JPH1114919A - 変形可能ミラー、及びその組立て方法並びに組立て装置、及び光学装置 - Google Patents

変形可能ミラー、及びその組立て方法並びに組立て装置、及び光学装置

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JPH1114919A
JPH1114919A JP17077397A JP17077397A JPH1114919A JP H1114919 A JPH1114919 A JP H1114919A JP 17077397 A JP17077397 A JP 17077397A JP 17077397 A JP17077397 A JP 17077397A JP H1114919 A JPH1114919 A JP H1114919A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】絶縁部材の帯電を防止し、可撓性部材の変形形
状を高精度に保持することが可能な変形可能ミラーを提
供する。 【解決手段】変形可能ミラー1は、大きく分けると、ミ
ラー基板2、参照基板3、及び電圧印加部4に分けら
れ、これらから構成される。変形可能ミラー1を変形さ
せるか、変形させないかの切替えは、電圧印加部4によ
り制御される。電圧印加部4によって、可撓性部材5と
対向電極8間に交流電圧が印加されると、両者間に静電
引力が発生し、可撓性部材5が参照面7に吸引されて、
この参照面7に沿った形状に変形する。電圧印加部4に
よる交流電圧の印加を停止すると、可撓性部材5と対向
電極8間には静電引力が働かなくなり、可撓性部材5が
初期形状に戻る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、反射面の変形が
可能であって、その変形により入射光に各種の変調を与
える変形可能ミラー、及びその組立て方法並びに組み立
て装置、及び光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光学装置としては、変形可能な反射面を
有する変形可能ミラーと、この変形可能ミラーの反射面
によって反射された光が通過するレンズとを備えるもの
があり、変形可能ミラーの反射面を変形しないとき、変
形するときに応じて、レンズを通過した光の焦点を変化
させている。これによって、例えば異なる厚さの各光デ
ィスクのいずれに対しても、光の焦点を正確に位置決め
することができ、これらの光ディスクへの記録や再生が
可能となる。
【0003】この種の反射面の変形が可能なミラーとし
ては、例えば特開平7−49460号公報に記載の焦点
可変ミラーがある。図17は、この焦点可変ミラーを示
している。同図において、薄膜ダイヤフラム301は、
可撓性を有しており、厚さ10μm程度のパイレックス
ガラス等から形成されたものである。この薄膜ダイヤフ
ラム301の表面には、光反射及び電極として作用する
金属層303を形成している。リング状基板302は、
円筒状であって、単結晶シリコンから形成されたもので
ある。薄膜ダイヤフラム301の表側周縁は、リング状
基板302に陽極接合されていている。また、薄膜ダイ
ヤフラム301の裏側周縁は、絶縁体の台座部材304
に接着されている。この台座部材304の内側には、可
撓性部材301と距離を隔てて、対向電極層305を設
けている。
【0004】この様な構成において、対向電極305と
金属層303間に、直流電圧を印加すると、両者間に静
電引力が発生し、薄膜ダイヤフラム301が凹面状に変
形する。
【0005】しかしながら、このような変形可能ミラー
では次のような間題がある。
【0006】印加電圧による静電引力と薄膜ダイヤフ
ラム301の引っ張り応力とのつりあいのみによって、
薄膜ダイヤフラム301の変形形状が決定するので、こ
の変形形状が安定しない。
【0007】空間的に離れた対向電極305と金属層
303間の静電引力による変形であるため、薄膜ダイヤ
フラム301を凹形状にしか変形することができない。
【0008】静電引力の大きさは、対向電極305と
金属層303間の距離に大きく左右されるため、組立て
精度が要求される。
【0009】環境温湿度の影響によって、静電引力と
薄膜ダイヤフラム301の引っ張り応力とのつりあい状
態が変化するので、薄膜ダイヤフラム301の変形形状
の再現性が悪い。
【0010】そこで、この発明の出願人は、これらの間
題を解決し得る変形可能ミラー(特願平7−31291
7号)を提案した。図18は、この変形可能ミラーを示
している。同図において、可撓性部材201は、弾性変
形可能であって、反射面201aを有する。基板枠20
2は、可撓性部材201の周縁を支持している。参照基
板203は、平坦部204と参照面205を有してお
り、平坦部204を可撓性部材201の裏側周縁に接着
して、基板枠202との間で該可撓性部材201の周縁
を挟持している。参照面205上に、対向電極206を
積層し、参照面205及び平坦部204上に、電圧のリ
ークを防止するための絶縁部材207を積層している。
【0011】この様な構成において、対向電極206と
可撓性部材201間に電圧を印加すると、両者間の静電
引力によって、可撓性部材201が参照面205へと吸
い寄せられ、この可撓性部材201が参照面205に沿
った形状に変形する。
【0012】ここでは、可撓性部材201が参照面20
5に吸着した状態で変形するため、この可撓性部材20
1の変形形状が安定し、環境変化による影響を受け難く
なる。また、参照面205の表面形状を例えば、凸形状
や凹形状、あるいはこの両方を組み合わせた形状とする
ことにより、可撓性部材201を凹形状のみでなく任意
の形状に変形させることが可能となる。
【0013】次に、この変形可能ミラーについて、より
詳細に説明する。基板枠202は、シリコン基板から形
成されたものであり、このシリコン基板の一方の面にニ
ッケル膜等を電界メッキ法等によって形成してから、こ
のシリコン基板の中央部を異方性エッチングによって選
択的に浸食してなる。このエッチングによって、シリコ
ン基板の残った部分が基板枠202となり、先のニッケ
ル膜が可撓性部材201となる。参照基板203は、ガ
ラスモールド法や樹脂の成形によって形成されたもので
あり、この参照基板203の参照面205に、アルミニ
ウム等からなる対向電極206と酸化シリコン等からな
る絶縁部材207を順次形成している。基板枠202と
参照基板203とは、図示しないスペーサーを介在さ
せ、接着材によって相互に固定されている。そして、可
撓性部材201と対向電極206間に電圧を印加するこ
とにより、静電引力を発生させ、可撓性部材201を参
照面205に沿うように変形させている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、可撓性
部材201を参照面205に沿って変形させると言う上
記変形可能ミラーにおいても以下の様な間題がある。
【0015】可撓性部材201と対向電極206間に電
圧を印加すると、両者間に存在する絶縁部材207に電
荷が注入され、この絶縁部材207が帯電してしまう。
この状態では、可撓性部材201と絶縁部材207間に
斥力が発生するので、可撓性部材201の変形形状が安
定しなくなったり、可撓性部材201が参照面205に
沿って変形しなくなる。あるいは、電圧印加により発生
する静電引力と絶縁部材207の帯電によって発生する
静電斥力が相殺されて、実効的な静電引力が低減し、可
撓性部材201の大きな変形や複雑な形状への変形が困
難となる。
【0016】また、絶縁部材207が帯電した状態で
は、可撓性部材201と対向電極206間に電圧を印加
せずに、可撓性部材201を変形していない初期状態
(平板状態)に保持しようとしても、絶縁部材207と
可撓性部材201間の静電引力によって、この初期状態
を保特することが困難となる。
【0017】更に、ニッケル膜等の可撓性部材207と
シリコン基板から形成された基板枠202の熱膨張係数
の差から、環境温度の変化に伴い、その引っ張り応力が
変化したり、座屈するという間題がある。
【0018】また、基板枠202と参照基板203の組
立て時に、可撓性部材207と参照面205の平行度や
ギャップを高精度に管理する必要がある。このために
は、例えば基板枠202をギャップとなるスペーサーを
介して参照基板203に押し当て、この状態で、両者を
接着することが考えられる。ところが、この場合、基板
枠202に余分な応力がかかり、可撓性部材207が変
形して、ギャップを高精度に管理することができないと
いう間題がある。
【0019】従って、従来の変形可能ミラーでは、高精
度に各種の変調を行うことができる光学装置に利用する
ことが困難であった。
【0020】そこで、この発明は、これらの課題を鑑み
てなされたものであり、絶縁部材の帯電を防止し、可撓
性部材の変形形状を高精度に保持することが可能であ
り、また複雑な形状や大きな変位を伴う形状に、可撓性
部材を変形することが可能であり、更に可撓性部材と参
照面の平行度、及び両者間のギャップを高精度に管理す
ることができ、あるいは環境温度の変動の影響を受け難
く、小型で簡易な構成であって、安価に製造可能な変形
可能ミラー、及びその組立て方法並びに組み立て装置、
及びこの変形可能ミラーの適用によって各種の変調を高
精度に行うことが可能となった光学装置を提供すことを
目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の変形可能ミラーは、入射光を反射
する反射面を表面に有する可撓性部材と、可撓性部材の
周縁を支持する支持手段と、可撓性部材と対向して配置
された対向電極と、可撓性部材と対向電極間に介在する
絶縁部材と、可撓性部材と対向電極間に極性の変化する
交流電圧を印加する電圧印加手段とを備えている。
【0022】この様な構成によれば、可撓性部材と対向
電極間に交流電圧を印加するので、可撓性部材と対向電
極間に静電引力が加わり、可撓性部材が対向電極側にた
わんで、この可撓性部材の反射面が変形する。
【0023】また、可撓性部材と対向電極間に印加され
る交流電圧は、その極性が変化するので、可撓性部材と
対向電極間にあるリーク防止用の絶縁部材が正負のどち
らか一方の極性に帯電することがなく、帯電した絶縁部
材と可撓性部材間に斥力が発生せずに済む。これによっ
て、可撓性部材の変形形状が安定すると共に、より大き
な静電引力を得ることが可能となる。
【0024】請求項2に記載の様に、交流電圧は矩形波
でも良い。この矩形波は、正弦波等に比べると、その極
性が急激に変化するため、静電引力が零近傍となる時間
が短く、静電引力の変動を小さくすることができる。
【0025】請求項3に記載の様に、矩形波の交流電圧
は、正電位側の波高値と負電位側の波高値が同一であっ
ても良い。ここで、可撓性部材と対向電極間の静電引力
は、両者間の印加電圧の極性の影響を受けず、その強さ
は可撓性部材と対向電極間の電位差の絶対値によって決
定される。このため、正電位側の波高値と負電位側の波
高値が同一となる矩形波の交流電圧であれば、絶縁部材
の帯電を防止するだけでなく、可撓性部材と対向電極間
に働く静電引力を常に一定にすることが可能となり、可
撓性部材の変形形状をより安定したものにすることがで
きる。
【0026】請求項4に記載の様に、交流電圧の極性の
変化する周期は、絶縁部材の体積抵抗率をρ、比誘電率
をεi、真空の誘電率をεoとした時、時定数τ=ρ・ε
iεoより短くするのが好ましい。
【0027】この様に構成することにより、絶縁部材が
正負どちらか一方の極性に帯電する以前に、印加電圧の
極性が変化することになり、より確実に絶縁部材の帯電
を防止することができる。
【0028】次に、請求項5に記載の変形可能ミラー
は、入射光を反射する反射面を表面に有する可撓性部材
と、可撓性部材の周縁を支持する支持手段と、可撓性部
材と対向して配置された対向電極と、可撓性部材と対向
電極間に介在し、光を照射されると、絶縁体から導電体
へと変化する光導電性部材と、可撓性部材と対向電極間
に、電圧を印加する電圧印加手段とを備えている。
【0029】ここでも、可撓性部材と対向電極間に電圧
を印加するので、可撓性部材と対向電極間に静電引力が
加わり、可撓性部材が対向電極側にたわんで、この可撓
性部材の反射面が変形する。
【0030】また、可撓性部材と対向電極間に光導電性
部材を介在させているので、可撓性部材と対向電極間に
電圧を印加して、可撓性部材を変形させているときに
は、光導電性部材に光を照射せず、この光伝導性部材を
可撓性部材と対向電極間のリーク防止用の絶縁部材とし
て用いる。また、可撓性部材と対向電極間に電圧を印加
せず、可撓性部材を変形させないときには、光導電性部
材に光を照射して、この光導電性部材を可撓性部材と対
向電極間の余分な静電気を除電する導電部材として用い
る。
【0031】請求項6に記載の様に、対向電極は透明で
あっても良い。この場合、光導電性部材ヘの光照射を、
対向電極を介して行えるようになり、変形可能ミラーの
小型化が可能となると共に、他の光学系への光のもれを
なくすことができる。
【0032】上記請求項1乃至5のいずれに記載の変形
可能ミラーにおいても、請求項7に記載の様に、対向電
極側で、可撓性部材の弾性変形を許容する空間を形成す
る参照面を更に備え、電圧印加手段によって可撓性部材
と対向電極間に電圧を印加したときに、可撓性部材と対
向電極間の静電引力によって、可撓性部材が変形して参
照面に吸い寄せられても良い。
【0033】このように可撓性部材が変形して沿う参照
面を有する場合、可撓性部材の変形形状が参照面の形状
で決定されるため、その変形形状が環境温湿度に影響さ
れることなく再現性の良いものとなる。また、参照面を
凸面や凹面、あるいはこの両者を含む形状とすることに
より、可撓性部材を凹面のみでなく、任意の形状に変形
させることができる。
【0034】請求項8に記載の様に、可撓性部材と参照
面の少なくとも一方に、可撓性部材と参照面間に存在す
る空気を逃がすための空気孔を形成しても良い。
【0035】この様に構成することにより、、可撓性部
材と参照面間の空気を逃がすことができ、可撓性部材が
変形し易くなり、かつ可撓性部材がより速やかに変形す
る。
【0036】請求項9に記載の様に、参照面の外周に、
可撓性部材を該参照面に対して位置決めする平坦部を設
けても良い。
【0037】この場合、参照面の外周の平坦部に、可撓
性部材の周縁を当接することによって、可撓性部材と参
照面の平行度を調整しつつ、この可撓性部材を容易に配
置することができる。
【0038】請求項10に記載の様に、平坦部が参照面
の頂点位置よりも低い位置に形成しても良い。
【0039】この様に構成することにより、可撓性部材
を参照面に接近させて配置するときに、参照面の頂点位
置が可撓性部材に最も先に接触するため、参照面と可撓
性部材の位置関係を容易に知ることが可能となる。
【0040】請求項11に記載の様に、支持手段は、可
撓性部材に引っ張り応力を与えてこの可撓性部材を保持
するものであって、単結晶シリコンからなり、可撓性部
材は、単結晶シリコンに不純物をドーピングしてなるも
のでも良い。
【0041】この場合、支持手段と可撓性部材を同一材
料の単結晶シリコンから形成するので、両者の熱膨張係
数の差が小さくなり、環境温度の変動による影響を受け
難くなる。また、半導体の製造プロセスを応用すれば、
支持手段及び可撓性部材を一括して製造することが可能
であり、支持手段及び可撓性部材として高精度で安価な
ものを得ることができる。
【0042】請求項12に記載の様に、可撓性部材の表
面に金属反射膜を形成しても良い。
【0043】この様な構成にすることにより、任意の波
長の光に対して高反射率のミラーを得ることができる。
【0044】次に、請求項9に記載の変形可能ミラーを
組み立てるための組立て方法は、請求項13に記載の様
に、参照面外周の平坦部と可撓性部材間の平行状態を光
学的に検出しつつ、両者間を平行に調整する。
【0045】この場合、参照面外周の平坦部と可撓性部
材の周縁を圧接して、両者間を平行に調整する場合に比
べると、より精度良く、より容易に参照面と可撓性部材
間の平行度を調整することができる。また、参照面と可
撓性部材間の非接触での調整が可能であり、可撓性部材
に余分な応力が加わらずに済み、可撓性部材が変形して
いないときの該可撓性部材の形状をより高精度に設定す
ることが可能となる。
【0046】次に、請求項9に記載の変形可能ミラーを
組み立てるための組立て装置は、請求項14に記載の様
に、支持手段を保持する第1保持手段と、参照面を保持
する第2保持手段と、第1及び第2保持手段の少なくと
も一方を移動させる移動手段と、参照面の頂点位置と可
撓部材の接触による該可撓性部材の変形を検出する変形
検出手段を備えている。
【0047】このような装置によれば、参照面の頂点位
置と可撓部材の接触を接触させてから、支持手段と参照
面を僅かに離間して、両者間の相対位置を高精度に決め
ることができる。
【0048】次に、請求項15に記載の光学装置は、
変形可能な反射面を有する変形可能ミラーと、この変形
可能ミラーに対して光を入出力する光学部材とを備え、
変形可能ミラーを変形しないとき、変形するときに応じ
て、光学的に異なる複数の光を生成する光学装置におい
て、変形可能ミラーは、入射光を反射する反射面を表面
に有する可撓性部材と、可撓性部材の周縁を支持する支
持手段と、可撓性部材と対向して配置された対向電極
と、この対向電極側で、可撓性部材の弾性変形を許容す
る空間を形成する参照面と、可撓性部材と対向電極間に
介在する絶縁部材と、可撓性部材と対向電極間に極性の
変化する交流電圧を印加する電圧印加手段とを備えてい
る。
【0049】この様な光学装置では、可撓性部材と対向
電極間にあるリーク防止用の絶縁部材が正負のどちらか
一方の極性に帯電することがなく、帯電した絶縁部材と
可撓性部材間に斥力が発生せずに済み、可撓性部材の変
形形状が安定するので、変形可能ミラーの動作により、
光学的に異なる複数の光を安定して出射することができ
る。
【0050】また、請求項16に記載の光学装置は、変
形可能な反射面を有する変形可能ミラーと、この変形可
能ミラーに対して光を入出力する光学部材とを備え、変
形可能ミラーを変形しないとき、変形するときに応じ
て、光学的に異なる複数の光を生成する光学装置におい
て、変形可能ミラーは、入射光を反射する反射面を表面
に有する可撓性部材と、可撓性部材の周縁を支持する支
持手段と、可撓性部材と対向して配置された対向電極
と、この対向電極側で、可撓性部材の弾性変形を許容す
る空間を形成する参照面と、可撓性部材と対向電極間に
介在し、光を照射されると、絶縁体から導電体へと変化
する光導電性部材と、可撓性部材と対向電極間に、電圧
を印加する電圧印加手段とを備えている。
【0051】この様な光学装置では、可撓性部材と対向
電極間に電圧を印加せず、可撓性部材を変形させないと
きには、光導電性部材に光を照射して、この光導電性部
材を可撓性部材と対向電極間の余分な静電気を除電する
導電部材として用いることができるので、可撓性部材の
変形形状が安定し、変形可能ミラーの動作により、光学
的に異なる複数の光を出射することができる。また、可
撓性部材を変形させないときには、この可撓性部材が高
精度のミラーとなる。
【0052】請求項17に記載の様に、変形可能ミラー
は、その可撓性部材の変形により、入射光に球面収差を
与えても良い。
【0053】この様な光学装置では、変形可能ミラーの
動作により、球面収差の加えられた光を安定して出射す
ることができる。
【0054】請求項18に記載の様に、光学部材は、変
形可能ミラーの可撓性部材によって反射された光が通過
するレンズを有し、変形可能ミラーは、その可撓性部材
の変形により、光学部材のレンズを通過した光の焦点を
変化させても良い。
【0055】この様な光学装置では、変形可能ミラーの
動作により、焦点の異なる光を安定して出射することが
できる。
【0056】請求項19に記載の様に、光学部材は、変
形可能ミラーの可撓性部材によって反射された光が通過
するレンズを有し、変形可能ミラーは、その可撓性部材
の変形により、光学部材のレンズの開口数を変化させて
も良い。
【0057】この様な光学装置では、変形可能ミラーの
動作により、開口数の異なるレンズを通過した光を安定
して出射することができる。
【0058】請求項20に記載の様に、光学部材は、変
形可能ミラーの可撓性部材によって反射された光が通過
するレンズを有し、変形可能ミラーは、その可撓性部材
の変形により、この可撓性部材に入射した入射光の球面
収差、光学部材のレンズを通過した光の焦点、及び該レ
ンズの開口数のうちの少なくとも2つ以上を同時に変化
させても良い。
【0059】この様な光学装置では、変形可能ミラーの
動作により、入射光の球面収差、レンズの焦点、開口数
のいずれか2つ以上を同時に変調してなる光を安定して
出射することができる。
【0060】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面
に基づいて説明する。図1は、この発明の変形可能ミラ
ーの第1実施形態を概略的に示す主要断面図である。こ
の変形可能ミラー1は、大きく分けると、ミラー基板
2、参照基板3、及び電圧印加部4に分けられ、これら
から構成される。
【0061】ミラー基板2は、弾性変形可能な可撓性部
材5と、その表面に形成された反射膜5aと、可撓性部
材5に引っ張り応力を与えながら保持する基板枠6とか
ら構成される。
【0062】参照基板3は、その表面に任意の形状の凹
凸面を有する参照面7と、参照面7の表面に形成された
対向電極8と、対向電極8の表面に形成された絶縁部材
9とから構成される。
【0063】ミラー基板2と参照基板3は、可撓性部材
5と参照面7が対向する位置で接着されている。
【0064】電圧印加部4は、可撓性部材5と対向電極
8間に極性の変化する交流電圧を印加するものである。
【0065】この様な構成において、変形可能ミラー1
を変形させるか、変形させないかの切替えは、電圧印加
部4により制御される。電圧印加部4によって、可撓性
部材5と対向電極8間に交流電圧が印加されると、両者
間に静電引力が発生し、可撓性部材5が参照面7に吸引
されて、この参照面7に沿った形状に変形する。電圧印
加部4による交流電圧の印加を停止すると、可撓性部材
5と対向電極8間には静電引力が働かなくなり、可撓性
部材5が初期形状に戻る。
【0066】次に、この変形可能ミラー1の各構成要素
について、より詳細に説明する。基板枠6は、10mm
四方で、厚さ1mm程度の単結晶シリコンからなり、そ
の中央部には、エッチングによって、対角線の長さが6
mm程度の八角形の開口部6bを形成している。基板枠
6と開口部6bの大きさは、必要な反射面積によって決
まるものであり、任意の大きさに形成されるものであ
る。開口部6bの形状は、八角形である必要はないが、
円形に近いほど可撓性部材5にかかる応力が均一とな
る。
【0067】可撓性部材5は、その厚さが3μから10
μm程度であり、基板枠6となる単結晶シリコンの表面
にボロン等の不純物を予めドーピングしておき、エッチ
ング液の選択性を利用して、基板枠6の開口部6bにあ
たる部分のみを該基板6の裏面からエッチングして除去
すると共に、不純物をドーピングした部分を可撓性部材
5として残して、この可撓性部材5を形成する。これに
よって、可撓性部材5と基板枠6を接着する必要がなく
なり、可撓性部材5を基板枠6によって保持してなるダ
イヤフラム構造を簡易かつ高精度に得ることができる。
また、可撓性部材5と基板枠6の熱膨張率の差を小さく
することができ、環境温度の変化により、可撓性部材5
に余分な応力が発生することを防止することができる。
【0068】可撓性部材5は、薄くなる程、可撓性が高
くなり、低電圧(小さな静電引力)で変形させることが
可能になるが、薄くなり過ぎると、共振周波数が低くな
ったり、強度が弱くなるといった間題がある。このた
め、可撓性部材5は、その大きさにもよるが、その厚さ
を3μmから10μm程度に形成するのが最も良い。
【0069】また、可撓性部材5は、10MPa程度の
引っ張り応力をもって、基板枠6に保持されている。こ
の引っ張り応力が働くことにより、可撓性部材5と対向
電極8間に電圧を印加していないときには、この可撓性
部材5を平面状態を維持することができる。
【0070】可撓性部材5の表面には、蒸着法あるいは
スパッタ法等によって、アルミニウム等からなる反射膜
5aを形成している。可撓性部材5の表面の反射率が十
分高ければ、反射膜5aを必要としない。また、反射膜
5aは、光を反射するだけでなく、可撓性部材5を導電
性材料で形成しない場合に、この可撓性部材5の代わり
に、電極として使用することができる。反射膜5aの厚
さは、例えば1μm程度あり、可撓性部材5の可撓性を
妨げない程度の厚さに形成される。その材質は、アルミ
ニウム、金、ニッケルやアルミニウムに微量の金属を添
加したもの等であり、反射膜5aの入射光の波長(光源
の波長)に対する反射率等に応じて選択される。例え
ば、波長780nmの半導体レーザを光源として使用す
る場合、シリコンに不純物をドーピングして形成された
可撓性部材5表面の反射率が低いので、アルミニウム等
の反射膜5aを積層する必要があり、これによって高い
反射率を得ることができる。
【0071】次に、ミラー基板2の製造工程を図2を参
照しつつ詳細に説明する。このミラー基板2は、半導体
の製造プロセスを応用して作製することができ、ここで
は、その一例を述べる。
【0072】(1)図2(a)に示す様に、シリコン基
板11における面方位(100)の表面及び裏面に、熱
酸化により、シリコン熱酸化膜11a(裏面側のシリコ
ン熱酸化膜11aを図示せず)を形成する。なお、シリ
コン基板11の表面は、研磨、ポリシング加工が施され
ており、その平面度が1nm以下に抑えられている。
【0073】引き続いて、表面のみにレジストを塗布
し、裏面のシリコン熱酸化膜11aをフッ酸を用いたウ
ェットエッチングによって除去する。その後、表面側の
レジストを除去する。
【0074】(2)図2(b)に示す様に、窒化ボロン
の個体ソースにより、ボロンイオンをシリコン基板11
の裏面から拡散させ、これによって厚さ3μmから10
μm程度のボロンドープ層12(後に可撓性部材5とな
る)を形成する。このボロンドープ層12の表面には、
シリコン酸化膜12bを形成する。ドーピングする不純
物は、ボロンのみに限らず、ガリウム、インジウム、リ
ン等を使用してもよい。
【0075】(3)図2(c)に示す様に、熱酸化膜1
1a上にフォトレジスト(図示しない)を塗布し、フォ
トリソグラフィを行って、このレジストに基板枠6の開
口部6bに対応する開口パターンを形成する。そして、
CHF3ガスを用いてドライエッチングを行って、基板
枠6の開口部6bを形成するための開口部11bを熱酸
化膜11aに形成し、この後にレジストを除去する。
【0076】(4)図2(d)に示す様に、熱酸化膜1
1aをマスクとして、基板11の表面側からEDPエッ
チング液によってウェットエッチングを行い、開口部1
1bのシリコンを除去して、開口部6bを有する基板枠
6を形成すると共に、ボロンドープ層12からなるダイ
ヤフラム、つまり厚さ3μmから10μm程度の可撓性
部材5を形成する。
【0077】EDPエッチング液とは、エチレンジアミ
ン、純水、カテコール、ピラジンから成り、シリコン基
板11とボロンドープ層12間のエッチング選択比の高
いエッチング液である。また、このEDPエッチング液
によりエッチング行うと、異方性エッチングが可能とな
り、結晶面方位(1,1,1)方向のエッチング速度は
早く、(1,1,1)方向のエッチング速度は極端に遅
くなる。これによって、図2(d)に示す様なテーパ状
の開口部6bが形成され、また開口部6bを熱酸化膜1
1aのパターンに応じた形状に、精度良く、加工するこ
とができる。
【0078】(5)図2(e)に示す様に、熱酸化膜1
2aを基板枠6の表面側からフッ酸を用いたウェットェ
ッチングによって除去する。それから、基板枠6の裏面
側からCHF3ガスを用いたドライエッチングによっ
て、シリコン酸化膜を除去する。
【0079】(6)図2(f)に示す様に、基板枠6の
表面側からアルミニウムを蒸着あるいスパッタにより製
膜し、厚さ1μm程度の反射膜5aを形成する。それか
ら、ダイシングにより任意の大きさに切断する。
【0080】以上のように、この製造方法では、ミラー
基板2を半導体の製造プロセスによって作製しているの
で、可撓性部材5を高精度に作製することができ、この
可撓性部材5の反射面の形状を向上させることができ
る。また、シリコン基板11上に複数のミラー基板2を
同時に一括して作製することができ、低いコストでの作
製が可能となる。なお、上述したミラー基板2の製造方
法は一例に過ぎず、一部を変更した方法や他の方法によ
り作製することも可能である。
【0081】次に、参照基板3について詳細に説明す
る。参照基板3は、ガラスモールド法あるいは樹脂の成
形等によって作製されたものである。この参照基板3の
参照面7は、入射光に所望の変調を与えるための凸面部
7aと凹面部7bを有する。また、参照基板3の周縁に
は、平坦部7cを形成しており、ミラー基板2と参照基
板3の組立て時に、可撓性部材5と参照面7の平行度を
調整するために、この平坦部7cを利用する。
【0082】参照面7の凸面部7aの頂点は、ミラー基
板2と参照基板3の組立て時の位置調整を考慮して、平
坦部7cよりも1μmから3μm程度高くなっている。
【0083】参照面7の表面には、アルミニウム等から
なる対向電極8を蒸着法あるいは、スパッタ法等により
形成している。対向電極8の材質としては、アルミニウ
ムの他に金、ニッケルやアルミニウムに微量の金属を添
加したもの等を使用することができ、参照面7の形状を
損なわないように、この対向電極8の厚さを1μm程度
に設定している。また、対向電極8の一部からは、電圧
印加部4への配線を導出している。
【0084】対向電極8の表面には、酸化シリコン等か
らなる厚さ5μm程度の絶縁部材9をスパッタ法等によ
り形成している。この絶縁部材9は、可撓性部材5と対
向電極8間での電圧のリークを防止するものである。こ
の絶縁部材9の材質としては、酸化シリコンの他に窒化
シリコンや五酸化タンタル等の絶縁材料を適用すること
ができ、その厚さは、絶縁耐力と静電引力の強さ、そし
て参照面7の形状への影響を考慮して決定する。すなわ
ち、絶縁部材9が厚い程、絶縁耐力が高くなるものの、
対向電極8と可撓性部材5のギャップが大きくなるた
め、静電引力は弱くなる。また、可撓性部材5が吸引さ
れ変形してなる形状は、絶縁部材9に吸引されてなる形
状であって、参照面7の形状に対しての誤差を含むた
め、絶縁部材9の厚さを参照面7の形状を損なわない程
度に設定する必要がある。この絶縁部材9は、対向電極
8の表面でなく、可撓性部材5の対向電極8側に形成し
てもよい。
【0085】次に、この発明の変形可能ミラーの組立て
方法並びに組立て装置の一実施形態を図3を参照しつつ
説明する。ここでは、ミラー基板2と参照基板3を接合
している。
【0086】(1)参照基板3を参照面支持部材15に
よって支持する。この参照面支持部材15は、z方向へ
の移動機構16を備え、参照基板3をz方向に移動させ
ることができる。
【0087】この際、参照基板3の平坦部7cを予め定
められた方向に向けて支持する。このためには、ミラー
基板2を配置していない状態で、図示しないオートコリ
メータや光干渉計等の光計測器を参照基板3の平坦部7
cの上方に設置してから、平坦部7c上のアルミニウム
等からなる対向電極8に光を照射し、その反射光を光計
測器によって計測して、参照基板3の平坦部7cの方向
を検出し、この検出結果に応じて、参照基板3の平坦部
7cの方向を調整する。
【0088】(2)ミラー基板2をミラー支持部材17
によって支持し、このミラー基板2を参照基板3の上方
に設置する。このミラー支持部材17は、傾き調整機構
18を備え、ミラー基板2の傾きを変更することができ
る。
【0089】この際、ミラー基板2の可撓性部材5を参
照基板3の平坦部7cと平行にして支持する。このため
に、先のオートコリメータや光干渉計等の光計測器を可
撓性部材5の上方に設置してから、可撓性部材5に光を
照射し、その反射光を光計測器によって計測して、可撓
性部材5の方向を検出し、この検出結果に応じて、可撓
性部材5の方向を傾き調整機構18によって調整しつつ
参照基板3の平坦部7cの方向に一致させる。
【0090】これによって、可撓性部材5と参照面7の
平行度を調整することができ、両者の向きを高精度かつ
簡易に設定することができる。
【0091】(3)光干渉計等の変形検出装置19によ
って、可撓性部材5の反射膜5aからの反射光の変調
(干渉縞)を検出し、この可撓性部材5の形状を観察し
ながら、移動機構16によっで、参照基板3を上昇させ
てミラー基板2に接近させていく。
【0092】先に述べた様に、参照面7の凸面部7aの
頂点を平坦部7cよりも高く設定しているので、参照面
7の凸面部7aの頂点が可撓性部材5に最初に接触す
る。このとき、可撓性部材5が変形して、この可撓性部
材5からの反射光が変化し、変形検出装置19によって
検出された干渉縞が変化する。このため、この干渉縞の
変化に基づいて、参照基板3と可撓性部材5が接触した
とき(ギャップ無し)の該参照基板3の位置を簡易に高
精度に検知することができる。
【0093】(4)移動機構16によっで、参照基板3
を僅かに下降させて、参照面7の凸面部7aと可撓性部
材5間に1μmから5μm程度のギャップを開け、その
状態で、ミラー基板2の周縁と参照基板3の平坦部7c
の隙間にエポキシ系接着剤等の接着剤を充填して、両者
を接着する。
【0094】この様に参照面7と可撓性部材5の平行度
を光学的に検出しつつ調整すれば、例えば参照基板3と
ミラー基板2を圧接して、両者の平行度を調整する揚合
と比べて、より精度良く、より容易に参照面7と可撓性
部材5の平行度を調整するできる。また、参照基板3と
ミラー基板2を接触させずに、両者の平行度を調整する
ことができるので、可撓性部材5に余分な応力がかかる
ことがなく、可撓性部材5を変形させないときの該可撓
性部材5の反射面として、より高精度なものを得ること
ができる。更に、このような機構により、ギャップ無し
の参照基板3の位置を容易に高精度に検出することがで
き、その後にギャップを設定することにより、高精度に
ギャップを管理することができる。
【0095】次に、変形可能ミラー1の駆動原理につい
て詳細に説明する。まず、簡単化のため、可撓性部材5
と対向電極8を図4に示す様な平行な各平板に置き換え
て、これらの間に働く静電引力を説明する。ここで、絶
縁部材9の厚さをdi、比誘電率をεiとし、ギャップ
をdg、真空の誘電率をεo、面積をSとすると、可撓性
部材5と対向電極8間の静電容量Cは、次式(1)で表
される。 C=εi・εo・S/(di+εi・dg) …(1) また、可撓性部材5と対向電極8間に電圧印加部4によ
って電圧Vが印加されたとき、両者間に働く静電力F
は、次式(2)で表される。 F=(V2/2)・εi 2・εo・S/(di+εi・dg)2 …(2) この静電力Fは、電圧Vの極性にかかわらず、この電圧
Vの絶対値に対応する引力として常に働く。上式(2)
より明らかなように、静電力Fは、絶縁部材9の厚さd
i、誘電率εiの影響を受けるものであって、比誘電率
の高い絶縁材料を用いれば、より大きな静電引力を得る
ことができる。
【0096】上式(2)によって表される静電力Fは、
変形していない可撓性部材5と対向電極8間に働く力で
あり、静電引力によって可撓性部材5が変形すると、両
者間のギャップが小さくなり、その結果、より大きな静
電引力が働くようになる。そして、可撓性部材5が参照
面7上の絶縁部材9に吸着したときに、この可撓性部材
5の変形が止まり、安定状態となる。
【0097】しかしながら、可撓性部材5が絶縁部材9
に吸着した状態では、電荷注入や接触帯電によって絶縁
部材9に帯電が生じ、可撓性部材5と対向電極8間の静
電引力が低下することがある。図5は、この状態を模式
的に表している。例えば、可撓性部材5を正極として電
圧を印加した場合、図5に示すように絶縁部材9は、電
荷注入等によって、可撓性部材5と同じ正極に帯電す
る。この結果、可撓性部材5と絶縁部材9間に静電的斥
力が働いて、電圧印加による静電引力を打ち消し、可撓
性部材5が絶縁部材9から離れると言う事態を招く。あ
るいは、絶縁部材9の帯電は、この絶縁部材9の全体に
均一に生じるものではないため、部分的に斥力の大きさ
が異なり、可撓性部材5が参照面7とは全く異なる形状
に変形する。更には、電圧を切った後も、絶縁部材9の
帯電が残り、可撓性部材5と絶縁部材9間で引力が働い
て、可撓性部材5がもとの無変形の状態に戻らなくなっ
た。
【0098】そこで、この第1実施形態の変形可能ミラ
ーでは、絶縁部材9の帯電を防止するために、可撓性部
材5と対向電極8間に印加する電圧を直流電圧ではな
く、極性の変化する交流電圧にしている。すなわち、絶
縁部材9が正あるいは負のどちらかの極性に帯電する以
前に、電圧の極性を切替えることにより、絶縁部材9が
一方の極性に帯電することを防いでいる。
【0099】また、交流電圧の波形として、矩形波を適
用した場合は、静電引力の変動を小さく抑えることがで
きる。更に、矩形波の正電位側の波高値と負電位側の波
高値を同一に、つまり正の最高電位の絶対値と負の最低
電位の絶対値を同一にした場合は、可撓性部材5に働く
静電引力を常に一定に維持することができ、安定な変形
状態を得ることができる。
【0100】この様な交流電圧について、図6を参照し
て説明する。まず、電圧Vと静電力Fは、上式(2)に
よって表され、電圧Vの極性によらず、この静電力Fが
常に引力となる。また、交流電圧の波形の種類に応じ
て、静電力Fは、図6、図7及び図8に示す様なものと
なる。
【0101】図6(a)及び(b)は、正弦波の交流電
圧と、この交流電圧を可撓性部材5と対向電極8間に印
加したときの静電引力を示している。この交流電圧は、
可撓性部材5と対向電極8間の電位差であり、この電位
差の極性にかかわらず、この電位差の絶対値に応じて、
静電引力が変化するので、この静電引力が交流電圧の2
倍の周期で変化している。
【0102】図7(a)及び(b)は、矩形波の交流電
圧と、この交流電圧を可撓性部材5と対向電極8間に印
加したときの静電引力を示している。ここでも、交流電
圧、つまり可撓性部材5と対向電極8間の電位差の絶対
値に応じて、静電引力が変化している。
【0103】図8(a)及び(b)も、図7と同様に、
矩形波の交流電圧と、この交流電圧を可撓性部材5と対
向電極8間に印加したときの静電引力を示している。た
だし、ここでは、矩形波の正電位側の波高値と負電位側
の波高値を同一に設定している。このため、可撓性部材
5と対向電極8間の電位差の絶対値が常に一定となり、
一定の静電引力が保たれる。
【0104】実際には、矩形波の極性の切り替わりのた
めに、有限の時間(slew rate)が費やされる
ものの、可撓性部材5の応答速度を考えると、この時間
が無視できる程度に小さく、可撓性部材5の振動も生じ
ない。
【0105】したがって、可撓性部材5と対向電極8間
の交流電圧として、矩形波の正電位側の波高値と負電位
側の波高値を同一となる矩形波とすれば、絶縁部材9の
帯電を防止することができるばかりでなく、静電引力を
一定に保つことができるため、可撓性部材5の変形形状
を安定化させることができる。
【0106】一方、可撓性部材5と対向電極8間の交流
電圧の周期は、先に述べた様に絶縁部材9が一方の極性
に帯電しない程度に短くする必要があり、これによって
効果的に絶縁部材9の帯電を防止することができる。
【0107】絶縁部材9の帯電は、その導電率に関係す
る現象であり、図9に示す等価回路モデルによって明ら
かにされる。同図において、Ci,Riは、それぞれ絶縁
部材9の静電容量と抵抗を表す。この等価回路におい
て、電圧Vを絶縁部材9に印加し始めてから時間t後
に、絶縁部材9が電位Viに帯電したならば、この電位
Viは次式(3)によって表される。
【0108】 Vi=V(1−exp(−t/Ci,Ri) …(3) また、絶縁部材9の比抵抗をρ、比誘電率をεiとする
と、時定数τ=Ri,Ciは次式で表される。
【0109】τ=ρ・εi・εoo …(4) ここで、t=τ/10のときに、ViがVの約10%に
達し、t=τのときに、ViがVの約63%に達する。
このため、交流電圧の極性の切替わる周期(交流電圧の
周期の1/2)を時定数τ以下、好ましくは1/10以
下に設定すれば、より効率的に絶縁部材9の帯電を防止
することができる。
【0110】例えば、絶縁部材9として窒化シリコンを
適用し、その比抵抗ρが6x1010Ω・cmで、その誘
電率εiが6である場合、上式(4)から時定数τが3
2msecとなるので、交流電圧の極性の切替わる周期
を1/30秒以下(周波数約30Hz以上)、好ましく
は1/300秒以下(300Hz以上)に設定すれば、
絶縁部材9の帯電を確実に防止することができる。
【0111】なお、この発明は、この第1実施形態に限
定されるものではなく、静電力によて物体を変位させる
一般的なアクチュエータにも適用することができ、これ
によって第1実施形態における可撓性部材5と対向電極
8間に交流電圧を印加したことによる効果を期待するこ
とができる。
【0112】例えば、図10に示す様なカンチレバーに
おいて、可撓性部材21と対向電極22間に直流電圧を
印加して、可撓性部材21を絶縁部材23に接する位置
まで変形させるにしても、絶縁部材23が帯電すると、
可撓性部材21と絶縁部材23間に静電斥力が働き、可
撓性部材21の変形形状が安定しなくなる。ここでも、
この発明と同様に、可撓性部材21と対向電極22間に
交流電圧を印加すれば、絶縁部材23の帯電を防止する
ことができ、可撓性部材21の変形形状が安定したもの
となる。
【0113】すなわち、第1実施形態では、可撓性部材
5を参照面7に吸引しているが、これに限定されること
はなく、可撓性部材(変形あるいは移動可能な部材)と
対向電極を対向配置し、これらの間に絶縁部材を介在さ
せ、可撓性部材と対向電極間の静電引力によって可撓性
部材を変形させると言うアクチュエータであれば、どの
ようなものであっても、この発明を適用することができ
る。
【0114】次に、第1実施形態の変形可能ミラー1を
変形させない状態、及び変形させた状態についての測定
結果を述べる。
【0115】まず、この測定のために使用した参照面7
の形状を図11を参照して説明する。参照基板3は、φ
8mm、厚さ3mmのものである。また、参照面7にお
いては、中央部の|半径r(mm)|<1.075の領
域が凸面部7aであって、曲率96.412mmの凸状
球面となり、その周囲の1.075≦|(半径rmm)
|≦2.6の領域が凹面部7bであって、次式(5)の
f(r)(μm)で表される凹状非球面となっている。
【0116】 f(r)=3.401728x10-3・r4−5.881746x10-4 ・r6+5.156536x10-5 ・r8−1.740826x10-6・r10 …(5) 更に、参照面7の外周の|半径r(mm)|<7.5の
領域が平坦部7cとなっており、この領域の外周で面取
りをおこなっている。
【0117】この参照面7の形状は、可撓性部材5の変
形時に、この可撓性部材5の入射光に球面収差を与え、
同時に、この可撓性部材5の反射光が通過するレンズの
開口数を変調できるように設計されたものである。
【0118】この変形可能ミラー1の可撓性部材5を変
形させないときの該可撓性部材5の形状、及び変形させ
たときの形状を顕微鏡型レーザー干渉計(zygo m
axim・3D5700)を用いて測定した。
【0119】可撓性部材5を変形させないときには、こ
の可撓性部材5の反射面が平面に保たれている。その面
精度の指標として、RMS(根2乗平均)の測定を行っ
たところ、RMSは約4nmであった。
【0120】次に、電圧印加部4により、正電位側の波
高値と負電位側の波高値がそれぞれ50Vで、周波数3
00Hzの矩形波の交流電圧を可撓性部材5と対向電極
8間に印加し、変形時の可撓性部材5の形状を測定し
た。その結果、可撓性部材5は、参照面7に沿って変形
した。このとき、参照面7の中央部の凸面部7aに相当
する位置で、RMSが曲率96.412mmに対して約
12nmであった。
【0121】この後、電圧を切ると、可撓性部材5はも
との形状に復帰した。
【0122】一方、交流電圧と比較するために、直流電
圧(50V)を可撓性部材5と対向電極8間に印加し
て、同様に変形時の可撓性鋼材5の形状を測定したとこ
ろ、参照面7の中央部の凸面部7aに相当する位置で、
RMSが曲率96.412mmに対して約250mmと
なった。しかも、このときの可撓性部材5には、参照面
7には見られない、微少な凹凸が多数現れた。したがっ
て、可撓性部材5は、参照面7に沿って変形したとは言
い難い。
【0123】以上の様に、第1実施形態の変形可能ミラ
ー1では、可撓性部材5が参照面7に沿って安定して変
形し、入射光に任意の変調を与えて反射することがで
き、また無変形時には、高精度の平面ミラーとして利用
することができる。
【0124】図12は、この発明の変形可能ミラーの第
2実施形態を示す断面図である。但し、ここでは、図1
と同一部分については同一符号を付し、説明を省略す
る。
【0125】参照基板3は、ガラスモールド法等によっ
て作製されており、透明体である。また、参照面7の表
面には、透明なITO膜等からなる1μm程度の厚さの
対向電極38を蒸着法等により積層している。この対向
電極38の上には、5μm程度の光導電性部材39を形
成している。また、参照面7の裏面には、半導体レーザ
ー、LED、EL等の光照射装置20を配置している。
【0126】光導電性部材39としては、例えば、フタ
ロシアニン等からなる有機光導電性物質やCdS、Zn
O等の無機光導電性物質を適用する。
【0127】光照射装置20は、光導電性部材39の光
吸収効率の高い波長を有する光源を使用し、例えば、半
導体レーザー、LED,EL等を適用する。
【0128】この様な構成の変形可能ミラー1におい
て、電圧印加部4によって、可撓性部材5と対向電極路
との間に交流電圧を印加すると、静電引力が働き、可撓
性部材5が参照面7に沿って変形する。このとき、光導
電性部材39が絶縁部材として作用し、可撓性部材5と
対向電極8間での電圧のリークを防止する。
【0129】また、電圧印加部4による交流電圧の印加
を止めると、可撓性部材5が平面状態に戻る。このと
き、光照射装置20によって、光導電性部材39に光を
照射すると、この光導電性部材39が絶縁部材から導電
部材へと切り替わり、この光導電性部材39に帯電して
いた電荷が除去される。
【0130】この様に光導電性部材39を除電すれば、
不要な電荷による静電力が可撓性部材5に作用せずに済
み、無変形時の可撓性部材5の形状を高精度に維持する
ことが可能となり、高精度のミラーとして使用すること
ができる。
【0131】また、ここでは、対向電極38を透明なI
TO膜等によって形成しているので、参照面7の裏面か
らの光照射が可能となり、変形可能ミラーの小型化が容
易である。この対向電極38として、不透明なものを適
用した場合は、参照面7の裏面からの光照射が不可能な
ため、光源を対向電極38と光導電性部材39間に配置
する等の工夫が必要となる。
【0132】図13は、この発明の変形可能ミラーの第
3実施形態を示す断面図である。但し、ここでは、図1
と同一部分については同一符号を付し、説明を省略す
る。
【0133】図13において、参照基板3は、例えばガ
ラスモールド法あるいは樹脂の成形等により作製された
ものであり、参照面7と可撓性部材5間の空間から外部
に通じる貫通穴16を有する。この貫通穴16が大き過
ぎると、可撓性部材5を参照面7に吸引したときに、こ
の貫通穴16の部分で、この可撓性部材7が参照面7と
は異なる形状で変形してしまうため、この貫通穴16の
径を例えば30μm以下に設定するのが望ましい。
【0134】図14は、図13の変形可能ミラー1の変
形例である。ここでは、参照基板3に貫通穴16を設け
る代わりに、参照面7に対向する可撓性部材5の部分に
空気穴17を設けている。この空気穴17が大き過ぎる
と、可撓性部材5で反射する光に悪影響を及ぼすため、
この空気穴17の径を例えば10μm以下に設定するの
が望ましい。
【0135】この様に貫通穴16や空気穴17を設けて
おけば、可撓性部材5の変形に際し、参照面7と可撓性
部材5間の空気が貫通穴16又は空気穴17を通じて外
部に抜けるため、可撓性部材5を参照面7に確実に吸引
することができる。
【0136】また、可撓性部材5が変形しない状態にお
いては、例えば環境温度が上昇して、参照面7と可撓性
部材5間の空気が膨張しても、この空気を貫通穴16又
は空気穴17を通じて外部に逃すことができるので、可
撓性部材5の不要な変形を避けることができる。これに
対して、貫通穴16又は空気穴17が無ければ、膨張し
た空気によって、可撓性部材5が不要に変形するおそれ
がある。
【0137】もちろん、貫通穴16と空気穴17を共に
設けてもよいし、それぞれを複数個設けてもよい。ま
た、その形状は、円形である必要がなく、可撓性部材5
の変形を妨げないものであれば、任意の形状や大きさを
設定しても良い。
【0138】図15は、この発明の光学装置の一実施形
態を示すブロック図である。この光学装置では、上記各
実施形態の変形可能ミラーのいずれであっても適用する
ことができ、変形可能ミラーを光学系の一要素として用
いている。
【0139】図15において、半導体レーザー101か
ら出射された光は、コリメーターレンズ102によって
平行な光ビーム103に変換される。この光ビーム10
3は、ビームスプリッター104に入射して直進し、4
分の1波長板105を透過して、変形可能ミラー1に達
する。そして、この変形可能ミラー1で反射された光ビ
ーム103は、再び4分の1波長板105を透過し、ビ
ームスプリッター104で反射されて、対物レンズ10
6を透過し、この対物レンズ106によって、集光され
る。
【0140】第1実施形態で示した様に、正の最高電位
の絶対値と負の最低電位の絶対値を同一にした矩形波で
ある交流電圧を印加すれば、変形可能ミラー1の可撓性
部材5は、参照面7に沿って安定して変形し、ビーム1
03に所定の変調を与えることが可能となる。
【0141】あるいは、第2実施形態で示した様に、絶
縁部材5の代わりとなる光導電性部材39を適用すると
共に、光照射装置20を設け、可撓性部材5の無変形時
には、光照射装置20によって、光導電性部材39に光
を照射して、この光導電性部材39を除電すれば、高精
度の安定した変形可能ミラー1を得ることができる。
【0142】次に、参照基板3の参照面7の形状と光変
調の関係を説明する。図16(a)は、入射光に球面収
差を与える参照面7の一例を示す断面図である。この参
照面7の断面形状は、その中心軸に対して対称であっ
て、その中央部には、球面収差を与えるための凸面部7
aを形成している。この凸面部7aは、光ビーム103
の径以上の大きさとなっており、この凸面部7aに沿っ
て変形した可撓性部材5の反射面によって、光ビーム1
03が反射されると、球面収差を含む光ビーム103が
形成される。参照面7の凸面部7aの周りには、凸面部
7aと平坦部7cを滑らかにつなぐ凹面部7bを形成し
ている。凸面部7aと凹面部7bの境界は、可撓性部材
5が変形し易い様に、連続的に滑らかにつながっている
ことが望ましい。
【0143】このような変形可能ミラー1を適用すれ
ば、2種類の厚みの異なる対象物の両方に焦点を結び得
る光学装置を簡易な構成で成し得ることができる。
【0144】図16(b)は、対物レンズ106の光学
的焦点を変化させる参照面7の一例を示す断面図であ
る。この参照面7の断面形状は、その中心軸に対して対
称であって、焦点を変化させるための凹面部7bを有
し、この凹面部7bの周りには、平坦部7cを形成して
いる。この凹面部7bに沿って変形した可撓性部材5の
反射面によって、光ビーム103が反射されると、対物
レンズ106を透過した光ビーム103の焦点が近い位
置に変化する。逆に、参照面7の凹面部7bを凸面とす
ることにより、対物レンズ106の焦点を遠い位置に変
化させることもできる。
【0145】このような変形可能ミラー1を適用すれ
ば、光学系の焦点距離を2種類に変化させることが可能
な光学装置を簡易な構成で成し得ることができる。
【0146】図16(c)は、対物レンズ106の開口
数を変化させる参照面7の一例を示す断面図である。こ
の参照面7の断面形状は、その中心軸に対して対称であ
って、その中央部には、光ビーム103に変調を与えず
に、この光ビーム103を反射するための平面部7dを
形成し、その周りには、開口数を変化させるために、光
ビーム103を対物レンズ106の開口部以外に反射す
る凹面部7bを形成し、その周りに平坦部7cを形成し
ている。この平面部7dは、対物レンズ106の開口数
によって決まる径を有する。すなわち、対物レンズ10
6の開口数は、光ビーム103の有効径に比例するた
め、この有効径を平面部7dの径で変化させることによ
って、光ビーム103の開口数を変化させる。
【0147】このような変形可能ミラー1を適用すれ
ば、対物レンズ106の開口数を変化させて、光ビーム
103の集光スポット径を2種類に変化させることが可
能な光学装置を簡易な構成で成し得ることができる。
【0148】図16(d)は、光ビーム103に球面収
差を与えると同時に、対物レンズ106の開口数を変化
させる参照面7の一例を示す断面図である。この参照面
7の断面形状は、その中心軸に対して対称であって、そ
の中央部には、光ビーム103に球面収差を与えるため
の凸面部7aを形成し、その周りには、光ビーム103
を対物レンズ106の開口部以外に反射させるための凹
面部7bを形成し、その周りに平坦部7cを形成してい
る。凸面部7aに沿って変形した可撓性部材5の反射面
よって、光ビーム103が反射されると、球面収差を含
む光ビーム103が形成され、この光ビーム103が対
物レンズ106を透過して集光される。また、凹面部7
bに沿って変形した可撓性部材5の反射面で反射した光
ビーム103は、対物レンズ106の開口部に集光され
ないので、対物レンズ106の開口数が変化する。
【0149】次に、図16(d)に示した参照面7に沿
って変形した可撓性部材5の反射面によって反射された
光ビーム103の変調状態を実際に測定したので、その
結果を示す。この参照面7の形状は、第1実施形態の図
11に示すものと同一である。
【0150】ここでは、図15に示した光学装置におい
て、半導体レーザー101として波長635nmのもの
を用い、コリメータレンズ102として焦点距離21m
m、開口数0.131のものを用い、対物レンズ106
として焦点距灘3.3mm、開口数0.6のものを用い
ており、変形可能ミラー1の可撓性部材5から対物レン
ズ106に至るまでの光ビーム103の光路長を13m
mとした。
【0151】この光学装置では、変形可能ミラー1の可
撓性部材5が変形しておらず、この可撓性部材5の反射
面が平面ミラーとなっているときに、光ビーム103が
該反射面で反射され、対物レンズ106を透過し、更に
図示しない厚さ0.6mmのポリカーボネートを通過し
て集光させる。また、可撓性部材5が参照面7に沿って
変形しているときに、光ビーム103が該反射面で反射
され、対物レンズ106を透過し、更に図示しない厚さ
1.2mmのポリカーボネートを通過して集光させる。
これは、この光学装置によって、厚さ0.6mmのDV
Dと厚さ1.2mmのCDの記録再生を行うことを想定
しているためである。
【0152】この様な光学装置において、光ビーム10
3の集光スポットでのビーム径(1/e2径)とサイド
ロープ強度(ピーク強度に対する)の測定を行った。そ
の結果、可撓性部材5の無変形時に、光ビーム103を
厚さ0.6mmのポリカーボネートを通して集光させる
と、ビーム径が0.81μmで、サイドロープ強度が
0.7%となった。また、変形可能ミラー1の変形時
に、光ビーム103を1.2mmのポリカーボネートを
通して集光させると、ビーム径が1.40μmで、サイ
ドロープ強度が1.0%となった。
【0153】すなわち、参照面7の形状で光ビーム10
3を反射させると、この光ビーム103に球面収差が与
えられて、この光ビーム103が厚さの異なるポリカー
ボネートを通しても集光し、また同時に、対物レンズ1
06の開口数が変化して、光ビーム103の集光スポッ
トでのビーム径が変化する。このような光学装置を用い
れば、DVDとCD両方の記録再生を共に高精度に行う
ことが可能である。
【0154】以上の様に、変形時、無変形時の可撓性部
材5の形状を高精度に維持することができ、また複雑な
形状や大きな変位を伴う参照面7であっても、この参照
面7に沿って可撓性部材5を変形させることができるか
ら、上記各実施形態のいずれの変形可能ミラー1を適用
するにしても、多様な光変調を行うことが可能な光学装
置を提供することができる。
【0155】なお、この発明の変形可能ミラーや光学装
置は、上記各実施形態に限定されるものではない。例え
ば、変形可能ミラーの参照面7の形状を適宜に変更し
て、光ビーム103に他の種類の変調を与えても良い。
また、構成の一部を変更した光学装置や、全く異なる他
の構成の光学装置においても、変形可能ミラー1を適用
用すれば、簡易な構成で入射光に変調を与えることがで
きる。
【0156】
【発明の効果】以上説明した様に、請求項1に記載の変
形可能ミラーによれば、可撓性部材と対向電極間に交流
電圧を印加するので、可撓性部材と対向電極間に静電引
力が加わり、可撓性部材が対向電極側にたわんで、この
可撓性部材の反射面が変形する。
【0157】また、可撓性部材と対向電極間に印加され
る交流電圧は、その極性が変化するので、可撓性部材と
対向電極間にあるリーク防止用の絶縁部材が正負のどち
らか一方の極性に帯電することがなく、帯電した絶縁部
材と可撓性部材間に斥力が発生することが防止される。
これによって、可撓性部材の変形形状が安定すると共
に、より大きな静電引力を得ることが可能となる。
【0158】請求項2に記載の様に、交流電圧は矩形波
でも良い。この矩形波は、正弦波等に比べると、その極
性が急激に変化するため、静電引力が零近傍となる時間
が短く、静電引力の変動を小さくすることができる。
【0159】請求項3に記載の様に、矩形波の交流電圧
は、正電位側の波高値と負電位側の波高値が同一である
ものが好ましい。可撓性部材と対向電極間の静電引力
は、両者間の印加電圧の極性の影響を受けず、その強さ
は可撓性部材と対向電極間の電位差の絶対値によって決
定される。このため、正電位側の波高値と負電位側の波
高値が同一となる矩形波の交流電圧であれば、絶縁部材
の帯電を防止するだけでなく、可撓性部材と対向電極間
に働く静電引力を常に一定にすることが可能となり、可
撓性部材の変形形状をより安定したものにすることがで
きる。
【0160】請求項4に記載の様に、交流電圧の極性の
変化する周期を時定数τ=ρ・εiεoより短くすれば、
絶縁部材が正負どちらか一方の極性に帯電する以前に、
印加電圧の極性が変化することになり、より確実に絶縁
部材の帯電を防止することができる。
【0161】次に、請求項5に記載の変形可能ミラーで
は、可撓性部材と対向電極間に光導電性部材を介在させ
ているので、可撓性部材と対向電極間に電圧を印加し
て、可撓性部材を変形させているときには、光導電性部
材に光を照射せずに、この光伝導性部材を可撓性部材と
対向電極間のリーク防止用の絶縁部材として用いること
ができ、また、可撓性部材と対向電極間に電圧を印加せ
ず、可撓性部材を変形させないときには、光導電性部材
に光を照射して、この光導電性部材を可撓性部材と対向
電極間の余分な静電気を除電する導電部材として用いる
ことができる。
【0162】請求項6に記載の様に、対向電極は透明で
あっても良い。この場合、光導電性部材ヘの光照射を対
向電極を介して行えるようになり、変形可能ミラーの小
型化が可能となると共に、他の光学系への光のもれをな
くすことができる。
【0163】請求項7に記載の様に、対向電極側で、可
撓性部材の弾性変形を許容する空間を形成する参照面を
更に備えていれば、可撓性部材の変形形状が参照面の形
状で決定されるため、その変形形状が環境温湿度に影響
されることなく再現性の良いものとなる。また、参照面
を凸面や凹面、あるいはこの両者を含む形状とすること
により、可撓性部材を凹面のみでなく、任意の形状に変
形させることができる。
【0164】請求項8に記載の様に、可撓性部材と参照
面の少なくとも一方に、可撓性部材と参照面間に存在す
る空気を逃がすための空気孔を形成すれば、可撓性部材
と参照面間の空気を逃がすことができ、可撓性部材が変
形し易くなり、かつ可撓性部材がより速やかに変形す
る。
【0165】請求項9に記載の様に、参照面の外周に、
可撓性部材を該参照面に対して位置決めする平坦部を設
ければ、参照面の外周の平坦部に、可撓性部材の周縁を
当接することによって、可撓性部材と参照面の平行性を
調整しつつ、この可撓性部材を容易に配置することがで
きる。
【0166】請求項10に記載の様に、平坦部が参照面
の頂点位置よりも低い位置に形成すれば、可撓性部材を
参照面に接近させて配置するときに、参照面の頂点位置
が可撓性部材に最も先に接触するため、参照面と可撓性
部材の位置関係を容易に知ることが可能となる。
【0167】請求項11に記載の様に、支持手段が単結
晶シリコンからなり、可撓性部材が、単結晶シリコンに
不純物をドーピングしてなるものであれば、支持手段と
可撓性部材同一材料の単結晶シリコンから形成するの
で、両者の熱膨張係数の差が小さくなり、環境温度の変
動による影響を受け難くなる。また、半導体の製造プロ
セスを応用すれば、支持手段及び可撓性部材を一括して
製造することが可能であり、支持手段及び可撓性部材と
して高精度で安価なものを得ることができる。
【0168】請求項12に記載の様に、可撓性部材の表
面に金属反射膜を形成すれば、任意の波長の光に対して
高反射率のミラーを得ることができる。
【0169】次に、請求項13に記載の変形可能ミラー
の組立て方法では、参照面外周の平坦部と可撓性部材間
の平行状態を光学的に検出しつつ、両者間を平行に調整
しているので、参照面外周の平坦部と可撓性部材の周縁
を圧接して、両者間を平行に調整する場合に比べると、
より精度良く、より容易に参照面と可撓性部材間の平行
度を調整することができる。また、参照面と可撓性部材
間の非接触での調整が可能であり、可撓性部材に余分な
応力が加わらずに済み、可撓性部材が変形させないとき
の該可撓性部材の形状をより高精度に設定することが可
能となる。
【0170】次に、請求項14に記載の変形可能ミラー
の組立て装置では、参照面の頂点位置と可撓部材の接触
を接触させてから、支持手段と参照面を僅かに離間して
いるので、両者間の相対位置を高精度に決めることがで
きる。
【0171】次に、請求項15に記載の光学装置では、
可撓性部材と対向電極間にあるリーク防止用の絶縁部材
が正負のどちらか一方の極性に帯電することがなく、帯
電した絶縁部材と可撓性部材間に斥力が発生せずに済
み、可撓性部材の変形形状が安定するので、変形可能ミ
ラーの動作により、光学的に異なる複数の光を安定して
出射することができる。
【0172】また、請求項16に記載の光学装置では、
可撓性部材と対向電極間に電圧を印加せず、可撓性部材
を変形させないときには、光導電性部材に光を照射し
て、この光導電性部材を可撓性部材と対向電極間の余分
な静電気を除電する導電部材として用いることができる
ので、可撓性部材の変形形状が安定し、変形可能ミラー
の動作により、光学的に異なる複数の光を出射すること
ができる。また、特に可撓性部材の無変形時には、この
可撓性部材を高精度のミラーとして作用させることがで
きる。
【0173】請求項17に記載の様に、変形可能ミラー
の可撓性部材の変形により、入射光に球面収差を与えれ
ば、変形可能ミラーの動作により、球面収差の加えられ
た光を安定して出射することができる。
【0174】請求項18に記載の様に、変形可能ミラー
の可撓性部材の変形により、光学部材のレンズを通過し
た光の焦点を変化させれば、変形可能ミラーの動作によ
り、焦点の異なる光を安定して出射することができる。
【0175】請求項19に記載の様に、変形可能ミラー
の可撓性部材の変形により、光学部材のレンズの開口数
を変化させれば、変形可能ミラーの動作により、開口数
の異なるレンズを通過した光を安定して出射することが
できる。
【0176】請求項20に記載の様に、変形可能ミラー
の可撓性部材の変形により、この可撓性部材に入射した
入射光の球面収差、光学部材のレンズを通過した光の焦
点、及び該レンズの開口数のうちの少なくとも2つ以上
を同時に変化させれば、変形可能ミラーの動作により、
入射光の球面収差、レンズの焦点、開口数のいずれか2
つ以上を同時に変調してなる光を安定して出射すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の変形可能ミラーの第1実施形態を概
略的に示す主要断面図
【図2】図1の変形可能ミラーにおけるミラー基板の製
造工程を示しており、(a)はシリコン基板にシリコン
熱酸化膜を形成する工程を示し、(b)はボロンドープ
層を形成する工程を示し、(c)はシリコン熱酸化膜を
パターニングする工程を示し、(d)はシリコン基板の
エッチング工程を示し、(e)はシリコン熱酸化膜の除
去工程を示し、(f)は反射膜の形成工程を示す
【図3】この発明の変形可能ミラーの組立装置の一実施
形態を概略的に示す図
【図4】図1の変形可能ミラーにおける可撓性部材と対
向電極間の作用を説明するために用いた図
【図5】変形可能ミラーに起こり得る問題点を説明する
ために用いた図
【図6】(a)は交流電圧波形の一例を示すグラフ、
(b)は静電引力を示すグラフ
【図7】(a)は交流電圧波形の他の例を示すグラフ、
(b)は静電引力を示すグラフ
【図8】(a)は交流電圧波形の別の例を示すグラフ、
(b)は静電引力を示すグラフ
【図9】図1の変形可能ミラーにおける可撓性部材と対
向電極を含む回路を等価的に表す等価回路
【図10】この発明を適用しうるカンチレバーを示す斜
視図
【図11】(a)は図1の変形可能ミラーにおける参照
基板を例示する平面図、(b)は断面図
【図12】この発明の変形可能ミラーの第2実施形態を
示す断面図
【図13】この発明の変形可能ミラーの第3実施形態を
示す断面図
【図14】図13の変形可能ミラーの変形例を示す断面
【図15】この発明の光学装置の一実施形態を示すブロ
ック図
【図16】(a)は入射光に球面収差を与える参照面の
一例を示す断面図、(b)は対物レンズの光学的焦点を
変化させる参照面の一例を示す断面図、(c)は対物レ
ンズの開口数を変化させる参照面の一例を示す断面図、
(d)は光ビームに球面収差を与えると同時に、対物レ
ンズの開口数を変化させる参照面の一例を示す断面図
【図17】(a)は従来の焦点可変ミラーを示す断面
図、(b)は断面図
【図18】従来の変形可能ミラーを示す断面図
【符号の説明】
1 変形可能ミラー 2 ミラー基板 3 参照基板 4 電圧印加部 5 可撓性部材 6 基板枠 7 参照面 8 対向電極 9 絶縁部材 11 シリコン基板 12 ボロンドープ層 15 参照面支持部材 16 移動機構 17 ミラー支持部材 18 傾き調整機構 19 変形検出装置 101 半導体レーザー 102 コリメータレンズ 104 ビームスプリッター 105 4分の1波長板 106 対物レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 勝 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 阿部 新吾 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射光を反射する反射面を表面に有する
    可撓性部材と、 可撓性部材の周縁を支持する支持手段と、 可撓性部材と対向して配置された対向電極と、 可撓性部材と対向電極間に介在する絶縁部材と、 可撓性部材と対向電極間に極性の変化する交流電圧を印
    加する電圧印加手段とを備える変形可能ミラー。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の変形可能ミラーにおい
    て、交流電圧は矩形波である変形可能ミラー。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の変形可能ミラーにおい
    て、矩形波の交流電圧は、正電位側の波高値と負電位側
    の波高値が同一である変形可能ミラー。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の変形
    可能ミラーにおいて、交流電圧の極性の変化する周期
    は、絶縁部材の体積抵抗率をρ、比誘電率をεi、真空
    の誘電率をεoとした時、時定数τ=ρ・εiεoより短
    い変形可能ミラー。
  5. 【請求項5】 入射光を反射する反射面を表面に有する
    可撓性部材と、 可撓性部材の周縁を支持する支持手段と、 可撓性部材と対向して配置された対向電極と、 可撓性部材と対向電極間に介在し、光を照射されると、
    絶縁体から導電体へと変化する光導電性部材と、 可撓性部材と対向電極間に、電圧を印加する電圧印加手
    段とを備える変形可能ミラー。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の変形可能ミラーにおい
    て、対向電極は透明である変形可能ミラー。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれかに記載の変形
    可能ミラーにおいて、 対向電極側で、可撓性部材の弾
    性変形を許容する空間を形成する参照面を更に備え、 電圧印加手段によって可撓性部材と対向電極間に電圧を
    印加したときに、可撓性部材と対向電極間の静電引力に
    よって、可撓性部材が変形して参照面に吸い寄せられる
    変形可能ミラー。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の変形可能ミラーにおい
    て、可撓性部材と参照面の少なくとも一方に可撓性部材
    と参照面間に存在する空気を逃がすための空気孔を有す
    る変形可能ミラー。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8に記載の変形可能ミラー
    において、参照面の外周に、可撓性部材を該参照面に対
    して位置決めする平坦部を設けた変形可能ミラー。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の変形可能ミラーにお
    いて、平坦部が参照面の頂点位置よりも低い位置に形成
    された変形可能ミラー。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
    変形可能ミラーにおいて、支持手段は、可撓性部材に引
    っ張り応力を与えて この可撓性部材を保持するもので
    あって、単結晶シリコンからなり、 可撓性部材は、単結晶シリコンに不純物をドーピングし
    てなる変形可能ミラー。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の変形可能ミラーに
    おいて、可撓性部材の表面に金属反射膜を形成した変形
    可能ミラー。
  13. 【請求項13】 請求項9に記載の変形可能ミラーを組
    み立てるための組立て方法において、 参照面外周の平坦部と可撓性部材間の平行状態を光学的
    に検出しつつ、両者間を平行に調整する変形可能ミラー
    の組立て方法。
  14. 【請求項14】 請求項9に記載の変形可能ミラーを組
    み立てるための組立て装置において、 支持手段を保持する第1保持手段と、 参照面を保持する第2保持手段と、 第1及び第2保持手段の少なくとも一方を移動させる移
    動手段と、 参照面の頂点位置と可撓部材の接触による該可撓性部材
    の変形を検出する変形検出手段を備える変形可能ミラー
    の組立て装置。
  15. 【請求項15】 変形可能な反射面を有する変形可能ミ
    ラーと、この変形可能ミラーに対して光を入出力する光
    学部材とを備え、変形可能ミラーを変形しないとき、変
    形するときに応じて、光学的に異なる複数の光を生成す
    る光学装置において、 変形可能ミラーは、 入射光を反射する反射面を表面に有する可撓性部材と、
    可撓性部材の周縁を支持する支持手段と、可撓性部材と
    対向して配置された対向電極と、この対向電極側で、可
    撓性部材の弾性変形を許容する空間を形成する参照面
    と、可撓性部材と対向電極間に介在する絶縁部材と、可
    撓性部材と対向電極間に極性の変化する交流電圧を印加
    する電圧印加手段とを備える光学装置。
  16. 【請求項16】 変形可能な反射面を有する変形可能ミ
    ラーと、この変形可能ミラーに対して光を入出力する光
    学部材とを備え、変形可能ミラーを変形しないとき、変
    形するときに応じて、光学的に異なる複数の光を生成す
    る光学装置において、 変形可能ミラーは、 入射光を反射する反射面を表面に有する可撓性部材と、
    可撓性部材の周縁を支持する支持手段と、可撓性部材と
    対向して配置された対向電極と、この対向電極側で、可
    撓性部材の弾性変形を許容する空間を形成する参照面
    と、可撓性部材と対向電極間に介在し、光を照射される
    と、絶縁体から導電体へと変化する光導電性部材と、可
    撓性部材と対向電極間に、電圧を印加する電圧印加手段
    とを備える光学装置。
  17. 【請求項17】 請求項14又は15に記載の光学装置
    において、変形可能ミラーは、その可撓性部材の変形に
    より、入射光に球面収差を与える光学装置。
  18. 【請求項18】 請求項14又は15に記載の光学装置
    において、光学部材は、変形可能ミラーの可撓性部材に
    よって反射された光が通過するレンズを有し、 変形可能ミラーは、その可撓性部材の変形により、光学
    部材のレンズを通過した光の焦点を変化させる光学装
    置。
  19. 【請求項19】 請求項14又は15に記載の光学装置
    において、光学部材は、変形可能ミラーの可撓性部材に
    よって反射された光が通過するレンズを有し、 変形可能ミラーは、その可撓性部材の変形により、光学
    部材のレンズの開口数を変化させる光学装置。
  20. 【請求項20】 請求項14又は15に記載の光学装置
    において、光学部材は、変形可能ミラーの可撓性部材に
    よって反射された光が通過するレンズを有し、 変形可能ミラーは、その可撓性部材の変形により、この
    可撓性部材に入射した入射光の球面収差、光学部材のレ
    ンズを通過した光の焦点、及び該レンズの開口数のうち
    の少なくとも2つ以上を同時に変化させる光学装置。
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