結果を示した電気泳動写真。
【図4】 プラスミドCA−nls−LacZとカチオ
ニックリピッドの複合体を投与した妊娠マウスの卵黄膜
及び胎児組織から抽出したDNAについてサザンプロッ
テイングを行った結果を示した電気泳動の写真。
【図5】 プラスミドCA−nls−LacZとカチオ
ニックリピッドの複合体を投与した妊娠マウスの卵黄膜
及び胎児組織についてBluo−gal染色を行った結
果を示した形態写真。
【図6】 カチオニックリピッド/DNA複合体調製物
における複合体粒子径を測定した結果を示した図。
フロントページの続き (72)発明者 齋藤 康 千葉県千葉市中央区葛城2丁目4番22号

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遺伝情報を有する核酸を、妊娠中の哺乳
    動物(非ヒト動物)の母体に投与することにより、該核
    酸を母体中の胎生期特異的組織中に導入し、出生後の新
    生児の組織においては該核酸が機能することなく、胎生
    期の間、胎生期特異的組織において該核酸を機能させる
    方法。
  2. 【請求項2】 遺伝情報を有する核酸が、該核酸及び担
    体からなる組成物として投与されるものである請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 遺伝情報を有する核酸が、動脈または静
    脈内への投与により実施される、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 哺乳動物が、齧歯類またはウサギ類であ
    る請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 胎生期特異的組織が、卵黄膜である請求
    項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 担体が、カチオニックリピッドである請
    求項2記載の方法。
  7. 【請求項7】 カチオニックリピッドが、親水性領域と
    疎水性領域からなり、核酸とともにヘキサゴナルのミセ
    ル状態を形成するか、あるいは、核酸の表面がカチオニ
    ックリピッドの膜層で覆われた形態の核酸との複合体を
    形成する性質を有するものである請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 カチオニックリピッドが、式 H2N−((−CH−)m−NH−)n−H (mは2以上の整数、nは1以上の整数を表す。)で表
    される親水性のポリアミンの領域と、飽和もしくは不飽
    和の脂肪族基からなる疎水性の領域とを有するリポポリ
    アミンである請求項6記載の方法。
  9. 【請求項9】 カチオニックリピッドが、ジオクタデシ
    ルアミドグリシルスペルミンまたはジパルミトイルホス
    ファチジルエタノールアミンである請求項8記載の方
    法。
  10. 【請求項10】 遺伝情報を有する核酸及び担体からな
    る組成物が、遺伝情報を有する核酸及びカチオニックリ
    ピッドからなる複合体を含有し、該複合体の粒子径が5
    0nm〜1000nmに分布することを特徴とする請求
    項2記載の方法。
  11. 【請求項11】 遺伝情報を有する核酸及びカチオニッ
    クリピッドからなる複合体を含有し、妊娠中の哺乳動物
    の母体に投与することにより母体中の胎児由来組織へ該
    核酸を導入するために使用される組成物であって、該組
    成物中の核酸とカチオニックリピッドからなる複合体の
    粒子径が50nm〜1000nmに分布することを特徴
    とする組成物。
  12. 【請求項12】 胎児由来組織が胎生期特異的組織であ
    り、該組成物が、出生後の新生児の組織においては該核
    酸が機能することなく、胎生期の間、胎生期特異的組織
    において該遺伝情報を有する核酸を機能させるために使
    用されるものである請求項11記載の組成物。
  13. 【請求項13】 胎生期特異的組織が、卵黄膜である請
    求項12記載の組成物。
  14. 【請求項14】 哺乳動物が齧歯類またはウサギ類であ
    る請求項11記載の組成物。
  15. 【請求項15】 カチオニックリピッドが、親水性領域
    と疎水性領域からなり、核酸とともにヘキサゴナルのミ
    セル状態を形成するか、あるいは、核酸の表面がカチオ
    ニックリピッドの膜層で覆われた形態の核酸との複合体
    を形成する性質を有するものである請求項11記載の組
    成物。
  16. 【請求項16】 カチオニックリピッドが、式 H2N−((−CH−)m−NH−)n−H (mは2以上の整数、nは1以上の整数を表す。)で表
    される親水性のポリアミンの領域と、飽和もしくは不飽
    和の脂肪族基からなる疎水性の領域とを有するリポポリ
    アミンである請求項11記載の組成物。
  17. 【請求項17】 カチオニックリピッドが、ジオクタデ
    シルアミドグリシルスペルミンまたはジパルミトイルホ
    スファチジルエタノールアミンである請求項11記載の
    組成物。
  18. 【請求項18】 請求項11〜17のいずれかの項記載
    の組成物を、哺乳動物(非ヒト動物)の母体に投与して
    胎児組織内に遺伝情報を有する核酸を導入する方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007020786A1 (ja) * 2005-08-12 2007-02-22 Fuso Pharmaceutical Industries, Ltd. 栄養外胚葉細胞特異的遺伝子導入法
JP5020083B2 (ja) * 2005-08-12 2012-09-05 勝 岡部 栄養外胚葉細胞特異的遺伝子導入法
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