JPH1123265A - 挿入式傾斜計 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高価な特殊通信ケーブルや特殊測定管を使わ
ずに通常の測定管とケーブルを用いて、任意の深度で傾
斜角の測定とトリガ信号を出すことができる挿入式傾斜
計を提供する。 【解決手段】挿入式傾斜計１の下部に圧力検出部７を設
け、測定管４に水を満たし、その水圧を検出することに
より得られる電気信号を入出力変換器９で演算制御し、
任意深度のトリガ信号を得る。そして、このトリガ信号
が得られる毎に傾斜角検出部６で検出された傾斜角を入
出力変換器９、通信ケーブル２を介してデータ表示器３
に伝送して表示・印字させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、土木、建築工事お
よび地質調査などの現場で、鋼管抗、ケーシングパイ
プ、ボーリング孔などの鉛直方向に対する傾斜角を測定
する挿入式傾斜計に関する。

【０００２】

【従来の技術】図４は従来の挿入式傾斜計を使って、地
中に埋設された測定管内の傾斜角を測定するための計測
システムの一例を示したものである。図のように測定管
４の内側に軸方向に設けられた凹溝をガイド輪５が移動
し挿入式傾斜計１を上下させ、一定深度毎（例えば１ｍ
毎）の傾斜角を測定するものである。測定結果は測定ケ
ーブル２を介して、地上に設置された指示計３に送られ
傾斜角が表示される。

【０００３】傾斜角の検出には傾斜による振り子の微少
変位を検出し、電磁力により振り子を元の位置に戻し、
この時消費した電流値から傾斜角を求めるサーボバラン
ス式や傾斜によって生ずる平衡点からの変位を磁気抵抗
素子とマグネットにより電気信号に変換するポテンショ
メータ方式などの傾斜計が用いられる。

【０００４】この装置を用いて深度を測定するために、
従来は次のような方法が用いられている。挿入式傾斜計
に接続された測定ケーブルに一定間隔毎に金属製マーカ
ーを巻き付け、これを位置検出器で検知して深度を測定
する方法、測定管に一定間隔毎にリング状磁性体を取り
付け挿入式傾斜計内のセンサで検知して深度を測定する
方法、あるいは測定ケーブルの巻き取り機にエンコーダ
を連動させ電気的に読みとるなどの方法が採られてい
る。

【０００５】また上記測定ケーブルのマーカーまたは磁
性体の検知センサが一定間隔のある深度位置に達した
時、トリガ信号を出しその時の傾斜角を測定する方法も
用いられている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来の挿入式傾斜計は
以上のように構成されているが、測定ケーブルに付けた
マーカーや測定管に付けた磁性体を利用する深度測定方
法は、高価なマーカー付き特殊測定ケーブルや磁性体付
き特殊測定管が必要で、しかも一定間隔毎の位置でしか
深度測定が行えないという欠点がある。

【０００７】またエンコーダを用いる深度測定では、高
分解能エンコーダとその変換器が高価であることやケー
ブル巻き取り機構や測定管内での測定ケーブルのよじ
れ、片寄り、たわみなどが深度測定精度を低下させると
いう問題があった。

【０００８】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、深度の連続測定ができることと任意深
度でのトリガ信号の発生ができ、それに同期した傾斜角
の測定を行うことにより効率の良い測定とデータ保存が
できる機能を備えた挿入式傾斜計を提供することを目的
とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の挿入式傾斜計は、地中に埋設された測定管
内の傾斜角を測定する挿入式傾斜計において、水圧を検
出する圧力検出器と、この圧力検出器の出力から測定管
内の深度位置を演算する制御手段とを備える。本発明の
挿入式傾斜計は上記のように構成され、深度の連続測定
と任意深度でのトリガ信号を発生でき、それに同期した
傾斜角の効率的な測定が行える。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図１から図３
により説明する。図１は本発明による挿入式傾斜計の計
測システムであり、棒状体の挿入式傾斜計１、データ表
示器３と挿入式傾斜計１間のディジタル信号による通信
を行うための通信ケーブル２、挿入式傾斜計１からの測
定データやトリガ信号を受信し、これを表示またはプリ
ントアウトする表示機能と、データ記憶機能と、測定手
順を設定しこれを挿入式傾斜計に発信する設定機能を持
つデータ表示器３より構成される。

【００１１】挿入式傾斜計１は、図に示されるようにガ
イド輪５、中央部に傾斜角検出部６および入出力変換器
９、上部に通信ケーブル用コネクタ８などの基本機能と
底部に深度測定用の圧力検出部７とを備えている。

【００１２】圧力検出部７は測定管４に満たされた水の
水圧を検出することにより、傾斜角検出部の深度を検出
するもので半導体圧力センサ、静電容量形圧力センサ、
弦振動形圧力センサなどの圧力センサが利用できる。圧
力センサはこの水圧に比例した電気信号を発生する。水
圧は水のレベルに比例し、圧力センサ位置を基準にして
測定すれば、水深１ｍ当たり９．８０６ＫＰａ水圧に相
当する。

【００１３】図２に入出力変換器９のブロック図を示
す。図に示すように圧力検出部７及び傾斜角検出部６へ
の電源供給部１０、圧力検出部７からの電気出力信号の
増幅とノイズ除去を行うアナログ信号処理部１１ａ、傾
斜角検出部６からの電気出力信号の増幅とノイズ除去を
行うアナログ信号処理部１１ｂ、アナログ信号処理部１
１ａと１１ｂを一定の周期で切り替えるためのマルチプ
レクサ１２、該マルチプレクサのアナログ出力をそれに
比例したディジタル信号に変換するためのＡ／Ｄ変換器
１３、該Ａ／Ｄ変換器からの信号を受け傾斜角および深
度値を求める演算を行ったり、深度演算結果と設定値を
比較しトリガ信号を出すなどの演算制御を行うセントラ
ル・プロセッシング・ユニットＣＰＵ１４、該ＣＰＵの
制御プログラムやトリガ信号発生深度値などを記録して
おくメモリ１５および測定結果やトリガ信号を伝送する
ための通信データに変換する通信インタフェース１６か
ら構成されている。

【００１４】以上のように、入出力変換器９によって傾
斜角および深度値は共通のＣＰＵ１４とメモリ１５を利
用して演算処理が行われる。

【００１５】次に図３のフローチャートを用い本発明に
よる挿入式傾斜計を用いた計測手順方法の一例を説明す
る。

【００１６】（Ｓ１）：測定開始から終了まで常に測定
管４に水を満たす。（Ｓ２）：データ表示器３に測定ポ
イント、受信データの表示フォーマット、印字フォーマ
ットおよびトリガ信号の要求などを設定する。（Ｓ
３）：データ表示器を操作して、測定開始位置を設定
し、水圧計に該当する圧力検出部７の出力より、通信ケ
ーブル巻き上げ機を調節して挿入式傾斜計を測定開始位
置に移動させる。（Ｓ４）：データ表示器３を操作して
測定開始を指令。（Ｓ５）：挿入式傾斜計が移動し、圧
力検出部７の出力がアナログ処理部１１ａ、マルチプレ
クサ１２、Ａ／Ｄ変換器１３を介してＣＰＵ１４に取り
込まれ演算結果が所定の深度に達すると、傾斜角検出部
６の出力がアナログ処理部１１ｂ、マルチプレクサ１
２、Ａ／Ｄ変換器１３を介してＣＰＵ１４に取り込まれ
傾斜角が演算され、傾斜角及び深度の測定が行われる。
（Ｓ６）：トリガ信号と測定データの伝送を繰り返す。
（Ｓ７）：測定終了点か否かデータ表示器で判断し、測
定終了点であれば測定を完了する。なお、上記の実施例
では傾斜計内で圧力検出器からの信号を演算して深度を
求めるようにしたが、圧力検出器の出力をデータ表示器
に送り、データ表示器内で深度を求めてトリガ信号を発
生し、挿入式傾斜計にこのトリガ信号を戻すようにして
もよい。

【００１７】

【発明の効果】本発明の挿入式傾斜計は上記のように構
成されており、挿入式傾斜計の任意の深度を水圧として
圧力センサで検出することができ、通信ケーブルの途中
での変形に関係しない高い精度で深度測定ができる。ま
た通信ケーブルは防水用のものであれば通常のものが使
用でき経済的である。圧力検出器からのトリガ信号が利
用できるので、それに同期した深度と傾斜角をサンプリ
ングデータとして表示したり保存でき効率のよい計測シ
ステムが構築できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の挿入型傾斜計による計測システムを示
す図

【図２】本発明の挿入型傾斜計の入出力変換器ブロック
図

【図３】本発明の挿入式傾斜計による測定フローチャー
ト図

【図４】従来の挿入式傾斜計による計測システムを示す
図

【符号の説明】

１・・・・挿入式傾斜計 ２・・・・通信ケーブル（測定ケーブル） ３・・・・データ表示器（指示計） ４・・・・測定管 ５・・・・ガイド輪 ６・・・・傾斜角検出部 ７・・・・圧力検出部 ８・・・・コネクタ ９・・・・入出力変換器 １０・・電源供給部 １１ａ、１１ｂ・・アナログ信号処理部 １２・・マルチプレクサＭＰＸ １３・・Ａ／Ｄ変換器 １４・・セントラル・プロセッシング・ユニットＣＰＵ １５・・メモリ １６・・通信インタフェース

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】地中に埋設された測定管内の傾斜角を測定
   する挿入式傾斜計において、水圧を検出する圧力検出器
   と、この圧力検出器の出力から測定管内の深度位置を演
   算する制御手段とを備えたことを特徴とする挿入式傾斜
   計。