JPH11243673A - 車両用交流発電機 - Google Patents

車両用交流発電機

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JPH11243673A
JPH11243673A JP25490598A JP25490598A JPH11243673A JP H11243673 A JPH11243673 A JP H11243673A JP 25490598 A JP25490598 A JP 25490598A JP 25490598 A JP25490598 A JP 25490598A JP H11243673 A JPH11243673 A JP H11243673A
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梅田  敦司
Tsutomu Shiga
志賀  孜
Arata Kusase
草瀬  新
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で高出力な車両用交流発電機を提供する
こと。 【解決手段】 車両用交流発電機1は、電機子として働
く固定子2と、界磁として働く回転子3とを備える。回
転子3は、界磁コイル8が巻装された円筒部71、継鉄
部72、爪状磁極部73からなるポールコア7を含んで
いる。固定子2は、固定子鉄心32と電機子コイル33
とインシュレータ34とで構成される。固定子鉄心32
の軸長寸法L1とポールコア7の軸長寸法L2との比率
L1/L2は、0.7〜1.0の範囲に設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は乗用車、トラック等
に搭載される車両用交流発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両走行抵抗の低減や視界向上の
ためのスラントノーズ化や車室内居住空間の確保のニー
ズからエンジンルームはますます狭小化しつつあり、車
両用交流発電機の搭載スペースに余裕がなくなってきて
いる。また、燃費向上のためエンジン回転は下げられ、
車両用交流発電機の回転も下がっているが、その一方で
安全制御機器等の電気負荷の増加が求められ、ますます
発電能力の向上が求められている。低コスト化要請は、
言うまでもない。即ち、小型で高出力な車両用交流発電
機を安価に提供することが求められている。
【0003】また、車外騒音低減の社会的要請や車室内
静粛性向上による商品性向上の狙いから、エンジン騒音
が低下してきており、相対的に車両用交流発電機の発電
時の磁気騒音が耳につきやすい状況となってきた。以上
のことを背景として、小型、高出力で、磁気騒音の低い
車両用交流発電機を安価に提供することが求められてい
る。
【0004】一般に、車両用交流発電機の基本構造は、
図17の従来例に示すような円筒部、継鉄部、爪状磁極
部を有するランデル型鉄心(以下、ポールコアと称す
る)を有した回転子とその外周部に位置する固定子によ
って構成される。この回転子の軸長で発電機の全長がほ
ぼ決定されることから、特にこの回転子の小型高性能化
が望まれている。回転子中を流れる磁束Φは、図17に
示されるように円筒部から継鉄部、爪状磁極部へと流
れ、爪状磁極部から徐々に固定子鉄心に磁束が流入す
る。
【0005】回転子から発生する磁束Φは周知のよう
に、 (回転子発生磁束Φ)=(起磁力:界磁コイルのアンペ
ア・ターン)/(各部磁気抵抗の和) で示される。ここで、 (起磁力)∝(界磁コイル断面積)・(界磁コイル温
度) (磁気抵抗)∝(磁路長さ)/(断面積) となる。
【0006】従来の設計では、図17に示されるように
ポールコアの各部の磁路断面S1、S2、S3は局部的
な磁束飽和を避けるため略同一に設計され、また界磁コ
イルの起磁力に必要な空間を確保するようにポールコア
の各部寸法は決定される。このように設計された回転子
の発生磁束に対応して固定子鉄心の磁路断面は略同一と
され、巻線抵抗値からスロット面積が決定され、その結
果、固定子の軸方向長さ(以下、軸長と称す)が決ま
る。このようにして決定された従来の磁気回路において
は、一般に、ポールコア円筒部の軸長L3と固定子鉄心
の軸長L1は略同一となっている。
【0007】前述の式より、出力向上のため回転子の発
生磁束Φを大きくするためには、起磁力を大きくする
か、磁気抵抗を小さくしなければならない。まず、起磁
力を増加するためには、前述の式より界磁コイルの占め
る断面積を大きくするか、あるいは界磁コイルの冷却性
を向上させることが必要である。しかし、界磁コイルの
占める断面積を大きくすると、発電機の大きさを変えな
いために、その他の磁路断面積を一様に小さくせねばな
らず、これは磁気抵抗を大きくすることとなるので発生
磁束Φが低下する。また、逆に磁気抵抗低減のため磁路
断面積を大きく取るには界磁コイルの占める断面積を小
さくしなければならないため、結局双方のトレードオフ
する範囲で従来は設計せざるを得なかった。
【0008】また、界磁コイルの冷却については、冷却
ファンを回転子の磁極両側面に固定して内蔵化する一般
的構造において、実開平5−11769号公報に示され
ている様に、回転子断面でのポールコアの両側面巾より
も径方向高さ寸法を大きくして略扁平回転子とし、界磁
コイルとポールコアとの接触面積を増やすことにより伝
熱性を向上するものが提案されているが、以下の問題に
より、冷却性向上の実現が難しかった。即ち、固定子鉄
心の軸方向両側面に位置する電機子コイルの渡り線部
(以下、コイルエンドと称す)は、その内径側において
ポールコア磁極爪の根元部と対向隣接することとなる。
この電機子コイルには交流電流が流れているため、その
周囲には交番磁束が発生する。よって、この磁束は鉄材
質からなるポールコア磁極爪の根元部に流れ込むため、
この部分に渦電流が発生して発熱を生ずる。更に、発電
機の中でも最も温度の高い発熱源である電機子コイルの
コイルエンドからの輻射熱がポールコア磁極爪の根元部
に放射される。以上により、ポールコアの冷却性が悪化
するため、界磁コイルからポールコアへの伝熱放熱性が
低下し、この結果、界磁コイルの温度低減は難しくなっ
ていた。
【0009】一方、磁気抵抗を小さくするためには、従
来の設計手法では、回転子、固定子のどこか1カ所の磁
路断面を拡大しても他の磁路断面を同様に拡大しなけれ
ば、磁束密度の高い部位の磁気飽和によって全体磁束が
規制されてしまうため回転子の発生磁束Φはあまり増加
しない。よって、重量あたりの出力の増加には、ほとん
ど効果が無くなる。逆に、すべての磁路断面を拡大する
ことは、出力は増加するが、小型化には反する。
【0010】また、磁気騒音については、以下の問題が
あった。即ち、固定子鉄心の軸方向両側面に位置するコ
イルエンドは、その内径方向においてポールコア爪状磁
極部の根元部と対向隣接している。そして、この電機子
コイルには交流電流が流れているため、その周囲には交
番磁束が発生し、よって、この磁束は鉄材質からなるポ
ールコア爪状磁極部の根元部に流れ込む。これにより、
ポールコア内の磁束の流れが一様でなくなるため、固定
子鉄心とポールコア間に働く磁気的な力に不均衡が生
じ、磁気騒音が発生しやすくなっていた。更に、交番磁
束は出力電流に比例して増加するため、同一体格の発電
機において回転子の発生磁束Φを増やして出力を向上で
きた場合、それに伴って磁気騒音も増加してしまうとい
う問題があった。
【0011】また、ポールコア爪状磁極部が、径方向に
いわゆる首振り振動する固有振動数が、固定子鉄心と回
転子ポールコア間に働く磁気的な力に共振した場合に爪
音が発生する。一般的な12極ポールコアと36極の磁
極歯を持つ固定子鉄心からなる発電機の場合、図18に
示すように11000r/min前後の回転数で突然大
きな騒音レベルとなって爪音が現れるため、特に耳障り
となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、小型で高出
力、かつ、騒音の低い車両用交流発電機を安価に提供す
るものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、界磁コイルと、該界磁コイルが巻装された円筒
部、該円筒部の軸方向両端部から径方向に広がる継鉄部
および該継鉄部から前記界磁コイルを囲包するように延
びる爪状磁極部を有するランデル型鉄心とを備える回転
子と、該爪状磁極部の外周に対向配置され積層鉄心およ
び電機子コイルを備える固定子とを有する車両用交流発
電機において、前記固定子積層鉄心の軸方向長さL1と
前記ランデル型鉄心の軸方向長さL2との比率(L1/
L2)が、0.7〜1.0の範囲であることを特徴とし
ている。これにより、コイルエンドとポールコア爪状磁
極部の根元部とを離間させることにより、コイルエンド
からの交番磁束がポールコア内を通過することを防いで
渦電流損を抑止し、かつ、輻射熱の影響も低減できる。
よって、ポールコアの温度が下がるので、界磁コイルか
らポールコアへの伝熱を向上でき、界磁コイルを冷却し
て起磁力を増やすことができる。以上により、小型で高
効率かつ高出力な発電機を提供できる。
【0014】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の車両用交流発電機において、前記固定子積層鉄
心の軸方向長さL1と前記円筒部の軸方向長さL3の比
率(L1/L3)は、1.25〜1.75の範囲であ
り、かつ、前記ランデル型鉄心の爪状磁極外径R1と前
記円筒部の外径R2との比率(R2/R1)は、0.5
4〜0.60の範囲であることを特徴としている。これ
により、図1に示されるようにポールコア継鉄部は固定
子鉄心に対向するので、継鉄部より直接固定子鉄心に磁
束を流入できる。よって、爪状磁極から流入する磁束を
減少させることができるので爪状磁極断面をこれに比例
して小さくすることができる。これによりポールコア間
の余空間に余裕ができるので、界磁コイル断面積を確保
しつつランデル型鉄心の円筒部の外径R2を従来よりも
大きくして、即ち外径R1との比率(R2/R1)を
0.54〜0.60の範囲とすることにより、従来より
も大きな磁路断面積を確保することができる。よって磁
気抵抗を低減して、回転子発生磁束Φを増やすことがで
きる。また、ポールコアの体積増により熱容量が増える
ので、界磁コイルの温度を更に低減できる。以上より、
小型で高効率かつ高出力な発電機を提供できる。
【0015】請求項3に記載の発明によれば、界磁コイ
ルと、該界磁コイルが巻装された円筒部、該円筒部の軸
方向両端部から径方向に広がる継鉄部および該継鉄部か
ら前記界磁コイルを囲包するように延びる爪状磁極部を
有するランデル型鉄心を備える回転子と、該爪状磁極部
の外周に対向配置され積層鉄心および電機子コイルを備
え、該電機子コイルの渡り線であるコイルエンドを該積
層鉄心の両端に配置した固定子とを有する車両用交流発
電機において、前記継鉄部の軸方向厚さY1に対する前
記コイルエンドとの軸方向のオーバーラップ長さY2の
比率(Y2/Y1)が、0〜0.5の範囲であることを
特徴としている。これにより、コイルエンドとポールコ
ア爪状磁極部の根元部とを離間させることができ、コイ
ルエンドからの交番磁束がポールコア内を通過すること
を低減できる。よって、ポールコア内の磁束の流れの乱
れが軽減されるため、固定子鉄心と回転子のポールコア
間に生ずる磁気的な力の均衡化が図られ、磁気騒音を低
減できる。
【0016】請求項4に記載の発明によれば、請求項3
に記載の車両用交流発電機において、前記固定子積層鉄
心の軸方向長さL1と前記円筒部の軸方向長さL3の比
率(L1/L3)は1.25〜1.75の範囲であり、
かつ、前記爪状磁極部の根元部の径方向厚さX1と前記
継鉄部の軸方向厚さY1との比率(X1/Y1)は、
0.5〜0.9の範囲であることを特徴としている。こ
れにより、図11に示されるようにポールコア継鉄部は
固定子鉄心に対向するので、継鉄部より直接固定子鉄心
に磁束を流入できる。よって、爪状磁極部から流入する
磁束を減少させることができるので爪状磁極部の根元部
の断面S3をこれに比例して小さくすることができる。
これによりポールコア間の余空間に余裕ができるので、
界磁コイル断面積を確保しつつポールコアの円筒部断面
S1及び継鉄部断面S2を従来よりも大きして、磁気抵
抗を低減し、回転子発生磁束Φを増やすことができる。
この状況下で、比率(X1/Y1)を0.5〜0.9の
範囲で選定することにより、爪状磁極部の磁束密度を過
不足なく適正値に設定することができる。即ち、爪状磁
極部を厚くしすぎて界磁コイル断面を阻害することを防
止し、爪状磁極部を薄くしすぎて、出力が低下すること
を防止できる。よって小型、高出力化が可能となる。ま
た、ポールコア爪状磁極部の体積減少に伴う重量減少に
より、共振周波数が上昇するので、爪音の発生回転数を
使用頻度のより少ない高速回転域にずらすことができ
る。この結果、通常の車両走行において爪音の発生頻度
を低減できる。
【0017】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
〜4のいずれかに記載の車両用交流発電機において、前
記界磁コイルは、樹脂を含浸したシートにより囲包さ
れ、該シートを介して少なくとも1つの前記爪状磁極部
の内周面に当接していることを特徴としている。これに
より、界磁コイル用のポールコア内部の空間を最大限に
利用できるので起磁力のアップにより高出力化が可能で
あり、また界磁コイルからポールコア継鉄部側面および
爪状磁極の内周面への伝熱性向上により更に出力向上を
図ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明の車両用交流発電
機を図に示す各実施形態に基づいて説明する。 〔第一の実施形態〕図1、2、3はこの発明の第一の実
施形態を示したもので、図1は車両用交流発電機の主要
部断面、図2、3は本実施形態の車両用交流発電機の回
転子ポールコアと固定子鉄心の説明図である。
【0019】車両用交流発電機1は、電機子として働く
固定子2と界磁として働く回転子3、前記回転子、固定
子を支持するハウジング4、前記固定子に直接接続さ
れ、交流電力を直流電力に変換する整流器5、界磁電流
量を増減し発電量を制御する電圧調整機11等から構成
されている。回転子3は、シャフト6と一体になって回
転するもので、1組のコア7、冷却ファン12、界磁コ
イル8、スリップリング9、10等によって構成されて
いる。シャフト6は、プーリ20に連結され、自動車に
搭載された走行用のエンジン(図示せず)により回転駆
動される。
【0020】コア7は円筒部71、継鉄部72、爪状磁
極部73により構成されている。一組のコア7は、円筒
部71を突きあわせて、各々の爪状磁極部73を噛み合
わせるようにして組合わされる。これらコア7により、
円筒部と、その両端から径方向に広がる継鉄部と、それ
ら継鉄部から界磁コイル8を囲むように延びる爪状磁極
部とを有するランデル型鉄心としてのポールコアが形成
される。以下、一組のコア7の組立体をポールコア7と
称する。界磁コイル8は、軸方向中心部の外径寸法が大
きく、軸方向両端部にゆくに従い外径寸法の小さい山形
形状をしており、外径寸法はポールコア7の爪状磁極部
73に沿った形状となっている。また、界磁コイル8は
絶縁紙81を介して爪状磁極部73の内径面に適当な圧
縮力を持って当接されている。絶縁紙81は樹脂を含浸
したシートから成り、界磁コイル8を囲包しており、加
熱処理により界磁コイル8を固着している。なお界磁コ
イル8は帯状のシートを螺旋状に巻いたり、花びら状の
シートを上下から挟み込むことで囲包される。
【0021】固定子2は、積層鉄心としての固定子鉄心
32と、電機子コイル33と、鉄心と巻線とを絶縁する
インシュレータ34で構成され、ハウジング4により支
えられている。固定子鉄心32は、薄い鋼板を重ね合わ
せて形成されている。固定子鉄心32の軸方向両側面に
は、電機子コイル33のコイルエンド333が形成され
ている。
【0022】次に、本実施形態の車両用交流発電機1の
磁気回路の詳細について図2、図3にて説明する。ポー
ルコア軸長L2は円筒部71の軸長L3と継鉄部72の
軸方向厚みX2の2倍とを合計した値である。このポー
ルコア軸長L2と固定子鉄心32の軸長L1の比率(L
1/L2)は、0.7〜1の範囲で設定されている。ポ
ールコア7の円筒部71の軸長L3と固定子鉄心32の
軸長L1の比率(L1/L3)は、1.25〜1.75
の範囲で設定されている。円筒部71の外径R2と爪状
磁極部73の外径R1の比率(R2/R1)は、0.5
4〜0.60の範囲で設定されている。
【0023】基準断面積S1は、円筒部71の外径R2
による断面積から外径R3のシャフトの断面積を減じ、
ポールコア極数Pで割ったもので、次式で表される。 S1={π/(4・P)}(R22 −R32 ) 爪状磁極部73の磁極幅Wは爪状磁極外径R1を極数P
で分割した値の半分の長さに設定した。
【0024】W=(π・R1)/(2・P) 継鉄部72の断面積S2はS1と等しく、軸方向厚さY
1は、 S2=S1=W・Y1 となるように設定した。界磁コイル8は、円筒部71、
継鉄部72、爪状磁極部73の内側面で形成される空間
に対し、一定の占積率68%で一定の抵抗値2.3Ωと
なるように、コイル径を選定した。
【0025】固定子2は、外径寸法R4をポールコア7
の爪状磁極外径R1の129%にした。固定子鉄心32
の各部寸法は、断面積が前述のS1に対し漏れ磁束分を
考慮した一般的に使用される比率である66%となるよ
うに設定した。またエアギャップδは車両用交流発電機
で一般的に使用される0.35mmとしている。その他
爪状磁極部73の先端厚さ等詳細寸法は従来の車両用発
電機と同等比率で設定している。なお爪状磁極部73の
外径R1は92mmとした。
【0026】なお、電機子コイル33は図9に示される
ような2つの直線部332を持つ複数のU字状の電気導
体331からなる。図10に示されるように2つの直線
部332の片方はスロットの内径側に配置されて内層を
なし、他方は外径側に配置されて外層をなしている。さ
らに電気導体331のターン部はコイルエンドとしての
部分である。そして複数の電気導体331は、コイルエ
ンドが整列するように重ねて固定子鉄心32の一方側端
面から挿入されている。そして、スロットの他方側端面
から突出した直線部332をそれぞれ固定子鉄心32の
周方向に曲げ、1極分ずれた各導体を結線することで電
機子コイル33は構成されている。
【0027】〔第一の実施形態の作用効果〕ポールコア
軸長L2と固定子鉄心32の軸長L1の比率(L1/L
2)は、0.7〜1の範囲で設定しているため、コイル
エンドとポールコア爪状磁極部73の根元部とを離間さ
せることができるので、コイルエンドからの交番磁束が
ポールコア内を通過することを防いで渦電流損を抑止
し、かつコイルエンドからの輻射熱の影響も低減でき
る。よって、ポールコア7の温度が下がるので、界磁コ
イル8からポールコア7への伝熱性が向上し、界磁コイ
ル8を冷却できる。
【0028】図4には、ポールコア軸長L2が一定条件
の下で、比率(L1/L2)に対する冷時状態と熱時状
態の界磁電流値の比率を調査した結果を示しており、界
磁コイル8の冷却性が高いほど冷時と熱時の電流値低下
が少なくなるから、縦軸の値は高くなる。図4より、比
率(L1/L2)が0.7以上であれば、冷時と熱時の
界磁電流値の比率がほぼ飽和することより、渦電流損お
よび輻射熱の影響がほとんど無くなることがわかる。ま
た、図5には比率(L1/L2)に対する重量あたりの
出力を示している。なお、重量あたりの出力は、発電機
回転数2000rpm、発電機電圧13.5V熱時飽和
時の最大出力を回転子3、固定子2の重量和で割った値
を示している。重量あたりの出力は、ポールコア軸長L
2が一定条件の下で、固定子鉄心32の軸長L1を大き
くするにつれ磁路断面積の拡大や界磁コイル8の冷却性
向上により当初は上昇する。しかし、更にL1を大きく
すると、図4に示したように界磁コイルの冷却性が飽和
する一方で電機子コイル33自身の抵抗値上昇によって
出力が低下傾向にあるのに対し、重量は鉄心の軸長が増
えるのに比例して増加するから、重量あたりの出力は急
激に低下する。以上のことから、比率(L1/L2)は
0.7〜1の範囲に設定されている。
【0029】固定子鉄心32の軸長L1とポールコア7
の円筒部71の軸長L3の比率(L1/L3)を、1.
25〜1.75の範囲で設定しているため、図11に示
すように、ポールコア継鉄部72を固定子鉄心32に対
向させることができ、継鉄部72より直接固定子鉄心3
2に磁束を流入できる。よって、爪状磁極部73から流
入する磁束を減少させることができるので、爪状磁極断
面S3を従来よりも小さくすることができる。このこと
は、図17に示した従来構造での磁束の流れと、図11
の本発明での磁束の流れを比較すれば、明らかである。
これによりポールコア7の余空間に余裕ができるので、
界磁コイル8の断面積を確保しつつポールコア7の円筒
部71の外径R2を従来よりも大きく設定して、即ち外
径R1との比率(R2/R1)を0.54〜0.60の
範囲とすることにより、従来よりも大きな磁路断面積を
確保することができる。よって磁気抵抗を低減して、回
転子発生磁束Φを増やすことができる。また、ポールコ
ア7の体積増により熱容量が増えるので、界磁コイル8
の温度を更に低減できる。以上のことにより、小型で高
効率かつ高出力な発電機を提供できる。
【0030】また、上記の寸法比率範囲において、ポー
ルコア爪状磁極部73の体積が従来よりも減少するの
で、当然、重量も減少する。これにより、共振周波数が
上昇するので、爪音の発生回転数を更に高速回転域にず
らすことができ、一般走行の場合、使用頻度のより少な
い回転域となるために爪音の発生頻度を低減できる。図
6、7、8は、本実施形態の効果を示すグラフである。
図6はポールコア7の円筒部71の軸長L3と固定子鉄
心32の軸長L1との比率(L1/L3)をパラメータ
とし、爪状磁極部73の外径R1と円筒部径R2の比率
(R2/R1)を変更した場合を示している。縦軸に比
率(L1/L3)を、横軸に比率(R2/R1)をと
り、その際の重量あたりの出力を等高線状に示した図で
ある。なお図6は、比率(L1/L3)をパラメータと
し、円筒部外径R2を決定した後、爪状磁極部73の径
方向厚さX1を変更し、重量あたりの出力がピークとな
る値をプロットしている。
【0031】図6の極大点近傍で、図7は比率(L1/
L3)を固定して比率R2/R1を変更した場合を示
し、図8は比率(R2/R1)を固定して比率L1/L
3を変更した場合を示している。図6に示されるよう
に、比率(L1/L3)=1の近傍の従来範囲に対し、
比率(L1/L3)、比率(R2/R1)双方を大きく
した領域で重量あたりの出力が増加し、比率(L1/L
3)=1.5、比率(R2/R1)=0.56の近傍で
極大値が得られる。これは従来範囲に対し、比率(L1
/L3)の変更で比率(R1/R2)の最適範囲が変わ
り、従来よりも大きな磁路断面、即ち円筒部外径を大き
く取った場合に最適点をとることで、重量あたりの最大
出力も更に向上できることを示している。ただし、比率
(L1/L3)をある程度以上増加させると固定子2の
重量が増大してしまう。このため、従来に対し重量あた
りの出力向上効果のある範囲は比率(L1/L3)が
1.25〜1.75の範囲、比率(R2/R1)が0.
54〜0.60の範囲であることが判る。また、図6は
従来のように比率(L1/L3)のみ、比率(R2/R
1)のみを変更しても殆ど効果がないばかりか、場合に
よってはかえって重量あたりの出力を低下させてしまう
ことも示している。本実施形態は双方を変更する相乗効
果により、同一重量の条件の下で従来にない高出力を得
ることができる。
【0032】また、本実施形態では界磁コイル8を略山
形としているので、コイルの巻装面積が増し、更に起磁
力をアップでき、高出力化が可能となる。また本実施形
態では、シート状の樹脂含浸シートで界磁コイル8を囲
包しているので、爪状磁極部73とコイル外径間の絶縁
が十分保たれるため、ポールコア余空間を最大限に利用
することができ、更に高出力化できる。また、巻線の固
着のための接着剤が不要となり、設備が簡略化できるの
で製造コストを低減できる効果もある。
【0033】また、加熱処理によって界磁コイル同士を
樹脂含浸シートを使って含浸固着する時に、同時に爪状
磁極部73内周側から固着するので爪の共振が抑えら
れ、爪音の発生を防止できる。また、電機子コイル33
は、U字状の電気導体331を図10のように整列して
配列しているので、コイルエンド部において導体が隙間
をあけて周方向に均一な紋様をなしている。一方、従来
の固定子2のコイルエンド部には、異なる位相間の電機
子コイルが径方向に重なりあう部分が存在し、発電機外
殻の径方向内に収納するためにはコイルエンド部の径方
向の厚さを薄くしなければならなかった。このため、コ
イルエンド部の軸方向の高さを高くして扁平状に形成
し、径方向の厚さを薄くすることが一般に用いられてい
る。即ち、コイルエンド部の高さは、一定値以上を確保
しなければならない。この結果、固定子鉄心32の軸長
L1を増やすと、その分の固定子2の軸方向の全長が長
くなるため、発電機外殻の軸方向空間内を変えずに固定
子2を配置することが難しくなる。これに対し、本実施
形態のコイルエンド部は、図10に示すように径方向の
厚さが同一であり、従来に比べコイルエンド部の高さを
低くすることができる。このため、発電機外殻を一定の
ままで固定子鉄心32の軸長L1を従来より大きくでき
るため、発電機外殻の制約無しに上記最適範囲にL1を
設定でき、小型高出力化を図ることができる。
【0034】なお、第一の実施形態では、固定子鉄心3
2の軸方向長さL1とポールコア7の軸方向長さL2と
の比率(L1/L2)を、0.7〜1.0としている。
これに対し、図5より、重量あたりの出力を高く安定さ
せるためには、この比率を更に0.75〜0.85に限
定することが望ましい。また、第一の実施形態では、固
定子鉄心32の軸方向長さL1とポールコア7の円筒部
71の軸方向長さL3の比率(L1/L3)を1.25
〜1.75の範囲に設定し、ポールコア7の爪状磁極外
径R1と円筒部外径R2との比率(R2/R1)を0.
54〜0.60の範囲に設定している。これに対し、図
6より、重量あたりの出力を高く安定させるためには、
これらの比率範囲を更に限定し、比率(L1/L3)を
1.43〜1.60に、比率(R2/R1)を0.54
〜0.58にすることが望ましい。
【0035】〔第二の実施形態〕ところで、上述した第
一の実施形態の車両用交流発電機1では、ポールコア7
の軸長L2と固定子鉄心32の軸長L1との比率(L1
/L2)、ポールコア7の円筒部71の軸長L3と固定
子鉄心32の軸長L1の比率(L1/L3)、円筒部7
1の外径R2と爪状磁極部73の外径R1の比率(R2
/R1)を、それぞれ所定の範囲に設定したが、それ以
外の各種の寸法を所定の範囲に設定することによって
も、小型で高出力、かつ、磁気騒音の低い車両用交流発
電機を実現することができる。なお、本実施形態の車両
用交流発電機の構造は、上述した第一の実施形態の車両
用交流発電機1の構造と同じであり、コイルエンド高さ
等を所定の範囲に設定したことに特徴がある。
【0036】次に、第二の実施形態の車両用交流発電機
の磁気回路の詳細について図2、図3にて説明する。第
二の実施形態の車両用交流発電機では、継鉄部72の軸
方向厚さY1に対するコイルエンド333の軸方向のオ
ーバーラップ長さY2の比率(Y2/Y1)が、0〜
0.5の範囲に設定されている。ポールコア7の円筒部
71の軸長L3と固定子鉄心32の軸長L1の比率(L
1/L3)は、1.25〜1.75の範囲に設定され、
また爪状磁極部73の根元部の径方向厚さX1は継鉄部
72の軸方向厚さY1に対しその比率(X1/Y1)が
0.5〜0.9の範囲に設定されている。
【0037】ポールコア継鉄部72の軸方向厚さY1に
対するコイルエンド333の軸方向のオーバーラップ長
さY2の比率(Y2/Y1)が、0〜0.5の範囲に設
定されているので、コイルエンド333とポールコア7
とを離間させて、コイルエンド333からの交番磁束が
ポールコア7内を通過することを低減できる。よって、
ポールコア7内の磁束の流れの乱れが軽減されるため、
固定子鉄心32と回転子のポールコア7との間に生ずる
磁気的な力の均衡化が図られ、磁気騒音を低減できる。
【0038】図12は、Y1を固定し固定子鉄心32の
軸長L1を変化させることによってY2を変化させ、こ
の比率(Y2/Y1)に対する磁気騒音レベルを調査し
た結果を示している。なお、発電機の回転数は、エンジ
ン騒音がまだ小さく、相対的に発電機の磁気騒音が耳障
りとなるアイドル回転付近である2000rpmとし、
コイルエンド333からの発生磁束が同一となるよう出
力を一定値に調整した条件下で、発電機の最大騒音レベ
ルを調査した。図12より、比率(Y2/Y1)が0.
5を越えて、オーバーラップ領域が増加すると、コイル
エンド333からポールコア7内へ流れ込む交番磁束が
増え、磁気騒音が急増する。
【0039】一方、図13は、比率(Y2/Y1)に対
する重量あたりの出力を示している。ここで、重量あた
りの出力とは、発電機回転数2000rpm、発電機電
圧13.5V、熱時飽和時の最大出力を回転子3、固定
子2の重量和で割った値を示している。ポールコア継鉄
部72の軸方向厚さY1を固定し、オーバーラップ量Y
2を小さくするにつれ、換言すれば固定子鉄心32の軸
長L1を大きくするにつれ、固定子2側の磁路断面積の
拡大により磁気抵抗が下がり回転子発生磁束Φが増加す
るので、重量あたりの出力は、当初は上昇する。しか
し、更にL1を大きくすると、電機子コイル33自身の
抵抗値上昇によって出力が低下傾向となるのに対し、重
量は固定子鉄心32の軸長が増えるのに比例して増加す
るから、重量あたりの出力は急激に低下する。以上のこ
とから比率(Y2/Y1)は0〜0.5の範囲に設定さ
れている。
【0040】また、比率(Y2/Y1)を0〜0.5に
設定すると共に、固定子鉄心32の軸長L1と円筒部7
1の軸長L3の比率(L1/L3)を1.25〜1.7
5の範囲で設定しているため、ポールコア継鉄部72を
固定子鉄心32に対向させることができ、図11に示す
ように、継鉄部72より直接、固定子鉄心32に磁束を
流入できる。これにより爪状磁極部73から流入する磁
束を減少させることができ、磁束密度不変より、爪状磁
極部73の断面S3をこれに比例して小さくすることが
できる。このことは、図17に示した従来構成での磁束
の流れと比較すれば明らかである。この結果、ポールコ
ア7の余空間に余裕ができ、界磁コイル8の断面積を確
保しつつポールコア7の円筒部断面積S1及び継鉄部断
面積S2を従来よりも大きして、磁気抵抗を低減し、回
転子発生磁束Φを増やすことができる。この設計手法に
従い、円筒部71の外径R2とポールコア外径R1の比
率(R2/R1)を従来の一般的な0.5よりも大きな
0.56に設定し、(L1/L3)をパラメータとし、
爪状磁極部73の径方向厚さX1を変更し、重量あたり
の出力値を調査した結果が、図14、15、16であ
る。
【0041】図14は、縦軸にポールコア7の円筒部7
1の軸長L3と固定子鉄心32の軸長L1との比率(L
1/L3)を、横軸に爪状磁極部73の根元部の径方向
厚さX1と継鉄部72の軸方向厚さY1の比率(X1/
Y1)を取り、その時の重量あたりの出力を等高線状に
示した図である。図15、16は図14の極大点近傍
で、(L1/L3)を固定し(X1/Y1)を変更した
場合、および(X1/Y1)を固定し(L1/L3)を
変更した場合をそれぞれ示している。図14に示される
ように、(L1/L3)の変更で(X1/Y1)の最適
範囲が変わり、従来よりも爪状磁極部73の断面積、即
ち爪状磁極部73の径方向厚さが小さい値で最適点を取
ることができ、重量あたりの最大出力も更に向上できる
ことを示している。但し、(L1/L3)をある程度以
上増加させると固定子2の重量が増大してしまう。この
ため、従来に対し出力向上効果のある範囲は(L1/L
3)が1.25〜1.75の範囲、(X1/Y1)が
0.5〜0.9の範囲であることがわかる。上記比率に
設定しているので、爪状磁極部73の磁束密度を過不足
なく適正値に設定することができる。即ち、爪状磁極部
73を厚くしすぎてコイル断面を阻害することを防止
し、爪状磁極部73を薄くしすぎて、出力が低下するこ
とを防止することができる。また、図14は従来のよう
に(L1/L3)のみ、(X1/Y1)のみを変更して
も殆ど効果がないばかりか、場合によってはかえって重
量あたりの出力を低下させてしまうことも示している。
本実施形態は双方を変更する相乗効果により、同一重量
の条件の下で従来にない高出力を得ることができる。
【0042】また、上記の寸法比率範囲において、ポー
ルコア爪状磁極部73の体積が従来よりも減少するの
で、当然、重量も減少する。これにより、共振周波数が
上昇するので、爪音の発生回転数を更に高速回転域にず
らすことができる。よって、一般走行の場合、爪音の発
生する回転数は使用頻度のより少ない回転域となるため
に、爪音の発生頻度を低減できる。
【0043】また本実施形態では、樹脂含浸シートによ
る絶縁紙81で界磁コイル8を囲包し、しかもこのシー
トは少なくとも1つの爪状磁極部73の内周面に当接さ
れているので、加熱処理によって界磁コイル8どうしを
樹脂含浸シートを使って含浸固着する時に、同時に爪状
磁極部73も内周側から固着するので爪の共振が抑えら
れ、爪音の発生を抑止できる。当接部にしめしろを持た
せてあるので、界磁コイル8とシートとが一体化に近づ
き、爪の固定は更に強固なものになる。また、爪状磁極
部73と界磁コイル8の外径間の絶縁が十分保たれ、界
磁コイル8用のポールコア7内部の空間を最大限に利用
できるので、起磁力のアップにより更に高出力化を実現
できる。また、従来のようなリング状の制振部材は不要
であるので、製造コストの面でも有利である。
【0044】また、電機子コイル33は、U字状の電気
導体331を図10のように整列して配列しているの
で、コイルエンド部において導体が隙間をあけて周方向
に均一な紋様をなしている。一方、従来の固定子2のコ
イルエンド部には、異なる位相間の電機子コイルが径方
向に重なりあう部分が存在し、発電機外殻の径方向内に
収納するためにはコイルエンド部の径方向の厚さを薄く
しなければならなかった。このため、コイルエンド部の
軸方向の高さを高くして扁平状に形成し、径方向の厚さ
を薄くすることが一般に用いられている。即ち、コイル
エンド部の高さは、一定値以上を確保しなければならな
い。この結果、固定子鉄心32の軸長L1を増やすと、
その分の固定子2の軸方向の全長が長くなるため、発電
機外殻の軸方向空間内を変えずに固定子2を配置するこ
とが難しくなる。これに対し、本実施形態のコイルエン
ド部は、図10に示すように径方向の厚さが同一であ
り、従来に比べコイルエンド部の高さを低くすることが
できる。このため、発電機外殻を一定のままで固定子鉄
心32の軸長L1を従来より大きくできるため、発電機
外殻の制約無しに上記最適範囲にL1やY1を設定で
き、磁気騒音低減と高出力化を図ることができる。
【0045】なお、第二の実施形態では、ポールコア継
鉄部72の軸方向厚さY1に対するコイルエンド333
の軸方向のオーバーラップ長さY2との比率(Y2/Y
1)を、0〜0.5としている。これに対し、図12、
図13より、騒音レベルを低く抑えつつ、重量あたりの
出力を高く安定させるためには、この比率を更に0.3
〜0.5に限定することが望ましい。
【0046】また、第二の実施形態では、固定子鉄心3
2の軸方向長さL1とポールコア7の円筒部71の軸方
向長さL3の比率(L1/L3)を1.25〜1.75
の範囲に設定し、ポールコアの爪状磁極部73の根元部
の径方向X1と前記継鉄部72の軸方向厚さY1との比
率(X1/Y1)は0.5〜0.9の範囲に設定してい
る。これに対し、図14より、重量あたりの出力を高く
安定させるためには、これらの比率範囲を更に限定し、
比率(L1/L3)を1.45〜1.55に、比率(X
1/Y1)を0.6〜0.87に設定することが望まし
い。
【0047】〔その他の実施形態〕第一および第二の実
施形態では、界磁コイル8の抵抗値が2.3Ωでの結果
を示したが、他の抵抗値であっても起磁力の大きさが変
わるだけで原理は同一であり同様の結果となる。よっ
て、通常の冷却ファンを使用する空冷方式の車両用発電
機の冷却能力の限界から、一般的な値、すなわち12V
仕様においては1.2〜3.6Ω、24V仕様において
は4.8〜14.4Ωにても、本実施形態の設定の範囲
が有効である。
【0048】第一および第二の実施形態では、爪状磁極
部73の外径が92mmの場合を示したが、体格が異な
っても原理は同一であり、中でも外径が70〜110m
mにおいては同様の設定範囲が有効である。第一および
第二の実施形態では、回転子3の極数は12極である
が、他の極数例えば14、16極であっても同様の効果
が得られる。
【0049】第一および第二の実施形態では、電機子コ
イル33は、U字状の電気導体をスロットに挿入して、
後で溶接等によって巻線を形成しているが、丸線をスロ
ットに巻き込む従来の巻線方法を採用してもよい。第一
および第二の実施形態では、ポールコア7は円筒部7
1、継鉄部72、爪状磁極部73とが一体となったもの
を2個使用して回転子3を形成しているが、継鉄部72
と爪状磁極部73とが一体となったものを2個と円筒部
71を1個の合計3個によって形成しても、同様な寸法
設定で同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施形態の車両用交流発電機の主要部を
示した図である。
【図2】第一の実施形態の車両用交流発電機の回転子の
説明図である。
【図3】第一の実施形態の車両用交流発電機の回転子の
説明図である。
【図4】第一の実施形態の効果を示すグラフである。
【図5】第一の実施形態の効果を示すグラフである。
【図6】第一の実施形態の効果を示すグラフである。
【図7】第一の実施形態の効果を示すグラフである。
【図8】第一の実施形態の効果を示すグラフである。
【図9】電機子コイルの詳細形状を示す図である。
【図10】電機子コイルの詳細形状を示す図である。
【図11】第一の実施形態の回転子を流れる磁束を説明
する図である。
【図12】第二の実施形態の効果を示すグラフである。
【図13】第二の実施形態の効果を示すグラフである。
【図14】第二の実施形態の効果を示すグラフである。
【図15】第二の実施形態の効果を示すグラフである。
【図16】第二の実施形態の効果を示すグラフである。
【図17】従来の回転子中を流れる磁束を説明する図で
ある。
【図18】従来の発電機の磁気騒音を説明する図であ
る。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機 2 固定子 3 回転子 6 シャフト 7 ポールコア 8 界磁コイル 9、10 スリップリング 12 冷却ファン 32 固定子鉄心 33 電機子コイル 34 インシュレータ 71 円筒部 72 継鉄部 73 爪状磁極部 81 絶縁紙

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 界磁コイルと、該界磁コイルが巻装され
    た円筒部、該円筒部の軸方向両端部から径方向に広がる
    継鉄部および該継鉄部から前記界磁コイルを囲包するよ
    うに延びる爪状磁極部を有するランデル型鉄心とを備え
    る回転子と、該爪状磁極部の外周に対向配置され積層鉄
    心および電機子コイルを備える固定子とを有する車両用
    交流発電機において、 前記固定子積層鉄心の軸方向長さL1と前記ランデル型
    鉄心の軸方向長さL2との比率(L1/L2)が、0.
    7〜1.0の範囲であることを特徴とする車両用交流発
    電機。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記固定子積層鉄心の軸方向長さL1と前記円筒部の軸
    方向長さL3の比率(L1/L3)は、1.25〜1.
    75の範囲であり、かつ、前記ランデル型鉄心の爪状磁
    極外径R1と前記円筒部の外径R2との比率(R2/R
    1)は、0.54〜0.60の範囲であることを特徴と
    する車両用交流発電機。
  3. 【請求項3】 界磁コイルと、該界磁コイルが巻装され
    た円筒部、該円筒部の軸方向両端部から径方向に広がる
    継鉄部および該継鉄部から前記界磁コイルを囲包するよ
    うに延びる爪状磁極部を有するランデル型鉄心とを備え
    る回転子と、該爪状磁極部の外周に対向配置され積層鉄
    心および電機子コイルを備え、該電機子コイルの渡り線
    であるコイルエンドを該積層鉄心の両端に配置した固定
    子とを有する車両用交流発電機において、 前記継鉄部の軸方向厚さY1に対する前記コイルエンド
    との軸方向のオーバーラップ長さY2の比率(Y2/Y
    1)が、0〜0.5の範囲であることを特徴とする車両
    用交流発電機。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 前記固定子積層鉄心の軸方向長さL1と前記円筒部の軸
    方向長さL3の比率(L1/L3)は、1.25〜1.
    75の範囲であり、かつ、前記爪状磁極部の根元部の径
    方向厚さX1と前記継鉄部の軸方向厚さY1との比率
    (X1/Y1)は、0.5〜0.9の範囲であることを
    特徴とする車両用交流発電機。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記界磁コイルは、樹脂を含浸したシートにより囲包さ
    れ、該シートを介して少なくとも1つの前記爪状磁極の
    内周面に当接していることを特徴とする車両用交流発電
    機。
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