JPH1094397A - 対立遺伝子交換変異株の選抜方法 - Google Patents

対立遺伝子交換変異株の選抜方法

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JPH1094397A
JPH1094397A JP9190376A JP19037697A JPH1094397A JP H1094397 A JPH1094397 A JP H1094397A JP 9190376 A JP9190376 A JP 9190376A JP 19037697 A JP19037697 A JP 19037697A JP H1094397 A JPH1094397 A JP H1094397A
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recombinant
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ペリシク ヴラディミール
Jean-Marc Reyrat
レイラ ジーン−マルク
Brigitte Gicquel
ジクール ブリジット
Christophe Guilhot
ギルホット クリストフ
Mary Jackson
ジャクソン マリー
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、対立遺伝子交換変異株の選抜方法を
提供することを課題とする。 【解決手段】本発明により、マイコバクテリア菌株ゲノ
ムの塩基配列を置換するための方法において、 a) レバンサッカラーゼ酵素をコードするSacB遺伝子
と、目的の塩基配列とを含むベクターを提供する段階、 b) 該ベクターでマイコバクテリア菌株を形質転換す
る段階、 c) その結果得られた形質転換マイコバクテリアのク
ローンを、スクロースを添加した培地で増殖させること
によって、目的とする塩基配列が置換されている形質転
換クローンを選択する段階、および d) 組換え菌株を単離する段階、を含む方法が提供さ
れた。この方法は、結核菌(Mycobacterium tuberclosi
s)複合グループなどにおいて、対立遺伝子交換変異体
をポジティブ選択するために有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対立遺伝子交換変
異株の選抜方法に関し、詳細には、マイコバクテリア菌
株ゲノムの塩基配列を置換するための、対立遺伝子交換
変異株の選抜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近になって開発された、マイコバクテ
リアの遺伝子を導入して発現させる技術によって、これ
らの生物種をより深く理解するための手段として、分子
遺伝学的操作を行なう道が開かれた(ジェイコブズ(Ja
cobs)ら、1991)。通常、病原因子は、以下のようなコ
ッホの分子的規準で遺伝学的に特徴づけられる(ファル
コウ(Falkow)、1988)。すなわち、(i)問題の遺伝
子がクローニングされていること、(ii)該遺伝子の特
異的な不活化が病原性に影響すること、(iii)野生型
の対立遺伝子で相補することによって病原性が回復され
ること。しかしながら、相同的組み換えによって、定義
された変異体を作成するための効果的な方法がなかった
ため、マイコバクテリアの遺伝学的解析は妨げられてき
た(ジェイコブズ(Jacobs)ら、1992)。
【0003】遺伝子の機能を理解するための「逆行遺伝
学(リバースジェネティクス)」的研究では、細胞の相
同的組み換えの特質を利用して、機能的な対立遺伝子
を、その不活性化したコピーで置き換えることによっ
て、目的とする遺伝子を特異的に破壊する(ルブカン
(Ruvkun)およびアウスユーベル(Ausubel)、198
1)。通常、組み換えが起きたことを選抜培地上で簡単
に検出することができるように、抗生物質耐性マーカー
の挿入によって遺伝子が不活化される。この方法が、py
rF遺伝子を用いて、スメグマ菌(マイコバクテリウム・
スメグマティス(Mycobacterium smegmatis))にも応
用できることが明らかになった(ハッサン(Husson)
ら、1990)。しかし、二重交叉現象は稀にしか起きず、
遺伝子交換変異株を分離するためには大規模なスクリー
ニングを行なう必要があるため、対立遺伝子の交換を行
うのはかなり手間がかかる。この方法は、不規則な組み
換え、すなわち、選択された遺伝子以外の部位で未知の
機構によって起こる組み換えの頻度よりも、相同的組み
換えの頻度の方が低い、増殖の遅いマイコバクテリアで
は特に非効率的であることが分かった。何人かの研究者
は、遺伝子置換を全く検出することができないでいた
(アルドビーニ(Aldovini)ら、1993;カルパナ(Kalp
ana)ら、1991)。しかし、最近のいくつかの研究は、
低い頻度ではあるが、増殖が遅いマイコバクテリアで、
対立遺伝子交換を同定することに成功した(マークラン
ド(Marklund)ら、1995;ノーマン (Norman)ら、199
5;リーラット(Reyrat)ら、1995;バラサブラマニア
ン(Balasubramanian)ら、1996)。遺伝子交換によっ
てできる変異株をポジティブ選抜できるシステムが存在
すれば、対立遺伝子交換にとって極めて有用であること
は明らかである。
【0004】不規則な組み換えが高いレベルで起きるこ
とと、組み換えの頻度が低いことは、真核生物の細胞や
いくつかのバクテリアの遺伝子交換実験でも述べられて
いる(ケイ(Cai)およびウォーク(Wolk)、1990;デ
サマー(Desomer)ら、1991)。これらの問題は、二重
選抜実験法を用いることによって、克服することができ
る(スティビッツ(Stibitz)、1994)。突然変異誘発
に用いられるベクターは、大規模なスクリーニングの必
要をなくすために、形質転換体の一次選抜のための抗生
物質マーカーと、ベクターDNAを欠落したクローンを逆
選抜するための、条件優性の致死効果をもつ第二のマー
カーを持っていなければならない。最近になって、rpsL
遺伝子がスメグマ菌で優性の致死効果を示すことが明ら
かになるまでは、マイコバクテリアで利用できる逆選抜
マーカーはなかった。これは、このバクテリアで二重選
抜が可能なことを示すために用いられた(サンダー(Sa
nder)ら、1995)。
【0005】高いレベルで不規則な組み換えが起きるこ
とと、組み換えの頻度が低いことから生じる問題を克服
できるような、遺伝子交換突然変異誘発のための一般的
な方法を設計する必要があった。考えられる方法とし
て、かなり長い直鎖状の相同的なDNA(20 kb以上)の使
用に基づく方法が、最近になって提案された(バラサブ
ラマニアン(Balasubramanian)ら、1996)。この方法
で、結核菌(M. tuberculosis)のleuD遺伝子に対する
相同的組み換えの頻度が上昇しうることが示された。対
立遺伝子交換変異株の比率が、検出不能なレベルから、
形質転換体の約6%までに上昇した(バラサブラマニア
ン(Balasubramanian)ら、1996)。しかし、この方法
について考えられる限界は、コスミドの長さが長くなる
ため、その操作が比較的難しいという事実である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、対立遺伝子
交換変異株の選抜方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、スティビッツ
(Stibitz)(1994)によって説明されている二重選抜
法において条件優性致死マーカーを用いることによっ
て、従来の技術における問題を解決する。自殺輸送ベク
ターに存在するこのマーカーが、一回の相同的組み換
え、または不規則組み換えによって、クローンの染色体
に挿入されると、選抜培地上でそれらの死がもたらされ
る。その結果もたらされる効果は、対立遺伝子交換変異
株の比率の増加であり、それにより形質転換体のスクリ
ーニングがより容易になる。最近、スメグマ菌における
逆選抜マーカーが開示され、それを用いて、このバクテ
リウムにおいて対立遺伝子交換変異株のポジティブ選抜
が可能であることが明らかにされた。この遺伝子は、対
ストレプトマイシン感受性の優性形質を付与するrpsL遺
伝子である(サンダー(Sander)ら、1995)。
【0008】本発明は、二次逆選抜マーカーとして、ス
クロースに対する感受性を付与する、枯草菌(Bacillus
subtilis)のSacB遺伝子(ペリシック(Pelicic)ら、
Mol.Microbiol. 1996にも説明されている)を初めて提
供する。SacBは、一段階選抜法または二段階選抜法にお
いて、変異株のポジティブ選抜に用いることができるた
め、特に強力な手段となる。一段階法のプロトコールで
は、スメグマ菌に自殺ベクターをエレクトロポレーショ
ンにより導入して、スクロース上で、対立遺伝子交換形
質転換体を直接に選抜する。二段階選抜法においては、
まず、一回組換え形質転換体を選抜して、液体培地で増
殖させて第二の交叉を起こさせる。次に、スクロース上
で培養することによって、第二の交叉でSacB遺伝子を欠
落した変異株をポジティブ選抜することができる。本発
明以前には、増殖が遅いマイコバクテリアにおいて、こ
の後者の可能性を特に考慮すべきことが明らかでなかっ
た。実際、古典的な実験で二重組換え体を検出できな
い、多くの遺伝子にとって、一段階選抜法は適当でない
(ジャクソン(Jackson)私信、ルブカン(Ruvkun)お
よびアウスユーベル(Ausubel)、1981)。
【0009】SacBが、増殖の遅いマイコバクテリアにス
クロース感受性を付与することは示されていたが(ペリ
シック(Pelicic)ら、J. Bacteriol. 1996)、それを
マーカーとして、対立遺伝子交換変異株のポジティブ選
抜に用いることは、この発明以前には明らかになってい
なかった。したがって、初めて、増殖の遅いマイコバク
テリアで、ureC遺伝子をモデルとして、二段階選抜法の
プロトコールが検討された。
【0010】したがって、本発明は、マイコバクテリア
の菌株のゲノムにおいて塩基配列を置換するための方法
を提供する。この方法には、レバン・サッカラーゼ酵素
をコードするSacB遺伝子と目的の塩基配列とを含むベク
ターを提供することが含まれる。マイコバクテリア菌株
を、例えば、エレクトロポレーションまたは接合によっ
て、ベクターを用いて形質転換する。この結果得られた
マイコバクテリアの形質転換クローンをスクロースを添
加した培養培地で増殖させることによって、目的とする
塩基配列の置換がおきた形質転換クローンを選抜する。
もし、必要であれば、組換え菌株を分離することもでき
る。本発明に係る方法において適当な典型的なマイコバ
クテリア菌株には、結核菌(M.tuberculosis)、スメグ
マ菌(M.smegmatis)、ウシ結核菌(M. bovis)、ウシ
結核菌-BCG株(M. bovis-BCG)、マイコバクテリウム・
アフリカナム(M. africanum)、マイコバクテリウム・
ミクロティ(M. microti)、鳥結核菌(M. avium)、マ
イコバクテリウム・ゴルドナエ(M. gordonae)、およ
びらい菌(M. leprae)が含まれる。本発明の好ましい
態様において、マイコバクテリアは増殖の遅いマイコバ
クテリアである。本発明の好ましい態様において、この
方法において用いられるベクターは、マーカー遺伝子を
含み、また、選抜段階の前に、選抜用分子を添加した培
養培地でクローンを増殖させることによって、まず、ク
ローンの第一段階の選抜が行なわれる。例えば、マーカ
ー遺伝子は、ゲンタマイシンまたはカナマイシンなどの
抗生物質に対する耐性をコードする遺伝子であってもよ
い。
【0011】本発明の別の態様において、この方法に用
いられるベクターは、例えば、大腸菌などで機能する複
製開始点を含む。
【0012】目的とする塩基配列は、形質転換されるマ
イコバクテリアが本来持つ遺伝子であってもよい。塩基
配列は、少なくとも1塩基の付加、置換、または欠失に
よって改変することができる。「置換」および「欠失」
という用語は、1塩基対の変化を意味する。好ましく
は、改変された塩基配列は、全長の中に3%以上の置換
や欠失を含まない。「付加」は、ベクターに含まれる塩
基配列の中間に挿入することができる遺伝子の全配列を
意味するものとする(ここで、この塩基配列は、マイコ
バクテリアのゲノムの中に置換される配列に対応するも
のである)。例えば、付加は、抗生物質耐性遺伝子また
は内生性の抗原もしくは免疫原をコードする遺伝子の挿
入であるかもしれない。
【0013】または、目的とする塩基配列は、形質転換
されるマイコバクテリアにとって外来のものでもよい。
本発明による外来の塩基配列とは、組み換えられるマイ
コバクテリアに本来は存在しないか、または該マイコバ
クテリアの中では、本発明に係る対立遺伝子交換法によ
って挿入される遺伝子座とは別の遺伝子座に存在する塩
基配列のことである。このような外来配列は目的の外来
塩基配列を含み、5'末端および3'末端で、少なくとも一
つの1kb以上の相同塩基配列と接している。この相同配
列は、対立遺伝子交換現象を起こさせるための、マイコ
バクテリアのゲノム配列に対する、プラスミドにおける
対応配列である。
【0014】本発明の別の態様において、置換される塩
基配列は、プラスミドの塩基配列であっても染色体の塩
基配列であってもよい。
【0015】さらに別の態様において、目的の塩基配列
は、融合ポリペプチドをコードするハイブリッド分子で
もよい。本発明はまた、融合ポリペプチドが、形質転換
されるマイコバクテリア菌株にとっては異種性の抗原決
定基を含み、この抗原決定基が本来の内生抗原決定基よ
りも患者の血清によって認識されやすいものであるよう
な、既に説明されたタイプの方法を提供する。
【0016】本発明に係る方法で用いるのに適した抗原
決定基には、 1)ソレンセン(Sorensen)ら(1995)によって記述さ
れている6kDの初期分泌抗原標的(ESAT-6)(例えば、
ESAT-6をウシ結核BCG菌株の既知の非必須塩基配列に融
合させた配列として、ウシ結核BCG菌株に挿入すること
ができ、それによって、組換え菌株がヒト結核菌に特異
的な免疫原決定基を発現できるため、従来から使用され
てきたBCG菌株が改良される。そして、これらの組換え
菌株は、効果的なワクチン調製物を作出するための改良
された方法を提供することができる)、 2)国際特許出願PCT/FR96/0166に開示されている、ヒ
ト結核菌に由来する45/47 kDの免疫原性蛋白質、 3)フランス特許出願番号FR 7921811に開示されてい
る、B型肝炎ウイルスに由来する表面抗原(HBsAg)、お
よび 4)HIVの全部または一部をコードする配列、例えば、
特許出願GB 8324800、EP 84401834、またはEP 85905513
に開示されている、HIV-1由来のゲノム配列、または特
許出願EP 87400151に開示されているHIV-2のゲノム配
列、が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】本発明は、また、組換えマイコバクテリア
菌株を提供する。この菌株は、そのゲノムに、該マイコ
バクテリアの野生型配列とは異なった、改変された塩基
配列をもっていてもよい。また、組換えマイコバクテリ
ア菌株は、挿入ベクターの配列を含んでいても含んでい
なくてもよい。
【0018】本発明は、さらに、本発明で使用するのに
特に適した組換えベクターを提供する。
【0019】これに加えて、本発明は、スクロースに感
受性のマイコバクテリアを選抜する方法を提供する。こ
の方法には、スクロースを添加した培地でマイコバクテ
リアを培養し、これに並行して同じマイコバクテリアを
スクロースを含まない培地で培養し、SacB遺伝子を含む
ゲノムをもつ、スクロース感受性のクローンを選抜する
ことが含まれる。
【0020】最後に、本発明は、ヒト結核菌の病原性の
メカニズムを評価するための方法を提供する。バクテリ
アの病原性のメカニズムを理解するには、効果的な突然
変異誘発のシステムを設計することが極めて重要である
ことがよく知られている。これまでヒト結核菌では、そ
のような効果的な突然変異誘発のシステムが利用されて
いなかった。したがって、本発明は、輸送ベクターを欠
落したマイコバクテリアの挿入変異株のポジティブ選抜
を可能にするシステムを初めて提供する。この方法によ
って、すべての非必須遺伝子に少なくとも1個の挿入が
起こるようにするために理論的に必要となる数を大きく
上回る、106個以上の変異株を含む、ヒト結核菌のトラ
ンスポゾン変異株ライブラリーを作製することが可能と
なる。この方法を用いたマイコバクテリアのトランスポ
ゾンによる突然変異誘発と、本発明による産物とは、栄
養要求性のランダムな組換えマイコバクテリアを設計す
る上で有用である。栄養要求株は、例えば、病原性遺伝
子に変異を起こした変異株を、マクロファージの中で長
期間生存できないクローンとして選抜できるため、新し
いワクチンの候補として有用である。また、これらのマ
イコバクテリア変異株は、残存病原性と予防効果に関す
る付加的な情報を提供するためにも有用である。この有
用な方法によって、初めて、結核菌に対する新しいワク
チンの構築が可能になる。
【0021】トランスポゾン変異株ライブラリーの設計
に用いるための好ましいベクターは、 a)例えば、カナマイシン耐性遺伝子が挿入された挿入
配列IS1906(IS1096:Km)などの、選抜用マーカー遺伝
子を含む挿入配列、 b)条件温度感受性の複製開始点などの、条件によって
機能する複製開始点、および c)SacB遺伝子を持っているベクターである。
【0022】なお、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[1] a)レバンサッカラーゼ酵
素をコードするSacB遺伝子と、目的の塩基配列とを含む
ベクターを提供する段階、b)該ベクターでマイコバクテ
リア菌株を形質転換する段階、c)その結果得られた形質
転換マイコバクテリアのクローンを、スクロースを添加
した培地で増殖させることによって、目的とする塩基配
列が置換された形質転換クローンを選択する段階、およ
びd)組換え菌株を単離する段階、を含むマイコバクテリ
ア菌株ゲノムの塩基配列を置換するための方法であるこ
とを特徴とする。
【0023】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[2]ベクターがマーカー遺伝子
を含み、段階c)を行う前に選抜用分子を添加した培地で
該クローンを増殖させることによってクローンの第一選
抜段階が行われる、前記[1]に記載の方法であることを
特徴とする。
【0024】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[3]マーカー遺伝子が、抗生物
質耐性をコードする遺伝子である、前記[2]に記載の方
法であることを特徴とする。
【0025】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[4]抗生物質耐性をコードする
遺伝子が、ゲンタマイシン耐性をコードする遺伝子であ
る、前記[3]に記載の方法であることを特徴とする。
【0026】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[5]少なくとも一塩基の付加、
置換または欠失によって変更されている目的とする塩基
配列が、形質転換されるマイコバクテリアに内生する遺
伝子である、前記[1]から[4]のいずれかに記載の方法
であることを特徴とする。
【0027】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[6]目的とする塩基配列が、形
質転換されるマイコバクテリアにとって外来のものであ
る、前記[1]から[4]のいずれかに記載の方法であるこ
とを特徴とする。
【0028】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[7]目的とする塩基配列が、融
合ポリペプチドをコードするハイブリッド分子である、
前記[1]から[4]のいずれかに記載の方法であることを
特徴とする。
【0029】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[8]融合ポリペプチドが形質転
換されるマイコバクテリア菌株にとって異種である抗原
決定基を含み、該抗原決定基が本来の内生の抗原決定基
よりも患者の血清によって認識されやすいものである、
前記[7]に記載の方法であることを特徴とする。
【0030】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[9]置換される塩基配列がプラ
スミドまたは染色体の塩基配列である、前記[1]に記載
の方法であることを特徴とする。
【0031】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[10]マイコバクテリア菌株が
結核菌(M. tuberclosis)である、前記[1]に記載の方法
であることを特徴とする。
【0032】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[11]マイコバクテリア菌株が
スメグマ菌(M. smegmatis)である、前記[1]から[8]
のいずれかに記載の方法であることを特徴とする。
【0033】また、本発明に係る組換えマイコバクテリ
アにおいては、[12]前記[1]に記載の方法に従って得
られた組換えマイコバクテリアであることを特徴とす
る。
【0034】また、本発明に係る組換えマイコバクテリ
アにおいては、[13]結核菌(M. tuberclosis)であ
る、前記[12]に記載の組換えマイコバクテリアである
ことを特徴とする。
【0035】また、本発明に係る組換えマイコバクテリ
アにおいては、[14]ウシ結核菌(M. bovis)である、
前記[12]に記載の組換えマイコバクテリアであること
を特徴とする。
【0036】また、本発明に係る組換えマイコバクテリ
ア菌株においては、[15]マイコバクテリアの野生型と
は異なる変更された塩基配列をゲノムにもつ、挿入用ベ
クター由来の配列を全く含まない、組換えマイコバクテ
リア菌株であることを特徴とする。
【0037】また、本発明に係る組換えベクターにおい
ては、[16]レバンサッカラーゼ酵素をコードするSacB
遺伝子と、増殖の遅いマイコバクテリアに由来する目的
の塩基配列断片とを含む組換えベクターであることを特
徴とする。
【0038】また、本発明に係る組換えベクターにおい
ては、[17]pPR24である、前記[16]の組換えベクタ
ーであることを特徴とする。
【0039】また、本発明に係る組換えベクターにおい
ては、[18]pPR25である、前記[16]の組換えベクタ
ーであることを特徴とする。
【0040】また、本発明に係る組換えベクターにおい
ては、[19]pPR2である、前記[16]の組換えベクター
であることを特徴とする。
【0041】また、本発明に係る組換えベクターにおい
ては、[20]pPR26である、前記[16]の組換えベクタ
ーであることを特徴とする。
【0042】また、本発明に係る組換えベクターにおい
ては、[21]pPR34である、前記[16]の組換えベクタ
ーであることを特徴とする。
【0043】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[22] a)レバンサッカラーゼ
酵素をコードするSacB遺伝子と目的とする核酸断片とを
含むベクターを提供する段階、b)該ベクターによって、
増殖の遅いマイコバクテリアを形質転換する段階、c)そ
の結果得られた形質転換クローンをスクロースを添加し
た培地で増殖させることによって、目的とする塩基配列
の断片が挿入された形質転換マイコバクテリアのクロー
ンを選抜する段階、およびd)該組換え菌株を単離する段
階、を含むマイコバクテリア菌株のゲノムに、塩基配列
を挿入するための方法であることを特徴とする。
【0044】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[23]ベクターがマーカー遺伝
子を含み、段階c)を行う前に、選抜用分子を添加した培
地で該組換えクローンを増殖させることによってクロー
ンの第一選抜段階が行われる、前記[22]に記載の方法
であることを特徴とする。
【0045】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[24]マーカー遺伝子が抗生物
質耐性をコードする遺伝子である、前記[23]に記載の
方法であることを特徴とする。
【0046】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[25]抗生物質耐性遺伝子がゲ
ンタマイシン耐性をコードする遺伝子である、前記[2
3]に記載の方法であることを特徴とする。
【0047】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[26]目的とする塩基配列が挿
入配列である、前記[22]から[25]のいずれかに記載
の方法であることを特徴とする。
【0048】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[27]目的とする塩基配列の断
片がトランスポゾンである、前記[26]に記載の方法で
あることを特徴とする。
【0049】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[28]トランスポゾンがTn611
である、前記[27]に記載の方法であることを特徴とす
る。
【0050】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[29]トランスポゾンがIS109
6::Kmである、前記[28]に記載の方法であることを特
徴とする。
【0051】また、本発明に係る組換えベクターにおい
ては、[30]レバンサッカラーゼ酵素をコードするSacB
遺伝子と、前記[22]の方法に従って得られた目的の核
酸断片とを含む組換えベクターであることを特徴とす
る。
【0052】また、本発明に係る組換えベクターにおい
ては、[31]pPR23である、前記[30]の組換えベクタ
ーであることを特徴とする。
【0053】また、本発明に係る組換えベクターにおい
ては、[32]pPR27である、前記[30]の組換えベクタ
ーであることを特徴とする。
【0054】また、本発明に係る組換えマイコバクテリ
ア菌株においては、[33]前記[22]に記載の方法によ
って得られた組換えマイコバクテリア菌株であることを
特徴とする。
【0055】また、本発明に係る組換え菌株において
は、[34]ウシ結核菌(M. bovis)である、前記[33]
に記載の組換え菌株であることを特徴とする。
【0056】また、本発明に係る組換え菌株において
は、[35]結核菌(M. tuberclosis)である、前記[3
3]に記載の組換え菌株であることを特徴とする。
【0057】また、本発明に係る組換え菌株において
は、[36]スメグマ菌(M. smegmatis)である、前記
[33]に記載の組換え菌株であることを特徴とする。
【0058】また、本発明に係る対立遺伝子交換変異株
の選抜方法においては、[37] a)スクロースを添加し
た培養培地でマイコバクテリアを培養する段階、b)並行
して、同じマイコバクテリアをスクロース無添加の培養
培地で培養する段階、c)SacB遺伝子を含むゲノムをも
つ、スクロース感受性のクローンを選抜する段階、を含
むスクロースに感受性のマイコバクテリアを選抜する方
法であることを特徴とする。
【0059】また、本発明に係る組成物においては、
[38]内生的な塩基配列が目的の塩基配列で置換され
た、組換えに用いられたプラスミドの配列を全くもたな
い組換えマイコバクテリアを含む組成物であることを特
徴とする。
【0060】また、本発明に係るマイコバクテリアのト
ランスポゾン突然変異体ライブラリーにおいては、[3
9]前記[30]に記載の組換えベクターを用いて構築さ
れている、マイコバクテリアのトランスポゾン突然変異
体ライブラリーであることを特徴とする。
【0061】
【発明の実施の形態】分泌酵素レバンスクラーゼ(スク
ロース:2,6-β-D-フルクタン6-β-D-フルクトシルトラ
ンスフェラーゼ;EC 2.4.1.10)をコードする、枯草菌
のSacB遺伝子は、マイコバクテリアに10%スクロース上
でのスクロース感受性を付与することが示されていた
(ペリシック(Pelicic)ら、J. Bacteriol. 1996)。
スメグマ菌で5×10-4、ウシ結核菌BCG株で10-6という選
抜効率は、SacBを対立遺伝子交換のポジティブ選抜に用
いた他のバクテリアの選抜効率に匹敵する(ケイ(Ca
i)およびウォーク(Wolk)、1990;シアンシオット(C
ianciotto )ら、1988;カニガ(Kaniga)ら、1991;カ
モン(Kamoun)ら、1992;シェーファー(Schaefer)
ら、1994;シュバイツアー(Shweizer)、1992)。マイ
コバクテリアにおける遺伝子置換のポジティブ選抜シス
テムに、SacBを利用できるかが調べられた。スメグマ菌
のpyrF遺伝子をモデルに選んだが、これは以前、同じ生
物種における相同的組み換え実験に用いられていたため
である。pyrF変異株は、ウラシル要求性株なので、簡単
にスクリーニングすることができる。対立遺伝子交換に
よって得られるpyrF変異株は、スクロースで一段階選抜
または二段階選抜によって、簡単に同定することができ
る。二段階選抜法を用いて、pyrF遺伝子においてマーカ
ーがない、明確な変異を起こしたウラシル要求性変異株
が分離された。これらの結果は、マイコバクテリアにお
ける対立遺伝子交換実験を促進するために、SacBをどの
ように用いればよいかという具体例を示している。
【0062】pyrF対立遺伝子交換の一段階選抜 PJQ200は、マイコバクテリアで活性のあるゲンタマイシ
ン耐性遺伝子と、枯草菌のSacB遺伝子をもつクローニン
グベクターである(クワント(Quandt)およびハイネス
(Hynes)、1993)。カナマイシン耐性を付与するaphカ
セットによって破壊されたpyrF遺伝子(pyrF::Km)をpY
6002から得て(ハッサン(Husson)ら、1990)、PJQ200
に挿入してpPR26を作出した。pPR26を用いて、エレクト
ロポレーションによってスメグマ菌を形質転換した。ル
リア−ベルターニ(Luria-Bertani)培地(L)にウラシ
ルを添加し(LU)、さらに(i)組み換え頻度を知るた
めの古典的なテストとしてカナマイシンを添加したもの
(LUK)、または(ii)スクロース選抜の可能性を評価
するためカナマイシンおよびスクロースを添加したもの
(LUKS)で相同的取り込みによって生じた形質転換体を
選抜した。1μgのベクターをエレクトロポレーションに
より導入すると、LUKプレートではおよそ100個の形質転
換体が得られたが、LUKSプレートでは、およそ5個しか
得られず20倍減少した。同じ条件で、SacB遺伝子をもた
ないpY6002では、LUKプレートとLUKSプレートとで同じ
数のコロニーが出現した(データは示さない)。したが
って、スクロースで選抜を行なったときに形質転換体の
大部分が死滅するのは、pPR26にあるSacBが原因であ
る。
【0063】異なった選抜培地でレプリカを培養して、
形質転換体の表現形質の特徴を調べた。LUK培地で選抜
されたクローンのほとんど(95%)は、カナマイシン耐
性(KmR)、ゲンタマイシン耐性(GmR)、スクロース感
受性(SucS)、ウラシル陽性(Ura-)で、pyrF遺伝子に
1回組み換えを起こしている(表1)。
【0064】
【表1】 pyrFプローブを用いたサザンブロッティングによって、
これらの形質転換体のゲノムDNAを解析した。これらの
クローンは、pyrF遺伝子に挿入されたpPR26の完全なコ
ピーを持っているため、完全なpyrFのコピー(2.5 kb
p)および不活性なpyrFのコピー(3.8 kbp)の両方をも
っている(図1)。残りの5%のクローンは、真性のウ
ラシル要求性株で、KmR、GmR、SucS、Ura-の表現形質を
もっていた。サザンブロットで、2.5 kbpのSphI断片に
相当するpyrF遺伝子の内因性の対立遺伝子が、3.8 kbp
の断片に相当する不活性化コピーによって置換されてい
た(図1)。1.3 kbpの増加は、pyrFを不活性化するた
めに用いられたカナマイシン耐性遺伝子の大きさに相当
する。さらに、ベクターpJQ200をプローブとして用いる
と、栄養要求株ではハイブリダイゼーションシグナルは
検出されず(データは示さない)、ベクターの配列が欠
落したことを示している。
【0065】LUKSプレートで選抜された形質転換体はす
べて(100%)、KmR、GmS、SucR、Ura-の表現形質を示
し、pyrF遺伝子の対立遺伝子交換により作出されたウラ
シル要求性株であった(表1)。このことは、サザンブ
ロット解析において、LUKプレートで得られた栄養要求
性株で見られたパターンと区別できないハイブリダイゼ
ーションパターンが示されたことから確認された。図1
を参照のこと。一回組み換え現象(SacB遺伝子をもつベ
クター全体の取り込み)に相当するクローンがすべて除
かれるため、スクロース上での一段階選抜法の効率は10
0%であった。このように、SacB遺伝子をもつ自殺ベク
ターを相同的組み換え実験に用いると、対立遺伝子交換
によってできる変異体を、スクロース上で培養すること
によって直接選抜することができる。
【0066】二段階選抜方法 次に、二段階法で対立遺伝子交換現象が選抜できるかを
検討した。この方法は、一段階法では、目的とする遺伝
子の遺伝子交換頻度があまりに低すぎて変異体を回収で
きないときに有用であろう。第一段階として、前記の実
験のLUK培地で得られたクローンをランダムに1個選ん
だ。表現形質解析(KmR、GmR、SucS、Ura+)およびサザ
ンブロット解析によって、このクローンがpyrF遺伝子で
一回組み換えを起こしたクローンであることが確認され
た。このクローンを、ウラシルを添加した7H9培地(デ
ィフコ(Difco))で一晩増殖させて(抗生物質による
選抜は行わない)、pyrF遺伝子座で欠失組み換えが起こ
るようにした。この組み換えによって、野生型、または
pyrF遺伝子に挿入が起きた対立遺伝子が除去される。培
養液をLUKSプレートに塗布して(第二段階)、SacB遺伝
子を欠落した細胞を選択した。数千のコロニーが得ら
れ、約200クローンを解析した。表現形質解析(表2)
およびサザンハイブリダイゼーション(図1)によっ
て、3分の2がウラシル要求株であることが明らかになっ
た。残りのコロニー(1/3)はSucRではあったが、ウラ
シル要求株ではなく(KmR、GmR、SucR、Ura+)、SacB遺
伝子に突然変異が起きたクローンに相当すると考えられ
た。
【0067】
【表2】 pJQ200をプローブに用いて、ゲノムDNAのサザンブロッ
ティングを行なった。そして、SacB変異は、点突然変異
(ベクターのサイズは変化しない)であるか、転移要素
の挿入によって起きたと考えられる2 kbpの挿入のいず
れかであった(データは示さない)。トラップされた配
列は、β-ガラクトシダーゼをレポーター遺伝子として
用いた同様の手法を用いて、スメグマ菌で発見されたIS
1096と同一である可能性がある(キリロ(Cirillo)
ら、1991)。これは、大腸菌で用いられたように、スメ
グマ菌でも、SacBをトランスポゾントラップとして用い
ることができることを示している(ゲイ(Gay)ら、198
5)。
【0068】実験を反復した。ただし、第二選抜段階で
はカナマイシンを含まないスクロースプレート(LUS)
を用いた。同じ希釈率でLUKSプレートで選抜したときよ
りも、3倍以上のコロニーが得られた。したがって、LU
Sプレートのクローンの大部分は、カナマイシン感受性
であり、挿入されたpyrF対立遺伝子(pyrF::Km)すなわ
ちKmカセットが欠落してできたものであると考えられ
た。このことは、表現形質解析(KmS、GmS、SucR、Ur
a+)(表2)およびサザンブロット解析(図1)によっ
て確認された。クローンの一部(7%)は、SacB遺伝子
の変異により生じたものであった。しかし、クローンの
かなりの割合がウラシル要求性株で(3個に1個)、遺
伝子交換変異株に相当した。したがって、選抜の第二段
階で抗生物質による選抜を行わないときでも、二段階法
を用いて、スクロース上で遺伝子交換のポジティブ選抜
を行うことができる。 マーカーを持たない変異株の作出 第二段階において抗生物質選抜を行わない二段階選抜を
利用できることから、他のバクテリアについて述べられ
ているような、マーカーなしの変異株を作出できる可能
性が示唆された(ドネンベルク(Donnenberg)ら、199
1;リード(Ried)およびコリマー(Colimer)、1987;
シェーファー(Schafer)ら、1994;スーペネ(Soupen
e)ら、1995)。変異を起こした対立遺伝子pyrF::Kmか
ら、aph遺伝子をBamHIで切り出し(ハッサン(Husson)
ら、1990)、両末端をT4 DNAポリメラーゼで平滑化して
から再ライゲーションさせることにより、フレームシフ
ト突然変異を作出した。このような、マーカーがない変
異を起こしたpyrF遺伝子(pyrF+)のコピーをpJQ200に
挿入してpPR34を作成した(図2)。
【0069】pPR34を用いて、エレクトロポレーション
によってスメグマ菌を形質転換し、一回の相同的組み換
えで生じたクローンを、ゲンタマイシンを添加したLU
(LUG)で選抜した。pJQ200ベクターが、ゲンタマイシ
ン耐性を付与するsacC1遺伝子をもっているからである
(クワント(Quandt)およびとハイネス(Hynes)、199
3)。表現形質解析およびサザンブロット解析によっ
て、選抜されたクローンは、pyrF遺伝子で起きる一回の
交叉によって生じたことが確認された(データを示さな
い)。上述のようにして、選抜の第二段階をLUS培地で
行なった。クローンを、M63最少培地でレプリカ培養し
た。クローンのおよそ3分の1は、最少培地で生育するこ
とができなかったので、ウラシル要求性株であった(表
2)。これは、pPR26で行なった、第二段階で抗生物質
耐性に対して選択圧をかけない、前記の実験結果と一致
している(表2)。
【0070】pyrF遺伝子の中に導入されたフレームシフ
ト突然変異は、BamHI部位を破壊するので、栄養要求性
形質によって同定された遺伝子交換変異体を、BamHIで
切断したDNAを用いてサザンブロット解析すれば、異な
ったハイブリダイゼーションパターンを示すはずであ
る。いくつかのUra+復帰変異株およびUra-変異株をサザ
ンブロッティングによって解析した。予想されたよう
に、復帰クローンは、2.5kbpと5 kbpの、pyrFプローブ
にハイブリダイズする二つの断片を示す。マーカーなし
の栄養要求性変異株は、7.5 kbpのBamHI断片のハイブリ
ッドバンドを一本だけ出現させたため、中間のBamHI部
位が欠落したことが確認された(図3)。このように、
スクロースを用いた二段階選抜法の二段階目で、既知の
pyrF遺伝子に特異的な欠失をもつ、マーカーをもたない
変異株を分離することができるようになる。
【0071】要約すると、最近になって、rpsL遺伝子を
逆選抜マーカーとして用いた二重選抜法が、スメグマ菌
にも適用できるようになった(サンダー(Sander)ら、
1995)。しかし、増殖の遅いマイコバクテリアにも適用
できることは、全く開示されていない。rpsLは、内生の
rpsL遺伝子が突然変異を起こしているストレプトマイシ
ン耐性株に、ストレプトマイシンに対する感受性を付与
する優性マーカーである。rpsLを逆選抜マーカーとして
用いると、いくつかの組み合わせ抗結核化学治療法(WH
O、1991)に共通して含まれる成分である抗生物質スト
レプトマシンに対して耐性を示す遺伝子交換変異株がも
たらされる。
【0072】SacBは、マイコバクテリアにおける遺伝子
交換現象をポジティブ選抜するための有用な逆選抜マー
カーとなりうるような興味深い特徴をいくつか示す。ま
ず、SacBは、致死性を誘導するために、抗生物質耐性株
を必要としない。第二に、SacBは二段階選抜法で用いる
ことができる。この方法は、目的とする遺伝子の、対立
遺伝子交換の頻度が一段階選抜では低すぎる場合に有用
であることが明らかになろう。第三に、二段階選抜法に
おけるスクロースでの選抜効率は充分高く、マーカーの
ない、明確な変異体を生じさせるまれな欠失変異を検出
することができる。抗生物質マーカーは遺伝学研究にと
って有用であるが、新規のワクチンとして利用するため
の菌株を作出するときには、マーカーのない変異株が必
要である。さらに、複数の変異をもつ菌株の構築におい
て、それと同数の抗生物質耐性マーカーを用いる必要が
ない。
【0073】レバンスクラーゼをコードする枯草菌遺伝
子であるSacBの発現は、10%スクロース存在下では、マ
イコバクテリアにとって致死的である。スメグマ菌にお
ける遺伝子置換現象のポジティブ選抜マーカーとしてSa
cBを利用することが、本明細書で説明されている。pyrF
遺伝子の不活性コピー(pyrF::Km)をスメグマ菌のゲノ
ムの中に輸送するために、スクロース逆選抜用自殺プラ
スミドを用いた。内生pyrF対立遺伝子の置換により生じ
たウラシル要求性クローンのみが、カナマイシンおよび
10%スクロースを含むプレート上での一段階選抜で生き
残った。これによって、SacB遺伝子をもつベクターの保
持に対するスクロース選抜が100%有効であり、対立遺
伝子交換変異株のポジティブ選抜が可能であることが示
された。二段階選抜法も利用できる。すなわち、この方
法は、フレームシフト突然変異によって遺伝子が不活性
化された、マーカーのないpyrF変異体を構築するために
用いられた。マーカーのない、部位特異的な突然変異を
作出するためのこの方法は、迅速で簡便であり、マイコ
バクテリアの遺伝学的特徴を解析するための強力な手段
となる。
【0074】トランスポゾン突然変異誘発 バクテリアの病原因子を同定するためにしばしば用いら
れるトランスポゾン突然変異誘発は、突然変異誘発の最
も有力な方法の一つである。この方法においては、転移
によって染色体中の遺伝子をランダムに破壊するために
転移要素が利用される。マイコバクテリアで複製できな
いベクターでトランスポゾンを輸送する方法などの、従
来からの方法を用いたところ、マクアダムス(McAdam
s)ら(1995)によって記述されたIS1096、IS6120誘導
体およびIS6100誘導体(未発表データ)など、いくつか
のマイコバクテリアのトランスポゾンについて、ヒト結
核菌複合グループの一員であるウシ結核菌BCG株におい
て転移が起きることが示された。エレクトロポレーショ
ン効率および転移頻度が非常に低いため、一回の実験に
つき100個以上の変異株は得られなかった(マクアダム
ス(McAdams)ら、1995)。しかし、ヒト結核菌には推
定3,000個の遺伝子が含まれているため、それらの遺伝
子の各々に突然変異を起こすためには、およそ10,000個
の変異株が必要となろう。したがって、自殺輸送ベクタ
ーは、変異体の標本ライブラリーを構築するためには適
当ではない。変異体を作出するための、もう一つの方法
としては、対立遺伝子交換による突然変異誘発がある。
最近、やはり自殺輸送ベクターを用いると、ヒト結核菌
複合グループのバクテリアで低頻度で対立遺伝子交換が
起きることが明らかになり(リーラット(Reyrat)ら、
1995;アザド(Azad)ら、1996)、そして、対立遺伝子
交換突然変異をより簡単に検出できるようにする新しい
プロトコールも開発されている(ノーマン(Norman)
ら、1995;バラスブラマニアン(Balasubramanian)
ら、1996;ペリシック(Pelicic)ら、FEMS Microbiol.
Lett. 1996)。
【0075】しかし、トランスポゾン突然変異誘発に関
しては、形質転換効率が低く、不規則な組み換えの頻度
が高いために、非常に稀にしか起こらない対立遺伝子交
換を検出することは困難である。したがって、利用可能
な技術を用いて対立遺伝子交換を行うことは、まだ多く
の遺伝子については無理である。明らかに、いずれの突
然変異誘発システムについても、より効率的な方法を設
計する必要がある。
【0076】一定の条件の下ではベクターが効率よく脱
落する複製輸送ベクターを用いることによって、当面す
る問題を回避できる。導入された輸送ベクターを複製さ
せることにより、形質転換効率が低いために生じる問題
は回避される。そして、逆選抜条件下で、ベクターをな
お保持しているクローンが除去され、非常に稀な遺伝学
的現象を検出できるようになる。このようなシステムが
一つ開発されている。すなわち、スメグマ菌で39℃で効
率的に脱落する条件複製ベクターを用いて、マイコバク
テリアの挿入突然変異体ライブラリーが、この増殖の速
いモデル菌株で初めて構築された(ギルホット(Guilho
t)ら、1994)。しかし、ヒト結核菌複合グループの増
殖の遅いマイコバクテリアにおいて用いられている温度
感受性ベクターは、温度感受性が弱いため、これらの種
のトランスポゾン突然変異または対立遺伝子交換突然変
異に用いることはできない(未発表データ)。
【0077】このように、本発明の一つの態様は、SacB
遺伝子の逆選抜特性と、マイコバクテリアの温度感受性
複製開始点とを利用するシステムを提供し、挿入変異株
のポジティブ選抜を可能にする。IS1096の誘導体をヒト
結核菌の染色体の中に輸送するために、初めて、この基
本的な方法が用いられ(シリル(Cirill)ら、1991)、
この重要な病原菌で初めての転移変異体ライブラリーが
構築された。このライブラリーは解析され、代表的であ
ると考えられている。
【0078】マイコバクテリア、特に、病原性マイコバ
クテリアのトランスポゾン変異株ライブラリーが、本発
明にしたがって構築されれば、接種された宿主の中で複
製することができるか否かに基づいて、病原性の弱い組
換えクローンが選抜される。
【0079】トランスポゾン変異株ライブラリーは、多
数の組換えクローンを含んでいるため(104から107cfu
の範囲)、宿主のマクロファージでの増殖指数が低い、
目的のクローンを選抜するには、大変な労力を要する。
これは、複製、免疫原性および/または防御的特性を確
かめるために、最低5頭の動物に特定のクローンを感染
させる必要があるためである。したがって、トランスポ
ゾンに挿入された、各クローンを正確に同定できるよう
にするための、オリゴヌクレオチド標識を用いることが
好ましい。オリゴヌクレオチド標識は、既知の配列の二
本鎖ポリヌクレオチドであり、20塩基から40塩基の長さ
をもつ。そして、トランスポゾン変異株ライブラリーを
構築するため、目的とするトランスポゾンの中に、この
標識をライゲーションする。この方法によって、100以
上の標識組換えクローンを、同時に動物(例えば、Balb
/cマウス)に投与して、宿主の中で、望ましい増殖特性
をもつクローンを選択することが可能になる。それか
ら、選択されたクローンは、標識配列をプローブとして
用いることにより、正確に同定される。この技術は、本
明細書に参照として包含される、「ヘンセル(Hensel)
ら、1995」および「マハン(Mahan)ら、1993」によっ
て充分に説明されている。
【0080】本発明のベクターを用いた転移によって、
目的の遺伝子の安定的なコピーをマイコバクテリア菌株
に導入することもできる。目的の遺伝子は、好ましく
は、抗原蛋白質をコードする遺伝子であり、それによっ
て、例えば、BCGワクチン株の保護抗原のような抗原の
クローニングが可能になる。
【0081】本発明に係る組換えベクターを用いた、マ
イコバクテリア菌株におけるトランスポゾン挿入(挿入
配列とも云われる)のもう一つの応用法は、本来は病原
性のマイコバクテリア病原性菌株の病原性に関わる蛋白
質をコードする遺伝子をランダムに不活性化することで
ある。遺伝子が同定されれば、該蛋白質を不活性化する
か、同定された遺伝子の発現を不活性化する性質をも
つ、治療薬として有用な化合物をスクリーニングするこ
とができる。
【0082】
【実施例】本発明の典型的な態様について、以下の実施
例でさらに詳細に説明する。
【0083】対立遺伝子交換の実験手順 バクテリア株および培地 本実験で用いたバクテリア株およびプラスミドを表3に
示す。大腸菌は、通常の方法に従い、液体または固体の
ルリア−ベルターニ(L)培地で増殖させ、カナマイシ
ンおよびゲンタマイシンは20μg/mlで用いた。スメグマ
菌は、0.2%グリセロールおよび0.05%トゥイーン(Twe
en)を添加した液体ミドルブルック(Middlebrook)7H9
培地(ディフコ(Difco)社)か、固体のL培地で増殖
させた。必要に応じて、抗生物質を以下の濃度で加え
た。カナマイシン20μg/ml、ゲンタマイシン5μg/ml。
【0084】
【表3】 LU培地(0.2 Mウラシル入りL培地)にカナマイシンを
添加した培地(LUK)またはゲンタマイシンを添加した
培地(LUG)で形質転換体を選抜した。示された点で10
%スクロースを加えた(LUSプレートまたはLUKSプレー
ト)。炭素源としてグルコースのみを含むM63最少培地
での増殖不能性によって、ウラシル要求株を同定した。
【0085】DNA操作 制限酵素、T4 DNAポリメラーゼ、およびT4 DNAリガーゼ
は、それぞれベーリンガーマンハイム社、アマシャム
社、およびギブコBRL社から購入した。酵素はすべて、
製造業者が推奨するところに従って使用した。プラスミ
ドDNAは、キアゲン調製法(キアゲン(Qiagen)社)に
よって単離した。クローニング処理および放射性標識に
用いるDNA断片は、ジーンクリーン(Geneclean)IIキッ
ト(バイオ101(BIO 101)社)を用いてゲル精製した。
【0086】バクテリアの電気的形質転換 サンダー(Sander)ら(1995)の方法を少し変更した方
法によって、電気的な形質転換能のあるバクテリアを調
製した。バクテリアを、400mlの、L培地(大腸菌)ま
たは7H9培地(スメグマ菌)で、OD600が0.4になるまで
増殖させた。10%グリセロールで3回洗滌した後、10%
グリセロール1 mlに懸濁した。調製直後のmc2155細胞の
等量液(100μl)を1μgのベクターDNAを用いて、0.2 c
mのキュベット中、単一パルス(2.5kV、25μF、200オー
ム)によってエレクトロポレーションした。3〜4日イ
ンキュベートした後、単一コロニーを、96穴微量滴定用
プレートに等量分注した7H9培地に懸濁した。48個のク
ローンを、レプリカ・プレーター(シグマ(Sigma)
社)を用いて、異なった選抜培地で同時にレプリカ作製
した。
【0087】ゲノムDNAの単離およびサザン解析 マイコバクテリアのゲノムDNAは、以下のようにして単
離した。遠心分離(15分、5000×g)によって、5 mlの
培養液から細胞を沈澱させた。250μlの溶液1(25%ス
クロース、50 mM Tris-HCl pH 8.0、50 mM EDTA、500μ
g/mlリゾチーム)で沈澱物を再懸濁し、37℃で一晩イン
キュベートした。そして、250 mlの溶液II(100 mM Tri
s-HCl pH 8.0、1% SDS、400μg/ml プロテイナーゼ
K)を加えてから、サンプルを55℃で4時間インキュベ
ートした。次に、フェノール−クロロフォルムでDNAを
2回抽出し、エタノール沈澱により濃縮した。
【0088】過剰量の制限酵素(30 U)で、一晩、1μg
のゲノムDNAを制限酵素消化し、0.7%アガロースゲルを
用いた電気泳動により分離した。標準的な方法(サムブ
ルック(Sambrook)ら、1989)により、ハイボンドN+ナ
イロン(Hybond-N+nylon)メンブレン(アマシャム(Am
ersham)社)を用いて、20×SSPE(150 mM NaCl、8.8mM
NaH2PO4、1mM EDTA, pH 7.4)中でサザンブロッティン
グを行なった。プローブを標識するために、メガプライ
ム(Megaprime)・ランダムプライム標識キット、およ
び5μmCiの[α-32P]-dCTPを用いた。取り込まれなかっ
た標識は、ニックカラム(Nick Column)(ファルマシ
ア(Pharmacia)社)で濾過して除去した。プレハイブ
リダイゼーションおよびハイブリダイゼーションを、製
造業者の推奨するところに従い、RHバッファー(アマシ
ャム(Amersham)社)を用いて65℃で行なった。以下の
ようにして、65℃で15分間の連続洗滌を行なった。2×S
SPE、0.1% SDSによる洗滌を2回、1×SSPE、0.1% SDS
による洗滌を1回、および0.7×SSPE、0.1% SDSによる
洗滌を2回。ブロットは、X-Omat AR X線フィルム(コ
ダック(Kodak)社)に、-80℃で感光させた。
【0089】ベクター構築 pY6002(ハッサン(Husson)ら、1990)から切り出した
pyrF::Km遺伝子を含む、平滑末端化したXbaI-MluI断片
(5.9 kbp)を、SmaI切断したpJQ200ベクター(クアン
ト(Quandt)およびとハイネス(Hynes)、1993)に挿
入してpPR26を構築した。pyrF遺伝子を不活性化するた
めに用いられたaphカセットを、BamHI消化によってpY60
02から切り出し、T4 DNAポリメラーゼによって平滑化し
てから再ライゲーションすることによって、pyrF遺伝子
にフレームシフト突然変異(pyrF+)を導入してpPR33を
作出した。突然変異を起こしたコピーpyrF+をもつ平滑
末端化XbaI-MluI断片(4.6 kbp)を、pJQ200のSmaI部位
にクローニングしてpPR34を構築した。
【0090】pPR33を構築する過程で、再ライゲーショ
ンする前に平滑化の段階を省くことによって、pY6001
(ハッサン(Husson)ら、1990)を再構築した。pyrF遺
伝子に相当する、pY6001の2.5 kbpのSphI断片を、サザ
ンブロット実験でプローブとして用いた。
【0091】過去10年間にわたって、マイコバクテリア
の遺伝学的特徴を調べる研究は、効率的な遺伝的システ
ムの開発により大いに促進され、病原性に関与する複数
の遺伝子の同定が行われた(ジェイコブズ(Jacobs)、
1992)。しかしながら、対立遺伝子交換を行うことが非
常に困難なために、結核の生理病理学的理解を深めるの
に役立つ、明確な変異を起こした変異体を構築すること
は、未だ困難となっている(ジェイコブズ(Jacobs)
ら、1991)。
【0092】二重交叉が稀にしか起こらず、不規則な組
み換えが高頻度で起きるため、遺伝子交換変異体を分離
することは、可能であるとしても、非常に面倒である。
このような困難に拘わらず、従来からの突然変異誘発プ
ロトコール(ルブキン(Ruvkin)およびアウスユーベル
(Ausubel)、1981)、すなわち、抗生物質耐性マーカ
ーの挿入によってインビトロで不活性化した遺伝子を、
自殺ベクターに載せてバクテリアに輸送するというプロ
トコールを用いることによって、増殖が速いスメグマ菌
における対立遺伝子交換は成功している(ハッサン(Hu
sson)ら、1990)。対立遺伝子交換変異体の割合は多様
であるが、一般的には低く、形質転換体の10%より低い
(ハッサン(Husson)ら、1990)。一回組み換えに対す
る二重交叉の比率は、増殖の遅いマイコバクテリアにお
いては、さらに一層不都合なものである。このことが、
結核菌複合グループ由来のマイコバクテリアにおいて、
対立遺伝子交換を行なう最初の試みが不成功だった原因
の一部である(アルドビーニ(Aldovini)ら、1993;カ
ルパナ(Kalpana)ら、1991)。
【0093】それにも拘わらず、ウレアーゼのサブユニ
ットをコードするureC遺伝子を用いて、ウシ結核菌BCG
株で、対立遺伝子交換を行なうことが可能なことが示さ
れていた(リーラット(Reyrat)ら、1995)。リーラッ
トらは、簡単な比色試験によってウレアーゼの活性を測
定できることを利用したため、これによって時間がかか
る形質転換体のスクリーニングの段階が容易になった
(リーラットら、1995)。ureクローンは、形質転換体
の僅か4%しか出現しなかった。これと同時期に、別の
2グループが、増殖の遅いマイコバクテリアにおける、
低頻度の対立遺伝子交換を同定することに成功した(マ
ークランド(Marklund)ら、1995;ノーマン (Norma
n)ら、1995)。
【0094】二回組み換え体全体の割合は、このように
一般的にスメグマ菌よりも低く、本質的には選抜される
遺伝子に依存する。さらに、別の遺伝子、leuD(バラス
ブラマニアン(Balasubramanian)ら、1996)およびpur
C(ジャクソン(Jackson)、私信)における相同的組み
換えの頻度は非常に低いため、古典的な遺伝子交換実験
においては、二重組換え体を検出することができない
(ルブカン(Ruvkun)およびアウスユーベル(Ausube
l)、1981)。
【0095】スクロース存在下でのSacBの発現は、マイ
コバクテリアにとって致死的である。増殖の速いスメグ
マ菌で示されているように、SacBは、遺伝子置換をポジ
ティブ選抜するための逆選抜マーカーとして有用であ
る。同じ方法に従って、マイコバクテリアのウレアーゼ
をコードするureC遺伝子を不活性化したコピー(ureC::
Km)をウシ結核菌BCG株のゲノムに輸送するために、ス
クロースの逆選抜ベクターを用いた。2%スクロース上
で二段階選抜法を行うと、遺伝子交換変異体のポジティ
ブ選抜が可能となる。したがって、この技術は、病原性
マイコバクテリアを遺伝学的に解析するための非常に有
用な手段である。
【0096】ureCの一回組換え体の選抜 スメグマ菌の実験に関して、本発明者らが用いたスクロ
ース逆選抜自殺ベクターは、pJQ200(クワント(Quand
t)およびハイネス(Hynes)、1993)であった。ureC::
Km突然変異遺伝子を、pJΔ64K(リーラット(Reyrat)
ら、1995)から、SacI-KpnI断片で切り出し、平滑末端
化してから、SmaI切断したpJQ200に挿入して、挿入配列
の方向性に従って、pPR24またはpPR25を作出した。その
後の実験を行うためにpPR24をランダムに選び、エレク
トロポレーションによって、ウシ結核菌BCG株を形質転
換した。しかし、pPR25を用いても、結果は同じであっ
た(データは示さない)。
【0097】pPR24の染色体への相同組み換え、または
不規則組み換えによってできる形質転換体を、カナマイ
シンを添加した7H10培地上で選抜した。閉環状(cc)の
pPR24ベクター1μgをエレクトロポレーションしたとこ
ろ、約200個の形質転換体が得られた。したがって、形
質転換頻度は、pJΔ64K(リーラット(Reyrat)ら、199
5)を用いたときとほぼ同じであった。ウレア/インド
ール比色試験(メイヤー(Meyer)およびデイビッド(D
avid)、1979)を用いて、表現形質から、形質転換体の
コロニーの特徴を調べ、赤色をUre+と判定し、また黄色
をUre-とみなした。形質転換体の4%だけがUre-であっ
たが、これらは、対立遺伝子交換によってできたもので
ある(表4)。
【0098】
【表4】 結果は、最初の対立遺伝子交換実験において、リーラッ
ト(Reyrat)らによって記載されている結果と完全に一
致した(リーラット(Reyrat)ら、1995)。
【0099】スメグマ菌に関して上述されている(ペリ
シック(Pelicic)ら、Mol. Microbiol.1996)ように、
スクロース上での二段階選抜のためには、標的となる遺
伝子における一回組み換え現象に相当するクローンを選
抜する必要がある。無作為に選択した5個のUre+形質転
換体を、飽和状態になるまで7H9で増殖させた。ゲノムD
NAを抽出し、ベクターpPR24をプローブに用いたサザン
ブロッティングによって解析した。驚くべきことに、す
べてのクローンは、一回相同組み換え現象に相当し、ur
eC遺伝子に挿入されたpPR24の完全なコピーを持ってい
た(図4)。これは、解析クローンの大部分、最大80%
が、相同組み換えではなく不規則な組み換えにより生じ
た、別の遺伝子で行われた以前の対立遺伝子交換試験の
結果とは対照的であった(アルドビーニ(Aldovini)
ら、1993;カルパナ(Kalpana)ら、1991)。この違い
は、おそらく、用いられた遺伝子の長さおよび構造が原
因であろう。
【0100】対立遺伝子交換変異体の二段階ポジティブ
選抜 抗生物質を含まない7H9で培養すると、上記の一回組換
え体は、Kmr、Sucrとなるような変化を受ける可能性が
ある。すなわち、(i)二回目の交叉によって、細胞がS
acB遺伝子を失う可能性、(ii)SacBが、点突然変異、
欠失、または挿入によって不活性化される可能性である
(図5)。二回目の相同的組み換えの頻度は非常に低
く、スメグマ菌のpyrF遺伝子で、10-5と推定された(ハ
ッサン(Husson)ら、1990)。したがって、対立遺伝子
交換変異体の検出は、明確で、スクリーニングが容易な
形質をもつ遺伝子については可能であるが、サザンブロ
ット実験によってスクリーニングする場合、殆どの遺伝
子について事実上不可能である。
【0101】一回組み換えを起こしたクローンの培養液
を、2%スクロースを添加した7H10-Km培地に、1/50の希
釈率で展開した。10%スクロースの存在下では、形質転
換していないウシ結核菌BCG株の増殖が顕著に遅くなる
(ペリシック(Pelicic)ら、J. Bacteriol. 1996)た
め、本発明者らによる以前の実験(ペリシック(Pelici
c)ら、J. Bacteriol.1996;ペリシック(Pelicic)
ら、Mol. Microbiol. 1996)とは対照的に、スクロース
の濃度を2%に低下させた。2%スクロースならば、選抜
効率は同じままで、増殖速度にも影響しなかった(ペリ
シック(Pelicic)ら、J. Bacteriol. 1996)。1 mlの
培養液から500個のSucr、Kmrのコロニーを得、50クロー
ンを形質試験により解析した。Ure-変異体の割合は、従
来の実験におけるよりもずっと高く、6倍の増加を示し
た(図4)。調査したコロニーの4個に約1個(26%)
が、対立遺伝子交換変異体に相当し、これはサザンブロ
ットでも証明された(図4)。残りのクローン(74%)
はSucrであったが、Ure-であり、SacB遺伝子に突然変異
を起こしたクローンに相当すると考えられる。サザンブ
ロッティング実験でpPR24をプローブにして、これらの
ゲノムDNAを調べたところ、ベクターの大きさに明らか
な変化はないことが分かったが、このことは、SacB突然
変異が点突然変異であるか、微小な欠失変異であること
を示している(図4)。pyrF遺伝子に関し、スメグマ菌
で観察された結果とは異なり、IS要素の挿入に相当する
変異体は観察されなかった。
【0102】要約すると、SacBを逆選抜マーカーとして
用いれば、対立遺伝子交換変異体の二段階ポジティブ選
抜が可能であり、増殖の遅いウシ結核菌BCG株では非常
に効果的であることが明らかになった。同じプロトコー
ルを用いて、スメグマ菌で得られた結果について言え
ば、スクロース上で選抜されたクローンは、高い割合で
対立遺伝子交換変異体であった。従来からの突然変異誘
発プロトコールを用いて、対立遺伝子交換を行うことが
可能であれば、スクロース上での一段階選抜によって、
変異体を分離するためにテストすべきクローンの数を大
幅に減らすことができよう。
【0103】このように、結核菌複合グループのバクテ
リアにおいて、明確な変異を起こした変異体を、今まで
よりずっと楽に作出できる一般的なプロトコールが設計
され、それによって、この重要な病原菌の遺伝学的特徴
をさらに明らかにする道が開かれるはずである。さらに
また、フレームシフト突然変異によって、遺伝子の中の
抗生物質耐性カセットを置換し、抗生物質を含まないス
クロース培地上で第二段階の選抜を行えば、このプロト
コールにより、マーカーを持たない変異体の作出が可能
となる。
【0104】トランスポゾン突然変異誘発に関する実験
手順 バクテリア菌株および培養条件 本実験において、クローニング実験に用いられた大腸菌
DH5αは、通常の方法により、液体または固体のルリア
−ベルターニ(L)培地で増殖させた。スメグマ菌mc215
5(スナッパー(Snapper)ら、(1990))および結核菌
103(結核患者から分離された)およびウシ結核菌BCGパ
スツール株は、0.2%グリセロールおよび0.05%トゥイ
ーン(Tween)を添加した液体ミドルブルック7H9培地
(ディフコ(Difco)社)、または固体のミドルブルッ
ク7H10培地(ディフコ(Difco)社)で増殖させた。必
要に応じて、抗生物質を以下の濃度で加えた。マイコバ
クテリアには、カナマイシン20μg/ml、ゲンタンチシン
(gentanticin)5μg/ml、大腸菌には、ゲンタマイシン
20μg/ml。示されたところでは、スメグマ菌、結核菌複
合グループのバクテリアについて、それぞれ10%または
2%のスクロースを加えた(ペリシック(Pelicic)ら、
FEBS Microbiol. Lett. 1996;ペリシック(Pelicic)
ら、J. Bacteriol. 1996)。
【0105】電気的形質転換 上述した方法を少し変更した方法によって、電気的な形
質転換能のある細胞を調製した。結核菌およびウシ結核
菌BCG株を、200 mlの7H9培地で、OD600が0.4になるまで
増殖させた。細胞を10%グリセロールで3回洗滌した
後、10%グリセロール1 mlに懸濁した。調製直後のコン
ピテント細胞の等量液(100μl)を1μgのベクターDNA
を用いて、0.2 cmのキュベット(Biorad)中、単一パル
ス(2.5 kV、25pF、200オーム)によってエレクトロポ
レーションした。次に、5 mlの新しい培地を加えて、プ
レートで培養する前に、32℃で24時間インキュベート
し、抗生物質耐性を発現させた。32℃で7〜8週間インキ
ュベートした後、形質転換体の個数を数えた。
【0106】DNA抽出およびサザン解析 マイコバクテリアのゲノムDNAは、上述の方法を少し変
更して単離した。10 mlの飽和培養液に100μlのD-シク
ロセリン(1 mg/ml)を加えてから、37℃で一晩インキ
ュベートした。遠心分離(15分、5000×g)によって細
胞を沈澱させた。250μlの溶液I(25%スクロース、50
mM Tris-HCl pH 8.0、50 mM EDTA、500μg/mlリゾチー
ム)で沈澱物を再懸濁し、37℃で一晩インキュベートし
た。そして、250 mlの溶液II(100mM Tris-HCl pH 8.
0、1% SDS、400μg/ml プロテイナーゼK)を加えてか
ら、サンプルを55℃で4時間インキュベートした。次
に、フェノール−クロロフォルムで溶解物から2回抽出
し、エタノール沈澱によりDNAを濃縮した。過剰量の制
限酵素(30 U)で、一晩、1μgのゲノムDNAを制限酵素
消化し、0.7%アガロースゲルを用いた電気泳動により
分離した。ハイボンドN+ナイロン(Hybond-N+nylon)メ
ンブレン(アマシャム(Amersham)社)を用いて、20×
SSPE(150 mM NaCl、8.8 mM NaH2PO4、1 mM EDTA, pH
7.4)中でサザンブロッティングを行なった。プローブ
を標識するために、メガプライム(Megaprime)・ラン
ダムプライム標識キット、および5μmCiの[α-32P]-dCT
Pを用いた。取り込まれなかった標識は、ニックカラム
(Nick Column)(ファルマシア(Pharmacia)社)で濾
過して除去した。プレハイブリダイゼーションおよびハ
イブリダイゼーションを、製造業者の推奨するところに
従い、RHバッファー(アマシャム(Amersham)社)を用
いて65℃で行なった。以下のようにして、65℃で15分間
の連続洗滌を行なった。2×SSPE、0.1% SDSによる洗滌
を2回、1×SSPE、0.1% SDSによる洗滌を1回、および
0.7×SSPE、0.1% SDSによる洗滌を2回。ブロットは、
BioMax MS X線フィルム(コダック(Kodak)社)に、-8
0℃で4時間感光させた。
【0107】ゲノムライブラリーの構築 トランスポゾンを切断しないKpnIおよびBamHIで、トラ
ンスポゾン変異体由来の染色体DNAを制限酵素消化し、
キアクイックヌクレオチド分離キット(QIAquick Nucle
otide Removal Kit)(キアゲン(QIAGEN)社)を用い
て精製した。KpnIまたはBamHIで制限酵素消化され、脱
リン酸化された、「すぐクローニングに使える(ready
to clone)」pUC18ベクター(アプライジーン(Applige
ne)社)を用いてプラスミドライブラリーを構築した。
トランスポゾンおよびその隣接配列を取り込んだクロー
ンに相当する形質転換体をL-カナマイシンで選抜した。
【0108】DNA配列決定 DNA解析システム373型ストレッチ(アプライド・バイオ
システム(Applied Biosystem)社)、およびタックダ
イターミネーター・サイクルシークエンシングキット
(Taq Dye Terminator Cycle Sequencing Kit)(アプ
ライド・バイオシステム(Applied Biosystem)社)を
用いて、二本鎖プラスミドDNAの配列を決定した。IS109
6の配列に基づく外向きプライマー(キリロ(Cirillo)
ら、1991)、α 5'-CTTCCGCTTCTTCTCCGG-3'、およびβ
5'-CCATCATCGGAAGACCTC-3'を用いた。
【0109】ベクター構築 5 kbのBamHI(全pAL5000)の断片、または3.7 kbのEcoR
V+KpnI(最小複製開始点)の断片にあるpB4D*(ギルホ
ット(Guilhot)ら、1992)から、ts-SacB輸送ベクター
に存在する、pAL5000の温度感受性の複製開始点を抽出
した。この断片を平滑末端化して、SacB遺伝子をもつpJ
Q200(クワント(Quandt)およびハイネス(Hynes)、1
993)をBamHIで切断したものにクローニングした。3.7
kbの「短い方」の挿入配列については(pPR23-1およびp
PR23-2)、両方向に入ったクローンが得られ、5 kbの断
片については(pPR27)、一方向のものしか得られなか
った。
【0110】pYUB285およびpYUB297(マクアダム(McAd
am)ら、1995)から切り出した、IS1096::Km誘導体を含
むHindIII(4 kb)断片を平滑末端化したものを、BamHI
切断して平滑化したpPR23ベクターまたはpPR27ベクター
に挿入して、突然変異誘発ベクターを構築した。輸送ベ
クター(pPR23またはpPR27)と、用いられたトランスポ
ゾン(Tn5367またはTn5368)、また、トランスポゾンの
方向性によって、5種の異なった突然変異誘発ベクタ
ー、pPR28からpPR32が得られた。
【0111】パリの国立微生物培養物保管機関(Nation
al Collection of Cultures of Microorganisms)(C.
N.C.M.)に、ブダペスト条約の規定に従って、IS1096::
Kmは寄託されており、参照番号 の指定を受けてい
る。
【0112】挿入変異体の選抜に関する新規な方法の設
計および検定 上記のように、本発明者らは、枯草菌(B. subtilis)
由来のSacB遺伝子の発現が、スクロース存在下ではマイ
コバクテリアにとって致死的であることを明らかにし
た。したがって、SacBは逆選抜マーカーとして用いるこ
とができる。このため、本発明者らは、SacBを挿入変異
体のポジティブ選抜に用いることができるか否かを検定
した。SacB遺伝子の逆選抜的な特性と、マイコバクテリ
アの温度感受性の複製開始点とを組み合わせた、一連の
条件複製ベクターが構築された(図13)。これらのts-S
acBベクターを、エレクトロポレーションによって、ス
メグマ菌のmc2155に導入した(スナッパー(Snapper)
ら、(1990))。7H10-ゲンタマイシン培地上32℃で選
抜した、スメグマ菌の形質転換体を、飽和状態になるま
で7H9培地中37℃で増殖させた。次に、これらの培養液
の100μlのサンプルを、10%スクロース添加または無添
加の7H10-ゲンタマイシンプレート上で異なった温度下
で培養してから、コロニー形成ユニット(CFU)を計測
することにより、異なった逆選抜の効率を評価した。複
製を抑制する温度である39℃で、スクロースを添加せず
にサンプルを培養することによって、pAL5000の温度感
受性複製開始点の安定性を測定した。10%スクロース存
在下、32℃でサンプルを培養して、SacB逆選抜の効率を
評価した。スクロースプレート上39℃で培養して、全体
的な逆選抜を評定した(表5)。スクロースおよび増殖
温度という逆選択圧はそれぞれ、別個では低く、限られ
た数のベクターしか振り落とすことができない。しか
し、SacBと温度感受性複製開始点の両方について逆選抜
を形質転換体に対して行うと、逆選抜の効率は非常に高
くなった(表5)。
【0113】
【表5】 この結果は、結核菌の染色体にトランスポゾン、または
変異遺伝子を輸送して、それぞれ挿入変異体ライブラリ
ー、または遺伝子交換変異体を作製するためにts-SacB
ベクターを用いることができることを示唆している。こ
の選抜プロトコールは、その後に行われるすべての突然
変異誘発実験に用いることができる。形質転換体を許容
条件下で増殖させるため、形質転換効率が低いことから
生じる問題は回避される。この複製過程で、対立遺伝子
交換または転移によってできた突然変異体は、対立遺伝
子交換または転移の頻度が低いことから生じる問題を克
服しながら蓄積される。最後に、なおもベクターを保持
しているクローンの大部分は除去され、生き残ったクロ
ーンにおける変異体の割合が非常に高くなる。
【0114】結核菌およびウシ結核菌BCG株の転移変異
体ライブラリーの構築 結核菌複合グループのバクテリアにおいて、トランスポ
ゾン突然変異について、ts-SacBベクターをまず検定し
た。考案された選抜プロトコールにおいては、逆選抜用
SacB遺伝子を含む輸送ベクターは、転移によって脱落す
るため、転移変異体をポジティブ選抜することができ
る。換言すれば、用いるべきトランスポゾンは、保存的
な様式で転移するものであるべきである(マクアダム
(McAdam)ら、1994)。本発明者らのシステムに合っ
た、マイコバクテリアの転移因子で既知のものはIS1096
(キリロ(Cirillo)ら、1991)のみであった。これ
は、結核菌複合グループのマイコバクテリアの染色体に
は見られず、その転移はランダムで、大抵は保存的であ
る。さらに、カナマイシン耐性カセットを転移因子の中
に挿入した、IS1096の誘導体(IS1096::Km)は、ウシ結
核菌BCG株で転移することができる(マクアダム(McAda
m)ら、1995)。二つの異なるIS1096誘導体、Tn5367お
よびTn5368を、pPR23とpPR27という輸送ベクターにクロ
ーニングし、一連の突然変異誘発ベクターを作出し、エ
レクトロポレーションによって結核菌103とウシ結核菌B
CGパスツール株に導入した。上述した選抜方法を用い
た。IS1096::Kmが染色体に転移した挿入変異体と思われ
るものを、7H10-カナマイシン+2%スクロース上で39℃
で選択した。最初の接種源である107個のバクテリアを
培養すると、結核菌とワクチン株それぞれについて、10
4個と105個のコロニーを得た。結核菌(pPR32)の形質
転換体を任意に5個選んで、pPR32をプローブに用い
て、サザンブロット解析した。BamHIを用いると、大き
さの異なる2つのハイブリッド断片が現れることが予想
された(図14)。XhoIは、IS1096::Kmを2回切断するた
め、転移変異体は3本のハイブリッド断片を出現させる
ものと予想された(図14)。つまり、転移因子の内側に
ある、長さが不変の断片が1本と、転移がランダムであ
れば、変異体の間で長さが異なる2本の断片が出現する
はずである。検定したクローンすべてに関するハイブリ
ダイゼーションのパターンは、結核菌の染色体上へのTn
5368の転移に合致した(図14)。これは、別の制限酵素
を用いても確認された(データは示さない)。輸送ベク
ター、すなわち、挿入トランスポゾンをもたないpPR27
をプローブに用いて、同じブロットを解析した。ハイブ
リッドシグナルは検出されなかった(データは示さな
い)ことから、輸送ベクターは、転移する間に脱落した
ことが確認された。結核菌とウシ結核菌-BCG株の両方に
ついて、独立の転移実験を少なくとも5回反復し、すべ
ての突然変異誘発ベクターについて、同様のサザンハイ
ブリダイゼーションの結果を得た。200個以上のクロー
ンを、サザンブロット解析で調べたところ、クローンの
95%以上が、染色体にIS1096::Kmが転移してできたもの
であった。しかし、いくつかの実験において、複数のク
ローンが同一のハイブリダイゼーションパターンを示し
たが、これは、それらが姉妹細胞であることを示してい
る。突然変異誘発プロトコールには、変異体によっては
複製することが可能な段階がふくまれているため、これ
は予想外のことではなかった。にもかかわらず、異なっ
たクローンのハイブリダイゼーションパターンは、殆ど
が独自のものであったことから、以前説明されたように
(マクアダム(McAdam)ら、1995)、IS1096転移はラン
ダムに起きることが示された。
【0115】転移が任意であることを確認するために、
いくつかの挿入部位をクローニングして、配列決定し
た。トランスポゾンの両端にある直列反復配列(DR)が
見いだされたため、これらのクローンが実際、転移によ
ってできたものであることが確認された(図15)。2つ
のクローン、myc3およびmyc6は、恐らく複製の誤りから
生じた不完全なDRを示した。さらに、結核菌の変異株と
ウシ結核菌-BCG株の変異株とでは、DRの長さが異なって
おり、それぞれ、7 bpおよび8 bpであった。これは、本
発明者らの知る限り、このような現象、すなわち、DRの
長さが転移が起きる菌株に特異的であるという現象を初
めて報告したものである。この菌株特異性に関するメカ
ニズムは、まだ分かっていない。重要なのは、AおよびT
が多い標的に対する選択性があるにも拘わらず、解析さ
れた挿入部位はすべて異なっていたため、IS1096は部位
特異性を示さないと考えられることである(図15)。
【0116】これらの結果によって、結核菌複合グルー
プのバクテリアの染色体にトランスポゾンを輸送するた
めに、ts-SacBベクターが、実際に適当であることが確
認された。さらに、この方法は信頼性があり、再現性も
十分にあるため、106個以上の異なった転移突然変異体
を含む挿入変異体ライブラリーの構築が可能になる。
【0117】要約すると、本発明は、対立遺伝子交換ま
たは転移のいずれかによって、簡単に結核菌に突然変異
を誘発するために用いることのできる非常に単純な単一
のシステムを、初めて提供する。結核菌複合グループの
2種のバクテリア、すなわち、結核菌およびウシ結核菌
-BCG株の染色体の中に、マイコバクテリアのトランスポ
ゾンを輸送するために、ts-SacBベクターを用いること
に成功した。選抜されたクローンの大多数(95%以上)
は、挿入変異体で、染色体の中に挿入されたIS1096::Km
のコピーを持っていた。さらに、サザンブロット解析
(図14)と、隣接領域の配列決定(図15)から、106
以上の突然変異体から成り、さまざまな部位に挿入され
たトランスポゾンを含む変異体ライブラリーが代表的な
ものであることが示されている。変異体のプールは、マ
イコバクテリアの非必須遺伝子3,000個の各々が、少な
くとも一回突然変異を起こしているクローンを含んでい
る可能性が高い。したがって、これらのライブラリー
は、必須の病原因子が破壊されているため、恐らく、上
皮細胞を侵襲したり、マクロファージの中で複製するこ
とができない、非病原性の変異体を同定するために極め
て有用である(研究中)。
【0118】
【発明の効果】本発明は、コッホの分子的規準(ファル
コウ(Falkow)、1988;ジェイコブズ(Jacobs)、199
2)にしたがった、結核菌の病原性の遺伝的解析に多大
に寄与するはずであり、以前は困難であった、または実
施できなかった、対立遺伝子交換またはトランスポゾン
突然変異誘発のいずれかによって、マイコバクテリアの
突然変異体と思われるものを作出できるようにする。本
発明は、マイコバクテリアの一定の遺伝子で、他の細菌
性病原に由来する既知の病原性因子に対する類似性を示
したり、示さなかったりする遺伝子の、病原性における
役割を研究するためだけでなく、抗結核菌ワクチンとし
て、BCGよりも効果的な弱毒菌株を合理的に構築するた
めの道を開いた。
【0119】
【参考文献】
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n。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクロース上での一段階選抜または二段階選抜
によって得られた、相同的組み換えの結果得られた代表
的クローンのサザンブロット解析である。2個のUra+
ローンと2個のUra-クローンが示されている。WTは、ス
メグマ菌の野生型DNAを示している。ゲノムDNAをSphIで
制限酵素消化して、pyrF遺伝子をもつ、2.5 kbpのSphI
断片とハイブリダイズさせた。
【図2】二段階選抜法を用いた、マイコバクテリアにお
けるマーカーを持たない変異株を作出するための一般的
な方法を示す図である。第一の選抜は、ゲンタマイシン
(LUG)を含むプレートで行われる。第二の選抜段階
は、SacB遺伝子を欠落したクローンをポジティブ選抜す
るためにLUS上で行われる。pyrF*およびSacB*は、これ
らの遺伝子の変異遺伝子を示す。Kmはカナマイシン耐性
をコードするTn903を示し、Gmはゲンタマイシン耐性を
コードするaacCI遺伝子を示し、Mobはトランスファーの
RP4複製開始点を示す。
【図3】図2に示した二段階選抜方法により、pPR34の
取り込みによってできた、様々なクローンをサザンブロ
ット解析したものである。ゲノムDNAをSphIで制限酵素
消化して、pyrFプローブとハイブリダイズさせた。
【図4】2%スクロース上で選抜(第二段階)したのち
に得られた代表的クローンである、5個のUre+と6個のU
re-のサザンブロット解析である。2個のコントロール
が含まれている。BCGは、ウシ結核BCG菌株の野生型DNA
で、BCG::pPR24は一回組換え体である。ゲノムDNAをPst
Iで制限酵素消化して、pPR24ベクターをプローブとして
ハイブリダイズさせた。
【図5】2%スクロース上で二段階選抜を用いた対立遺
伝子交換突然変異誘発についての一般的な方法を示して
いる。第一段階では、一回組換え体をカナマイシンまた
はゲンタマイシンで選抜する。第二段階では、SacB遺伝
子を欠落したクローンを2%スクロース上でポジティブ
選抜する。SacB*は、SacB遺伝子の変異遺伝子を示す。u
reA、ureBおよびureCはマイコバクテリアのウレアーゼ
の3つのサブユニット(リーラット(Reyrat)ら、199
5)を表し、Kmはカナマイシン耐性をコードするTn903を
表し、Gmはゲンタマイシン耐性をコードするaacCI遺伝
子を表し、oriは大腸菌の複製開始点を表す。
【図6】プラスミドpPR26を説明する地図である。
【図7】プラスミドpPR34を説明する地図である。
【図8】プラスミドpPv23(1)を説明する地図である。
【図9】プラスミドpPR27を説明する地図である。
【図10】プラスミドpPR25を説明する地図である。
【図11】プラスミドpPR24を説明する地図である。
【図12】プラスミドpPR2を説明する地図である。
【図13】稀な遺伝現象をポジティブ選抜するための新
規ベクター(pPR27が例として示されている)の設計を
示す図である。トランスポゾンまたは変異遺伝子のクロ
ーニングに用いることのできるユニークな制限酵素部位
のみを示す。
【図14】ヒト結核菌::Tn5368を代表するクローンのサ
ザンブロット解析と、転移変異体で予想されるハイブリ
ダイゼーションパターンの概略を示す図である。5個の
変異株を任意に選択した(クローン1から5)。ヒト結
核菌103のDNA(WT)がコントロールとして含まれてお
り、予想通りハイブリダイゼーションを示すシグナルは
見られなかった。ゲノムDNAをBamHIかXhoIで制限酵素消
化して、pPR32ベクターとのハイブリダイゼーションを
検出した。分子量は、kbで示されている。
【図15】いくつかのヒト結核菌およびウシ結核菌BCG
株の転移変異体のクローン化挿入部位の配列を示してい
る。IS1096の外向きプライマーのαとβを用いて、トラ
ンスポゾンに隣接する、約500 bpのDNAを配列決定した
が、直列反復配列(DR)のみを示している。不完全な反
復塩基に下線を施した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 1/21 C12R 1:32) (C12N 1/21 C12R 1:34) (C12N 9/10 C12R 1:32) (71)出願人 597110445 28 rue de Docteur−Ro ux 75724 Paris Cedex 15 France (72)発明者 ブリジット ジクール フランス国 75014 パリ ルー ダグー ル 8 (72)発明者 クリストフ ギルホット フランス国 75724 パリ セデックス 15 ルー デゥ ドクチュール−ルークス 28 (72)発明者 マリー ジャクソン フランス国 75724 パリ セデックス 15 ルー デゥ ドクチュール−ルークス 28

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイコバクテリア菌株ゲノムの塩基配列
    を置換するための方法において、 a) レバンサッカラーゼ酵素をコードするSacB遺伝子
    と、目的の塩基配列とを含むベクターを提供する段階、 b) 該ベクターでマイコバクテリア菌株を形質転換す
    る段階、 c) その結果得られた形質転換マイコバクテリアのク
    ローンを、スクロースを添加した培地で増殖させること
    によって、目的とする塩基配列が置換された形質転換ク
    ローンを選択する段階、および d) 組換え菌株を単離する段階、を含む方法。
  2. 【請求項2】 ベクターがマーカー遺伝子を含み、段階
    c)を行なう前に選抜用分子を添加した培地で該クロー
    ンを増殖させることによってクローンの第一選抜段階が
    行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 マーカー遺伝子が、抗生物質耐性をコー
    ドする遺伝子である、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 抗生物質耐性をコードする遺伝子が、ゲ
    ンタマイシン耐性をコードする遺伝子である、請求項3
    に記載の方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも一塩基の付加、置換または欠
    失によって変更されている目的とする塩基配列が、形質
    転換されるマイコバクテリアに内生する遺伝子である、
    請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 目的とする塩基配列が、形質転換される
    マイコバクテリアにとって外来のものである、請求項1
    から4のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 目的とする塩基配列が、融合ポリペプチ
    ドをコードするハイブリッド分子である、請求項1から
    4のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 融合ポリペプチドが形質転換されるマイ
    コバクテリア菌株にとって異種である抗原決定基を含
    み、該抗原決定基が本来の内生の抗原決定基よりも患者
    の血清によって認識されやすいものである、請求項7に
    記載の方法。
  9. 【請求項9】 置換される塩基配列がプラスミドまたは
    染色体の塩基配列である、請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 マイコバクテリア菌株が結核菌(M. t
    uberclosis)である、請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 マイコバクテリア菌株がスメグマ菌
    (M. smegmatis)である、請求項1から8のいずれかに
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 請求項1に記載の方法に従って得られ
    た組換えマイコバクテリア。
  13. 【請求項13】 結核菌(M. tuberclosis)である、請
    求項12に記載の組換えマイコバクテリア。
  14. 【請求項14】 ウシ結核菌(M. bovis)である、請求
    項12に記載の組換えマイコバクテリア。
  15. 【請求項15】 マイコバクテリアの野生型とは異なる
    変更された塩基配列をゲノムにもつ、挿入用ベクター由
    来の配列を全く含まない、組換えマイコバクテリア菌
    株。
  16. 【請求項16】 レバンサッカラーゼ酵素をコードする
    SacB遺伝子と、増殖の遅いマイコバクテリアに由来する
    目的の塩基配列断片とを含む組換えベクター。
  17. 【請求項17】 pPR24である、請求項16の組換えベ
    クター。
  18. 【請求項18】 pPR25である、請求項16の組換えベ
    クター。
  19. 【請求項19】 pPR2である、請求項16の組換えベク
    ター。
  20. 【請求項20】 pPR26である、請求項16の組換えベ
    クター。
  21. 【請求項21】 pPR34である、請求項16の組換えベ
    クター。
  22. 【請求項22】 マイコバクテリア菌株のゲノムに、塩
    基配列を挿入するための方法において、 a) レバンサッカラーゼ酵素をコードするSacB遺伝子
    と目的とする核酸断片とを含むベクターを提供する段
    階、 b) 該ベクターによって、増殖の遅いマイコバクテリ
    アを形質転換する段階、 c) その結果得られた形質転換クローンをスクロース
    を添加した培地で増殖させることによって、目的とする
    塩基配列の断片が挿入された形質転換マイコバクテリア
    のクローンを選抜する段階、および d) 該組換え菌株を単離する段階、を含む方法。
  23. 【請求項23】 ベクターがマーカー遺伝子を含み、段
    階c)を行なう前に、選抜用分子を添加した培地で該組
    換えクローンを増殖させることによってクローンの第一
    選抜段階が行われる、請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 マーカー遺伝子が抗生物質耐性をコー
    ドする遺伝子である、請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 抗生物質耐性遺伝子がゲンタマイシン
    耐性をコードする遺伝子である、請求項23に記載の方
    法。
  26. 【請求項26】 目的とする塩基配列が挿入配列であ
    る、請求項22から25のいずれかに記載の方法。
  27. 【請求項27】 目的とする塩基配列の断片がトランス
    ポゾンである、請求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】 トランスポゾンがTn611である、請求
    項27に記載の方法。
  29. 【請求項29】 トランスポゾンがIS1096::Kmである、
    請求項28に記載の方法。
  30. 【請求項30】 レバンサッカラーゼ酵素をコードする
    SacB遺伝子と、請求項22の方法に従って得られた目的
    の核酸断片とを含む組換えベクター。
  31. 【請求項31】 pPR23である、請求項30の組換えベ
    クター。
  32. 【請求項32】 pPR27である、請求項30の組換えベ
    クター。
  33. 【請求項33】 請求項22に記載の方法によって得ら
    れた組換えマイコバクテリア菌株。
  34. 【請求項34】 ウシ結核菌(M. bovis)である、請求
    項33に記載の組換え菌株。
  35. 【請求項35】 結核菌(M. tuberclosis)である、請
    求項33に記載の組換え菌株。
  36. 【請求項36】 スメグマ菌(M. smegmatis)である、
    請求項33に記載の組換え菌株。
  37. 【請求項37】 スクロースに感受性のマイコバクテリ
    アを選抜する方法において、 a) スクロースを添加した培養培地でマイコバクテリ
    アを培養する段階、 b) 並行して、同じマイコバクテリアをスクロース無
    添加の培養培地で培養する段階、 c) SacB遺伝子を含むゲノムをもつ、スクロース感受
    性のクローンを選抜する段階、を含む方法。
  38. 【請求項38】 内生的な塩基配列が目的の塩基配列で
    置換され、組み換えに用いられたプラスミドの配列を全
    くもたない組換えマイコバクテリアを含む組成物。
  39. 【請求項39】 請求項30に記載の組換えベクターを
    用いて構築された、マイコバクテリアのトランスポゾン
    突然変異体ライブラリー。
JP9190376A 1996-06-11 1997-06-11 対立遺伝子交換変異株の選抜方法 Pending JPH1094397A (ja)

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