JPH11199912A - 流動層反応炉および鉱石還元装置 - Google Patents

流動層反応炉および鉱石還元装置

Info

Publication number
JPH11199912A
JPH11199912A JP716598A JP716598A JPH11199912A JP H11199912 A JPH11199912 A JP H11199912A JP 716598 A JP716598 A JP 716598A JP 716598 A JP716598 A JP 716598A JP H11199912 A JPH11199912 A JP H11199912A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluidized bed
gas
reduction furnace
ore
space
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP716598A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Yajima
健一 矢島
Hiroki Nomoto
博樹 野本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawasaki Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Kawasaki Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Heavy Industries Ltd filed Critical Kawasaki Heavy Industries Ltd
Priority to JP716598A priority Critical patent/JPH11199912A/ja
Publication of JPH11199912A publication Critical patent/JPH11199912A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Iron (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 落下粉粒体の回収手段が必要ないなどの利点
のある、流動層反応炉および鉱石還元装置を提供する。 【解決手段】 内部を反応ガスの導入経路とする上端の
閉じた鉛直筒体20を、粉粒体を流動化させる流動層空
間10a内に下部から突出させ、その筒体20の側壁
に、筒体20の内部から半径方向外側にある流動層空間
10aの底部へ通じるガス吹出しノズル21を複数形成
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】請求項に係る発明は、鉄鉱石
等の粉粒体を流動化させながら反応させる流動層反応
炉、およびそのような反応炉を含む鉱石の還元装置に関
するものである。
【従来の技術】流動層反応炉は、反応ガスにより粉粒体
を流動化させながら当該ガスと粉粒体との間で反応を起
こさせる反応容器である。粉粒体と反応ガスとが広い面
積を介して活発に接触するため反応効率にすぐれるとさ
れており、鉄鉱石(酸化鉄)などの鉱石の還元やセメン
トの焼成などに使用されている。
【0002】図10は、流動層反応炉を含む従来の鉄鉱
石還元装置1’につき縦断面図を含めて示す系統図であ
る。粉粒体である鉄鉱石を、流動層反応炉である予備還
元炉10’内に投入管11’より投入してその予備還元
(すなわち部分的な還元)を行い、予備還元ずみの鉄鉱
石を供給管12’・15’・16’より溶融還元炉3
0’の鉄浴30a’内に投入して最終還元を行う。溶融
還元炉30’では、鉄浴30a’内に石炭等を投入しな
がら酸素を吹き込むため、一酸化炭素(CO)を含む還
元能力のあるガスが大量に発生する。そのガスを、鉄鉱
石を予備還元するガス(反応ガス)として、ダクト3
4’を通して予備還元炉10’に送る。
【0003】その還元ガスは、予備還元炉10’の下部
に設けた風箱10c’内に横から導入し、上下を向いた
多数の通孔21’がある分散板20’を通して流動層空
間10a’内に吹き込む。その通孔21’から上向きに
吹き出すガスにより粉粒体を流動化させて還元反応を行
わせるのである。そのガスには溶融還元炉30’で発生
する粉塵等が含まれるため、分散板20’の通孔21’
は、直径が大きくかつストレートなものがよいとされて
いる。
【0004】なお、予備還元炉10’を出たガスは、一
旦サイクロン14’に通して微粉の鉱石を回収し、その
うえで排出する。ただし、サイクロン14’での微粉分
の回収率は高くないため、微粉鉱石の飛散量を少なくす
る目的で、予備還元炉10’の外径は下部よりも上部が
広くなっている。横断面積の広い部分を上部に設けるこ
とにより、そこでガス流速を下げて微粉分の飛散を少な
くするのである。
【0005】流動層反応炉等についての上述のような構
成は、たとえば特開昭53−85562号または特公昭
51−10170号の公報に記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の流動層反応炉の
内部には、上述のとおり一般に直径が大きくてストレー
トな通孔を上下向きに有する分散板があり、その下部が
風箱になっている。このような点に関連して、従来の流
動層反応炉にはつぎのような課題がある。
【0007】イ) 上記のような上下向きの通孔を通って
粉粒体が流動層反応炉の底部(風箱内)に落下しやすい
ため、粉粒体にロスが生じやすく、また落下した粉粒体
を回収する手段が必要になる。図10のような鉄鉱石還
元装置の場合はとくに、粉粒体を回収してそれを溶融還
元炉へ送るべく、図示のように、貯留タンクを含む落下
粉粒体の処理ラインを設ける必要が生じる。しかも、落
下する粉粒体が短時間に多量に溶融還元炉内に入ると金
属浴(溶融金属)が温度降下したり固まったりすること
があるため、落下粉粒体の処理ラインとして、溶融還元
炉への投入量をコントロールする機能のある特殊なもの
が必要である。なお、風箱内に粉粒体が落下するのは、
a)何らかの事情で緊急避難的に反応ガスの導入を停止し
たとき流動層空間内の粉粒体が分散板の通孔を通って落
下する、b)通常の運転時にも、通孔を通って粉粒体が僅
かながら落下する、c)下流側(たとえば図10の溶融還
元炉30’)で発生して流動層反応炉へ向かうダストの
一部が風箱内で失速して落下する−からである。
【0008】ロ) 分散板の通孔を通って流動層空間内に
吹き出す反応ガスについて、流速を均一にすることが難
しい。上部に分散板を有する風箱に対して横から反応ガ
スを導入するので、反応ガスの導入方向との関係で各通
孔へのガスの流入条件が均一でないからである。これに
よって流動層空間内での粉粒体の動きが不均一になれ
ば、反応の進行度も不均一になりがちである。
【0009】ハ) 上記ロ)の不都合を解消するためには、
風箱の容積を大きくするとともに通孔の口径を小さくす
る(つまり、各通孔におけるガス通過速度を高めて圧力
損失を大きくし、ガスの流量分配に差がないようにす
る)のが一般的だが、そのようにすると、流動層空間内
の粉粒体について粉化(細かく粉砕されること)が激し
くなることが多い。各通孔を通って流動層空間内に吹き
出すガスの流速が高くなるため、同空間内にある粉粒体
が激しくぶつかり合って細かく割れるのである。そのほ
か、付着性ダストを含む反応ガスを導入する場合には、
通孔が閉塞するというトラブルが生じることもある。
【0010】ニ) 図10のように複数の反応炉を接続す
る場合、図のように斜め上下の関係にそれらを配置する
必要があり、コンパクトなレイアウトとすることが困難
である。粉粒体の移動のためにはそれらの反応炉を上下
の位置関係にするのが好ましいが、流動層反応炉の風箱
に対して反応ガスを横から導入するため、流動層反応炉
を他の炉の真上に配置することは難しいのである。
【0011】請求項の発明は、底部に落下した粉粒体の
回収手段が必要ないなど、上記した不都合を解消するこ
とのできる流動層反応炉および鉱石還元装置を提供せん
とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の流動層
反応炉は、内部を反応ガスの導入経路とする上端の閉じ
た鉛直筒体を、粉粒体を流動化させる流動層空間内に下
部から突出させ、その筒体の側壁に、筒体内部から半径
方向外側にある流動層空間の底部へ通じるガス吹出しノ
ズルを複数形成したことを特徴とする。鉛直筒体の側壁
に、内部から半径方向外側へ通じるようにガス吹出しノ
ズルを形成するのであるから、そのノズルは水平または
水平に近い方向を向いたものである。
【0013】この流動層反応炉では、上記鉛直筒体の内
部に反応ガスを送り込むと、その反応ガスが上記のガス
吹出しノズルを通り流動層空間の底部へ向けて吹き出
す。したがって同空間内には、通孔つきの分散板を有す
る従来の流動層反応炉(図10を参照)におけるのと同
様に、底部から上部にかけての範囲で流動層が形成され
る。したがってこの反応炉では、鉄鉱石等の鉱石やセメ
ント原料をはじめとする種々の粉粒体を、種々の反応ガ
スによって流動化させ反応させることができる。上記の
筒体内に反応ガスを導入するには、図10に例示した溶
融還元炉30’に限らず何らかのガス発生手段を当該筒
体に接続すればよい。
【0014】ガス吹出しノズルを筒体の側壁に形成する
ため、導入する反応ガスの流れに対してそれらノズルを
均等に配置することができる。たとえば、同じ大きさ・
形状のノズルを同じ高さに等間隔で設ければ、ガス流れ
に対する各ノズルの流体力学的条件が均等になり、ノズ
ルの口径を小さくして圧力損失を大きくする必要はな
い。そしてそのような条件下では、各ノズルからのガス
の吹き出し状態を均一にすることができて流動層空間内
に均一な流動層を形成し、各粉粒体の反応度を均一にす
ることができる。
【0015】ガス吹出しノズルが水平または水平に近い
方向を向いているため、この流動層反応炉では、流動層
空間内の粉粒体がそのノズルを通ってガスの導入経路内
に落下することが稀である。落下する粉粒体が少ないた
め、従来の反応炉と違って粉粒体のロスが少なく、また
落下粉粒体を処理する特殊な処理ラインを設ける必要も
ない。また、各ノズルについて、上記のとおり、口径を
小さく(つまりノズル部の圧力損失を必要以上に大き
く)しなくてもガスの吹出し状態を均一にすることがで
き、しかもそのノズルを通って粉粒体が落下することも
少ないために、ノズルの口径を大きめにして流動層空間
内へのガスの吹出し速度を低くし、もって粉粒体の粉化
を抑制できるという利点もある。そのほか、付着性のダ
ストを含有する反応ガスを導入する場合にも有利であ
る。
【0016】そのほかこの反応炉では、鉛直筒体を流動
層空間の下部に下から突出させるため、流動層反応炉の
下部にガスダクトを横から接続する従来の流動層反応炉
と異なり、ガスの導入経路を含む炉体の全体を軸対称構
造にすることが可能である。軸対称構造の炉体は、そう
でないものに比べて変形や応力の集中が少ないため強度
的に有利である。また、外径を一律にした製造容易な反
応炉であっても、内部の流動層空間の水平断面積は、鉛
直筒体がある下方の部分では狭く、同筒体の上端より上
方の部分では広いため、同空間内からの粉粒体の飛散が
少なくなる、といったメリットもある。
【0017】請求項2の流動層反応炉は、請求項1に記
載したガス吹出しノズルとして、適切な長さ−すなわ
ち、流動層空間の側の開口から安息角をなして内部に粉
粒体が堆積するとき筒体内部の側の開口にまでその粉粒
体が届かないだけの長さ(正確には、同ノズルの内径や
角度との関係でいう長さ)−を有するものを形成した
ことを特徴とする。
【0018】このような流動層反応炉では、上記のノズ
ルを経て流動層空間内の粉粒体が鉛直筒体内へ落下する
ことが極めて確実に防止され、非常時などに反応ガスの
導入を停止した場合にも粉粒体のそのような落下が防止
される。静止状態の粉粒体は安息角の傾斜面をなして堆
積し、外力や振動等が加えられない限りその状態を維持
するため、ノズルが上記のような長さを有する以上、ノ
ズルから流動層空間内へガスを吹き出している間はもち
ろん、ガスの吹き出しを止めた運転停止状態において
も、流動層空間内の粉粒体がそのノズルを通って筒体内
へ入ることがないのである。このように粉粒体の落下が
防止されるなら、落下した粉粒体の回収手段は全く不要
になり、設備が簡単化して低コストで構成されるほか、
その運転も容易になる。
【0019】請求項3に記載の鉱石還元装置は、請求項
1または2に記載の流動層反応炉を鉱石の予備還元炉と
し(したがって粉粒体として鉱石を投入する)、その下
部に鉱石の溶融還元炉を配置するほか、前者から後者へ
かけて予備還元ずみ鉱石の投入管を接続するとともに、
後者の上部空間を上記筒体の内部に接続したことを特徴
とする。
【0020】この鉱石還元装置では、先に図10の装置
について説明したように、粉粒体である鉱石を予備還元
炉(上記の流動層反応炉)に投入してその予備還元を行
うとともに、そこで予備還元した鉱石を上記の投入管を
通して溶融還元炉の金属浴内に投入し最終還元を行う。
その際、溶融還元炉で生じる還元能力のあるガスを、還
元ガス(反応ガス)として筒体の内部へ導入し予備還元
炉に送る。予備還元炉として請求項1または2の流動層
反応炉を使用するため、この装置には上述したそれぞれ
の作用がある。したがって、予備還元炉と溶融還元炉と
の間に落下粉粒体処理のための手段が不要であるなど、
種々の利点がある。
【0021】請求項4の鉱石還元装置は、請求項3に記
載した還元装置において、溶融還元炉の上部空間と上記
筒体の内部とを直結し、または鉛直の真っ直ぐなガスダ
クトを介して接続することにより、溶融還元炉の真上に
予備還元炉を配置したことを特徴とする。
【0022】この鉱石還元装置では、溶融還元炉の真上
に予備還元炉を配置するため、双方の炉をコンパクトな
レイアウトのもとに配置することができる。炉同士の接
続態様についても、溶融還元炉の上部空間と上記筒体の
内部とを直結するか、または鉛直の真っ直ぐなガスダク
トを介するかのいずれかであるからシンプルであり、ガ
スダクト等が占めるスペースも最小限で足りる。このよ
うに配置および接続が可であるのは、反応ガスの導入経
路である鉛直筒体を流動層空間内に下から突出させてお
り、従来のように流動層反応炉の下部に横からガスダク
トを接続するのとは異なるからである。つまり、鉛直筒
体を下から接続するために、予備還元炉の真下に溶融還
元炉を配置でき、両者の接続態様も簡単になるのであ
る。
【0023】請求項5の還元装置は、請求項3の装置に
おいて、溶融還元炉の上部空間と上記の筒体とを、鉛直
ではないが鉱石の安息角以上の傾斜を有するガスダクト
を介して接続し、筒体の各ガス吹出しノズルに向かい得
る噴射口と、それにつながる鉛直管であってガスダクト
の傾斜部分を摺動可能に貫通する鉛直管とを有するスー
トブロアを配置したことを特徴とする。
【0024】この装置は、請求項4の装置とは違って鉛
直でないガスダクトを介して溶融還元炉の上部空間と上
記の筒体とを接続するため、溶融還元炉の真上ではなく
斜め上に予備還元炉が位置する。しかしこの装置では、
そのようなガスダクトの傾斜部分を利用して、上下に摺
動可能にスートブロアを配置できた点に特徴がある。こ
こでいうスートブロアは、先端の噴射口を鉛直筒体の各
ガス吹出しノズルに向かわせたうえ、基部(鉛直管の
側)から送る不活性ガスやサンドブラストをその噴射口
より吹き出させてノズルを清掃する手段である。清掃を
行わない待機時には噴射口の位置を下げてノズルから離
しておきたいためスートブロアは上下動可能とするのが
好ましい。この装置では、ガスダクトに小さな(スート
ブロアの鉛直管の外径に近い径の)穴をあけて鉛直管を
貫通させたうえ両者間を摺動可能にしているため、ガス
ダクトからのガスの流出を防止するとともにスートブロ
アの上下動が可能になっている。したがってこの装置に
は、スートブロアによってガス吹出しノズルの詰まりや
汚れを除去することができ、しかも通常の運転中にはそ
のスートブロアを適切な待機位置におくことができる、
という利点がある。
【0025】なお、ガス吹出しノズルは鉛直筒体の側壁
に周方向に複数配置してあるため、スートブロアは、旋
回式のものか、またはすべてのノズルに向かう噴射口を
備えるものが好ましい。その場合、すべてのノズルに対
して同一の条件で清掃を行うことができ、ノズルごとに
清掃の程度が異なるようなことはない。したがって、付
着性のダストを含有する反応ガスを導入する場合にも適
している。
【0026】なお、上記のガスダクトは、鉛直ではない
が鉱石の安息角以上の傾斜を有するため、鉱石の粉粒体
がそこに堆積することはない。すなわち、予備還元炉の
流動層空間から稀に落下してくる鉱石や、溶融還元炉で
発生して飛散する鉱石も、その傾斜部分の内面に一旦付
着することはあっても堆積することはないため、予備還
元炉への還元ガスの導入を妨げることがない。請求項3
および4の還元装置と同様、堆積物が一挙に溶融還元炉
内へ落下して同炉内の鉄浴の温度が急降下するといった
不都合も生じない。
【0027】
【発明の実施の形態】図1〜図9は、発明の実施につい
ていくつかの形態を示すものである。すなわち、図1〜
図3は鉄鉱石の還元装置1に関する縦断面図、図4およ
び図5のそれぞれも同様の鉱石還元装置2・3について
の縦断面図である。また図6〜図8のそれぞれは、他の
流動層反応炉120・150・170を示す縦断面図。
そして図9は、上記すべての形態において使用できるガ
ス吹出しノズルについての縦断面図である。
【0028】図1の鉄鉱石還元装置1は、図10に示し
た還元装置1’と同様に予備還元炉10と溶融還元炉3
0とを組み合わせることによって鉄鉱石を還元する装置
である。予備還元炉10として流動層反応炉を使用して
いる点も図10の装置1’と同じである。したがってこ
の還元装置1では、鉄鉱石粉粒体を、流動層反応炉であ
る予備還元炉10の流動層反応炉10a内に投入管11
より投入し、それを反応ガスによって流動化させながら
予備還元し、予備還元した鉄鉱石をつづいて溶融還元炉
30の鉄浴30a内に投入して最終還元を行う。溶融還
元炉30では、鉄浴30a内に、上方のランス31から
酸素を吹き込むとともに経路35より石炭等を投入する
が、それによって発生する還元ガス(一酸化炭素等を含
む600℃以上のガス)を、反応ガスとして予備還元炉
10に送る。なお、図中の符号14は、流動層空間10
aの上部に設けた排ガス管13から出る排ガス中から微
粉鉄鉱石を回収するためのサイクロンである。また、符
号12は、予備還元炉10の底部付近より予備還元ずみ
の鉄鉱石を溶融還元炉30へ送ための供給管、符号15
は、サイクロン14から微粉鉄鉱石を溶融還元炉30へ
送るための供給管である。
【0029】この還元装置1では、流動層反応炉である
予備還元炉10のうちに、鉛直な通孔を有する水平な分
散板を使用せず、代わりに、周壁に水平なガス吹出しノ
ズル21を複数有する鉛直な円筒体(鉛直筒体20)を
配置している。すなわち図2(a)のように、円錐状の
閉じた上端部を有していて周壁には半径方向に通じた複
数のノズル21を等間隔に配置した鉛直筒体20を、流
動層空間10aの下部中央に突出させ、当該ノズル21
の外向きの開口を流動層空間10a内の底部付近に位置
づけている。この筒体20の内部に上記の還元ガスを導
入して各ノズル21から流動層空間10a内へ吹き出す
ことにより、同空間10a内に流動層10bを形成す
る。還元ガス等によって流動層空間10a内は高温度に
なるため、鉛直筒体20には冷却用流体の通路22を形
成して、通水口22aより内部に冷却水を流している。
また、筒体20の外面(上端の円錐面を含む)には、流
動層空間10a内で流動する鉄鉱石が激しく接触するこ
とから、耐摩耗性にすぐれたライニング材23を張り付
けている。
【0030】鉛直筒体20のガス吹出しノズル21とし
ては、図2(a)のとおり円形(円柱状)断面のものを
設け、それらを上下二段に配列するとともに各段のノズ
ル21の間隔を等しくすることにより、流動層空間10
aのどの位置にも均一な流動層を形成するようにしてい
る。個々のノズル21は、図2(b)のように、直径d
に比較して長さLの長いものにしており、鉄鉱石粉粒体
の安息角をαとするとき、 L > d/tanα となるように長さLを定めている。これは、流動層空間
10aの側から安息角をなしてノズル21内に鉄鉱石が
入り込んだ場合にも筒体20の内側にまではその粉粒体
が達しないようにしたもので、還元ガスの導入を止めた
ときにも筒体20内への鉄鉱石の落下を防止する構成で
ある。向きを水平にしたうえ長さをこのように定めるな
ら、ノズル21の内径を大きくして通過するガスの流速
を低くしながらも、上記のとおり鉄鉱石の落下を防止す
ることができる。こうしてノズル21でのガス流速を低
くできれば、流動層空間10a内で鉄鉱石が割れて細か
くなるという不都合な事態(粉化)が生じにくい。
【0031】鉄鉱石粉粒体は高温状態において運動を停
止すると互いに焼き付いて大きな塊になることがあるた
め、予備還元炉10には、流動層空間10a内のすべて
の鉄鉱石が停滞することなく流動するよう構造的な工夫
を施している。上記のように鉛直筒体20の上端部を円
錐状にしたのは、その上面に、上記安息角α以上の傾斜
をつけて鉄鉱石が堆積しないようにしたものである。ま
た、図2(a)のとおり流動層空間10aの底部におい
て隅の部分10cの内面に丸みをつけたのも、ノズルか
ら吹き出すガスによってすべての粉粒体を停滞させずに
流動化させるための工夫である。
【0032】図1に示す還元装置1は、以上のような予
備還元炉10の真下に溶融還元炉30を配置することに
より、装置の全体を(とくに水平占有空間の点で)コン
パクトに構成している。溶融還元炉30の上部空間に接
続したガスダクト34を、鉛直で真っ直ぐなものにして
予備還元炉10における上述の鉛直筒体20に接続した
ので、両還元炉10・30の接続手段についてもコンパ
クトで簡単なものになっている。予備還元炉10の流動
層空間10aからノズル21を通って落下する粉粒体が
ないために、それを処理する手段が不要である、という
点も、この装置1を簡単な構成にしている。
【0033】そのほか、予備還元炉10から溶融還元炉
30へ向けての鉄鉱石の投入経路として、流動層空間1
0aからの比較的粗粒分の供給管12とサイクロン14
からの微粉分の経供給管15とを、溶融還元炉30の直
前で供給管16に合流させた点にも特徴がある。すなわ
ち、このように合流させることにより、通常なら飛散し
やすい微粉分が、粗粒分鉄鉱石の移動にともなって円滑
に溶融還元炉30の鉄浴30a内に投入されるというメ
リットがある。なお、最終還元された鉄鉱石を含む溶融
還元炉30内の鉄浴30aは、出銑滓孔32より出湯す
る。
【0034】図1および図2の予備還元炉10について
は、図3のように構成することもできる。すなわち、流
動層空間10aの下部に上向きに突出する鉛直筒体20
を、流動層10bの高さ(層高)よりも高くして、その
上端を流動層10bのよりも上に位置させるのである。
こうした場合には、筒体20を囲むリング状の部分に流
動層10bが形成され、筒体20の頂部に耐摩耗性のラ
イナーを張る必要がなくなる。
【0035】つづく図4は、予備還元炉60と溶融還元
炉80とを直結して配置した鉱石の還元装置2を示す。
すなわちこの還元装置2では、上部には流動層反応炉で
ある予備還元炉60を設け、すぐ下に、予備還元炉60
と一体的に溶融還元炉80を設けている。予備還元炉6
0の流動層空間60aには、上端の閉じた鉛直筒体70
を下方から上向きに突出させ、その筒体70の側壁に、
同空間60aの底部付近に開口する水平なガス吹出しノ
ズル71を複数形成している。そしてこのような予備還
元炉60の流動層空間60aの底部および筒体70の壁
が溶融還元炉80の上部壁となるよう、つまり溶融還元
炉80の上部空間がそのまま筒体70の内側につながる
ように、すぐ下に溶融還元炉80を配置して、両還元炉
60・80間にガスダクトを不要にしたのである。
【0036】溶融還元炉80で発生するガスを還元ガス
として筒体70内に導入し、その側壁のノズル71より
流動層空間60aに吹き出すことにより、予備還元炉6
0では、投入管61より投入される鉱石を同空間60a
内で流動させ流動層60bを形成する。それにより予備
還元した鉱石は、供給管62を通して溶融還元炉80内
に供給する。溶融還元炉80では、ランス81や管84
から酸素や石炭その他の副原料を入れることにより鉱石
を最終還元する。こうして還元が終了すると、溶融状態
にある還元ずみ鉱石を溶融還元炉80の出銑滓孔82よ
り出湯する。
【0037】この還元装置2については、予備還元炉6
0と溶融還元炉80とを上下に直結させて配置したので
全体をコンパクトに構成することができた。両者間にガ
スダクトが不要であるため、設備コストの面でも有利で
ある。
【0038】図5は、予備還元炉90と溶融還元炉11
0とを、図1と同様にガスダクト114を使用して接続
した還元装置3についての縦断面図である。図1の装置
1とは違ってこの図5の還元装置3では、ガスダクト1
14のうちに傾斜部を含め、その傾斜部を利用して、上
下移動の可能なスートブロア115を配置している。こ
の装置3における予備還元炉90についても、その下部
には、上端の閉じた鉛直筒体100を設けていてその側
壁に水平向きのガス吹出しノズル101を多数形成して
いるが、スートブロア115は、それらノズル101の
それぞれに対して付着物の除去を行うためのものであ
る。スートブロア115は、図のように水平な噴出口1
16と鉛直管117とを含み、旋回することによって噴
出口116の先をノズル101のそれぞれに向け、鉛直
管117の基部より高圧の窒素ガスを送ることによって
ノズル101内の清掃を行う。このスートブロア115
は、ガスダクト114の傾斜部に設けた貫通口114a
(シール部材を有する)を鉛直管117が上下に貫通す
るように配置しているので、ガスダクト114内のガス
を外部に漏らさない状態で上下に移動することができ
る。上に上がったときには上記のようにノズル101の
清掃作業を行うが、清掃作業を行わないときには下方へ
待避して、導入される還元ガスの流れを乱さないように
するのである。
【0039】ガスダクト114に上記のように傾斜部を
設けたことにより、溶融還元炉110における酸素吹き
込みランス111を鉛直に配置できるという利点もあ
る。ランス111を鉛直にできるなら、自重によってラ
ンス111自身にかかる曲げモーメントがなくなり強度
的に好ましいほか、その昇降手段の構成も簡単になる。
なお、ガスダクト114の傾斜部の傾斜角度は、還元対
象の鉱石に固有の安息角を超える急なものとしている。
それによって、当該ガスダクト114の内面に鉱石が堆
積しないようにするためである。
【0040】図6は、多段式の流動層反応炉120を示
す縦断面図である。この反応炉120は、上下に間隔を
おいた3箇所に仕切り底板121B・122B・123
Bを設けており、それぞれの上部に流動層空間121A
・122A・123Aを形成するものである。各底板1
21B・122B・123Bの中央には鉛直な筒体13
1・133・135を設けて各流動層空間121A・1
22A・123Aに下部から突出させている。各筒体1
31・133・135の側壁には、水平方向に複数のガ
ス吹出しノズル132・134・136をそれぞれ形成
している。下部のガスダクト144に接続したガス発生
源(図示せず)より、当該ダクト144を介して最下部
の筒体135内に反応ガスを送れば、そのガスは筒体1
35のノズル136から流動層空間123A内に吹き出
したうえ、上方の筒体133内に入って同様にノズル1
34から流動層空間122A内に吹き出し、同様にさら
に上方の筒体131を経てノズル132から流動層空間
121A内に吹き出して、排ガス管127・128から
出ていく。このような反応炉120に対し、上方の投入
管121より最上段の流動層空間121A内に粉粒体を
投入すると、その粉粒体は当該空間121A内だけでな
く、供給管124・125を経て移動する下段の流動層
空間122A・123Aにおいても流動層を形成して反
応ガスと反応し、十分に反応を進行させたうえ管126
より取り出される。
【0041】この流動層反応炉120では、3段の流動
層を形成して粉粒体を順次それらを経由させることとし
ているので、すべての粉粒体について炉内での滞留時間
を確保することができ、反応度を高くかつ均一にするこ
とができる。しかもこの反応炉120では、当該3段の
流動層空間を上下に密に形成しているので、全体構成が
コンパクトである。
【0042】続く図7の流動層反応炉150は、一つの
流動層空間150a内に複数の鉛直筒体160を立てた
ものである。各筒体160の側壁には水平にガス吹出し
ノズル161を設けており、下部の空間165に接続し
たガス発生源(図示せず)からの反応ガスを、それら筒
体160のノズル161を通して流動層空間150a中
に吹き出す。流動層空間150aとしては、容積の大き
いものが一つあるのみだが、その内部に複数の筒体16
0(それぞれ複数のノズル161を有する)があるた
め、どの箇所にも、粉粒体のよどみがない均一な流動層
150bが形成される。
【0043】図8に示す流動層反応炉170も、流動層
空間170aの下部中央に上端の閉じた鉛直の筒体18
0を突出させ、その側壁に、流動層空間170aの底部
付近に開口するガス吹出しノズル181を分散配置した
ものである。しかし、筒体180の周囲に放射状に4枚
の仕切り板173〜176を立て、それによって流動層
空間170aの下部を四つの空間部分に仕切っている点
に特徴がある。3枚の仕切り板173〜175には粉粒
体の通過口173a〜175aをそれぞれ設けておき、
通過口のない仕切り板176をはさむ二つの空間部分に
粉粒体の投入管171と取出し管172とを接続する。
投入管171から流動層空間170a内に粉粒体を投入
しながら筒体180の内部下方から反応ガスを導入する
と、粉粒体は、ノズル181から吹き出すガスにより仕
切り板173・176にて仕切られた空間部分で流動化
を始めるだけでなく、各仕切り板173〜175の通過
口173a〜175aを順次通過して、仕切られた各空
間部分に流入したうえ各部分で流動化する。そうして仕
切り板175・176間の空間部分に達したうえ、そこ
で流動化する粉粒体(4つの空間部分を経ているため、
長時間にわたり炉内に存在していて反応進行度の高いも
の)が、取出し管172から取り出されることになる。
【0044】したがってこの流動層反応炉170は、直
列な4段の流動層を有していて粉粒体の反応進行度を確
実に一定レベル以上にすることができるものでありなが
ら、上下寸法の小さいコンパクトな反応炉であるという
ことができる。
【0045】以上に述べてきた流動層反応炉における鉛
直筒体のガス吹出しノズルは、筒体の側壁を水平に貫く
円形断面のものばかりでなく、つぎのような形状のもの
にすることもできる。すなわち、a) 図9(a)に示す
ノズル191b・191cのように、鉛直筒体190の
側壁においてその外側(流動層空間内)に突出口を延ば
すのもよい。このようなノズル191b・191cを、
図のように、筒体190の側壁のみを貫通するノズル1
91aと並べて配置すれば、外側(図の右側)の流動層
空間の幅が広い場合にも、その内部に反応ガスを広く分
散させて吹き込むことができ、当該空間内に均一な流動
層を形成できることになる。
【0046】b) 図9(b)のように入口部に丸みを設
けてスロート部の先に末広部(ディフューザ)をつけ
た、いわゆるベンチュリー形状のノズル201を鉛直筒
体200に形成するのもよい。付着性のダストを含む反
応ガスを導入する場合、またはノズル部でのガス圧力損
失をミニマムにしたい場合等には、このような形状のも
のが好ましい。なお、このようなノズル201において
も、その長さは、図のように粉粒体の安息角αを考慮し
て長くしておくのが好ましい。
【0047】c) 鉛直筒体には側壁を内部から半径方向
外側へ通じるようにノズルを形成すればよく、必ずしも
ノズルの軸心を水平に向けねばならないわけではない。
たとえば、流動層空間の底部の形状との関係等によって
はノズルの軸心を上下にやや傾けるのもよい。外側ほど
下がるように傾ければ、流動層空間内の粉粒体がノズル
内に入り込みにくいという利点が付随する。また、上下
に傾ける以外に、軸心を正確に半径方向に沿わせるので
なく周方向に多少傾けることも可能である。その場合に
は、鉛直筒体の周囲にある流動層空間において、上方か
ら見て時計回りまたは反時計回りに旋回する流動層を形
成することができる。
【0048】
【発明の効果】請求項1に記載した流動層反応炉には、
つぎの効果がある。すなわち、 1) ガス吹出しノズルが水平または水平に近い方向を向
いているため、流動層空間内の粉粒体がそのノズルを通
ってガスの導入経路内に落下することがほとんどない。
そのため、粉粒体のロスが少ないうえ、落下粉粒体を処
理する特殊な処理ラインを設ける必要がない。
【0049】2) 上記ノズルを鉛直筒体の側壁に形成す
るため、各ノズルからのガスの吹き出し状態を均一にし
て流動層空間内に均一な流動層を形成することができ
る。
【0050】3) 上記ノズルの口径を大きめにして流動
層空間内へのガスの吹出し速度を低くし、もって粉粒体
の粉化を抑制することができる。各ノズルからのガスの
吹き出し状態を均一にし、かつそのノズルを通っての粉
粒体の落下がない溶融還元炉にするためにノズルの口径
をとくに小さくする必要がないからである。
【0051】4) 外径が一定の円筒形状を有して製造容
易な反応炉であっても、流動層空間の上方で水平断面積
が広いため、同空間内からの粉粒体の飛散が少ない。
【0052】5) ガスの導入経路を含む炉体の全体を軸
対称に構成できるため、変形や応力集中の少ない高強度
の反応炉とすることができる。
【0053】請求項2の流動層反応炉では、さらに、 6) 上記のノズルを経て流動層空間内の粉粒体が鉛直筒
体内へ落下することが極めて確実に防止される。そのた
め、落下粉粒体の回収手段が全く不要になり、設備が簡
単化して低コストで構成されるほか、その運転も容易に
なる。
【0054】請求項3に記載の鉱石還元装置の場合に
は、 7) 予備還元炉として請求項1または2の流動層反応炉
を使用するため、上述したそれぞれの効果があり、予備
還元炉と溶融還元炉との間に落下鉱石処理のための手段
が不要であるなど、種々の利点がある。
【0055】請求項4の鉱石還元装置では、さらに、 8) 予備還元炉の真下に溶融還元炉を設けるため、双方
の炉をコンパクトに配置することができ、炉同士の接続
態様についても簡単かつコンパクトにすることが可能で
ある。
【0056】請求項5の還元装置では、 9) ガス吹出しノズルを清掃する手段であるスートブロ
アを、ガスダクトからのガスの流出を防止しながら、当
該ノズルの位置に近い作業位置と下方の待機位置との間
で上下動し得るように配置することができる。旋回式な
どの形式のスートブロアなら、すべてのノズルに対して
均一な清掃条件を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施形態を示す図であって、予備還元炉
10と溶融還元炉30とを含む鉄鉱石還元装置1の全体
概要を示す縦断面図である。
【図2】鉄鉱石還元装置1の詳細を示す図であり、図2
(a)は図1におけるII部詳細図、同(b)はノズル2
1の詳細断面図である。
【図3】図1および図2の予備還元炉10について変形
例を示す縦断面図である。
【図4】予備還元炉60と溶融還元炉80とを含む鉱石
還元装置2の全体概要を示す縦断面図である。
【図5】予備還元炉90と溶融還元炉110とを含む鉱
石還元装置3の全体概要を示す縦断面図である。
【図6】多段式の流動層反応炉120を示す縦断面図で
ある。
【図7】流動層反応炉150を示す図であって、図7
(a)は水平面を切断面とする横断面図、同(b)は、
同(a)におけるb−bを切断面とする縦断面図であ
る。
【図8】流動層反応炉170を示す図であって、図8
(a)は水平面を切断面とする横断面図、同(b)は一
部に縦断面図を含む正面図である。
【図9】図9(a)・(b)は、ガス吹出しノズルにつ
いての縦断面図である。
【図10】流動層反応炉を含む従来の鉄鉱石還元装置
1’について全体の概要を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1・2・3 還元装置 10・60・90・120・150・170 流動層反
応炉 10a・60a・90a・121A〜123A・150
a・170a 流動層空間 20・70・100・131・133・135・160
・180・190・200 鉛直筒体 21・71・101・132・134・136・161
・181・191a〜191c・201 ガス吹出しノ
ズル 30・80・110 溶融還元炉 115 スートブロア
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年12月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の流動層
反応炉はまず、内部を反応ガスの導入経路とする上端の
閉じた鉛直筒体を、粉粒体を流動化させる流動層空間内
に下部から突出させ、その筒体の側壁に、筒体内部から
半径方向外側にある流動層空間の底部へ通じるガス吹出
しノズルを複数形成したことを特徴とする。鉛直筒体の
側壁に、内部から半径方向外側へ通じるようにガス吹出
しノズルを形成するのであるから、そのノズルは水平ま
たは水平に近い方向を向いたものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】請求項1のこの流動層反応炉は、また、上
記のガス吹出しノズルとして、適切な長さ−すなわ
ち、流動層空間の側の開口から安息角をなして内部に粉
粒体が堆積するとき筒体内部の側の開口にまでその粉粒
体が届かないだけの長さ(正確には、同ノズルの内径や
角度との関係でいう長さ)−を有するものを形成した
ことを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】このような流動層反応炉では、上記のノズ
ルを経て流動層空間内の粉粒体が鉛直筒体内へ落下する
ことが極めて確実に防止され、非常時などに反応ガスの
導入を停止した場合にも粉粒体のそのような落下が防止
される。静止状態の粉粒体は安息角の傾斜面をなして堆
積し、外力や振動等が加えられない限りその状態を維持
するため、ノズルが上記のような長さを有する以上、ノ
ズルから流動層空間内へガスを吹き出している間はもち
ろん、ガスの吹き出しを止めた運転停止状態において
も、流動層空間内の粉粒体がそのノズルを通って筒体内
へ入ることがないのである。このように粉粒体の落下が
防止されるなら、落下した粉粒体の回収手段は全く不要
になり、設備が簡単化して低コストで構成されるほか、
その運転も容易になる。請求項1の流動層反応炉は、さ
らに、流動層空間の底部において隅の部分の内面に丸み
をつけたことをも特徴とする。これにより、流動層空間
内のすべての粉流体を停滞させずに流動化させることが
できる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】請求項2に記載した鉱石還元装置は、請求
項1に記載の流動層反応炉を鉱石の予備還元炉とし(し
たがって粉粒体として鉱石を投入する)、その下部に鉱
石の溶融還元炉を配置するほか、前者から後者へかけて
予備還元ずみ鉱石の投入管を接続するとともに、後者の
上部空間を上記筒体の内部に接続したことを特徴とす
る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】この鉱石還元装置では、先に図10の装置
について説明したように、粉粒体である鉱石を予備還元
炉(上記の流動層反応炉)に投入してその予備還元を行
うとともに、そこで予備還元した鉱石を上記の投入管を
通して溶融還元炉の金属浴内に投入し最終還元を行う。
その際、溶融還元炉で生じる還元能力のあるガスを、還
元ガス(反応ガス)として筒体の内部へ導入し予備還元
炉に送る。予備還元炉として請求項1の流動層反応炉を
使用するため、この装置には上述したそれぞれの作用が
ある。したがって、予備還元炉と溶融還元炉との間に落
下粉粒体処理のための手段が不要であるなど、種々の利
点がある。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】請求項3の鉱石還元装置は、請求項2に記
載した還元装置において、溶融還元炉の上部空間と上記
筒体の内部とを直結し、または鉛直の真っ直ぐなガスダ
クトを介して接続することにより、溶融還元炉の真上に
予備還元炉を配置したことを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】請求項4の還元装置は、請求項2の装置に
おいて、溶融還元炉の上部空間と上記の筒体とを、鉛直
ではないが鉱石の安息角以上の傾斜を有するガスダクト
を介して接続し、筒体の各ガス吹出しノズルに向かい得
る噴射口と、それにつながる鉛直管であってガスダクト
の傾斜部分を摺動可能に貫通する鉛直管とを有するスー
トブロアを配置したことを特徴とする。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】この装置は、請求項3の装置とは違って鉛
直でないガスダクトを介して溶融還元炉の上部空間と上
記の筒体とを接続するため、溶融還元炉の真上ではなく
斜め上に予備還元炉が位置する。しかしこの装置では、
そのようなガスダクトの傾斜部分を利用して、上下に摺
動可能にスートブロアを配置できた点に特徴がある。こ
こでいうスートブロアは、先端の噴射口を鉛直筒体の各
ガス吹出しノズルに向かわせたうえ、基部(鉛直管の
側)から送る不活性ガスやサンドブラストをその噴射口
より吹き出させてノズルを清掃する手段である。清掃を
行わない待機時には噴射口の位置を下げてノズルから離
しておきたいためスートブロアは上下動可能とするのが
好ましい。この装置では、ガスダクトに小さな(スート
ブロアの鉛直管の外径に近い径の)穴をあけて鉛直管を
貫通させたうえ両者間を摺動可能にしているため、ガス
ダクトからのガスの流出を防止するとともにスートブロ
アの上下動が可能になっている。したがってこの装置に
は、スートブロアによってガス吹出しノズルの詰まりや
汚れを除去することができ、しかも通常の運転中にはそ
のスートブロアを適切な待機位置におくことができる、
という利点がある。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】なお、上記のガスダクトは、鉛直ではない
が鉱石の安息角以上の傾斜を有するため、鉱石の粉粒体
がそこに堆積することはない。すなわち、予備還元炉の
流動層空間から稀に落下してくる鉱石や、溶融還元炉で
発生して飛散する鉱石も、その傾斜部分の内面に一旦付
着することはあっても堆積することはないため、予備還
元炉への還元ガスの導入を妨げることがない。請求項2
および3の還元装置と同様、堆積物が一挙に溶融還元炉
内へ落下して同炉内の鉄浴の温度が急降下するといった
不都合も生じない。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】この流動層反応炉120では、3段の流動
層を形成して粉粒体を順次それらを経由させることとし
ているので、すべての粉粒体について炉内での滞留時間
を確保することができ、反応度を高くかつ均一にするこ
とができる。しかもこの反応炉120では、当該3段の
流動層空間を上下に密に形成しているので、全体構成が
コンパクトである。ただし、図6に示す流動層反応炉1
20は、請求項1に係る発明に関する参考例ではある
が、流動層空間121A・122A・123Aの底部に
おいて隅の部分の内面に丸みをつけてはいない点で、請
求項1に係る発明に含まれるものではない。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】続く図7の流動層反応炉150は、一つの
流動層空間150a内に複数の鉛直筒体160を立てた
ものである。各筒体160の側壁には水平にガス吹出し
ノズル161を設けており、下部の空間165に接続し
たガス発生源(図示せず)からの反応ガスを、それら筒
体160のノズル161を通して流動層空間150a中
に吹き出す。流動層空間150aとしては、容積の大き
いものが一つあるのみだが、その内部に複数の筒体16
0(それぞれ複数のノズル161を有する)があるた
め、どの箇所にも、粉粒体のよどみがない均一な流動層
150bが形成される。ただし、この図7の流動層反応
炉150も、請求項1に係る発明に関する参考例ではあ
るものの、流動層空間150aの底部において隅の部分
の内面に丸みを有してはいない点で、請求項1に係る発
明には含まれない。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】さらに、 6) 上記のノズルを経て流動層空間内の粉粒体が鉛直筒
体内へ落下することが極めて確実に防止される。そのた
め、落下粉粒体の回収手段が全く不要になり、設備が簡
単化して低コストで構成されるほか、その運転も容易に
なる。7) 流動層空間の底部において隅の部分の内面に丸みを
つけているため、流動層空間内のすべての粉流体を停滞
させずに流動化させることができる、という利点もあ
る。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】請求項2に記載の鉱石還元装置の場合に
は、8) 予備還元炉として請求項1の流動層反応炉を使用す
るため、上述したそれぞれの効果があり、予備還元炉と
溶融還元炉との間に落下鉱石処理のための手段が不要で
あるなど、種々の利点がある。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】請求項3の鉱石還元装置では、さらに、9) 予備還元炉の真下に溶融還元炉を設けるため、双方
の炉をコンパクトに配置することができ、炉同士の接続
態様についても簡単かつコンパクトにすることが可能で
ある。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】請求項4の還元装置では、10) ガス吹出しノズルを清掃する手段であるスートブ
ロアを、ガスダクトからのガスの流出を防止しながら、
当該ノズルの位置に近い作業位置と下方の待機位置との
間で上下動し得るように配置することができる。旋回式
などの形式のスートブロアなら、すべてのノズルに対し
て均一な清掃条件を確保できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部を反応ガスの導入経路とする上端の
    閉じた鉛直筒体を、粉粒体を流動化させる流動層空間内
    に下部から突出させ、その筒体の側壁に、筒体内部から
    半径方向外側にある流動層空間の底部へ通じるガス吹出
    しノズルを複数形成したことを特徴とする流動層反応
    炉。
  2. 【請求項2】 上記したガス吹出しノズルとして、流動
    層空間の側の開口から安息角をなして内部に粉粒体が堆
    積するとき筒体内部の側の開口にまでその粉粒体が届か
    ないだけの長さを有するものを形成したことを特徴とす
    る請求項1に記載の流動層反応炉。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の流動層反応炉
    を鉱石の予備還元炉とし、その下部に鉱石の溶融還元炉
    を配置するほか、 前者から後者へかけて予備還元ずみ鉱石の投入管を接続
    するとともに、後者の上部空間を上記筒体の内部に接続
    したことを特徴とする鉱石還元装置。
  4. 【請求項4】 溶融還元炉の上部空間と上記筒体の内部
    とを直結し、または鉛直の真っ直ぐなガスダクトを介し
    て接続することにより、溶融還元炉の真上に予備還元炉
    を配置した請求項3に記載の鉱石還元装置。
  5. 【請求項5】 溶融還元炉の上部空間と上記の筒体と
    を、鉛直ではないが鉱石の安息角以上の傾斜を有するガ
    スダクトを介して接続し、筒体の各ガス吹出しノズルに
    向かい得る噴射口と、それにつながる鉛直管であってガ
    スダクトの傾斜部分を摺動可能に貫通する鉛直管とを有
    するスートブロアを配置した請求項3に記載の鉱石還元
    装置。
JP716598A 1998-01-19 1998-01-19 流動層反応炉および鉱石還元装置 Pending JPH11199912A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP716598A JPH11199912A (ja) 1998-01-19 1998-01-19 流動層反応炉および鉱石還元装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP716598A JPH11199912A (ja) 1998-01-19 1998-01-19 流動層反応炉および鉱石還元装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11199912A true JPH11199912A (ja) 1999-07-27

Family

ID=11658477

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP716598A Pending JPH11199912A (ja) 1998-01-19 1998-01-19 流動層反応炉および鉱石還元装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11199912A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2510925C (en) Method and plant for the heat treatment of solids containing iron oxide using a fluidized bed reactor
US6835361B2 (en) Processes and apparatus for reacting gaseous reactants containing solid particles
EP0316819B1 (en) Metal-making process and apparatus involving the smelting reduction of metallic oxides
JP5007415B2 (ja) 溶鉄製造装置
CA2153081C (en) Method and apparatus for production of iron from iron compounds
AU5344098A (en) 3-stage fluidized bed type fine iron ore reducing apparatus having X shaped circulating tubes
CA2036916C (en) Prereduction furnace of a smelting reduction facility of iron ore
CN101792840B (zh) 一种含铁物料喷射还原炉及含铁物料喷射还原工艺
KR100431863B1 (ko) 유동층 환원로의 분산판 크리닝장치
KR100441793B1 (ko) 액상 선철 또는 스틸 예비 재료 제조 방법 및 이 방법의 실행 장치
JPH11199912A (ja) 流動層反応炉および鉱石還元装置
AU727192B2 (en) Melter gasifier for the production of a metal melt
AU733396B2 (en) A method for producing liquid pig iron or steel preproducts from iron-containing material
CA2036972C (en) Prereduction furnace of a smelting reduction facility of iron ore
JP2620793B2 (ja) 溶融還元用予備還元炉
JP4323570B2 (ja) 反応容器からキャリアガスにより排出される微粒固体物を再循環するプロセス
KR101153352B1 (ko) 용철 제조 장치
JP2001348605A (ja) 竪型冶金炉への合成樹脂材吹込み用ランス及び合成樹脂材吹込みを伴なう竪型冶金炉による溶銑の製造方法
KR100466633B1 (ko) 용융금속생산용용융가스화로및용융금속생산설비
JP2536641B2 (ja) 鉱石の流動層式還元炉およびこれを使用した溶融還元法
KR20020049591A (ko) 미분의 비산이 적은 용융환원장치 및 이를 이용한용융환원방법
JPH03247715A (ja) 溶融還元設備における予備還元炉の分散盤
JPH03229809A (ja) 溶融環元設備における予備還元炉の鉄鉱石排出管閉塞防止装置
JPH0726139B2 (ja) 鉱石の還元炉および還元装置
JPH07188721A (ja) 鉄鉱石の予備還元方法及びその方法を実施するための 予備還元炉