JPH11193240A

JPH11193240A - 脂質代謝改善組成物

Info

Publication number: JPH11193240A
Application number: JP9366768A
Authority: JP
Inventors: Saishi Kii; 再思紀; Kazuo Shin; 和男進; Hiroyuki Ito; 裕之伊藤; Masako Tsunematsu; 雅子常松
Original assignee: Meiji Milk Products Co Ltd
Current assignee: Meiji Dairies Corp
Priority date: 1997-12-26
Filing date: 1997-12-26
Publication date: 1999-07-21
Also published as: US6355279B1

Abstract

(57)【要約】【解決手段】銀杏の葉、ガジュツ、及び姜黄の一種また
は二種以上からの極性抽出物。【効果】血中のコレステロールの低下に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、脂質代謝改善組成
物、及びこれを含有する飲食品に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、動脈硬化、特に、冠動脈硬化が原
因で起こる、狭心症とか心筋梗塞といった、虚血性心疾
患の発症頻度が、増加の一途を辿っている。動脈硬化を
もたらす要因としては、高脂血症以外にも、高血圧、喫
煙、ストレス、糖尿病、遺伝性素因、等の危険因子が存
在することは事実であるが、しかし、これらの中で、高
脂血症が、最大の危険因子である。高脂血症とは、血清
脂質成分のうち、主として、コレステロールとトリグリ
セリド(中性脂肪)の何れか一方、ないしは、両者が、正
常以上に増加した状態として、定義される。

【０００３】血清コレステロール濃度、或いは、LDLコ
レステロール濃度が高ければ高いほど、動脈硬化のリス
クが高くなり、血清コレステロール値を下げることによ
り、冠動脈疾患の発症率を、低下させることができる、
とされている。また、血清リポ蛋白の中でも、LDLがath
erogenicに働き、HDLがantiatherogenicに働くという今
では一般化された通念は、疫学調査によって確立されて
いる。そして、HDLコレステロールの低いことが、血清
の高値に相関しているのに、リスクフアクターとしての
トリグリセリドの評価が低すぎる(最新内科学大系第36
巻動脈硬化と脈管疾患、p20、中山書店(1991))。また、
家族性高コレステロール血症では、トリグリセリドの高
値群で、虚血性心疾患や脳血管障害の合併率が、より高
率となることが示されており、境界域高コレステロール
血症のレベルにある場合には、トリグリセリド濃度の改
善を図ることが望ましいとされている。したがって、高
脂血症を、予防、治療するためには、血中トリグリセリ
ドを低下させることが必要がある。

【０００４】高脂血症の薬物療法では、作用機序(吸収
阻害、合成阻害及び排泄促進)の異なる、強力な薬物
が、新たに開発され、従来、難治とされていた、家族性
高コレステロール血症に対しても、ほぼ満足できるほど
の効果が得られつつある。また、高脂血症をはじめとす
る、脂質代謝異常に対する、漢方生薬成分(柴胡成分、
薬用人参成分、甘草成分、等)や、各種漢方方剤の改善
効果についての報告がある（山本昌弘：高脂血症．代謝
26(臨時増刊号漢方薬):212-219,1992)。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記報告中には、銀杏
の葉、ガジュツ、及び姜黄についての記載はない。一般
に、特定の疾患に対する漢方生薬の作用の場は、多岐に
わたり、生薬の有するそれらの異なった場での作用が、
総合的、有機的に働き、特定の疾患に対して、治療効果
を発揮しているものと考えられる。そこで、該疾患に対
して有効性を示す、新たな漢方生薬成分が見出されれ
ば、従来に加えて、新たな治療方法の提供、或いは、従
来の漢方生薬や方剤との併用による、さらなる治療効果
が期待できると考えられる。

【０００６】このようなことから、本発明は、血中トリ
グリセリドを低下させる作用を有する、新たな漢方生薬
を提供することにより、それ単独で、或いは、従来の漢
方生薬や方剤との併用での、脂質代謝改善組成物を提供
することを課題とする。

【０００７】さらに、本発明は、上記脂質代謝改善組成
物を含有する飲食品を提供することを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために、種々の漢方生薬について鋭意検討し
た結果、銀杏の葉、ガジュツ、及び姜黄の極性溶媒抽出
物が、血中のトリグリセリド濃度を低下させる作用を有
することを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発
明は、特許請求の範囲の各請求項に記載の発明からな
る。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明で使用する生薬は、ガジュ
ツ、姜黄及び銀杏の葉の３種類である。ガジュツ(莪朮)
は、中国や台湾などで栽培されるショウガ科(Zingibera
ceae)のCurcuma aeruginosa Roxb.(C. zedoaria non Ro
xb)の根茎を乾燥したもので、芳香性健胃、興奮、駆
風、鎮痛、通経薬として、消化不良、疝痛、経閉、など
に応用されている。姜黄は、熱帯アジア原産で、イン
ド、マレー、インドネシア、中国南部、九州南部などで
栽培される多年生草本であるショウガ科(Zingiberacea
e)のウコンCurcuma longa L.(Curumazedoaria Roscoe)
の根茎を乾燥したもので、利胆、芳香性健胃薬として、
肝臓炎、胆道炎、胆石症、カタル性黄胆などに用い、ま
た止血、通経薬として吐血、尿血、経閉通、胸脇部の痛
み、腹痛などに応用されている。また、銀杏の葉は、い
わゆるイチョウの葉で縮尿、止帯薬として用いられてい
る。ある。

【００１０】本発明の抽出物は、銀杏の葉、ガジュツ、
或いは姜黄の何れかを、又は、これらの２種以上を、そ
のまま、或いは、粗切、中切、若しくは細切し、約5〜2
0倍量(重量)の極性溶媒、例えば、含水メタノール、エ
タノール、水、等を加え、室温で数日、或いは、沸点付
近の温度で、数十分〜数時間浸積抽出する。抽出後、濾
過、或いは、遠心分離、等により、不溶物を取り除き、
必要に応じて、濃縮エキス、或いは乾燥粉末とする。こ
れらを本発明の“抽出物”という。これらの抽出物は、
そのままでも使用することができるが、他の漢方生薬、
例えば、脂質代謝異常に対して、改善効果をもつといわ
れる漢方生薬成分、例えば、柴胡成分、薬用人参成分、
甘草成分、等と併用することもできる。また、本発明の
抽出物は、健康増進の為、特定保健用食品、健康飲料、
健康食品、栄養食品、その他、各タイプの飲食品、或い
はそれらに対する添加物として、用いることができる。

【００１１】（作用）遺伝性肥満症ラット(Zucker fatt
y rat)に対する、本発明の抽出物投与による、血中トリ
グリセリドの低下促進作用を、図１〜図３にそれぞれ示
す。本発明の抽出物投与群のラットの血中トリグリセリ
ドは、対照群(抽出物無投与群)に比べて、低下している
ことが認められる。すなわち、本発明の抽出物は、血中
のトリグリセリドを低下させる作用を有する。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を記載するが、本発明
は、これらの実施例に限定されない実施例１抽出物の作製３種類の生薬、すなわち、ガジュツ、姜黄、及び銀杏の
葉を用いた。各生薬の抽出液は、ラットに対する投与量
5ml/kgが、ヒトの10倍量となるようにエバポレーターを
用いて濃縮した。

【００１３】各生薬に対し10倍量(重量)の精製水を加
え、100℃で45分間加熱抽出した。すなわち、ガジュツ9
5.90gに対し水960ml、姜黄98.06gに対し水980ml、銀杏
の葉74.46gに対し水750mlを加えた。抽出後濾過し、抽
出液を得た。次いで、抽出残さに対し、8倍量の精製水
(ガジュツ;770ml,姜黄;785ml,銀杏の葉;600ml)を加え、
再び、100℃で30分間加熱抽出した。それぞれ前回の抽
出液と併せ、エバポレーターを用いて濃縮し、ガジュツ
抽出液800ml、姜黄抽出液540ml、銀杏の葉抽出液250m
l、を得た。

【００１４】実施例２血中トリグリセリドの測定動物試験のモデルとして、5週齢のZucker fatty rat(以
下、ラットという)を用いた。Zucker fatty ratの病
態、すなわち、過食、肥満、高脂血症、高インスリン血
症、ほぼ正常な空腹時の血糖、軽度の耐糖能の低下、等
は、ヒト肥満の病態に類似するので、有用な病態モデル
動物であるとされている〔上田賀美(1979)遺伝性肥満(f
atty ラット)、疾患モデル動物ハンドブック、川俣順
一、松下宏編、医歯薬出版、44-47〕。ラットは、湿度6
0%の恒温恒湿飼育室にて、自由給水下に、固形飼料(CRF
1日本チャールズ・リバー）を用いて飼育した。

【００１５】ラットに対し、試験開始から14日間は、実
施例１で得られた、銀杏の葉、ガジュツ、姜黄の各抽出
物5ml/kgを１日２回、14日間経口投与し、その後14日間
は、各抽出物10 ml/kg（2倍投与量）を、１日２回経口
投与した。

【００１６】投与開始日、投与開始5日目、12日目、19
日目、及び26日目に、ヘマトクリット管を用いて、各ラ
ットの眼窩静脈より採血し、血清を分離した後、血中ト
リグリセリドを、トリグリセリドＧ-テストワコー測定
キットを用いて測定した。ガジュツ、姜黄、及び銀杏の
葉の抽出物投与群における、ラットの血中トリグリセリ
ド濃度の経日的推移を、図１、図２及び図３に示す。

【００１７】これらの図から明らかなように、ガジュ
ツ、姜黄、及び銀杏の葉の熱水抽出物投与群は、何れ
も、対照群に比べて、血中トリグリセリドを低下させ
た。

【００１８】

【発明の効果】本発明の、ガジュツ、姜黄、及び銀杏の
葉の極性溶媒抽出物は、血中トリグリセリドを低下させ
る作用を有するので、脂質代謝改善効果が期待でき、そ
の結果として、動脈硬化をもたらす最大の危険因子であ
る、高脂血症の治療に有用である。また、これらを含有
する飲食品は、高脂血症の食事療法に有用である。

【００１９】

【図面の簡単な説明】

【図１】ガジュツ熱水抽出物投与群における、ラットの
血中トリグリセリド濃度を示す。□および○はそれぞれ
ガジュツ熱水抽出物投与群および非投与群を示す。

【図２】姜黄熱水抽出物投与群における、ラットの血中
トリグリセリド濃度を示す。□および○はそれぞれ姜黄
熱水抽出物投与群および非投与群を示す。

【図３】銀杏の葉の熱水抽出物投与群における、ラット
の血中トリグリセリド濃度を示す。□および○はそれぞ
れ銀杏の葉の熱水抽出物投与群および非投与群を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者常松雅子神奈川県小田原市成田540番地明治乳業株式会社ヘルスサイエンス研究所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】銀杏の葉、ガジュツ、及び姜黄の一種又は
二種以上からの極性溶媒抽出物を有効成分とする脂質代
謝改善組成物。
【請求項２】極性溶媒が熱水である請求項１記載の脂質
代謝改善組成物。
【請求項３】請求項１の極性溶媒抽出物を含有する飲食
品。