JPH1119058A - 生体磁気計測装置の真空断熱容器 - Google Patents

生体磁気計測装置の真空断熱容器

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JPH1119058A
JPH1119058A JP9180124A JP18012497A JPH1119058A JP H1119058 A JPH1119058 A JP H1119058A JP 9180124 A JP9180124 A JP 9180124A JP 18012497 A JP18012497 A JP 18012497A JP H1119058 A JPH1119058 A JP H1119058A
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JP
Japan
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container
convex body
heat insulating
vacuum heat
inner container
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JP9180124A
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English (en)
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Katsuo Takahashi
克夫 高橋
Yoichi Takada
洋一 高田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱シールド材から発生する磁気雑音および/ま
たは熱シールド材を媒体にした磁気雑音の信号系への混
入を大幅に抑制して低雑音化を図り、かつ、検出コイル
による生体磁気の検出感度も向上させる。 【解決手段】有底状の外容器21および内容器22を備
え、この両容器間に真空断熱層ALを形成し、この真空
断熱層内に熱シールド材31を配置し、かつ、内容器2
2に極低温溶液を入れるようにした生体磁気計測装置の
真空断熱容器11である。内容器22の底部に外容器2
1の内側底面に向けて有底筒状の凸体22Sを一体に設
け、この凸体22SにSQUIDチップ25および検出
コイル26を設ける。熱シールド材31に凸体22Sに
適合した穴31aを穿設し、この穴31aを通して凸体
22Sが熱シールド材31から突出するように、熱シー
ルド材31を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超伝導量子干渉素
子(Superconducting QUantum InterferenceDevice ; S
QUID)を利用して生体の微弱な磁気(磁場、磁界)を計
測する生体磁気計測装置の真空断熱容器に関する。
【0002】
【従来の技術】SQUIDを用いた超伝導システムとし
て、生体磁気計測装置の研究開発が盛んに行われてい
る。この生体磁気計測装置は、例えば人体の脳から発生
する微弱な脳磁界や、心臓から発生する微弱な心磁界を
計測する装置である。この計測装置は、近年富に、検出
磁界に基づき機能診断を行うことができるモダリティと
して注目されている。
【0003】生体磁気計測装置は、通常、生体が発生し
た微弱な磁気を検出コイル(ピックアップコイルともい
う)で検知し、この検知磁気をSQUIDと呼ばれる超
伝導リングに導くように形成した磁気検出部を備えてい
る。SQUIDには、感度も良く、雑音もあまり発生し
ない点でdc型のSQUIDが好んで使用される。ま
た、現在では、SQUIDの多チャンネル化が進んでい
る。
【0004】磁気検出部は、検出チャンネル毎に、検出
コイルとSQUID部とを備える。検出コイルは超伝導
コイルで形成される。SQUID部は、超伝導リング
(SQUID)とフィードバックコイルとを備える。d
c型SQUIDの場合、超伝導リング(SQUID)の
ジャンクション接合部には超伝導状態が保持できなくな
る程度の直流バイアス電流が流される。この状態で、ピ
ックアップコイルが生体から検知した磁界を超伝導リン
グに導くと、ジャンクション接合部には検知磁界に対し
て周期的に変化する電圧が発生する。ジャンクション接
合部には駆動回路が接続されている。駆動回路は、かか
る電圧変化を打ち消すような磁束をフィードバックコイ
ルから超伝導リングに与える。そこで、駆動回路はフィ
ードバックコイルに流す電流に比例した電圧を読み出
し、これを生体磁気に比例した電圧信号として出力す
る。
【0005】このように動作させる磁気検出部(磁気セ
ンサ)は、液体ヘリウムなどの極低温溶液により極低温
に冷却させる必要がある。この冷却を行うため、通常、
真空断熱容器(デュア)が利用される。真空断熱容器に
は、極低温溶液が入れられるとともに磁気検出部が収納
され、これにより上記冷却が行われる。
【0006】この真空断熱容器の一例を図7に示す。同
図に示す如く、真空断熱容器99は、FRP(強化プラ
スチック)製の外容器101と同じくFRP製の内容器
102との2重構造になっている。内容器102には極
低温溶液104が入れられる。外容器101と内容器1
02との間は真空層VCに形成され、これにより熱絶縁
構造(真空断熱構造)がなっている。各検出チャンネル
の磁気センサ106を成す、検出コイル107とSQU
ID部108を巻装、装着したボビンが内容器の液体ヘ
リウムに浸す状態でその底面102Bに配置される。
【0007】真空層VC内には、アルミニウム製の熱シ
ールド材103が内容器全体を包み込むように配設され
る。この熱シールド材103は、内容器内の極低温溶液
の蒸発量を極力押さえる機能を担っている。すなわち、
内容器の口部102Mから外部に逃げる極低温溶液の蒸
発ガスの熱量は内容器口部102Mに接した熱シールド
材103に伝達し、その熱シールド材103が冷却され
るから、内容器102の内部の温度上昇が抑えられる。
図7において、Pは被検体を示す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の真空断熱容器にあっては、熱シールド材の配置
状況に起因した以下のような問題があった。
【0009】従来の真空断熱容器の場合、熱シールド材
が内容器全体を包み込むように配置されているため、内
容器の外側底面部分を覆う熱シールド材部分が、内容器
の内部底面に配設されている検出コイルに著しく接近
し、しかも、検出コイルの真下を通過している。このた
め、熱シールド材中の電子の熱的ゆらぎに因って発生す
る磁気雑音(熱磁気雑音)が、接近配置されている検出
コイルからノイズとして信号中に混入し、この結果、生
体磁気計測の磁場分解能を低下させるという問題があっ
た。この磁場分解能の低下の問題は、とくに5fT/H
1/2 以上の高精度な磁場分解能を必要とするときに大
きく影響するものであった。
【0010】磁場分解能の低下のもう1つの要因とし
て、放射ノイズ(電磁波)と熱シールド材との磁気的結
合の問題が挙げられる。放射ノイズが熱シールド材に照
射されると、熱シールド材上に渦電流が誘起される。従
来の真空断熱容器の場合、熱シールド材と検出コイルと
は互いに非常に近い位置にあることから、この渦電流に
因り発生する磁気雑音も検出コイルに検出されてしま
う。したがって、放射ノイズに起因した磁気雑音もま
た、生体磁気計測における磁場分解能を低下させるとい
う問題が指摘されていた。
【0011】さらに、真空層内において熱シールド材が
内容器の外側底面下を通過するシールド材配置構造であ
るから、熱シールド材の厚さ分だけ、真空層の底面側の
厚さも増やさなければならない。これは取りも直さず、
検出コイルと生体表面との間の距離が大きくなることに
直結するから、検出コイルの生体磁気に対する検出感度
を低下させるという問題もあった。
【0012】本発明は、このような従来の真空断熱容器
が有する磁場分解能の低下の問題を改善するためになさ
れたものであり、熱シールド材自体から発生する磁気雑
音および/または熱シールド材を媒体にした磁気雑音の
信号系への混入を大幅に抑制して低雑音化を図り、か
つ、検出コイルによる生体磁気の検出感度も向上させる
ことを、その目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成させるた
め、本発明によれば、有底状の外容器および当該外容器
の内側に配置する有底状の内容器を備え、この両容器間
に真空断熱層を形成し、この真空断熱層内に熱シールド
材を配置し、かつ、前記内容器に極低温溶液を入れるよ
うにした生体磁気計測装置の真空断熱容器において、前
記内容器の底部に前記外容器の内側底面に向けて凸体を
設け、この凸体に少なくともSQUIDセンサの検出コ
イルを設ける一方、前記熱シールド材に前記凸体に適合
した穴を穿設し、この穴を通して前記凸体が前記熱シー
ルド材から突出するように当該熱シールド材を配置した
ことを特徴とする。
【0014】好適な一例として、前記凸体は、前記内容
器の底部と一体に形成されている。この場合、前記凸体
は、例えば、前記内容器の内部空間に連通し且つ前記真
空断熱層とは非連通状態の中空部を有する。このため、
この中空ぶには内容器の極低温溶液が入り、保持され
る。この極低温溶液の熱伝導によってSQUIDセンサ
が極低温に冷却され、超伝導動作が可能になる。また、
前記凸体は、前記中空部を有する円筒状または前記中空
部を有し且つ断面多角形の筒状にできる。さらに、SQ
UIDセンサのリード線は凸体の中空部を介して引き出
すことができる。
【0015】また好適な別の例として、前記凸体には、
前記SQUIDセンサの検出コイルおよびSQUIDチ
ップを取り付けることができる。
【0016】さらに好適な別の例として、前記熱シール
ド材の穴の縁部は前記凸体の外側面周囲に押圧接触させ
ていることである。
【0017】さらに好適には、前記凸体を、検出チャン
ネル数に応じた複数個設ける。
【0018】さらに好適には、前記内容器は、前記凸体
を含む下側内容器とその残りの上側内容器とに分割さ
れ、且つ、その両方容器を気密性を保持して着脱可能に
結合する手段を備えることである。このとき、前記外容
器は、その高さ方向の適宜な位置で上側外容器および下
側外容器に分割され、且つ、その両方容器を気密性を保
持して着脱可能に結合する手段を備えていることが好ま
しい。
【0019】さらに別の好適な例は、前記凸体を前記内
容器とは別体で形成し、この凸体を前記内容器の底面に
気密に且つ着脱可能に結合する手段を備えることであ
る。
【0020】このように熱シールド材の穴から突出した
凸体をボビンとして、これに検出コイルが設けられてい
るため、両者間の物理的距離が大きくなり、熱シールド
材の磁気雑音の影響が減少し、磁場分解能が向上する。
また、熱シールド材に凸体突出の穴を設けている分、こ
れによっても、検出コイルを貫く熱シールド材の磁気雑
音が減少する。一方、検出コイルを従来構造よりも生体
に接近させることができ、生体磁気の検出感度も良くな
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の1つの実施の形態
を図1〜図2を参照して説明する。
【0022】最初に、生体磁気計測装置の全体構成を説
明し、次いで、本発明の要旨に関わる当該装置の真空断
熱容器(デュワ)の構造を説明する。
【0023】図1に、本発明に係る生体磁気計測装置と
しての多チャンネル型dc−SQUID磁束計の全体構
成を概略的に示す。この磁束計は、検出コイルアレイ、
SQUID部などのセンサ回路を収納した真空断熱容器
11と、この容器内のセンサ回路を駆動するとともに当
該センサ回路の検出信号を処理する駆動処理回路部12
とを備える。
【0024】真空断熱容器11は、外側に位置する外容
器21と、この外容器の内側に同心状に配置された内容
器22と、両方の容器を密閉する蓋体23とを備える。
外容器21および内容器22は例えばGFRP,CFR
PなどのFRP(強化プラスチック)を主材料として形
成されている。内容器22は外容器21よりも小径でか
つ浅く形成されており、両容器間の隙間は真空断熱層A
Lになっている。内容器22には液体ヘリウムなどの極
低温溶液LQが充填される。内容器22の内側上方には
断熱材Dが置かれている。
【0025】さらに、内容器22の底部22Bには、当
該底部と一体に、円筒状で有底状の凸体22S,…,2
2Sが内容器側から外容器側に向けて突出形成されてい
る。この凸体22S,…,22Sは所望の検出チャンネ
ル数分だけ一体形成されており、各凸体22Sの長さは
その先端が外容器21の内側底面に十分に接近するよう
に設定されている。凸体22S,…,22Sそれぞれの
内側の中空部CKは内容器22のそれと連通しているの
で、内容器22に入れた極低温溶液は各凸体22Sの中
空部CKにも良好に入り込み、各凸体22S(壁体)を
直接にかつ確実に冷却することができる。この凸体冷却
を一層確実にするため、とくに、凸体の材質には熱伝導
度の高いものを選択することが望ましい。
【0026】なお、この例では凸体を円筒状としている
が、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、
四角柱状など、多角形柱状に形成してもよい。また、凸
体22Sは、例えば図1に示すように、外容器21の平
坦な底面21B(コイル配置面を成す)にその突出方向
がほぼ垂直になるように突出形成することもできるが、
必ずしもこれに限定されない。例えば脳磁場計測用の装
置の場合、外容器の底面を頭部に概略合わせて湾曲形成
してあるので、この湾曲面に対して所定の各検出位置で
突出方向が垂直となるように、凸体22S,…,22S
を内容器底面から突出させてもよい。
【0027】各凸体22Sは、検出コイル巻装用のボビ
ンとSQUID部の実装用の基体とを兼ねるものであ
る。具体的には、各筒体22Sの上部側面にはSQUI
Dチップ25が装着され、このSQUIDチップ25に
磁気的に結合する検出コイル26がその筒体の下側に巻
装されている。SQUIDチップ25は、ジョセフソン
接合を2個有する超伝導リング(SQUID)ほか、こ
のリングに磁気結合するインプットコイル、フィードバ
ックコイルを一体に形成し(図示せず)、このSQUI
D回路から出力端子、直流バイアス供給端子、およびフ
ィードバック回路端子(図示せず)を取り出したチップ
であり、極低温で超伝導状態となるものである。インプ
ットコイルは検出コイルに接続される。検出コイル26
はNbTiなどの部材から成る超伝導コイルであり、マ
グネットメータ型、1次微分型、2次微分型など種々の
タイプに巻装されている。
【0028】なお、検出コイルには上述した巻装型のコ
イルのみならず、種々の方法で形成することができる。
例えば、検出コイルとして、スパッタリング、塗装、多
層基板化などによる一体型の平面コイルを使用すること
もできる。さらに、この検出コイルは、各凸体22Sに
穿設した溝に超伝導線を直接巻装することで形成しても
よいし、各凸体22Sに超伝導体を成膜し、この超伝導
体膜をエッチング法などの手法によりパターニングする
ことで形成してもよい。また、フレキシブル基板などの
基材にパターニングされた検出コイルを、各凸体22S
に巻き付けることもできる。
【0029】SQUIDチップ25,…,25の端子に
接続した超伝導または常伝導のリード線LR,…,LR
は、そのまま各凸体22Sの壁に形成した穴hを通して
凸体内部に導かれる。この穴hはリード線LRを通した
後、接着剤でモールドされ、その内外が互いに気密に保
持される。凸体22S,…,22Sの内部に引き出され
たリード線LR,…,LRは超伝導コネクタ27に接続
される。この超伝導コネクタ27は、このコネクタと対
を成す超伝導コネクタ28に接続される。このコネクタ
28のリード線は支持体29の内部を案内されて容器外
に引き出される。引き出されたリード線は、各検出チャ
ンネル毎に、駆動処理回路部12の後述する駆動回路に
電気的に接続される。
【0030】さらに、外容器21と内容器22との間に
真空断熱層ALには、内容器22内の液体ヘリウムなど
の極低温溶液の蒸発量を低減させるために、熱シールド
材31が配設される。この熱シールド材31は、ポリエ
ステル膜などの薄膜にアルミニウムを蒸着したスーパー
インシュレーション材が用いられる。このインシュレー
ション材は柔軟材と重ね合わせながら、例えば20枚程
度が積層され、放置状態で5mm程度の厚さに形成され
る。
【0031】熱シールド材31は内容器21の外側を全
体的に覆うように上部の支持体32に支持・配置されて
いる。ただし、熱シールド材31の前述した複数の凸体
22S,…,22Sに当たる部分に、凸体の横断面形状
にフィットさせた孔31a,…,31aが穿設されてい
る。このため、凸体22S,…,22Sは熱シールド材
31の孔31a,…,31aから底面側に突出した状態
になる。各孔31aの大きさは、そのトリミング部分が
凸体22Sの外周面に適度に押圧・接触するようになっ
ている。支持体32は好ましくは断熱材で成る。
【0032】とくに好ましくは、孔31aと凸体22S
との接触部分を断熱構造にすることである。なお、孔3
1aの形状は凸体22Sの横断面形状に合わせた、円
形、楕円形、四角形などの多角形といった任意のもので
よい。
【0033】この駆動処理回路部12は、検出チャンネ
ル毎に設けられる駆動回路341 ,…,34n およびA
/D変換器351 ,…,35n を備えるとともに、磁場
源解析/推定などのデータ処理を所望のアルゴリズム
(例えば、リードフィールド行列法、準ニュートン法、
共役勾配法など)で実施するデータ処理器36を備え
る。駆動回路341 ,…,34n のそれぞれは、SQU
IDチップ25の超伝導リングの直流バイアス電流を供
給するとともに、例えば、この超伝導リングのジョセフ
ソン接合の電圧が変化しないように磁束フィードバック
を掛ける、いわゆるFLL(flux locked loop)操作を
行う。このときのフィードバック信号が被検体の計測磁
場の強度に対応した信号となるので、駆動回路341 ,
…,34n はこのフィードバック信号を検出電圧信号と
して検出チャンネル毎に後段のA/D変換器351 ,
…,35n に出力する。検出信号はA/D変換器351
,…,35n によりデジタル信号に変換され、データ
処理器36のコンピュータ36Aに送出される。そし
て、コンピュータ36Aにより、磁場源(電流源)の空
間的位置(分布)、大きさ、向きなどの推定解析が実行
される。
【0034】次に、この実施形態の作用効果を説明す
る。
【0035】上述の配置構成によれば、各検出位置にお
ける磁気センサとしての検出コイル26およびSQUI
Dチップ25が、ボビンおよび支持体兼用の凸体22S
に巻装および実装される。また、内容器22内の極低温
溶液は各凸体22Sの中空部CKにも入り込んでいるた
め、この溶液の熱が各凸体22Sの壁を伝わる熱伝導に
よって確実に冷却される。この伝導熱はさらにSQUI
Dチップ25および検出コイル26に伝わるから、SQ
UIDチップ25および検出コイル26も確実に超伝導
状態を得ることができ、生体からの磁気を良好に検知で
きる。この検知情報は電圧信号としてSQUIDから取
り出され、前述したようにデータ処理器36にて磁場源
の推定解析に付される。
【0036】この実施形態においては、上述のように、
検出コイル26およびSQUIDチップ25が内容器2
2から突出させた凸体22Sに巻装および実装され、し
かも、熱シールド材31は凸体22S,…,22Sを外
し、内容器22のみ全体を覆うように配設している。こ
のため、各検出位置において、従来装置に比べ、検出コ
イル25は熱シールド材31から遠くなっている。同
時、検出コイル26が外容器21の底面21Sに近接
(すなわち、検出コイル26が従来装置よりも生体に近
接)している。
【0037】したがって、検出コイル25が熱シールド
材31から距離的に遠くなる分、熱シールド材からの電
子の熱的揺らぎに因って発生する磁気雑音(熱磁気雑
音)が検出コイルに到達しなくなり、検出コイルを介す
る磁気雑音の混入が減少して低雑音化が図られる。これ
により、磁場分解能が従来よりも著しく向上し、とく
に、5fT/Hz1/2 以上の磁場分解能が要求される場
合にも耐えることができる。さらに、放射ノイズ(電磁
波)によって熱シールド材上に誘起される渦電流に起因
した磁気雑音も、かかる遠距離化によって減少する。こ
れにより磁場分解能は一層向上する。さらに、熱シール
ド材31に穴31a,…,31aが穿設されている分、
熱シールド材自体からの磁気雑音が減少するという利点
もある。
【0038】また同時に、従来よりも検出コイル26が
生体表面に近接する分、生体磁場の検出感度が向上す
る。
【0039】このように本実施形態の生体磁気計測装置
によれば、内容器の底面構造を一部変更し、この変更に
合わせて熱シールド材の配置するだけの比較的簡単な構
造の真空断熱容器を採用することにより、磁場分解能の
向上と検出感度の向上とを両立させることができる。
【0040】なお、上述の図1、2の真空断熱容器11
の構成において、内容器22内の断熱材Dは配置しなく
てもよい。また、各SQUIDチップ25からのリード
線LRの組は、コネクタ27、28に依らずに、それぞ
れを直接に容器外に取り出す構造にしてもよい。
【0041】さらに、SQUIDチップ25とリード線
LRとを、凸体22Sの外側において着脱自在に構成す
ることができる。これには、リード線LRを凸体22S
の中空部DKから気密に外側に引き出し、着脱自在な結
合手段、例えば超伝導コネクタを介してSQUIDチッ
プ25に接続してもよい。とくに、リード線LRを超伝
導ピンに接続し、SQUIDチップ25に超伝導ソケッ
トを装着して、その超伝導ピンを超伝導ソケットに着脱
自在に差し込む接続構造にしてもよい。また、そのよう
なコネクタを凸体22Sの壁部分を貫通した状態で凸体
に取り付け、このコネクタを介してSQUIDチップ端
子(またはリード線)と凸体内部側のリード線とを相互
に接続してもよい。
【0042】さらに、上述した構成ではリード線(出力
線)LRを内容器内部側から駆動回路に接続する構成に
したが、このリード線は真空断熱層ALを通して駆動回
路に接続するようにしてもよい。
【0043】真空断熱容器のその他の実施形態 本発明に係る生体磁気計測装置の真空断熱容器のその他
の実施形態を図3〜図5に基づき説明する。これらの実
施形態において、上述と同一または同等の構成要素には
同一符号を用いて、その説明を省略または簡略化する。
【0044】図3に、真空断熱容器のその他の実施形態
の第1の例を示す。この容器11は凸体22S,…,2
2Sをボビン専用に用いたものである。つまり、凸体2
2S,…,22Sのそれぞれには検出コイル26のみを
装備している。各検出コイル26のリード線は凸体22
Sの壁部の穴h(気密にモールド)から内部に引き入れ
られ、支持棒29(…,29)に取り付けたSQUID
チップ25に接続されている。このSQUIDチップ2
5の端子からは個別にリード線が引き出される。熱シー
ルド材31の配置構成は前述の実施形態のものと同一で
ある。このため、前述の実施形態のものと同等な作用効
果を得ることができるほか、各凸体22Sには検出コイ
ルのみを装備するだけで済むから、各凸体の周辺のスペ
ースに余裕ができ、多チャンネル化に適している。
【0045】図4および図5に第2の例を示す。この例
に係る真空断熱容器はその上部と下部とを着脱可能に構
成したものである。まず、この真空断熱容器11の外容
器は上側外容器21Uと下側外容器21Lとの分割構造
で、その両者をフランジ構造の結合部42によって着脱
可能に構成している。この結合部42は円環状を成し、
外容器の全周にわたって両者をネジ結合している。結合
部42は、気密性を保持するゴムやインジウムなどのO
リング43を使った密閉構造になっている。
【0046】これに対抗して、内容器も上側内容器22
Uと下側内容器22Lとから成る分割構造であり、この
両者がフランジ構造の結合部45によって着脱可能にな
っている。この結合部45は内容器の底面と側面とを分
ける位置に形成されている。このため、下側内容器22
Lは、内容器底面と、前述したと同様の複数の凸体22
S,…,22Sとから成る。結合部45は円環状を成
し、内容器の全周にわたって両者を結合している。結合
部45は、気密性を保持するゴムやインジウムなどのO
リング46を使った密閉構造になっている。
【0047】下側内容器22Lの凸体22S,…,22
S、SQUIDチップ25および検出コイル26のSQ
UID回路、および熱シールド材31は前述した図1、
2と同一に構成されている。
【0048】このため、本第2の例に係る真空断熱容器
によっても、前述した実施形態のものと同一または同等
の作用効果を得ることができる。加えて、内容器および
外容器を内容器の底面部分の位置で共に上下に分割可能
な構造にしたため、製造、組立て、保守や点検などが容
易になるという利点がある。とくに、検出コイルおよび
SQUIDチップを設ける凸体22S,…,22S全体
を取り外すことができるので、かかる保守点検の容易化
が一層促進される。
【0049】図6に第3の例を示す。この例の真空断熱
容器は、内容器の底部の各凸体22Sのみを着脱自在な
構造にしたものである。この場合も、凸体22Sの開口
側の端部にフランジ22Saを取り付け、このフランジ
22Saを介して凸体22Sを内容器22の底面22B
にネジ止めしている。Oリング48がフランジ部の気密
性保持のために使用されている。これにより、検出コイ
ル部分の製造、組立て、保守点検などが便宜に供するこ
とができる。
【0050】なお、この第3の例を構造的に発展させた
例として、とくに図示しないが、次のようなものもあ
る。つまり、複数個の凸体を内容器底部に上述の各種の
構成の如く設ける場合、2個以上の凸体を1つのブロッ
クとして、ブロック単位で凸体部分を一体に着脱自在な
構成にすることができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る生体
磁気計測装置の真空断熱容器は、内容器の底部に外容器
の内側底面に向けて凸体を設け、この凸体に少なくとも
SQUIDセンサの検出コイルを設ける一方、熱シール
ド材に凸体に適合した穴を穿設し、この穴を通して凸体
が熱シールド材から突出するように当該熱シールド材を
配置したので、熱シールド材から発生する磁気雑音、お
よび/または、熱シールド材を媒体にした磁気雑音の信
号系への混入を大幅に抑制して低雑音で、かつ、検出コ
イルによる生体磁気の検出感度も向上させることがで
き、信頼性の高い安定した生体磁気計測装置を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る生体磁気計測装置を
その真空断熱容器の概略断面構造とともに示す構成図。
【図2】図1中のII−II線に沿ってみた概略断面図。
【図3】別の実施形態に係る真空断熱容器の一部を示す
概略断面図。
【図4】さらに別の実施形態に係る真空断熱容器の一部
を示す概略断面図。
【図5】図4中のV−V線に沿ってみた概略断面図。
【図6】さらに別の実施形態に係る真空断熱容器の一部
を示す概略断面図。
【図7】従来の真空断熱容器の一例を示す概略断面図。
【符号の説明】
11 真空断熱容器(デュア) 12 駆動処理回路部 21 外容器 21U 上側外容器 21L 下側外容器 22 内容器 22S 凸体 22U 上側内容器 22L 下側内容器 22Sa フランジ部 25 SQUIDチップ 26 検出コイル 31 熱シールド材 31a 孔 42 結合部 45 結合部 LR リード線 h 穴 AL 真空断熱層 CK 中空部 LQ 極低温溶液

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有底状の外容器および当該外容器の内側
    に配置する有底状の内容器を備え、この両容器間に真空
    断熱層を形成し、この真空断熱層内に熱シールド材を配
    置し、かつ、前記内容器に極低温溶液を入れるようにし
    た生体磁気計測装置の真空断熱容器において、 前記内容器の底部に前記外容器の内側底面に向けて凸体
    を設け、この凸体に少なくともSQUIDセンサの検出
    コイルを設ける一方、前記熱シールド材に前記凸体に適
    合した穴を穿設し、この穴を通して前記凸体が前記熱シ
    ールド材から突出するように当該熱シールド材を配置し
    たことを特徴とする生体磁気計測装置の真空断熱容器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発明において、 前記凸体は、前記内容器の底部と一体に形成されている
    生体磁気計測装置の真空断熱容器。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の発明において、 前記凸体は、前記内容器の内部空間に連通し且つ前記真
    空断熱層とは非連通状態の中空部を有する生体磁気計測
    装置の真空断熱容器。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の発明において、 前記凸体は、前記中空部を有する円筒状または前記中空
    部を有し且つ断面多角形の筒状である生体磁気計測装置
    の真空断熱容器。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の発明において、前記SQ
    UIDセンサのリード線は、前記凸体の中空部を介して
    引き出されている生体磁気計測装置の真空断熱容器。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の発明において、 前記凸体には、前記SQUIDセンサの検出コイルおよ
    びSQUIDチップが取り付けられている生体磁気計測
    装置の真空断熱容器。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の発明において、 前記熱シールド材の穴の縁部は、前記凸体の外側面周囲
    に押圧接触している生体磁気計測装置の真空断熱容器。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の発明において、 前記凸体は、検出チャンネル数に応じた複数個設けられ
    ている生体磁気計測装置の真空断熱容器。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の発明において、 前記内容器は、前記凸体を含む下側内容器とその残りの
    上側内容器とに分割され、且つ、その両方容器を気密性
    を保持して着脱可能に結合する手段を備えている生体磁
    気計測装置の真空断熱容器。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の発明において、 前記外容器は、その高さ方向の適宜な位置で上側外容器
    および下側外容器に分割され、且つ、その両方容器を気
    密性を保持して着脱可能に結合する手段を備えている生
    体磁気計測装置の真空断熱容器。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の発明において、 前記凸体を前記内容器とは別体で形成し、この凸体を前
    記内容器の底面に気密に且つ着脱可能に結合する手段を
    備えている生体磁気計測装置の真空断熱容器。
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