JPH11253964A - 海棲藻類発生防止方法及び人工海水調製用塩類組成物 - Google Patents

海棲藻類発生防止方法及び人工海水調製用塩類組成物

Info

Publication number
JPH11253964A
JPH11253964A JP7482198A JP7482198A JPH11253964A JP H11253964 A JPH11253964 A JP H11253964A JP 7482198 A JP7482198 A JP 7482198A JP 7482198 A JP7482198 A JP 7482198A JP H11253964 A JPH11253964 A JP H11253964A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver
germanium
compound
ppm
algae
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP7482198A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazumichi Ushio
和道 牛尾
Toshihide Suenobu
敏秀 末信
Hideyuki Aoyama
秀幸 青山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOMITA SEIYAKU KK
Senju Pharmaceutical Co Ltd
Tomita Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
TOMITA SEIYAKU KK
Senju Pharmaceutical Co Ltd
Tomita Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOMITA SEIYAKU KK, Senju Pharmaceutical Co Ltd, Tomita Pharmaceutical Co Ltd filed Critical TOMITA SEIYAKU KK
Priority to JP7482198A priority Critical patent/JPH11253964A/ja
Publication of JPH11253964A publication Critical patent/JPH11253964A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 藻類の発生又は発育を抑制するための、海棲
動物に安全な方法を提供すること、及びそのような効果
を有する人工海水調製用塩類組成物を提供すること。 【解決手段】 海棲動物の育成に許容し得る、天然海水
より高濃度のゲルマニウム化合物及び銀化合物を海棲動
物育成用水に含有させることを特徴とする、海棲動物育
成用水中の海棲藻類の発生及び発育を抑制する方法、及
び人工海水調製用塩類組成物であって、塩分S=25〜
35の範囲に入るように水に溶解させたとき得られる人
工海水が海棲動物の育成に許容し得る、天然海水より高
いゲルマニウム化合物濃度及び銀化合物濃度を与えるよ
う、ゲルマニウム化合物及び銀化合物を含有させてある
ことを特徴とする塩類組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海水中で繁殖する
海棲藻類の発生及び発育を妨げる方法、及び、海棲藻類
の発生及び発育を妨げることのできる人工海水調製用塩
類組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】海棲藻類は、海洋等の海水中に育成する
光合成植物を主体とする植物群であるが、海水中に浮遊
する以外に、土壌中、岩石・樹木の表面、動物の体表等
に付着して生活している。藻類は、一般に、体色を基準
として緑藻、褐藻及び紅藻に分類したり、また形質を基
準として分類したりされている。またこれとは別に、大
型藻類、微細藻類といった分類がされることもある。水
槽や養殖場等の閉鎖的環境下で海棲動物を飼育した場合
には、繁殖力の著しい微細藻類が繁殖すると、海棲動物
の病害の原因となることもある。
【0003】また、水槽等で観賞魚等の海棲動物を飼育
する場合、海棲動物育成用水中に海棲藻類が繁殖すると
水の汚濁の原因となる。また、付着性海棲藻類が水槽内
壁等に付着して繁殖すると、水の定期的交換では除去で
きず、飼育中では水槽内壁から藻類を物理的に除去する
作業も困難で、美観がそこなわれてしまうという問題が
ある。
【0004】海棲藻類の発生または発育を防止または抑
制するため、種々の殺藻剤の研究がなされており、主と
して、塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム
塩、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素化合物が使用されて
きたが、これらは毒性が強く、海棲動物に悪影響を与え
るため好ましくない。
【0005】近年では、ゲルマニウムに、珪藻類の細胞
膜への珪素の取り込みを妨害して生長阻害をおこすこと
により、藻類の中でも特に繁殖力の強い珪藻類の繁殖防
止効果があることが報告されている〔Lewin,J.,Phycolo
gia,6,1-12(1966)等〕。しかし、ゲルマニウムは珪藻類
の繁殖には効果的であっても、緑藻類やらん藻類等、及
びゲルマニウムの毒性に抵抗性を有するタイプの珪藻類
の繁殖は防止できないという問題があった。
【0006】一方、銀化合物を殺藻剤として使用する試
みもなされているが、海棲動物に影響のない濃度では、
珪藻類に対する効果が弱いという欠点があった。
【0007】近年、海棲動物を養殖し又は鑑賞や生態研
究など種々の目的で飼育するに際して、天然海水の組成
に近似させた人工海水を天然海水の代わりに使用する例
が増えつつある。しかし人工海水を使用し、調製時に人
工海水中に藻類が全く存在しないようにしても、人工海
水中で飼育しようとする海棲動物に付着、共生等してい
た藻類が原因となり、藻類が繁殖するようになる。この
ため、人工海水を使用してもそれだけでは藻類の発生を
防止できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような背景のもと
で、本発明の第1の目的は、海棲動物の育成に悪影響を
及ぼすことなく海水中での藻類の発生または発育を抑制
する方法の提供を目的とする。本発明の第2の目的は、
海棲藻類の発生及び発育を抑制する機能を持たせ且つ海
棲動物に安全な人工海水を製造するために使用できる、
人工海水調製用塩類組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、海水中で
の藻類の発生または発育を抑制または防止する方法を求
めて研究を重ねた結果、海棲動物の育成に実質的に影響
を及ぼさない範囲でゲルマニウム化合物と銀化合物の適
量を天然海水より高濃度となるよう添加した場合、両化
合物が相乗的に作用し、それにより従来の除藻、殺藻方
法の欠点を解消できるということを見出し、更に、その
方法が人工海水にも適用できることを確認した。本発明
は、これらの知見に基づいて完成されたものである。な
お天然海水(塩分S=35の海水値に補正)には、、元
素濃度として、ゲルマニウムが6×10-2μg/L(即
ち6×10-5ppm)及び銀が0.04μg/L(即ち
4×10-5ppm)含有されていることが報告されてい
る(「海洋観測指針」第147頁:(財)日本気象協
会、発行1990年)。ここに、塩分Sは次式により定
義される:S=a0+a115 1/2+a215+a315 3/2
+a415 2+a515 5/2[ここに、a0=0.008
0、a1=−0.1692、a2=25.3851、a3
=14.0941、a4=−7.0261、a5=2.7
081であり、K15は、15℃、1気圧における、KC
l標準溶液(1kg中に32.435gのKClを含ん
だ水溶液)に対する試料海水の電導度比である。]
(「海洋観測指針」第150〜151頁:(財)日本気
象協会、発行1990年)
【0010】即ち本発明は、海棲動物の育成に許容し得
る、天然海水より高濃度のゲルマニウム化合物及び銀化
合物を海棲動物育成用水に含有させることを特徴とす
る、海棲動物育成用水中の海棲藻類の発生及び発育を抑
制する方法を提供する。これは、天然海水や人工海水等
の海棲動物育成用水にゲルマニウム化合物及び銀化合物
を適当量添加することにより行なうことができる。
【0011】更に本発明は、人工海水調製用塩類組成物
であって、塩分S=25〜35の範囲に入るように水に
溶解させたとき得られる人工海水が海棲動物の育成に許
容し得る、天然海水より高いゲルマニウム化合物濃度及
び銀化合物濃度を与えるよう、ゲルマニウム化合物及び
銀化合物を含有させてあることを特徴とする、塩類組成
物をも提供する。そのような塩類組成物は、従来の人工
海水調製用塩類組成物にゲルマニウム化合物及び銀化合
物を適量添加することにより得ることができる。
【0012】本発明の方法は、海棲動物の飼育・養殖に
悪影響を及ぼすことなく珪藻類および光合成能を有する
海棲藻類の発生や発育を抑制するのに用いることができ
る。また本発明の塩類組成物は、海棲藻類の発生や発育
の抑制機能を付与した人工海水を調製するために簡便に
使用できる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明により発生・発育を抑制で
きる藻類としては、例えば、緑藻(アオサ、クロレラ、
イカダモ、アオミドロ等)、車軸藻(シャジクモ、シラ
タマモ等)、プラシノ藻(プラシノモ等)、ミドリムシ
藻(ミドリムシ等)、褐藻(シオミドロ、クロモ等)、
黄金色藻(ヒカリモ等)、珪藻(クモノスケイソウ、ナ
ビキュラ等)、黄緑藻(ヒモモ等)、ラフィド藻(ウミ
イトカクシ等)、紅藻(テングサ、マツバノリ等)及び
藍藻(アオコ、スピルリナ等)を挙げることができる。
【0014】本発明において使用されるゲルマニウム化
合物としては、水に容易に溶解する化合物が有利に使用
できる。特に好ましい化合物としては、例えば二酸化ゲ
ルマニウム及び塩化ゲルマニウムを挙げることができ
る。これらゲルマニウム化合物は、本発明の目的に応
じ、単独で又は適宜組み合わせて使用してよい。
【0015】本発明において使用される銀化合物として
は、海棲動物に対する毒性の低いものが有利に使用でき
る。好ましい化合物としては、例えば硝酸銀、硫酸銀、
ハロゲン化銀、酸化銀、硫化銀、炭酸銀、シュウ酸銀、
酢酸銀及びサリチル酸銀を挙げることができる。これら
銀化合物は、本発明の目的に応じ、単独で又は適宜組み
合わせて使用してよい。
【0016】例えば、本発明の方法を天然海水や従来の
人工海水等のような海棲動物育成用水に適用する場合、
ゲルマニウム化合物はその濃度が、好ましくは1〜50
ppm、より好ましくは2〜10ppmとなるように、
且つ銀化合物はその濃度が、好ましくは0.05〜0.
5ppm、より好ましくは0.1〜0.3ppmとなる
ように、海棲動物育成用水に添加される。
【0017】本発明の人工海水調製用塩類組成物を製造
する場合、ゲルマニウム化合物、銀化合物以外の成分と
しては、天然海水の主要元素〔ナトリウム(7〜14g
/L)、マグネシウム(0.8〜1.7g/L)、カル
シウム(0.3〜0.5g/L)、カリウム(0.3〜
0.5g/L)、塩素(15〜24g/L)、イオウ
(0.7〜1.2g/L)、臭素(0.04〜0.08
g/L)、炭素(0.02〜0.04g/L)〕を、諸
種の塩類、たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭
化ナトリウム、臭化カリウム、塩化カルシウム、塩化マ
グネシウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウムおよび硫
酸マグネシウム等の形で配合するほか、天然海水中に存
在する微量成分、たとえば、リチウム、ストロンチウ
ム、バリウム、チタニウム、モリブデン、タングステ
ン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ア
ルミニウム等の金属イオンやアンモニウム、ホウ素、ヨ
ウ素、フッ素等の陰イオン等も無機塩類等として含ませ
ることができる。これら塩類等は製剤中に適宜に含有さ
せ、水に溶解した場合の各元素類の組成および濃度が、
天然海水の組成および濃度と可能な限り近似するように
調製するのが好ましい。もちろん、海棲動物の研究を主
眼として調製する場合は、目的に応じてこれら以外の塩
類や、微量成分または試薬等を含有させ、あるいは塩類
濃度を天然海水と異なるものとすることもできる。
【0018】本発明の人工海水調製用塩類組成物を製造
する場合、通常の人工海水用塩類組成物に使用される形
態の、たとえば粉末剤、顆粒剤、錠剤等のいずれであっ
てもよく、その調製には医薬、農薬その他の分野におい
て利用されているいずれの方法を使用してもよい。人工
海水の調製に際して本発明の塩類組成物を水に溶解させ
る場合、最も溶解しやすい剤型は粉末剤であるが、微粉
末の飛散を防ぐために顆粒剤とするのも便利である。
【0019】本発明の人工海水調製用塩類組成物は、防
湿性のある容器に収納して保存するのが好ましく、例え
ばポリエチレン、ポリプロピレン等の防湿性合成樹脂あ
るいはアルミニウムでラミネートされたそれら合成樹脂
製の袋の使用が好ましい。一方、金属製の容器を使用す
ることもできるが、そのときは微量の金属性不純物の混
入を避けるため、内面を合成樹脂等でコーティングした
ものを使用するのが望ましい。
【0020】以下に試験例及び代表的な実施例を挙げて
本発明を更に詳細に説明し、その効果を明らかにする。
なお掲げた実施例は単なる例示であって、本発明をそれ
らに限定することを意図したものではない。
【0021】<試験例1> 二酸化ゲルマニウム濃度5
ppm下における硝酸銀濃度の海棲藻類発生・発育防止
効果及び海棲動物に与える影響 天然海水の主要元素組成に近似させた基本となる人工海
水として、塩化ナトリウム1,000g、塩化マグネシ
ウム500g、硫酸ナトリウム180g、塩化カルシウ
ム70g、塩化カリウム30g、臭化ナトリウム4g及
び炭酸水素ナトリウム1gを脱イオン水に溶解させて全
量50Lとしたものを用いた。この基本となる人工海水
に一定濃度の二酸化ゲルマニウム(5ppm)及び0〜
1.0ppmの濃度の硝酸銀を加え、これを入れた水槽
(容量33L)にソラスズメダイ5匹および海棲藻類が
付着した珊瑚砂2gを入れ、25°Cで2月間飼育し
た。また対照として、二酸化ゲルマニウムも硝酸銀も含
有しない人工海水を用いた。人工海水中に発生する海棲
藻類及びソラスズメダイの状態を経時的に観察した。そ
の結果を表1〜3に示す。なお、二酸化ゲルマニウム
(ゲルマニウム原子重量比率69.41%)の5ppm
は、ゲルマニウムそのものとして3.4705ppmに
相当する。また表において、硝酸銀(銀原子重量比率6
3.50%)の(a)0.01ppm、(b)0.05pp
m、(c)0.1ppm、(d)0.5ppm及び(e)1.0
ppmは、銀そのものとして、それぞれ(a)0.006
35ppm、(b)0.03175ppm、(c)0.063
5ppm、(d)0.3175ppm、及び(e)0.635
ppmに相当する。
【0022】
【表1】
【0023】表1中、記号は以下の内容を表す(以下の
各表についても同じ。)。 −・・・・・藻類発生を認めない +・・・・・水槽壁面又は底砂表面の10%未満に藻類
発生を認める。 ++・・・・水槽壁面又は底砂表面の10以上50%未
満に藻類発生を認める。 +++・・・水槽壁面又は底砂表面の50%以上に藻類
発生を認める。 死亡: 供試魚が1日で死亡
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】表1〜3において各表の「対照」欄と「0
ppm」欄とを比較すると明らかなように、5ppm
の二酸化ゲルマニウム単独では、珪藻類の発生に対して
は抑制効果を現したが、緑藻類及びラン藻類に対しては
全く効果がなかった。一方、二酸化ゲルマニウム5pp
mの存在下に硝酸銀を併用すると、硝酸銀0.05pp
m以上の濃度で緑藻類及びラン藻類に対しても発生の抑
制が認められた。
【0027】一方、ソラスズメダイに対する影響につい
ては、二酸化ゲルマニウム5ppm単独では影響は認め
られず、これに硝酸銀を併用した場合も、硝酸銀0.5
ppm以下の濃度では二酸化ゲルマニウム及び硝酸銀の
併用による影響は認められなかった。
【0028】以上のことから、二酸化ゲルマニウム5p
pmと硝酸銀を併用した場合、硝酸銀0.05ppm〜
0.5ppmの範囲の濃度で安全且つ有効に使用できる
ことが判明した。
【0029】<試験例2> 硝酸銀濃度0.1ppm下
における二酸化ゲルマニウム濃度の海棲藻類発生・発育
防止効果及び海棲動物に与える影響 天然海水の主要元素組成に近似させた基本となる人工海
水として試験例1と同一のものを用いた。この基本とな
る人工海水に硝酸銀0.1ppm及び0.5〜50pp
mの二酸化ゲルマニウムを加え、これを入れた水槽(容
量33L)にソラスズメダイ5匹および海棲藻類が付着
した珊瑚砂2gを入れ、25°Cで2月間飼育した。人
工海水中に発生する海棲藻類及びソラスズメダイの状態
を経時的に観察した。その結果を表4〜6に示す。なお
硝酸銀0.1ppmは銀そのものとして0.0635p
pmに相当する。また、表において、二酸化ゲルマニウ
ムの(a)0.5ppm、(b)1ppm、(c)5ppm、(d)
10ppm、及び(e)50ppmは、ゲルマニウムその
ものとして、それぞれ(a)0.34705ppm、(b)
0.6941ppm、(c)3.4705ppm、(d)6.
941ppm、及び(e)34.705ppmに相当す
る。
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】表4〜6において各表の「対照」欄と「0
ppm」欄とを比較すると明らかなように、0.1p
pmの硝酸銀単独では、ラン藻類の発生を防止するもの
の、珪藻類及び緑藻類の発生に対しては抑制効果がなか
った。一方、硝酸銀0.1ppmの濃度において二酸化
ゲルマニウムを併用すると、二酸化ゲルマニウム1pp
m以上の濃度で珪藻類及び緑藻類の発生に対しても抑制
効果が認められた。
【0034】ソラスズメダイに対しては、硝酸銀0.1
ppm単独では影響は認められず、これに二酸化ゲルマ
ニウムを併用した場合も影響は認められなかった。
【0035】以上のことから硝酸銀0.1ppmと二酸
化ゲルマニウムを併用する場合、二酸化ゲルマニウム1
ppm〜50ppmの範囲の濃度で安全かつ有効に使用
できることが判明した。
【0036】上記試験例1及び2を比較すると、試験例
1では5ppmの二酸化ゲルマニウム単独では例えば緑
藻類に対しては全く効果がなく(表2の0 ppmの
欄)、また試験例2で0.1ppmの硝酸銀単独も例え
ば緑藻類に対して効果がない(表5の0 ppmの欄)
にも拘わらず、二酸化ゲルマニウムと硝酸銀とを併用し
たときは、僅か1ppmの二酸化ゲルマニウム濃度でも
緑藻類に対して抑制効果が発現し(表5の0.5ppm
の欄と1ppmの欄とを比較のこと)、また0.05p
pmの硝酸銀でも緑藻類の発生に対して抑制効果が明ら
かに現われている(表2の0.01ppmの欄と0.0
5ppmの欄とを比較のこと)。このように、単独では
緑藻類に対して影響を与えない筈の低い濃度において、
併用により抑制効果が現われることは、二酸化ゲルマニ
ウムと硝酸銀とがこれらの藻類の発生に対し意外にも相
乗的に抑制効果を現すことを示している。藻類の発生に
対しゲルマニウム化合物と銀化合物との間に見出される
このような相乗効果の結果、これら化合物を比較的低濃
度で用いて藻類の発生を効果的に防止できることは、海
棲動物の飼育の上で好ましい。
【0037】<試験例3>下記の実施例1及び2により
得られた人工海水調製用塩類組成物を使用して調製した
人工海水を入れた水槽(容量50L)にソラスズメダイ
5匹および藻類が付着した珊瑚砂2gを入れ、25°C
で2月間飼育した。経時的に人工海水中に発生する藻類
およびソラスズメダイの状態を観察した。その結果、こ
れら人工海水によっては藻類の発生は認められないこと
が確認された。また、ソラスズメダイの生存率も良好で
あり、病害の発生も認められなかった。
【0038】
【実施例】<実施例1> 人工海水調製用塩類組成物 塩化ナトリウム1,000g、塩化マグネシウム500
g、硫酸ナトリウム180g、塩化カルシウム70g、
塩化カリウム30g、臭化カリウム4g、炭酸水素ナト
リウム1g、チオ硫酸ナトリウム0.1g、ホウ酸5
g、ホウ酸ナトリウム2g、二酸化ゲルマニウム0.2
5g及び硝酸銀10mgを混和してポリエチレン製の袋
に収納した。本品は人工海水として使用するとき、全量
50リットルとなるように、水道水に溶解する。
【0039】<実施例2>塩化ナトリウム1,000
g、塩化マグネシウム500g、硫酸ナトリウム180
g、塩化カルシウム70g、塩化カリウム30g、臭化
ナトリウム4g、炭酸水素ナトリウム1g、二酸化ゲル
マニウム0.5g、硝酸銀25mg及び下記の微量元素
混合末の52mgを、充分に混和してポリエチレン製の
袋に収納した。本品は人工海水として使用するとき、全
量50リットルとなるように、水道水又は脱イオン水に
溶解する。微量元素混合末: 塩化リチウム10g、四
塩化チタン40mg、塩化マンガン9mg、塩化第二鉄
48mg、塩化亜鉛80mg、モリブデン酸アンモニウ
ム200mg及びタングステン酸ナトリウム21mgを
混合した粉末。
【0040】
【発明の効果】本発明の方法は、飼育される海棲動物に
対し毒性を生ずることなしに水中の海棲藻類の発生又は
発育を防止することを可能にする。また本発明の塩類組
成物は、そのような特徴を有する人工海水を提供するこ
とができる。これにより水槽等への付着性藻類の発生ま
たは発育を防止ないし抑制できるため、水槽の美観が保
て、観察に支障を生じるのが防止でき、また水槽の清掃
等の手間が軽減できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A01K 63/04 A01K 63/04 F A01M 21/00 A01M 21/00 Z A01N 59/16 A01N 59/16 Z A E02B 1/00 301 E02B 1/00 301Z (72)発明者 青山 秀幸 徳島県板野郡松茂町中喜来字牛飼野東ノ越 5番地の5

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】海棲動物の育成に許容し得る、天然海水よ
    り高濃度のゲルマニウム化合物及び銀化合物を海棲動物
    育成用水に含有させることを特徴とする、海棲動物育成
    用水中の海棲藻類の発生及び発育を抑制する方法。
  2. 【請求項2】ゲルマニウム化合物を1〜50ppm及び
    銀化合物を0.05〜0.5ppmの濃度に海棲動物育
    成用水に含有させることを特徴とする、請求項1の方
    法。
  3. 【請求項3】ゲルマニウム化合物が二酸化ゲルマニウム
    及び塩化ゲルマニウムよりなる群より選ばれるものであ
    る、請求項1又は2の方法。
  4. 【請求項4】銀化合物が硝酸銀、硫酸銀、ハロゲン化
    銀、酸化銀、硫化銀、炭酸銀、シュウ酸銀、酢酸銀及び
    サリチル酸銀よりなる群より選ばれるものである、請求
    項1乃至3の何れかの方法。
  5. 【請求項5】人工海水調製用塩類組成物であって、塩分
    S=25〜35の範囲に入るように水に溶解させたとき
    得られる人工海水が海棲動物の育成に許容し得る、天然
    海水より高いゲルマニウム化合物濃度及び銀化合物濃度
    を与えるよう、ゲルマニウム化合物及び銀化合物を含有
    させてあることを特徴とする塩類組成物。
  6. 【請求項6】該人工海水中のゲルマニウム化合物濃度が
    1〜50ppmであり銀化合物濃度が0.05〜0.5
    ppmである、請求項5の塩類組成物。
  7. 【請求項7】ゲルマニウム化合物が二酸化ゲルマニウム
    及び塩化ゲルマニウムよりなる群より選ばれるものであ
    る、請求項5又は6の塩類組成物。
  8. 【請求項8】銀化合物が硝酸銀、硫酸銀、ハロゲン化
    銀、酸化銀、硫化銀、炭酸銀、シュウ酸銀、酢酸銀及び
    サリチル酸銀よりなる群より選ばれるものである、請求
    項5乃至7の何れかの塩類組成物。
  9. 【請求項9】該人工海水が、ナトリウム7〜14g/
    L、マグネシウム0.8〜1.7g/L、カルシウム
    0.3〜0.5g/L、カリウム0.3〜0.5g/
    L、塩素15〜24g/L、及びイオウ0.7〜1.2
    g/Lを含有するものである、請求項5乃至8の何れか
    の塩類組成物。
JP7482198A 1998-03-09 1998-03-09 海棲藻類発生防止方法及び人工海水調製用塩類組成物 Withdrawn JPH11253964A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7482198A JPH11253964A (ja) 1998-03-09 1998-03-09 海棲藻類発生防止方法及び人工海水調製用塩類組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7482198A JPH11253964A (ja) 1998-03-09 1998-03-09 海棲藻類発生防止方法及び人工海水調製用塩類組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11253964A true JPH11253964A (ja) 1999-09-21

Family

ID=13558372

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7482198A Withdrawn JPH11253964A (ja) 1998-03-09 1998-03-09 海棲藻類発生防止方法及び人工海水調製用塩類組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11253964A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007153852A (ja) * 2005-12-08 2007-06-21 Nippon Nohyaku Co Ltd 水系用防藻剤
JP2008043252A (ja) * 2006-08-16 2008-02-28 Japan International Research Center For Agricultural Services 室内型エビ生産に用いるエビ育成・健康管理システム
WO2016084982A1 (en) * 2014-11-27 2016-06-02 Kake Educational Institution Culturing water for crustacean seed such as shrimp, crab, mantis shrimp and the like, and culture method of crustacean seed using same
JP6056949B1 (ja) * 2014-11-27 2017-01-11 学校法人加計学園 エビやカニ、シャコ等の甲殻類の種苗養殖水とこれを用いた種苗の養殖方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007153852A (ja) * 2005-12-08 2007-06-21 Nippon Nohyaku Co Ltd 水系用防藻剤
JP2008043252A (ja) * 2006-08-16 2008-02-28 Japan International Research Center For Agricultural Services 室内型エビ生産に用いるエビ育成・健康管理システム
WO2016084982A1 (en) * 2014-11-27 2016-06-02 Kake Educational Institution Culturing water for crustacean seed such as shrimp, crab, mantis shrimp and the like, and culture method of crustacean seed using same
JP6056949B1 (ja) * 2014-11-27 2017-01-11 学校法人加計学園 エビやカニ、シャコ等の甲殻類の種苗養殖水とこれを用いた種苗の養殖方法
JP2017060459A (ja) * 2014-11-27 2017-03-30 学校法人加計学園 エビやカニ、シャコ等の甲殻類の種苗養殖水とこれを用いた種苗の養殖方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU663386B2 (en) Artificial sea-water
JPS61271086A (ja) 水産養殖用水からクロラミン類、塩素およびアンモニアを除去するための方法および物質
JP2003146817A (ja) 殺菌殺藻剤組成物、水系の殺菌殺藻方法及び殺菌殺藻剤組成物の製造方法
KR101144641B1 (ko) 액상복합비료
US5518990A (en) Method for preventing emergence of algae and antialgal composition
US3716351A (en) Algaecide composition having improved stability
JPH11253964A (ja) 海棲藻類発生防止方法及び人工海水調製用塩類組成物
JP7465388B2 (ja) 天然温泉濃縮液の製造方法
CN104365668A (zh) 环保长效复合防污材料
JPH0794035B2 (ja) 人工海水調製剤
KR100714507B1 (ko) 산호모래를 함유하는 수질개선제
MX2012002267A (es) Composiciones para el tratamiento de sistemas de agua.
CA2624961C (en) Composition for destroying thread algae
JP5578401B2 (ja) 観賞魚用飼育水、トリートメント水、および、観賞魚用トリートメント水、観賞魚用トリートメント水生成物質
JP3381274B2 (ja) 防藻組成物および本組成物を用いた観賞魚用防藻剤
CN104743686A (zh) 一种新型可再生鱼缸杀菌放氧包
US20030004198A1 (en) Stabilized isothiazolone-containing compositions
JP3275457B2 (ja) 人工海水用組成物
JP3111250B2 (ja) 防藻剤及びその製造方法並びに防藻方法
US4337245A (en) Nutrient compound
JP3225418B2 (ja) 魚類魚卵類の塩蔵品の製法
WO2023127055A1 (ja) 天然温泉濃縮液とその製造方法
KR20140105163A (ko) 녹조제거조성물 및 녹조제거방법
KR101074036B1 (ko) 메틸 이소티아졸론을 포함하는 조성물 및 이의 제조방법
JP2005246144A (ja) 藻類制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050510