JPH1125877A - 陰極線管及びその製造方法 - Google Patents

陰極線管及びその製造方法

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JPH1125877A
JPH1125877A JP17423897A JP17423897A JPH1125877A JP H1125877 A JPH1125877 A JP H1125877A JP 17423897 A JP17423897 A JP 17423897A JP 17423897 A JP17423897 A JP 17423897A JP H1125877 A JPH1125877 A JP H1125877A
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electrode
metal wire
electron gun
ray tube
glass
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JP17423897A
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English (en)
Inventor
Takumi Adachi
巧 安達
Kazuyuki Ota
一幸 太田
Makoto Miyazaki
誠 宮崎
Shuichi Kuwajima
秀一 桑島
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)
  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ユニポテンシャル構造の電子銃を有する陰極
線管において、絶縁物等の沿面放電等の放電を防止する
ことができる構成の陰極線管及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 ユニポテンシャル構造の電子銃20を備
えて成り、電子銃20のビードガラス15により支持さ
れた複数の電極のうち、カソード7の次に配置された電
極8に、ビードガラス15を囲むように金属線13が取
り付けられ、金属線13を加熱蒸着して得られる導電性
膜14n,14bが、ネックガラス4内面及びビードガ
ラス15のネックガラス4に対向する面に形成された陰
極線管1を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ユニポテンシャル
構造の電子銃を有する陰極線管及びその製造方法に係わ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の構造の陰極線管の一例を図9に示
す。図9は陰極線管の概略構成を示す図で、一部を内部
の構造を示す図としたものである。この陰極線管51
は、ファンネルガラス2とパネルガラス3とネックガラ
ス4により陰極線管体が形成され、そのネックガラス4
内にユニポテンシャル構造の電子銃50が封入されてな
る。ファンネルガラス2、及びネックガラス4のファン
ネルガラス2側の一部の内壁には、例えばカーボン等か
らなる内部導電膜5が形成されている。
【0003】電子銃50は、図10の拡大図で示すよう
に、赤(R)、緑(G)及び青(B)に対応する3つの
カソード7(7R,7G,7B)に対して共通の第1電
極(以下G1 電極という)8、第2電極(以下G2 電極
という)9、第3電極(以下G3 電極という)10、第
4電極(以下G4 電極)11及び第5電極(以下G5
極)12が順次配列され、さらにG5 電極12の後段に
4枚の偏向電極板22a,22b,22c及び22dか
らなる静電コンバージェンス手段22が配され、これら
電極が一対のビードガラス15によって支持されてな
る。図9において6は各カソード7に設けられたヒータ
ーである。G1 電極8、G2 電極9には低電圧が、互い
に接続線16でつながれたG3 電極10及びG5 電極1
2には高圧のアノード電圧が、G4 電極11には中圧の
フォーカス電圧がそれぞれ印加され、G3 電極10、G
4 電極11及びG5 電極12によってユニポテンシャル
型の主電子レンズが構成される。この電子銃50では、
3つのカソードから出射された3つの電子ビームが主電
子レンズで交差した後、静電コンバージェンス手段22
を通って、即ち中心ビームは偏向電極板22b及び22
c間を通り、両側ビームはそれぞれ偏向電極板22a及
び22b間、偏向電極板22c及び22d間を通って、
蛍光面上でコンバージェンスされる。
【0004】このような構造の陰極線管51において
は、ネックガラス4とビードガラス15の絶縁物上で沿
面放電を生じる問題がある。この沿面放電の原因となる
ものが、製造プロセスの種々の段階で陰極線管に入り込
んでしまう場合がある。例えば、図9中のファンネルガ
ラス2内の内部導電膜5に使われている例えばカーボン
が脱落して、電子銃50のG1 電極8やG2 電極9に付
着してコールドエミッション源になったり、G1 電極
8、G2 電極9にキズやバリがあり、それがコールドエ
ミッション源になったりする。これらコールドエミッシ
ョン源によって、電界放出型の放電を生じる。
【0005】放電の要因としては、この他例えば電極間
からの電子の漏れ、パネルガラス3内に形成された蛍光
面からの電子のはね返り、カソード7から生じる熱電子
等がある。
【0006】また、陰極線管を製造する工程において存
在する異物などが混入して、同様なことが発生すること
もある。これらの沿面放電の原因を、陰極線管51の製
造工程中に防止することは非常に困難である。
【0007】上述のような陰極線管51の電子銃50に
おける、絶縁物4,15による沿面放電を防止する方法
としては、これまで例えば、 (1)特開昭53−126465号公報に記載されてい
るように、ネックガラス4に対向するビードガラス15
上に導電性膜を形成する方法 (2)特開昭56−123651号公報に記載されてい
るように、金属線を蒸着させて、ビードガラス15とネ
ックガラス4内壁に金属蒸着被膜による導電性膜を形成
する方法 等が提案されている。
【0008】図11に示すバイポテンシャル構造の電子
銃60をネックガラス61内に配した陰極線管71で
は、(2)の方法がとられている。この電子銃60は、
カソード62に対して低電圧が印加される第1電極即ち
1 電極63、低電圧が印加される第2電極即ちG2
極64、中電圧が印加される第3電極即ちG3 電極65
及び高電圧のアノード電圧が印加される第4電極即ちG
4 電極66が順次配列されて成り、G3 電極65及びG
4 電極66によってバイポテンシャル型の電子レンズが
構成される。この電子銃のフォーカス電極であるG5
極65にビードガラス67を囲むように金属線68を取
付け、金属線68を加熱蒸発させて、G3 電極65に対
応する部分のネックガラス61の内面及びビードガラス
67の表面にそれぞれ金属蒸着膜による導電性膜69を
形成するようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
(1)のビードガラス15上に導電膜を形成する方法で
は、ネックガラス4とビードガラス15との間に起こる
沿面放電を防止するにあたって、ビードガラス15上を
放電経路とする放電には有効であるが、ネックガラス4
上を放電経路とする放電には十分な放電防止効果を得る
ことができない。
【0010】また、金属線をビードガラスを囲むように
取付け加熱蒸着する(2)の方法では、次のような問題
がある。ユニポテンシャル構造の電子銃の場合、高電圧
側から低電圧側にわたって、帯電により電位が上昇し、
高い電位が低電圧側に拡がって行くように見える、いわ
ゆる高電圧のしみこみと呼ばれる現象が、バイポテンシ
ャル電子銃の場合よりも顕著になる。この高電圧のしみ
こみ現象が生じると、電位変化の勾配の急な部分、即ち
電界の強い部分ができ、放電を生じやすくなる。
【0011】このため、カソード7の次の電極即ちG1
電極8よりも高圧に近い電極即ちG2 電極9に金属線を
取り付けて、これを蒸着させて金属蒸着薄膜からなる導
電膜を形成すると、その後のシーズニング時に生じる放
電により、この導電膜を損失してしまう場合があり、結
果的に十分な放電防止効果を得られない。
【0012】本発明は上述のような従来技術の欠点を解
決するもので、ユニポテンシャル構造の電子銃を有する
陰極線管において、絶縁物等の沿面放電等の放電を防止
することができる構成の陰極線管及びその製造方法を提
供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の陰極線管は、ユ
ニポテンシャル構造の電子銃を備え、この電子銃のビー
ドガラスにより支持された複数の電極のうち、カソード
の次に配置された電極に、ビードガラスを囲むように金
属線が取り付けられ、金属線を加熱蒸着して得られる導
電性膜が、ネックガラス内面及びビードガラスのネック
ガラスに対向する面に形成された構成とする。
【0014】また、本発明の陰極線管の製造方法は、金
属線を電子銃の電極にビードガラスを囲むように取り付
ける際に、この金属線の両端を溶接電極で押さえた状態
で溶接するものである。
【0015】上述の本発明の構成によれば、ユニポテン
シャル構造の電子銃のカソードの次に配された電極にビ
ードガラスを囲むように取り付けた金属線を加熱蒸着し
て導電膜をネックガラス内面及びビードガラスのネック
ガラスに対向する面に形成することにより、この導電膜
により、絶縁体からなるネックガラス及びビードガラス
のチャージアップを防ぎ、これらの絶縁体を放電経路と
する放電を防止することができる。
【0016】上述の本発明製法によれば、溶接時に金属
線のずれを生じなくなるため、所定の溶接位置に溶接を
行うことができ、耐電圧の低下を防止することができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、ユニポテンシャル構造
の電子銃を備え、電子銃のビードガラスにより支持され
た複数の電極のうち、カソードの次に配置された電極
に、ビードガラスを囲むように金属線が取り付けられ、
金属線を加熱蒸着して得られる導電性膜が、ネックガラ
ス内面及びビードガラスのネックガラスに対向する面に
形成されて成る陰極線管である。
【0018】本発明は、金属線を電子銃の電極にビード
ガラスを囲むように取り付ける際に、金属線の両端を溶
接電極で押さえた状態で溶接する工程を有する陰極線管
の製造方法である。
【0019】以下、図面を参照して本発明の陰極線管及
びその製造方法を説明する。図1は、本発明の陰極線管
の一例の概略構成を示す図で、一部を内部の構造を示す
図としたものである。尚、図9と対応する部分には同一
の符号を付して示す。
【0020】この陰極線管1は、ファンネルガラス2と
パネルガラス3とネックガラス4により陰極線管体が形
成され、そのネックガラス4内にユニポテンシャル構造
の電子銃20が封入されてなる。ファンネルガラス2、
及びネックガラス4のファンネルガラス2側の一部の内
壁には、例えばカーボン等からなる内部導電膜5が形成
されている。
【0021】電子銃20は、図3の拡大図で示すよう
に、図10と同様に、赤(R)、緑(G)及び青(B)
に対応する3つのカソード7(7R,7G,7B)に対
して共通の第1電極即ちG1 電極8、第2電極即ちG2
電極9、第3電極即ちG3 電極10、第4電極即ちG4
電極11及び第5電極即ちG5 電極12が順次配列さ
れ、さらにG5 電極12の後段に4枚の偏向電極板22
a,22b,22c及び22dからなる静電コンバージ
ェンス手段22が配され、これら電極が一対のビードガ
ラス15によって支持されて成る。図1において、6は
各カソードに設けたヒーターである。
【0022】G1 電極8、G2 電極9には低電圧が、互
いに接続線16でつながったG3 電極10及びG5 電極
12には高圧のアノード電圧が、G4 電極11には中圧
のフォーカス電圧が夫々印加され、G3 電極10、G4
電極11及びG5 電極12によってユニポテンシャル型
の主電子レンズが構成される。この電子銃20では、3
つのカソードから出射された3つの電子ビームが主電子
レンズで交差した後、静電コンバージェンス手段22を
通って、即ち中心ビームは偏向電極板22b及び22c
間を通り、両側ビームはそれぞれ偏向電極板22a及び
22b間、偏向電極板22c及び22d間を通って、蛍
光面上でコンバージェンスされる。
【0023】そして、本例においては、特に、カソード
電極7の次に高圧側に配置された電極即ちG1 電極8に
金属線13が形成され、さらに、この金属線13により
後述するようにして形成されたネックガラス4内壁の導
電膜14nと、ビードガラス15上に形成された導電膜
14bを有する構成である。
【0024】導電膜14n,14bを形成するための金
属線13には、ワイヤー状やリボン状のものが使用さ
れ、第1電極即ちG1 電極8に溶接などで取り付けられ
る。即ち、図2にG1 電極8付近の断面図を示すよう
に、円筒状のG1 電極8の周囲に、ビードガラス15を
囲むように金属線13を配置する。そして、溶接点21
において金属線13をG1 電極8に溶接する。
【0025】これにより、G1 電極8に対応した部分の
ネックガラス4、ビ−ドガラス15に導電膜14n,1
4bを形成して、この部分を放電経路とする放電を抑制
することが可能となる。さらに、カソード7の次のG1
電極8の位置に導電膜14n,14bが形成されること
により、高電圧のしみこみの少ない領域に導電膜が形成
されるため、より効果的に放電防止ができる。
【0026】この導電膜14n,14bの形成は、例え
ば次のように行う。前述のように電子銃20のカソード
の次に高圧側に配置されたG1 電極8に、金属線13を
ビードガラス15を囲むように取り付け、電子銃20を
ネックガラス4内に封止する。
【0027】そして、陰極線管1内を排気した後に、陰
極線管1内が高真空になった状態で、高周波加熱などに
より金属線13を加熱することにより、金属線13の一
部が蒸着して、ネックガラス4とビードガラス15にそ
れぞれ導電性膜14n,14bが形成される。
【0028】ところで、金属線13の両端をG1 電極8
に、図2中の溶接点21で溶接する工程において、金属
線13の溶接を一端ずつ順次に行うと、先に行った一端
の溶接のために、電極や金属線の変形で金属線位置が変
化し、次に行われる他端の溶接の位置がずれてしまい、
金属線の電子銃との位置ずれが起こり、蒸着位置のずれ
が生じてしまうことがある。そして、金属線の位置ずれ
やこの位置ずれのために発生する溶接スプラッシュのた
めに耐電圧効果の低下をもたらす。この溶接スプラッシ
ュ(バリ)は、帯状もしくは棒状の金属線を、中心から
ずれて外縁部で溶接してしまうと、この外縁部において
形成されやすい。
【0029】これを防止するために、金属線の位置決め
を行った後に、金属線の両端を、共に溶接電極で押さえ
た状態で溶接を行う。これにより、金属線の位置ずれを
防ぎ、上述の不具合の発生をなくすことができる。以下
にその具体例をあげる。
【0030】金属線が位置決めされた後、金属線の両端
を溶接電極により電子銃電極と金属線を挟み金属線を押
さえた状態にして、例えば以下の溶接条件で溶接する。 溶接時加圧:2〜6kg/cm2 電流:0.7kA〜1.5kA 溶接時間:3〜10msec 電極材料:銅又はクロム銅 この条件で金属線の一端の溶接が終了したら、続いて金
属線の他端の溶接を同様な条件で行う。
【0031】ここで、従来の構造の電子銃を有する陰極
線管と、上述のように導電膜を形成した電子銃を有する
陰極線管との特性の比較を行った。
【0032】(試験1)以下の試料1から試料3の電子
銃を用いて、それぞれ陰極線管を作製し、各陰極線管に
対してVI測定を行った。
【0033】試料1)従来の陰極線管51であり、図1
0に示す状態でユニポテンシャル構造の電子銃50を作
製した。そして、各電極に、即ちG1 電極8にほぼ0
V、G2 電極9に200V〜300V、G3 電極10に
27000V〜30000V、G4 電極11に3000
〜6000V、G5 電極12に27000〜30000
Vの電圧をそれぞれ印加して、VI特牲を測定した。
【0034】試料2)本発明の陰極線管1であり、図3
に示すように、G1 電極8に金属線13を取り付け、こ
の金属線13によりネックガラス及びビードガラス5に
導電膜が形成されたユニポテンシャル構造の電子銃1を
作製し、そのVI特性を測定した。 試料3)比較例の陰極線管であり、図4に示すように、
2 電極9に金属線13を取り付け、この金属線13に
よりネックガラス及びビードガラス5に導電膜が形成さ
れたユニポテンシャル構造の電子銃80を作製し、その
VI特性を測定した。尚、試料2及び試料3において
は、金属線13をそれぞれ最適条件で蒸着して、導電膜
14n,14bからなるアークサプレッサー(放電抑制
材)を形成した。
【0035】VI特性は、測定の対象となる各電極の電
圧を固定し、例えばG1 電極8のVI特性を測定すると
きは、高電圧の電極(G3 電極10及びG5 電極12)
の電圧を0Vから増加させていき、その他の電極の電圧
は上記の電圧として、3nAのリーク電流が流れるとき
の高電圧の電極の電圧値を読みとることにより測定を行
った。但し、G4 電極11のVI特性は、G4 電極11
の電圧を0Vとして、高電圧の電極(G3 電極10及び
5 電極12)に印加する電圧を0Vから増加させてい
き、3nAのリーク電流が流れるときの電圧値を読みと
ることにより測定した。
【0036】その結果を下記表1に示す。Lic1、L
ic2、Lic4は、それぞれG1、G2 、G4 にリー
ク電流3nAが流れた時の、高電圧の電極への印加電圧
である。尚、測定値は試料数10本の平均値である。
【0037】
【表1】
【0038】表1の測定値は、測定値が大きいほど、電
界が大きくなっても放電しにくいことを示す。表1よ
り、G1 電極8に金属線13を取り付けて導電膜14
n,14bを形成すると、放電しにくく耐電圧効果があ
ることがわかる。特に、G1 電極8における放電が抑制
され、G2 電極9においても抑制効果を有することがわ
かる。G4電極11における放電については従来の構造
と差が見られなかった。
【0039】一方、G2 電極9に金属線13を取り付け
て導電膜14n,14bを形成した場合には、金属線1
3を取り付けない従来の構造と大きな差が見られなかっ
た。
【0040】(試験2)上述の試験1においてVI特性
を測定した、各仕様の電子銃(試料1〜3)を完成陰極
線管にした。尚、試料2及び試料3については、その最
適条件により金属線の蒸着を行って、アークサプレッサ
ーを形成した。
【0041】次に、実際に陰極線管を動作させる状態と
して、動作電圧29KVでエージングを行い、その間の
放電回数を測定した。測定時間は96時間であった。そ
して、放電率及び放電頻度を下記のように定義し、計算
により求めた。 放電率:放電した陰極線管の数/エージング総本数×1
00 (単位:%) 放電頻度:全ての陰極線管の放電回数の和/(エージン
グ総本数×時間)(単位:回/(本×時間)) 表2に測定結果を示す。尚、測定結果は試料数10本の
平均値である。
【0042】
【表2】
【0043】表2より、G1 電極8に金属線13を取り
付けて導電膜14n,14bからなるアークサプレッサ
ーを形成すると、放電が発生しなかった。G2 電極9に
金属線13を取り付けて導電膜14n,14bからなる
アークサプレッサーを形成した場合にも、従来の構造よ
り放電の発生が半分以下に低減されることが分かった。
【0044】(試験3)続いて、他の構造の電子銃に対
して、アークサプレッサーの形成位置と陰極線管の特性
との関係を調べた。
【0045】図5に示すような、ユニポテンシャル構造
の電子銃30を構成する。この電子銃30は、ダイナミ
ック四重極レンズ付きの電子銃で、G4 電極が3分割さ
れて成り、その中間の電極即ちGM電極17にフォーカ
ス電圧を印加し、その両側の2つのG4 電極11a,1
1bにフォーカス電圧に例えば1kV程度の可変電圧が
重畳された電圧を印加し、これらの電極11a,11
b,17が、図示しないが電子ビームに対して上下左右
の4方向に力を加えて、電子ビームの断面形状の整形を
することができる構成を有するものである。図6の例で
は、更にG2 電極9とG3 電極10との間にもGM電極
17が設けられ、このGM電極17はG4 電極11a,
11bの間のGM電極17と接続されて等電位とされて
いる。その他の構成は図10の電子銃20と同様であ
る。
【0046】試料4)金属線13を取り付けない、図5
に示す状態で電子銃30を作製した。 試料5)図6に示すように、G1 電極8のみに金属線1
3を取り付け、この金属線13によりネックガラス4及
びビードガラス15に導電膜が形成された電子銃30を
作製し、そのVI特性を測定した。 試料6)図7に示すように、G2 電極9のみに金属線1
3を取り付け、この金属線13によりネックガラス4及
びビードガラス15に導電膜が形成された電子銃30を
作製し、そのVI特性を測定した。 試料7)図8に示すように、G2 電極9とG3 電極10
との間に配置されたGM電極17のみに金属線13を取
り付け、この金属線13によりネックガラス4及びビー
ドガラス15に導電膜が形成された電子銃30を作製
し、そのVI特性を測定した。尚、試料5〜試料7につ
いては、その最適条件により金属線の蒸着を行って、ア
ークサプレッサーを形成した。
【0047】これらの試料4〜試料7に対して、試験1
と同様にVI特牲を測定した。VI特性の測定において
は、電子銃30の各電極に、G1 電極8に約0V、G2
電極9に200〜600V、G3 電極10に27000
V〜29000V、G4 電極11a,11bに5000
〜11000V、G5 電極12に27000V〜290
00V、GM電極17にG4 電極11a,11bより1
000V低い電圧を印加する。試験1と同様に、測定の
対象の電極の電位を固定し、高電圧の電極(G3 電極1
0及びG5 電極12)の電圧を0Vから増加させてい
き、その他の電極の電圧は上記の電圧として、3nAの
リーク電流が流れるときの高電圧の電極の電圧値を読み
とることにより測定を行った。ただし、測定時のG4
極11a,11b、GM電極17の電圧は、0Vに固定
とした。
【0048】測定結果を下記表3に示す。尚、測定値は
試料数10本の平均値である。
【0049】
【表3】
【0050】表3より、先の試験1で用いた構造の電子
銃20の場合と同様に、G1 電極8に金属線13を取り
付けて、導電膜14n,14bからなるアークサプレッ
サーを形成した場合に、放電しにくくなることがわか
る。そして、放電抑制効果はG1 電極8,G2 電極9,
GM電極17と及んでいることがわかる。
【0051】(試験4)実施例3の各試料の仕様の電子
銃を完成陰極線管にし、試験2と同様に実装状態で29
KVでエージングを行い、放電回数の測定及び放電頻度
の計算を行った。測定時間は96時間である。その結
果、下記表4のようになった。尚、測定値はそれぞれの
試験の試料数の平均値である。
【0052】
【表4】
【0053】表4より、この電子銃30の構造でも、G
1 電極8に金属線13を取り付けて導電膜14n,14
bからなるアークサプレッサーを形成すると、放電を大
幅に低減することができることがわかる。また、試料7
のように、高電圧が印加される電極の隣のGM電極17
に金属線13を取り付けて導電膜14n,14bからな
るアークサプレッサーを形成した場合には、耐電圧効果
が充分に得られなかった。これは、前述したように、陰
極線管の製造工程中のシーズニングの際に生じる放電に
より、導電膜14n,14bが損失されるためと考えら
れる。
【0054】以上の結果のように、ユニポテンシャル電
子銃においては、バイポテンシャル電子銃(ユニバイポ
テンシャル電子銃も含む)と比較して、アークサプレッ
サーの取付位置による耐電圧効果に大きな違いがみられ
る。即ち、バイポテンシャル電子銃においては、高電圧
の電極にアークサプレッサーを取り付けると耐電圧効果
を有するが、低電圧側の電極のどの電極に取り付けて
も、いずれも効果がほとんどなく取り付け位置による差
は小さい。一方、上述のように、ユニポテンシヤル電子
銃においては、試料2及び試料5のように、カソード電
極7に一番近いG1 電極に導電膜からなるアークサプレ
ッサーを形成すると、耐電圧効果が著しく発揮されるこ
とがわかる。
【0055】従って、ユニポテンシャル電子銃を使用し
た陰極線管において、ネックガラス4の帯電等によって
発生する単発放電や、繰り返し発生する複数回放電に対
して、カソード電極に一番近いG1 電極に取り付けられ
た金属線13及びその加熱蒸着で形成されたネックガラ
ス4とビードガラス15の導電膜14n,14bがネッ
クガラス4の内壁のチャージアップを抑制することがで
き、これにより、絶縁物に発生する電子雪崩を抑制し、
沿面放電が防止される。このとき、例えば前述のコール
ドエミッション源となるようなものが存在していても、
導電膜14n,14bによりネックガラス4及びビード
ガラス15のチャージアップが防止されるので、放電が
生じにくくなる。
【0056】本発明の陰極線管及びその製造方法は、上
述の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱
しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0057】
【発明の効果】上述の本発明による陰極線管によれば、
カソードの次に配置された電極に金属線が取り付けら
れ、金属線を加熱蒸着して得られる導電性膜が、ネック
ガラス内面及びビードガラスのネックガラスに対向する
面に形成されることにより、ユニポテンシャル電子銃を
使用した陰極線管において、ネック部内壁の帯電等によ
って発生する単発放電や、繰り返し発生する複数回放電
に対して、電極に取り付けられた金属線及びその加熱蒸
着で形成された導電膜がネック部内壁のチャージアップ
を抑制することにより、放電が防止される。
【0058】また、本発明の陰極線管の製造方法によれ
ば、金属線の電子銃電極への溶接時に金属線の両端を溶
接電極で押さえた状態とすることにより、金属線の位置
ずれや溶接スプラッシュのない良好なアークサプレッサ
ーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の陰極線管の一例の概略構成図(内部構
造を示す図)である。
【図2】図1の陰極線管のG1 電極付近の断面図であ
る。
【図3】図1の金属線をG1 電極に取り付けた場合の要
部の内部構造を示す図である。
【図4】金属線をG2 電極に取り付けた場合の比較例の
陰極線管の要部の内部構造を示す図である。
【図5】ダイナミック四重極レンズ付きの電子銃を有す
る陰極線管の内部構造を示す図である。
【図6】図5の構造に対して、金属線をG1 電極に取り
付けた場合の本発明に係る陰極線管を示す図である。
【図7】図5の構造に対して、金属線をG2 電極に取り
付けた場合の比較例の陰極線管の内部構造を示す図であ
る。
【図8】図5の構造に対して、金属線をGM電極に取り
付けた場合の陰極線管の内部構造を示す図である。
【図9】従来の陰極線管の一例の概略構成図(内部構造
を示す図)である。
【図10】図9の金属線を電子銃に取り付けない場合の
要部の内部構造を示す図である。
【図11】従来のバイポテンシャル構造の電子銃を備え
た陰極線管の要部の内部構造を示す図である。
【符号の説明】
1 陰極線管、2 ファンネルガラス、3 パネルガラ
ス、4 ネックガラス、5 内部導電膜、6 ヒータ
ー、7,7R,7G,7B カソード、8 G1 電極、
9 G2 電極、10 G3 電極、11,11a,11b
4 電極、12G5 電極、13 金属線、14n,1
4b 導電膜、15 ビードガラス、16接続線、17
GM電極、20,30 電子銃、21 溶接点、22
静電コンバージェンス手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桑島 秀一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ユニポテンシャル構造の電子銃を備え、 該電子銃のビードガラスにより支持された複数の電極の
    うち、カソードの次に配置された電極に、上記ビードガ
    ラスを囲むように金属線が取り付けられ、 上記金属線を加熱蒸着して得られる導電性膜が、ネック
    ガラス内面及び上記ビードガラスの該ネックガラスに対
    向する面に形成されて成ることを特徴とする陰極線管。
  2. 【請求項2】 金属線を電子銃の電極にビードガラスを
    囲むように取り付ける際に、該金属線の両端を溶接電極
    で押さえた状態で溶接する工程を有することを特徴とす
    る陰極線管の製造方法。
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