JPH11279453A - 抗菌性ゾル状組成物 - Google Patents

抗菌性ゾル状組成物

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JPH11279453A
JPH11279453A JP10079237A JP7923798A JPH11279453A JP H11279453 A JPH11279453 A JP H11279453A JP 10079237 A JP10079237 A JP 10079237A JP 7923798 A JP7923798 A JP 7923798A JP H11279453 A JPH11279453 A JP H11279453A
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antibacterial
photocatalyst
metal
amino acid
sol
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JP10079237A
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Norihiko Miyazaki
典彦 宮崎
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Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光触媒および抗菌性金属の双方が分散した状
態を維持させることができ、しかも、平滑な薄い塗膜を
形成可能な抗菌性ゾル状組成物を提供すること。 【解決手段】 本発明の抗菌性ゾル状組成物は、光触媒
と、抗菌性金属のアミノ酸塩とを、分散媒となる液体中
に分散させてなることを特徴とする。光触媒としては、
酸化チタン、酸化亜鉛などの遷移金属酸化物を用いるこ
とができる。アミノ酸としては、N−長鎖アシルアミノ
酸を用いることができ、抗菌性金属としては、銀、銅、
亜鉛などを好適に使用できる。分散媒となる液体として
は、水、アルコールを用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性ゾル状組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、光触媒を分散媒中に分散させ
たゾル状組成物(以下、光触媒ゾルともいう)が知られ
ている。この光触媒ゾルは、例えば、光触媒塗料として
利用されている。この光触媒ゾル中の光触媒は、紫外線
等の光が当たっている状態において、強い抗菌性を示す
物質である。しかし、光触媒には、暗所における抗菌性
がほとんどないため、単独で使用した場合には、常に抗
菌性を維持することは困難である、という欠点がある。
【0003】一方、抗菌性を有する物質としては、従来
から、銀、銅あるいは亜鉛のような金属(以下、抗菌性
金属ともいう)が知られている。この種の抗菌性金属
は、光触媒とは異なり、光が当たっているか否かによら
ず抗菌性を示す。しかし、この種の抗菌性金属は、変色
を招きやすく、あまり多量に使用すると変色が目立つた
め、塗料に対する添加量をむやみに増やすことはできな
い、という欠点がある。また、変色が気にならない程度
まで添加量を抑制することはできるが、その場合は、光
が当たっている時の光触媒ほど強い抗菌性を示さなくな
る、という欠点がある。さらに、抗菌性金属の抗菌作用
は表面反応であるため、抗菌性金属の表面が汚れに覆わ
れてしまうと抗菌作用が格段に低下する、という欠点も
あった。
【0004】そこで、本発明者らは、上記諸問題の解決
策について検討を重ね、その手段として、上記光触媒ゾ
ルに上記抗菌性金属を添加、混合することに想到し、ま
ず本発明の前提となる発明を完成させた。すなわち、そ
の前提的な発明とは、上記光触媒ゾルに上記抗菌性金属
を添加、混合した組成物である。
【0005】このような組成物を利用すれば、光が当た
っている状態においては、光触媒の作用で強い抗菌性を
示すようになるため、例えば、抗菌性金属のみを含有す
る塗料よりも抗菌性に優れた塗料となり、しかも、光が
当たっていない状態においても、抗菌剤の作用である程
度の抗菌性を維持できるため、例えば、暗所で抗菌性が
完全に失われてしまうといった、光触媒特有の問題も招
かない、という効果がある。また、光触媒の防汚作用に
より、抗菌性金属の表面も汚れに覆われない状態になる
ので、抗菌性金属のみを含む塗膜に比べて、抗菌性金属
による抗菌作用が持続する、という相乗効果がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らが、抗菌性金属を含有する水溶性化合物を光触媒ゾ
ルに対して添加、混合してみたところ、恐らくは溶液中
にイオンが多く含まれることが原因で、僅かな量を添加
するだけでも混合物中の成分がゲル化してしまうことが
判明した。これでは、例えば塗料としては役に立たない
状態になってしまうため、結局は、暗所における抗菌性
が十分に現れる程度まで、光触媒ゾルに対して抗菌性金
属を加えることは不可能であった。
【0007】また、抗菌性金属をアルミナ、ゼオライ
ト、シリカゲルなどの粉末に担持させてなる抗菌性粉体
を光触媒ゾルに対して添加、混合した場合には、0.数
μmといった薄い塗膜を形成することができず、また、
塗膜表面につぶが生じて粗面になってしまうため、これ
も塗料としては十分に満足なものではなかった。
【0008】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、光触媒および抗菌性金属
の双方が分散した状態を維持させることができ、しか
も、平滑な薄い塗膜を形成可能な抗菌性ゾル状組成物を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段、および発明の効果】上述
の目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討を重
ね、その結果、抗菌性金属のアミノ酸塩を分散させたゾ
ル状組成物を、光触媒塗料に添加した場合には、暗所に
おける抗菌性が十分に現れる程度まで抗菌性金属を加え
ても、系内のゲル化が起こらないことを見いだし、本発
明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明の抗菌性ゾル状組成物
は、光触媒と、抗菌性金属のアミノ酸塩とを、分散媒と
なる液体中に分散させてなることを特徴とするものであ
る。
【0011】本発明において、光触媒としては、光が照
射された際に触媒活性が現れ、この光触媒に接触する菌
を死滅させ、あるいは各種有機物を分解する能力がある
物質を用いることができ、具体的には、酸化チタン、酸
化亜鉛などの遷移金属酸化物を用いることができる。こ
れらの物質は、それぞれを単独で用いても、両方を混合
して用いてもよいが、あらかじめ適当な分散媒に分散さ
せてゾル状組成物(光触媒ゾル)にしておくことが望ま
しい。このような光触媒ゾルは、様々な製法によって製
造可能であるが、既に光触媒ゾル(例えば、商品名:S
T−K01;石原テクノ株式会社製、商品名:NSC−
200C;日本曹達株式会社製、商品名:TOゾル;株
式会社田中転写製など)として市販されているので、こ
の市販のゾル状組成物を利用してもよい。
【0012】アミノ酸としては、N−長鎖アシルアミノ
酸を用いることができる。N−長鎖アシルアミノ酸は、
N位に長鎖アシル基(脂肪酸残基)を有するアミノ酸で
ある。長鎖アシル基としては、高級脂肪酸残基が好まし
く、例えばデカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル
基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基な
どが好ましい。また、アシル基としては、単一のものに
限られず、上記のアシル基の複数の種類のものを用いて
もよい。アミノ酸部分としては、モノアミノモノカルボ
ン酸、モノアミノジカルボン酸、ジアミノモノカルボン
酸のいずれでもよい。これらの内、このモノアミノジカ
ルボン酸は、2つのカルボキシル基を有するので、抗菌
作用を有する金属が結合しやすく、全体として抗菌作用
の強いものとすることができる点で望ましい。
【0013】アミノ酸の具体例としては、モノアミノモ
ノカルボン酸としては、グリシン、アラニン、バリン、
ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トレオニン、
トリプトファン、メチオニンなどであり、モノアミノジ
カルボン酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸で
あり、ジアミノモノカルボン酸としては、リジン、アル
ギニン、ヒスチジンである。そして、N−長鎖アシルア
ミノ酸としては、1種のものに限定されず、多数の種類
のものを用いてもよい。
【0014】また、抗菌性金属としては、銀、銅、亜鉛
などを好適に使用できる。以上のことから、本発明で用
いるアミノ酸塩の好ましい具体例としては、N−ステア
ロイルグルタミン酸銅、N−ラウロイルグルタミン酸
銅、N−ミリストイルグルタミン酸銅、N−ステアロイ
ルアスパラギン酸銅、N−ラウロイルアスパラギン酸
銅、N−ミリストイルアスパラギン酸銅、N−ステアロ
イルグルタミン酸銀、N−ラウロイルグルタミン酸銀、
N−ミリストイルグルタミン酸銀、N−ステアロイルア
スパラギン酸銀、N−ラウロイルアスパラギン酸銀、N
−ミリストイルアスパラギン酸銀、N−ステアロイルバ
リン銀、N−ラウロイルバリン銀、N−ミリストイルバ
リン銀、N−ステアロイルバリン銅、N−ラウロイルバ
リン銅、N−ミリストイルバリン銅、N−ステアロイル
フェニルアラニン銀、N−ラウロイルフェニルアラニン
銀、N−ミリストイルフェニルアラニン銀、N−ステア
ロイルフェニルアラニン銅、N−ラウロイルフェニルア
ラニン銅、N−ミリストイルフェニルアラニン銅、N−
ステアロイルアルギニン銀、N−ラウロイルアルギニン
銀、N−ミリストイルアルギニン銀、N−ステアロイル
アルギニン銅、N−ラウロイルアルギニン銅、N−ミリ
ストイルアルギニン銅、N−ステアロイルグルタミン酸
亜鉛、N−ラウロイルグルタミン酸亜鉛、N−ミリスト
イルグルタミン酸亜鉛、N−ステアロイルアスパラギン
酸亜鉛、N−ラウロイルアスパラギン酸亜鉛、N−ミリ
ストイルアスパラギン酸亜鉛、N−ステアロイルバリン
亜鉛、N−ラウロイルバリン亜鉛、N−ミリストイルバ
リン亜鉛、N−ステアロイルバリン亜鉛、N−ラウロイ
ルバリン亜鉛、N−ステアロイルフェニルアラニン亜
鉛、N−ラウロイルフェニルアラニン亜鉛、N−ミリス
トイルフェニルアラニン亜鉛、N−ステアロイルアルギ
ニン亜鉛、N−ラウロイルアルギニン亜鉛、N−ミリス
トイルアルギニン亜鉛、などを挙げることができる。
【0015】これらのアミノ酸塩も、あらかじめ適当な
分散媒に分散させてゾル状組成物にしておくことが望ま
しい。このような抗菌性金属のアミノ酸塩を主成分とす
るゾル状組成物についても、特に製法は限定されない
が、上記抗菌性金属のアミノ酸塩を主成分とするゾル状
組成物は、既に抗菌剤(例えば、商品名:ALCO(ア
ルコール系分散媒)、あるいは商品名:AG−CT(水
系分散媒);いずれも株式会社日鉱製)として市販され
ているので、この市販のゾル状組成物を利用してもよ
い。
【0016】さらに、分散媒となる液体としては、水、
アルコールを用いることができる。これらも、それぞれ
を単独で用いても、両方を混合して用いてもよい。この
分散媒となる液体は、あらかじめ光触媒を分散させる際
に用いられるものと、あらかじめ抗菌性金属のアミノ酸
塩を分散させる際に用いられるものとを含み、必要があ
れば、これら2つのゾル状組成物を希釈ないし混合する
際に添加されるものをも含めて、全体量が決まるもので
ある。
【0017】また、光触媒と、抗菌性金属のアミノ酸塩
と、分散媒となる液体との混合比は、混合後にゲル化を
招かない範囲内で調製されるべきであるが、光触媒を分
散させたゾル状組成物と、抗菌性金属のアミノ酸塩を分
散させたゾル状組成物とを混合する場合は、まず、光触
媒と分散媒との関係、および抗菌性金属のアミノ酸塩と
分散媒との関係が、それぞれ個別にゲル化を招かないよ
うに調製されている必要がある。
【0018】具体的には、前記光触媒および前記抗菌性
金属のアミノ酸塩からなる分散相を、ゾル状組成物全体
に対する重量比で1〜10重量%含有し、該分散相に
は、前記抗菌性金属のアミノ酸塩を光触媒に対する重量
比で、0.02〜10重量%含有していると、ゲル化を
招くことなく、分散状態を実用上十分に維持させること
ができることが確認された。すなわち、上記のような組
成比のゾル状混合物であれば、所期の抗菌性ゾル状組成
物として利用できることがわかった。
【0019】ちなみに、分散相が上記範囲よりも多くな
るとゲル化を招く可能性が高くなり、一方、分散相が上
記範囲よりも少なくなると実質的な塗膜等にはならない
分散媒が増大するだけなので、経済的ではない。また、
分散相内の成分については、抗菌性金属のアミノ酸塩が
上記範囲よりも多くなるとゲル化を招く可能性が高くな
り、一方、抗菌性金属のアミノ酸塩が上記範囲よりも少
なくなると、暗所における抗菌作用が弱くなりすぎ、十
分に満足な効果を得られなくなる恐れがある。
【0020】以上説明した本発明の抗菌性ゾル状組成物
によれば、光触媒および抗菌性金属の双方が分散した状
態を安定に維持できるので、例えば塗料などのコーティ
ング組成物として、あるいは、紙や布に含浸させるため
の抗菌性成分としての提供が可能である。そして、この
抗菌性ゾル状組成物が施された箇所に、光触媒自体が有
する防汚性および抗菌性等に加えて、暗所における抗菌
性をも付与することができる。
【0021】したがって、本発明の抗菌性ゾル状組成物
を、従来の光触媒塗料に代えて適用すれば、例えば、昼
間のみ日光にさらされ、夜間は真っ暗になるような場所
においてでも、抗菌性を持続させることができる。ま
た、紫外線放射ランプを使って常時紫外線にさらされる
ような仕組みになっている機器においては、定期的に紫
外線ランプを消して節電を図っても、必要な抗菌性を維
持することができる。また、本発明の抗菌性ゾル状組成
物を、従来の抗菌性塗料に代えて適用すれば、光の照射
を受けている環境では、従来以上に優れた抗菌性を発揮
するようになる。
【0022】また、0.数μm程度の薄い塗膜を形成し
ても平滑な塗膜となるので、コーティング組成物として
特に有益である。
【0023】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
一例を挙げて説明する。本実施形態においては、光触媒
のゾル状組成物として、下記表1に挙げた3種のもの
(以下、光触媒1〜光触媒3という)を用いた。
【0024】
【表1】
【0025】また、抗菌性金属のアミノ酸塩のゾル状組
成物として、下記表2に挙げた2種のもの(以下、抗菌
剤1、抗菌剤2という)を用いた。なお、抗菌剤1、抗
菌剤2は、双方ともグルタミン酸銀類(N−ステアロイ
ルグルタミン酸銀、N−ラウロイルグルタミン酸銀、N
−ミリストイルグルタミン酸銀など)を有効成分として
含有するものである。
【0026】
【表2】
【0027】そして、上記光触媒1〜光触媒3の内のい
ずれか1つと、上記抗菌剤1または抗菌剤2のいずれか
とを混合し、下記表3〜表7に示す24種の組成物を調
製した(以下、試料1〜試料24という)。各試料につ
いて、ゲル化の有無を目視にて確認し、ゲル化が起きな
いものを「○」、僅かにゲル化が起きているもののを
「△」、大部分でゲル化が起きているものを「×」とし
た。
【0028】まず、上記光触媒1と抗菌剤1との混合結
果を下記表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】以上の結果からは、ゾル状組成物中におけ
る金属−アミノ酸塩の重量比が大きくなると、分散相と
分散媒の重量比が同じであっても、ゲル化を招く傾向が
あることがわかる。したがって、ゲル化を招くか否か
は、金属−アミノ酸塩の固形分と光触媒の固形分との比
に依存して決まる可能性がある。
【0031】次に、上記光触媒2と抗菌剤1との混合結
果を下記表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】以上の結果からは、ゾル状組成物中におけ
る金属−アミノ酸塩の重量比が大きくなると、分散媒の
重量比が多少増大しても、やはり、ゲル化を招く傾向が
あることがわかる。したがって、上記表3、表4の結果
の双方を勘案すると、ゲル化を招く主要な要因は、やは
り、金属−アミノ酸塩の固形分と光触媒の固形分との比
に依存して決まる可能性があると推測される。
【0034】次に、上記光触媒3と抗菌剤1との混合結
果を下記表5に示す。
【0035】
【表5】
【0036】以上の結果からも、ゾル状組成物中におけ
る金属−アミノ酸塩の重量比が大きくなると、ゲル化を
招く傾向があることがわかる。また、表4中の試料12
と表5中の試料17とを対比すると、組成物全体に占め
る分散相の割合が大きい場合には、光触媒(固形分)に
対する金属−アミノ酸塩(固形分)の添加量が比較的小
さくても、ゲル化を招くことがわかる。したがって、以
上の結果を総合的に勘案すると、ゲル化を防止するに
は、まず、ゲル化を招かない範囲内で、抗菌性等を考慮
しつつ光触媒の固形分に対して添加すべき金属−アミノ
酸塩の固形分の量を決定し、その決定した固形分添加量
に基づいて、分散相の重量比が「ゲル化を招かないある
程度以下の値」となるように、全体の組成比を決定すべ
きであると考えられる。
【0037】次に、上記光触媒1と抗菌剤2との混合結
果を下記表6に示す。
【0038】
【表6】
【0039】以上の結果からも、ゾル状組成物中におけ
る金属−アミノ酸塩の重量比が、ある程度まで大きくな
ると、分散相と分散媒の重量比が同じであっても、ゲル
化を招くことがわかる。但し、表3中の試料5および表
6中の試料20を対比すると、ゲル化を招くことなく添
加可能な金属−アミノ酸塩の量が、表6の場合の方が極
端に小さくなっていることがわかる。これは、分散媒中
にエタノールが含まれているか否かの違いによるものと
思われる。したがって、金属−アミノ酸塩の添加可能な
量を増大させたい場合には、分散媒にアルコール(エタ
ノール)を使用することが有効であると考えられる。
【0040】次に、上記光触媒3と抗菌剤2との混合結
果を下記表7に示す。
【0041】
【表7】
【0042】以上の結果からも、ゾル状組成物中におけ
る金属−アミノ酸塩の重量比が、ある程度大きくなる
と、ゲル化を招くことがわかる。また、表6の結果と同
様に、ゲル化を招くことなく添加可能な金属−アミノ酸
塩の量が、表5の結果に比べ、極端に小さくなってい
る。したがって、この結果からも、分散媒中にエタノー
ルが含まれていない場合に、金属−アミノ酸塩の添加可
能な量が減少することがわかる。
【0043】次に、上記試料1〜試料24について、黄
色ブドウ球菌、および大腸菌に対する抗菌力を確認し
た。試験手順は、上記試料1〜24をプラスチック片に
塗布して塗膜を形成し、その塗膜表面に各菌を入れた水
をたらし、その直後に菌を顕微鏡で観察した。さらに、
各プラスチック片をプラスチックフィルムで覆い、光が
遮断された恒温室に各試料を入れて1日間保存し、その
後で、塗膜の上の水を採取して培養し、培養液中の菌を
顕微鏡で観察した。また、対比のため、上記試料1〜2
4を塗布していないプラスチック片も同様に処理した。
その結果、上記試料1〜24を塗布したプラスチック片
のすべてにおいて、1日間経過後の菌数の減少が確認さ
れた。対比に用いたプラスチック片の場合、1日間経過
後の菌数は増大した。
【0044】上記試料1〜試料24の中で、光触媒(固
形分)に対する金属−アミノ酸塩(固形分)の添加量が
最も少ない組成物は、表7中の第1番目に示したゾル状
組成物であり、光触媒(固形分)に対する重量比で、
0.02%の金属−アミノ酸塩(固形分)が添加されて
いる。したがって、ゾル状組成物中の分散相について
は、光触媒(固形分)に対する重量比で、0.02%以
上の金属−アミノ酸塩(固形分)を添加した組成になっ
ていれば、所期の抗菌性塗膜を得ることができると言え
る。
【0045】一方、上記表3〜表7に示した結果は、金
属−アミノ酸塩(固形分)の添加量が過大になると、ゾ
ル状組成物がゲル化する可能性が高くなることを示して
いる。但し、上記試料5においては、光触媒(固形分)
に対する重量比で、9.96%の金属−アミノ酸塩(固
形分)を添加しているが、ゲル化を招いていない。した
がって、ゾル状組成物中の分散相については、光触媒
(固形分)に対する重量比で、10%以下(厳密に言え
ば9.96%以下)の金属−アミノ酸塩(固形分)を添
加した組成になっていれば、ゲル化を招かない可能性が
ある。但し、この場合は、分散媒としてアルコールを利
用することが望ましいと考えられる。分散媒として水だ
けを利用する場合には、光触媒(固形分)に対する重量
比で、0.56%以下の金属−アミノ酸塩(固形分)を
添加した組成になっていれば、ゲル化を招かない可能性
がある。
【0046】また、以上のような組成比となる分散相
は、ゲル状組成物全体に対する重量比が10重量%以下
に調製されていれば、ゲル化を招かない可能性がある。
なお、分散相の重量比がさらに増大してもゲル化を招か
ない可能性はあるが、分散相の重量比が増大し続けれ
ば、いつかは流動性を失うことになるので、特に問題が
なければ、ゲル状組成物全体に対する重量比を、10重
量%以下に調製しておけば、実用上は何ら問題がないと
考えられる。一方、分散媒が多い分には、ゲル化を招か
ないと推察されるが、極端に分散媒が多くても意味がな
く、経済的ではないので、実用上は、分散相を少なくと
も1重量%以上含んでいる方がよい。
【0047】以上、本発明の実施形態について説明した
が、本発明の実施形態については上記のもの以外にも種
々の具体的形態が考えられる。例えば、上記実施形態の
説明では、市販の光触媒のゾルと金属−アミノ酸塩のゾ
ルを利用して混合組成物を調製したが、必要な各成分そ
れぞれを個別に用意して、ゾル状組成物を調製してもよ
いことはもちろんである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒と、抗菌性金属のアミノ酸塩と
    を、分散媒となる液体中に分散させてなることを特徴と
    する抗菌性ゾル状組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の抗菌性ゾル状組成物に
    おいて、 前記光触媒が、酸化チタンまたは酸化亜鉛のいずれか一
    方または両方であることを特徴とする抗菌性ゾル状組成
    物。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の抗菌性
    ゾル状組成物において、 前記抗菌性金属が、銀、銅、および亜鉛の中から選ばれ
    る1種または2種以上であることを特徴とする抗菌性ゾ
    ル状組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    抗菌性ゾル状組成物に おいて、前記分散媒となる液体が、水またはアルコール
    のいずれか一方または両方であることを特徴とする抗菌
    性ゾル状組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の
    抗菌性ゾル状組成物において、 前記光触媒および前記抗菌性金属のアミノ酸塩からなる
    分散相を、ゾル状組成物全体に対する重量比で1〜10
    重量%含有し、 該分散相には、前記抗菌性金属のアミノ酸塩を光触媒に
    対する重量比で、0.02〜10重量%含有しているこ
    とを特徴とする抗菌性ゾル状組成物。
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