JPH1084792A - 結球性葉菜類における結球促進方法と結球促進カバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 白菜やキャベツ等の結球性葉菜類の外葉部分
が外方に広がることを防止し、結球を促進する容易な方
法と装置を提供する。 【解決手段】 周方向への弾力的な伸縮性を有する筒状
のネット２からなるカバー１の下端を結球性葉菜類ａの
結球時予測外径以下の径で開放状に開口せしめ、カバー
１を結球時期を迎えた結球性葉菜類ａの外葉の外周より
被覆せしめて結球性葉菜類の結球を促進する。またカバ
ー１の被覆方法を、筒心方向に畳み重ねてリング状にさ
れたカバー１を結球開始前の結球性葉菜類ａを囲むよう
に圃場に配置し、結球時期を迎えた際にカバー１を上方
に引き上げて被覆する。このときカバー１の下端を結球
性葉菜類ａの結球予測外径以下に開放状に開口せしめら
れた開口部４としてもよく、またカバー１の上下端をリ
ング６，７が取り付けられた開口部３，４としてもよ
く、さらに上下リング６，７における少なくとも一方を
伸縮性のリングとし、リング６，７の一方側を他方側よ
り小さい径としてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は白菜やキャベツ等
の結球性葉菜類における結球促進方法と結球促進カバー
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来白菜やキャベツ等の外葉が内葉を球
状に巻き結球する結球性の葉菜類は重量とともに葉の巻
き量によって商品価値が決定されるが、該結球性葉菜類
は成長が進むと外葉が該葉菜類を巻かず中心部から外方
に広がる。このため従来は収穫する前に葉の部分が成長
しすぎて外方に広がることを防止するために、実公昭５
１−７７７号公報又は実開昭５３−２３７６４号公報に
示されるように所定量成長した結球性葉菜類の外周をカ
バー又は紐状の結束具で覆う又は結束する方法が知られ
ていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし上記２つの従来
技術では、結束具での葉菜類の結束が比較的困難であ
り、またカバーは製造が容易ではなく簡単に実施するこ
とができない等の欠点があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めの本発明の結球性葉菜類における結球促進方法は、周
方向への弾力的な伸縮性を有する筒状のネット２からな
るカバー１を、結球時期を迎えた結球性葉菜類ａの外葉
の外周より被覆せしめ、該カバー１により結球を助長せ
しめることを特徴としている。

【０００５】またカバー１を筒心方向に畳み重ねてリン
グ状にし、該リング状のカバー１を結球開始前の結球性
葉菜類ａを囲むように圃場に配置し、結球性葉菜類ａが
結球時期を迎えた際に上記カバー１を上方に引き上げて
結球性葉菜類ａ全体を弾性的に被覆することを第２の特
徴としている。

【０００６】一方結球性葉菜類における結球促進カバー
は、弾力的な伸縮性を有するネット２であるカバー１か
らなり、該カバー１の下端を開放状に開口せしめ、該開
口部４の径Ｄを結球性葉菜類ａの結球時の予測外径以下
に形成したことを特徴としている。

【０００７】またカバー１の上下端を開口部３，４と
し、該開口部３，４にリング６，７を取り付けたことを
第２の特徴としている

【０００８】そしてカバー１の上下端を開口部３，４と
し、該開口部３，４にリング６，７を取り付け、上下の
リング６，７における少なくとも一方を伸縮性のリング
とし、上下のリング６，７の一方側を他方側より小さい
径としたことを第３の特徴としている。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下図面に従って本発明の１実施
形態について説明する。図１（ａ），（ｂ），（ｃ）は
キャベツ，レタス，白菜等の外葉が内葉を球状に巻き結
球する結球性葉菜類ａ（図３参照）の結球促進用のカバ
ー１の側面図及び平面図であり、該カバー１は上下に折
り畳み（畳み重ね）可能に形成された周方向に伸縮性を
有する円筒状のネット２からなっている。つまりカバー
１は、図１（ｂ）に示されるリング状の折り畳み状態か
ら上方側を引き上げることで図１（ｃ）に示されるよう
に筒状態とすることができる構造となっている。

【００１０】そして該カバー１は上下端が開放状に開口
した開口部３，４を形成しており、上下それぞれの開口
部３，４に伸縮性を有するリング６，７が取り付けられ
ている。このとき両リング６，７及びカバー１（ネット
２）自身の内径は後述するようにカバー１で覆う結球性
葉菜類ａの結球時の予測外径以下に形成されており、上
方側のリング６の径（自然状態の径）Ｄ１は下方側のリ
ング７の径（自然状態の径）Ｄ２より大きくなってい
る。なお上記自然状態の径とはリングが伸縮していない
オリジナルの径をいう。

【００１１】次に上記カバー１による結球性葉菜類ａの
被覆方法について説明する。まずカバー１を前述のよう
にリング状に畳み重ね、図２に示されるように該リング
状のカバー１を結球開始以前、例えば発芽又は播種直後
等の結球性葉菜類ｂを囲むように圃場上に配置する。な
お圃場上に配置したリング状のカバー１（開口部４）内
に播種を行っても良い。そして上記結球性葉菜類ｂが図
３（ａ）に示されるようにカバー１内から生育して結球
時期を迎えた際に、図３（ｂ）に示されるように上記カ
バー１の上方を引き上げることによって、カバー１の下
方側のリング７が結球時期をむかえた結球性葉菜類ａの
下方において係止されるとともに、上方側のリング６が
伸張しながら結球性葉菜類ａの外周を通り該葉菜類ａの
上方に抜け、上方位置において自然径に縮むことでカバ
ー１が結球性葉菜類ａの全体を外葉の外周より弾力的に
被覆する。

【００１２】これによって結球時期を迎えた結球性葉菜
類ａの外葉は、カバー１によって中心側に弾力的に付勢
力がかけられるため、外方に広がらず、結球性葉菜類ａ
の結球が促進され、図３（ｃ）に示されるようにより商
品価値の高い結球性葉菜類を栽培することができる。つ
まり比較的簡単な構造のカバー１によって結球性葉菜類
ａの外葉の外方への広がりを防止することができる。こ
のときカバー１の上下の開口部３，４にリング６，７が
設けられているため、カバー１が結球性野菜ａを被覆す
る際上下方向が中心側に付勢され、より確実に結球性葉
菜類ａ側に付勢力を与えながら外周を被覆する。つまり
カバー１の結球性葉菜類ａからの外れが防止される。

【００１３】また上方側のリング６が下方側のリング７
より大径であるため、カバー１が被覆した結球性葉菜類
ａに必要以上の付勢力（圧力）をかけることがなく、カ
バー１の付勢力が結球性葉菜類ａに悪影響を与えること
がない。なお上記実施形態のネット２を、図４に示すよ
うな周方向に伸縮性を有するリング８の外周を弾力性を
有する紐状等の連結部材９で連結したものとしても同様
の効果を得ることができる。さらに上記実施形態ではリ
ング６，７の形状が平面視で円であったが、平面視で四
角形であってもよい。

【００１４】一方上方側のリング６を伸縮性を有しない
剛リングで構成し、下方側のリング７を上記実施形態同
様伸縮性を有する伸縮性のリングとしてもよい。この場
合図３（ｄ）に示されるように上方側のリング６の径Ｄ
１はカバー１が被覆するべき結球性葉菜類ａの結球時の
予測外径以上になっており、上記実施形態同様の方法で
カバー１が結球性葉菜類ａを被覆した際は、カバー１が
結球性葉菜類ａの全体を外葉の外周より弾力的に被覆
し、カバー１自身の伸縮性で結球性葉菜類側ａに不勢力
を与える。なお上記上方側のリング６が結球性葉菜類ａ
の結球時予測外径以上であるため、結球性葉菜類ａには
不必要に大きな不勢力は与えられない。これによってカ
バー１が以上に示す構成であっても上記同様カバー１の
不勢力が結球時期を迎えた結球性葉菜類ａの外葉の外方
への広がりを防止し、結球性葉菜類ａの結球を促進す
る。

【００１５】また下方側のリング７を伸縮性を有しない
剛リングで構成し、上方側のリング６を上記実施形態同
様伸縮性を有する伸縮性のリングとしてもよい。この場
合該下方側のリング７の径Ｄ２はカバー１が被覆するべ
き結球性葉菜類ａの結球時の予測外径以下になってい
る。そして前述の実施形態同様の方法でカバー１が結球
性葉菜類ａを被覆した際は、剛リングである下方側のリ
ング７が結球性葉菜類ａの下方側と係合し、伸縮性リン
グである上方側のリング６によって前述の実施形態同様
カバー１が結球性葉菜類ａの全体を外葉の外周より弾力
的に被覆する。

【００１６】これによってカバー１が以上に示す構成で
あっても上記同様カバー１の不勢力が結球時期を迎えた
結球性葉菜類ａの外葉の外方への広がりを防止し、結球
性葉菜類ａの結球が促進される。なお上方側のリング６
の径Ｄ１を調節することで、カバー１が結球性葉菜類ａ
側に与える不勢力等を調節することができ、また伸縮性
リングである上方側のリング６によってカバー１は結球
性葉菜類ａからの外れ防止作用も備えている。

【００１７】さらに上方側及び下方側両方のリング６，
７を伸縮性を有しない剛リングとし、下方側のリング７
の径Ｄ２をカバー１が被覆するべき結球性葉菜類ａの結
球時の予測外径以下とするとともに、上方側のリング６
の径Ｄ１を結球性葉菜類ａの結球時の予測外径以上とし
てもよい。これによって前述の実施形態同様にカバー１
によって結球性葉菜類ａを被覆せしめることで、下方側
のリング７が結球性葉菜類ａの下方側と係合し、上方側
のリング６が結球性葉菜類ａを通過して上方に抜けて、
カバー１が結球性葉菜類ａの全体を外葉の外周より弾力
的に被覆する。

【００１８】そしてカバー１自身の伸縮性で結球性葉菜
類ａ側に不勢力を与え、これによって上記実施形態同様
にカバー１の不勢力が結球時期を迎えた結球性葉菜類ａ
の外葉の外方への広がりを防止し、結球性葉菜類ａの結
球が促進される。なお上下のリング６，７が共に伸縮性
を有するリングで形成されている場合は、Ｄ１＝Ｄ２で
あっても、上方側のリング６が結球性葉菜類ａを通過し
て上方に抜けて、カバー１が結球性葉菜類ａの全体を外
葉の外周より弾力的に被覆し、結球性葉菜類ａの結球が
促進される。

【００１９】また図５（ａ）に示されるようにカバー１
を上記上下が開放的に開口したネット２のみとし、図５
（ｂ），（ｃ）に示されるように結球時期を迎えた結球
性葉菜類ａに上方等から被せることでもカバー１自身の
不勢力によって上記実施形態と同様に結球性葉菜類ａの
結球を促進することができる。

【００２０】一方図６（ａ）に示されるように上記結球
促進用のカバー１を前述の実施形態同様伸縮性を有する
ネット２で形成するとともに、下方のみが開放状に開口
し、上方が閉じた袋状の形状に形成してもよい。このと
き該カバー１の開口部４の径Dはカバー１が被覆するべ
き結球性葉菜類ａの結球時の予測外径以下になってい
る。以上に示される構造のカバー１を図６（ｂ）に示さ
れるように結球時期を迎えた結球性葉菜類ａに、結球性
葉菜類ａの上方から被せることで、カバー１の開口部４
が結球性葉菜類ａの下部等で縮みカバー１が結球性葉菜
類ａの全体を外葉の外周より弾力的に被覆する。

【００２１】そしてこれによって上記実施形態同様に結
球時期を迎えた結球性葉菜類ａの外葉は外方に広がら
ず、結球性葉菜類ａの結球が促進される。なお図７に示
されるように開口部４にリング１２を設けてもよい。こ
の場合リング１２は伸縮性を有するリング又は伸縮性を
有しないリングのいずれでもよい。なおリング１２を伸
縮性を有しないリングとした場合、その径は結球性葉菜
類ａの結球時の予測外径より大きく設定する。

【００２２】以上に示すいずれの実施形態も比較的簡単
な構造のカバー１によって、結球性葉菜類ａの結球時期
に、該結球性葉菜類ａの外葉の外周を周方向に弾性的な
伸縮性を有するカバー１によって弾力的に被覆すること
ができ、結球性葉菜類ａの結球促進を比較的簡単なカバ
ー１で容易に実施することができる。

【００２３】

【発明の効果】以上のように構成される本発明の構造に
よれば、結球性葉菜類の結球時期に、該葉菜類の上方又
は下方から葉菜類の外葉の外周を弾性的な伸縮性を有す
るカバーによって弾力的に被覆することができるため、
該カバーによって外葉が外方に広がることが防止され、
結球性葉菜類の結球が促進される。またカバーの構造が
比較的簡単であり容易に実施することができるという効
果がある。

【００２４】特に上下に開口部が設けられ、該両開口部
に伸縮性のリングが取り付けられているカバーを、結球
開始前の結球性葉菜類を囲むように圃場に配置した場合
は、葉菜類の結球時期にカバーを下方から上方に伸ばす
ことで容易に葉菜類の外葉の外周を弾力的に覆うことが
できるが、上下のリングによってカバーの葉菜類からの
外れが防止されるとともにカバーを容易に引き上げるこ
とができ、葉菜類をより確実に被覆することができると
いう効果もある。

【００２５】このときカバーの上方のリングを下方のリ
ングより大径に形成することで、カバーが必要以上の圧
力を葉菜類にかけることなく被覆することができるとい
う利点もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ），（ｂ），（ｃ）は結球性葉菜類用カバ
ーの平面図及び側面図である。

【図２】カバーの圃場へのセット状態を示した斜視図で
ある。

【図３】（ａ）はカバーによる結球性葉菜類の被覆直前
の状態を、（ｂ），（ｃ），（ｄ）はカバーによる結球
性葉菜類の被覆状態を示す側面図である。

【図４】カバーの他の実施形態を示す側面図である。

【図５】（ａ），（ｂ），（ｃ）は上下が開口部となっ
たネットで構成されたカバーによる結球性葉菜類の被覆
状態を示す側面図である。

【図６】（ａ），（ｂ）は下方が開口部となったネット
で構成されたカバーによる結球性葉菜類の被覆状態を示
す側面図である。

【図７】下方が開口部となったネットで構成されたカバ
ーの他の実施形態を示す側面図である。

【符号の説明】

１ カバー ２ ネット ３ 開口部 ４ 開口部 ６ リング ７ リング ａ 結球性葉菜類

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 周方向への弾力的な伸縮性を有する筒状
   のネット（２）からなるカバー（１）を、結球時期を迎
   えた結球性葉菜類（ａ）の外葉の外周より被覆せしめ、
   該カバー（１）により結球を助長せしめる結球性葉菜類
   における結球促進方法。
2. 【請求項２】 カバー（１）を筒心方向に畳み重ねてリ
   ング状にし、該リング状のカバー（１）を結球開始前の
   結球性葉菜類（ａ）を囲むように圃場に配置し、結球性
   葉菜類（ａ）が結球時期を迎えた際に上記カバー（１）
   を上方に引き上げて結球性葉菜類（ａ）全体を弾性的に
   被覆する請求項１の結球性葉菜類における結球促進方
   法。
3. 【請求項３】 弾力的な伸縮性を有するネット（２）で
   あるカバー（１）からなり、該カバー（１）の下端を開
   放状に開口せしめ、該開口部（４）の径（Ｄ）を結球性
   葉菜類（ａ）の結球時の予測外径以下に形成した結球性
   葉菜類における結球促進カバー。
4. 【請求項４】 カバー（１）の上下端を開口部（３），
   （４）とし、該開口部（３），（４）にリング（６），
   （７）を取り付けた請求項３の結球性葉菜類における結
   球促進カバー。
5. 【請求項５】 カバー（１）の上下端を開口部（３），
   （４）とし、該開口部（３），（４）にリング（６），
   （７）を取り付け、上下のリング（６），（７）におけ
   る少なくとも一方を伸縮性のリングとし、上下のリング
   （６），（７）の一方側を他方側より小さい径とした請
   求項３の結球性葉菜類における結球促進カバー。