JPH11104589A - 重金属固定化法及び金属捕捉剤 - Google Patents

重金属固定化法及び金属捕捉剤

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JPH11104589A
JPH11104589A JP9266471A JP26647197A JPH11104589A JP H11104589 A JPH11104589 A JP H11104589A JP 9266471 A JP9266471 A JP 9266471A JP 26647197 A JP26647197 A JP 26647197A JP H11104589 A JPH11104589 A JP H11104589A
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Osamu Ito
修 伊藤
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和明 荒川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重金属の溶出、飛散等を防止し、確実に重金
属を固定化する方法を提供することである。 【解決手段】 重金属を含有する焼却灰90〜65重量
部に、金属捕捉剤0.5〜30重量部、及び熱硬化性樹
脂10〜35重量部を加えて成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、重金属を含有す
る焼却灰等を固定化する重金属固定化法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、焼却灰等の重金属固定化法とし
て、セメント固化法、液体キレート固定化法、酸抽出
法、溶融固定化法等が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
セメント固化法、液体キレート固定化法は埋立後のp
H、温度等の状態変動、経時変化により、重金属が溶出
してくる恐れがある。また、セメント固化法は大型装置
が必要であり、セメントが固まるためメンテナンスが必
要であり、そして作業環境が悪い等の諸問題を有する。
さらに、液体キレート固定化法に使用される液体キレー
ト剤は一般に高価であり、水への溶解性の悪いものがあ
る。さらにまた、固定化後、水に溶出するものがある。
【0004】また、上記の酸抽出法は抽出水の排水処理
が必要である。さらに、上記の溶融固化法は化石燃料、
電力を使い、1,300〜1,600℃の温度で焼却灰
を溶融、固化するため多量のエネルギーを必要とする。
さらにまた、低融点の重金属は揮発、飛散してしまう等
の問題があった。
【0005】そこで、この発明の課題は、重金属の溶
出、飛散等を防止し、確実に重金属を固定化する方法を
提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この重金属固定化法に係る発明は、重金属を含有す
る焼却灰90〜65重量部、及び金属捕捉剤0.5〜3
0重量部を熱硬化性樹脂10〜35重量部に混練するこ
とを特徴とする。
【0007】また、上記の重金属固定化法に用いられる
金属捕捉剤として、フェノール樹脂に、アルカリ存在下
で、二硫化炭素を反応させて、フェノール樹脂中のヒド
ロキシル基(水酸基)の20〜100%をザンテート基
にしたザンテート化フェノール樹脂からなる金属捕捉
剤、水酸化ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ト
リポリりん酸ナトリウム、硫化ナトリウム、けい酸ナト
リウム、ポリアリルアミン、ポリビニルアルコール、ポ
リアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリアシッドホ
スホオキシエチルメタクリレート、市販の金属捕捉剤の
群から選ばれた1つ、あるいはそれらの組み合わせを用
いることができる。
【0008】さらに、重金属が固定化されたレジンコン
クリートにかかる発明として、重金属を含有する焼却灰
90〜65重量部、及び金属捕捉剤0.5〜30重量部
に、必要に応じて充填剤を添加して、全体として65.
5〜240重量部とし、これらを熱硬化性樹脂10〜7
0重量部に混練したものをあげることができる。
【0009】本発明によれば、焼却灰等に含まれる重金
属を金属捕捉剤で捕捉し、その後熱硬化性樹脂に混練す
るため、室温から170℃の温度範囲で容易に、重金属
の固定化ができる。これらの熱硬化性樹脂は耐熱性があ
り、溶剤にも不溶で、安定して重金属の固定化ができ
る。そしてザンテート化フェノール樹脂は重金属含有排
水の金属捕捉にも有効である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を説明
する。
【0011】この発明にかかる重金属固定化法は、重金
属を含有する焼却灰90重量部〜65重量部、及び金属
捕捉剤0.5重量部〜30重量部を熱硬化性樹脂10重
量部〜35重量部に混練する方法である。
【0012】上記の焼却灰とは、焼却残渣や、焼却時に
煙と共に排出され集塵機等で捕集された飛灰等をいう。
また、焼却残渣や飛灰を溶融化して球状にした溶融灰や
溶融飛灰等の溶融焼却灰も上記焼却灰に含まれる。これ
らの焼却灰には、カドミウム、鉛、銅、クロム、砒素、
水銀、亜鉛等の重金属が含有されている場合が多い。
【0013】上記の金属捕捉剤は、上記焼却灰に含有す
る重金属を捕捉して固定化する機能を有するものであ
り、例としては、下記に示す新規金属捕捉剤や、水酸化
ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、トリポリりん
酸ナトリウム、硫化ナトリウム、けい酸ナトリウム、ポ
リアリルアミン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル
酸、ポリビニルピロリドン、ポリアシッドホスホオキシ
エチルメタクリレート、ジチオカルバメート基を有する
ポリエチレンイミンの群から選ばれた1つ、あるいはそ
れらの組み合わせをあげることができる。これらの金属
捕捉剤はいずれも水への溶解性が良い。
【0014】上記の金属捕捉に用いられる新規金属捕捉
剤は、フェノール樹脂に、アルカリ存在下で、二硫化炭
素を反応させて、フェノール樹脂中のヒドロキシル基の
20〜100%、好ましくは50〜100%をザンテー
ト基にしたザンテート化フェノール樹脂からなる金属捕
捉剤である。上記フェノール樹脂は、レゾール樹脂、ノ
ボラック樹脂のいずれであっても使用することができ
る。フェノール樹脂中のヒドロキシル基をザンテート基
に変換する割合が20%未満の場合は、重金属の金属捕
捉能が十分でないため好ましくない。
【0015】上記フェノール樹脂がアミノ基を有する場
合、このアミノ基は、二硫化炭素との反応においてジチ
オカルバメート基になるが、この基も金属を捕捉するた
め、金属捕捉剤として有効に使用することができる。
【0016】上記のレゾール樹脂とノボラック樹脂のフ
ェノール樹脂は、値段が安く、ザンテート化は容易であ
る。そして、水への溶解性は非常によく、高濃度で使用
できる。このザンテート化フェノール樹脂は重金属を捕
捉後、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂によっ
て硬化されるので、溶出し難い。特にエポキシ樹脂で硬
化される場合は、フェノール性ヒドロキシル基、アルコ
ール性ヒドロキシル基はエポキシ基と反応するため、ザ
ンテート化フェノール樹脂は溶出しない。また、これら
ザンテート化フェノール樹脂をホルムアルデヒドで架橋
すれば不溶性の重金属捕捉樹脂になる。
【0017】ザンテート化フェノール樹脂以外の金属捕
捉剤として用いるもののうち、水酸化ナトリウム、ポリ
アクリル酸ナトリウム、トリポリりん酸ナトリウム、硫
化ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル
酸、けい酸ナトリウム等は安価で好ましい。
【0018】この発明で用いられる金属捕捉剤として
は、上記の金属捕捉剤以外に、一般に市販されている金
属捕捉剤を用いてもよい。市販されている金属捕捉剤の
例としては、ユニセレックULM−8100(ユニチ
カ)、スミフロックHM−6000(住友化学)、エポ
フロックL−1、L−2、ニューエポルバ800(ミヨ
シ油脂)、A−100(日本鋼管)、ニッソーALM−
648(日本曹達)、アルサイトL−101(不二サッ
シ)、サンチオールN−1、NW(三協化成)、アッシ
ュナイト(栗田工業)、アスリート、ジオスターF(エ
ンテック研究所)、アクリーン(旭硝子)、コーナンフ
ロックSH−10(興南化学)、アクスターKS(キハ
ラ産業)、ゴスペルM−9(ゴスペル化工)等があげら
れる。
【0019】上記の各金属捕捉剤等により、カドミウ
ム、鉛、銅、クロム、砒素、水銀、亜鉛等の重金属イオ
ンが捕捉される。
【0020】上記熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエ
ステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂(ノボラッ
ク樹脂、レゾール樹脂)、尿素樹脂、ウレタン樹脂等及
びそれらの再生樹脂がある。不飽和ポリエステル再生樹
脂は、廃棄樹脂をグリコール中で塩基性触媒により、分
解し、分解物をグリコール成分として用い、二塩基酸
(無水マレイン酸、無水フタル酸)と反応させ、得られ
た再生不飽和ポリエステルにスチレンを加えることによ
り得られ(特開平8−225635号公報参照)、ま
た、再生フェノール樹脂は、廃棄樹脂を酸でオリゴマー
に分解し、これにホルマリンを反応させ、メチロール基
を導入することにより得られる。この発明においては、
熱硬化性を有すればどのような再生樹脂でも用いること
ができる。金属捕捉剤により重金属を捕捉後、この熱硬
化性樹脂により混練されて硬化されるので、重金属及び
金属捕捉剤は溶出し難い。特にエポキシ樹脂を用いた場
合は、アミノ基、フェノール性ヒドロキシル基、アルコ
ール性ヒドロキシル基、カルボン酸基、カルボン酸ナト
リウム基を持つ金属捕捉剤はエポキシ基と反応して、こ
れらの基を有する金属捕捉剤は、より溶出しなくなる。
【0021】上記各熱硬化性樹脂は、比較的低温で硬化
するので、上記の焼却灰及び金属捕捉剤を熱硬化性樹脂
に混練した後、上記各熱硬化性樹脂の硬化温度、具体的
には、室温から170℃くらいまでの範囲で、容易に上
記3成分の混合体を硬化させることができる。
【0022】上記の焼却灰、金属捕捉剤、及び熱硬化性
樹脂の混合割合は、焼却灰90重量部〜65重量部に対
し、金属捕捉剤0.5重量部〜30重量部、熱硬化性樹
脂10重量部〜35重量部がよい。金属捕捉剤が0.5
重量部未満では十分に重金属を捕捉できない。また、3
0重量部を越えると、熱硬化性樹脂が十分に硬化しない
恐れがある。さらに、熱硬化性樹脂が10重量部未満で
は、成形品の強度が低くなる恐れがある。また、35重
量部を越えると、焼却灰等の割合が低くなり、廃棄物処
理には効率的でない。
【0023】上記焼却灰に金属捕捉剤を入れ混合する場
合、水を加えると、効果的に重金属を捕捉できる。その
後乾燥して水を除去し、粉砕する方が、熱硬化性樹脂に
混練して得られる熱硬化性樹脂組成物の強度等物性は良
い。
【0024】上記の焼却灰及び金属捕捉剤を熱硬化性樹
脂の混合体に混練したものを硬化、成形する方法は、使
用する熱硬化性樹脂の硬化条件に合わせて任意の方法を
採用することができる。例えば、熱硬化性樹脂としてエ
ポキシ樹脂を使用する場合は、注型成形等を採用するこ
とができ、熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂
を使用する場合は、圧縮成形等を採用することができ
る。
【0025】上記の焼却灰及び金属捕捉剤を熱硬化性樹
脂に混練した混練体に、必要に応じて所定の充填剤を加
えて硬化反応させることにより、レジンコンクリートを
得ることができる。一般にレジンコンクリートは、不飽
和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂に、珪砂、炭酸カ
ルシウム等の充填剤、顔料、硬化剤等を加えて均一に分
散するように混練したものである。したがって、上記の
重金属を含有する焼却灰及び金属捕捉剤を充填材の一成
分として用い、さらに、使用目的に合わせて、珪砂、炭
酸カルシウム等の充填剤(以下、「追加充填剤」と称す
る。)、顔料、硬化剤等を必要に応じて加えて、熱硬化
性樹脂と均一に分散するように混練して硬化することに
より重金属が固定化されたレジンコンクリートを製造す
ることができる。
【0026】このレジンコンクリートは、重金属を含有
する焼却灰90〜65重量部、及び金属捕捉剤0.5〜
30重量部に、必要に応じて追加充填剤を添加して、全
体として65.5〜240重量部とし、これらを熱硬化
性樹脂10〜70重量部に混練したものがよい。
【0027】上記の各添加量を追加充填剤の添加の有無
で分けて具体的に述べると、追加充填剤を添加しない場
合は、重金属を含有する焼却灰90〜65重量部、及び
金属捕捉剤0.5〜30重量部を加えて、全体として6
5.5〜120重量部とし、これらを熱硬化性樹脂10
〜35重量部に混練したものがよい。
【0028】また、追加充填剤を添加する場合は、この
追加充填剤0重量部を越えて120重量部以下、重金属
を含有する焼却灰90〜65重量部、及び金属捕捉剤
0.5〜30重量部の混合物に、追加充填剤を添加しな
い場合の熱硬化性樹脂の添加量10〜35重量部、及び
追加充填剤の添加量の10〜50重量%、好ましくは、
20〜40重量%に相当する量の熱硬化性樹脂を加えれ
ばよい。具体的には、重金属を含有する焼却灰90〜6
5重量部、及び金属捕捉剤0.5〜30重量部に、追加
充填剤を0重量部を越えて120重量部以下添加し、こ
れらを熱硬化性樹脂10〜70重量部に混練したものが
よい。
【0029】金属捕捉剤が0.5重量部未満では十分に
重金属を捕捉できない場合が生じる。また、30重量部
を越えると、熱硬化性樹脂が十分に硬化しない恐れがあ
る。さらに、熱硬化性樹脂が上記の範囲より少ないと、
成形品の強度が低くなる恐れがある。また、上記の範囲
より多いと、焼却灰等の割合が低くなり、廃棄物処理に
は効率的でない。
【0030】このレジンコンクリートは、化学工場、実
験室等の床、廃液溝、電解槽、温泉の浴槽等の防食材、
通路、プールサイド、プラットホーム等の床材、道路等
の舗装材、コンクリート屋根の防水材、タイル等に使用
することができる。
【0031】
【実施例】以下に実施例をあげ本発明を具体的に説明す
る。
【0032】〔製造例1〕 ザンテート化レゾール樹脂
の合成 レゾール樹脂の一般式は、下記の化学式〔1〕で表され
るが、この製造例においては、下記の化学式〔2〕で表
させる化合物を主成分とするレゾール樹脂(n=2、m
=0)を用い、ザンテート化レゾール樹脂を合成した。
【0033】
【化1】
【0034】(m,nは、いずれも0〜3の数を示
す。)
【0035】
【化2】
【0036】(旭有機材工業(株)製レゾール樹脂(A
VライトレジンKP3808、数平均分子量173)) このレゾール樹脂36.8gを、撹はん機、冷却器、滴
下ロート付き1リットル三ッ口丸底フラスコに入れ、水
50mlを加え室温で撹はんする。苛性ソーダ32.8
gを水50mlに溶解し、1時間かけて滴下する。この
時、液は赤褐色になる。次いで二硫化炭素61.7gを
1時間かけて滴下する。滴下後12時間撹はん反応し
た。エバポレーターで水を留去して、99.3gの赤褐
色粘着性固体を得た。以下に、原料のレゾール樹脂、及
び得られたザンテート化レゾール樹脂の赤外吸収スペク
トルを示す。
【0037】レゾール樹脂の赤外吸収スペクトル:33
26、3025、2942、2883、1613、15
96、1512、1475、1458、1369、12
38、1153、1113、1062、1018、10
00、935、888、827、757、693、64
2、606、567、509cm-1 ザンテート化レゾール樹脂の赤外吸収スペクトル:33
93、3018、2931、2844、1631、16
03、1479、1449、1276、1236、11
68、1005、896、766、509cm-1 上記両者の赤外吸収スペクトルを比較したところ、12
38cm-1のフェノール性ヒドロキシル基、1000c
-1の第一級ヒドロキシル基の吸収が小さくなり、新し
く1631、1276cm-1にザンテート基(−O−C
(=S)−S−)の吸収が現れたことが確認された。ま
た、吸光度(第一級ヒドロキシル基)/吸光度(フェニ
ル基)、吸光度(フェノール性ヒドロキシル基)/吸光
度(フェニル基)を求めると、レゾール樹脂はA1000
1596=1.267、A1238/A1596=2.000、ザ
ンテート化レゾール樹脂はA1005/A1603=0.55
0、A1236/A1603=0.700となり、レゾール樹脂
に対するザンテート化レゾール樹脂の比から残存率を計
算すると、第一ヒドロキシル基のザンテート化反応率=
56.6%、フェノール性ヒドロキシル基のザンテート
化反応率=65.0%であった。
【0038】〔製造例2〕 ザンテート化ノボラック樹
脂の合成 ノボラック樹脂の一般式は、下記の化学式〔3〕で表さ
れるが、この製造例においては、下記の化学式〔4〕で
表させる化合物を主成分とするノボラック樹脂(n=
2)を用い、ザンテート化ノボラック樹脂を合成した。
【0039】
【化3】
【0040】(nは、1〜30の数を示す。)
【0041】
【化4】
【0042】(旭有機材工業(株)製ノボラック樹脂
(AVライトレジンRM506P、数平均分子量42
5)) このノボラック樹脂46.0gを、撹はん機、冷却器、
滴下ロート付き1リットル三ッ口丸底フラスコに入れ、
水100mlを加え室温で撹はんする。苛性ソーダ2
4.8gを水50mlに溶解し、1時間かけて滴下す
る。この時、液は赤褐色になる。次いで二硫化炭素4
6.4gを1時間かけて滴下する。滴下後12時間撹は
ん反応した。エバポレーターで水を留去して、77.5
gの赤褐色の柔らかい固体を得た。以下に、原料のノボ
ラック樹脂、及び得られたザンテート化ノボラック樹脂
の赤外吸収スペクトルを示す。
【0043】ノボラック樹脂の赤外吸収スペクトル:3
754、3302、3020、2916、2844、1
890、1603、1507、1448、1358、1
230、1174、1102、1012、912、82
0、758、693、580、510cm-1 ザンテート化ノボラック樹脂の赤外吸収スペクトル:3
399、3003、2931、2844、1644、1
601、1497、1433、1392、1271、1
232、1145、1109、1001、892、83
2、763、671、580、533cm−1 上記両者の赤外吸収スペクトルを比較したところ、12
31cm−1のフェノール性ヒドロキシル基、1011
cm-1の第一級ヒドロキシル基の吸収が小さくなり、新
しく1644、1271cm-1にザンテート基(−O−
C(=S)−S−)の吸収が現れることが確認された。
また、吸光度(フェノール性ヒドロキシル基)/吸光度
(フェニル基)を求めると、ノボラック樹脂はA1230
1603=2.704、ザンテート化ノボラック樹脂はA
1232/A1601=1.105となり、ノボラック樹脂に対
するザンテート化ノボラック樹脂の比から残存率を計算
すると、フェノール性ヒドロキシル基のザンテート化反
応率=59.1%であった。
【0044】ザンテート化フェノール樹脂の重金属捕捉
飛灰の1種であるキューポラダスト50gを水500m
lに入れて6時間撹はんし、この飛灰中の重金属を抽出
した。この抽出液に含まれる重金属を、誘導結合型プラ
ズマ発光分析(ICP:Inductively Coupled Plasma、
島津ICPS−1000III )にて分析した。また水銀
は還元気化原子吸光法により分析した。その結果は次の
通りである。
【0045】Zn:4387.3ppm、Cd:34.
519ppm、Pb:43.699ppm、Cu:0.
279ppm、Cr:0.036ppm、As:検出せ
ず、Hg:0.4ppb以下。
【0046】上記の抽出液100mlを300mlビー
カーにとり、製造例1で得られたザンテート化レゾール
樹脂の0.4%水溶液5mlを添加して撹はんした。1
0分放置後、3%の塩化第二鉄水溶液1mlを加え、1
N水酸化ナトリウムでpHを8に調整した。10分後、
アニオン系高分子凝集剤0.1%水溶液1mlを加え1
0分間撹はんした後、更に10分間静置し濾過した。濾
液の重金属をICPで分析した。その結果は次の通りで
ある。
【0047】Zn:0.000ppm、Cd:0.00
9ppm、Pb:0.117ppm、Cu:0.000
ppm、Cr:0.011ppm、As:検出せず、H
g:検出せず。
【0048】(実施例1)水酸化ナトリウム2gを水1
0mlに溶解し、飛灰(キューポラダスト)70gと混
練し、一夜乾燥後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との混合
粉末を得た。この混合粉末にレジンコンクリート用不飽
和ポリエステル樹脂(大日本インキ化学工業製ポリライ
トFH−123S;表1〜表3において、「ポリエステ
ル」と称する。)30g、ラジカル開始剤としてt−ブ
チルパーベンゾエート1gを加え、混練し、100℃、
2時間、次いで120℃、2時間、注形成形した。そし
て、表1に示す曲げ強度、曲げ弾性率、及び破断たわみ
を有する不飽和ポリエステル樹脂成形物を得た。
【0049】なお、上記の曲げ強度、曲げ弾性率、及び
破断たわみの各曲げ試験は、JIS6911 5.17
「熱硬化性プラスチック一般試験方法」により行った。
【0050】この不飽和ポリエステル樹脂成形物からの
重金属溶出試験は、平4環告44「産業廃棄物に含まれ
る金属等の検定方法」に従い、約3×10×50mmの
上記不飽和ポリエステル樹脂ブロック30gを水300
mlにて6時間撹はんして抽出し、上記IPCにて分析
した。その結果を表1に示す。
【0051】なお、使用した飛灰に含まれる重金属の溶
出量は、次の重金属溶出試験で測定した。すなわち、1
0%水溶液にて6時間抽出し、上記IPCにて分析し
た。また水銀は還元気化原子吸光法により分析した。結
果は、次の通りである。
【0052】Zn:4387.3ppm、Cd:34.
519ppm、Pb:43.699ppm、Cu:0.
279ppm、Cr:0.036ppm、Hg:0.4
ppb以下。
【0053】(実施例2)ポリアクリル酸ナトリウム
(重合度2,700〜7,500)5gを水5mlに溶
解し、実施例1で用いた飛灰70gと混練し、一夜乾燥
後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との混合粉末を得た。こ
の混合粉末を用いた以外は、実施例1と同様にして不飽
和ポリエステル樹脂成形物を得た。その曲げ強度、曲げ
弾性率及び破断たわみを表1に示す。
【0054】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶出試験を
行った。その結果を表1に示す。
【0055】(実施例3)トリポリりん酸ナトリウム5
gを水10mlに溶解し、実施例1で用いた飛灰70g
と混練し、一夜乾燥後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との
混合粉末を得た。この混合粉末を用いた以外は、実施例
1と同様にして不飽和ポリエステル樹脂成形物を得た。
その曲げ強度、曲げ弾性率及び破断たわみを表1に示
す。
【0056】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表1に示す。
【0057】(実施例4)硫化ナトリウム9水和物5g
を水10mlに溶解し、実施例1で用いた飛灰70gと
混練し、一夜乾燥後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との混
合粉末を得た。この混合粉末を用いた以外は、実施例1
と同様にして不飽和ポリエステル樹脂成形物を得た。そ
の曲げ強度、曲げ弾性率及び破断たわみを表1に示す。
【0058】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表1に示す。
【0059】(実施例5)ポリアリルアミン(分子量約
1万、日東紡績(株)製PAA−10L−15B、15
%水溶液)10gを、実施例1で用いた飛灰70gと混
練し、一夜乾燥後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との混合
粉末を得た。この混合粉末を用いた以外は、実施例1と
同様にして不飽和ポリエステル樹脂成形物を得た。その
曲げ強度、曲げ弾性率及び破断たわみを表1に示す。
【0060】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表1に示す。
【0061】(実施例6)ポリビニルアルコール(重合
度500)5gを水20mlに溶解し、実施例1で用い
た飛灰70gと混練し、一夜乾燥後、粉砕して飛灰と金
属捕捉剤との混合粉末を得た。この混合粉末を用いた以
外は、実施例1と同様にして不飽和ポリエステル樹脂成
形物を得た。その曲げ強度、曲げ弾性率及び破断たわみ
を表1に示す。
【0062】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表1に示す。
【0063】(実施例7)ポリアクリル酸(粘度平均分
子量約45万、Tg106℃)5gを水30mlに溶解
し、実施例1で用いた飛灰70gと混練し、一夜乾燥
後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との混合粉末を得た。こ
の混合粉末を用いた以外は、実施例1と同様にして不飽
和ポリエステル樹脂成形物を得た。その曲げ強度、曲げ
弾性率及び破断たわみを表1に示す。
【0064】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表1に示す。
【0065】(実施例8)ポリビニルピロリドン(重量
平均分子量約36万、化粧品用K−90)5gを水30
mlに溶解し、実施例1で用いた飛灰70gと混練し、
一夜乾燥後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との混合粉末を
得た。この混合粉末を用いた以外は、実施例1と同様に
して不飽和ポリエステル樹脂成形物を得た。その曲げ強
度、曲げ弾性率及び破断たわみを表1に示す。
【0066】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表1に示す。
【0067】(実施例9)ミヨシ油脂(株)製飛灰処理
用高分子重金属固定剤NEWエポルバ800(ジチオカ
ルバメート基を有するポリエチレンイミン。重量平均分
子量3,000〜5,000、表1において、「高分子
液体キレート」と称する。)1.5gを水10mlに溶
解し、実施例1で用いた飛灰70gと混練し、一夜乾燥
後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との混合粉末を得た。こ
の混合粉末を用いた以外は、実施例1と同様にして不飽
和ポリエステル樹脂成形物を得た。その曲げ強度、曲げ
弾性率及び破断たわみを表1に示す。
【0068】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表1に示す。
【0069】(実施例10)撹はん機、冷却器付き50
0ml丸底フラスコに、アシッドホスホオキシエチルメ
タクリレート(城北化学工業(株)製JAMP−51
4)10.5g、テトロヒドロフラン30ml、ラジカ
ル開始剤ベンゾイルパーオキサイド0.1g、チオグリ
コール酸2−エチルヘキシル0.1mlを入れ、60℃
で、5時間撹はんし重合した。その結果、白色ポリマー
が沈澱してきた。重合後、大量のメタノール中に反応液
を注ぎ、白色ポリマー3.41g(重合率32.5%)
を得た。
【0070】得られた白色ポリマーであるポリ(アシッ
ドホスホオキシエチルメタクリレート)(表1において
「PAP」と称する。)3.0gを水20mlに溶解
し、実施例1で用いた飛灰70gと混練し、一夜乾燥
後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との混合粉末を得た。こ
の混合粉末を用いた以外は、実施例1と同様にして不飽
和ポリエステル樹脂成形物を得た。その曲げ強度、曲げ
弾性率及び破断たわみを表1に示す。
【0071】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】(実施例11)製造例1で合成したザンテ
ート化レゾール樹脂(表1〜表3において、「ザンテー
ト化レゾール」と称する。)5.0gを水10mlに溶
解し、実施例1で用いた飛灰70gと混練し、一夜乾燥
後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との混合粉末を得た。こ
の混合粉末を用いた以外は、実施例1と同様にして不飽
和ポリエステル樹脂成形物を得た。その曲げ強度、曲げ
弾性率及び破断たわみを表2に示す。
【0074】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表2に示す。
【0075】(実施例12)製造例2で合成したザンテ
ート化ノボラック樹脂(表1及び表2において、「ザン
テート化ノボラック」と称する。)5.0gを水10m
lに溶解し、実施例1で用いた飛灰70gと混練し、一
夜乾燥後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との混合粉末を得
た。この混合粉末を用いた以外は、実施例1と同様にし
て不飽和ポリエステル樹脂成形物を得た。その曲げ強
度、曲げ弾性率及び破断たわみを表2に示す。
【0076】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表2に示す。
【0077】(実施例13)製造例1で合成したザンテ
ート化レゾール樹脂5.0gを水10mlに溶解し、実
施例1で用いた飛灰70gと混練し、一夜乾燥後、粉砕
して飛灰と金属捕捉剤との混合粉末を得た。この混合粉
末にエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製エピコ
ート828;表2において「エポキシ」と称する。)3
0g、トリエチレンテトラミン3.9gを加え、混練
し、100℃、2時間、次いで150℃、4時間、注形
成形した。そして表2に示す曲げ強度、曲げ弾性率及び
破断たわみを有するエポキシ樹脂成形物を得た。
【0078】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られたエポキシ樹脂成形物の重金属溶出試験を行
った。その結果を表2に示す。
【0079】(実施例14)製造例2で合成したザンテ
ート化ノボラック樹脂5.0gを水10mlに溶解し、
実施例1で用いた飛灰70gと混練し、一夜乾燥後、粉
砕して飛灰と金属捕捉剤との混合粉末を得た。この混合
粉末にレゾール樹脂(旭有機材工業(株)製AVライト
レジンKP3808;表2において「レゾール」と称す
る。)30gを加え、混練し、150℃、4時間、次い
で170℃、2時間、注形成形した。そして表2に示す
曲げ強度、曲げ弾性率及び破断たわみを有するレゾール
樹脂成形物を得た。
【0080】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られたレゾール樹脂成形物の重金属溶出試験を行
った。その結果を表2に示す。
【0081】(実施例15)製造例1で合成したザンテ
ート化レゾール樹脂5.0gを水10mlに溶解し、実
施例1で用いた飛灰70gと混練し、一夜乾燥後、粉砕
して飛灰と金属捕捉剤との混合粉末を得た。この混合粉
末に尿素樹脂(台和化学工業(株)製リードライトU
W、酸触媒、パルプ含有;表2において「尿素」と称す
る。)60gを加え、混練し、140℃、20分間、圧
縮成形した。そして表2に示す曲げ強度、曲げ弾性率及
び破断たわみを有する尿素樹脂成形物を得た。
【0082】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた尿素樹脂成形物の重金属溶出試験を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0083】(実施例16)硫化ナトリウム9水和物5
gを水10mlに溶解し、実施例1で用いた飛灰70g
と混練し、一夜乾燥後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との
混合粉末を得た。この混合粉末にグリコール中、塩基触
媒により分解、再合成して得た再生不飽和ポリエステル
樹脂(数平均分子量1,508、重量平均分子量/数平
均分子量=2.02、スチレン40%;表2において
「再生1」と称する。)30g、ラジカル開始剤t−ブ
チルパーベンゾエート1gを加え、混練し、100℃、
2時間、次いで120℃、2時間、注形成形した。そし
て表2に示す曲げ強度、曲げ弾性率及び破断たわみを有
する再生樹脂成形物を得た。
【0084】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた再生樹脂成形物の重金属溶出試験を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0085】(実施例17)硫化ナトリウム9水和物5
gを水10mlに溶解し、実施例1で用いた飛灰70g
と混練し、一夜乾燥後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との
混合粉末を得た。この混合粉末に、グリコール中、塩基
触媒により分解、再合成して得た再生不飽和ポリエステ
ル樹脂(再生ガラス繊維40重量%、再生炭酸カルシウ
ム10重量%入り、数平均分子量1,508、重量平均
分子量/数平均分子量=2.02、スチレン40%;表
2において「再生2」と称する。)60g、ラジカル開
始剤メチルエチルケトンパーオキサイド1g、ナフテン
酸コバルト1gを加え、混練し、25℃、12時間注形
成形した。そして表2に示す曲げ強度、曲げ弾性率及び
破断たわみを有する再生樹脂成形物を得た。
【0086】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた再生樹脂成形物の重金属溶出試験を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0087】(実施例18)けい酸ナトリウム溶液(水
ガラス;灰分52.0〜57.0%、SiO2 /Na2
O=2.06〜2.31(モル比))5gを水10ml
に溶解し、実施例1で用いた飛灰70gと混練し、一夜
乾燥後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との混合粉末を得
た。この混合粉末を用いた以外は、実施例1と同様にし
て不飽和ポリエステル樹脂成形物を得た。その曲げ強
度、曲げ弾性率及び破断たわみを表2に示す。
【0088】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表2に示す。
【0089】(実施例19)トリポリりん酸ナトリウム
(無水)3g、硫化ナトリウム9水和物3gを水20m
lに溶解し、実施例1で用いた飛灰70gと混練し、一
夜乾燥後、粉砕して飛灰と金属捕捉剤との混合粉末を得
た。この混合粉末を用いた以外は、実施例1と同様にし
て不飽和ポリエステル樹脂成形物を得た。その曲げ強
度、曲げ弾性率及び破断たわみを表2に示す。
【0090】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表2に示す。
【0091】
【表2】
【0092】(実施例20)トリポリりん酸ナトリウム
(無水)3g、硫化ナトリウム9水和物3g、製造例1
で得られたザンテート化レゾール樹脂5gを水20ml
に溶解し、実施例1で用いた飛灰70gと混練し、一夜
乾燥後、粉砕した。この混合粉末を用いた以外は、実施
例1と同様にして不飽和ポリエステル樹脂成形物を得
た。その曲げ強度、曲げ弾性率及び破断たわみを表3に
示す。
【0093】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表3に示す。
【0094】(実施例21)トリポリりん酸ナトリウム
(無水)3g、硫化ナトリウム9水和物3g、製造例1
で得られたザンテート化レゾール樹脂5gを水30ml
に溶解し、溶融飛灰70gと混練し、一夜乾燥後、粉砕
した。この混合粉末に実施例1で用いたレジンコンクリ
ート用不飽和ポリエステル樹脂35g、ラジカル開始剤
としてt−ブチルパーベンゾエート1gを加え、混練
し、120℃、30分間、次いで140℃、30分間、
圧縮成形した。そして、表3に示す曲げ強度、曲げ弾性
率、及び破断たわみを有する不飽和ポリエステル樹脂成
形物を得た。
【0095】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂成形物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表3に示す。
【0096】なお、使用した溶融飛灰に含まれる重金属
の溶出量は、次の重金属溶出試験で測定した。すなわ
ち、10%水溶液にて6時間抽出し、上記IPCにて分
析した。結果は、次の通りである。
【0097】Zn:0.005ppm、Cd:0.00
3ppm、Pb:0.344ppm、Cu:0.000
ppm、Cr:0.687ppm、As:0.0824
ppm。
【0098】(比較例1)実施例1で使用した飛灰70
gにレジンコンクリート用不飽和ポリエステル樹脂(大
日本インキ化学工業製ポリライトFH−123S)30
g、ラジカル開始剤t−ブチルパーベンゾエート1gを
加え、混練し、100℃、2時間、次いで120℃、2
時間、注形成形した。そして表3に記載の曲げ強度、曲
げ弾性率、及び破断たわみを有する不飽和ポリエステル
樹脂成形物を得た。
【0099】また、実施例1に記載の方法にしたがっ
て、得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物の重金属溶
出試験を行った。その結果を表3に示す。
【0100】
【表3】
【0101】
【発明の効果】この発明によれば、焼却灰等の重金属を
金属捕捉剤で捕捉し、その後、不飽和ポリエステル樹
脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹
脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂に混合し、成形物とする
ため、室温〜170℃の温度で容易に、重金属の固定化
ができる。これらの熱硬化性樹脂は耐熱性があり、溶剤
にも不溶で、安定して重金属の固定化ができる。またレ
ジンコンクリートとしてこれら成形物を利用することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒川 和明 大阪市西区北堀江1丁目12番19号 株式会 社栗本鐵工所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重金属を含有する焼却灰90〜65重量
    部、及び金属捕捉剤0.5〜30重量部を熱硬化性樹脂
    10〜35重量部に混練する重金属固定化法。
  2. 【請求項2】 熱硬化性樹脂が再生樹脂である請求項1
    に記載の重金属固定化法。
  3. 【請求項3】 フェノール樹脂に、アルカリ存在下で、
    二硫化炭素を反応させて、フェノール樹脂中のヒドロキ
    シル基の20〜100%をザンテート基にしたザンテー
    ト化フェノール樹脂からなる金属捕捉剤。
  4. 【請求項4】 金属捕捉剤が、請求項3に記載の金属捕
    捉剤、水酸化ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、
    トリポリりん酸ナトリウム、硫化ナトリウム、けい酸ナ
    トリウム、ポリアリルアミン、ポリビニルアルコール、
    ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリアシッド
    ホスホオキシエチルメタクリレート、ジチオカルバメー
    ト基を有するポリエチレンイミンの群から選ばれた1
    つ、あるいはそれらの組み合わせである請求項1に記載
    の重金属固定化法。
  5. 【請求項5】 重金属を含有する焼却灰90〜65重量
    部、及び金属捕捉剤0.5〜30重量部に、必要に応じ
    て充填剤を添加して、全体として65.5〜240重量
    部とし、これらを熱硬化性樹脂10〜70重量部に混練
    してなる重金属が固定化されたレジンコンクリート。
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