JPH1123520A - 酸素センサ - Google Patents

酸素センサ

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JPH1123520A
JPH1123520A JP9175662A JP17566297A JPH1123520A JP H1123520 A JPH1123520 A JP H1123520A JP 9175662 A JP9175662 A JP 9175662A JP 17566297 A JP17566297 A JP 17566297A JP H1123520 A JPH1123520 A JP H1123520A
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JP
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diffusion
controlling
oxygen
oxygen sensor
plate
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JP9175662A
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English (en)
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Nobuo Kurata
信夫 倉田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被検出気体中における酸素濃度の変動に対し
て応答性が高く、且つ温度依存性の低い酸素センサを提
供する。 【解決手段】 ジルコニア製の板材25〜28からなる
センサ素子14とアルミナヒータ24との積層体からな
る酸素センサ11の検出部12は、被検出気体中の酸素
分子を拡散律速させるべく拡散律速板28を備える。拡
散律速板28は、孔径300〜1300Åの細孔を複数
有する多孔質体よりなる拡散律速板28aと、孔径0.
1〜2mmの貫通孔PHを有する拡散律速板28bとか
ら形成される。拡散律速板28aは、被検出気体中の酸
素分子にクヌーセン拡散を主とした拡散態様を生じせし
める。拡散律速板28bは、同被検出気体中の酸素分子
に分子拡散を主とした拡散態様を生じせしめる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気体中の酸素濃度
を検出する酸素センサに係り、特に、固体電解質からな
るセンサ素子と、このセンサ素子の酸素濃度に対する感
応特性を向上させるべく同センサ素子を加熱する発熱体
とが積層されて構成される酸素センサに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば内燃機関における空燃比のフィー
ドバック制御システムにあっては、同機関の排気ガス中
の酸素濃度を検出する手段、或いは排気再循環(EG
R)ガスやブローバイガスを含む吸入空気(吸気)中の
酸素濃度を検出する手段として酸素センサが用いられて
いる。そしてこのような酸素センサとしては、例えば図
9に示す酸素センサ111のように、ケース(図示略)
に内蔵された保持ユニット(図示略)内において、積層
センサ素子(ジルコニア素子)114と該センサ素子1
14を所定の活性化温度(例えば700℃)に加熱、保
持するためのヒータ(アルミナヒータ)124とが互い
に積層されて位置決め固定された構造を有するものが知
られている。このセンサ素子114とヒータ124の先
端部は、互いに接合された状態で保持ユニットの外側へ
突出し、ガス流入カバー(図示略)により覆われてい
る。なお、前記センサ素子114は、被検出気体を拡散
律速させるべく通常数100〜数1000Å径の気孔が
複数形成された拡散律速板128、上記所定の活性化温
度下で酸素イオンを透過させることのできる固体電解質
層126、及び通電により被検出気体中の酸素をイオン
化させて前記固体電解質層を透過させ得る陰陽の電極1
31,133等の積層体として構成されている。すなわ
ち、拡散律速層128の気孔を通過した被検出気体中の
酸素分子が陰電極131に接触するとともに、各電極間
に所定電圧が印加されることにより、両電極131,1
33間には同気体中の酸素濃度に応じた一定の電流(限
界電流)が流れ、この限界電流の大きさから被検出気体
中の酸素濃度が検出されるようになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように構成された
酸素センサ111にあっては、被検出気体中における酸
素濃度の変化に対する応答性や、当該酸素濃度を測定す
るために前記電極131,133を介して検出される電
流値の温度依存性は、前記拡散律速板128の気孔径分
布に強く支配される。
【0004】ちなみに、この拡散律速板128内での酸
素分子の拡散態様は、気孔径が比較的小さい場合(10
0Å以下)にはクヌーセン拡散が優先し、気孔径が比較
的大きい場合(10000Å程度)には分子拡散が優先
することが知られている。そして、前記拡散律速板12
8内における酸素分子の拡散態様としてクヌーセン拡散
が優先する場合、被検出気体中の酸素濃度の変動に対し
て酸素センサ111の応答性は低くなり、一方分子拡散
が優先する場合、被検出気体中の酸素濃度の変動に対し
て酸素センサ111の応答性は高くなるという傾向がみ
られる。また、クヌーセン拡散が優先する場合、周囲の
温度上昇に対して酸素センサ111の検出する限界電流
値は下降し、一方分子拡散が優先する場合、周囲の温度
上昇に対して酸素センサ111の検出する限界電流値は
上昇する傾向にある。また被検出気体の圧力に対する特
性においては、分子拡散が優先する場合、限界電流値は
圧力の変化に対してほとんど依存性を示さないが、クヌ
ーセン拡散が優先する場合、圧力が上昇するほど限界電
流値も上昇する傾向にある。
【0005】すなわち、拡散律速板128において、酸
素濃度の変動に対する応答性、温度特性、或いは圧力特
性等の全ての面で満足できる気孔径分布を選ぶことは極
めて困難な状況となっている。
【0006】近年の排気ガス規制の強化に伴い、特に車
両搭載用ディーゼルエンジンの空燃比制御に用いられる
吸気側酸素センサのように、EGRガス等の導入の有無
によって温度と共に激しく変動する吸気中の酸素濃度を
迅速に捕らえてその都度の最適な燃料噴射量を決定しな
ければならないシステムにおいてその吸気側酸素濃度の
検出に用いられる酸素センサにあっては、より応答性が
高く、しかも温度依存性の低い酸素センサが要求される
ようになってきているものの、上記実情から、その実現
も危ぶまれていた。
【0007】本発明は、こうした実情に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、被検出気体中に
おける酸素濃度の変動に対して応答性が高く、且つ温度
依存性の低い酸素センサを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載した発明では、固体電解質からな
り電流検出部を有するセンサ素子と、該電流検出部に接
触する酸素分子を拡散律速せしめる拡散律速層とが積層
されてなる酸素センサにおいて、前記拡散律速層は前記
酸素分子に各異なる態様での拡散律速を付与する複数の
拡散律速部を備え、前記センサ素子はそれら複数の拡散
律速部にて拡散律速される酸素分子が各別に接触される
複数の電流検出部を備えることを要旨とする。
【0009】同構成によれば、同一の被検出体中の酸素
分子が上記複数の拡散律速部を通じて複数の態様で拡散
律速されるとともに、それら複数の態様で拡散律速され
た酸素分子は各別の電流検出部を通じてその酸素濃度に
対応した電流が検出されるようになる。このため、酸素
濃度の変動に対する応答性の高い信号や温度依存性の低
い信号等をそれら検出出力或いはその組み合わせ等に基
づき任意に得ることができるようになる。
【0010】請求項2に記載した発明では、請求項1に
記載の酸素センサにおいて、前記拡散律速層は第1及び
第2の2つの拡散律速部からなり、前記第1の拡散律速
部は分子拡散にて前記酸素分子を拡散律速させるもので
あり、前記第2の拡散律速部はクヌーセン拡散にて前記
酸素分子を拡散律速させるものであることを要旨とす
る。
【0011】同構成によれば、拡散律速過程の酸素分子
に分子拡散及びクヌーセン拡散という2種の異なる拡散
態様を生じせしめることができるとともに、それら拡散
態様に応じた特性の異なる検出信号を複合的に得ること
ができるようになる。このため、例えば分子拡散による
拡散律速を生じせしめた側で応答性の高い検出出力を
得、また双方の検出出力を合成することでその温度特性
を相殺するなどといった利用が可能となる。
【0012】請求項3に記載した発明では、請求項2に
記載の酸素センサにおいて、前記第1の拡散律速部は、
孔径0.1〜2mmのピンホールからなる拡散律速孔を
有して構成され、前記第2の拡散律速部は平均孔径30
0〜1300Åの複数の細孔を有する多孔質体にて形成
されてなることを要旨とする。
【0013】請求項4に記載の発明では、請求項2に記
載の酸素センサにおいて、前記第1の拡散律速部は平均
孔径10000Å以上の複数の細孔を有する多孔質体に
て形成されてなり、前記第2の拡散律速部は平均孔径3
00〜1300Åの複数の細孔を有する多孔質体にて形
成されてなることを要旨とする。
【0014】請求項3及び4に記載した発明の構成によ
れば、分子拡散にて酸素分子を拡散律速せしめる第1の
拡散律速部及びクヌーセン拡散にて酸素分子を拡散律速
せしめる第2の拡散律速部を各々好適な態様で実現する
ことができるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)本発明をディーゼルエンジンの吸気管
内に搭載される限界電流型の酸素センサに具体化した第
1の実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
【0016】図1は、酸素センサ11における検出部1
2を示し、図2は図1の2−2線断面を示し、さらに図
3は図2の3−3線断面を示している。これらの図に示
すように、酸素センサ11は、センサ素子14と、同セ
ンサ素子14を所定の活性化温度に加熱、保持するため
のヒータ24と、それらの積層体の外周を覆う有孔カバ
ー(図示略)とを備えている。ヒータ24はセンサ素子
14に固定され、センサ素子14及びカバーはいずれも
酸素センサ11のハウジング(図示略)に支持されてい
る。酸素センサ11は、センサ素子14、ヒータ24及
びカバーの先端部が上記エンジンの吸気管(図示略)内
部に突出するようにして同管に取り付けられる。
【0017】また、同図1〜図3に示すように、センサ
素子14はそれ自体積層構造をなし、酸素イオン導電性
ジルコニア(ZrO2)とイットリア(Y2O3)との混
合物からなる複数の板材25〜28によって構成されて
いる。またこのセンサ素子14は、アルミナ(Al2O
3)から形成されるヒータ24と同図1〜図3に示され
る態様で積層されている。なお、センサ素子14の検出
部12において、その上部に積層されている板材28
(28a,28b)は被検出気体中の酸素分子を拡散律
速する拡散律速板である。ここで、拡散律速板28aに
は、300〜1300Åの径を有する細孔(図示略)が
複数形成されており、後述する陰電極側空間35a’内
にはこれら細孔を通じて吸気管内を流通するガス(被検
出気体)が導入されるようになっている。また、拡散律
速板28bには、後述する陰電極側空間35b’に通じ
る孔径0.1〜2mmのピンホールからなる拡散律速孔
PHが開口しており、同陰電極側空間35b’にはこの
拡散律速孔PHを通じて吸気管内を流通するガス(被検
出気体)が導入されるようになっている。カーボンや微
細なガラス等のこれら拡散律速板28a及び28b内部
への侵入を防ぐために、同拡散律速板28a及び28b
の上部は、さらにトラップ層(多孔質体)29によって
覆われている。また、ヒータ24には、図2及び図3に
示される態様で発熱体44及びそのリード45が設けら
れている。
【0018】図4は、こうした酸素センサ11の各部を
分解して示している。同図4に示すように、こうした酸
素センサ11にあって、その検出部12は、電極形成用
の板材(固体電解質層)26と、同板材26の上下面に
積層される陰電極側空間形成用の板材27及び陽電極側
空間形成用の板材25を備えている。板材26の上下面
にはそれぞれ2組の陰電極31a,31b及びそのリー
ド32a,32bと、陽電極33a,33b(図2又は
図3において示す)及びそのリード(図示略)とが設け
られている。これら陰電極31a,31b及び陽電極3
3a,33bの各リードは、センサ素子14基端部のリ
ード取り出し部(図示略)からそれぞれ取り出され、エ
ンジンの電子制御装置(図示略)等に電気的に接続され
るようになる。
【0019】上記板材25には、その先端付近の上記陽
電極33a,33bに対応する位置に矩形孔34が形成
されている。矩形孔34は、その矩形を形成する内壁の
先端部側が一部途切れ、外部への通気孔41を形成して
いる。この結果、板材25の内壁面、板材24の上面、
及び板材26の下面とによって区画された空間により陽
電極側空間34’(図2及び図3参照)が形成され、ま
た、この陽電極側空間34aは、前記通気孔41を介し
てセンサ素子14の外部と通じている。
【0020】これに対して板材27の先端部付近には、
陰電極31a,31bとそれぞれ対応する位置に矩形孔
35a,35bが形成されている。そして、板材27の
上面にはこれら矩形孔35a,35bをそれぞれ閉塞す
るようにして上記拡散律速板28a及び28bが積層さ
れている。この結果、拡散律速板28a及び28bの各
下面、矩形孔35a,35bの内周面、及び板材26の
上面によって区画された空間により陰電極側空間35
a’,35b’(図2及び図3参照)が形成される。
【0021】一方、ヒータ24は上述のように、例えば
白金等からなる発熱体44及び発熱体用リード45を内
蔵している。このヒータ24を形成するアルミナ(Al
2O3)は絶縁性であり、且つ高い熱伝導性を有する。こ
のヒータ24は、発熱体44への通電により発熱してセ
ンサ素子14を所定温度(例えば700℃)以上に加熱
する。この加熱によりセンサ素子14の活性化が図られ
るようになっている。
【0022】次に上記のように構成された酸素センサ1
1の作用について述べる。エンジンが始動されると、ヒ
ータ24の発熱体44への通電によりセンサ素子14が
加熱されるとともに、陰電極31aと陽電極33a、陰
電極31bと陽電極33bとの間に各々所定の電圧が印
加される。被検出気体中の酸素分子は、拡散律速板28
によって拡散律速されつつ、陰電極31a側にあっては
拡散律速板28aの細孔を通過して同電極31aに、ま
た陰電極31b側にあっては拡散律速板28bの主に前
記拡散律速孔PHを通過して各陰電極31a,31b上
に達し、それぞれイオン化される。そして、イオン化さ
れた酸素分子は、それら電極が形成された板材(固体電
解質)26中を陽電極33a,33bに向かって移動す
る。該酸素イオンは陽電極に電子を供与し自らは通気孔
41より排出されるが、このとき両電極31a,33a
間及び電極31b,33b間に流れる電流が各々限界電
流値として検出される。
【0023】ここで、拡散律速板28は図2において示
すように、一方の陰電極31上にある陰電極側空間35
a’を覆う拡散律速板28aと、他方の陰電極31b上
にある陰電極側空間35b’を覆う拡散律速板28bと
によって構成されている。拡散律速板28aは上述した
ように、孔径300〜1300Åの多孔質によって形成
されており、同拡散律速板28aによる酸素分子の拡散
態様はクヌーセン拡散が優先となる。一方、拡散律速板
28bには、上述したように、孔径0.1〜2mmの拡
散律速孔PHが形成されている。同拡散律速孔PHを通
過する酸素分子の拡散態様は分子拡散が優先する。した
がって上記陰陽電極31a,33a間及び陰陽電極31
b,33b間に流れる限界電流値も、これら拡散態様に
応じて、それぞれ図5(a)及び図5(b)にα及びβ
として示す特性をもって変化するようになる。
【0024】図5(a)は、本実施形態に係る酸素セン
サ11において、拡散律速板28a及び28bに対応す
る各々の電極に流れる限界電流値が被検出気体の圧力変
化に対してどのように変動するかを示している。なお、
同図5(a)中において、実線αは酸素分子が拡散律速
板28aを通過して陰電極31aに接触する場合の限界
電流値、また点線βは酸素分子が拡散律速板28bを通
過して陰電極31bに接触する場合の限界電流値、そし
て一点鎖線γは両限界電流値の平均値(積算値)を示し
ている。同図に示すように、被検出気体の圧力の上昇に
伴い実線αによって示される限界電流値は上昇してい
る。一方、点線βによって示される限界電流値は圧力に
関わらずほぼ一定の値を保持している。そこで、例えば
一点鎖線γによって示すように、前記線α及びβによっ
て示される限界電流値を積算してその平均値をとった場
合、限界電流値は圧力変化に対して一定とはならないも
のの、その圧力変化に対する変化率、すなわち依存の度
合いは実線αに比してほぼ2分の1に軽減されることに
なる。
【0025】一方、図5(b)は、酸素センサ11にお
いて、拡散律速板28a及び28bに対応して各々の電
極に流れる限界電流値が、被検出気体の温度変化に対し
てどのように変動するかを示している。なお、同図5
(b)中においても図5(a)と同様に、実線αは酸素
分子が拡散律速板28aを通過して陰電極31aに接触
する場合の限界電流値、また点線βは酸素分子が拡散律
速板28bを通過して陰電極31bに接触する場合の限
界電流値、そして一点鎖線γは両限界電流値の平均値
(積算値)を示している。同図に示すように、実線αに
よって示される限界電流値は被検出気体の温度の上昇に
伴い下降している(負の温度特性)。逆に、点線βによ
って示される限界電流値は温度の上昇に伴い上昇してい
る(正の温度特性)。そこで、例えば一点鎖線γによっ
て示すように、前記線α及びβによって示される限界電
流値を積算してその平均値をとった場合、限界電流値は
温度変化に対してほぼ一定となる。すなわち、温度変化
にほとんど依存しなくなる。
【0026】このように、限界電流型酸素センサによる
酸素濃度検出に際して、分子拡散に依存した拡散律速を
生じせしめる拡散律速板28bを通過させた後検出され
る限界電流値と、クヌーセン拡散に依存した拡散律速を
生じせしめる拡散律速板28aを通過させた後検出され
る限界電流値とを積算することにより、圧力及び温度変
化に対する依存性の低い検出信号を得ることが比較的容
易となる。また、上記分子拡散による酸素分子の拡散速
度はクヌーセン拡散に比べ非常に速いことが知られてい
る。このため拡散律速板28を通過する酸素分子の拡散
態様は、全体として拡散律速板28bに設けられた上記
拡散律速孔PHを通過する酸素分子の分子拡散により支
配されることになる。すなわち、このことは、本実施形
態に係る酸素センサ11によって、被検出気体の酸素濃
度の変動に対する応答性も好適に高められることを意味
する。なお、前記電極が形成された板材(固体電解質
層)26は、ヒータ24に埋設された発熱体44からの
加熱により活性化され続けることで上述した各酸素イオ
ンの透過性を常に安定に保つ。
【0027】以上説明したように、本実施形態によれば
以下に示す効果が得られる。・酸素濃度算出のための限
界電流値に基づいた検出信号を、被検出気体の圧力変化
や温度変化に依存せず、且つ酸素濃度変化に対して高応
答性をもって得ることができる。
【0028】なお、本実施形態の酸素センサ11におい
ては、拡散律速板28bを貫通して陰電極側空間35
b’に開口する拡散律速孔PHを只1つだけ設けたが、
このような拡散律速孔PHを同拡散律速板28bに複数
設けてもよい。
【0029】また、拡散律速板28a,28bは、同一
材料を用いて形成してもよい。例えば、複数の細孔を有
する多孔質体の板材を一枚形成し、その拡散律速板28
bに対応する一部のみに上記実施形態で説明した拡散律
速孔PHを設けることによって、一枚の板材を2種の拡
散律速部として同時に用いることもできる。この場合、
同板材全体のうちの拡散律速孔PHを含まない部分にお
いて酸素分子にクヌーセン拡散を優先して生じせしめ、
拡散律速孔PHを含む部分においては分子拡散を優先し
て生じせしめることができる。 (第2実施形態)次に、本発明の第2の実施形態を、前
記第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。
【0030】図6は、本実施形態に係る酸素センサ1
1’における検出部12’を示し、図7は図6の7−7
線断面を示している。さらに図8には同酸素センサ1
1’の積層体構造に係る分解図を示す。本実施形態に係
る酸素センサ11’もまた、前記第1の実施形態に係る
酸素センサ11と同様、ディーゼルエンジンの吸気管内
に搭載される限界電流型のものである。
【0031】図6〜図8に示すように、本実施形態の酸
素センサ11’にあっても、センサ素子14’とヒータ
24との積層体からなることは前記第2実施形態の酸素
センサ11と同様であるが、このセンサ素子14’は、
その拡散律速板78として、先の拡散律速板28(28
a,28b)とは異なる2枚の拡散律速板78a及び7
8bを備えている。拡散律速板78aには、300〜1
300Åの径の細孔が複数形成されている。一方、拡散
律速板78bには孔径10000Å以上の大きさの細孔
が複数形成されている。両拡散律速板78a,78b
は、互いに隣り合わせに密着された状態で、板材26上
に設けられた陰電極31a,31bをそれぞれ覆うよう
にして、同板26上に直接積層されている。また、両拡
散律速板78a,78bの上部はトラップ層29によっ
て覆われている。さらに、同板26上にあって、陰電極
31a,31bに通電を行うリード32a,32b上に
は、板材80が積層され、両リード32a,32bを覆
う。板材26は前記第1実施形態の酸素センサ11の固
体電解質層26と同一の部材であり、その下面には前記
陰電極31a,31bに対応する位置に陽電極33a,
33bが設けられている。さらに、板材26の下層には
矩形孔34を有する板材25が積層され、最下層には第
1実施形態の酸素センサ11のものと同一のヒータ24
が積層された構成となっている。
【0032】次に、本実施形態に係る酸素センサ11’
の作用について説明する。トラップ層29を通過して各
拡散律速板78a又は78bに到達した被検出気体中の
酸素分子は各拡散律速板を介して拡散律速されつつ陰電
極31a或いは陰電極31bに接触する。
【0033】この際、拡散律速板78aには、前述した
ように孔径300〜1300Åの細孔が複数形成されて
おり、同細孔を通過する酸素分子の拡散の態様としては
クヌーセン拡散が優先することになる。一方、拡散律速
板78bには孔径10000Å以上の細孔が複数形成さ
れており、同板78bを通過する酸素分子の拡散態様と
しては分子拡散が優先することになる。
【0034】したがって、拡散律速板78aにより拡散
律速された酸素分子が陰陽電極31a,33a間を通過
する際に検出される限界電流値と、拡散律速板78bに
より拡散律速された酸素分子が陰陽電極31b,33b
間を通過する際に検出される限界電流値とは、第1の実
施形態において図5にそれぞれα及びβで示した特性と
ほぼ同様の傾向を示すこととなる。
【0035】このため、本実施形態に係る酸素センサ1
1’にあっても、拡散律速板78aに対応して設けられ
た陰陽電極31a,33a間で検出される限界電流値
と、拡散律速板78bに対応して設けられた陰陽電極3
1b,33b間で検出される限界電流値との積算値等を
用いることにより、酸素センサ11’周囲の圧力変化や
温度変化に依存しない若しくは依存度合いの少ない検出
信号を得ることができるようになる。また、拡散律速板
78bでは分子拡散が優先して行われることで、酸素濃
度変化に対する応答性も好適に確保される。
【0036】なお、上記各実施形態の酸素センサにあっ
ては、各陰陽電極31a,33a及び31b,33b間
に生じる異なる特性の限界電流値の積算値に基づいて酸
素濃度を算出するとしたが、前記2種の限界電流値を2
つの変数とした所定の関数をコンピュータ等に記憶させ
ておき、それら限界電流値の関数として算出された値を
基にして酸素濃度算出を行うようにしてもよい。
【0037】また、上記各実施形態においては、限界電
流型の酸素センサについて説明したが、他に例えば、被
検出気体と大気との相対的な酸素濃度比を検出する酸素
濃淡電池型等の酸素センサについても本発明は同様に適
用することができる。さらに、酸素イオンを伝導させる
検出素子と、その検出素子を昇温させるためのアルミナ
ヒータとを備えるいかなるタイプの酸素センサに対して
も、上記実施形態に準じたかたちで本発明を適用するこ
とはできる。
【0038】また、上記各実施形態においては、2種の
異なる特性を有する拡散律速部と、各々の拡散律速部に
対応する検出部を設ける構成としたが、3種類以上の拡
散律速部と各々に対応する検出部を設けてもよい。また
この場合、それら拡散律速部に採用する孔の孔径等も任
意である。
【0039】また、上記各実施形態においては、ディー
ゼルエンジンの吸気側に設けられる酸素センサについて
説明したが、ガソリンエンジンの吸気側或いはディーゼ
ル、ガソリンエンジンを問わずエンジンの排気側に設け
る酸素センサに対しても本発明を適用することができ
る。
【0040】さらに、本発明の酸素センサはエンジン用
に限定されず、気体中の酸素濃度を検出する各種機器に
用いられるものであってもよい。また、上記各実施形態
においては、2種の異なる拡散律速部に対応する検出部
において、特性の異なる限界電流値を共に酸素濃度検出
のための検出信号として用いた。これに対し、クヌーセ
ン拡散の拡散態様を優先的に生じさせる拡散律速部に対
応して設けられた検出部は、被検出気体の圧力に依存性
の高い検出信号(限界電流値)を出力することに鑑み、
当該検出部を被検出気体の圧力検出部として用いてもよ
い。このような構成とすることによって、1つのセンサ
素子により酸素濃度及び圧力を検出し得る複合センサを
構成することができる。
【0041】以上、本発明に係る各実施形態について説
明したが、同実施形態から把握できる請求項以外の技術
思想について、以下にその効果と共に記載する。・請求
項2記載のセンサにおいて、前記第2の拡散律速部に対
応して設けられる検出部は被検出気体の圧力検出を行う
ものであることを特徴とする複合物理量センサ。
【0042】かかる構成によれば、被検出気体中の酸素
濃度と圧力とを1つのセンサ素子にて検出することがで
きるようになる。
【0043】
【発明の効果】請求項1に記載した発明によれば、同一
の被検出体中の酸素分子が上記複数の拡散律速部を通じ
て複数の態様で拡散律速されるとともに、それら複数の
態様で拡散律速された酸素分子は各別の酸素濃度検出部
を通じてその酸素濃度が検出されるようになる。このた
め、酸素濃度の変動に対する応答性の高い信号や温度依
存性の低い信号等をそれら検出出力或いはその組み合わ
せ等に基づき任意に得ることができるようになる。
【0044】請求項2に記載した発明によれば、拡散律
速過程の酸素分子に分子拡散及びクヌーセン拡散という
2種の異なる拡散態様を生じせしめることができるとと
もに、それら拡散態様に応じた特性の異なる検出信号を
複合的に得ることができるようになる。このため、例え
ば分子拡散による拡散律速を生じせしめた側で応答性の
高い検出出力を得、また双方の検出出力を合成すること
でその温度特性を相殺するなどといった利用が可能とな
る。
【0045】請求項3及び4に記載した発明によれば、
分子拡散にて酸素分子を拡散律速せしめる第1の拡散律
速部及びクヌーセン拡散にて酸素分子を拡散律速せしめ
る第2の拡散律速部を各々好適な態様で実現することが
できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る酸素センサの一実施形態を示す斜
視図。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図。
【図3】図2の3−3線に沿った断面図。
【図4】同実施形態の酸素センサの検出部を分解して示
す斜視図。
【図5】同実施形態の酸素センサによる限界電流値と圧
力及び温度との関係を示すグラフ。
【図6】他の実施形態に係る酸素センサを示す斜視図。
【図7】図6の7−7線に沿った断面図。
【図8】同実施形態の酸素センサの検出部を分解して示
す斜視図。
【図9】従来の積層型酸素センサの構造例を示す断面
図。
【符号の説明】
11…酸素センサ、12…検出部、14(25〜28)
…センサ素子、24…ヒータ(アルミナヒータ)、25
…陽電極側空間形成用板材、27…陰電極側空間形成用
板材、28(28a,28b),78(78a,78
b)…拡散律速板、PH…拡散律速孔、29…トラップ
層、31a,31b…陰電極、32a,32b…陰電極
側リード、33a,33b…陽電極、34…矩形孔、3
4’…陽電極側空間、35a,35b…矩形孔、35
a’,35b’…陰電極側空間、44…発熱体、45…
発熱体リード部。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体電解質からなり電流検出部を有するセ
    ンサ素子と、該電流検出部に接触する酸素分子を拡散律
    速せしめる拡散律速層とが積層されてなる酸素センサに
    おいて、 前記拡散律速層は前記酸素分子に各異なる態様での拡散
    律速を付与する複数の拡散律速部を備え、前記センサ素
    子はそれら複数の拡散律速部にて拡散律速される酸素分
    子が各別に接触される複数の電流検出部を備えることを
    特徴とする酸素センサ。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の酸素センサにおいて、 前記拡散律速層は第1及び第2の2つの拡散律速部から
    なり、前記第1の拡散律速部は分子拡散にて前記酸素分
    子を拡散律速させるものであり、前記第2の拡散律速部
    はクヌーセン拡散にて前記酸素分子を拡散律速させるも
    のであることを特徴とする酸素センサ。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の酸素センサにおいて、 前記第1の拡散律速部は、孔径0.1〜2mmのピンホ
    ールからなる拡散律速孔を有して構成され、前記第2の
    拡散律速部は平均孔径300〜1300Åの複数の細孔
    を有する多孔質体にて形成されてなることを特徴とする
    酸素センサ。
  4. 【請求項4】請求項2に記載の酸素センサにおいて、 前記第1の拡散律速部は平均孔径10000Å以上の複
    数の細孔を有する多孔質体にて形成されてなり、前記第
    2の拡散律速部は平均孔径300〜1300Åの複数の
    細孔を有する多孔質体にて形成されてなることを特徴と
    する酸素センサ。
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