JPH11229057A - 積層複合材料およびその製造方法 - Google Patents

積層複合材料およびその製造方法

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JPH11229057A
JPH11229057A JP3300898A JP3300898A JPH11229057A JP H11229057 A JPH11229057 A JP H11229057A JP 3300898 A JP3300898 A JP 3300898A JP 3300898 A JP3300898 A JP 3300898A JP H11229057 A JPH11229057 A JP H11229057A
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JP
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layer
composite material
copper
laminated composite
chromium
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JP3300898A
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English (en)
Inventor
Katsuyoshi Kondo
勝義 近藤
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い電気伝導度、熱伝導率および耐熱性を有
し、アーク放電に対する耐久性が高くさらに台金とのろ
う付け性に優れた積層複合材料を提供する。 【解決手段】 積層複合材料3は、銅または銅合金から
なる第1部材1と、第1部材1と接合した、銅−クロム
系複合材料からなる第2部材2、10とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、積層複合材料お
よびその製造方法に関し、特に、真空遮断器の電極に用
いられる積層複合材料およびその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、送電線や配電線に流れる電流を遮
断する装置として、真空遮断器が知られている。真空遮
断器は、互いに当接可能な2つの電極と、電極を取囲み
電極の周囲を真空にする真空容器により構成される。
【0003】電極が互いに接触しているときには電極間
に電流が流れ、電流を遮断する際には、接触している電
極を開離させる。このとき、両電極の接点においてアー
ク放電が発生する。このアーク放電は電極の表面を高温
にし、さらに電極に衝撃を与えるため、電極の材料とし
ては、導電性に優れた銅の素地中に耐熱性および耐衝撃
性を向上させるための微細なクロム粒子を添加した銅−
クロム系複合材料が用いられる。
【0004】銅−クロム系複合材料としては、たとえば
特開平6−330101号公報に開示されたものがあ
る。また、特開平8−209268号公報には、銅−ク
ロム−ニッケル系複合材料が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の公報に記載され
た銅−クロム系複合材料においては、銅の素地中に多量
のクロム粒子を含有させることにより、アーク放電に対
する衝撃性や耐熱性を改善しているが、クロムの含有量
が多いために熱伝導率が低下する。そのため、電極の表
面で発生した熱が電極を支える台金へと伝わらず、電極
材料の表面や内部に熱がこもるため電極が異常に高温と
なり材料が劣化するという問題があった。
【0006】また、多量のクロム粒子を添加することに
より電気伝導度が低下し、アーク放電により電極間に流
れる電流値(裁断電流値)が増加するという問題があっ
た。
【0007】さらに、電極が多量のクロム粒子を有して
いることにより、台金と電極とのろう付け性が低下する
という問題もあった。
【0008】そこで、この発明は、上述のような問題点
を解決するためになされたものであり、高い電気伝導度
と熱伝導率と耐熱性を有し、かつアーク放電に対する耐
衝撃性に優れ、さらに台金とのろう付け性に優れた真空
遮断器用の積層複合材料を提供することを目的とするも
のである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の1つの局面に
従った積層複合材料は、銅または銅合金からなる第1層
と、第1層と接合した、銅−クロム系複合材料からなる
第2層とを備える。
【0010】また、第1層の電気伝導度は60%IAC
S以上であることが好ましい。ここで、電気伝導度の単
位「%IACS」について説明すると、電気伝導度がX
%IACSとは、抵抗率が、100/(58×X)Ωm
2 /mであることを示す。
【0011】また、第1層の厚みをh1 とし、第2層の
厚みをh2 とすると、h1 とh2 との間には0.2≦h
1 /(h1 +h2 )≦0.8で示す関係式が成り立つこ
とが好ましい。
【0012】また、第2層のロックウェル硬度は65H
RB以上であることが好ましい。また、第2層内の空孔
率は5体積%以下であることが好ましい。
【0013】さらに、第2層においてクロムの含有率は
25重量%以上60重量%以下であることが好ましい。
【0014】また、第2層は、ビスマス、テルル、アン
チモンおよび酸化クロムからなる群より選ばれた少なく
とも一種を添加物として含み、添加物の含有率は0.0
1重量%以上8重量%以下であることが好ましい。
【0015】さらに、積層複合材料は、円盤形状を有す
る、真空遮断器の電極材として用いられることが好まし
い。
【0016】この発明の1つの局面に従った積層複合材
料の製造方法は、以下の工程を備える。
【0017】(1) 銅または銅合金からなる第1部材
を準備する工程。 (2) 鋳造法または粉末冶金法により銅−クロム系複
合材料からなる第2部材を準備する工程。
【0018】(3) 第1部材と第2部材とをろう付け
または拡散接合により接合する工程。
【0019】この発明の別の局面に従った積層複合材料
の製造方法は以下の工程を備える。 (1) 銅または銅合金からなる第1部材を準備する工
程。
【0020】(2) 所定の比率で銅粉末とクロム粉末
を混合して混合粉末を準備する工程。
【0021】(3) 混合粉末を第1部材の上に置いた
状態で加圧することにより、第1部材の上に銅粉末とク
ロム粉末からなる粉末成形体を形成して2層体を形成す
る工程。
【0022】(4) 2層体を真空中で温度800℃以
上に保つことにより、粉末成形体を焼結して積層複合材
料を形成する工程。
【0023】また、積層複合材料を温度100℃以下で
冷間鍛造した後に再焼結する工程をさらに備えることが
好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明者らは、高い電気伝導度と
熱伝導率と耐熱性を有し、アーク放電に対する耐衝撃性
に優れ、かつ台金とのろう付け性を向上させる積層複合
材料についてさまざまな実験および検討を行なった結
果、以下の結論が得られた。
【0025】(1) 電極表面側(もう一方の電極と接
する部分)に銅−クロム系複合材料を配置することによ
り、耐熱性とアーク放電に対する耐衝撃性が向上する。
【0026】(2) 銅−クロム系複合材料と台金との
間に銅または銅合金を介在させることにより電気伝導度
と熱伝導率が向上し、かつ台金とのろう付け性もよくな
る。
【0027】このような知見に基づきなされた本発明の
積層複合材料は、銅または銅合金からなる第1層と、第
1層と接合した、銅−クロム系複合材料からなる第2層
とを備える。そのため、第2層を電極表面側することに
より、耐熱性とアーク放電に対する耐久性に優れた積層
複合材料とすることができる。また、第1層は銅または
銅合金からなるため、電気伝導度および熱伝導率に優れ
た積層複合材料とすることができる。さらに、第1層を
台金と接続させることにより、台金とのろう付け性も向
上する。
【0028】ここで、本明細書中「接合」とは、第1層
と第2層が直接接触している場合だけでなく、第1層と
第2層の間に何らかの中間層が介在しており、この中間
層を介在させて第1層と第2層が機械的に接続されてい
る場合も含む。
【0029】第1層の電気伝導度について検討した結
果、第1層の電気伝導度は60%IACS以上であるこ
とが好ましいことがわかった。
【0030】電気伝導度を60%IACS以上の範囲と
する理由は、60%IACS未満であれば、アーク放電
によって電極表面で発生した熱が電極内にこもるため、
電極の温度が上昇するおそれがあるからである。
【0031】また、第1層の厚みh1 と第2層の厚みh
2 との割合について検討した結果、0.2≦h1 /(h
1 +h2 )≦0.8であることが好ましいことがわかっ
た。第1層の割合h1 /(h1 +h2 )を0.2以上
0.8以下の範囲内に限定した理由は、第1層の割合が
0.2未満であれば、電極中の銅が少なくなるため熱伝
導率および電気伝導度が低下し、電極表面の温度が上昇
しやすくなる。その結果、電極の一部で溶融のおそれが
あり、さらに裁断値の増加や耐衝撃性の低下といった現
象が生じる可能性がある。また、第1層の割合を80%
以下としたのは、第1層の割合が80%を超えると、銅
−クロム系複合材料が有する耐衝撃性などの優れた特性
が生じず、かつ耐熱性が十分でないからである。
【0032】なお、優れた耐熱性を有する複合材料を優
れた経済性のもとで製作するためには、0.5≦h1
(h1 +h2 )≦0.7がより好ましい。
【0033】第1層中の銅または銅合金の組成について
は特に制約がなく、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、ニッ
ケル(Ni)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、リン
(P)などの元素を添加してもよいが、過剰に添加する
と電気伝導度が60%IACSを下回るという問題や台
金とのろう付け性が低下するという問題が生じる。
【0034】銅または銅合金からなる第1層は溶製法、
鋳造法、粉末冶金法などのいずれの製法により作製して
もよい。ただし、第1層を粉末冶金法により製造すれば
第1層内に空孔が生じるため、台金との接合に際してろ
う付け法を用いる場合にはこの空孔内にろう材が浸透し
十分なろう付け強度が得られない場合が生じ得る。その
ため、ろう付け法により台金と第1層とを接続する場合
には、溶製法または鋳造法により作製した、空孔のない
第1層を用いることがより好ましい。
【0035】また、本発明者らは、複合材料の耐熱性と
耐衝撃性とを向上させるためのさまざまな検討を行なっ
た結果、電極表面側の材料の硬さと空孔率とクロム粒子
の含有量が耐熱性や耐衝撃性に影響することを見い出し
た。
【0036】すなわち、第2層の硬さについては、Bス
ケールのロックウェル硬度で65HRB以上であればア
ーク放電により第2層が損傷することがないことがわか
った。第2層の硬さが65HRB未満の場合には電極の
表面に欠損が生じ、また、局所的に溶融する可能性があ
る。また、高温条件下で高い耐衝撃性を得るためには、
第2層の硬度は80HRB以上であることが好ましい。
【0037】また、第2層内での空孔の体積の割合(空
孔率)は5体積%以下であることが好ましいことを見い
出した。空孔率が5体積%を超えるとアーク放電が電極
の表面で発生した際に空孔の部分において電極材料が損
傷し、裁断値の増加や耐衝撃性の低下といった電極特性
の低下が生じ、さらに電気伝導度や熱伝導率も低下する
おそれがある。
【0038】また、第2層中のクロムの含有率は25重
量%以上60重量%以下であることが好ましいことを見
い出した。本発明者らは、これまでに、クロムの含有率
を5重量%以上とすることにより耐熱性や耐衝撃性が改
善できることを確認している。しかし、クロムの含有量
が5重量%以上25重量%未満の範囲では、遮断回数が
増加していくにつれて、電極表面に微細な凹凸が生じ
る。その結果、電極の側面の肌荒れ現象が進行し、最終
的には電極の表面に欠損が生じる可能性があるというこ
とが判明した。
【0039】また、従来のように、クロムの含有量が2
5重量%以上の銅−クロム系複合材のみによって電極を
構成すれば、電気伝導度や熱伝導率が低下するために、
電極表面の温度上昇が起こる。その結果、電極の表面で
局所的な溶融現象が生じるおそれがある。そのため、本
発明では、第2層にだけ25重量%以上のクロムを含有
させた。また、クロムの含有率が60%を超えると耐熱
性や耐衝撃性の増加が飽和し、さらに、高価なクロムの
含有量が増えるために経済性が劣ることになる。そのた
め、クロムの含有率の上限値は60重量%とした。
【0040】また、第2層中の銅−クロム系複合材料の
組成については、クロムの他に必要に応じてビスマス
(Bi)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)、酸化
クロムからなる群より選ばれた少なくとも一種を0.0
1重量%以上8重量%以下含有することが好ましいこと
がわかった。これらの添加元素は電極間の裁断値を低い
状態で安定化させる効果がある。これらの含有率を上記
の範囲としたのは、含有率が0.01重量%未満では添
加の効果が得られず、8重量%を超えても、裁断値を低
下させる効果が飽和に達し、さらに第2層の機械的特性
が低下するからである。
【0041】次に、この発明に従った積層複合材料の製
造方法について図を用いて説明する。図1は、この発明
の1つの局面に従った複合材料の製造方法を示す工程図
である。図2は、この発明の1つの局面に従った複合材
料の製造方法を示す断面図である。まず、図1と図2の
(A)を参照して、銅または銅合金からなる第1部材1
を準備する(ステップ101)。
【0042】図1および図2の(B)を参照して、鋳造
法または粉末冶金法により銅−クロム系複合材料からな
る第2部材2を準備する(ステップ102)。
【0043】図1および図2の(C)を参照して、第1
部材1と第2部材2とをろう付けまたは拡散接合により
接合して2層化し、積層複合材料3を製造する(ステッ
プ103)。
【0044】ろう付け法による2層化については、第1
部材1の上にろう材を塗布した後に第1部材1上に第2
部材2を載せた状態で水素雰囲気または真空中で温度を
800℃以上、より好ましくは950℃〜1000℃に
加熱保持する。
【0045】また、拡散接合法による2層化について
は、第1部材1の上に第2部材2を載せた状態で不活性
ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気または真空中で温度
800℃以上、より好ましくは温度950℃〜1000
℃で加熱保持する。拡散接合法の場合には、第1部材1
と第2部材2とをより強固に接合するために、第1部材
1の上に第2部材2を載せた状態で一度加圧して第1部
材1と第2部材2とを接合させた後に上述の雰囲気で加
熱保持する方法や、第1部材1と第2部材2の接合界面
に銅箔を挿入した状態で加圧保持する方法も有効であ
る。
【0046】図3は、この発明の別の局面に従った複合
材料の製造方法を示す工程図である。図4は、この発明
の別の局面に従った複合材料の製造方法を示す断面図で
ある。図3および図4の(A)を参照して、銅または銅
合金からなる第1部材1を準備する(ステップ20
1)。所定の比率で銅粉末とクロム粉末を混合して混合
粉末を準備する(ステップ202)。混合粉末を第1部
材1の上に置いた状態で加圧することにより、第1部材
1の上に銅粉末とクロム粉末からなる粉末成形体を形成
して2層体を形成する(ステップ203)。ステップ2
03は、以下のステップ204〜206の3つのステッ
プにより構成される。
【0047】図3および図4の(B)を参照して、第1
部材1を金枠4と金型台5からなる金型内に挿入する
(ステップ204)。
【0048】図3および図4の(C)を参照して、金型
内において、第1部材1の上に混合粉末6を置く(ステ
ップ205)。
【0049】図3および図4の(D)を参照して、混合
粉末6を矢印7で示す方向に加圧することにより第1部
材1の上に粉末成形体8を形成して2層体9を形成する
(ステップ206)。
【0050】図3および図4の(E)を参照して、2層
体9を真空中で温度800℃以上に保つことにより粉末
成形体8を焼結して銅−クロム系複合材料10(銅−ク
ロム焼結体)とし、積層複合材料11を形成する(ステ
ップ207)。この際、銅−クロム系複合材料10と第
1部材1とは拡散接合により接合する。図1〜4で示す
ような方法に従うことにより、耐熱性、耐衝撃性、熱伝
導率、電気伝導度、ろう付け性に優れた積層複合材料を
得ることができる。
【0051】ステップ103およびステップ207で
は、部材を加熱するが、このときの温度が800℃未満
ではステップ103では第1部材と第2部材とのろう付
け接合や拡散接合が十分に進行せず接合界面で隙間が生
じるおそれがある。また、ステップ207では、粉末成
形体が十分に焼結しないため良好な銅−クロム系焼結体
が得られず積層複合材料全体の電気伝導度や熱伝導率が
低下する。そのため、これらの層をより強固に接合する
ため、また、焼結を十分に進行させるためにステップ1
03および207での温度は800℃以上である必要が
あり、さらに950℃〜1000℃の範囲が最も有効で
あることを本発明者らは確認している。
【0052】また、図3で示す工程において、ステップ
207の後にさらに得られた積層複合材料を温度100
℃以下で冷間鍛造し、さらに再焼結を行なうことによ
り、焼結体内の空孔率が低減し、電気伝導度が増加する
という効果がある。ここで、冷間鍛造の温度を100℃
以下としたのは、温度が100℃を超えると焼結体が酸
化して電気伝導度が低下するためである。
【0053】このように冷間鍛造・焼結の工程を繰返す
ことにより電気伝導度が増加すること、特に、冷間鍛造
工程において、閉塞金型内で積層複合材料を加圧し、除
圧した後に金型から積層複合材料を取出すことなく数回
連続して加圧した後に再焼結を行なうことにより電気伝
導度が増加することを本発明者らは見い出している。こ
のような工程によれば、加圧・焼結工程を繰り返し行な
う必要はなく、経済性に優れた製造方法となる。
【0054】
【実施例】(実施例1)表1に示す電気伝導度(%IA
CS)を有する銅または銅合金からなる第1層(厚みh
1 )を溶製法により製造した。また、表1に示すクロム
の含有率、空孔率、硬度の銅−クロム系複合材料からな
る第2層(厚みh2 )を粉末冶金法により製造した。第
1層と第2層との間に銅箔粉を挿入した状態で常温で加
圧した。
【0055】次に、第1層と第2層とを真空中で温度9
50℃の状態に1時間保持することにより一体化して円
盤形状(直径50mm×厚さ10mm)の積層複合材料
(サンプルNo.1〜12)を作製した。サンプルN
o.1〜12について、第1層を真空遮断器の台金とろ
う付け接合することにより真空遮断器の電極とした。
【0056】これらの電極のそれぞれについて、まず、
1000回の開閉試験を行ない、終了後、裁断電流値
(アーク放電により電極間に流れる電流値)を評価する
とともに、電極の表面の損傷状況を調査した。その結
果、すべてのサンプルについては裁断電流値は2A以下
であり、電極表面の損傷状況については、肌荒れや摩耗
は全くなかった。
【0057】次に、電極の耐久性を調べるために、10
00回の開閉動作を行なった電極について、さらに90
00回の開閉動作を行なった。開閉動作終了後の裁断電
流値を評価するとともに電極の表面の損傷状況を調査し
た。その結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1中「h1 /(h1 +h2 )」とは、第
1層と第2層の厚みの和(h1 +h 2 )に対する第1層
の厚みh1 の割合を示す。表1より、サンプルNo.1
〜6については、第1層の電気伝導度、第1層の割合、
第2層中のクロムの含有率、空孔率、硬度が最も好まし
い範囲にあるため、試験終了後においても、裁断値が1
〜1.6A程度と低かった。また、電極表面で肌荒れや
摩耗がなくサンプルNo.1〜6については、特に耐久
性が要求される真空遮断器用の電極としても十分適用で
きるといえる。
【0060】一方、サンプルNo.7〜12について
は、以下のような結果となった。 サンプルNo.7 第1層中の電気伝導度が小さいため電極の表面の温度が
上昇し電極表面に溶融・欠損部が発生した。
【0061】サンプルNo.8 第1層の割合が小さいため、電極全体の電気伝導度が低
下し電極表面の温度が上昇し、電極表面に溶融・欠損部
が発生した。
【0062】サンプルNo.9 第1層の厚みが大きいためにアーク放電に対する耐衝撃
性が低下し、電極の表面に肌荒れが発生した。
【0063】サンプルNo.10 クロムの含有率が少ないためにアーク放電に対する耐衝
撃性が低下し、電極の摩耗量が増加した。
【0064】サンプルNo.11 第2層中の空孔率が大きいためアーク放電に対する耐衝
撃性が低下し、電極の表面に肌荒れが発生した。
【0065】サンプルNo.12 第2層の硬度が小さいため、アーク放電に対する耐衝撃
性が低下し、電極の表面に肌荒れが発生した。
【0066】(実施例2)実施例2では、ビスマス、テ
ルル、アンチモン、酸化クロムなどの添加元素が電極の
耐久性にどのような影響を与えるかを調べた。まず、純
銅からなる第1層(電気伝導度100%IACS)を溶
製法により製造した。次に、クロムの含有率が48重量
%、空孔率が2体積%、の第2層を粉末冶金法により製
造した。
【0067】第1層と第2層とを拡散接合により接合し
て円盤形状(直径50mm×厚さ10mm、第1層の厚
さと第2層の厚さとはほぼ等しい)の積層複合材料(サ
ンプルNo.21〜28)を作製した。これらのサンプ
ルについて、第1層を真空遮断器の台金とろう付け接合
することにより真空遮断器の電極とした。これらの電極
のそれぞれについて、まず1000回の開閉試験を行な
い、終了後の裁断電流値を評価するとともに電極表面の
損傷状況を調査した。裁断電流値はすべてのサンプルに
ついて1A以下であり良好な値であった。また、電極表
面の損傷もなかった。
【0068】次に、電極の耐久性を調べるために、10
00回の開閉動作をした電極について、さらに9000
回の開閉動作を行ない、終了後の裁断電流値を評価する
とともに電極表面の損傷状況を調査した。その結果を表
2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】表2より、ビスマス、テルル、アンチモン
および酸化クロムの含有率が0.01重量%以上8重量
%以下の好ましい範囲であれば、添加物を含まない試料
(サンプルNo.26)に比べて裁断電流値が小さくな
っていることがわかる。また、サンプルNo.27およ
び28のように、添加元素の量が多くなると電極の硬度
が低下するため電極表面において欠損部が生じ、また、
電極の摩耗量が増大している。
【0071】(実施例3)クロム粉末の含有率が45重
量%で残部が銅粉末からなる混合粉末を準備した。ま
た、円盤形状の純銅板からなる第1部材(直径49.8
mm×厚さ5mm)を準備した。第1部材を直径50m
mの金型に挿入した後、この第1部材の上に混合粉末を
充填した。混合粉末に8000kgf/cm2 の圧力を
かけて混合粉末を粉末成形体として第1部材と粉末成形
体からなる2層体を形成した。
【0072】この2層体を表3で示す焼結条件で焼結す
ることにより、純銅からなる第1部材の上にクロムの含
有率が45重量%の銅−クロム焼結体が接合された積層
複合材料(サンプルNo.31〜38)を製造した。得
られたサンプルにおいて、第1部材と焼結体との接合状
態を観察するとともに銅−クロム焼結体の硬度および空
孔率を測定した。その結果を表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】サンプルNo.31〜35では、焼結条件
が最も好ましい範囲であったため、良好な銅−クロム系
焼結体が得られるとともに、この焼結体と第1部材との
間で良好な拡散接合が進行した。
【0075】一方、サンプルNo.36〜38について
は、以下のような結果となった。 サンプルNo.36 焼結温度が低いため、十分に焼結が進行せずに硬度が低
下した。また、純銅からなる第1部材との拡散接合が十
分に進行しないために接合部で剥離が生じた。
【0076】サンプルNo.37 大気中で焼結したために酸化が進行して十分な強度が得
られず、また第1部材との拡散接合が十分に進行しない
ため接合部で剥離が生じた。
【0077】サンプルNo.38 焼結時間が15分と短いために十分に焼結せずに十分な
硬度が得られず、また第1部材との拡散接合が十分に進
行しないために接合部で剥離が生じた。
【0078】今回開示された実施例および実施の形態は
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
【0079】
【発明の効果】この発明によれば、高い電気伝導度、熱
伝導率、耐熱性を有し、アーク放電に対する耐衝撃性が
高く、さらに台金とのろう付け性が良好な電極材料とし
ての積層複合材料を経済性よく提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の1つの局面に従った積層複合材料の
製造方法を示す工程図である。
【図2】この発明の1つの局面に従った積層複合材料の
製造工程を示す断面図である。
【図3】この発明の別の局面に従った積層複合材料の製
造方法の工程を示す図である。
【図4】この発明の別の局面に従った積層複合材料の製
造方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1 第1部材 2、10 第2部材 3、11 積層複合材料 6 混合粉末 8 成形体 9 2層体

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅または銅合金からなる第1層と、 前記第1層と接合した、銅−クロム系複合材料からなる
    第2層とを備えた、積層複合材料。
  2. 【請求項2】 前記第1層の電気伝導度は60%IAC
    S以上である、請求項1に記載の積層複合材料。
  3. 【請求項3】 前記第1層の厚みをh1 とし、前記第2
    層の厚みをh2 とすると、前記h1 とh2 との間には
    0.2≦h1 /(h1 +h2 )≦0.8で示す関係式が
    成り立つ、請求項1または2に記載の積層複合材料。
  4. 【請求項4】 前記第2層のロックウェル硬度は65H
    RB以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    積層複合材料。
  5. 【請求項5】 前記第2層内の空孔率は5体積%以下で
    ある、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層複合材
    料。
  6. 【請求項6】 前記第2層においてクロムの含有率は2
    5重量%以上60重量%以下である、請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載の積層複合材料。
  7. 【請求項7】 前記第2層は、ビスマス、テルル、アン
    チモンおよび酸化クロムからなる群より選ばれた少なく
    とも一種を添加物として含み、前記添加物の含有率は
    0.01重量%以上8重量%以下である、請求項1〜6
    のいずれか1項に記載の積層複合材料。
  8. 【請求項8】 円盤形状を有する、真空遮断器の電極材
    として用いられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載
    の積層複合材料。
  9. 【請求項9】 銅または銅合金からなる第1部材を準備
    する工程と、 鋳造法または粉末冶金法により銅−クロム系複合材料か
    らなる第2部材を準備する工程と、 前記第1部材と前記第2部材とをろう付けまたは拡散接
    合により接合する工程とを備えた、積層複合材料の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 銅または銅合金からなる第1部材を準
    備する工程と、 所定の比率で銅粉末とクロム粉末とを混合して混合粉末
    を準備する工程と、 前記混合粉末を前記第1部材の上に置いた状態で加圧す
    ることにより、前記第1部材の上に前記銅粉末と前記ク
    ロム粉末からなる粉末成形体を形成して2層体を形成す
    る工程と、 前記2層体を真空中で温度800℃以上に保つことによ
    り、前記粉末成形体を焼結して積層複合材料を形成する
    工程とを備えた、積層複合材料の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記積層複合材料を温度100℃以下
    で冷間鍛造した後に再焼結する工程をさらに備える、請
    求項10に記載の積層複合材料の製造方法。
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