JPH11209161A - セメント系固化材およびその製造方法 - Google Patents
セメント系固化材およびその製造方法Info
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Abstract
ト原料の用途拡大も図れるセメント系固化材およびその
製造方法を提供する。 【解決手段】 セメント焼成設備のプレヒータから仮焼
率80〜90%の仮焼セメント原料を取り出し、その
後、この仮焼セメント原料をポルトランドセメントの一
部に代替え使用する。これにより、製造コストを低減で
きるとともに、仮焼セメント原料の用途も拡大すること
ができる。
Description
材およびその製造方法、詳しくは製造コストを安価に
し、しかも仮焼セメント原料の用途を拡大するためのセ
メント系固化材およびその製造方法に関する。
成設備において、シュートよりサスペンションプレヒー
タに投入され、このプレヒータで1000℃前後に予熱
されて、ロータリキルンへと供給される。そして、この
ロータリキルン内で1450℃前後の熱により焼成され
ることで、セメントクリンカが生成される。
入されたセメント原料は、このプレヒータの内部を、多
段配置されたサイクロンおよびダクトを順次経由しなが
ら降下して行く。一方、ロータリキルン内の高い焼成熱
で加熱された排ガスは、誘引ファンにより吸引されて、
セメント原料とは反対に、プレヒータ内を上昇してやが
ては装置外部に排出される。よって、投入されたセメン
ト原料は、この排ガスにより徐々に加熱されながら、最
下段のサイクロンに降下・供給される。その後、セメン
ト原料は、シュートを通過してロータリキルンに導入さ
れる。
固化材の主材料は、通常、ポルトランドセメントと、石
膏とである。このうち、ポルトランドセメントがその大
半を占めている。前述したように、ポルトランドセメン
トは、セメント原料の焼成工程を踏まえて製造される。
焼成工程は、多量の燃料を消費することから、ポルトラ
ンドセメントがコスト高になる一つの要因となってい
る。そこで、このプレヒータ内から、ロータリキルンで
焼成される前の仮焼セメント原料を取り出し、これをセ
メント系固化材の原料に用いることができれば、セメン
ト系固化材の製造コストが安価になるはずである。
焼セメント原料の中には、生石灰分が多く、これが仮焼
セメント原料をセメント系固化材の一部に使用すること
ができない原因となっていた。すなわち、このセメント
系固化材の組成で、生石灰の占める割合が多くなれば、
夏季など、気温が高い環境下において、混合直後は支障
ないものの、ほんの数分〜十数分後には、セメント系固
化材と水とを混合したスラリーの流動性が著しく低下す
るという懸念があった。
上述したように、プレヒータ内の仮焼セメント原料をポ
ルトランドセメントの一部として使用することで、製造
コストを安価にすることができるとともに、仮焼セメン
ト原料の用途も広がることを突き止めた。また、あらか
じめ仮焼セメント原料に水を加え、この仮焼セメント原
料中に含まれる生石灰を部分消化しておけば、仮に、こ
の仮焼セメント原料を、そのままセメント系固化材の代
替え物として比較的大量に添加しても、夏季などにおけ
るセメント系固化材のスラリーの流動性の低下を改善す
ることができることを見出し、この発明を完成させた。
とができ、しかも仮焼セメント原料の用途拡大も図れる
セメント系固化材を提供することを、その目的としてい
る。また、この発明は、品質を低下させずに製造コスト
を安価にすることができるセメント系固化材およびその
製造方法を提供することを、その目的としている。さら
に、この発明は、この固化材のスラリーの流動性をさら
に高めることができ、しかも固化後の強度も高められる
セメント系固化材を提供することを、その目的としてい
る。
は、ポルトランドセメントと石膏とを混合して得られた
セメント系固化材において、上記ポルトランドセメント
の一部として、セメント焼成設備に配設されたセメント
原料を仮焼するプレヒータから取り出された仮焼率80
〜90%、かつ含有する生石灰が部分消化された仮焼セ
メント原料を使用したセメント系固化材である。仮焼セ
メント原料と代替えされるポルトランドセメントの割合
は1〜20%、特に1〜10%が好ましい。1%未満で
は製造コスト低減効果が小さくなるという不都合が生じ
る。一方、20%を超えると固化性能が低下するという
不都合が生じる。
%以上である。80%未満では溶出するカルシウム量が
少ないため、固化性能が低いという不都合が生じる。こ
のような仮焼率80〜90%の仮焼セメント原料が得ら
れるプレヒータの位置としては、例えば、5台のサイク
ロンを縦型に組んだプレヒータの場合、1台目のサイク
ロンの排出口に繋がるシュートから取り出されたものが
好ましい。仮焼セメント原料の平均比表面積は限定され
ない。ただし、2000〜4000cm2/g程度が好
ましい。
5重量%程度である。なお、これらの数値は、仮焼セメ
ント原料との一部代替え加味していない。ポルトランド
セメントの平均比表面積は2500〜4500cm2/
g程度である。石膏の添加量は5〜20重量%程度であ
る。また、石膏の平均比表面積は3000〜5000c
m2/g程度である。
ト原料は、含有する生石灰が部分消化されている請求項
1に記載のセメント系固化材である。仮焼セメント原料
中の生石灰の消化率は40%以上、特に50%以上が好
ましい。40%未満では未消化の生石炭による流動性の
低下という不都合が生じる。生石灰の部分消化の方法と
しては、例えばポルトランドセメントと石膏とを混合す
るミル内で所定量の水を散水する方法などが挙げられ
る。この他、仮焼セメント原料を、スクリュコンベアな
どのような混合と搬送とを兼ねる装置を使用し、搬送し
ながらその上に水を粉霧するという部分消化の方法も挙
げられる。
末を5〜60重量%添加した請求項1または請求項2に
記載のセメント系固化材である。高炉スラグ微粉末が5
重量%未満では、セメント系初期水和物であるエトリン
ガイトの生成量の増加が少なく、有機質を多く含む土等
を固化できない。しかも、セメントクリンカよりも、初
期水和活性の低い高炉スラグ微粉末量が少ないため、こ
の固化材のスラリーの流動性が低下するという不都合が
ある。また、高炉スラグ微粉末が60重量%を超える
と、粉末度の高いものを使用しなければ、初期強度に寄
与するエトリンガイトの生成が十分でなくなり、製造コ
ストが高くなる。高炉スラグ微粉末の平均比表面積は2
500〜5500cm2/g程度である。
コールを1〜3重量%添加した請求項1〜請求項3のう
ちのいずれか1項に記載のセメント系固化材である。
メントと石膏とを混合してセメント系固化材を得るセメ
ント系固化材の製造方法において、セメント焼成設備の
セメント原料を仮焼するプレヒータから仮焼率80〜9
0%の仮焼セメント原料を取り出し、この仮焼セメント
原料に水を添加して、この仮焼セメント原料中の生石灰
を部分消化し、この部分消化後の仮焼セメント原料を、
上記ポルトランドセメントの一部として使用するセメン
ト系固化材の製造方法である。
焼セメント原料を、ポルトランドセメントの一部として
代替え使用する。仮焼セメント原料は、基本的にポルト
ランドセメントの原料であって、その成分は類似してい
る。この結果、ポルトランドセメントの一部として、仮
焼セメント原料を代替え使用することが可能である。実
際に、仮焼率80〜90%の仮焼セメント原料を代替え
使用しても、その固化後の固化材のスラリーの強度は、
ポルトランドセメント単独の場合と、ほとんどかわらな
い。したがって、ポルトランドセメントの一部ながら
も、安価な仮焼セメント原料を使用することで、セメン
ト系固化材の製造コストを低減することができる。しか
も、仮焼セメント原料の用途を拡大することができる。
よれば、セメント焼成設備のプレヒータから仮焼率80
〜90%の仮焼セメント原料を取り出し、これに水を加
える。この結果、仮焼セメント原料中に含まれる生石灰
分が部分消化される。この反応式を次に示す。 CaO+H2O → Ca(OH)2 その後、この部分消化された仮焼セメント原料を、ポル
トランドセメントの一部として代替え使用する。このよ
うに、生石灰を部分消化することで、夏季でもセメント
系固化材のスラリーの良好な流動性を維持することがで
きる。これにより、ポルトランドセメントの一部とし
て、比較的多量に仮焼セメント原料を代替え使用するこ
とが可能となる。また、このように生石灰を部分消化
し、かつ比較的多量にこの仮焼率80〜90%の仮焼セ
メント原料を代替え使用した場合でも、固化後のスラリ
ーの強度は、請求項1と同様に、ポルトランドセメント
単独の場合とほとんどかわらない。よって、品質を低下
させることなく、より以上に製造コストを低減すること
ができる。
のセメント系固化材に高炉スラグ微粉末を5〜60重量
%添加する。高炉スラグ微粉末は、セメント系固化材の
pHを低下させ、水酸化カルシウムCa(OH)2の溶
出を抑えるとともに、水酸化カルシウムを消費し、石膏
やポルトランドセメントと反応し、エトリンガイトを生
成する。これにより、固化材のスラリーの流動性が高ま
り、しかも固化後の強度も高まる。特に、粉末度の高い
ものにその効果が顕著に現れる。さらに、請求項4に記
載の発明によれば、ジエチレングリコールを添加したこ
とにより、固化材が消化時の発熱で乾燥し、発塵が生じ
ることを、阻止することができる。
る。 〈実施例1〜3、比較例1〉これらの実施例および比較
例では、一部が仮焼セメント原料に代替えされたポルト
ランドセメントと、石膏(無水石膏)と、を所定の割合
で混合したセメント系固化材について、この固化材に水
を加えて混練したスラリーの15分経過後の流動性と、
28日材齢強度との評価を行った。スラリーのW/C
(水/固化材)は60%である。流動性の評価にはマー
シュファンネル粘度計を採用し、材齢強度の場合は、公
知の一軸圧縮試験法を採用した。ポルトランドセメント
の混合割合は、仮焼セメント原料との一部代替え量を含
む値の80〜95重量%とした。石膏の混合割合は15
重量%とした。また、仮焼セメント原料の仮焼率は80
%、仮焼セメント原料中の生石灰の部分消化率は85%
とした。生石灰の消化は、セメント系固化材の製造工程
中、ポルトランドセメントと石膏とをミキサで混合する
際に、このミキサ内に散水する方法を採用した。
中への仮焼セメント原料の代替え率を変化させたときの
スラリーの流動性の変化を、気温が高い夏季を想定した
室温35℃で実験した。スラリーの流動性は、スラリー
の流下時間が120秒以下を適(○)とした。また、材
齢強度は、材齢28日強度が10kgf/m2以上を適
(○)とした。なお、使用したポルトランドセメントの
平均比表面積は3750cm2/g、仮焼セメント原料
の場合は3000cm2/g、石膏の場合は3800c
m2/gである。また、比較例には、三菱マテリアル株
式会社製のセメント系固化材(商品名「スタビライトM
15」)を使用した。すなわち、実施例は、この「スタ
ビライトM15」に含まれるポルトランドセメントの一
部を、所定割合で仮焼セメント原料に代替え使用したも
のである。
す。また、製造コストによる評価についても併せて示
す。コスト評価は、「スタビライトM15」に比べて安
価であるものを適(○)とした。表1に示すように、ポ
ルトランドセメントの一部として、生石灰を部分消化し
た仮焼セメント原料を使用することで、夏季でも固化材
のスラリーの良好な流動性を維持することができ、これ
により比較的多量に仮焼セメント原料をポルトランドセ
メントに代替えすることができ、この結果、品質を低下
させることなく製造コストを低減することができた。し
かも、仮焼セメント原料の用途も拡大することができ
た。
変更して同様に実験を行ったところ、仮焼セメント原料
を加えない比較例1の場合でも、スラリーの15分経過
後の流動性は適(○)であった。
消化率を表2に示す値に変更した以外は、実施例1と同
じ条件で実験を行った。表2に示すように、仮焼セメン
ト原料中の生石灰を部分消化することで、夏季でも固化
材のスラリーの良好な流動性を維持することができ、こ
れにより比較的多量に仮焼セメント原料をポルトランド
セメントの一部として代替えすることができるようにな
った。
化材中に高炉スラグ微粉末を表3に示す分量だけ添加し
た以外は、実施例1と同じ条件で実験を行った。なお、
スラリーの流下時間が80秒以下をさらに好適(◎)と
した。また、材齢28日強度が11kgf/m2以上を
さらに好適(◎)とした。表3に示すように、高炉スラ
グ微粉末を添加することで、固化材のスラリーの流動性
がさらに高まり、また固化後の強度もさらに高めること
ができた。
固化材中にジエチレングリコールを表4に示す分量だけ
添加した以外は、実施例1と同じ条件で実験を行った。
なお、スラリーの流下時間が80秒以下をさらに好適
(◎)とした。また、材齢28日強度が11kgf/m
2以上をさらに好適(◎)とした。表4に示すように、
ジエチレングリコールを添加することで、固化材のスラ
リーの流動性がさらに高まり、また固化後の強度もさら
に高めることができた。また、発塵性を良好なものとす
ることができた。発塵性の判定は目視によって行った。
石灰の消化率と、固化材のスラリーの流下時間との関係
を示すグラフである。同グラフ中、折れ線aはセメント
系固化材と水との混練直後を示し、折れ線bは混練後1
5分が経ったときの状態を示す。このグラフより明らか
なように、混練直後は生石灰の消化の有無に関係なく良
好なスラリーの流動性が得られるものの、15分が経過
した後は、生石灰を消化しておかなければ良好な流動性
は得られない。なお、このときのポルトランドセメント
中への仮焼セメント原料の代替え率は10%である。
ば、セメント焼成設備のプレヒータから仮焼率80〜9
0%の仮焼セメント原料を取り出し、その後、これをポ
ルトランドセメントの一部に代替え使用するようにした
ので、製造コストを低減することができるとともに、仮
焼セメント原料の用途も拡大することができる。
よれば、この仮焼セメント原料中に含まれる生石灰を部
分消化してから、これをポルトランドセメントの一部に
代替え使用するようにしたので、夏季でもセメント系固
化材のスラリーの良好な流動性を維持することができ、
この結果、品質を低下させることなく製造コストを低減
することができる。
メント系固化材に高炉スラグ微粉末を5〜60重量%添
加するようにしたので、固化材のスラリーの流動性が高
まり、また固化後の強度も高めることができる。
の生石灰の消化率と、固化材のスラリーの流下時間との
関係を示すグラフである。
Claims (5)
- 【請求項1】 ポルトランドセメントと石膏とを混合し
て得られたセメント系固化材において、 上記ポルトランドセメントの一部として、セメント焼成
設備に配設されたセメント原料を仮焼するプレヒータか
ら取り出された仮焼率80〜90%の仮焼セメント原料
を使用したセメント系固化材。 - 【請求項2】 上記仮焼セメント原料は、含有する生石
灰が部分消化されている請求項1に記載のセメント系固
化材。 - 【請求項3】 高炉スラグ微粉末を5〜60重量%添加
した請求項1または請求項2に記載のセメント系固化
材。 - 【請求項4】 ジエチレングリコールを1〜3重量%添
加した請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載
のセメント系固化材。 - 【請求項5】 ポルトランドセメントと石膏とを混合し
てセメント系固化材を得るセメント系固化材の製造方法
において、 セメント焼成設備のセメント原料を仮焼するプレヒータ
から仮焼率80〜90%の仮焼セメント原料を取り出
し、 この仮焼セメント原料に水を添加して、この仮焼セメン
ト原料中の生石灰を部分消化し、 この部分消化後の仮焼セメント原料を、上記ポルトラン
ドセメントの一部として使用するセメント系固化材の製
造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP02373198A JP3428622B2 (ja) | 1998-01-20 | 1998-01-20 | セメント系固化材およびその製造方法 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|---|
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-
1998
- 1998-01-20 JP JP02373198A patent/JP3428622B2/ja not_active Expired - Lifetime
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CN115073112B (zh) * | 2022-06-10 | 2023-06-30 | 四川方大新型建材科技开发有限责任公司 | 石膏基自流平砂浆及其制备方法 |
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