JPH11166875A - 密封容器の内圧検査方法及び内圧検査装置 - Google Patents

密封容器の内圧検査方法及び内圧検査装置

Info

Publication number
JPH11166875A
JPH11166875A JP33611597A JP33611597A JPH11166875A JP H11166875 A JPH11166875 A JP H11166875A JP 33611597 A JP33611597 A JP 33611597A JP 33611597 A JP33611597 A JP 33611597A JP H11166875 A JPH11166875 A JP H11166875A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peak
value
internal pressure
sealed container
electric signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP33611597A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihide Nomura
俊秀 野村
Hideo Ito
英雄 伊東
Mitsuo Yokoyama
満男 横山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP33611597A priority Critical patent/JPH11166875A/ja
Publication of JPH11166875A publication Critical patent/JPH11166875A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Fluid Pressure (AREA)
  • Examining Or Testing Airtightness (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】缶等の密封容器の振動による音圧信号から、よ
り確実に缶の内圧状況を把握することができる密封容器
の内圧検査方法及び検査装置を提供する。 【解決手段】 選別判定システム1は、缶Cから発せら
れる音圧信号を変換した電気信号を処理する増幅器4、
FFT変換手段5、帯域フィルタ6、6、ピーク検出手
段7、7、レベル判定手段8、判定演算手段9とを備え
ている。このうち、帯域フィルタ6、6は入力された電
気信号を低周波域と高周波域とに分割し、ピーク検出手
段7、7が、それら各周波域のピークレベルP1、P2
をそれぞれ検出する。レベル判定手段8は、これら2つ
のピークのうちより大きいレベル値をもつピークを基準
ピークとして、最終的に判定演算手段9において、この
最大レベル値をもつピークの周波数を代表値fとして、
予め定められた設定値fsとの大小を比較する事によっ
て、缶Cの選別を行うようになされているものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、清涼飲料水等を封
入したアルミニウム等の金属製密封容器の内圧を検査す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】密封容器(以下缶とよぶ)の内圧検査に
おいては、従来より、その缶の固有振動数が内圧により
変化することを利用した検査方法が用いられていた。す
なわち、作業員が内容物を封入した缶を棒等により直接
叩き、その反響音を聞いて内圧の状態を想定することに
よって、適正、不良それぞれの缶を選別する方法がとら
れていた。この方法は、複雑な装置などは不要な反面、
作業員の職人的な能力が必要となってくるため、その作
業員の養成が必要であるということ等を鑑みた場合、比
較的手間のかかる品質管理方法であったといえる。
【0003】したがって、コスト競争力をあげるために
缶内圧に関する品質検査を自動化するような装置が開
発、提供されてきている。これら装置の具体的な例とし
ては、例えば、特開昭49-34376号公報、特開昭53-81284
号公報、特開昭57-19634号公報等に示されているものが
あげられる。これらの装置が利用する缶内圧の状況を知
るための原理は、さきに述べた作業員による缶選別のも
のと全く同等のものである。つまり、内圧の異なる缶に
おける固有振動数の相違を基準として、適正品、不良品
の選別を行うという原理をそのまま利用し、従来まで作
業員の耳に頼ってきた作業を、機械的、電気的に判断す
る内圧検査装置に置き換えることによって、自動化が図
られた構成となっているものである。
【0004】上記にあげた従来各種の自動内圧検査装置
による自動選別では、缶から帰ってくる音圧信号から、
適正品、不良品の選別に必要な信号として何を選択し、
かつそれをどうのように解釈するかに各発明の工夫が見
られるものである。例えば、特開昭53-81284号公報で
は、缶が共振する周波数、つまりピークがみられる周波
数のうちで低周波側に属するf1、f2(f2<f1)なる
2つの周波数を選び出し、その差f2−f1が、缶内圧が
低下した場合にみられる同様な周波数の差f′2−f′1
(f′2<f′1)よりも大きいことを利用し、これを基
準として適正品と不良品との選別を行うようになされて
いるものである。
【0005】また、特開昭57-19634号公報の内圧検査方
法では、最大レベル値をもつピークの周波数を基本周波
数として、まず、この最大レベル値及び基本周波数がそ
れぞれ基準値と比較されて1段階目の缶の選別が行われ
るとともに、続けてこれら最大レベルと基本周波数に予
め定められた乗数α、γを乗算することにより求められ
る高調波域の信号レベル及び周波数を割り出し、これら
が実測値と比較されることによって、2段階目の選別が
行われるようになされているものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、様々な
手段を用いた缶の内圧検査方法及びそれに付随する装置
が提供されているが、このように缶からの音圧信号を基
にして自動選別を行うという方法では、まず、音圧信号
の中から適正品、不良品の選別に有用な信号をどのよう
に選び出してくるかという困難さを伴う。というのは、
缶の固有振動数がその内圧の関数として理論的には定め
られるとしても、実際に計測にかかる音圧信号をスペク
トル分解すると、一次、二次程度の共振周波数はほぼ確
実に認めることができるものの、そこには外乱を含む多
種多様なその他の信号が含まれていることが普通であ
る。したがって、このような信号の中から、適正品と不
良品を選別するための有用な情報を選び出すということ
には必ず困難が生じることとなる。また、缶の選別をい
ざ行うにあたっては、上記のように選び出した信号をど
う解釈するかということに、その選別の精度が大きく依
存するために、この解釈方法も重要であるということが
できる。
【0007】このような信号の選択、解釈手法につい
て、従来提供されてきた自動装置に即して具体的に言え
ば、例えば、上で簡単に原理を説明した特開昭53-81284
号公報においては、それが着目する2つの値f2−f1
f′2−f′1との差が、実際の計測上ではきわめて小さ
いという欠点をもっている。したがって、この差を見極
めることは事実上難しい場合が多く、選別精度はすでに
ある限界を抱えていることとなり、それ以上の精度を求
めようとするときにはこの方法では多少問題があった。
さらに、特開昭57-19634号公報においては四次の高調波
に着目している点で、これがきわめて小さいレベル値を
もつ信号であることから、缶内圧が極端に負圧、正圧と
変化している場合などの検査には非常に有効ではある
が、例えば、正の圧力を与えられた缶に対して、その正
の領域内での微妙な圧力差が問題となる場合には、やや
問題のある検査方法であるということがいえる。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、缶の内圧に関して、その
適正品と不良品との選別を行うために、缶の振動による
音圧信号から、より確実に缶の内圧状況を把握すること
ができる密封容器の内圧検査方法及び内圧検査装置を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、以下の手段をとった。すなわち、本発明の
密封容器の内圧検査方法は、密封容器に対して強制的な
振動力を与え、これにより発生した前記密封容器の振動
により外界に引き起こされた音圧信号を受け、これを電
気信号に変換し、該電気信号において、低周波域に属す
るもののうち最大のレベル値をもつ第1のピークと、高
周波域に属するもののうち最大のレベル値をもつ第2の
ピークとを検出するとともに、それら双方のレベル値を
比較し、これらの内で該レベル値の大きい方を基準ピー
クとして選択し、該基準ピークの周波数値を前記密封容
器の代表値として、該代表値が予め定めた設定値よりも
大きい場合に、前記密封容器の内圧を適正と判断するこ
とを特徴とする。
【0010】これによれば、音圧信号の中から缶選別に
有用な情報、すなわち代表値を選びとる手順はきわめて
容易であって、かつ明快で確実であるということができ
る。そして、このような代表値が、予め定めた設定値よ
りも大きい場合には、前記密封容器の内圧を適正と判断
する検査方法であることから、明瞭かつ確実に適正品、
不良品の判別が可能な検査方法であるということができ
る。
【0011】また、前記の密封容器の内圧検査方法にお
いて、前記密封容器の内圧が正の値をもつことを特徴と
する。
【0012】これによれば、密封容器の内圧は正の圧力
をもつこととされるから、適正品、不良品の選別は、こ
の正の範囲内で、しかも比較的狭い範囲内において行わ
れることとなるが、本発明の密封容器の内圧検査方法
は、上述したように代表値を明快で確実に選択すること
が可能であるとともに、適正品、不良品の判別も明瞭か
つ確実であることから、このような状況にあっても、有
効な缶選別が可能となる。
【0013】また、本発明における密封容器の内圧検査
装置は、密封容器の振動により外界に引き起こされた音
圧信号を電気信号に変換したものに対して、低周波域に
属する前記電気信号において最大のレベル値をもつ第1
のピークと、高周波域に属する前記電気信号において最
大のレベル値をもつ第2のピークとを検出するピーク検
出手段と、前記第1のピーク及び第2のピーク双方のレ
ベルを比較し、これらのうちでレベル値の大きい方を基
準ピークとして選択するレベル判定手段と、前記基準ピ
ークの周波数値を代表値として認定し、該代表値が予め
定めた設定値よりも大きい場合に、前記密封容器の内圧
を適正と判断する判定演算手段とを少なくとも構成要素
としていることを特徴とする。
【0014】ここに記した密封容器の内圧検査装置は、
上記の内圧検査方法を実現するためのもっとも好適な装
置であるということができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下では、本発明の実施の形態に
ついて、図を参照して説明する。図1において、1は選
別判定システム、2は加振ヘッド、3は集音装置、Cは
缶である。缶Cは、コンベア50に載置された状態で流
され、その製造行程の最終段階として、缶選別の判定を
受ける。
【0016】加振ヘッド2は、中空部2aをもつ磁性体
により構成されており、その内部に図示しない電源に繋
がれたコイル2bを備えている。この加振ヘッド2のコ
イル2bは、その図示しない電源により電圧を印加され
ることによって電流が流され、これによりその周囲に磁
界Bを発生させる。缶Cは、この磁界Bと缶C、特に蓋
Ctとの相互作用により振動させられることとなる。な
お、本実施形態では、この磁界Bの発生が瞬時となるよ
うに、コイル2bに供給される電流はパルス状となるよ
うになされている。
【0017】集音装置3は、加振ヘッド2の上方に設け
られ、上記のように発生した缶Cの振動、主には蓋Ct
の振動により外界に引き起こされた音の変化、つまり、
音圧信号を拾うために設けられている。そして、集音装
置3は、この受け取った音圧信号を電気信号に変換す
る。ちなみに、この音圧信号は、さきに説明した加振ヘ
ッド2の中空部2aを通って、集音装置3に届くもので
ある。
【0018】選別判定システム1は、図1に示すよう
に、上記のように集音装置3によって音圧信号を電気信
号に変換されたものを、電気的に処理し、缶Cの内圧の
状況を最終的に判定するために設けられているものであ
る。この選別判定システム1には、まず、集音装置3か
ら取り出される生の電気信号を増幅するための増幅器4
が置かれている。そして、この増幅された電気信号を後
の処理を容易にするために、別の電気信号に変換するた
めのFFT変換手段5が設けられている。これは、与え
られた電気信号に対して、サンプリング点を1024点採取
し、これらの点に対して高速フーリエ変換(FFT)を
施すものである。
【0019】次に、上記変換された電気信号を受けて、
その低周波域及び高周波域をそれぞれ濾波する帯域フィ
ルタ6、6が備えられている。これにより、入力された
電気信号は、予め設定された低周波の帯域内に存在する
信号と、高周波の帯域内に存在する信号とに別々に振り
分けられることとなる。そして、これらの別個の周波数
帯域に属する信号をそれぞれ受けて、各周波数帯のうち
最大レベル値をもつ信号を選び出すピーク検出手段7、
7が設けられている。これにより、低周波域最大ピーク
(第1のピーク)P1及び高周波域最大ピーク(第2の
ピーク)P2が検出されることとなる。
【0020】レベル判定手段8は、上記の低周波域最大
ピークP1と高周波域最大ピークP2との双方のレベル
値を比較し、これらの内で高い方を基準ピークPとして
選択する。この基準ピークPの周波数値は、次の判定演
算手段9に送られる。判定演算手段9は、その基準ピー
クPの周波数値を参照し、これをその時点にて検査対象
とされている缶Cの代表値fとして認定する。最終的に
缶Cが適正品であるか不良品であるかの選別は、この代
表値fと予め判定演算手段9に入力されている設定値f
sとの比較により行われる。つまり、代表値fが設定値
fsよりも大きい場合は適正品との判断が下され、この
逆の場合は不良品との判断が下されるものである。
【0021】ところで、上記の設定値fsとは、以下の
ように決められているものである。図2から図4は、各
種の内圧を与えられたアルミニウム製の試験缶を前もっ
て準備し、これらの各内圧に対する振動特性を調べた結
果を示すグラフである。これらのグラフは、横軸に缶の
内圧、縦軸に周波数をとっており、グラフ上の各点は、
様々な内圧をもつ各試験缶において、上記選別判定シス
テム1にて決定されるような低周波域最大ピークP1の
周波数値(図2)、高周波域最大ピークP2の周波数値
(図3)、そして基準ピークPの周波数値、つまり代表
値f(図4)がどのようなものであったかを示してい
る。
【0022】図2及び図3は、上記の試験缶において、
それぞれの内圧における低周波域最大ピークP1と高周
波域最大ピークP2とがどのように観測されたかを示し
ている。これらの図2及び図3と図4とを比較してわか
るように、それぞれの缶の内圧において、低周波域最大
ピークP1と高周波域最大ピークP2とのうち、どちら
が大きいレベル値をとったかが、試験缶の内圧に応じて
変化していることがわかる。例えば、缶内圧0kg/cm2
おいては、低周波域最大ピークP1が基準ピークPとし
て選ばれている。つまり、缶内圧0kg/cm2のときは、低
周波域最大ピークP1のレベル値が高周波域最大ピーク
P2のそれよりも大きく観測されたことを示している。
また、缶内圧が正の内圧をもつ場合には、概ね高周波域
最大ピークP2が基準ピークPとして選択されているこ
とがわかる。
【0023】このようにプロットされる試験缶に関する
代表値fの分布は、図4に示すように、内圧に対して全
体的に右上がりの状態であることが読み取れることか
ら、缶内圧が大きければ、代表値fも大きくなる傾向が
うかがえることがわかる。また、その右上がりの傾きも
急なものとなることがわかる。
【0024】ところで、本実施形態では、適正品と不良
品との区別として、後述するように、その缶Cの内圧が
0kg/cm2である場合を不良品、そうでない場合を適正品
として扱うこととしている。したがって、図4上におい
て、原点を通る縦軸上の点に示される缶Cはすべて不良
品ということになる。このとき、これら不良品の代表値
fの中で、観察されたもののうち最も大きな周波数を通
る水平線Sを引くとする。すると、その水平線Sより上
部の領域には、適正品としてプロットされる点、すなわ
ち、内圧が0kg/cm2を越える缶のほとんどの点が属して
いることがわかる。これは、グラフ上の点が、先述した
ように全体として右上がりの状態となっており、かつそ
の傾きが急であることから自ずと導かれる帰結である
が、このような缶内圧の変化による振動特性の性質を利
用して、適正品、不良品の選別が可能となる。つまり、
水平線Sが引かれる上記した周波数、ここでは約2250H
zを設定値fsとすれば、これを上回る代表値fが計測
される缶は適正品、逆にこれを下回るものは不良品とし
て判別することが可能となる。
【0025】上記のような構成となる缶選別の装置を利
用した適正品、不良品の選別は以下のようになされる。
ところで、本実施形態では、缶Cとしてアルミニウム製
のものを想定し、これにコーヒーなど殺菌処理が必要な
内容物を封入する場合について説明する。このとき、缶
の内圧は正の値をもつこととなり、缶選別はこの正の範
囲内において行われることとなる。本発明は、このよう
な状況において最も好適な缶選別が実現される方法であ
るといえる。
【0026】まず、缶Cそのものを構成する工程につい
て簡単に説明する。広い面積をもったアルミニウムの圧
延板を用意し、この板について円形の打ち抜き加工を施
す。このように形成された円板を、さらに円筒状となる
ように塑性加工する。そして、この円筒状の開口部にか
えしCr(図1参照)を形成しておき、内部にコーヒー
を封入した後に、別の工程を経て形成された円板状の蓋
Ctの周縁が、上記かえしCrに巻き付けられるように
する。このようにして円筒状部材と蓋とが一体化され缶
Cとなる。なお、上記のコーヒー封入の際には、その温
度が90℃程度とされるとともに、後述する理由により
窒素ガス(N2)も同時に封入されるものとする。そし
て、このときの缶Cの内圧は1.2kg/cm2程度の正圧とさ
れ、これが缶Cの初期内圧となる。
【0027】このように形成された缶Cは、その内容物
(コーヒー)の性質からして、さらに殺菌を必要とし、
これを実現するために殺菌工程が上記工程に加えて設け
られる。この殺菌は、内容物を含んだ上記の缶Cをレト
ルト容器内に設置し、125℃程度の高温、かつ高圧下
にさらすことで行われるものである。しかし、このとき
に缶Cの内部は、高温下による気体の膨張を伴って、そ
の内圧を上昇させることになる。ちなみに、このときの
内圧は6.0kg/cm2程度となり、蓋Ctは膨張してドーム
形状となる。その後、レトルト容器内の温度低下に伴っ
て、缶内圧は下降し、ほぼ初期状態の内圧であるところ
の1.2kg/cm2程度へと戻ることになる。
【0028】ところで、本実施形態のように缶Cがアル
ミニウム製である場合には、上記のように、缶Cの内圧
が常に正に保たれるように配慮される。これは缶内圧を
正圧に保つことで、缶Cの変形に抗する強度を十分と
し、表面にへこみ等が形成されないようにするためであ
る。また、このように缶内圧が正圧であれば、外部から
の雑菌を吸い込む事などがなくなり、衛生的な面での品
質においても寄与することとなる。先述したコーヒー封
入の際に、窒素ガスも同時に充填しておくという意味
は、このような事情を背景としており、缶Cの内圧を正
圧に保つために、缶C内の気体量を確保しておく意味が
込められている。また、缶内圧が0kg/cm2で不良品であ
るという先述した選定基準も、同様な意味をもつものと
して設けられている。
【0029】以上の過程を経た缶Cが、コンベヤ50に
載置され缶選別を受ける工程へと送られる。ここでは、
加振ヘッド2により缶Cが振動を強制されるとともに、
その振動による音圧の変動を集音装置3が受け取る。集
音装置3は、この音圧信号を電気信号として出力し選別
判定システム1に送る。この選別判定システム1では、
まず、増幅器4によりその電気信号が増幅され、続いて
FFT変換手段5により増幅された電気信号がフーリエ
変換される。この段階まで処理された電気信号は、例え
ば、図5から図7に示すようなものとなる。ここで、こ
れらの図5、図6及び図7は、缶Cの内圧がそれぞれ0
kg/cm2、0.6kg/cm2、0.9kg/cm2であった場合の各電気信
号の様子を示しているものである。図5においては、ピ
ークと呼べるものは一つのみ観測されており、この場合
の共振周波数は1つであることがわかるが、図6、図7
においては、二つのピークが観測されていることがわか
る。
【0030】上記の電気信号は帯域フィルタ6、6に入
力され、低周波域の信号と高周波域の信号とに分割され
る。なお、このとき本実施形態においては、これら低周
波域と高周波域の境界Wを、図5から図7に示すよう
に、2350Hzとして定め、そこから低い方に1170Hz分
の周波数帯域を低周波数域L、逆に高い方に1170Hz分
の周波数帯域を高周波数域Hとして設定している。帯域
フィルタ6、6はこのような帯域が予め設定されてお
り、これらに従って電気信号は低周波域Lと高周波域H
とに分割される。
【0031】次に、これら低周波域L、高周波域Hの信
号はピーク検出手段7、7により、それぞれの帯域にお
けるレベル最大値をもつ低周波数域最大ピークP1、高
周波数域最大ピークP2が求められ、レベル判定手段8
によってこれらのうちより大きいレベル値をもつ方を基
準ピークPとして選択する。
【0032】例えば、図5においては、低周波域Lに明
らかに最大レベルと認められるピークが認められるが、
この場合における基準ピークPの判定手順を具体的に述
べると以下のようになる。まず、低周波域L側のピーク
検出手段7によって、さきに述べたピークが低周波域最
大ピークP1とされる。またこれと同時に高周波域H側
のピーク検出手段7によって、高周波域最大ピークP2
を便宜上検出し、これらがレベル判定手段8により比較
されることによって、この低周波域最大ピークP1が基
準ピークPとして判定されることになる。また、図7に
おいては、高周波域Hにおいて二つのピークが確認さ
れ、これらのうちからレベル値の大きい方が、高周波域
H側のピーク検出手段7によって、高周波域最大ピーク
P2とされる。最終的には、図7に示すように、低周波
域Lにはこの高周波域最大ピークP2のレベル値を越え
るピークがないことから、この高周波域最大ピークP2
が、基準ピークPとして判定されることとなる。なお、
図6においても同様な手順をふんで基準ピークPが判定
される。
【0033】最後に、判定演算手段9により上記の基準
ピークPの周波数値を代表値fと認定し、この代表値f
と設定値fsとが比較演算され、f>fsなら適正品、
f<fsなら不良品と判定が下されることになる。な
お、この際設定値fsの値は、さきに説明したように、
試験缶の内圧0kg/cm2で観察される代表値の中の最大値
としたが、より安全サイドの値をとることを考えれば、
これよりは若干大きい周波数の値を設定値としてとって
もよい。図4には本実施形態における実際の設定値f
s′が、2300Hzとされ、fs′>fsとなるようにと
られていることを示している。本実施形態においては、
このように設定値fsを安全サイド側にシフトしたf
s′を設定値として、缶Cの選別を行うようになされて
いる。
【0034】このように、本実施形態における缶Cの内
圧検査方法は、低周波域L及び高周波域Hのピークを検
出した後に、これらのレベル値を比較して大きい方のピ
ークの周波数を打表値fとし、これを基準に缶Cの選別
が行われるようになされているものである。したがっ
て、代表値f確定手順は、予め明確に区分けされた低周
波域Lと高周波域Hの中にそれぞれ含まれるピークレベ
ルを単純に比較するという方法であることから、一次、
二次の共振周波数の差が問題となったり、より高次な高
調波の存在が問題とされるような検査方法ではない。こ
れらの方法と比較した場合、本実施形態では、缶選別を
行うための有用で信頼度の高い情報、すなわち代表値f
が、より確実に選定されることがわかる。また、上記の
ピークレベルは、缶の振動により観察される音圧信号の
中において、少なくとも一つは観察されるという事情も
上記の効果に寄与するものと考えられる。
【0035】そして、この代表値fと内圧0kg/cm2の試
験缶の最大代表値、つまり設定値fsとを比較して、図
4の結果を基に、f>fsのとき適正品、逆の場合には
不良品として判定することから、非常に明瞭な検査方法
であるといえるとともに、確実に不良品の選別検査を行
う事が可能となる。
【0036】なお、本実施形態においては、コーヒーを
封入するアルミニウム缶の製造工程を想定した記述がな
されているが、本発明はこのことに関して特に限定され
るものではない。例えば、スチール缶であっても、図4
と同様な試験を予め行うことによって、該スチール缶に
おける設定値fsを定めておけば、同様な検査を実行す
る事が可能である。
【0037】また、帯域フィルタ6、6における低周波
域L及び高周波域Hの帯域幅に関しては、本実施形態に
おいて具体的な数字が挙げられていたが、これは検査し
ようとする缶Cの態様、具体的には、缶Cの肉厚、容積
等の要因の変化によって、その都度任意に設定可能なも
のである。つまり、低周波域Lと高周波域Hとを区分け
する境界Wを3000Hzとしてもよいし、また、低周波域
Lと高周波域Hが境界Wをもたずに、不連続な帯域とし
て設定されていてもよい。もちろん、帯域のバンド幅も
基本的に任意である。
【0038】上記事情に関連して、設定値fsも本実施
形態においては、2300Hzという具体的な数字が記述さ
れてはいるが、缶Cの製造に対する安全係数の考え方、
生産方針などによって任意に設定可能なものである。
【0039】さらに、本実施形態における選別判定シス
テム1は、増幅器4、FFT変換手段5、帯域フィルタ
6、ピーク検出手段7、レベル判定手段8、判定演算手
段9から構成されていたが、本発明においては、これら
の各構成要素がハードウェア的に構成されていてもよい
し、ソフトウェア上で各電気信号が演算されて、それぞ
れの機能が実現されるような形態とされていてもよい。
また、ハードウェアとソフトウェアが共存するようなも
のであってもよい。つまり、例えば、増幅器4、FFT
変換手段5には、それぞれ単能のハードウェアが割り当
てられて電気信号が処理されるのに対して、その後の帯
域フィルタ6以降の処理に関しては、電気信号をすべて
コンピュータに引き渡し、該コンピュータ上に予め入力
されたプログラムにより演算処理されて、各構成要素の
結果が得られるような構成とされていてもよい。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の密封容器
の内圧検査方法は、低周波域及び高周波域それぞれに属
する電気信号において、両者のうちで大きいレベル値を
もつピークを、基準ピークとして選択し、この基準ピー
クの周波数値を代表値とすることから、音圧信号の中か
ら缶選別に有用な情報、すなわち代表値を選びとる手順
はきわめて容易であって、かつ明快で確実であるという
ことができる。また、缶の振動に起因する音圧信号の中
には、少なくとも必ず一つは大きなレベル値をもつピー
ク、つまり共振周波数が観測されるという事実も考慮す
れば、この代表値はより明快な情報であるということが
できる。
【0041】そして、上記のような代表値を基準とし
て、これと予め定めた設定値との比較によって適正な内
圧をもつ缶の選別が行われる検査方法であることから、
適正、不良の缶の選別を明瞭かつ確実に行う事が可能と
なり、品質面において信頼性の高い製品を市場に提供す
る事が可能となる。また、これに加えて、自動装置であ
ることによる検査の迅速化も期待できる事から、品質管
理のコストは低減され、ひいては製造コストの競争力を
高めることが可能となる。
【0042】また、缶の内圧が正の値をもつようなもの
とされ、缶の選別がこの正の範囲内で、かつ比較的狭い
範囲内において行われなければならない際に、上記の内
圧検査方法は、もっとも有効な方法であると言えるとと
もに、この方法を採用することによって、上記した高信
頼性の製品提供等の効果を享受することができる。ちな
みに、缶が正の値をもつ場合とは、実施の形態において
説明したように、アルミニウム製の缶の内圧検査を行う
場合等において見られるケースである。
【0043】また、本発明による密封容器の内圧検査装
置は、上記のような検査方法を実現するための最も好適
な装置であるということができ、該内圧検査装置によ
り、上記した品質面における信頼性の高い製品提供など
の効果を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における缶選別方法を可能とする好適
な実施形態を示す説明図である。
【図2】 缶の内圧と本明細書において定義される低周
波域最大ピークとの対応関係を示すグラフである。
【図3】 缶の内圧と本明細書において定義される高周
波域最大ピークとの対応関係を示すグラフである。
【図4】 缶の内圧と本明細書において定義される代表
値との対応関係を示すグラフである。
【図5】 缶の振動に起因する音圧信号を、電気信号に
変換したときの波形図であって、缶の内圧が0kg/cm2
場合の波形図を示している。
【図6】 缶の振動に起因する音圧信号を、電気信号に
変換したときの波形図であって、缶の内圧が0.6kg/cm2
の場合の波形図を示している。
【図7】 缶の振動に起因する音圧信号を、電気信号に
変換したときの波形図であって、缶の内圧が0.9kg/cm2
の場合の波形図を示している。
【符号の説明】
7 ピーク検出手段 8 レベル判定手段 9 判定演算手段 f 代表値 fs 設定値 C 缶(密封容器) P1 低周波域最大ピーク(第1のピーク) P2 高周波域最大ピーク(第2のピーク) P 基準ピーク L 低周波域 H 高周波域

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密封容器に対して強制的な振動力を与
    え、 これにより発生した前記密封容器の振動により外界に引
    き起こされた音圧信号を受け、これを電気信号に変換
    し、 該電気信号において、低周波域に属するもののうち最大
    のレベル値をもつ第1のピークと、高周波域に属するも
    ののうち最大のレベル値をもつ第2のピークとを検出す
    るとともに、それら双方のレベル値を比較し、 これらの内で該レベル値の大きい方を基準ピークとして
    選択し、該基準ピークの周波数値を前記密封容器の代表
    値として、 該代表値が予め定めた設定値よりも大きい場合に、前記
    密封容器の内圧を適正と判断することを特徴とする密封
    容器の内圧検査方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の密封容器の内圧検査方法
    において、 前記密封容器の内圧は正の値をもつことを特徴とする密
    封容器の内圧検査方法。
  3. 【請求項3】 密封容器の振動により外界に引き起こさ
    れた音圧信号を電気信号に変換したものに対して、低周
    波域に属する前記電気信号において最大のレベル値をも
    つ第1のピークと、高周波域に属する前記電気信号にお
    いて最大のレベル値をもつ第2のピークとを検出するピ
    ーク検出手段と、 前記第1のピーク及び第2のピーク双方のレベルを比較
    し、これらのうちでレベル値の大きい方を基準ピークと
    して選択するレベル判定手段と、 前記基準ピークの周波数値を代表値として認定し、該代
    表値が予め定めた設定値よりも大きい場合に、前記密封
    容器の内圧を適正と判断する判定演算手段とを少なくと
    も構成要素としていることを特徴とする密封容器の内圧
    検査装置。
JP33611597A 1997-12-05 1997-12-05 密封容器の内圧検査方法及び内圧検査装置 Pending JPH11166875A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33611597A JPH11166875A (ja) 1997-12-05 1997-12-05 密封容器の内圧検査方法及び内圧検査装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33611597A JPH11166875A (ja) 1997-12-05 1997-12-05 密封容器の内圧検査方法及び内圧検査装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11166875A true JPH11166875A (ja) 1999-06-22

Family

ID=18295854

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33611597A Pending JPH11166875A (ja) 1997-12-05 1997-12-05 密封容器の内圧検査方法及び内圧検査装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11166875A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030086203A (ko) * 2002-05-02 2003-11-07 가부시키가이샤 히다치 하이테크놀로지즈 반도체처리장치 및 반도체처리장치의 진단방법

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030086203A (ko) * 2002-05-02 2003-11-07 가부시키가이샤 히다치 하이테크놀로지즈 반도체처리장치 및 반도체처리장치의 진단방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104918743B (zh) 接合状态检查方法
CN105629100A (zh) 基于异常振动分析的gis机械缺陷诊断系统及方法
CN101907607A (zh) 瓷支柱绝缘子的缺陷检测方法
EP0983494B1 (en) Analyzing the internal pressure of containers
US4024522A (en) Acoustic emission system for welding flaw detection
US8717040B2 (en) Method for instantaneously determining rates of distortion of signals on an AC electrical network, and associated device
JP3438525B2 (ja) 打音判定装置
JPH11166875A (ja) 密封容器の内圧検査方法及び内圧検査装置
Zhang et al. Monitoring wire bonding via time-frequency analysis of horn vibration
JPH11173941A (ja) 密封容器の蓋
JP2004357758A (ja) 生体音検出データ処理装置、生体音検出データ処理方法及び生体音検出データ処理プログラム
JP2000131196A (ja) 発電機のリップルばねの緩み検査装置
JP4450127B2 (ja) 密封容器の内圧検査方法
JP2002148133A (ja) 密封容器の内圧検査方法及び装置
JPS62114786A (ja) 加工状態監視方法
JPH04320958A (ja) 製品の音響による検査方法
Luksa Correspondence between sound emissions generated in the GMA welding process and signals registered in the arc circuit
KR102219422B1 (ko) 세탁기 소음불량 검출시스템 및 이를 이용한 소음불량 검출 방법
JPH06242077A (ja) 振動検出装置における送電線路用碍子の振動付与方法
KR100765407B1 (ko) 검진기능을 갖는 능동형 진동측정 시스템
JPS6120837A (ja) ラビング検出方法
JPS63158427A (ja) タブ脱落缶詰の検出方法
JPH0953978A (ja) 発音体の検査方法
CN106954169B (zh) 一种声学产品的噪音测试方法及其系统
JPS59176629A (ja) 音響発生機器の音色検査方法及び装置

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20010710