JPH11128367A - 持続注入型皮内投与医療用具 - Google Patents

持続注入型皮内投与医療用具

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JPH11128367A
JPH11128367A JP9311622A JP31162297A JPH11128367A JP H11128367 A JPH11128367 A JP H11128367A JP 9311622 A JP9311622 A JP 9311622A JP 31162297 A JP31162297 A JP 31162297A JP H11128367 A JPH11128367 A JP H11128367A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 持続注入型皮内投与医療用具の提供。 【解決手段】 針管中空部に吸湿性及び吸水性を有する
部材を挿入又は充填して薬物移動部を設けた注射針、並
びに針基部に有効成分を保有する薬物貯留部を設けた持
続注入型皮内投与医療用具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薬物が持続的に皮内へ
投与され、薬理作用を十分に発揮せしめる持続注入型皮
内投与医療用具に関する。
【0002】
【従来の技術】皮膚は、大別して表皮、真皮及び皮下組
織からなり、表皮の最外側は角質層といわれるケラチン
化した細胞で覆われている。この角質層は、水の蒸発、
薬物等の化学物質の流入や流出に対して制御バリヤーと
して働いている。角質層は疎水性等の性質を有するた
め、水溶性の高い薬物、あるいは分子量の大きい薬物を
有効量に達するまで経皮から吸収させることが難しく、
これらの薬物を経皮吸収型製剤にすることは極めて困難
であった。これらの薬物の皮膚からの吸収性を高めるた
めに、経皮吸収促進剤の添加、超音波を利用したフォノ
フォレシス、電流を利用したイオントフォレシス等の利
用がある。例えばイオントフォレシスに関しては、特開
昭60-156475号公報、特開昭60-188176号公報、特開昭61
-31169号公報に、導電性電極層と薬物含有導電性ゲル層
を積層させてなるプラスター構造体を有するイオントフ
ォレシス用デバイスが報告されている。また、特開昭63
-102768号公報には、電極層と薬物含有層とからなるカ
ップ型のプラスター構造体が報告されている。更に、耳
適用外用剤として特公平3-67041公報に、耳垂の皮内に
投与する製剤が記載されているが、この製剤は中に合計
40本の針を保有し、この針が表皮角質層に穴を空けて薬
物を投与するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】イオントフォレシス
は、薬物を有効量までに十分に経皮吸収させようとする
とやけど様の皮膚刺激性を起こすことがあり、製剤とし
て大規模の装置を必要とするため、コスト面で問題があ
るなどの理由から実用に耐え得るものではなかった。ま
た、耳適用外用剤は、40本の針を保有した製剤を耳垂と
いう局所に繰り返し適用することにより、皮膚表面を損
傷させることから使用性の面で実用に耐え得るものでは
なかった。こうしたことから、皮膚から難吸収性の薬物
を持続的に皮内投与し、かつ使用性を改善させた製剤又
は医療用具は今までに実用に供されることが少なかっ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な事情に鑑み、通常、ツベルクリン反応、アレルギー反
応等の診断の目的で注射され、わずかの痛みしか感じな
いとされる皮内を投与経路として着目し、鋭意検討を重
ねた結果、本発明を完成した。本発明は、注射針の針管
中空部に吸湿性及び吸水性を有する部材を挿入又は充填
して薬物移動部を設け、針基部に有効成分を保有する薬
物貯留部を設けた持続注入型皮内投与医療用具である。
本発明の医療用具を用い、薬液を持続的に皮内に投与す
ることにより、以下のごとき利点が得られる。 1.従来まで経皮吸収が困難であった薬物の吸収量を高
め、薬理効果を十分に発揮させ、しかも長時間持続させ
ることができる。 2.注射針は、皮内注射用の針の長さ及び太さが同等か
それ以下であるため、皮下組織に到達することがないの
で患者に対して痛みを与えることがない。 3.医療用具として大規模な装置を必要とせず、安価に
提供可能である。 4.種々の薬物に対して利用範囲が拡大できる。 5.吸湿性及び吸水性の異なる薬物移動部を使用するこ
とにより、注入速度を自由に調節できる。
【0005】本発明の医療用具は、針基部に薬物貯留部
のほかに支持体を設け、支持体表面に粘着層を形成し、
皮膚に貼り付けて固定する貼付型とすることにより、次
の利点が得られる。 1.貼付することにより、患者が意識することなく投与
と同時に表皮あるいは真皮に穴が空くために、患者に与
える恐怖感を軽減できる。 2.留置した針がしっかりと固定される。 3.自分で簡単に装着できるため在宅治療が可能であ
る。 4.点滴静注のように患者を一定時間ベットに拘束する
必要がなくなり、軽度の運動が可能である。
【0006】注射剤の投与法には、大別して皮内投与、
皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与及び動脈内投与に分
類される。一般的に皮内投与とは、皮膚の外層である表
皮層(層の厚さ約100μm)の直下である真皮層(層の厚
さ約3〜5mm)に、皮内注射用の注射針を挿入し、通常約
0.1mlのツベルクリン反応診断薬、アレルギー反応診断
薬等が投与される。本発明は、この真皮層へ注射針を留
置し、持続的に真皮層に薬物を注入する投与方法を特徴
とする。
【0007】図1は、本発明の医療用具の1例を示す断
面図である。注射針1の針管中空部に吸湿性及び吸水性
を有する部材を挿入又は充填して薬物移動部2を形成す
る。また針基部には薬物貯留部3を設ける。針基部と薬
物貯留部3は固定されていることが好ましい。図2は、
貼付型とした場合の一具体例を示す断面図である。針基
部には薬物貯留部3及び支持体4を設け、支持体4の表
面に粘着層5を形成する。
【0008】注射針の種類は、針管の外径(ゲージ)及
び長さで分類される。例えば、一般的な皮内注射用の針
はゲージが26〜27(外径 0.42〜0.47mm,内径0.21〜0.2
4mm)、長さは13〜19mmのものである。図1及び図2に
示した1の注射針は、皮内注射で使用される針の長さ及
び太さが同等かそれ以下のものであり、インシュリンの
自己注射器として使われている細い注射針(27〜30ゲー
ジ)でも使用可能である。図1で示した構造のものであ
れば、皮膚に対して水平方向に穿刺させるため長さは3
〜13mmが望ましい。しかし、図2に示したような貼付剤
とした場合、皮膚に対して垂直方向に穿刺させるため、
皮下組織に到達しない長さ、すなわち約5mm以下のもの
が望ましい。また針先はできるだけ穿刺抵抗の少ない鋭
いカットのものが望ましいが、一般的な針先で刃面の角
度が12゜であるレギュラーベベル(RB)、及び刃面の
角度が18゜でRBよりもやや鈍角なショートベベル(S
B)のどちらでも使用可能である。
【0009】薬物移動部を形成する部材の吸湿性及び吸
水性の指標として、温度20±2℃、相対湿度65±2%の一
定環境下で、そのときの吸湿量を測定する公定水分率
(石川等,三訂版 繊維 東京電機大学出版局)があ
る。ちなみに綿では8.5%、麻で12.0%、毛で15.0%、
絹で11.0%、レーヨンで11.0%、ナイロンで4.5%、ア
クリルで2.0%、及びポリ塩化ビニルで0%である。薬物
移動部2の部材は、公定水分率が5%以上のものが望ま
しく、絹、羊毛、綿、麻、レーヨン、キュプラ、あるい
はそれ以上に公定水分率の高いものが望ましい。薬物移
動部2を形成する部材の形状は、糸状のものであれば針
管中空部に簡単に挿入又は充填しやすい。また、糸状の
ものは均一に繊維が引きそろえられ、又は集合されてい
るため、薬物貯留部から針先端部までの薬液の移動速度
のバラツキが少なくなり、結果的に体内への吸収速度の
バラツキが少なくなる。
【0010】薬物移動部2の長さは、薬物貯留部4から
針先端の斜面部分まで、若しくは斜面先端部よりも1〜2
mm程度長いものが望ましい。 なぜならば、薬物移動部
2の先端部と、皮内の真皮層との接触面積を大きくさせ
た方が薬物の吸収速度が速く、高い血漿中濃度が得られ
る。逆に、薬物移動部2の先端部が針先端の斜面部分よ
り短いと、針を皮内に挿入した場合に薬物移動部2の先
端部と針先端部との空間に気泡ができ、薬物移動部2か
ら皮内へ薬液を確実に注入させることができない。薬物
移動部2は、針管中空部に固定されていても、固定され
ていなくてもどちらでも良い。薬物移動部2の太さは特
に規定はないが、針管中空部を通すことが可能な太さの
ものであれば良い。
【0011】薬物貯留部3の材質は、薬液の染み出しを
防止できるものであればよく、例えば合成樹脂系、ゴム
系等が挙げられる。薬物貯留部3の上部には1ないし数
個の空気孔を設けることが好ましい。薬液貯留部3には
注射器により薬液を注入してもよく、また、薬液貯留部
3に固形の薬物を入れておき、使用時に生理食塩水等を
注射器により注入してもよい。
【0012】水溶性の高い薬物、分子量の大きい薬物、
高い融点をもつ薬物等は、一般に経皮吸収性の低い薬物
であり、例えば狭心症治療薬の一硝酸イソソルビド、血
管拡張剤のニフェジピン、ニカルジピン、ジルチアゼ
ム、不整脈用剤のベラパミル、アジマリン、ジソピラミ
ド、抗不安薬のジアゼパム、エチゾラム、トリアゾラ
ム、クロチアゼパム、抗血栓治療剤のアスピリン、ワー
ファリン、心不全治療剤のデノパミン、ジギトキシン、
ジゴキシン、癌性疼痛薬のモルヒネ、ペプチド系薬物の
インシュリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、甲状
腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、セクレチン、
オキシトシン、グルカゴン、アンギオテンシン、ソマト
スタチン、バソプレシン、黄体形成ホルモン放出ホルモ
ン、エンケファリン、成長ホルモン、インターフェロ
ン、インターロイキン、エンドセリン等が挙げられる。
薬物貯留部3中に有効成分として上記のような薬物を含
有した薬液を貯留しておき、皮内投与することができ
る。なお、皮内への注入量に限度があるため、1日の投
与量の少ない薬物であれば上記以外のものでも投与可能
である。
【0013】皮内投与は痛みを感じない投与経路である
が、注射針を皮内に留置させるため、投与中に違和感を
感じることは否めない。このため、この違和感を解消さ
せるため、薬液に無痛化剤として局所麻酔剤を配合する
こともできる。局所麻酔剤としては、例えば塩酸プロカ
イン、塩酸リドカイン、塩酸ジブカイン、塩酸メピバカ
イン、塩酸オキシブプロカイン、塩酸テトラカイン、オ
キセサゼイン、アミノ安息香酸エチル等が挙げられる。
【0014】図2は、貼付型とした場合の一具体例を示
す断面図である。支持体4の上部に薬物貯留部3を、支
持体4の下部には粘着層5を設けている。薬物貯留部3
と注射針部分は連結されており、支持体4及び粘着層5
の平面に対して注射針が垂直に貫通されている。注射針
と支持体4の接触部分は、注射針が上下左右に動かない
ようにしっかりと固定されてある。支持体4は、貼りや
すさ、剥しやすさなど取り扱い性を向上させるため、ま
た注射針を固定させるため、適度に厚く腰の強いものが
望ましい。支持体4としては、例えばシリコン、ポリエ
チレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデ
ン等のフィルム状又は板状のものが挙げられる。
【0015】粘着層5は、貼付剤を皮膚に貼付したとき
に、真皮層に挿入した注射針が軽度な運動でもずれない
ように固定するなど、使用性を改善させるためのもので
ある。粘着層5に使用される粘着剤としては、例えばア
クリル酸アルキルエステル重合体、メタクリル酸アルキ
ルエステル重合体等のアクリル酸系粘着剤、天然ゴム、
合成イソプレンゴム、ポリイソブチレン、ポリビニルエ
ーテル、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−
ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等
のゴム系粘着剤、ポリオルガノシロキサンなどのシリコ
ン系粘着剤等のいずれもが使用可能である。
【0016】以下、本発明を実施例で詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【実施例1】本発明に従って、図1に示す装置を製造し
た。長さが13mm、太さが26ゲージ(外径約0.45mm)、針
先の刃面がSBタイプの針管1の針管中空部に、長さ16
mmの東大式絹製縫合糸0号を針管1の刃先先端部から約
1mm出るように通し、薬物移動部2とした。この薬物移
動部2を通した針管1を、厚さ5mm、径5mmの円柱状の
シリコン板の中心部に、シリコン板に対して垂直方向に
刺し貫通させた。針管1の針先からシリコン板までの距
離を6mmとして、針管1とシリコン板の接合部を接着剤
で固定した。シリコン板上部に、径4mm、厚さ8mmの円
形のプラスチック製のキャップをのせ、両者の接合部か
ら液漏れがないように十分に接着させた。この径4mm、
厚さ8mmの円形部分の空間を薬物貯留部3とし、以下の
試験例1、2及び5に使用した。
【0017】実施例2 ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィ
ルム)の片面に、アクリル系粘着剤を90μmの厚さで塗
工後、60℃で約20分間乾燥した。粘着層の面にポリエス
テル製セパレーターを貼り合わせた。PETフィルムの
反対面にはシリコン系粘着剤を90μmの厚さで塗工し、6
0℃で約20分間乾燥し、両面テープを作成した。厚さ1.0
mmのシリコン板を両面テープのシリコン系粘着剤側に張
り付け、直径19mmの円形に打ち抜いた。シリコン板部分
を支持体4、アクリル系粘着剤部分を粘着層5とした。
長さ約5mm、太さ26ゲージ(外径約0.45mm)、針先の刃
面がSBタイプの針管1の針管中空部に、長さ約8mmの
東大式絹製縫合糸0号を刃先先端部から約1mm出るよう
に通し、薬物移動部2とした。シリコン板の粘着層5側
の反対面から、シリコン板に対して垂直方向に円形の中
心部に針管1を刺し、粘着層5と針管1の接点から針管
1の刃先先端部までの長さを2.0mmとした。針管1と支
持体4の接合部を接着剤で固定した。別に厚さ1mm、直
径19mmのシリコン板に直径8mmの穴を空けドーナツ型の
シリコン板を作成した。支持体4の粘着層5と反対面に
このドーナツ型のシリコン板を重ね合わせ、両者をシリ
コン系粘着剤で接合させた。これにより、ドーナツ型の
シリコン板の中心部に、厚さ1mm、直径8mmの空間がで
き、この部分に、深さ3mm、内径8mmの円形のプラスチ
ック製のキャップを取り付けた。この厚さ4mm、内径8
mmの空間部分を薬物貯留部3とし、以下の試験例3、4
及び5に使用した。
【0018】試験例1 (薬物注入速度の測定) 通常では水溶性が高く、経皮吸収がほとんど不可能な薬
物である一硝酸イソソルビド(以下ISMN)をモデル
薬物として以下の試験を実施した。実施例1で製造した
医療用具の薬物貯蔵部3にISMNの1.0mg/ml水溶液約
100μl を入れ、図3に示すFranz型の2−チャン
バー拡散セルを用いて試験を行った。図3中の6はドナ
ー相、7はレセプター相、8はサンプリング口である。
塩化ビニール製のフィルム9をドナー相6とレセプター
相7の間に挟み、実施例1で製造した医療用具の針部分
をドナー相6からレセプター相7へ貫通させた。レセプ
ター相7の液には水を使用し、適用後20、40及び60分に
サンプリング口8からレセプター相7の試料溶液1mlを
それぞれ採取した。なお、試料溶液の採取後は1mlの水
をレセプター相7へ補充した。試料溶液中のISMNを
高速液体クロマトグラフィーを用いて定量し、レセプタ
ー相7内の試料溶液中のISMN濃度を求め、その値に
より薬物貯留部3からレセプター相7への薬物の注入速
度を算出した。試験結果を表1に示す。
【0019】
【表1】 レセプター相内のISMN濃度の測定結果 (n=3)
【0020】試験結果から、レセプター相内のISMN
濃度は時間に対してほぼ比例して上昇し、薬物貯留部3
からレセプター相7への薬物の注入速度は、3回の平均
値から約40μl/hrと求められた。
【0021】試験例2 (ラットにおける血漿中濃度測
定) 実施例1で製造した医療用具の薬物貯留部3にISMN
の50mg/ml水溶液約600μlを入れ、これを使用して以下
の実験を行った。実験動物として雄性ラット(SD系8
週齢)を用いた。ラットをウレタン麻酔し、腹部をバリ
カンにより除毛した。本医療用具の針先端部分の斜面を
上に向け、その斜面が真皮中に見えなくなるまで皮膚内
に水平に挿入し、動かないように本医療用具の側面をサ
ージカルテープで軽く固定した。適用前、適用後1、
2、3及び6時間にそれぞれ頚静脈から採血し、血漿中
ISMN濃度を高速液体クロマトグラフィーを用いて定
量した。なお、対照例としてISMNの経皮吸収性を確
認するため、別のラットの腹部を除毛した後、直径約1c
mの円の範囲内に同濃度のISMN水溶液を約1ml垂ら
し、蒸散しないように塩化ビニール製のフィルムで上部
を覆った。以下、同様の条件で血漿中濃度を測定した。
その結果を図4に示す。対照例では各測定時の血漿中I
SMN濃度は0μg/mlであった。一方、本医療用具で
は、ラット2匹の平均血漿中濃度が投与後1時間後に0.
5 μg/ml、2時間後に0.8 μg/ml、3時間後には1.5μg
/mlに達し、その後6時間までほぼ一定の値を維持し
た。
【0022】試験例3 (ミニブタの摘出皮膚を用いた
膜透過性試験) 図3に示したFranz型の2−チャンバー拡散セルを
用いて試験を行った。フィルム9に代えてミニブタ(Y
ucatan Micropig)の胸部摘出皮膚を用
い、表皮層側をドナー相6、真皮層側をレセプター相7
として挟んだ。レセプター相7を等張リン酸緩衝液pH
7.0で満たし、セル温度を34℃に保温した。 実施例2
で製造した医療用具の薬物貯留部3にISMNの50mg/m
l水溶液約500μlを注入し、粘着層5のセパレーターを
剥がし、ドナー相6側である摘出皮膚の表皮面に貼付し
た。粘着層5から針先端部までの長さが約2.0mmであ
り、使用したミニブタ皮膚の真皮層の厚さが約4.0mm
(実測値)であるため、針先端部が真皮層内に留置され
ていることを確認した。適用後、0、1、2、3、4、
5、6、24及び48時間後にサンプリング口8からレセプ
ター相7の試料溶液500μlを採取した。なお、試料溶液
の採取後は500μlの等張リン酸緩衝液pH7.0をレセプ
ター相7へ補充した。試料溶液中のISMNを高速液体
クロマトグラフィーを用いて定量し、レセプター相7内
の試料溶液中のISMN濃度から累積透過量を求め、膜
透過速度を算出した。試験結果を表2に示す。
【0023】
【表2】 ミニブタの摘出皮膚を用いた膜透過性試験結
【0024】試験結果から、貼付2時間後から吸収が認
められ、2回の平均値から、48時間までの累積透過量が
1325.4μg、膜透過速度が30.2μg/hrと求められ、in vi
troの実験において極めて高い薬物吸収が確認された。
ミニブタの皮膚(表皮層及び真皮層)はヒトの皮膚の厚
さとかなり類似しており、ヒトへの投与においても同様
な膜透過性が得られると予想できる。
【0025】試験例4 (実施例2で製造した医療用具
を用いたラット血漿中濃度測定) 実施例2で製造した貼付型医療用具の薬物貯留部3にI
SMNの50mg/ml水溶液約500μlを注入し、これを使用
して以下の実験を行った。実験動物として雄性ラット
(SD系8週齢)を用い、ウレタン麻酔し、腹部をバリ
カンで除毛した。医療用具の粘着層5のセパレーターを
剥がしてラットの腹部に貼付し、上部を数秒間軽く押さ
えた。粘着層5から針先端部までの長さが2.0mmであ
り、ラットの腹部の真皮層の厚さが2.5mm(試験終了時
に実測)であったため、針先が皮下組織に到達していな
いことを確認した。ラットに貼付前、貼付後1、2、3
及び6時間後にそれぞれ頚静脈から採血し、血漿中IS
MN濃度を高速液体クロマトグラフィーを用いて定量し
た。その結果を図4に示す。ラット2匹の平均血漿中濃
度が、投与後1時間に0.5μg/ml、2時間後に1.0μg/m
l、3時間後に1.8μg/mlに達し、その後6時間まで約1.
5μg/mlと一定の値を示し、in vivoの試験においても高
い吸収性が認められた。
【0026】試験例5 (ヒトにおける試験) 薬物の吸収性、皮膚刺激性及び使用性について検討する
ため、ヒトへ実際に実施例1及び2で製造した医療用具
を適用した。なお、医療用具はあらかじめエチレンオキ
サイドガスで滅菌されたものを使用した。以下に示す処
方により無菌下で調製したISMN溶液約100μlをそれ
ぞれ薬物貯留部3へ注入し、実施例1の医療用具につい
ては、前腕の前方表面に、針の先端斜面を上に向け、斜
面が真皮中に見えなくなるまで皮膚内に水平に挿入し、
動かないように医療用具の側面をサージカルテープで軽
く固定した。また、実施例2の医療用具については、粘
着層5のセパレーターを剥がして胸部に貼着した。な
お、被験者はそれぞれ2名で行った。
【0027】ヒトに投与したISMN水溶液の処方 ISMN原末 1500mg クエン酸一水和物 16.8mg クエン酸ナトリウム二水和物 123.5mg 塩化ナトリウム 193.8mg 注射用水 適量 (全量を50mlとした)
【0028】本医療用具の装着時、試験途中及び本医療
用具の取り外し時のいずれの場合においても、針の穿刺
による痛さは感じなかった。ISMNは、薬理作用とし
て強力な血管拡張作用を有しているため、体内に吸収さ
れると血圧が低下するとともに、頭痛又は頭重感が自覚
症状として現れる。装着開始から約1時間後に、ISM
N特有の自覚症状である頭痛又は頭重感が起こり、薬物
が体内に吸収されたことを間接的に確認した。本医療用
具を皮膚から取り外した数時間後、これらの自覚症状は
完全に消失した。また、本医療用具を取り外した時点
で、皮膚に蚊に刺されたような針の跡が残ったが、次の
日には完全に消失していた。
【0029】
【発明の効果】以上の試験例から明らかなように、本発
明の医療用具を使用し、経皮吸収されにくい薬物を持続
的に皮内へ投与することにより、高い薬物吸収性及び血
漿中濃度の持続性が認められた。また、投与経路は皮内
でしかも局所であるため皮膚刺激性は認められず、本発
明の医療用具は極めて有用性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の医療用具の断面図である。
【図2】 本発明の医療用具の断面図である。
【図3】 試験例1及び3で使用したFranz 型の2−チ
ャンバー拡散セルの横断面図である。
【図4】 試験例2及び4の薬物の血漿中濃度のグラフ
である。
【記号の説明】
1:針管 2:薬物移動部 3:薬物貯留部 4:支持体 5:粘着層 6:ドナー相 7:レセプター相 8:サンプリング口 9:フイルム 10:攪拌子
【手続補正書】
【提出日】平成9年12月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 注射針の針管中空部に吸湿性及び吸水性
    を有する部材を挿入又は充填した薬物移動部を設け、針
    基部に有効成分を保有する薬物貯留部を設けた持続注入
    型皮内投与医療用具。
  2. 【請求項2】 吸湿性及び吸水性を有する部材が繊維で
    ある請求項1の持続注入型皮内投与医療用具。
  3. 【請求項3】 吸湿性及び吸水性を有する部材が公定水
    分率が5%以上を有する繊維である請求項1の持続注入
    型皮内投与医療用具。
  4. 【請求項4】 針基部に薬物貯留部及び支持体を設け、
    支持体の表面に粘着層を形成した請求項1の持続注入型
    皮内投与医療用具。
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