JPH11108808A - 絶縁油の採取方法及び絶縁油採取器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、絶縁油の使用されたケーブルなど
の絶縁油充填体から絶縁油を採取する方法を提供せんと
するものである。 【解決手段】 本発明は、絶縁油の使用されたケーブル
などの絶縁油充填体１００の一部に開閉バルブ２を有す
る採油経路１を設けると共に、開口部１１に開閉バルブ
１３を備えた採油コネクタ１２を有する容器からなる絶
縁油採取器１０を用意し、絶縁油の採取にあたって、先
ず、絶縁油採取器１０内の空気を抜いた後、その採油コ
ネクタ１２の採油口１５を採油経路１の採油口４に接続
させ、この状態で、採油経路１の開閉バルブ２を開成さ
せると共に、採油コネクタ１２の開閉バルブ１３も開成
させて、絶縁油を絶縁油採取器１０に導き、適宜量の採
油後、採油経路１の開閉バルブ２及び採油コネクタ１２
の開閉バルブ１３を共に閉塞させ、しかる後、採油経路
１の開放口４から、その採油コネクタ１２の採油口１５
を離間させて絶縁油採取器１０を取り外す絶縁油の採取
方法にあり、これによって、簡単に絶縁油を採取するこ
とが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁油の使用され
たケーブルや電気機器などの絶縁油充填体から絶縁油を
採取する方法及びこれに用いる絶縁油採取器に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】絶縁油は、ＯＦケーブルやトランス、コ
ンデンサなどの電気機器などに電気絶縁材料としてよく
用いられているが、その絶縁特性が経時的に劣化するた
め、適宜採取として、ガス分析などによって、劣化状態
の分析を行う必要があった。

【０００３】従来、この絶縁油の採取にあたっては、通
常市販のガラス製注射器を用意し、これを用いて、ケー
ブルや電気機器などの絶縁油充填体から採取していた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な市販のガラス製注射器を用いる場合、次のような問題
点があった。 （１）この注射器は、ガラス製であるため、使用中や運
搬などの際、破損し易く、特にガラス容器部（シリンダ
部）の細い部分において破損し易かった。 （２）注射器の場合、尖った針部分があるため、危険性
も高かった。 （３）市販品であるが、１本当たりの価格が結構高かっ
た。 （４）この高コストのため、一般には何度か使用するわ
けであるが、この複数回の使用により、ガラス製のすり
合わせ部分が磨耗し易く、使用中に空気が漏れ易くなる
などの欠点があった。 （５）また、この複数回の使用に際しては、注射器を洗
浄する必要があり、結構面倒であった。しかも、このと
き、絶縁油を綺麗に除去するには、有機溶剤などの使用
が必要とされ、この点でも面倒であった。 （６）また、この注射器で、ケーブルや電気機器などの
絶縁油充填体から、絶縁油を採取するには、ある程度の
慣れが必要で、初心者には、取り扱い難い面があった。
このとき、採取された絶縁油に空気が混入すると、正確
なガス分析ができないというような恐れもあった。

【０００５】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたもので、絶縁油充填体側に予め開閉バルブを
有する採油経路を設ける一方、開口部に開閉バルブを備
えた採油コネクタを有する容器からなる絶縁油採取器を
用意して、絶縁油の採取を簡単に行うことができる採取
方法を提供すると共に、これに用いる絶縁油採取器を提
供せんとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の本発明
は、絶縁油の使用されたケーブルや電気機器などの絶縁
油充填体の一部又はその絶縁油経路の一部に開閉バルブ
を有する採油経路を設けると共に、開口部に開閉バルブ
を備えた採油コネクタを有する容器からなる絶縁油採取
器を用意し、絶縁油の採取にあたって、先ず、絶縁油採
取器内の空気を抜いた後、その採油コネクタの採油口を
前記採油経路の採油口に接続させ、この状態で、採油経
路の開閉バルブを開成させると共に、採油コネクタの開
閉バルブも開成させて、絶縁油を絶縁油採取器に導き、
適宜量の採油後、前記採油経路の開閉バルブ及び採油コ
ネクタの開閉バルブを共に閉塞させ、しかる後、前記採
油経路の採油口から、その採油コネクタの採油口を離間
させて絶縁油採取器を取り外すこと特徴とする絶縁油の
採取方法にある。

【０００７】請求項２記載の本発明は、開口部に開閉バ
ルブを備えた採油コネクタを有する樹脂製容器からなる
ことを特徴とする絶縁油採取器にある。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は、本発明に係る絶縁油の採
取方法の一例を示し、図２は、この方法に用いられる絶
縁油採取器の一例を示したものである。図中、１は絶縁
油の使用されたＯＦケーブルなどの絶縁油充填体１００
の一部（その絶縁油経路の一部も可）に予め設けてある
開閉バルブ２を有する採油経路、３は開閉バルブ２の開
閉用ハンドル、４は採油経路１の採油口（開放口）、１
０は開口部１１に開閉バルブ１３を備えた採油コネクタ
１２を有する容器からなる絶縁油採取器、１４は開閉バ
ルブ１３の開閉レバー、１５は採油コネクタ１２の採油
口、１６はこの採油口１５の先端に設けられた採取ガイ
ドである。ここで、絶縁油採取器１０は、好ましくはポ
リオレフィンなどの軟質樹脂製の容器として形成し、採
油コネクタ１２部分は、特に限定されないが、硬質樹脂
や金属材料などで形成するものとする。

【０００９】このような装置系において、ＯＦケーブル
などの絶縁油充填体１００の絶縁油を採取するには、先
ず、絶縁油採取器１０の採油コネクタ１２の採油口１５
に、図示しない真空ポンプなどの吸引ポースを接続し
て、内部の空気を抜き、開閉レバー１４を操作して、開
閉バルブ１３を閉じる（閉塞させる）。

【００１０】次に、この真空化された絶縁油採取器１０
の採油コネクタ１２の採油口１５を、ＯＦケーブルなど
の絶縁油充填体１００の採油経路１の採油口４に当接さ
せ、その採取ガイド１６を内部に挿入して接続させる。
この状態は、例えは作業者が絶縁油採取器１０自体を手
などで保持するなどして維持するとよい。

【００１１】この後、開閉用ハンドル３を操作して、採
油経路１の開閉バルブ２を開き（開成させ）、引き続
き、開閉レバー１４を操作して、採油コネクタ１２の開
閉バルブ１３を開く（開成させる）。これによって、採
油経路１からＯＦケーブルなどの絶縁油充填体１００の
絶縁油が、絶縁油採取器１０内に流入され、採取され
る。この際、絶縁油採取器１０は真空化されているた
め、絶縁油中に空気などのガスが混入されることは殆ど
なくなる。また、この容器内の真空により、絶縁油の採
取が迅速に行える。この絶縁油の採取された絶縁油採取
器１０を試験室などに持ち込んで、所望のガス分析など
を行えばよい。

【００１２】絶縁油採取器１０は、樹脂製で安価に提供
されるため、一度使用したら廃却するものとする。した
がって、従来の注射器のように洗浄する必要は全くな
い。採油コネクタ１２部分にあっても、樹脂製とした場
合、安価な提供が可能であるため、廃却することもでき
るが、この部品は、油の付着面積も小さく、比較的小型
であるため、使用済みのものを洗浄液などに浸漬して撹
拌するするだけで簡単に洗浄することができるので、繰
り返して使用することもできる。

【００１３】なお、本発明の絶縁油充填体は、上記ＯＦ
ケーブルに限定されず、例えば図３に示したように、絶
縁油充填体１００がトランスなどの電気機器であっても
よい。この場合も、その作用、効果は上記図１の場合と
全く同様である。

【００１４】

【発明の効果】このように本発明に係る絶縁油の採取方
法によると、次のような優れた効果が得られる。 （１）絶縁油の採取にあたって、作業者は、単に絶縁油
採取器を絶縁油充填体の採油経路の採油口に当接させる
のみでよいため、従来のように、ある程度の慣れが殆ど
不要であるため、初心者でも、十分取り扱うことができ
る。 （２）また、絶縁油採取器には、従来の注射器の使用に
比較して、尖った針部分のような部分がないため、危険
性が殆どなく、高い安全性が確保される。 （３）さらに、絶縁油採取器は予め真空化してあるた
め、採取された絶縁油中に空気などが混入することもな
く、誰が行っても、正確なガス分析が得られ、高い信頼
性が得られる。

【００１５】本発明に係る絶縁油採取器によると、次の
ような優れた効果が得られる。 （１）絶縁油採取器を樹脂製とした場合、従来のガラス
製注射器にように、使用中や運搬などの際、破損するな
どの恐れは全くなくなる。 （２）また、上記したように絶縁油採取器には、注射針
のような尖った部分が全くないため、高い安全性が確保
される。 （３）樹脂製絶縁油採取器の場合、従来のガラス製注射
器に比較して、１容器当たりの単価が易く、大幅なコス
トダウンが可能となる。 （４）この低コスト化によって、一度の使用での廃却が
可能となるため、従来のガラス製注射器にように、洗浄
する必要もなく、また、複数回の使用によるすり合わせ
部分の磨耗などのような弊害も全くなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る絶縁油の採取方法の１つの実施の
形態を示した説明図である。

【図２】本発明に係る絶縁油の採取方法において使用さ
れる絶縁油採取器の１つの実施の形態を示した説明図で
ある。

【図３】本発明に係る絶縁油の採取方法の他の実施の形
態を示した説明図である。

【符号の説明】

１ 採油経路 ２ 開閉バルブ ３ 開閉用ハンドル ４ 採油口 １０ 絶縁油採取器 １１ 開口部 １２ 採油コネクタ １３ 開閉バルブ １４ 開閉レバー １５ 採油口 １６ 採取ガイド １００ 絶縁油充填体

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 絶縁油の使用されたケーブルや電気機器
   などの絶縁油充填体の一部又はその絶縁油経路の一部に
   開閉バルブを有する採油経路を設けると共に、開口部に
   開閉バルブを備えた採油コネクタを有する容器からなる
   絶縁油採取器を用意し、絶縁油の採取にあたって、先
   ず、絶縁油採取器内の空気を抜いた後、その採油コネク
   タの採油口を前記採油経路の採油口に接続させ、この状
   態で、採油経路の開閉バルブを開成させると共に、採油
   コネクタの開閉バルブも開成させて、絶縁油を絶縁油採
   取器に導き、適宜量の採油後、前記採油経路の開閉バル
   ブ及び採油コネクタの開閉バルブを共に閉塞させ、しか
   る後、前記採油経路の採油口から、その採油コネクタの
   採油口を離間させて絶縁油採取器を取り外すこと特徴と
   する絶縁油の採取方法。
2. 【請求項２】 開口部に開閉バルブを備えた採油コネク
   タを有する樹脂製容器からなることを特徴とする絶縁油
   採取器。