JPH1083785A - イオン注入装置 - Google Patents

イオン注入装置

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JPH1083785A
JPH1083785A JP8261406A JP26140696A JPH1083785A JP H1083785 A JPH1083785 A JP H1083785A JP 8261406 A JP8261406 A JP 8261406A JP 26140696 A JP26140696 A JP 26140696A JP H1083785 A JPH1083785 A JP H1083785A
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JP
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ion
ions
deflector
wafer
magnetic field
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Application number
JP8261406A
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English (en)
Inventor
Masahiko Aoki
正彦 青木
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Nissin Electric Co Ltd
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Nissin Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 広い面積を持つ試料に高電流イオン注入をす
るための装置であってエンドステーションの構造がより
単純であり質量分離ができてスループットの高い装置を
提供すること 【構成】 イオン源によって1次元広がりを持つ帯状の
イオンビ−ムを生成し、ふたつの磁界8重極偏向器によ
って帯に直角の方向にビームを一次元走査し、走査と同
期してスリット板を試料の前において往復運動させる。
所望の質量数のイオンのみがスリット板の開口を通り抜
けて試料に注入される。それとは異なる質量数のイオン
は板面に当たるかファラディカップに入るようにする。
ファラディカップによってイオンビ−ムの空間的分布や
時間的変動がわかる。磁場8重極偏向器は質量分離作用
があるから中性ビームや質量の異なるビームは試料に到
達しない。試料は静止しているのでエンドステーション
の構造は単純化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウェファの
ような大型の試料に対する高電流イオン注入を高スルー
プットで行うことのできるイオン注入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】イオン注入装置は原料ガスをプラズマに
しイオンビ−ムとして引き出し加速して半導体ウェファ
などの試料にイオンビ−ムを注入する装置である。大電
流イオン注入装置というのはイオンビ−ムの電流が大き
いということである。大電流イオン注入装置はスループ
ットを上げるために流す電流を大きくしたものである。
イオン注入では面内の注入量が一様であることが要求さ
れる。また電流が大きいと発熱が著しいので何らかの工
夫が必要である。
【0003】大電流イオン注入装置として、二つの種類
がある。一つは、イオン源から引きだした細いイオンビ
−ム(点状のビーム:0次元ビーム)を質量分離した
後、一次元的に走査し、回転ターゲットに戴置された複
数枚のウェファに照射するという方式である。回転ター
ゲットを走査することによってウェファの全面にイオン
ビ−ムを一様に照射する。ビームの一次元走査と直交す
る方向の走査は回転ターゲットの運動によってなされ
る。つまりウェファ自体を動かし、ビームを一次元走査
して結局2次元的に走査することになる。
【0004】もう一つは大口径のイオン源からイオンビ
−ムを引き出し質量分離せずそのままウェファに照射す
る方式である。ウェファ全体を覆う太いイオンビ−ムで
あるからビームを走査する必要がない。ウェファを支持
し走査するための回転ターゲットは不要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】二つの大電流イオン注
入装置にはそれぞれなお難点がある。 1.回転ターゲットを使用した装置は、ビーム光学系は
比較的単純である。しかしウェファを二次元的に移動さ
せる(機械的走査)ためのエンドステーションは複雑に
なる。例えばウェファを戴置したディスクは高速回転
と、イオンビ−ム電流に比例し、ビーム位置に反比例す
るような並進速度制御を行わなければならない。またウ
ェファに入射するビーム電流密度が高くなるとチャージ
アップ現象が著しくなるという難点もある。
【0006】2.大口径イオン源を使う方式は質量分離
をしないのでビーム光学系はイオン引き出し系のみから
なる。装置構成はいっそう簡単になる。しかしイオンの
質量分離を行わないから、電極からの不純物イオンや分
子が試料に注入されということがある。ために注入深さ
分布がプラズマの状態によって変化する。そのためデバ
イスの特性に悪影響を生じることがある。
【0007】質量分離をしない大口径イオン源方式には
より根本的な欠点がある。イオン源では原料ガスの目的
とする主要成分以外のイオンも生成される。これが加速
され高いエネルギーをもち試料に照射される。非目的成
分イオンが注入されるとその運動エネルギーが全て熱に
変わる。試料はこれによって加熱され高温になる。過度
の温度上昇が起こるので、既に作製された半導体構成要
素を破壊したり特性劣化を引き起こしたりする。もっと
も困るのは水素イオンの注入である。
【0008】例えばSiウェファにボロンの注入を行う
場合、ジボラン(B26 )が用いられる。質量分離を
しないので、ボロンイオンとともに水素イオンもSiウ
ェファに注入されてしまう。拡散係数が高いために、注
入された水素イオンはアニール処理によってウェファに
は残らないようにできる。しかし高速の水素イオンが注
入されたことによって大量の熱が発生する。これによっ
てウェファが過熱される。
【0009】もう一つの問題は注入イオン分布の均一性
である。8インチや12インチ径大面積基板であって、
面内注入密度ばらつきの許容量が数%であるとすると、
ビーム分布の均一性がかなり高くないといけない。しか
しそのようなビーム密度均一性を実現することは容易で
ない。
【0010】3.質量分離をしないイオン注入法とし
て、PIII(Plasma Immersion Ion Implantation )
法が提案されている。 Plasma Source Sci. Technol. 1 (1992) p1-6 これはウェファをプラズマ中に曝し、ウェファに負の電
圧を印加する。ウェファの周りに薄いシース領域ができ
る。シース領域でイオンを加速しウェファに注入する。
これはイオン引出用の電極がない。ために不純物混入の
可能性は少ない。その点では優れている。しかしやはり
問題がある。注入に要する時間が長すぎるということで
ある。
【0011】注入速度はプラズマ密度に比例して速くす
ることができる。しかしそれも限界がある。例えばボロ
ン注入の場合、ソースガスとしてジボランが用いられ
る。水素イオンも試料に注入されてしまうという欠点が
ある。水素イオンが入るので試料が熱せられる。注入時
間を短縮するためにプラズマ密度を高めると水素イオン
注入も甚だしくなり温度上昇が著しくなる。これを避け
ようとするとプラズマ密度をそれほど高くすることがで
きない。すると注入が遅くて時間が掛かる。実際1.9
×1015/cm2 の注入をするのに10分掛かったと言
う報告である。注入時間が長すぎて実用化されていな
い。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の様々な難点を解決
するために、本発明はつぎのような装置を提案する。本
発明の装置は横長ビーム出口をもつイオン源から引き出
された帯状イオンビ−ムをビーム軸上に設置された8重
極偏向器により、帯と直角の方向に周期的に偏向させ、
さらに後段に設けたもう一つの8重極偏向器によって反
対方向に偏向させてウェファ面に垂直にイオンビ−ムを
入射させるようにした走査装置である。
【0013】細いイオンビ−ムを二次元的に走査するの
ではない。長穴の出口を有する特別なイオン源を用いて
まず帯状のイオンビ−ムを作る。帯状の(一次元的な広
がりを持つ)広がったビームを8重極偏向器によって帯
方向と直角方向に曲げる。もう一つの8重極偏向器によ
って反対方向に曲げる。このようにして一次元走査す
る。走査が一方向であるから注入時間が短い。スループ
ットが高い。
【0014】反面大面積イオン源とはつぎの相違があ
る。本発明は磁気8重極偏向器を使うから質量分離をす
ることになる。不要イオンは8重極偏向器によって曲げ
られる軌道の半径が異なる事によって分離される。必要
があれば走査に同期してスリットを動かして不要イオン
を遮断する。8重極偏向器によって不要イオンは除去さ
れる。実質的に質量分離をする。例えば水素イオンなど
が除かれる。不要イオンの照射によって試料が過熱され
るということがない。必要イオンだけが注入されるから
イオンビ−ム電流を上げてスループットを高めることが
できる。
【0015】磁場を用いた8重極偏向器は公知の装置で
ある。図8に8重極偏向器の概略を示す。ポールが8つ
あってそれぞれにコイルが巻いて有る。コイル電流を様
々にあたえることによって多様な磁界分布を実現でき
る。本発明ではできるだけ均一な一方向の磁場を作りだ
しその強度を周期変化させるようにすれば良い。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施例にかかるイオン注
入装置の概略を図1に示す。イオン源1は特別な工夫の
あるイオン源である。出口が細長いスリット状になって
いて、a×b(a<b)の断面形状のイオンビ−ム2を
出すことができる。3次元座標系を定義する。ビーム2
の流れの方向をZ軸に、ビームの短辺側をX軸、長辺側
をY軸とする。ビーム断面での大きさはX方向にa、Y
方向にbである。
【0017】図1はXZ平面においてビームをみている
からビーム2の幅はaであって小さいが、これと垂直の
方向にはbの幅をもつ。これはウェファの直径wよりも
大きいから(b>w)、Y方向に走査する必要がない。
走査はX方向のみである。ところが試料(ウェファ)面
に垂直にイオンビ−ムが入射しなければならないという
要求があるので1回の偏向では足らず2回偏向する必要
がある。初めの偏向器において+θだけ偏向させる。2
番目の偏向器において−θだけ偏向させる。すると試料
面にはつねに垂直にビームが入射することになる。図2
は8重極偏向器によるビームスキャンの概念図である。
Y方向に長く、X方向に薄いビームがX方向に往復運動
するような走査である。
【0018】本発明は偏向手段として8重極偏向器を用
いる。第1の8重極偏向器3がイオン源1からでたイオ
ンビ−ム2をX方向に偏向させる。偏向されたビームは
X方向に振れる。イオン源から同じエネルギーをもって
でてきたのであるが、質量の異なるイオンの場合、曲が
り角が違う。重いイオンは曲がり難く、軽いイオンは曲
がりにくい。ここでは、その内ふたつのビーム4、5だ
けを示す。ビーム5はイオン注入されるべきイオンで、
ビーム4はイオン注入されてはいけないビームである。
【0019】この時に重要なのはビームが中心軸線を切
って走査されないということである。つまり偏向角をθ
とすると、θは符号を変えない、ということである。こ
の図において第1の8重極偏向器3による偏向角を反時
計回りに正と定義すると、θは常に正である(θ>
0)。θ=0となってはいけない理由はのちに述べる。
【0020】第2の8重極偏向器6がさらにビーム下流
に設けられる。これはイオン源1と第1の8重極偏向器
3の中心線を結ぶ直線よりもθ>0の側に(x>0)偏
奇している。θは正であるビームだけが第2の8重極偏
向器6にはいるから、これをx方向にずらしておく必要
があるのである。
【0021】第2の8重極偏向器6はイオンビームを反
対方向に同じ角度だけ偏向させる。つまり−θだけ偏向
させるのである(−θ<0)。するとビーム7、8はZ
軸に平行なビームになる。これがスリット板9によって
選別される。ビーム7はビーム4を第2の8重極偏向器
で曲げたものであり、不要なイオンである。これはスリ
ット9の開口11を通りファラディカップ12に入る。
不要なビームが2種類以上存在する事が多いがファラデ
ィカップに入らない不要ビームはスリット板9の開口1
0、11を通ることができず板面に衝突してしまう。
【0022】所望のイオンビ−ム8のみがスリット板9
の開口10を通過して試料ウェファ13にまで到達する
ことができる。そして帯状の領域Pに直角に注入され
る。試料13はエンドステーション18によって支持さ
れる。イオン注入の間、エンドステーション18は静止
している。ウェファ13も静止した状態でイオン注入装
置がなされる。エンドステーションは走査のための運動
をしない。
【0023】ビームはa×bの寸法がありPではY方向
にbの広がりを持っている。スリット板9の開口10は
a×b以上の断面を持つ。ウェファ13は固定される。
ウェファの直径をFGとする。ビームの長辺bは直径F
Gにつねに直角である。端Fから走査領域Pまでの距離
Xsは時間とともに変わる。これは8重極偏向器3、6
の偏向角θ、−θによって変わる。当然にスリット板9
も同期してX方向に往復運動しなければいけない。スリ
ット板9をX方向に往復運動させるための駆動装置14
がある。スリット駆動装置14と、8重極偏向器3、6
を同期させるためにコントローラ15が設けられる。
【0024】ふたつの8重極偏向器の流れの方向への距
離をKとすると、偏向角をθとして、イオン源中心線か
らのX方向のずれはKtanθによって表現される。θ
は時間tの周期関数である。θ(t)と書ける。である
からビームのイオン源中心線からの偏奇はKtanθ
(t)である。スリット板9もこれと同じ運動をするよ
うにしなければならない。ウェファ上で端Fからの距離
Xsは
【0025】Xs=Ktanθ(t)−F
【0026】というふうに書ける。第1の8重極偏向器
による偏向角θは常に正であるから、tanθは常に正
である。Xsのθに対する依存性は正接であるから、θ
を単純なtの正弦関数にすると、イオンビ−ム強度が一
様にならない。イオンビ−ム強度を一様になるように、
tに対するθの依存性を決めるべきである。
【0027】8重極偏向器は磁場による荷電粒子の曲げ
を利用して質量分離するものである。ここでは走査機構
に利用しているが、本来は質量分離のために用いられる
装置である。もちろん扇型の磁石によるものほど原理は
単純ではない。しかし8重極偏向器においても大きい質
量の荷電粒子は曲がりにくいので質量分離をすることが
できる。
【0028】試料に注入すべきイオンのビームを5、8
としているがそれ以外のイオンのビームもおなじ方向に
飛んでいる。ここでは一価イオンX+ とX+ 2のイオンビ
−ムを書いている。X+ 2は質量が2倍あるから8重極偏
向器によって曲がりにくい。これがビーム軌跡4、7を
描いてスリット板の開口11からファラディカップ12
に入る。それ以外の質量のイオンがあってもそれはスリ
ット板9の板面に当たるからウェファには到達しない。
スリット板9は不要なあるいは有害なイオンがウェファ
に入るのを防止する作用がある。
【0029】ここでθ≠0でなければならない理由がは
っきりする。もしもθが正負に変化するものであってθ
=0を通過するとすれば、その瞬間質量分離作用がなく
なり全てのイオンが開口10を通って試料に到達してし
まう。これはのぞましくないことである。だからθは常
に正なら正、あるいは負なら負でなければならない。
【0030】スリット板9を設ける理由はそれだけでは
ない。ファラディカップ12によって一定質量を持った
イオンビ−ムの電流量I2 を測定する。これによって不
要イオンの分布と量をモニタすることができる。分布に
関しては少し説明が必要である。
【0031】図4に可動ファラディカップとスリット板
の部分の拡大図をしめす。不要イオンの入るべき開口1
1はx方向にもY方向にも広い。ビームはY方向に長い
帯状のビームである。ファラディカップ12もY方向に
長いものである。ファラディカップはスリット板9の背
後で独自にX方向に移動する。ファラディカップ12の
背後には背板16がある。不要イオンは開口11を通過
してもファラディカップに入るとは限らない。一部がフ
ァラディカップに入って電流量が測定される。
【0032】質量の重いイオン程曲がりにくいから、所
望イオンQのビーム8から遠い位置を通る。ファラディ
カップ12をスリット板に対してw方向に移動させると
より軽い(所望イオンQよりは重い)イオンの電流量
が、u方向に移動させるとより重いイオンの電流量が分
かる。これによって不要イオンの分布が分かることにな
る。
【0033】ただし2点注意すべきことがある。磁場を
使った質量分離であるから、質量Mを電荷qによって割
った値M/qによって曲がり角が決まる。一価イオンば
かりでなく二価イオン、三価イオンも含まれるがその場
合はM/2、M/3としてイオンビ−ムの軌跡を評価す
るべきである。つまり単純に質量ではなくM/qによっ
て軌跡を計算する。これは当然のことである。
【0034】もう一つの問題は、二つの8重極偏向器と
スリット板をX方向に走査しているからθによって、同
じイオンの組み合わせであったとしても、ビーム8とビ
ーム7の距離が異なるということである。これも当然の
ことであるが、不要イオンの分布を調べる場合は注意す
る必要がある。走査の速度dθ(t)/dtが分かって
いるし、ファラディカップの走査速度も分かっているか
らそのときにファラディカップに入るイオンのM/qは
一義的に決まる。
【0035】不要イオンの空間的分布というのは、図
5、図6をみても分かるがY方向の分布とX方向の分布
がある。Y方向の分布I2 (y)はファラディカップを
幾つもに分割し、それぞれの位置での電流を測定して求
める事ができる。このようにしてもよいが、Y方向の分
布は問題でないと言う場合は、単に細長いファラディカ
ップを用いれば良いのである。
【0036】X方向の分布は先述のようにファラディカ
ップをx方向に走査することによってもとめることがで
きる。しかしこれはイオン種の分布である。M/qによ
ってx方向の距離がきまるからである。X方向の分布を
調べると、様々のイオン種の存在比を求めることができ
る。
【0037】図3はAsを含むプラズマを作り100k
eVに加速し本発明の2段8重極偏向器によってビーム
を曲げたときの各イオン種についてのビーム軌跡をしめ
すグラフである。横軸は第18重極偏向器の中心から試
料に向かって計った距離z(m)である。縦軸はX方向
への偏りx(m)である。ここではビームを一定磁場に
よって曲げるだけで走査はしていない。走査のある一瞬
でのビーム軌跡と考えることができる。
【0038】第1の8重極偏向器の磁場Bfが0.5k
G(0.05T)の場合と1kG(0.1T)の場合を
示す。第2の8重極偏向器の磁場Bgは第1の8重極偏
向器の磁場Bfに比例するから一義的に決まっている。
上側がBf=1kGである。As+ はAs+ 2よりよけい
に湾曲している。下側がBf=0.5kGである。同じ
くAs+ はAs+ 2より余計に湾曲している。荷電は同じ
で質量は半分であるからである。偏奇xの差自体が磁場
に比例する。これはさきに述べた通りである。
【0039】このように不要イオンの電流を測定できる
機構は、オンラインでビームシャッタを用いずに、ビー
ムを監視できるという長所がある。通常の走査装置によ
ってイオンビ−ムをウェファに注入しているときは、ビ
ームがウェファ上にあるときは、ビームの特性を測定で
きない。ビームをオーバースキャンさせウェファ外に出
るようにし、ウェファ外に出たときにビームの特性を測
定するようになっている。そのような監視方式であると
ビームがウェファに当たっているまさにそのときのビー
ム特性は分からない。
【0040】そのような従来の走査方式に比較して本発
明の方法は格段に優れている。質量分離によって必然的
に副産物として生ずる不要イオンを測定することによっ
てビームがウェファ上にあるときの電流量をもモニタす
る事ができる。所望のイオンQと不要なイオンは比例し
て発生するはずであるから、不要イオン電流量の変動
は、所望イオンの電流量の変化を正確に反映する。もし
もビーム電流Iが増えると走査速度vをそれに比例して
増やさなくてはならない。そうでないとイオン注入密度
を一定にできないからである。ビーム電流の変化はファ
ラディカップ電流から分かるのでそれに比例して走査速
度を変化させるようにする。
【0041】さらに積極的にビーム量を変化させる場合
がある。その場合一旦ビームを遮断してビーム量の調整
を行わなくてはならない。本発明の場合はビームを遮断
することなくイオン注入を続けながらファラディカップ
の電流量をモニタしながらビーム量の調整を行う事がで
きる。同時に走査速度も加減できる。イオン注入を中断
しなくても良いので能率が良い。
【0042】さらにそれだけでなく、複数のファラディ
カップを並べることにより、一次元的(Y方向)な空間
分布をも知る事ができる。これによってY方向の所望イ
オンQの分布も推定する事ができる。
【0043】8重極偏向器の磁場Bf、Bgによってビ
ームのx方向への偏奇量を変える事ができる。これはほ
ぼ線形関係がなりたつ。図6はSiウェファにボロンイ
オンを注入する場合のウェファ面でのイオンビーム中心
の座標x(m)を8重極偏向器磁場Bfの関数として図
示したものである。横軸はBf(kG)、縦軸はx方向
の偏奇量である。ホウ素一個の一価イオンB+ もホウ素
2個の一価イオンB+ 2も磁場に比例して変位xが増え
る。この組み合わせにおいても、B+ を試料に注入し、
+ 2をファラディカップによってモニタするようにでき
る。
【0044】二つの8重極偏向器によって走査するのは
ビームの断面が小さくてウェファの全体を一度にカバー
できないからである。だからX方向に走査する。走査を
磁場の作用によってなすから質量分離の作用もある。こ
れは重要である。スリット板9を磁場の強さ変化と同期
して変位させるから、所定の質量を持つイオン以外はス
リット板に妨げられウェファに至らない。不要イオンが
質量分離され排除される。例えばSiウェファにp型不
純物としてボロンを注入する場合ジボランを原料ガスと
して用いる。ボロンイオンB+ 以外に水素イオンH
+ 2 、H+ もイオンビ−ムに含まれる。もしも質量分離
をしないと水素イオンも注入される。運動エネルギーが
全て熱に変換されるから水素の注入によってSiウェフ
ァが強く発熱する。
【0045】本発明では8重極偏向器が走査と同時に質
量分離の作用をしているから、水素イオンがウェファに
打ち込まれることはない。それによる発熱がない。する
とウェファの冷却機構の負担が軽減される。図7はジボ
ランを原料としBf=0.2kGとするときのイオンビ
ームの軌跡を示すグラフである。横軸は第1の8重極偏
向器中心からの距離z(m)である。縦軸は試料(Si
ウェファ)でのx方向の変位x(m)である。試料はz
=3mにある。B+ の軌跡と、H+ 2 、H+ の軌跡はか
なり離れている。だから水素イオンH+ 2 、H+ が試料
に全く入らないようにできる。
【0046】つぎにスループットである。生産用イオン
注入装置に強く要求されるのがスループットの高さであ
る。現在8インチ(20cm)ウェファに対してΦ=5
×1015/cm2 のドーズ量で毎時100枚以上の速度
で処理する事が要求されている。本発明はその要求に応
じる事ができる。例えばイオン電流Iが20mA、ビー
ムサイズが25cm×5cm、注入面積Sが25cm×
25cmとする。必要な注入時間Timpは
【0047】Timp=qΦS/I (1)
【0048】から計算できて、Timp=25秒とな
る。あるウェファのイオン注入から次のウェファの注入
までに要する交換等のロスタイムを10秒と仮定する
と、1枚のウェファを処理するのに要する時間は35秒
となる。その場合スループットは1時間あたり100枚
となる。厳しい要求を満足できる。この時のイオン電流
密度は160μA/cm2 である。
【0049】
【発明の効果】本発明は様々の優れた効果をもたらす。 1.エンドステーションが従来は回転運動と並進運動を
行わなければならなかったので運動機構が極めて複雑で
あった。しかし本発明は帯状のビームを帯と直角の方向
に走査するからウェファ自体は動く必要がない。静止し
たエンドステーションを使う事ができる。簡単な機構の
エンドステーションで足りるのでコストダウンが可能に
なる。
【0050】2.二組の8重極偏向器によって平行ビー
ムが得られる。試料にはビームが垂直に入射する。
【0051】3.磁場によってイオンビ−ムの軌道を曲
げる8重極偏向器を使っているから質量の違うイオンビ
−ムの軌跡を分離できる。これらと試料の直前に設けた
スリット板によって質量分離が可能である。
【0052】4.このスリット板は、8重極偏向器と同
期して変位させ、不要イオンはスリット板によって遮断
し、その一部をファラディカップによって電流測定する
から、常時イオンビ−ムの量と分布とをモニタできる。
【0053】5.イオンビ−ム電流の変化を常時モニタ
できるので、電流変化があれば、ビームスキャンの速度
を調整することによって、常に単位面積当たりの注入電
流を一定に保つ事ができる。
【0054】6.イオンビ−ムを磁場によって偏向させ
る。中性の粒子は磁場によって曲がらない。だから中性
の粒子がウェファに入射しないようにできる。
【0055】7.原料ガスとして水素化物ガスを使う
と、プラズマの中に水素イオンH+ 、H+ 2 が大量に含
まれる。水素イオンは質量が軽く磁場によって強く曲げ
られるからウェファに入らない。水素イオンなどによる
ウェファの温度上昇分がない。水素の運動エネルギーに
よる加熱があると冷却機構によって積極的に放熱しなけ
ればならない。ジボランなどによるボロンの注入の場
合、水素イオンによる発熱が全体の半分以上を占める。
これがなくなるのであるから冷却機構の負担が大いに軽
減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオン注入装置の概略構成図。
【図2】磁場を用いた8重極偏向器によるビーム走査の
概念図。
【図3】ふたつの磁気8重極偏向器によってビーム走査
する本発明の装置によって、Bf=1kG,0.5kG
で、100keVに加速したAsイオンを含むビームを
曲げた場合の、1原子一価イオンAs+ と、2原子一価
イオンAs+ 2のビーム軌跡を示す図。
【図4】2種類の開口を有するスリット板と、大面積開
口の後ろに設けられたファラディカップを示す縦断側面
図。
【図5】2種類の開口を有するスリット板と、大面積開
口の後ろに設けられたファラディカップを示す正面図。
【図6】8重極偏向器の磁場の強度と、B+ イオン、B
+ 2イオンの試料面での変位との関係を示すグラフ。
【図7】8重極偏向器に一定磁場を発生させたときのB
+ イオン、H+ 2 イオン、H+イオンの軌跡を示す図。
【図8】磁気8重極偏向器の磁極の配置を示すための概
略の構成図。
【符号の説明】
1 イオン源 2 イオンビ−ム 3 第1の8重極偏向器 4 不要イオンのビーム 5 所望イオンのビーム 6 第2の8重極偏向器 7 不要イオンのビーム 8 所望イオンのビーム 9 スリット板 10 所望イオンを通す開口 11 不要イオンを通す開口 12 ファラディカップ 13 ウェファ 14 スリット板駆動装置 15 コントローラ 16 背板 17 電流計 18 エンドステーション

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯状のイオン引出口をもち原料ガスをプ
    ラズマにして帯状のイオンビ−ムを生成するイオン源
    と、イオン源から引き出された帯状イオンビ−ムを磁場
    によって帯面に対して直角の方向に曲げ磁場強度を周期
    的に変化させることによって曲げ角を正の範囲(或いは
    負の範囲)で変化させることによってビームを走査する
    第1の8重極偏向器と、第1の8重極偏向器と同期して
    反対方向に同じ角度だけ帯面と直角の方向に磁場によっ
    てビームを曲げ負の範囲(或いは正の範囲)でビーム曲
    げることによってビームを平行に走査する第2の8重極
    偏向器と、第2の8重極偏向器の背後に設けられ開口を
    有し第1、第2の8重極偏向器と同期して変位するスリ
    ット板と、スリット板の開口を通ったイオンビ−ムが照
    射される位置に試料を固定支持するエンドステーション
    とを含むことを特徴とするイオン注入装置。
  2. 【請求項2】 スリット板は、第2の開口とその背後に
    設けたファラディカップを有し、不要イオンビームが第
    2の開口からファラディカップに入射するようにしてあ
    り、不要イオンビーム電流から、イオンビ−ムの時間的
    変化、空間的分布を監視するようにした事を特徴とする
    請求項1に記載のイオン注入装置。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7005657B1 (en) 2005-02-04 2006-02-28 Varian Semiconductor Equipment Associates, Inc. Wafer-scanning ion implanter having fast beam deflection apparatus for beam glitch recovery
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