JPH1118533A - 液体施用器およびそれを用いた水田への施用方法 - Google Patents

液体施用器およびそれを用いた水田への施用方法

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JPH1118533A
JPH1118533A JP18381997A JP18381997A JPH1118533A JP H1118533 A JPH1118533 A JP H1118533A JP 18381997 A JP18381997 A JP 18381997A JP 18381997 A JP18381997 A JP 18381997A JP H1118533 A JPH1118533 A JP H1118533A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 肥料や農薬等の有用成分を溶解した溶液など
を精度よくコントロールして低コストで容易に均一に水
田へ施用できる液体施用器を提供すること。 【解決手段】 外部より空気を導入するための入気管が
容器下部まで挿入され、下部にコック付きの流出管路を
備えた蓋付密閉液体施用器であって、前記流出管路の先
端に流量調整用の流出孔を有するパイプを接続部を介し
て着脱可能に連結するとともに、この接続部は前記パイ
プと流出孔の口径を異にする付属品として用意されてい
る2種類以上のパイプから選択される他のパイプに必要
に応じて取替えて連結できるような構造になっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体施用器および
それを用いた水田への施用方法に関するものであり、さ
らに詳しくは肥料や農薬等の農業用の有用成分を溶解し
た溶液などの液体施用器およびそれを用いた水田への施
用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水稲作における施肥や病害虫防除作業等
の軽労化が叫ばれて久しいが、依然として背負式や歩行
型の機械に依存しているのが現状であり、近年急速に進
展している大区画水田や大規模経営では過酷な作業を余
儀なくされている。こうした現状を打開しようとして乗
用型の管理作業機の開発・利用が全国規模で検討されて
いる。しかし、これらの乗用型管理作業機は、価格も然
ることながら、それ自体かなりの重量物である上に肥料
等の資材を搭載すると軟弱な重粘土水田での稲作期間中
の機械走行が著しく困難になり、未だ実用化の目処はつ
いていない。
【0003】一方、施肥作業省力化の一つの方法として
潅漑用水を利用した水口流入施肥が全国各地で行われて
いる。水に溶けやすい顆粒状肥料を直接水口に投入して
流水で溶かしながら水田に流し込み、その後大量の水で
均一に拡散させようとするもので省力・低コスト化に応
える技術として宣伝されている。
【0004】しかし、この施肥法には、流し込み肥料
の均一化のために大量の潅漑用水を使用し、地域内の用
水争いを招いたり、施肥法が計量的でないため肥料濃
度の均一化に個人差が起こるなど問題点を抱えている。
そのため、水にすみやかに溶解する形態を有する固体肥
料を、水田の水口から灌漑水とともに直接水田へ投入す
る時、予め灌漑水を水田に一定時間流入しておき、引き
続き固体肥料を灌漑水とともに水田に投入することによ
り水田へ均一に施肥する方法も提案されているが(特開
平7−115818号公報)、肥料濃度の均一化の問題
は解消されていない。一方、水に溶けやすい顆粒状肥料
を用いる代りに、肥料又は農薬を液体状にした施用方法
も提案されているが(特開平5−137433号公
報)、やはり成分濃度の均一化の問題は解消されていな
い。
【0005】また、液体肥料、或いは粒状肥料、農薬
(フロアブル剤)を水に溶かしたタンクから潅漑用水中
に滴下施用する方法も提案されている(富山県農業試験
場研究報告、第1号、1966年、27〜33、農業技
術大系、作物編2、イネ、技522の50〜技522の
55、農山漁村文化協会発行)。
【0006】図10はこのタンクの断面説明図である。
このタンク1Aは、外部より空気を導入するためのポリ
チューブ製の入気管2がタンク1Aの下部まで挿入され
て備えられるとともに、外部の一端にコック3が付いた
サイホンチューブ4がタンク1Aの下部まで挿入されて
備えられた密閉タンクである。5は入気管2とサイホン
チューブ4をタンク1Aの上部に密閉して装着するため
のゴム栓である。このタンク1Aによる滴下量(V)は
下記式(1)で表される。
【0007】V=a(Hρg−P+P’) (1) 平衡になった場合は下記式(2)で表される。 P=Hwρg+P’ (2) 式(2)を式(1)に代入すると、 V=a[Hρg−(Hwρg+P’)+P’] =a[Hρg−Hwρg] =a(H−Hw)ρg =ahρg 但し、Vは滴下量aは変数(サイホンチューブ4の口径
が一定で、液体肥料の粘度が滴下量に影響がない場合は
一定値となる) ρは液体肥料の比重 gは重力 P、P’は気圧 H、Hw、hは図10に示した箇所の長さである。
【0008】上記の構成を有するタンク1Aの先端のコ
ック3により液体肥料を滴下させると、Hwの如何に関
係なくhによって滴下量(V)を任意に決めることがで
きることが判る。しかし実作業において、hの高さを変
えるには入気管2を上下に移動するか、サイホンチュー
ブ4の流出口6の位置を上下に移動する必要があるが、
入気管2やサイホンチューブ4の高さの移動ではhの高
さを精度よくコントロールすることができない上、取り
扱いが不便である。従ってタンク1Aからの液体肥料の
流量を定量的に調節して流すことが困難であり、一方、
hを一定にしておいて潅漑用水量を調節して施肥するこ
とも難点が多く実用化に至らなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、先ず
従来報告されている図10に示したタンク1Aを改良し
た液体施用器を提供し、それを用いて、肥料や農薬等の
農業用の有用成分を溶解した溶液などを精度よくコント
ロールして低コストで容易に均一に水田へ施用する方法
を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、肥料や農薬
等の水田への実用的な施用方法について種々検討した結
果、省力、低コスト及び施用後の水田における各地点に
おける成分濃度の均一化を達成するには、従来報告され
ている図10に示したタンク1Aの大きな欠点を改良し
てタンク内の溶液の流出量を容易に然も正確にコントロ
ールできるようなタンクを開発し、それを用いて肥料や
農薬等の農業用の有用成分を溶解した溶液を容易に均一
に水田へ施用できる施用法が必要と判断し各種のテスト
をくり返した結果、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明の請求項1の発明は、外
部より空気を導入するための入気管が容器下部まで挿入
され、下部にコック付きの流出管路を備えた蓋付密閉液
体施用器であって、前記流出管路の先端に流量調整用の
流出孔を有するパイプを接続部を介して着脱可能に連結
するとともに、この接続部は前記パイプと流出孔の口径
を異にする付属品として用意されている2種類以上のパ
イプから選択される他のパイプに必要に応じて取替えて
連結できるような構造になっていることを特徴とする液
体施用器である。
【0012】本発明の請求項2の発明は、請求項1記載
の液体施用器において、前記接続部はパイプの取替えが
ワンタッチでできる構造になっていることを特徴とす
る。
【0013】本発明の請求項3の発明は、請求項1ある
いは請求項2記載の液体施用器において、蓋付容器開口
部に濾過器を取り付けたことを特徴とする。
【0014】そして、本発明の請求項4の発明は、請求
項1ないし請求項3記載の液体施用器を用い、有用成分
を溶解した溶液を定量的に流出させ、定量的に流入して
いる潅漑用水に混入し、水田の潅漑時間に合わせて有用
成分を溶解した溶液の必要量を流出させることを特徴と
する水田への施用方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の一
実施形態を説明する。図1は本発明の液体施用器の一実
施形態の断面説明図である。なお、図1において前記図
10における符号と同一符号で示した部分は、図10で
説明した同一符号の部分と同じ機能を持つ部分である。
【0016】本発明の液体施用器1は、外部より空気を
導入するための入気管2が液体施用器1の下部まで挿入
されているとともに、液体施用器1の下部にコック3付
きの流出管路7が一端が液体施用器タンク1の下部まで
挿入され(液体残存量を減らすにはパイプの先端は液体
施用器の底にできるだけ近ずける)、他端が容器外部で
下方に曲げられて備えられた密閉タンクである。流出管
路7の容器外部の先端には流量調整用の流出孔(径d)
8を有するパイプ9が接続部10を介して着脱可能に連
結されている。
【0017】本発明の液体施用器1には、パイプ9とは
流出孔の口径(d)が大きかったり、あるいは小さかっ
たりなど口径(d)を異にする図示しないパイプ9−1
(径d1)、パイプ9−2(径d2)、パイプ9−3
(径d3)・・・・など2種類以上のパイプが付属品と
して用意されており、いずれのパイプも必要に応じて取
替えて使用できようになっており、この接続部10はこ
れらのパイプのいずれでも流出管路7の先端に着脱可能
に連結することができる構造になっている。この接続部
10は上記のパイプの取替えがワンタッチでできる構造
になっていると、取り替えが容易になるので好ましい。
11は液体施用器1の上部に密閉して装着した蓋、13
は容器開口部12に取り付けた金網などの濾過器、14
は液体施用器1に流出管路7を装着する合成樹脂製など
の取付部材(フィッティング)を示す。
【0018】この液体施用器1による滴下量(V)とh
との関係は前記と同様に式V=ahρg[但し、Vは滴
下量、aは流出孔8の口径(d)や溶液の流動性(粘度
が1000mPa・s以下ならほぼ無視できる)により
変わる変数、ρは液体肥料の比重、gは重力、hは図1
に示した箇所の長さを示す。]で表される。しかし本発
明で使用する液体施用器1の最も大きな特徴は、従来報
告されている前述した図10に示したタンク1Aがhの
高さを変えて流量コントロールをしていたのに対し、本
発明では粘度の影響がほぼ無視できるような低粘度の溶
液を用い、その高さhを一定にして流出用パイプ9に開
けられている流出孔8の口径(d)を変えることにより
流量コントロールをする点にある。実作業において、h
の高さを変えるには入気管2を上下に移動するか、パイ
プ9の先端の位置を上下に移動する必要があるが、本発
明者はこれらの高さの移動ではhの高さを精度よくコン
トロールできず、従って流量を定量的に流すことが困難
であることをテストで確認し、その流量コントロール方
法を改良して本発明に到達したものである。
【0019】本発明の液体施用器1についてさらに説明
する。 液体施用器1の材質は軽く、腐食せず、透明または半
透明なものがよく、具体的には、例えばプラスチック製
のものが好ましい。その容量は特に限定されないが、実
際における運搬、施用時における使用などの点から好ま
しくは10〜100リットル、より好ましくは50リッ
トルである。液体施用器1の上部には溶液を入れるため
の容器開口部12とそこを密閉するための蓋11を設け
ることが好ましい。液体施用器1の下部にはコック3が
付いた流出管路7を設ける。また液体施用器1を適当な
ところに持ち運びするための取っ手15を設けることが
好ましい。
【0020】液体施用器1にはこの容器に充填する液
体の容量の確認や現在量を確認するために目盛りを設け
ておくと便利であり好ましい。
【0021】入気管2は、液体施用器1の下部まで挿
入する必要がある。この入気管2より上部にある液体部
分が定量的に流出するので、流出させる液体の最下部よ
りも低くする必要があり、現実的には容器の底にできる
だけ近ずけた方がよい。
【0022】コック3付きの流出管路7と流量調整用
パイプ9の接続部10は、種々の流量調節用パイプ9を
できるだけ簡単に取替えできるようにワンタッチ方式の
ものがよく、例えば市販の接続部10(商品名;ピッタ
ー蛇口、(株)タカギ製)等を使用することが好まし
い。図2は、この市販の接続部の断面説明図である。こ
の接続部10は、流出管路7の先端に挿入されて連結さ
れており、ゴムパッキン17により液体が外部に漏れな
いようになっている。接続部10のホースニップル18
の外周に密着して挿入されたパイプ9は、ツメ付きリン
グ19を介してパイプロックナット20で外側から締め
付けられて液体が外部に漏れないように接続部10にし
っかり固定されて連結されている。
【0023】液体施用器1の上部には液体を容器内に
入れるための容器開口部12が設けられており、この開
口部12にはごみを濾過したりとったりするための金
網、濾布などの濾過器13を設けることが好ましい。濾
過器13の金網などの目開きは流出孔8の口径(d)以
下とし(パイプ9が複数ある場合は最少の口径以下とす
る)、できれば流出孔8の口径(d)の1/2以下が望
ましい。
【0024】液体の流出量の調節法と流量調整用パイ
プ9について説明する。最大流出量(V)は図1に示し
た入気管2の下端より流量調整用パイプ9の先端迄の距
離(h)により決まり(流出孔8の口径(d)が同一な
らhの大きさに比例して流出量が多くなる)、距離
(h)が一定の場合は流出孔8の口径(d)が大きい程
流出量が多くなるが、実際には単純に口径(d)の自乗
に正比例はしない。
【0025】液体の流出量を調節するには、先ず、必要
な最大流出量を確保できるようにhの高さを調整して一
定にする。もしも、hの高さを変動する必要がなければ
固定しておいていい。次に、必要液体量が予定の潅漑時
間に流出するように、適切な口径(d)の流出孔8を有
するパイプ9を取り付ける。そのためには付属品として
流出孔8の口径(d)の異なるパイプ9を2種以上必要
数用意しておく。一般的には、水田の潅漑時間が約1〜
6時間程度の場合が多いので、それに見合った時間に液
体が流出するように流出孔8の口径(d)の異なるパイ
プを6本程度用意しておくとよい。
【0026】実際の施用においては、前記の方法でおよ
その潅漑時間を予め調べておき、それに見合った流出孔
8の口径(d)を有するパイプ9を用意する。なお、パ
イプ9の選択は潅漑時間と液体施用器1より流出させる
液体量に関係するので、どのパイプを使用しても潅漑時
間に合わせて液体の必要量を流出できないようなら、液
体を適当に希釈して潅漑時間に流出させるような工夫を
することもできる。また、液体の流出量を一定量(例え
ば50リットル)に決めておき、予定の潅漑時間に最も
近い流出量を有するパイプ9を選択し、潅漑時間を液体
の流出終了時間に合わせるような調整をしてもよい。そ
のため、施用する液体について、予め、口径の異なる流
量調節用パイプ毎に流出量と流出時間の関係を求めてグ
ラフ化しておくと便利である。
【0027】例えば比重が1.0〜1.3程度、見掛け
粘度が1000(mPa・s)以下の溶液の50リット
ル程度を潅漑時間1〜6時間で流出させようとする場合
は、口径1.5〜5.0mmのもので段階的に口径
(d)の違うパイプを6本程度用意し、予め各パイプ毎
に流出時間と流出量の関係を調べその関係をグラフ化し
ておくと便利である。
【0028】上記の比重、見掛け粘度の範囲であれば、
流出孔8の口径(d)が決まると流出量はそれ程大きく
変化しないことが実験で確かめられたので、取敢えず水
で各パイプ毎に流出時間と流出量の関係を求めてグラフ
化しておいて、実際の溶液で数点テストをしてグラフを
補正してもよい。
【0029】なお、比重1.2、見掛け粘度15(mP
a・s)の液体肥料を使用し、距離(h)を11.5c
mに固定した場合、流出孔8の口径(d)が1.8,
1.9,2.2,2.4,3.1,4.7(mm)の6
種類のパイプを付属品として用意して使用すると、液体
肥料50リットルを流出させるのに要する時間が各々
1,2,3,4,5,6時間になることが実験で分かっ
たので、この関係を流出孔8の口径(d)を決める目安
とすることができる。
【0030】本発明の液体施用器1の用途は特に限定さ
れない。本発明の液体施用器1は、液体を一定の速度で
定量的に流出させ、所定の時間で流出させる必要がある
ような各種の用途に使用することができる。
【0031】次に本発明の液体施用器1を水田に使用し
た場合の代表的な施用方法を説明するが、勿論これに限
定されるものではない。水田圃場区画の大小に拘らず本
器の使用は可能であるが、余り小区画水田まで対象とす
ると多少煩わしさが伴う。例えば、30a以下の小区画
水田で従来の背負い式動力散布器で畦道から容易に散布
できる場合は本器を使用するメリットはそれ程大きくな
い。
【0032】本器の使用は、どうしても水田内に人が入
り込んで散布しなければならないような大区画水田、例
えば30a区画以上の平坦な水田で、潅漑用水の流量が
比較的安定している場合に威力を発揮する。
【0033】水田区画が30a以上になると、潅漑方式
は大部分パイプ潅漑になるので潅漑用水の流量が安定し
ており、止水栓の開度により流量が決まるので、概ねの
潅漑時間、例えば湛水深5cm位にするための灌漑時間
(湛水深は平均5〜8cmの範囲内であれば問題ない。
要は水田全面に水が行き渡ればよい。)と止水栓の開度
との関係を予め調べておく。一方、パイプ灌漑以外の潅
漑用水路から流入させる場合は流量が測定し難いので
“せき”等の工夫をしてできるだけ正確に測定するよう
にする。流量が分かったら、水田に流入させる水の全量
を求め、それより潅漑に要する時間を計算で求めてお
く。なお、経験豊富な農家は概ねの潅漑時間を経験的に
分かっている場合が多い。
【0034】潅漑時間は、流量調整用パイプ毎に異なる
溶液の放出時間も考慮して決定し、また、その潅漑時間
に合った流出パイプを選定して取り付ける。
【0035】次に、本発明の液体施用器1に溶液を充填
し(予め充填しておいてもよい)、潅漑用水を流すと同
時に容器内溶液をパイプから流出させ、溶液の必要量を
流出し終えると同時に潅漑用水の流入を終了させ、施用
を終る。なお、溶液を充填する際、潅漑時間と各流出用
パイプにより異なる溶液の流出量を考慮し、場合により
溶液を適度に希釈して液量を調整する。
【0036】なお、本器を用いた施用法は、無湛水状態
が好ましいが、ひたひた水程度(水深1〜3cm程度)
の湛水状態でも成分濃度の均一化は充分と判断でき、実
用上問題ない。上記の施用方法で水田の各地点における
成分濃度の均一化が可能である。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明の内容をさらに具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定
されるものではない。 (実施例1)図1に示した本発明の液体施用器1(高さ
550mm、幅400mm、肉厚3.5mm、容量50
リットル、自重3.5kgのポリエチレン製容器。蓋の
直径159mmφ)を使用し、h=11.5cmとなる
ように入気管2と流量調節用パイプ9をセットし、パイ
プ9は口径がそれぞれ1.8mm(パイプNo.6
号),1.9mm(パイプNo.5号),2.2mm
(パイプNo.4号),2.4mm(パイプNo.3
号),3.1mm(パイプNo.2号),4.7mm
(パイプNo.1号)の6種類のパイプをそれぞれ用い
て、液体として液体肥料(商品名;くみあい液肥1号、
コープケミカル(株)製)(比重1.2、見掛け粘度1
5(mPa・s))を50リットル入れて、流出テスト
を行った。各パイプについて1号は10分間隔毎に6回
の流出量および50リットル全量を流出するまでの時間
を測定し、2号は20分間隔毎に6回の流出量および5
0リットル全量が流出するまでの時間を測定し、他のパ
イプについてもパイプ1号や2号と同様にして測定した
結果を表1に示す。また流出量(kg)と流出時間(m
in.)との関係を図3に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1および図3から、パイプ1号〜6号を
使用すると、液体肥料50リットルを常に一定に流出さ
せることができ、流出させるのに要する時間が各々約
1,2,3,4,5,6時間になることが判る。
【0040】次に、本発明の液体施用器1に充填する液
体(液体肥料・農薬など)の比重と流出量との関係を検
討した。パイプの口径を1.78mm〜4.52mmま
で11種類変えたパイプを用いて比重1.2の液体肥料
(商品名;くみあい液肥1号、コープケミカル(株)
製)(見掛け粘度15(mPa・s))と水で流出量
(mL/min)を測定し、両者を比較した結果を表2
に示した。
【0041】
【表2】
【0042】表2から比重1.2の液体肥料と水の間に
実質的な差がないことが判る。したがって、この比重の
範囲では流出量(mL/min)に影響ないと判断され
た。
【0043】(実施例2)(1回目の穂肥) 次に、本発明の液体施用器1(パイプの口径:1.9m
m、h=11.5cm)2個を用いて、圃場における1
回目の穂肥施用試験を行った結果について述べる。図4
に示した130m×80mの水田の区画(面積)が10
0aの圃場を用いて2つの水口にそれぞれ本発明の液体
施用器1(50リットル)1個を設置して下記の試験方
法により穂肥施肥の施用試験を行った。
【0044】(試験方法) 供試品種:ゆきの精(早生) 圃場規模:130m×80m(100a) 灌漑様式:パイプ灌漑、水口2ケ所 実施時期:1回目穂肥;96年7月上旬 供試肥料と施肥量:液体肥料(商品名;くみあい液肥
1号、コープケミカル(株)製)、50リットル×2 施用方法:無湛水状態(おおむね水が引けた状態)で
約300分かけて液体肥料を本発明の液体施用器1から
流出させ、同時に灌漑用水を1ケ所あたり0.75m3
/分の流速で流入させ、液体肥料の流出終了と同時に灌
漑用水の流入を終了させた。 調査項目:施肥直後の液体肥料の拡散状況[施肥終了
直後に予め設定しておいた調査地点20箇所の水を採取
して液体肥料の拡散状況をECメータでEC値(導電
率、ms/cm)を測定して判定した。] 試験結果を図4に示す。
【0045】(試験結果)図4に示すように液体肥料の
拡散状況をEC値の最高、最低、平均(単位ms/c
m)の順でみると、0.36、0.27、0.31であ
り、その変動係数は6.5と低く、液体肥料は均一に拡
散していた。
【0046】(実施例3)(2回目の穂肥) 実施例2と同様にして本発明の液体施用器1(パイプの
口径:1.9mm、h=11.5cm)2個を用いて、
96年7月下旬に実施例2と同一の圃場における2回目
の穂肥施用試験を行った。試験方法は実施時期以外は実
施例2と同様である。試験結果を図5に示す。
【0047】(試験結果)図5に示すように液体肥料の
拡散状況をEC値の最高、最低、平均(単位ms/c
m)の順でみると、0.31、0.23、0.28であ
り、その変動係数は7.1と低く、液体肥料は均一に拡
散していた。
【0048】(実施例4)(1回目の穂肥) 本発明の液体施用器1(パイプの口径:1.9mm、h
=11.5cm)1個を用いて、実施例2、実施例3と
は別の圃場における1回目の穂肥施用試験を行った結果
について述べる。図6に示した125m×40mの水田
の区画(面積)が50aの圃場を用いて1つの水口に本
発明の液体施用器1(50リットル)1個を設置して下
記の試験方法により穂肥の施用試験を行った。
【0049】(試験方法) 供試品種:わせじまん(早生) 圃場規模:125m×40m(50a) 灌漑様式:パイプ灌漑、水口1ケ所 実施時期:1回目穂肥;96年7月上旬 供試肥料と施肥量:液体肥料(商品名;くみあい液肥
1号、コープケミカル(株)製)、50リットル 施用方法:無湛水状態(おおむね水が引けた状態)で
約300分かけて液体肥料を本発明の液体施用器1から
流出させ、同時に灌漑用水を0.9m3 /分の流速で流
入させ、液体肥料の流出終了と同時に灌漑用水の流入を
終了させた。 調査項目:施肥直後の液体肥料の拡散状況[施肥終了
直後に予め設定しておいた調査地点15か所の水を採取
して液体肥料の拡散状況をECメータでEC値(ms/
cm)を測定して判定した。] 試験結果を図6に示す。
【0050】(試験結果)図6に示すように液体肥料の
拡散状況をEC値の最高、最低、平均(単位ms/c
m)の順でみると、0.23、0.17、0.20であ
り、その変動係数は10.0と低く、液体肥料は均一に
拡散していた。
【0051】(実施例5)(2回目の穂肥) 実施例4と同様にして本発明の液体施用器1(パイプの
口径:2.2mm、h=11.5cm)1個を用いて、
96年7月下旬に実施例4と同一の圃場における2回目
の穂肥施用試験を行った。試験方法は、実施時期を変え
た点および施用方法において水深2〜3cmの湛水状態
の水田に約240分かけて液体肥料を流出させ、同時に
灌漑用水を0.9m3 /分の流速で流出させた点以外は
実施例4と同様である。試験結果を図7に示す。
【0052】(試験結果)図7に示すように液体肥料の
拡散状況をEC値の最高、最低、平均(単位ms/c
m)の順でみると、0.27、0.18、0.23であ
り、その変動係数は13.0と低く、液体肥料は均一に
拡散していた。流入時の田面水の有無と液体肥料拡散状
況の差異を細かくみると、1回目の無湛水状態での流し
込みに比べ2回目のひたひた水湛水状態では水口側、水
尻側の差がやや拡大し水尻側が多少希薄になっていた。
このことから流し込み時には田面水のない方が均一に拡
散すると判断されるが、施肥直後におけるこの程度の変
動は実際上は問題ない。
【0053】(比較例1)比較のために、実施例1〜5
で用いた液体肥料20リットルを図8に示した20a規
模圃場の1つの水口に一挙に投入して大量の灌漑水で溶
かしながら流入して水深7cmとし、1日後の液体肥料
の拡散状況をECメータでEC値(ms/cm)を測定
して判定した結果を図8に示した。また、顆粒状肥料2
5kgを図9に示した20a規模圃場の1つの水口に一
挙に投入して大量の灌漑水で溶かしながら流入して水深
7cmとし、1日後の肥料の拡散状況をECメータでE
C値(ms/cm)を測定して判定した結果を図9に示
した。図8、図9から、いずれの場合も1日後のEC値
には大きなバラツキがあり、均一に拡散していないこと
が判る。
【0054】以上のように、圃場規模の異なる二つの水
田(100aおよび50a)において本発明の液体施用
器1を使用した液体肥料の水口流入試験を行った結果
(実施例1〜5)、液体肥料は圃場の大小に関係なく極
めて均一に拡散していた。これに対して、従来の方法
(比較例1)ではバラツキが大きく、均一に拡散しな
い。
【0055】
【発明の効果】本発明の液体施用器は液体を一定の速度
で定量的に流出させ、所定の時間で流出させることがで
きるので、各種の用途に使用することができる。例え
ば、本発明の液体施用器を用いて、定量的に流入してい
る潅漑用水に、肥料や農薬等の農業用の有用成分を溶解
した溶液などをその施用速度を精度よくコントロールし
て混入すれば省力、低コストで容易に均一に水田へ有用
成分を施用することができる。
【0056】コック付きの流出管路と流量調整用パイプ
の接続部は市販もされているワンタッチ方式の構造の接
続部が好ましく、ワンタッチ方式の構造の接続部を用い
ると付属品として用意してある種々の流出孔を有する流
量調節用パイプに簡単に取替えでき、便利である。
【0057】本発明の液体施用器の上部の容器開口部に
金網、濾布などの濾過器を設けるとごみの侵入を防ぐこ
とができ、コックや流出孔が詰まることがなくなる。な
お、濾過器の金網や濾布は取り外し可能に装着されてい
るものが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液体施用器の一実施形態の断面説明
図である。
【図2】 市販の接続部の断面説明図である。
【図3】 流出量と流出時間との関係を示すグラフであ
る。
【図4】 100aの現場圃場における1回目の穂肥施
用試験を行った時の施用直後の液体肥料の拡散状況を示
す説明図である。
【図5】 100aの現場圃場における2回目の穂肥施
用試験を行った時の施用直後の液体肥料の拡散状況を示
す説明図である。
【図6】 50aの現場圃場における1回目の穂肥施用
試験を行った時の施用直後の液体肥料の拡散状況を示す
説明図である。
【図7】 50aの現場圃場における2回目の穂肥施用
試験を行った時の施用直後の液体肥料の拡散状況を示す
説明図である。
【図8】 液体肥料を20a規模圃場の1つの水口に一
挙に投入して大量の灌漑水で溶かしながら流入した時の
1日後の肥料の拡散状況を示す説明図である。
【図9】 顆粒状肥料を20a規模圃場の1つの水口に
一挙に投入して大量の灌漑水で溶かしながら流入した時
の1日後の肥料の拡散状況を示す説明図である。
【図10】 従来の液体施用タンクの断面説明図であ
る。
【符号の説明】
1 液体施用器 1A タンク 2 入気管 3 コック 4 サイホンチューブ 5 ゴム栓 6 流出口 7 流出管路 8 流出孔 9 パイプ 10 接続部 11 蓋 12 容器開口部 13 濾過器 14 取付部材(フィッティング) 15 取っ手 16 目盛 17 ゴムパッキン 18 ホースニップル 19 ツメ付きリング 20 パイプロックナット

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部より空気を導入するための入気管が
    容器下部まで挿入され、下部にコック付きの流出管路を
    備えた蓋付密閉液体施用器であって、前記流出管路の先
    端に流量調整用の流出孔を有するパイプを接続部を介し
    て着脱可能に連結するとともに、この接続部は前記パイ
    プと流出孔の口径を異にする付属品として用意されてい
    る2種類以上のパイプから選択される他のパイプに必要
    に応じて取替えて連結できるような構造になっているこ
    とを特徴とする液体施用器。
  2. 【請求項2】 前記接続部はパイプの取替えがワンタッ
    チでできる構造になっていることを特徴とする請求項1
    記載の液体施用器。
  3. 【請求項3】 蓋付容器開口部に濾過器を取り付けたこ
    とを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の液体施
    用器。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3記載の液体施用
    器を用い、有用成分を溶解した溶液を定量的に流出さ
    せ、定量的に流入している潅漑用水に混入し、水田の潅
    漑時間に合わせて有用成分を溶解した溶液の必要量を流
    出させることを特徴とする水田への施用方法。
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