JPH11115707A - 車両運動性能制御装置及び目標ヨーレート決定方法 - Google Patents
車両運動性能制御装置及び目標ヨーレート決定方法Info
- Publication number
- JPH11115707A JPH11115707A JP28377297A JP28377297A JPH11115707A JP H11115707 A JPH11115707 A JP H11115707A JP 28377297 A JP28377297 A JP 28377297A JP 28377297 A JP28377297 A JP 28377297A JP H11115707 A JPH11115707 A JP H11115707A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- control
- yaw rate
- vehicle
- target
- sliding mode
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Hydraulic Control Valves For Brake Systems (AREA)
- Regulating Braking Force (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】制動力を利用した車両の運動制御は、ヨーモー
メントという一つの制御出力によって車体横滑り角とヨ
ーレートとの二つの値を目標値に近づけなければならな
いため、良好な制御を行うことが困難であった。 【解決手段】車体横滑り角βと目標車体横滑り角βd と
の偏差s1 を零にする必要ヨーレートr_dβを求める
1段目のスライディングモード制御部17と、配分比ψ
を設定する配分比設定部18と、目標ヨーレートrd ,
必要ヨーレートr_dβ及び配分比ψに従って最終目標
ヨーレートr_dψを演算する最終目標ヨーレート演算
部19と、偏差s3 を演算する加算器20と、偏差s3
を零にするのに必要なホイールシリンダ圧の昇圧時間U
を求める2段目のスライディングモード制御部21と、
昇圧時間Uを旋回時外輪側の前輪側の昇圧時間uf と後
輪側の昇圧時間ur とに分配する制動力配分決定部22
と、を備えている。
メントという一つの制御出力によって車体横滑り角とヨ
ーレートとの二つの値を目標値に近づけなければならな
いため、良好な制御を行うことが困難であった。 【解決手段】車体横滑り角βと目標車体横滑り角βd と
の偏差s1 を零にする必要ヨーレートr_dβを求める
1段目のスライディングモード制御部17と、配分比ψ
を設定する配分比設定部18と、目標ヨーレートrd ,
必要ヨーレートr_dβ及び配分比ψに従って最終目標
ヨーレートr_dψを演算する最終目標ヨーレート演算
部19と、偏差s3 を演算する加算器20と、偏差s3
を零にするのに必要なホイールシリンダ圧の昇圧時間U
を求める2段目のスライディングモード制御部21と、
昇圧時間Uを旋回時外輪側の前輪側の昇圧時間uf と後
輪側の昇圧時間ur とに分配する制動力配分決定部22
と、を備えている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両のヨーレー
トや車体横滑り角を検出又は推定し、それらヨーレート
及び車体横滑り角と、別途設定した目標ヨーレート及び
目標車体横滑り角とを比較し、その偏差が小さくなるよ
うに制動力を制御して車両の旋回性能や安定性能を向上
させる車両運動性能制御装置並びにかかる装置に好適な
目標ヨーレート決定方法に関する。
トや車体横滑り角を検出又は推定し、それらヨーレート
及び車体横滑り角と、別途設定した目標ヨーレート及び
目標車体横滑り角とを比較し、その偏差が小さくなるよ
うに制動力を制御して車両の旋回性能や安定性能を向上
させる車両運動性能制御装置並びにかかる装置に好適な
目標ヨーレート決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、論文集「AVEC'96 Internationa
l Symposium on Advanced Vehicle Control 」の第57
3〜607頁や、特開平5−502423号公報等に開
示されるように、各車輪の制動力を個別に制御すること
によりヨーレートや車体横滑り角を制御する装置(第1
従来例)が従来から知られている。
l Symposium on Advanced Vehicle Control 」の第57
3〜607頁や、特開平5−502423号公報等に開
示されるように、各車輪の制動力を個別に制御すること
によりヨーレートや車体横滑り角を制御する装置(第1
従来例)が従来から知られている。
【0003】また、上記論文集の第745〜761頁に
開示されるように、非線形制御理論を用いて車両運動性
能を向上させることが可能であること(第2従来例)も
知られている。
開示されるように、非線形制御理論を用いて車両運動性
能を向上させることが可能であること(第2従来例)も
知られている。
【0004】なお、特開平7−215190号公報に開
示されるように、車両運動性能目標としてある領域を設
定するものも知られているし、ACC(American Contr
ol Conference )の1990年 Conference Proceeding
の第2891〜2897頁に開示されているように、複
数の切り換え面を有するスライディングモード制御も知
られている。
示されるように、車両運動性能目標としてある領域を設
定するものも知られているし、ACC(American Contr
ol Conference )の1990年 Conference Proceeding
の第2891〜2897頁に開示されているように、複
数の切り換え面を有するスライディングモード制御も知
られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上記第1従来
例にあっては、先ず、目標ヨーレート及び目標車体横滑
り角と、実際のヨーレート及び車体横滑り角との偏差に
基づいて目標スリップ率を演算し、そして、その目標ス
リップ率を、制動装置のホイールシリンダ圧の絶対値を
制御する制動力制御装置によって実現するような構成と
なっている。そして、制動装置のマスタシリンダとホイ
ールシリンダとの間の圧力差により、単位時間当たりの
ホイールシリンダ圧の上昇量が異なることから、所望の
昇圧特性を得ることは困難であるので、目標とするホイ
ールシリンダ圧を実現するために、ホイールシリンダ圧
を推定する手段を備え、その手段の推定結果に基づいて
昇減圧時間を決定するようになっていた。
例にあっては、先ず、目標ヨーレート及び目標車体横滑
り角と、実際のヨーレート及び車体横滑り角との偏差に
基づいて目標スリップ率を演算し、そして、その目標ス
リップ率を、制動装置のホイールシリンダ圧の絶対値を
制御する制動力制御装置によって実現するような構成と
なっている。そして、制動装置のマスタシリンダとホイ
ールシリンダとの間の圧力差により、単位時間当たりの
ホイールシリンダ圧の上昇量が異なることから、所望の
昇圧特性を得ることは困難であるので、目標とするホイ
ールシリンダ圧を実現するために、ホイールシリンダ圧
を推定する手段を備え、その手段の推定結果に基づいて
昇減圧時間を決定するようになっていた。
【0006】つまり、上記第1従来例えは、目標ヨーレ
ートや目標車体横滑り角を入力として直接制動装置が制
御されるのではなく、段階的な処理が行われて最終的に
ホイールシリンダ圧が制御されるようになっていた。か
かる点は、演算負荷を軽減する上で問題であり、望まし
くは、ヨーレートと目標ヨーレートの偏差や、車体横滑
り角と目標車体横滑り角との偏差を入力として、直接制
動装置に対する制御量を求めるようにしたい。
ートや目標車体横滑り角を入力として直接制動装置が制
御されるのではなく、段階的な処理が行われて最終的に
ホイールシリンダ圧が制御されるようになっていた。か
かる点は、演算負荷を軽減する上で問題であり、望まし
くは、ヨーレートと目標ヨーレートの偏差や、車体横滑
り角と目標車体横滑り角との偏差を入力として、直接制
動装置に対する制御量を求めるようにしたい。
【0007】一方、非線形制御理論が、上述のような単
位時間当たりの圧力上昇量のように未知のパラメータを
有する系の制御に有効であることは従来から知られてい
る。また、上記第2従来例にもあるように、4輪操舵に
非線形制御理論を適用することが有効であることも知ら
れている。
位時間当たりの圧力上昇量のように未知のパラメータを
有する系の制御に有効であることは従来から知られてい
る。また、上記第2従来例にもあるように、4輪操舵に
非線形制御理論を適用することが有効であることも知ら
れている。
【0008】しかし、制動力を利用した走行中の車両の
運動制御は、車両運動力学の面から考えると、各車輪の
制動力とトレッドとの積の総和であるヨーモーメントと
いう一つの制御出力によって車体横滑り角とヨーレート
との二つの値を目標値に近づけなければならない、ホイ
ールシリンダ圧は直接的にはヨーレートにしか影響を与
えられない、等の特徴を有していることから、上記第2
従来例等の結果を直接適用することは困難である。
運動制御は、車両運動力学の面から考えると、各車輪の
制動力とトレッドとの積の総和であるヨーモーメントと
いう一つの制御出力によって車体横滑り角とヨーレート
との二つの値を目標値に近づけなければならない、ホイ
ールシリンダ圧は直接的にはヨーレートにしか影響を与
えられない、等の特徴を有していることから、上記第2
従来例等の結果を直接適用することは困難である。
【0009】本発明は、このような現状に着目してなさ
れたものであって、簡易な構造で良好な制御性能を実現
できる車両運動性能制御装置及びかかる装置に好適な目
標ヨーレート決定方法を提供することを目的としてい
る。
れたものであって、簡易な構造で良好な制御性能を実現
できる車両運動性能制御装置及びかかる装置に好適な目
標ヨーレート決定方法を提供することを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明である車両運動性能制御装置
は、少なくともヨーレート及び車体横滑り角を含む車両
の走行状態を検出又は推定する走行状態検出手段と、前
記車両の走行状態に基づいて目標ヨーレート及び目標車
体横滑り角を設定する目標値設定手段と、前記ヨーレー
ト,前記車体横滑り角,前記目標ヨーレート及び前記目
標車体横滑り角に基づき車両運動性能を制御する制御手
段と、を備え、前記制御手段は、スライディングモード
制御に従って制動装置に対する制御量を求めて前記車両
運動性能を制御するようにした。
に、請求項1に係る発明である車両運動性能制御装置
は、少なくともヨーレート及び車体横滑り角を含む車両
の走行状態を検出又は推定する走行状態検出手段と、前
記車両の走行状態に基づいて目標ヨーレート及び目標車
体横滑り角を設定する目標値設定手段と、前記ヨーレー
ト,前記車体横滑り角,前記目標ヨーレート及び前記目
標車体横滑り角に基づき車両運動性能を制御する制御手
段と、を備え、前記制御手段は、スライディングモード
制御に従って制動装置に対する制御量を求めて前記車両
運動性能を制御するようにした。
【0011】請求項2に係る発明は、上記請求項1に係
る発明である車両運動性能制御装置において、前記制御
手段は、前記目標車体横滑り角を達成するための必要ヨ
ーレートを前記スライディングモード制御に従って演算
する必要ヨーレート演算手段と、前記必要ヨーレートと
前記目標ヨーレートとを所定比率で比例配分して最終目
標ヨーレートを演算する最終目標ヨーレート演算手段
と、前記最終目標ヨーレートを達成するための制御量を
スライディングモード制御に従って演算する制御量演算
手段と、を備えた。
る発明である車両運動性能制御装置において、前記制御
手段は、前記目標車体横滑り角を達成するための必要ヨ
ーレートを前記スライディングモード制御に従って演算
する必要ヨーレート演算手段と、前記必要ヨーレートと
前記目標ヨーレートとを所定比率で比例配分して最終目
標ヨーレートを演算する最終目標ヨーレート演算手段
と、前記最終目標ヨーレートを達成するための制御量を
スライディングモード制御に従って演算する制御量演算
手段と、を備えた。
【0012】また、請求項3に係る発明は、上記請求項
1又は2に係る発明である車両運動性能制御装置であっ
て、且つ、制動装置に対する他の制御を実行するように
なっている車両に適用するものであって、前記他の制御
による前記制動装置に対する制御量と前記制御手段によ
る前記制動装置に対する制御量との整合をとる制御量整
合手段を備えた。
1又は2に係る発明である車両運動性能制御装置であっ
て、且つ、制動装置に対する他の制御を実行するように
なっている車両に適用するものであって、前記他の制御
による前記制動装置に対する制御量と前記制御手段によ
る前記制動装置に対する制御量との整合をとる制御量整
合手段を備えた。
【0013】そして、請求項4に係る発明は、上記請求
項3に係る発明である車両運動性能制御装置において、
前記制御量整合手段は、前記他の制御による前記制動装
置に対する制御量に、前記制御手段による前記制動装置
に対する制御量を加算するようになっている。
項3に係る発明である車両運動性能制御装置において、
前記制御量整合手段は、前記他の制御による前記制動装
置に対する制御量に、前記制御手段による前記制動装置
に対する制御量を加算するようになっている。
【0014】さらに、請求項5に係る発明は、上記請求
項3又は4に係る発明である車両運動性能制御装置にお
いて、前記制御量整合手段は、車輪のスリップ率が許容
範囲を越えた場合に、前記制御手段による制御量を前回
求めた値に固定するようになっている。
項3又は4に係る発明である車両運動性能制御装置にお
いて、前記制御量整合手段は、車輪のスリップ率が許容
範囲を越えた場合に、前記制御手段による制御量を前回
求めた値に固定するようになっている。
【0015】また、請求項6に係る発明は、上記請求項
1〜5に係る発明である車両運動性能制御装置におい
て、前記制御手段は、前記スライディングモード制御に
おける切り換え面の両側に所定領域を設定し、その所定
領域内では、前記スライディングモード制御の切り換え
ゲイン項を零にするようになっている。
1〜5に係る発明である車両運動性能制御装置におい
て、前記制御手段は、前記スライディングモード制御に
おける切り換え面の両側に所定領域を設定し、その所定
領域内では、前記スライディングモード制御の切り換え
ゲイン項を零にするようになっている。
【0016】そして、請求項7に係る発明は、上記請求
項1〜5に係る発明である車両運動性能制御装置におい
て、前記制御手段は、前記スライディングモード制御に
おける切り換え面の両側に所定領域を設定し、その所定
領域内では、前記スライディングモード制御の切り換え
ゲイン項を下に凸の非線形な特性としている。
項1〜5に係る発明である車両運動性能制御装置におい
て、前記制御手段は、前記スライディングモード制御に
おける切り換え面の両側に所定領域を設定し、その所定
領域内では、前記スライディングモード制御の切り換え
ゲイン項を下に凸の非線形な特性としている。
【0017】上記目的を達成するために、請求項8に係
る発明である目標ヨーレート決定方法は、ヨーレート及
び車体横滑り角を検出又は推定するとともに、目標ヨー
レート及び目標車体横滑り角を設定し、前記目標車体横
滑り角を達成するための必要ヨーレートをスライディン
グモード制御に従って演算し、そして、前記必要ヨーレ
ートと前記目標ヨーレートとを所定比率で比例配分して
最終の目標ヨーレートを演算するようにした。
る発明である目標ヨーレート決定方法は、ヨーレート及
び車体横滑り角を検出又は推定するとともに、目標ヨー
レート及び目標車体横滑り角を設定し、前記目標車体横
滑り角を達成するための必要ヨーレートをスライディン
グモード制御に従って演算し、そして、前記必要ヨーレ
ートと前記目標ヨーレートとを所定比率で比例配分して
最終の目標ヨーレートを演算するようにした。
【0018】ここで、請求項1に係る発明にあっては、
走行状態検出手段が、車両の走行状態を検出又は推定す
る。ここで検出又は推定される車両の走行状態は、少な
くともヨーレート及び車体横滑り角を含んでいればよい
が、目標ヨーレート及び目標車体横滑り角を設定するた
めに必要な走行状態も検出又は推定される。かかる必要
な走行状態としては、例えば、車速、前輪舵角、後輪舵
角である。
走行状態検出手段が、車両の走行状態を検出又は推定す
る。ここで検出又は推定される車両の走行状態は、少な
くともヨーレート及び車体横滑り角を含んでいればよい
が、目標ヨーレート及び目標車体横滑り角を設定するた
めに必要な走行状態も検出又は推定される。かかる必要
な走行状態としては、例えば、車速、前輪舵角、後輪舵
角である。
【0019】そして、目標値設定手段によって目標ヨー
レート及び目標車体横滑り角が設定され、さらに、制御
手段が、スライディングモード制御に従って制動装置に
対する制御量を求める。
レート及び目標車体横滑り角が設定され、さらに、制御
手段が、スライディングモード制御に従って制動装置に
対する制御量を求める。
【0020】このように、制御手段は、スライディング
モード制御に従って制御量を求めるようになっているか
ら、検出又は推定されたヨーレート及び車体横滑り角
と、設定された目標ヨーレート及び目標車体横滑り角と
を入力として、制動装置に対する制御量を直接出力する
ことができる。
モード制御に従って制御量を求めるようになっているか
ら、検出又は推定されたヨーレート及び車体横滑り角
と、設定された目標ヨーレート及び目標車体横滑り角と
を入力として、制動装置に対する制御量を直接出力する
ことができる。
【0021】また、請求項2に係る発明にあっては、ス
ライディングモード制御を2段階に実行するようになっ
ており、1段目の切り換え面を利用して必要ヨーレート
が演算され、その必要ヨーレートと目標ヨーレートとを
比例配分して最終目標ヨーレートが演算され、そして、
2段目の切り換え面を利用して制動装置に対する制御量
が演算される。
ライディングモード制御を2段階に実行するようになっ
ており、1段目の切り換え面を利用して必要ヨーレート
が演算され、その必要ヨーレートと目標ヨーレートとを
比例配分して最終目標ヨーレートが演算され、そして、
2段目の切り換え面を利用して制動装置に対する制御量
が演算される。
【0022】そして、請求項3に係る発明にあっては、
制御量整合手段を備えているから、例えばアンチスキッ
ド制御やトラクション制御等のように制動装置をアクチ
ュエータとして実行される他の制御との整合をとること
ができる。
制御量整合手段を備えているから、例えばアンチスキッ
ド制御やトラクション制御等のように制動装置をアクチ
ュエータとして実行される他の制御との整合をとること
ができる。
【0023】例えば、請求項4に係る発明のように、制
御量整合手段が、上記他の制御による制御量に、制御手
段による制御量を加算すると、例えば、アンチスキッド
制御の実行中にも、ヨーレート及び車体横滑り角に対す
る制御を行える。
御量整合手段が、上記他の制御による制御量に、制御手
段による制御量を加算すると、例えば、アンチスキッド
制御の実行中にも、ヨーレート及び車体横滑り角に対す
る制御を行える。
【0024】また、請求項5に係る発明であれば、車輪
のスリップ率が許容範囲(目標スリップ率にある許容値
を加えた範囲)を越えた場合には、制御手段による制御
量が新たな値に更新されることが防止され、過渡の制動
力が発生するようなことを回避できる。
のスリップ率が許容範囲(目標スリップ率にある許容値
を加えた範囲)を越えた場合には、制御手段による制御
量が新たな値に更新されることが防止され、過渡の制動
力が発生するようなことを回避できる。
【0025】さらに、請求項6又は請求項7に係る発明
であれば、切り換え面の両側に不感帯が形成されたこと
になり、所定領域内に納まることが制御の目的となる。
その結果、制御偏差を必要以上に小さくするような作動
は行われない。
であれば、切り換え面の両側に不感帯が形成されたこと
になり、所定領域内に納まることが制御の目的となる。
その結果、制御偏差を必要以上に小さくするような作動
は行われない。
【0026】そして、請求項8に係る発明にあっては、
車両の走行状態等から設定される目標ヨーレートと、目
標車体横滑り角を達成するために必要な必要ヨーレート
とが一致しなくても、最終の目標ヨーレートが求められ
る。
車両の走行状態等から設定される目標ヨーレートと、目
標車体横滑り角を達成するために必要な必要ヨーレート
とが一致しなくても、最終の目標ヨーレートが求められ
る。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、スライディングモード
制御を利用して車両運動性能を制御するようにしたた
め、制動装置に対する制御量を直接的に求めることがで
き、簡易な制御構造で車両の安定性能や旋回性能を向上
できるという効果が得られる。
制御を利用して車両運動性能を制御するようにしたた
め、制動装置に対する制御量を直接的に求めることがで
き、簡易な制御構造で車両の安定性能や旋回性能を向上
できるという効果が得られる。
【0028】特に、請求項2に係る発明であれば、2段
階のスライディングモード制御を実行する構成であると
ともに、目標ヨーレートと必要ヨーレートとを比例配分
して最終の目標ヨーレートを求めるようになっているか
ら、ヨーモーメントという一つの制御出力によって車体
横滑り角とヨーレートとの二つの値を目標値に近づける
制御を大きな不具合なく実行できるという効果がある。
階のスライディングモード制御を実行する構成であると
ともに、目標ヨーレートと必要ヨーレートとを比例配分
して最終の目標ヨーレートを求めるようになっているか
ら、ヨーモーメントという一つの制御出力によって車体
横滑り角とヨーレートとの二つの値を目標値に近づける
制御を大きな不具合なく実行できるという効果がある。
【0029】また、請求項3〜5に係る発明であれば、
制動装置をアクチュエータとする他の制御との整合をと
ることができ、特に請求項5に係る発明であれば、過度
な制動力が発生することを回避できるから、例えばアン
チスキッド制御等に悪影響を与えないで済む。
制動装置をアクチュエータとする他の制御との整合をと
ることができ、特に請求項5に係る発明であれば、過度
な制動力が発生することを回避できるから、例えばアン
チスキッド制御等に悪影響を与えないで済む。
【0030】さらに、請求項6,7に係る発明であれ
ば、所定領域内に納まるようなスライディングモード制
御が実行されるため、制動装置の駆動が必要最小限で済
むようになる。
ば、所定領域内に納まるようなスライディングモード制
御が実行されるため、制動装置の駆動が必要最小限で済
むようになる。
【0031】そして、請求項8に係る発明であれば、互
いに一致しない目標ヨーレートと必要ヨーレートとに基
づいて、妥当な線で最終の目標ヨーレートを決定するこ
とができる。
いに一致しない目標ヨーレートと必要ヨーレートとに基
づいて、妥当な線で最終の目標ヨーレートを決定するこ
とができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態
の機能構成を示すブロック図であるが、図1に示す各機
能構成のうち、後述するセンサや制動装置以外の構成
は、実際にはマイクロコンピュータや必要なインタフェ
ース回路等によって実現されるものである。
に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態
の機能構成を示すブロック図であるが、図1に示す各機
能構成のうち、後述するセンサや制動装置以外の構成
は、実際にはマイクロコンピュータや必要なインタフェ
ース回路等によって実現されるものである。
【0033】かかるマイクロコンピュータ内にはオブザ
ーバー10が構成されていて、このオブザーバー10
は、車両に発生しているヨーレートを検出するヨーレー
トセンサ11から供給される実際のヨーレートrと、ヨ
ーレートrを微分する微分器12の出力であるヨー角加
速度(dr/dt)と、車両に発生している横加速度を
検出する横加速度センサ13から供給される横加速度α
と、車速を検出する車速センサ14から供給される車速
Vと、前輪及び後輪のそれぞれの操舵角を検出する操舵
角センサ15から供給される前輪舵角δf ,後輪舵角δ
r とに基づいて、所定の演算処理を実行して、車体の横
滑り角βを推定するとともに、車体横滑り角βの目標値
である目標車体横滑り角βd と、ヨーレートrの目標値
である目標ヨーレートrd とを設定するようになってい
る。
ーバー10が構成されていて、このオブザーバー10
は、車両に発生しているヨーレートを検出するヨーレー
トセンサ11から供給される実際のヨーレートrと、ヨ
ーレートrを微分する微分器12の出力であるヨー角加
速度(dr/dt)と、車両に発生している横加速度を
検出する横加速度センサ13から供給される横加速度α
と、車速を検出する車速センサ14から供給される車速
Vと、前輪及び後輪のそれぞれの操舵角を検出する操舵
角センサ15から供給される前輪舵角δf ,後輪舵角δ
r とに基づいて、所定の演算処理を実行して、車体の横
滑り角βを推定するとともに、車体横滑り角βの目標値
である目標車体横滑り角βd と、ヨーレートrの目標値
である目標ヨーレートrd とを設定するようになってい
る。
【0034】そして、オブザーバー10の後段側には、
車体横滑り角βと目標車体横滑り角βd との偏差s1 を
演算する加算器16と、この加算器16が求めた偏差s
1 を零にするのに必要なヨーレートである必要ヨーレー
トr_dβをスライディングモード制御に従って求める
1段目のスライディングモード制御部17と、ヨーレー
トr,車速V,舵角δf ,δr 及び車体横滑り角βに基
づいて配分比ψを設定する配分比設定部18と、目標ヨ
ーレートrd ,必要ヨーレートr_dβ及び配分比ψに
従って最終目標ヨーレートr_dψを演算する最終目標
ヨーレート演算部19と、ヨーレートrと最終目標ヨー
レートr_dψとの偏差s3 を演算する加算器20と、
偏差s3 を零にするのに必要なホイールシリンダ圧の昇
圧時間Uをスライディングモード制御に従って求める2
段目のスライディングモード制御部21と、昇圧時間U
を旋回時外輪側の前輪側の昇圧時間uf と後輪側の昇圧
時間ur とに分配する制動力配分決定部22と、を備え
ている。
車体横滑り角βと目標車体横滑り角βd との偏差s1 を
演算する加算器16と、この加算器16が求めた偏差s
1 を零にするのに必要なヨーレートである必要ヨーレー
トr_dβをスライディングモード制御に従って求める
1段目のスライディングモード制御部17と、ヨーレー
トr,車速V,舵角δf ,δr 及び車体横滑り角βに基
づいて配分比ψを設定する配分比設定部18と、目標ヨ
ーレートrd ,必要ヨーレートr_dβ及び配分比ψに
従って最終目標ヨーレートr_dψを演算する最終目標
ヨーレート演算部19と、ヨーレートrと最終目標ヨー
レートr_dψとの偏差s3 を演算する加算器20と、
偏差s3 を零にするのに必要なホイールシリンダ圧の昇
圧時間Uをスライディングモード制御に従って求める2
段目のスライディングモード制御部21と、昇圧時間U
を旋回時外輪側の前輪側の昇圧時間uf と後輪側の昇圧
時間ur とに分配する制動力配分決定部22と、を備え
ている。
【0035】さらに、制動力配分決定部22で決定され
た各昇圧時間uf 及びur が、それぞれ旋回時外輪側の
前輪及び後輪のホイールシリンダ圧となるように制動装
置30に供給されるようになっている。なお、制動装置
30の詳細な構造は本発明の本質ではないため説明しな
いが、例えば、運転者によるブレーキペダルの操作とは
別に、各車輪毎に設けられたホイールシリンダの圧力を
調整可能なアクチュエータを備えた制動装置が適用可能
である。
た各昇圧時間uf 及びur が、それぞれ旋回時外輪側の
前輪及び後輪のホイールシリンダ圧となるように制動装
置30に供給されるようになっている。なお、制動装置
30の詳細な構造は本発明の本質ではないため説明しな
いが、例えば、運転者によるブレーキペダルの操作とは
別に、各車輪毎に設けられたホイールシリンダの圧力を
調整可能なアクチュエータを備えた制動装置が適用可能
である。
【0036】ここで、一般的な4輪車両をモデルで表す
と、下記の(1)、(2)式のようになる。 (dβ/dt)=r+f ……(1) (dr/dt)=g+Gm U/I ……(2) また、上記(1)、(2)式中のf及びgは非線形項で
あり、下記の(3)、(4)式のようになる。
と、下記の(1)、(2)式のようになる。 (dβ/dt)=r+f ……(1) (dr/dt)=g+Gm U/I ……(2) また、上記(1)、(2)式中のf及びgは非線形項で
あり、下記の(3)、(4)式のようになる。
【0037】 f=−{2Yf (βf )+2Yr (βr )}/MV ……(3) g={2aYf (βf )−2bYr (βr )}/I ……(4) 但し、βf は前輪の横滑り角、βr は後輪の横滑り角で
あり、 βf =δf −a・r/V−β βr =δr +b・r/V−β と表される。
あり、 βf =δf −a・r/V−β βr =δr +b・r/V−β と表される。
【0038】なお、上記各式中、Iはヨー慣性、βは車
体の横滑り角、rはヨーレート、αは横加速度、aは車
両重心から前輪側車軸までの水平距離、bは車両重心か
ら後輪側車軸までの水平距離、Vは車速、δf は前輪舵
角、δr は後輪舵角、Yf は前輪のタイヤ横力、Yr は
後輪のタイヤ横力、CPf は前輪のコーナリングパワ
ー、CPr は後輪のコーナリングパワーであり、これら
を図に表すと、図2のようになる。なお、図2中、1は
前輪、2は後輪である。また、前輪舵角δf は、運転者
によるステアリングホイールの操舵角と、前輪操舵系の
ステアリングギア比とから求めることもできる。
体の横滑り角、rはヨーレート、αは横加速度、aは車
両重心から前輪側車軸までの水平距離、bは車両重心か
ら後輪側車軸までの水平距離、Vは車速、δf は前輪舵
角、δr は後輪舵角、Yf は前輪のタイヤ横力、Yr は
後輪のタイヤ横力、CPf は前輪のコーナリングパワ
ー、CPr は後輪のコーナリングパワーであり、これら
を図に表すと、図2のようになる。なお、図2中、1は
前輪、2は後輪である。また、前輪舵角δf は、運転者
によるステアリングホイールの操舵角と、前輪操舵系の
ステアリングギア比とから求めることもできる。
【0039】さらに、上記(2)式中のUは制動装置の
ホイールシリンダの昇圧時間命令、Gm は各車輪に対す
る昇圧時間の補正係数とトレッドとの積を4輪分加算し
た、単位昇圧時間命令当たりに発生する車両ヨーモーメ
ントであり、下記の(5)式のようになる。なお、tri
は各車輪のトレッド長さ、Pi は各車輪毎の単位昇圧時
間命令当たりの制動力量変化を示しており、添え字iは
各車輪を識別するためのものである。
ホイールシリンダの昇圧時間命令、Gm は各車輪に対す
る昇圧時間の補正係数とトレッドとの積を4輪分加算し
た、単位昇圧時間命令当たりに発生する車両ヨーモーメ
ントであり、下記の(5)式のようになる。なお、tri
は各車輪のトレッド長さ、Pi は各車輪毎の単位昇圧時
間命令当たりの制動力量変化を示しており、添え字iは
各車輪を識別するためのものである。
【0040】
【数1】
【0041】……(5) また、タイヤモデル(タイヤ横力Yf ,Yr )として
は、横滑り角βf ,βrを入力とした任意のタイヤモデ
ルを使用することが可能である。以下に、タイヤモデル
の例として、線形タイヤモデルの例((6)、(7)
式)と、マジックフォーミュラーと呼ばれる非線形式の
例((8)、(9)式)とを挙げる。
は、横滑り角βf ,βrを入力とした任意のタイヤモデ
ルを使用することが可能である。以下に、タイヤモデル
の例として、線形タイヤモデルの例((6)、(7)
式)と、マジックフォーミュラーと呼ばれる非線形式の
例((8)、(9)式)とを挙げる。
【0042】 Yf (βf )=CPf βf ……(6) Yr (βr )=CPr βr ……(7) Yf (βf )=D sin[C tan-1(Bβf )] ……(8) Yr (βr )=D sin[C tan-1(Bβr )] ……(9) なお、(8)、(9)式中のB,C及びDは定数であ
る。また、タイヤモデルはこのような代数式で表される
モデルに限られるものではなく、マップ等で表現される
点列データのモデルを使用することも可能である。
る。また、タイヤモデルはこのような代数式で表される
モデルに限られるものではなく、マップ等で表現される
点列データのモデルを使用することも可能である。
【0043】そして、本実施の形態で実行する制御の目
的は、端的に言えば、下記(10)、(11)式で表される
偏差s1 、s2 を零にする又は零に近づけることであ
る。 s1 =β−βd ……(10) s2 =r−rd ……(11) これら偏差s1 、s2 が、スライディングモード制御に
おける切り換え面と呼ばれるものである。なお、偏差s
2 は、実際の制御には用いられない。
的は、端的に言えば、下記(10)、(11)式で表される
偏差s1 、s2 を零にする又は零に近づけることであ
る。 s1 =β−βd ……(10) s2 =r−rd ……(11) これら偏差s1 、s2 が、スライディングモード制御に
おける切り換え面と呼ばれるものである。なお、偏差s
2 は、実際の制御には用いられない。
【0044】次に、スライディングモード制御部17及
び21の設計手順について説明するが、ここでは、上記
(1)、(2)式の車両モデルが、モデル化の際の誤差
がない(モデル化が完全である)ことを前提とし、モデ
ル化が不完全な場合については後述する。
び21の設計手順について説明するが、ここでは、上記
(1)、(2)式の車両モデルが、モデル化の際の誤差
がない(モデル化が完全である)ことを前提とし、モデ
ル化が不完全な場合については後述する。
【0045】即ち、正の定数K1 、K2 を用いて下記の
(12)、(13)式を定義する。 (ds1 /dt)=−K1 s1 * ……(12) (ds2 /dt)=−K2 s2 * ……(13) si * は、スライディングモード制御の切り換え面の特
性を決定する原点を通り、符号を変更させることのない
任意の関数をとりうる切り換え関数である。以下に、切
り換え関数si * の代表例を示す。
(12)、(13)式を定義する。 (ds1 /dt)=−K1 s1 * ……(12) (ds2 /dt)=−K2 s2 * ……(13) si * は、スライディングモード制御の切り換え面の特
性を決定する原点を通り、符号を変更させることのない
任意の関数をとりうる切り換え関数である。以下に、切
り換え関数si * の代表例を示す。
【0046】si * =si ……(14) si * =sign(si ) ……(15) si * =sat (si ) ……(16) 上記(14)式は、偏差si をそのまま切り換え関数si
* とする例である。上記(15)式は、図3に示すよう
に、偏差si の符号だけを切り換え関数si * とする例
である。上記(16)式は、図4に示すように、偏差si
の原点に近づいた範囲(si =Φ〜−Φ)では線形特性
を有しそれ以外の範囲では(15)式と同様に符号を切り
換え関数si * とする例である。
* とする例である。上記(15)式は、図3に示すよう
に、偏差si の符号だけを切り換え関数si * とする例
である。上記(16)式は、図4に示すように、偏差si
の原点に近づいた範囲(si =Φ〜−Φ)では線形特性
を有しそれ以外の範囲では(15)式と同様に符号を切り
換え関数si * とする例である。
【0047】そして、上記(1)式において、ヨーレー
トrを制御入力と考え、偏差s1 を零にする又は小さく
するのに必要な必要ヨーレートr_dβは、上記(12)
式から下記の(17)式のようになる。
トrを制御入力と考え、偏差s1 を零にする又は小さく
するのに必要な必要ヨーレートr_dβは、上記(12)
式から下記の(17)式のようになる。
【0048】 r_dβ=−f+(dβd /dt)−K1 s1 * ……(17) つまり、この(17)式で表される必要ヨーレートr_d
βとなるように制動装置30を制御すれば、車体横滑り
角βを、目標車体横滑り角βd にする又は目標車体横滑
り角βd に近づけることができる。
βとなるように制動装置30を制御すれば、車体横滑り
角βを、目標車体横滑り角βd にする又は目標車体横滑
り角βd に近づけることができる。
【0049】しかし、目標車体横滑り角βd の他に、目
標ヨーレートrd が存在し、その目標ヨーレートr
d は、上記(17)式で表される必要ヨーレートr_dβ
とは通常は一致しないため、必要ヨーレートr_dβの
みに基づいて制動装置30に対する制御量を決定してし
まうと、目標ヨーレートrd が達成される可能性は小さ
くなってしまう。逆に、目標ヨーレートrd のみに基づ
いて制動装置30に対する制御量を決定してしまうと、
目標車体横滑り角βd が達成される可能性は小さくなっ
てしまう。
標ヨーレートrd が存在し、その目標ヨーレートr
d は、上記(17)式で表される必要ヨーレートr_dβ
とは通常は一致しないため、必要ヨーレートr_dβの
みに基づいて制動装置30に対する制御量を決定してし
まうと、目標ヨーレートrd が達成される可能性は小さ
くなってしまう。逆に、目標ヨーレートrd のみに基づ
いて制動装置30に対する制御量を決定してしまうと、
目標車体横滑り角βd が達成される可能性は小さくなっ
てしまう。
【0050】そこで、本実施の形態では、下記の(18)
式に従って、目標ヨーレートrd と必要ヨーレートr_
dβとを配分比ψ(=0〜1)で比例配分することによ
り、最終目標ヨーレートr_dψを演算するようになっ
ている。
式に従って、目標ヨーレートrd と必要ヨーレートr_
dβとを配分比ψ(=0〜1)で比例配分することによ
り、最終目標ヨーレートr_dψを演算するようになっ
ている。
【0051】 r_dψ=ψ・r_dβ+(1−ψ)・rd ……(18) なお、配分比ψは、車両の走行状態に応じて設定される
変数であって、この実施の形態では、ヨーレートrと、
車速Vと、舵角δf ,δr と、車体横滑り角βとに基づ
いて設定されるようになっている。具体的には、ヨーレ
ートrを重視するべきか、車体横滑り角βを重視するべ
きかを、車両の走行状態を適宜変えたシミュレーション
や実験等に基づいて決定しておき、その結果に基づいて
車両の走行状態毎を入力として0〜1の間の配分比ψを
求める演算式或いはマップを作成し、その演算式或いは
マップを用いて配分比ψを決定することになる。
変数であって、この実施の形態では、ヨーレートrと、
車速Vと、舵角δf ,δr と、車体横滑り角βとに基づ
いて設定されるようになっている。具体的には、ヨーレ
ートrを重視するべきか、車体横滑り角βを重視するべ
きかを、車両の走行状態を適宜変えたシミュレーション
や実験等に基づいて決定しておき、その結果に基づいて
車両の走行状態毎を入力として0〜1の間の配分比ψを
求める演算式或いはマップを作成し、その演算式或いは
マップを用いて配分比ψを決定することになる。
【0052】最終目標ヨーレートr_dψが求められた
ら、これに基づいて二段目のスライディングモード制御
を実行して制動装置30に対する制御量を決定する。つ
まり、下記の(19)式で表される、実際のヨーレートr
と、最終目標ヨーレートr_dψとの偏差s3 から、上
記(14)〜(16)式等を用いて切り換え関数s3 * を設
定すれば、最終的に求められる制動装置に対する昇圧時
間Uは、下記の(20)式のようになる。
ら、これに基づいて二段目のスライディングモード制御
を実行して制動装置30に対する制御量を決定する。つ
まり、下記の(19)式で表される、実際のヨーレートr
と、最終目標ヨーレートr_dψとの偏差s3 から、上
記(14)〜(16)式等を用いて切り換え関数s3 * を設
定すれば、最終的に求められる制動装置に対する昇圧時
間Uは、下記の(20)式のようになる。
【0053】 s3 =r−r_dψ ……(19) U=(−g+drd /dt−K2 s3 * )I/Gm ……(20) 昇圧時間Uは、旋回時外輪側の前輪及び後輪のそれぞれ
の昇圧時間の和であるから、これを前輪側の昇圧時間u
f 及び後輪側の昇圧時間ur に分配することになる。本
実施の形態では、下記の(21)式に示すように、予め定
められた比率で分配する。なお、昇圧時間uf 及びur
は、制動装置30に含まれるアクチュエータを駆動する
パルス信号の幅に対応する。
の昇圧時間の和であるから、これを前輪側の昇圧時間u
f 及び後輪側の昇圧時間ur に分配することになる。本
実施の形態では、下記の(21)式に示すように、予め定
められた比率で分配する。なお、昇圧時間uf 及びur
は、制動装置30に含まれるアクチュエータを駆動する
パルス信号の幅に対応する。
【0054】ui =Pi U ……(21) 図5は本実施の形態における制御の流れを示すフローチ
ャートであり、以下、図5に従って本実施の形態の動作
を説明する。
ャートであり、以下、図5に従って本実施の形態の動作
を説明する。
【0055】即ち、先ずステップ101において、セン
サ等から供給されるヨーレートr、ヨー角加速度(dr
/dt)、横加速度α、車速V、前輪舵角δf 及び後輪
舵角δr が読み込まれる。なお、ヨー角加速度(dr/
dt)は、読み込まれたヨーレートrを数値微分するこ
とにより求めてもよい。
サ等から供給されるヨーレートr、ヨー角加速度(dr
/dt)、横加速度α、車速V、前輪舵角δf 及び後輪
舵角δr が読み込まれる。なお、ヨー角加速度(dr/
dt)は、読み込まれたヨーレートrを数値微分するこ
とにより求めてもよい。
【0056】次いで、ステップ102に移行し、前輪の
横滑り角βf と後輪の横滑り角βrとを演算する。次い
で、ステップ103に移行し、目標ヨーレートrd 及び
目標車体横滑り角βd を設定する。これら目標ヨーレー
トrd 及び目標車体横滑り角βd の設定手法は、ここで
は特に限定しないが、例えば車両のステア特性をオーバ
ーステアとするか、アンダーステアとするか、或いはニ
ュートラルステアとするかによって適宜設定することに
なる。
横滑り角βf と後輪の横滑り角βrとを演算する。次い
で、ステップ103に移行し、目標ヨーレートrd 及び
目標車体横滑り角βd を設定する。これら目標ヨーレー
トrd 及び目標車体横滑り角βd の設定手法は、ここで
は特に限定しないが、例えば車両のステア特性をオーバ
ーステアとするか、アンダーステアとするか、或いはニ
ュートラルステアとするかによって適宜設定することに
なる。
【0057】そして、ステップ104に移行し、上記
(10)式に従って偏差s1 を演算し、次いで、ステップ
105に移行し、その偏差s1 に基づいて例えば上記
(15)式に従って切り換え関数s1 * を設定し、次い
で、ステップ106に移行し、目標車体横滑り角βd の
微分値(dβd /dt)を演算する。
(10)式に従って偏差s1 を演算し、次いで、ステップ
105に移行し、その偏差s1 に基づいて例えば上記
(15)式に従って切り換え関数s1 * を設定し、次い
で、ステップ106に移行し、目標車体横滑り角βd の
微分値(dβd /dt)を演算する。
【0058】これらステップ104〜106の処理を終
えたら、ステップ107に移行し、上記(17)式に従っ
て、目標車体横滑り角βd を達成するための必要ヨーレ
ートr_dβを演算する。また、これらステップ105
〜107の処理が、図1に示した1段目のスライディン
グモード制御部17の処理に相当する。
えたら、ステップ107に移行し、上記(17)式に従っ
て、目標車体横滑り角βd を達成するための必要ヨーレ
ートr_dβを演算する。また、これらステップ105
〜107の処理が、図1に示した1段目のスライディン
グモード制御部17の処理に相当する。
【0059】次いで、ステップ108に移行し、ヨーレ
ートrや車速V等に基づいて配分比ψを設定し、そし
て、ステップ109に移行し、上記(18)式に従って、
最終目標ヨーレートr_dψを演算する。
ートrや車速V等に基づいて配分比ψを設定し、そし
て、ステップ109に移行し、上記(18)式に従って、
最終目標ヨーレートr_dψを演算する。
【0060】次いで、ステップ110に移行し、上記
(19)式に従って偏差s3 を演算し、次いで、ステップ
111に移行し、その偏差s3 に基づいて例えば上記
(15)式に従って切り換え関数s3 * を設定し、次い
で、ステップ112に移行し、目標ヨーレートrd の微
分値(drd /dt)を演算する。
(19)式に従って偏差s3 を演算し、次いで、ステップ
111に移行し、その偏差s3 に基づいて例えば上記
(15)式に従って切り換え関数s3 * を設定し、次い
で、ステップ112に移行し、目標ヨーレートrd の微
分値(drd /dt)を演算する。
【0061】これらステップ110〜112の処理を終
えたら、ステップ113に移行し、上記(20)式に従っ
て昇圧時間Uを演算し、これをステップ114で前輪側
の昇圧時間uf 及び後輪側の昇圧時間ur に分配し、各
昇圧時間uf 及びur を制動装置30に出力する。ステ
ップ115の処理を終えたら、今回の図5の処理を終了
し、次の割り込みタイミングになるまで待機した後に、
再びステップ101に戻って上述した処理が繰り返し実
行される。
えたら、ステップ113に移行し、上記(20)式に従っ
て昇圧時間Uを演算し、これをステップ114で前輪側
の昇圧時間uf 及び後輪側の昇圧時間ur に分配し、各
昇圧時間uf 及びur を制動装置30に出力する。ステ
ップ115の処理を終えたら、今回の図5の処理を終了
し、次の割り込みタイミングになるまで待機した後に、
再びステップ101に戻って上述した処理が繰り返し実
行される。
【0062】このような処理が繰り返し実行される結
果、本実施の形態における車両であれば、路面の摩擦係
数や車両の積載状況のような未知の情報に対し、或いは
制動装置30の配管系等が有する未知の情報に対して、
安定な制御性を実現でき、車両運動性能を良好にするこ
とできる。
果、本実施の形態における車両であれば、路面の摩擦係
数や車両の積載状況のような未知の情報に対し、或いは
制動装置30の配管系等が有する未知の情報に対して、
安定な制御性を実現でき、車両運動性能を良好にするこ
とできる。
【0063】しかも、制動装置30が有する未知の情報
に対し安定した制御が実行できるため、制動装置30に
おける制動力の制御時間を直接制御できるようになり、
その結果、装置構成が簡易で済むという利点がある。
に対し安定した制御が実行できるため、制動装置30に
おける制動力の制御時間を直接制御できるようになり、
その結果、装置構成が簡易で済むという利点がある。
【0064】また、タイヤモデルとして任意のモデルが
適用できるから、タイヤモデルの異なる種々の車両に対
して高い制御性能を得ることができる。さらに、上記
(15)式や(16)式を用いた場合には、偏差s1 やs3
が過大になった場合でも必要ヨーレートr_dβや最終
目標ヨーレートr_dψが非現実的に大きくなることが
抑制され、制御が発散する可能性を低くできるという利
点もある。
適用できるから、タイヤモデルの異なる種々の車両に対
して高い制御性能を得ることができる。さらに、上記
(15)式や(16)式を用いた場合には、偏差s1 やs3
が過大になった場合でも必要ヨーレートr_dβや最終
目標ヨーレートr_dψが非現実的に大きくなることが
抑制され、制御が発散する可能性を低くできるという利
点もある。
【0065】ここで、本実施の形態にあっては、オブザ
ーバー10、ヨーレートセンサ11、微分器12、横加
速度センサ13、車速センサ14、操舵角センサ15及
びステップ101、102の処理が走行状態検出手段に
対応し、オブザーバー10及びステップ103の処理が
目標値設定手段に対応し、加算器16、20、スライデ
ィングモード制御部17、21、配分比設定部18、最
終目標ヨーレート演算部19、制動力配分決定部22及
びステップ104〜115の処理が制御手段に対応し、
スライディングモード制御部17及びステップ105〜
107の処理が必要ヨーレート演算手段に対応し、最終
目標ヨーレート演算部19及びステップ109の処理が
最終目標ヨーレート演算手段に対応し、スライディング
モード制御部21及びステップ111〜113の処理が
制御量演算手段に対応し、昇圧時間U,uf ,ur が制
動装置に対する制御量に対応する。
ーバー10、ヨーレートセンサ11、微分器12、横加
速度センサ13、車速センサ14、操舵角センサ15及
びステップ101、102の処理が走行状態検出手段に
対応し、オブザーバー10及びステップ103の処理が
目標値設定手段に対応し、加算器16、20、スライデ
ィングモード制御部17、21、配分比設定部18、最
終目標ヨーレート演算部19、制動力配分決定部22及
びステップ104〜115の処理が制御手段に対応し、
スライディングモード制御部17及びステップ105〜
107の処理が必要ヨーレート演算手段に対応し、最終
目標ヨーレート演算部19及びステップ109の処理が
最終目標ヨーレート演算手段に対応し、スライディング
モード制御部21及びステップ111〜113の処理が
制御量演算手段に対応し、昇圧時間U,uf ,ur が制
動装置に対する制御量に対応する。
【0066】なお、以上の説明は、モデル化の際に誤差
がないことを前提としているが、現実の制御器はモデル
が不完全な場合も多く、また各モデルパラメータが変動
する場合も多い。しかし、モデル化が不完全な場合であ
っても、本発明は適用可能であり、その詳細な理論は、
例えば、Slotine,Lee 著、Prentice Hall 出版、「Appl
ied Nonlinear Control 」の 303〜306 頁に詳しいた
め、ここでは簡単に説明する。
がないことを前提としているが、現実の制御器はモデル
が不完全な場合も多く、また各モデルパラメータが変動
する場合も多い。しかし、モデル化が不完全な場合であ
っても、本発明は適用可能であり、その詳細な理論は、
例えば、Slotine,Lee 著、Prentice Hall 出版、「Appl
ied Nonlinear Control 」の 303〜306 頁に詳しいた
め、ここでは簡単に説明する。
【0067】即ち、上記(1)式における非線形項f
は、タイヤ及び路面間の摩擦係数や車両の積載重量等に
よって変動するが、この場合には、定数K1 を以下のよ
うに設定すれば対応可能である。
は、タイヤ及び路面間の摩擦係数や車両の積載重量等に
よって変動するが、この場合には、定数K1 を以下のよ
うに設定すれば対応可能である。
【0068】K1 =Δf+η1 ……(22) この(22)式中、Δfは非線形項fの想定される最大の
モデル化誤差、η1 は任意の正の定数である。
モデル化誤差、η1 は任意の正の定数である。
【0069】また、上記(2)式においては、非線形項
gが非線形項fと同様に変動することに加え、例えば油
圧ユニットで制動力を制御する制動装置30において
は、ホイールシリンダ圧とマスタシリンダ圧との差圧に
よりGm が変動する。かかる系においては、下記の(2
3)、(24)式を用いて昇圧時間Uを求める。
gが非線形項fと同様に変動することに加え、例えば油
圧ユニットで制動力を制御する制動装置30において
は、ホイールシリンダ圧とマスタシリンダ圧との差圧に
よりGm が変動する。かかる系においては、下記の(2
3)、(24)式を用いて昇圧時間Uを求める。
【0070】 U=(−g+drd /dt−K2 s3 * )I/G^m ……(23) K2 =(G^m /I)(Δg+η2 )Δg +(G^m −1)|−g+drd /dt| ……(24) この(24)式中、Δgは非線形項gの想定される最大の
モデル化誤差、η2 は任意の正の定数であり、このよう
にすることで、外乱に対する制御の安定性を確保するこ
とができる。さらに、G^m は、下記の(25)式に示さ
れるように、車両ヨーモーメントGm がとりうる値の最
大値と最小値との幾何平均値である。なお、max(G
m ),min(Gm )は、それぞれバラツキを含めて車
両ヨーモーメントGm がとりうる値の最大値と最小値で
ある。
モデル化誤差、η2 は任意の正の定数であり、このよう
にすることで、外乱に対する制御の安定性を確保するこ
とができる。さらに、G^m は、下記の(25)式に示さ
れるように、車両ヨーモーメントGm がとりうる値の最
大値と最小値との幾何平均値である。なお、max(G
m ),min(Gm )は、それぞれバラツキを含めて車
両ヨーモーメントGm がとりうる値の最大値と最小値で
ある。
【0071】 G^m ={max(Gm )・min(Gm )}1/2 ……(25) 図6は本発明の第2の実施の形態を示す図であって、制
御の流れを示すフローチャートである。
御の流れを示すフローチャートである。
【0072】本実施の形態は、制動装置に対する他の制
御の一例であるアンチスキッド制御を実行するようにな
っている車両に本発明に係る車両運動性能制御装置を適
用したものであって、その要点は、アンチスキッド制御
と、上記第1の実施の形態で示した車両運動性能制御と
の整合をとる点にある。
御の一例であるアンチスキッド制御を実行するようにな
っている車両に本発明に係る車両運動性能制御装置を適
用したものであって、その要点は、アンチスキッド制御
と、上記第1の実施の形態で示した車両運動性能制御と
の整合をとる点にある。
【0073】即ち、ステップ201において、車両運動
性能制御が実行されているか否かが判定され、この判定
が「NO」の場合にはステップ202に移行する。な
お、ステップ201における判定は、上記(10)、(1
1)式の偏差s1 、s2 の絶対値が所定のしきい値より
も小さいか(実行していない)、小さくないか(実行し
ている)によって行うことができる。
性能制御が実行されているか否かが判定され、この判定
が「NO」の場合にはステップ202に移行する。な
お、ステップ201における判定は、上記(10)、(1
1)式の偏差s1 、s2 の絶対値が所定のしきい値より
も小さいか(実行していない)、小さくないか(実行し
ている)によって行うことができる。
【0074】ステップ202では、車両運動性能制御に
よる各車輪毎の昇圧時間uvdc-i を全て零とする。次い
で、ステップ203に移行し、今度は、アンチスキッド
制御が実行されているか否かが判定され、この判定が
「NO」の場合にはステップ204に移行する。ステッ
プ204に移行した場合は、車両運動性能制御もアンチ
スキッド制御も実行していないのであるから、運転者に
よるブレーキ操作とは別に制動装置30を駆動させる必
要はないから、昇圧時間ui を全て零とし、今回のこの
処理を終了する。
よる各車輪毎の昇圧時間uvdc-i を全て零とする。次い
で、ステップ203に移行し、今度は、アンチスキッド
制御が実行されているか否かが判定され、この判定が
「NO」の場合にはステップ204に移行する。ステッ
プ204に移行した場合は、車両運動性能制御もアンチ
スキッド制御も実行していないのであるから、運転者に
よるブレーキ操作とは別に制動装置30を駆動させる必
要はないから、昇圧時間ui を全て零とし、今回のこの
処理を終了する。
【0075】一方、ステップ201の判定が「YES」
の場合には、ステップ205に移行し、上記第1の実施
の形態におけるステップ101〜114と同様の処理を
実行して、車両運動性能制御による各車輪毎の昇圧時間
uvdc-i を演算する。
の場合には、ステップ205に移行し、上記第1の実施
の形態におけるステップ101〜114と同様の処理を
実行して、車両運動性能制御による各車輪毎の昇圧時間
uvdc-i を演算する。
【0076】そして、ステップ206に移行し、アンチ
スキッド制御が実行されているか否かが判定され、この
判定が「NO」の場合には、昇圧時間ui は車両運動性
能制御だけで決定してよい状況であるから、ステップ2
07に移行し、ステップ205で求めた昇圧時間u
vdc-i を昇圧時間ui とし、ステップ208に移行して
それを制動装置30に出力する。
スキッド制御が実行されているか否かが判定され、この
判定が「NO」の場合には、昇圧時間ui は車両運動性
能制御だけで決定してよい状況であるから、ステップ2
07に移行し、ステップ205で求めた昇圧時間u
vdc-i を昇圧時間ui とし、ステップ208に移行して
それを制動装置30に出力する。
【0077】また、ステップ203の判定が「YES」
の場合には、逆に、昇圧時間ui はアンチスキッド制御
だけで決定してよい状況であるから、ステップ209に
移行して公知のアンチスキッド制御の演算処理を実行し
て、アンチスキッド制御による各車輪毎の昇圧時間u
abs-i を演算し、ステップ210で昇圧時間uabs-i を
昇圧時間ui とし、ステップ208に移行してそのそれ
を制動装置30に出力する。
の場合には、逆に、昇圧時間ui はアンチスキッド制御
だけで決定してよい状況であるから、ステップ209に
移行して公知のアンチスキッド制御の演算処理を実行し
て、アンチスキッド制御による各車輪毎の昇圧時間u
abs-i を演算し、ステップ210で昇圧時間uabs-i を
昇圧時間ui とし、ステップ208に移行してそのそれ
を制動装置30に出力する。
【0078】これらに対し、ステップ206の判定が
「YES」の場合は、車両運動性能制御とアンチスキッ
ド制御との両方が実行中であるから、昇圧時間ui を両
制御に基づいて設定する必要があると判断し、ステップ
211に移行する。
「YES」の場合は、車両運動性能制御とアンチスキッ
ド制御との両方が実行中であるから、昇圧時間ui を両
制御に基づいて設定する必要があると判断し、ステップ
211に移行する。
【0079】ステップ211では、アンチスキッド制御
において設定される目標スリップ率と、車輪速度や車体
速度から判る実際のスリップ率とに基づき、実際のスリ
ップ率が許容範囲を越えているか否かが判定される。こ
の判定が「YES」の場合には、アンチスキッド制御の
他に、車両運動性能制御を実行しても特に問題はないと
判断し、ステップ212に移行する。ステップ212で
は、上記ステップ209と同様にアンチスキッド制御に
よる各車輪毎の昇圧時間uabs-i を演算し、ステップ2
13に移行し、昇圧時間ui を、昇圧時間uvdc-i と昇
圧時間uabs-iとの和として求め、ステップ208に移
行する。
において設定される目標スリップ率と、車輪速度や車体
速度から判る実際のスリップ率とに基づき、実際のスリ
ップ率が許容範囲を越えているか否かが判定される。こ
の判定が「YES」の場合には、アンチスキッド制御の
他に、車両運動性能制御を実行しても特に問題はないと
判断し、ステップ212に移行する。ステップ212で
は、上記ステップ209と同様にアンチスキッド制御に
よる各車輪毎の昇圧時間uabs-i を演算し、ステップ2
13に移行し、昇圧時間ui を、昇圧時間uvdc-i と昇
圧時間uabs-iとの和として求め、ステップ208に移
行する。
【0080】しかし、ステップ211の判定が「NO」
の場合は、車輪のスリップ率が限界値にある又はそれに
近い状態にあると判断できる。そして、かかる状態で
は、車両運動性能制御を実行することによりスリップ率
がさらに変化することは望ましくないから、ステップ2
14に移行し、昇圧時間uvdc-i として、ステップ20
5で求めた最新の昇圧時間uvdc-i (n)ではなく、前
回の演算で求めた昇圧時間uvdc-i (n−1)を代入し
てから、ステップ212に移行する。つまり、車両運動
性能制御による昇圧時間uvdc-i を、前回の値に固定し
てしまうのである。
の場合は、車輪のスリップ率が限界値にある又はそれに
近い状態にあると判断できる。そして、かかる状態で
は、車両運動性能制御を実行することによりスリップ率
がさらに変化することは望ましくないから、ステップ2
14に移行し、昇圧時間uvdc-i として、ステップ20
5で求めた最新の昇圧時間uvdc-i (n)ではなく、前
回の演算で求めた昇圧時間uvdc-i (n−1)を代入し
てから、ステップ212に移行する。つまり、車両運動
性能制御による昇圧時間uvdc-i を、前回の値に固定し
てしまうのである。
【0081】このように図6の処理が実行されれば、ア
ンチスキッド制御を実行するようになっている車両に本
発明に係る車両運動性能制御装置を適用した場合でも、
両制御による昇圧時間を加算したものを最終的な昇圧時
間として制動装置30に供給するようになっているか
ら、例えばアンチスキッド制御が実行中であっても、車
両の運動性能を良好に制御することができる。
ンチスキッド制御を実行するようになっている車両に本
発明に係る車両運動性能制御装置を適用した場合でも、
両制御による昇圧時間を加算したものを最終的な昇圧時
間として制動装置30に供給するようになっているか
ら、例えばアンチスキッド制御が実行中であっても、車
両の運動性能を良好に制御することができる。
【0082】また、本実施の形態では、ステップ211
の判定が「NO」の場合には、ステップ214に移行
し、車両運動性能制御による昇圧時間uvdc-i を前回の
値に固定するようにしたため、車輪のスリップ率が限界
値にあるような状況でさらに車両運動性能制御により昇
圧時間が変動するようなことを防止でき、過度のホイー
ルロック等を回避できるという利点もある。
の判定が「NO」の場合には、ステップ214に移行
し、車両運動性能制御による昇圧時間uvdc-i を前回の
値に固定するようにしたため、車輪のスリップ率が限界
値にあるような状況でさらに車両運動性能制御により昇
圧時間が変動するようなことを防止でき、過度のホイー
ルロック等を回避できるという利点もある。
【0083】ここで、本実施の形態では、ステップ21
1〜214の処理によって、制御量整合手段が構成され
る。なお、本実施の形態では、制動装置に対する他の制
御の一例としてアンチスキッド制御を挙げているが、こ
れに限定されるものではなく、トラクション制御であっ
てもよいし、或いは、アンチスキッド制御とトラクショ
ン制御との両方であってもよく、そのような場合でも、
図6と同様の制御を実行することにより、同様の作用効
果が得られる。
1〜214の処理によって、制御量整合手段が構成され
る。なお、本実施の形態では、制動装置に対する他の制
御の一例としてアンチスキッド制御を挙げているが、こ
れに限定されるものではなく、トラクション制御であっ
てもよいし、或いは、アンチスキッド制御とトラクショ
ン制御との両方であってもよく、そのような場合でも、
図6と同様の制御を実行することにより、同様の作用効
果が得られる。
【0084】また、上記各実施の形態では、切り換え関
数si * として上記(14)〜(16)式を用いており、例
えば上記(16)式を用いた場合であれば、切り換え面上
の偏差がΦになることがスライディングモード制御理論
により保証されているが、偏差si がΦ以下になっても
フィードバックに使用する制御ゲイン(例えばK1 )は
零にはならないため、偏差si を必要以上に小さくする
ように制動装置30が駆動制御されることになる。
数si * として上記(14)〜(16)式を用いており、例
えば上記(16)式を用いた場合であれば、切り換え面上
の偏差がΦになることがスライディングモード制御理論
により保証されているが、偏差si がΦ以下になっても
フィードバックに使用する制御ゲイン(例えばK1 )は
零にはならないため、偏差si を必要以上に小さくする
ように制動装置30が駆動制御されることになる。
【0085】そこで、切り換え関数si * として、図7
に示すように、切り換え面の両側に設定された所定領域
(Φ〜−Φ)内では零になる切り換え関数si * や、若
しくは、図8に示すように、切り換え面の両側に設定さ
れた所定領域(Φ〜−Φ)内では下に凸(si * =0側
に凸)の特性となる切り換え関数si * を用いれば、切
り換え面からの偏差がΦ以下の場合には、制御誤差を使
用したフィードバック制御量が零(図7の場合)又は極
小さく(図8の場合)なり、偏差si を必要以上に小さ
くするように制動装置30が駆動制御されることを防止
できる。
に示すように、切り換え面の両側に設定された所定領域
(Φ〜−Φ)内では零になる切り換え関数si * や、若
しくは、図8に示すように、切り換え面の両側に設定さ
れた所定領域(Φ〜−Φ)内では下に凸(si * =0側
に凸)の特性となる切り換え関数si * を用いれば、切
り換え面からの偏差がΦ以下の場合には、制御誤差を使
用したフィードバック制御量が零(図7の場合)又は極
小さく(図8の場合)なり、偏差si を必要以上に小さ
くするように制動装置30が駆動制御されることを防止
できる。
【0086】また、上記(10)式から目標車体横滑り角
βd を減算する項を除く、つまり、下記(26)式に示す
ように偏差s1 を車体横滑り角βそのものにするととも
に、切り換え関数s1 * について、図7、図8に示すよ
うな関数を用いた場合、図7、図8の所定領域を決めて
いるΦを、下記(27)式に示すように設定すれば、上記
(10)式に示したように車体横滑り角βを0となるよう
な制御を実行することができる。
βd を減算する項を除く、つまり、下記(26)式に示す
ように偏差s1 を車体横滑り角βそのものにするととも
に、切り換え関数s1 * について、図7、図8に示すよ
うな関数を用いた場合、図7、図8の所定領域を決めて
いるΦを、下記(27)式に示すように設定すれば、上記
(10)式に示したように車体横滑り角βを0となるよう
な制御を実行することができる。
【0087】s1 =β ……(26) Φ =βd ……(27) つまり、車体横滑り角βは、通常時には上記(10)式に
示したように偏差s1が0になるように制御することが
望ましいのであるが、実際の制御においては、車体横滑
り角βが十分小さい領域にあれば車両の安定性が確保さ
れることから、このような車体横滑り角βの目標を0を
中心とし、これに対しある領域を持つ制御目標を設定す
ることで、十分な制御効果が得られる場合がある。
示したように偏差s1が0になるように制御することが
望ましいのであるが、実際の制御においては、車体横滑
り角βが十分小さい領域にあれば車両の安定性が確保さ
れることから、このような車体横滑り角βの目標を0を
中心とし、これに対しある領域を持つ制御目標を設定す
ることで、十分な制御効果が得られる場合がある。
【0088】そこで、車体横滑り角βの目標値を0とし
て上記(26)式の切り換え面を設定し、制御によって達
成される車体横滑り角βの領域を上記(27)式のように
設定することで、上記(10)式に基づいた制御と同様の
制御が可能となる。
て上記(26)式の切り換え面を設定し、制御によって達
成される車体横滑り角βの領域を上記(27)式のように
設定することで、上記(10)式に基づいた制御と同様の
制御が可能となる。
【図1】本発明の第1の実施の形態の全体構成を示すブ
ロック図である。
ロック図である。
【図2】4輪車両を2輪モデルで表した図である。
【図3】切り換え関数の一例を示すグラフである。
【図4】切り換え関数の一例を示すグラフである。
【図5】第1の実施の形態の動作を示すフローチャート
である。
である。
【図6】第2の実施の形態の動作を示すフローチャート
である。
である。
【図7】切り換え関数の他の例を示すグラフである。
【図8】切り換え関数の他の例を示すグラフである。
10 オブザーバー 11 ヨーレート 12 微分器 13 横加速度センサ 14 車速センサ 15 操舵角センサ 16,20 加算器 17,21 スライディングモード制御部 18 配分比設定部 19 最終目標ヨーレート演算部 22 制動力配分決定部 30 制動装置
Claims (8)
- 【請求項1】 少なくともヨーレート及び車体横滑り角
を含む車両の走行状態を検出又は推定する走行状態検出
手段と、前記車両の走行状態に基づいて目標ヨーレート
及び目標車体横滑り角を設定する目標値設定手段と、前
記ヨーレート,前記車体横滑り角,前記目標ヨーレート
及び前記目標車体横滑り角に基づき車両運動性能を制御
する制御手段と、を備え、前記制御手段は、スライディ
ングモード制御に従って制動装置に対する制御量を求め
て前記車両運動性能を制御するようになっていることを
特徴とする車両運動性能制御装置。 - 【請求項2】 前記制御手段は、前記目標車体横滑り角
を達成するための必要ヨーレートを前記スライディング
モード制御に従って演算する必要ヨーレート演算手段
と、前記必要ヨーレートと前記目標ヨーレートとを所定
比率で比例配分して最終目標ヨーレートを演算する最終
目標ヨーレート演算手段と、前記最終目標ヨーレートを
達成するための制御量をスライディングモード制御に従
って演算する制御量演算手段と、を備えている請求項1
記載の車両運動性能制御装置。 - 【請求項3】 制動装置に対する他の制御を実行するよ
うになっている車両に適用され、前記他の制御による前
記制動装置に対する制御量と前記制御手段による前記制
動装置に対する制御量との整合をとる制御量整合手段を
備えている請求項1又は請求項2記載の車両運動性能制
御装置。 - 【請求項4】 前記制御量整合手段は、前記他の制御に
よる前記制動装置に対する制御量に、前記制御手段によ
る前記制動装置に対する制御量を加算するようになって
いる請求項3記載の車両運動性能制御装置。 - 【請求項5】 前記制御量整合手段は、車輪のスリップ
率が許容範囲を越えた場合に、前記制御手段による制御
量を前回求めた値に固定するようになっている請求項3
又は請求項4記載の車両運動性能制御装置。 - 【請求項6】 前記制御手段は、前記スライディングモ
ード制御における切り換え面の両側に所定領域を設定
し、その所定領域内では、前記スライディングモード制
御の切り換えゲイン項を零にするようになっている請求
項1乃至請求項5のいずれかに記載の車両運動性能制御
装置。 - 【請求項7】 前記制御手段は、前記スライディングモ
ード制御における切り換え面の両側に所定領域を設定
し、その所定領域内では、前記スライディングモード制
御の切り換えゲイン項を下に凸の非線形な特性としてい
る請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の車両運動性
能制御装置。 - 【請求項8】 ヨーレート及び車体横滑り角を検出又は
推定するとともに、目標ヨーレート及び目標車体横滑り
角を設定し、前記目標車体横滑り角を達成するための必
要ヨーレートをスライディングモード制御に従って演算
し、そして、前記必要ヨーレートと前記目標ヨーレート
とを所定比率で比例配分して最終の目標ヨーレートを演
算することを特徴とする目標ヨーレート決定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28377297A JPH11115707A (ja) | 1997-10-16 | 1997-10-16 | 車両運動性能制御装置及び目標ヨーレート決定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28377297A JPH11115707A (ja) | 1997-10-16 | 1997-10-16 | 車両運動性能制御装置及び目標ヨーレート決定方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11115707A true JPH11115707A (ja) | 1999-04-27 |
Family
ID=17669931
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28377297A Pending JPH11115707A (ja) | 1997-10-16 | 1997-10-16 | 車両運動性能制御装置及び目標ヨーレート決定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11115707A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001132483A (ja) * | 1999-11-04 | 2001-05-15 | Unisia Jecs Corp | スライディングモード制御装置 |
KR100623658B1 (ko) | 2004-12-16 | 2006-09-14 | 현대자동차주식회사 | 차량의 안정성 제어장치 및 그 방법 |
KR100774140B1 (ko) * | 2001-12-20 | 2007-11-08 | 주식회사 만도 | 요우레이트센서를 이용한 에이비에스 차량의 압력제어방법 |
JP2008168770A (ja) * | 2007-01-11 | 2008-07-24 | Honda Motor Co Ltd | 車両の挙動制御装置 |
JP2011207314A (ja) * | 2010-03-29 | 2011-10-20 | Toyota Motor Corp | 車両の制御装置 |
CN111204332A (zh) * | 2020-02-10 | 2020-05-29 | 哈尔滨工业大学 | 一种全工况下优化车辆横摆动态性能的滑模控制方法 |
-
1997
- 1997-10-16 JP JP28377297A patent/JPH11115707A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001132483A (ja) * | 1999-11-04 | 2001-05-15 | Unisia Jecs Corp | スライディングモード制御装置 |
KR100774140B1 (ko) * | 2001-12-20 | 2007-11-08 | 주식회사 만도 | 요우레이트센서를 이용한 에이비에스 차량의 압력제어방법 |
KR100623658B1 (ko) | 2004-12-16 | 2006-09-14 | 현대자동차주식회사 | 차량의 안정성 제어장치 및 그 방법 |
JP2008168770A (ja) * | 2007-01-11 | 2008-07-24 | Honda Motor Co Ltd | 車両の挙動制御装置 |
JP2011207314A (ja) * | 2010-03-29 | 2011-10-20 | Toyota Motor Corp | 車両の制御装置 |
CN111204332A (zh) * | 2020-02-10 | 2020-05-29 | 哈尔滨工业大学 | 一种全工况下优化车辆横摆动态性能的滑模控制方法 |
CN111204332B (zh) * | 2020-02-10 | 2022-07-15 | 哈尔滨工业大学 | 一种全工况下优化车辆横摆动态性能的滑模控制方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Choi et al. | Model predictive control for vehicle yaw stability with practical concerns | |
US7035726B2 (en) | Steering characteristic control apparatus and method for a vehicle | |
US6453226B1 (en) | Integrated control of active tire steer and brakes | |
CN111267835B (zh) | 基于模型预测算法的四轮独立驱动汽车稳定性控制方法 | |
CN101298256B (zh) | 电动助力转向装置及其控制方法 | |
JP4926715B2 (ja) | 車両を安定化させる際に車両操作者を支援するための方法及び装置 | |
EP1627779B1 (en) | Tire grip performance estimation device and method and running state control method | |
JP4867369B2 (ja) | 電動車両の駆動力制御装置、自動車及び電動車両の駆動力制御方法 | |
JP2003127850A (ja) | 自動車の操縦性の改良方法 | |
JP2014069766A (ja) | 車両の運動制御装置 | |
US11648933B2 (en) | Method for controlling wheel slip of vehicle | |
Song | Development and comparison of integrated dynamics control systems with fuzzy logic control and sliding mode control | |
CN109017805B (zh) | 一种针对存在不确定性的行驶系统车辆稳定性控制方法 | |
JP2018030582A (ja) | 車両の運動制御装置、及び運動制御プログラム | |
KR20200047961A (ko) | 차량의 통합 제어 장치 | |
Matsuda et al. | Instantaneous estimation of road friction based on front tire SAT using Kalman filter | |
JP6577850B2 (ja) | 車両の制御装置及び車両の制御方法 | |
JP2003081119A (ja) | 自動車の電動パワーステアリング装置 | |
Hamzah et al. | Second order sliding mode controller for longitudinal wheel slip control | |
JPH11115707A (ja) | 車両運動性能制御装置及び目標ヨーレート決定方法 | |
JP5559833B2 (ja) | 加加速度情報を用いた車両の運動制御装置および方法 | |
Garcia et al. | Design and simulation for path tracking control of a commercial vehicle using MPC | |
JP2010260544A (ja) | 加加速度情報を用いた車両の運動制御方法 | |
JP3039071B2 (ja) | 車両旋回限界判定装置 | |
Chaichaowarat et al. | Dynamics and simulation of RWD vehicles drifting at steady state using BNP-MNC tire model |