JPH11160221A - 懸濁液の沈殿物の堆積量推算方法およびこの推算方法を記録した記録媒体 - Google Patents

懸濁液の沈殿物の堆積量推算方法およびこの推算方法を記録した記録媒体

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JPH11160221A
JPH11160221A JP32675697A JP32675697A JPH11160221A JP H11160221 A JPH11160221 A JP H11160221A JP 32675697 A JP32675697 A JP 32675697A JP 32675697 A JP32675697 A JP 32675697A JP H11160221 A JPH11160221 A JP H11160221A
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sedimentation
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particle
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Harumitsu Yanagimachi
治光 柳町
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 石炭粉末水混合物(CWM)などの懸濁液を
大型のタンクなどで貯蔵する際の固体粒子の沈降,堆積
について、大規模な実用実験を実施することなく十分な
精度で推算,予測できるようにする。 【解決手段】 懸濁液の固体粒子の沈降を、個々の粒子
ではなく、粒子全体の現象としてとらえ、固体粒子の平
均沈降速度を算出する数式を導き、これから堆積量を算
出する理論を確立した。この理論より、数百gの懸濁液
を用いた簡便な小型容器での実験で得られた測定データ
から、数万トンタンクなどの大型容器での堆積量等を推
算する。同様に、小型振動試験によって得られた測定デ
ータから、大型タンカーなどによる振動を伴う輸送中の
堆積量等も推算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、固体粒子が液体
中に分散した懸濁液を貯蔵するなどの際に、その固体粒
子が沈降し、それによって発生する堆積物の堆積速度や
堆積量などのパラメータを推算する方法に関する。本発
明での懸濁液としては、果汁,ヨーグルトなどの食品,
合成樹脂エマルジョン,塗料,接着剤,乳液,ローショ
ンなどの化粧品,原油,廃水汚泥,石炭粉末・水混合物
(CWM),石炭粉末・重油混合物(COM),し尿な
どを包含するものであり、固体粒子が単独または凝集し
て分散,存在し、これら粒子間で相互作用し合う程度の
固体混合物を言う。
【0002】
【従来の技術】この種の懸濁液を取り扱う上で、固体と
液体との比重差により発生する固体粒子の沈降はやっか
いな問題であり、大規模な貯蔵タンク,輸送船および配
管内等における堆積に対しての処理対策が必要となる。
そのため、こうした可能性のある懸濁液に対して堆積発
生量を抑える、いわゆる懸濁液の安定性向上のための品
質改善に多くの研究がなされている。また一方では、発
生することを前提にその予測を立て、然るべき対策設備
を設計に盛り込んだりしている。懸濁液の大規模、長期
間における堆積量の予測は重要であるが、普遍的な推算
方法は無く、個々に取り組み、予測を立てている。懸濁
液を扱う上で固体粒子の沈降速度の情報は重要であり、
堆積量の推算にも基本的に欠かせない。そのため、希薄
懸濁液中の単一粒子の挙動に関するストークスの沈降速
度式を基に、補正を加えた濃厚懸濁液中の粒子の沈降速
度式などが報告されている。しかし、固体粒子が全く同
質,均一径であることはまれで、大部分の系では粒子径
分布が存在し、内容も不均一で媒体液との作用にも変化
があることに加え、濃厚な場合には一層固体粒子の沈降
速度を求めることは非常に難しい。
【0003】懸濁液の固体粒子のこのような沈降,堆積
に関する先行発明としては、特開昭59−6289号公
報に記載のものがある。しかし、この先行発明は、スラ
リー(懸濁液)の安定性を測定するもので、固体粒子の
堆積量,堆積速度などのパラメータを求めるものではな
い。
【0004】また、石炭粒子・水混合物(以下、CWM
と言う。)などの懸濁液にあっては、その貯蔵が数千ト
ンから数万トンの大型タンクによって行われるのが通常
であるが、上述のように固体粒子の堆積を予測する方法
がないため、その堆積率,堆積量などのパラメータを知
るために、実用タンクを用いた大規模な実験によって行
われ、そのための多額の費用が必要であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明の課題
は、大型タンクなどにおける懸濁液の沈殿物の堆積率,
堆積量等のパラメータを簡便かつ十分な精度をもって推
算,予測できるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、小型容器
に試料となる懸濁液を一定時間静置することにより、懸
濁液を、その固体粒子の一部が該容器の底部に沈降して
粒子濃度が高まった下層と、沈降のために粒子濃度の低
くなった上層とに分画したのち、上層を排出し、下層の
重量と粒子濃度を測定し、かつ上層の重量と粒子濃度と
排出流動部分の容器内高さを測定して、懸濁液の初期粒
子濃度を算出し、この初期粒子濃度と上層の粒子濃度と
上記高さと静置時間から懸濁液中の固体粒子の平均粒子
沈降速度を算出し、この平均粒子沈降速度を用いて想定
堆積濃度を持った懸濁液中で発生する堆積物の堆積速度
を算出し、上記平均粒子沈降速度と堆積速度に基いて、
同一懸濁液の他の大型容器における堆積物の堆積パラメ
ータを推算する方法により、解決される。また、小型容
器を振動させた後に、分画することによって、常時振動
がが加わる輸送船などによる輸送途中での船倉などの大
型容器中での堆積パラメータを求めることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】懸濁液中の固体粒子群、特に粉砕
等によって得られる固体粒子群は顕微鏡観察からも解る
ように様々な形状をとっており、また濃厚懸濁液におい
ては凝集体もあって粒径自体の把握も困難である。また
大粒子や、小粒子であっても重い粒子は速く、小粒子や
軽い粒子の沈降速度は遅いというように、個々の固体粒
子の沈降速度は同じではない。したがって、懸濁液中の
膨大な量の粒子の沈降速度を個々に求めることは不可能
である。しかし、固体粒子の堆積という現象の本質を考
えた時、個々の粒子の沈降速度は必要なく平均沈降速度
が求めれれば固体粒子の沈降,堆積についての推定が可
能ではないかと考えられる。
【0008】図1は、この考え方の概念図を示すもので
ある。今、懸濁液の固体粒子にある一定の平均沈降速度
があるとし、すべての粒子が同一速度で沈降すれば初期
濃度を維持しながら界面が下降する筈で、表面層には粒
子が抜けた液層のみができる。図1は、ある濃度を持っ
た懸濁液が、表面からある高さLまでの静置開始時の初
期状態と一定期間後に観測した同じ高さの層の中で粒子
のみが沈降した状態を示している。固体粒子をすべて集
めた100%固体領域を内筒で、媒体液を100%集め
た液体領域を外筒として示している。一定期間後には粒
子全体が下方へ移動し、堆積発生の原因を作る。図1の
B´領域の粒子量を求めることが本来の目的であるが、
この量は最上部の消失したB領域の粒子量と同量であり
直接移動したことと同じ意味を持っているため、B領域
の粒子量で代替できる。
【0009】実際の懸濁液の場合、A領域の内部では粒
子が沈降しているもののそれを補う形で上部より粒子が
供給されるため外部からは動きのない安定領域に見え
る。B領域では上から供給される粒子がないため粒子の
消失,B´領域では行き先がないため堆積として認識さ
れる。A層,B層いずれの領域においても同じ速度で粒
子は常に沈降しているものとする。A,B,B´の各層
に含まれる粒子重量をQA,QB,Q´Bとして、QB量が
存在していた高さhが分れば、その測定期間tで除する
ことで沈降速度Vが得られる。高さhは対象とする懸濁
液高さLをQAとQBの比で比例配分することで得られる
から、沈降速度Vは(1)式で求められる。
【0010】
【数3】
【0011】したがって、初期状態に含まれていた全粒
子量(QA+QB)から一定期間t後のB´領域へ抜けた
消失量Q´B、すなわちそれと同量のQBを何らかの方法
で測定すれば粒子の平均的な沈降速度が求められること
になる。
【0012】以上の検討結果に基いて、小型容器内の懸
濁物中の固体粒子の平均沈降速度を以下のようにして導
き出し、これを大型容器に適用して、大型容器における
堆積パラメータを求めることが可能となるのである。ま
ず、懸濁液中の粒子の平均沈降速度を求めるために、ビ
ーカーなどの小型容器に懸濁液を満たし、その容器を一
定期間静置し、沈降した固体粒子で濃度の高くなった下
層と粒子濃度の低くなった上層を容器の転倒により分離
し、上層の排出部分の容器内高さを測定する。分画した
上層、下層の重量と濃度を測定し、初期状態の懸濁液の
濃度qを算出する。懸濁液の初期状態の濃度があらかじ
め解っている場合は、上層の重量と濃度を測定するだけ
でよいが、測定誤差を小さくするためには前記方法が望
ましい。これから、上層について初期状態には含まれて
いたが一定期間後には消失してしまった粒子重量が求め
られ、この消失粒子量と排出部分の容器内高さおよび静
置期間から粒子の平均沈降速度が求められる。
【0013】以下の数式においては、次の通り、各パラ
メータを定める。 分離上層高さ H 粒子の平均沈降距離 h 分離上層スラリー重量 Ma 分離上層中の粒子濃度 Ca 分離下層スラリー重量 Mb 分離下層中の粒子濃度 Cb 分離上層中の粒子重量 Qa 分離下層中の粒子重量 Qb 分離上層中の水分重量 Wa 分離下層中の水分重量 Wb 初期スラリー総重量 M 初期スラリー中の粒子濃度 C 分離前の上層部に含まれていた粒子重量 Qi 分離前の上層部から沈降した粒子の消失重量 δQ 液密度 ρ1 固体粒子密度 ρs 初期スラリーの密度 ρ (想定)堆積物の密度 ρf (想定)堆積物粒子密度 Cf (想定)堆積物重量 Pw (想定)堆積物容量 Pv 粒子の平均沈降速度 Vav 堆積速度(容積基準) Vp 堆積速度計数 Rv 堆積率 Rp 容量(タンク)の底面積 S 容器(タンク)の容量 Vo 全流通量 Mt 取り扱い期間 T 期間中のタンク繰り回数 n (添字a、bは静置後の上層と下層を示す)
【0014】2層に分離した後の上層について、その層
に存在していた初期における粒子重量をまず求める。開
始前の初期は均一状態であるから、初期の粒子重量は
(2)式によって2層中の液の存在比率から求めること
ができる。静置期間中に沈降し、上層から消失した粒子
重量は(3)式によって初期と静置後の粒子重量の差分
から求めることができる。(4)式は上層,下層の分画
後にそれぞれの重量と濃度測定値から懸濁液の初期濃度
を求める算出式である。
【0015】
【数4】
【0016】このようにして上層に相当する初期状態か
ら沈降した固体粒子の消失重量が得られる。(3)式で
目的とする粒子の消失量が求められたので、排出層高さ
Hと初期量に対する消失量の割合から沈降して系外へ出
た粒子の移動距離hが(5)式で与えられ、静置期間t
で除することで(6)式により沈降速度が得られる。こ
こで得られる沈降速度は各粒子の速度を平均し、同じ速
度で沈降していることを前提にしていることから懸濁液
中の全粒子の平均沈降速度Vavと呼ぶことにする。こ
の平均沈降速度Vavは粒子自身が沈降する速度であっ
て、底部に堆積する速度ではない。沈降速度と堆積速度
を明確に区分した上で、堆積速度の算出方法を次項で述
べる。
【0017】
【数5】
【0018】全固体粒子の平均沈降速度Vavから求め
た一定期間後の底部からの高さが、堆積層の厚さと考え
られがちだが、実際にはそうではなく、その2〜3倍の
高さで堆積が起る。これが、先に平均沈降速度が堆積速
度と異なると述べた理由である。すなわち、容器底部に
沈降する固体粒子は正常な懸濁状態の粒子群の間隙に入
り込み、全体としての充填率を高くする。その結果、こ
の部分の粘度が高粘度となり、沈降粒子自体は勿論のこ
と他の粒子にも影響を与え、他の粒子を巻き添えするよ
うにして堆積する。換言すると、容器底部に到着した沈
降粒子が堆積原因を作り、沈降粒子量以上の、2〜3倍
程度の堆積量となる。図2は、この堆積発生の状態を模
式的に示すもので、「上層より沈降し停止した粒子」が
「流動が制限される既存粒子」を伴って堆積していく状
態を示している。
【0019】δQ量の固形粒子が正常な流動性を持つ初
期濃度Cの層に落下するとCbの濃度に高められ、その
結果、流動性がなくなりPw量の堆積となる。ここで堆
積物の粒子濃度Cbは懸濁液または堆積物の性状により
異なるため一定値を取るとは限らない。そこで、実際の
タンク底部に堆積する堆積物の濃度をCf,堆積物密度
をρfとして、沈降粒子量δQとそれが原因で発生する
堆積重量Pwとの定量的な関係を(7)式で示す。
【0020】
【数6】
【0021】粒子の平均的な沈降速度Vavはそのスラ
リーの物性として一定であるから対象とする期間が決ま
ればδQ量は決まってくる。また、スラリーの初期濃度
も一定であるから(7)式の分子項は定数となり、分母
項の(Cf−C)のみが堆積物の性状に基づいた変数と
なる。したがって、堆積量Pwは堆積物と初期濃度との
差によって異なり、僅かな濃度差においても流動性がな
くなるような堆積物性状では堆積量は飛躍的に多く発生
し、濃度が高くなるような堆積性状であれば少量の堆積
量ですむことになる。堆積速度(m/s)のベースは容
量基準であるため、堆積重量を容量基準にする必要があ
る。密度は濃度によって変化するため、重量から容量へ
の変換は(8)式を使って濃度の関数として表すことが
可能である。
【0022】
【数7】
【0023】堆積重量PwはδQの関数として得られる
が、容量基準の堆積速度Vpと平均粒子沈降速度Vav
との関係は以下の様にして求められる。底面積Sの容器
内で、平均粒子沈降速度Vavでt時間内に落下し底面
に到達する沈降粒子重量δQはその距離範囲内に含まれ
る全粒子量に等しいから、(9)式で表される。
【0024】
【数8】
【0025】同様に、同じ期間に濃度Cf,密度ρfで
堆積する堆積重量Pw、堆積容量Pvと容量基準の堆積
速度Vpとの間には(10)式の関係がある。したがっ
て、(7)、(9)、(10)式から堆積速度Vpは平
均粒子沈降速度Vavを使って整理される。更に懸濁液
および堆積物の密度も濃度の関数で表現すると(8)式
を適用し、(11)式が誘導される。勿論、Vavに
(6)式を代入すれば、(11’)式により測定値から
直接に堆積速度Vpを導くことができる。
【0026】
【数9】
【0027】なお、平均粒子沈降速度に対する堆積速度
の比、堆積速度係数Rは(12)式で求められるが、堆
積速度係数Rは堆積層の状態を知る手がかりとして有用
である。通常の懸濁液ではこの堆積速度の係数Rは1以
上であることから、容器底部で発生する堆積速度Vpは
粒子の平均沈降速度Vav以上に進むことが分かる。ま
た、C、ρは初期値として決まっているため、係数Rは
初期濃度と堆積物温度の差によって決まり、特に堆積物
の濃度に大きく影響される。すなわち、固体粒子の沈降
速度が同じであっても、係数Rが大きい場合が僅かの濃
度変動で流れにくくなり、堆積発生量が大きくなること
を意味しており、注意を要する懸濁液であることが予想
される。
【0028】
【数10】
【0029】以上の考察により、容器内の懸濁液中の固
体粒子の平均沈降速度Vavを(6)式で求め、想定可
能な任意の濃度を持った堆積物の堆積速度が(11)式
によって理論的に求められることになる。そして、これ
らの算出式が同一の懸濁液であれば、ビーカーなどの小
型容器であろうが、大型タンクなどの大型容器であろう
が成立する。したがって、ビーカーなどの小型容器に満
した懸濁液について平均沈降速度を求めれば、この値か
ら数万トンの大型タンクなどの大型容器に満たされた懸
濁液中で起る堆積速度も求めることができ、大型タンク
などの大型容器における固体粒子の堆積に関する種々の
パラメータを算出,予測することが可能となるのであ
る。
【0030】小型容器での平均沈降速度の計測にあって
は、予測対象とする大型容器の形状と相似の形状を有す
る小型容器を使用することが望ましく、懸濁液が接する
壁面の割合が体積に比べて小さく、壁による粒子への摩
擦などの作用の小さいものがよい。また、帯電しにくい
材料からなる容器が好ましく、通常はガラス製の容量が
0.5〜1リットルのビーカーを用いればよい。
【0031】次に、上述の理論を実証する実証試験につ
いて説明する。以下の実証試験においては、懸濁液とし
て粘度1126mPa・sのCWMを用いた。
【0032】ビーカーによる試験 500mリットルのガラスビーカー(径75mm、高さ
120mm)にCWMを約500g採取し、室温にて7
日間静置した。この静置により、CWMは石炭粒子が底
部に堆積して形成された下層とこの上方に存在する上層
とに分画された。ついで、ビーカーを10分間転倒し、
上層のみを排出し、排出物(上層)および残査物(下
層)の重量および濃度をそれぞれ測定し、同時に排出し
た上層の容器内高さを測定した。濃度は市販の水分測定
装置によって測定した。
【0033】これらの測定データを表1に示す。この測
定データを(2),(3),(6),(8),(11)
式および(12)式に代入することにより、このCWM
についての平均沈降速度,堆積速度等のパラメータが算
出される。このパラメータの値を表1に併せて示す。
【0034】
【表1】
【0035】中型容器による実験 直径75mm、高さ380mmのメスシリングー状のガ
ラス容器を用意し、この容器に先のビーカー実験で使用
したCWMと同一のCWMを満し、35日間室温で静置
し、上層と下層とに分画した。上層を排出し、下層の濃
度,重量および堆積高さを測定した。この下層の実測重
量は42.7g,濃度は78.2%,下層の高さは8m
mであった。この測定値から堆積速度を逆算すると、
2.65×10-9m/sとなる。
【0036】一方、堆積物濃度を78.2%として表1
に示したビーカーでの実験で得られた堆積速度2.75
×10-9m/sに35日間の時間を乗ずることによっ
て、推算される下層の高さは8.3mmであり、(1
0)式から得られる推算堆積重量は47.1gとなっ
た。下層の高さの実測値8mmに対して推算値8.3m
mであり、堆積量の実測値42.7gに対して推積値が
47.1gであり、実測値と推算値とはよく一致してい
ることがわかった。また、両者の堆積速度もよく一致し
ていることがわかった。この結果から、小型容器での実
測データに基づく大型容器での推算が適切であることが
実証された。
【0037】大型タンクにおける実験 1800klタンクおよび1万klタンクでのCWMの
沈殿物の堆積状況を約4年間にわたって実際に測定し
た。測定は、タンク上部より検尺を下ろすことで行い、
隔週毎にデータを採取した。これらのタンクに貯蔵され
るCWMは、先のビーカーによる実験に使用したものと
は異なる品種のものであったため、同様のビーカーによ
る実験をタンクでのデータ採取に応じて実施し、平均沈
降速度,堆積速度を求めた。これらのデータを表2に示
す。このデータは、上述の多数の測定から得られたデー
タの平均値である。
【0038】
【表2】
【0039】表2に示されたデータから、ビーカーによ
る実験で得られた堆積速度と大型タンクで実測された堆
積速度とは、十分に相関性があることが認められ、ビー
カーなどの小型容器での実験で求められた堆積速度を用
いることにより、大型タンクなどの大型容器での堆積速
度,堆積量等の堆積パラメータを実測することなく、十
分な精度で予測できることが可能であることが実証され
た。
【0040】本発明では、小型容器における懸濁液の静
置の際に、容器に振動を与えることにより、例えばCW
Mを輸送船で長距離輸送する際の船倉における石炭粒子
の堆積などの振動下での固体粒子の堆積パラメータを同
様に推算,予測することができる。
【0041】以下に、懸濁液としてCWMを使用した実
証実験を示す。ここでは製造後のCWMを5000トン
の外航船で海上輸送した場合について、データを約4年
間にわたって採取した。出荷後のCWMと同一ロットの
CWMをビーカーによる実験に供した。ビーカーには、
周波数10Hz,振幅7mmの振動を静置期間中連続し
て与えた。約4年にわたるビーカーによる実験によっ
て、CWMの平均沈降速度は4.57×10-8m/s、
堆積速度は8.75×10-8m/sとなった。
【0042】上記外航船の船倉における堆積量を荷揚後
に実測し、この実測値から約4年間の平均の堆積速度を
求めたところ、5.87×10-8m/sとなった。これ
らの値の対比から、若干の誤差があるものの輸送時など
の振動下における固体粒子の堆積状況を予測できること
がわかる。これらのデータを表2に併せて示す。このデ
ータは、上述の多数の測定から得られたデータの平均値
である。
【0043】タンクなどの大型容器にCWMなどの懸濁
液を貯蔵する場合には、備蓄用以外であれば通常懸濁液
の出入り,出荷,入荷がある。この場合の大型容器にお
ける固体粒子の堆積量は、単なる貯蔵の場合と同様に貯
蔵期間に比例して増加するが、流通量も同時に増加する
ため、堆積率はどの時点においても同じになる。例え
ば、年間17回のタンク繰り(出入り)で運用した場合
は、継続貯蔵のものの年間堆積率の17分の1の堆積率
となる。したがって、容器に懸濁液の出入りがある場合
にも、継続貯蔵のデータからその堆積物の堆積パラメー
タを求めることができる。
【0044】本発明における堆積パラメータの推算は、
コンピュータを用いて行うことができる。具体的には、
上述の関係式の(4),(6),(10)式および(1
1)式が記憶され、キーボードなどの入力手段から小型
容器で測定された下層の重量(Mb),粒子濃度(C
b),上層の重量(Ma),粒子濃度(Ca),排出高
さ(H),静置時間(t)を入力し、相当する式に代入
することで平均粒子沈降速度を算出したのちに、対象と
する大型容器の底面積(S),貯蔵期間(T)、堆積物
濃度(Cf)を入力して堆積速度,大型容器での堆積量
を算出するプログラムが記憶された記録媒体を使用すれ
ばよい。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
500g程度の少量の試料を用いた実験によって数万ト
ン程度の大型タンクなどにおける固体粒子の堆積パラメ
ータを十分な精度を持って推算することができる。この
ため、実用規模での予備試験が不要となり、経費,時間
を大幅に節減できる。また、正確な堆積量等が推定でき
るので、タンク,船倉などの設備の設計に際して、過不
足のない適正な設備設計が可能となり、設備経費を低減
できる。また、ビーカー試験での平均沈降速度測定をベ
ースに、ストークスの終末沈降速度式に代入すること
で、実際の平均粒子径を間接的に知ることができる。さ
らには、懸濁液の生産過程,流通過程での品質管理にも
適用できる。また、多くの種類の懸濁液に対しても適用
可能であり、利用範囲が広いなどの優れた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の理論的根拠を説明するための模式図
である。
【図2】 本発明での固体粒子の沈降,堆積状態を示す
模式図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小型容器に試料となる懸濁液を一定時間
    静置することにより、懸濁液を、その固体粒子の一部が
    該容器の底部に沈降して粒子濃度が高まった下層と、沈
    降のために粒子濃度の低くなった上層とに分画したの
    ち、上層を排出し、 下層の重量と粒子濃度を測定し、かつ上層の重量と粒子
    濃度と排出流動部分の容器内高さを測定して、懸濁液の
    初期粒子濃度を算出し、 この初期粒子濃度と上層の粒子濃度と上記高さと静置時
    間から懸濁液中の固体粒子の平均粒子沈降速度を算出
    し、 この平均粒子沈降速度を用いて、想定堆積濃度を持った
    懸濁液中で発生する堆積物の堆積速度を算出し、 上記平均粒子沈降速度と堆積速度に基いて、同一懸濁液
    の他の大型容器における堆積物の堆積パラメータを推算
    することを特徴とする懸濁液中の沈殿物の堆積量推算方
    法。
  2. 【請求項2】 下記式(I)を用いて、平均粒子沈降速
    度を算出することを特徴とする請求項1記載の懸濁液の
    沈殿物の堆積量推算方法。 【数1】 但し、Vav:平均粒子沈降速度 C :算出した懸濁液の初期粒子濃度 Ca:上層中の粒子濃度 H :上層の高さ t :静置時間である。
  3. 【請求項3】 下記式(II)を用いて堆積速度を算出す
    ることを特徴とする請求項1記載の懸濁液の沈殿物の堆
    積量推算方法。 【数2】 但し、Vp:堆積速度 C :懸濁液の初めの粒子濃度(算出値) Cf:想定する堆積物の粒子濃度 ρ :懸濁液の初めの密度 ρf:想定する堆積物の密度 Vav:平均粒子沈降速度である。
  4. 【請求項4】 小型容器における懸濁液の静置を振動下
    で行い、大型容器における沈殿物の振動下での堆積パラ
    メータを推算することを特徴とする請求項1ないし3の
    いずれかに記載の懸濁液の沈殿物の堆積量算出方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の推
    算方法をコンピュータが実施しうるプログラムが記憶さ
    れたことを特徴とする記録媒体。
JP32675697A 1997-11-27 1997-11-27 懸濁液の沈殿物の堆積量推算方法およびこの推算方法を記録した記録媒体 Withdrawn JPH11160221A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103323377A (zh) * 2013-05-29 2013-09-25 武汉理工大学 导热率法测试固液两相混合物的沉降速率和沉降状态的方法和装置
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CN109580437A (zh) * 2018-10-30 2019-04-05 中国神华能源股份有限公司 浓缩池沉降效果检测系统
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