JPH1121871A - 電気浸透排水工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水を抜き取りながら法面の地盤を強固にする
電気浸透排水工法を提供する。 【解決手段】 法面６から地盤に対してほぼ水平に有孔
金属管１と金属棒２を所定間隔で交互に埋設し、有孔金
属管１を負の電極、金属棒２を正の電極として電源３，
４に接続し、電極１，２間に直流電圧を印加し、正に帯
電した地盤中の水分を有孔金属管１の内部を通して集水
し法面６の外部７に排水する電気浸透排水工法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、軟弱地盤中の水分
を集水して排出することにより、法面の崩壊を防止する
方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】道路や宅地造成のために山を切り開いた
り盛土をしたりして形成した法面は、雨や風化により崩
壊しやすくなる。特に、軟弱地盤の場合、雨水が地盤に
吸収され、水を含んだ地盤の重量が重くなるとともに、
土中の水が相互に連通史土中の間隙水圧を上昇させるた
め、土砂同士の結合が弱くなり、ついには、法面の表層
が崩壊して土砂崩れが発生する。

【０００３】このような地盤を強化するため、従来よ
り、各種の工法が提案されてきた。

【０００４】例えば、 （１）斜面地盤に鉄筋を挿入して地盤を一体化させる補
強土工法 （２）斜面表面でプレハブ材を被覆するアンカー付格子
状擁壁工法 （３）地盤に横孔を設けて排水する横孔排水工法 （４）斜面の土中に水平方向に有孔のパイプを挿入して
自然に有孔管中に集まる水を排水する工法 といった工法がある。

【０００５】しかしながら、このような工法には次のよ
うな問題があった。

【０００６】（１）補強土工法及びアンカー付格子状擁
壁工法に共通の問題として、水抜きを完全にする必要が
ある。

【０００７】（２）横孔排水工法では、自然排水のみで
は完全に排水できない。

【０００８】（３）斜面の土中に水平方向に有孔のパイ
プを挿入して自然に有孔管中に集まる水を排水する工法
では、斜面土が雨水により飽和される時間によっては水
平水抜工法による排水が行われる前に、表層の雨水浸透
による崩壊が生じていた。そのために斜面地表面のコン
クリート被覆その他の工法が使用されている。

【０００９】一方、電気浸透現象を応用した強制集水工
法として、特開平１−５２９０８号公報に開示されたも
のがある。これは、砂杭中にスリット孔を有する管を陰
極として打ち込むとともに、砂杭間に陽極として鉄棒を
打ち込み、両極間に直流電圧をかけることにより、軟弱
地盤中の水分を陰極側に集水させ、地盤の脱水を行うよ
うにしたものである。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
特開平１−５２９０８号公報に開示された強制集水工法
においては、陰極及び陽極は地盤に垂直に打ち込まれ、
陰極である管内に集まった水はポンプまたは真空工法な
どを用いて排水するようにしている。そのため、設備が
大がかりとなり、メンテナンスも必要で、設備コスト及
び通常コストが嵩む。さらに、陰極は鉛直方向に打ち込
まれるため、降雨時の自然排水は不可能であり、結局、
法面の強度向上には適用できないという問題があった。

【００１１】本発明が解決すべき課題は、水を抜き取り
ながら法面の地盤を強固にすることにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明は、法面から地盤に対してほぼ水平に有孔金
属管と金属棒を所定間隔で交互に埋設し、前記有孔金属
管を負の電極、金属棒を正の電極として電源に接続し、
前記電極間に直流電圧を印加し、正に帯電した地盤中の
水分を前記有孔金属管の内部を通して集水し法面の外部
に排水することを特徴とする電気浸透排水工法である。

【００１３】地盤中に前記間隙水圧が発生している間は
確実に電流は間隙水を通じて流れ、間隙水の連通が切断
されると間隙水圧も働かず、電流も通じず安全となる。
但し、また水が連通すれば自動的に通電し排水される。

【００１４】この工法において、太陽電池及び蓄電池を
用いて、降雨時に電極間に自動的に直流電圧を印加する
ようにすることができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】本発明では、電気浸透現象を利用
して、自動的に斜面の土中水の排除を行い、常に斜面の
安定を保とうとするものである。

【００１６】図１に示すように、法面６から地盤に対し
てほぼ水平に有孔金属管１と金属棒２を所定間隔で交互
に埋設し、有孔金属管１を制御盤３を介して蓄電池４の
負の電極に、金属棒２を制御盤３を介して蓄電池４の正
の電極に接続する。蓄電池４には太陽電池５を接続す
る。図１において、法面６の下部には、排水溝７が設け
られている。

【００１７】本発明では、地盤中に挿入された陽極と陰
極に直流電圧を印加すると、陰極に土中水が集まること
は周知の現象であるが、この現象を斜面に応用して土中
水を排除し、斜面の安定を図ろうとするものである。

【００１８】従来工法では、斜面土が雨水により飽和さ
れる時間によっては水平水抜工法による排水が行われる
前に、表層の雨水浸透による崩壊が生じていた。そのた
めに斜面地表面のコンクリート被覆その他の工法が使用
されている。

【００１９】本工法では斜面に対して水中に挿入された
陰極（有孔金属管１）と陽極（金属棒２）によって次の
サイクルで効果を発揮する。

【００２０】１）晴天時には太陽電池５による蓄電を行
う。

【００２１】２）雨の降り出しと同時に電極１、２間に
直流電圧を印加する。土中への水の浸透により飽和され
ると、間隙水を通って通電され、帯電した水が陰極の有
孔管１内に集水され、有孔管１内部を通じて法面６の外
部に排水される。法面６を伝った水は、排水溝７により
集水されて下水道や河川に導かれる。雨の降り出しを自
動検知するには、陽極と陰極の間の電気抵抗を監視し
て、一定レベル以下になると雨の降り出しであると判断
する回路を設けることができる。

【００２２】３）土中の間隙水及び付着水の連続が絶た
れると通電は停止される。すなわち取水浸透による斜面
土の飽和は防がれる。

【００２３】４）電気浸透工法の適用によって副次的な
効果として地盤が固結することが知られているが斜面地
中の空隙が充填されるとイオン化水の流通を妨げる結果
とはならない。

【００２４】５）太陽電池、蓄電、通電、排水、脱水、
遮電のサイクルは晴天と雨天の連続性に関連するため、
長期連続降雨の際の予備電源及び蓄電装置の確保は必要
である。

【００２５】

【実施例】斜面土の性質によっては排水能力に差がある
ため全く性質の異なる土に対して実験を行った。装置の
概要を図２に示す。

【００２６】図２に示すように、人工盛土１３をガラス
箱１１の中に形成し、シャワーによって完全に飽和させ
て正電極２、負電極（有孔管）１に電圧を印加した。１
２は斜面を覆うガラス板で、人工盛土１３の流れ出しを
防ぐためである。

【００２７】約６時間通電排水した後、ガラス板４を取
ったが、人工盛土３の土塊は崩壊しなかった。

【００２８】すなわち人工盛土３の斜面は電気浸透によ
る排水によって安定したこととなった。

【００２９】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明の有効性
は従来の横孔水抜工法による自然排水の不完全性を完全
に補完し、自動的に蓄電、通電、排水、固結、遮断のサ
イクルを繰り返し、完全に斜面を浸透水から保護するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明を実施するための設備を示す概略図で
ある。

【図２】 本発明の実験装置を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 有孔金属管、２ 金属棒、３ 制御盤、４ 蓄電
池、５ 太陽電池、６ 人工盛土（法面）、７ 排水
溝、１１ ガラス箱、１２ ガラス板、１３ 人工盛土

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 法面から地盤に対してほぼ水平に有孔金
   属管と金属棒を所定間隔で交互に埋設し、前記有孔金属
   管を負の電極、金属棒を正の電極として電源に接続し、
   前記電極間に直流電圧を印加し、正に帯電した地盤中の
   水分を前記有孔金属管の内部を通して集水し法面の外部
   に排水することを特徴とする電気浸透排水工法。