JPH1072369A - ヒト免疫不全ウイルスに対するワクチンおよびその製造方法 - Google Patents
ヒト免疫不全ウイルスに対するワクチンおよびその製造方法Info
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- JPH1072369A JPH1072369A JP23237896A JP23237896A JPH1072369A JP H1072369 A JPH1072369 A JP H1072369A JP 23237896 A JP23237896 A JP 23237896A JP 23237896 A JP23237896 A JP 23237896A JP H1072369 A JPH1072369 A JP H1072369A
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Abstract
からなるエピトープ、および配列表の配列番号2に示す
エピトープを免疫グロブリンに移植したヒト免疫不全ウ
イルスに特異的に反応するエピトープ分子移植抗体、化
学架橋された上記エピトープ分子移植抗体からなるエピ
トープ分子移植抗体オリゴマー、および上記エピトープ
分子移植抗体および/または上記オリゴマーを含むヒト
免疫不全ウイルス用ワクチンを提供する。 【効果】 上記配列表の配列番号1または2に示すエピ
トープ分子を移植したエピトープ分子移植抗体モノマー
および/またはオリゴマーをワクチンとして投与するこ
とによって、良好な抗体応答を生じさせ、抗体価の上昇
およびCTLを誘導擦ることができる。
Description
植抗体、ワクチンおよびその製造方法に関する。より詳
細には、ヒト免疫不全ウイルス(エイズウイルス、HI
V)に対するエピトープ分子移植抗体、上記エピトープ
分子移植抗体を含むワクチンおよびその製造方法に関す
る。
染症の予防のためにワクチンの投与といった形で行われ
ており、ある程度の効果を上げている。こうした予防接
種の効果は、免疫適格細胞(immunocompetent cell)、
すなわち、B細胞、T細胞および抗原提示細胞(APCs)
に対する刺激の強さに依存する。
的にも問題となっており、ワクチンを使用することによ
って菌に起因する感染症の予防に効果があったことか
ら、ウイルスによる疾病に関しても同様の予防策を講じ
るために、様々な試みがなされてきた。
ワクチンペプチドを有機合成により作成する方法(Berz
ofsky ら、Vaccines 94, Cold Spring Harbor Laborato
ry Press, New York, 147 頁(1994 年) )、免疫グロブ
リンとCD4分子のキメラ分子をエイズウイルス防御に
利用する方法(Capon 、Nature、337 巻、 525頁(1989
年))、免疫グロブリン軽鎖第3超可変部にエピトープ
を移植をし、これを抗原として用いる方法(Zanetti
ら、Nature、355 巻、476 頁(1992年))、免疫グロブ
リン軽鎖第3超可変部にインフルエンザウイルスの部分
構造を移植をし、これを抗原として用いる方法(Zaghou
riら、Science 、259 巻、 224頁(1993年))、免疫グ
ロブリン軽鎖第1および第3超可変部と免疫グロブリン
重鎖第2および第3超可変部にエピトープを移植すると
いう方法(Kumagai 、Vaccines 94, Cold Spring Harbo
r Laboratory Press, New York, 9 頁, 1994年)などが
ある。
ウイルス(HIV)の体内動態は複雑巧妙であること、
さらに、ウイルスの排除に有効な機能的免疫を誘導する
ための適切な免疫原がデザインされていないこと、ある
いはHIVは突然変異率が高いこと(多変異性)などの
ために、HIV感染に対するワクチン開発が困難であっ
た。
Vエピトープ地図が作成され、また、エピトープそれぞ
れの免疫学的活性に関して膨大な情報が蓄積された。こ
うした情報から、HIVのエンベロープタンパク質(gp
120)の第3可変部であるV3ループ領域に存在するエ
ピトープ(PND,Principally Neutralizing Determi
nant)がHIVの中和抗体、T細胞、さらに抗体依存性
細胞傷害機序(ADCC)のターゲットとなっているこ
とが判明した。このことに基づき、第3可変ループ領域
から得られる短いペプチド(V3合成ペプチド)を作成
し、これを用いた免疫法が試みられている。
く、ペプチドの体内寿命が短いこと、あるいはフロイン
トの完全アジュバントのような強力なアジュバントを用
いてもV3特異的な免疫を強く誘導することは容易でな
いといった問題点がある。本発明の発明者らは、上記の
ような問題点を解決すべく鋭意研究を重ね、抗体超可変
部に複数のHIV−1 MN株のPNDを蛋白質工学的
に分子移植し、抗体のFc部の生物活性を有効に利用し
て、免疫誘導効率のよい、副作用のないワクチン(Ig-P
ND8 )を分子設計し、抗体応答が効果的に誘導できるIg
-PND8を作成した。
が、V3に対する細胞性免疫、特に、細胞傷害性T細胞
(cytotoxic T cell, CTL )の誘導が充分でなかったた
め、さらに研究を重ねて、異なるHIVのサブタイプの
V3配列を同一免疫グロブリン分子超可変部に分子移植
した複合型エピトープ移植抗体を作製し、V3株特異的
免疫応答の誘導機能を付与して本発明を完成したもので
ある。
チンとして使用したときにこのワクチン分子とFcレセ
プターとの相互作用を増強するために、上記抗体を化学
架橋して多価免疫グロブリンを作製する方法をも開発し
た。
ウイルスに対するワクチンの製造方法、上記ヒト免疫不
全ウイルスに特異的に反応するエピトープ分子移植抗
体、化学架橋された上記エピトープ移植抗体からなるエ
ピトープ分子移植抗体オリゴマー、および上記エピトー
プ分子移植抗体および/または上記オリゴマーを含むヒ
ト免疫不全ウイルス用ワクチンを提供することを目的と
する。
可変部の複数箇所にヒト免疫不全ウイルスのエピトープ
を移植し、エピトープ分子移植抗体を作製する工程を有
するヒト免疫不全ウイルスに対するワクチンの製造方法
である。
ープ分子移植抗体の作製にあたり、前記移植されるエピ
トープが、少なくとも1種のヒト免疫不全ウイルスのV
3塩基配列から得られたペプチドであることを特徴とす
る。また、上記エピトープ分子移植抗体を化学架橋する
工程をさらに含むことを特徴とする。
に特異的に反応するエピトープ分子移植抗体である。さ
らに、上記エピトープ分子移植抗体は、少なくとも1種
のヒト免疫不全ウイルスのV3塩基配列から得られたペ
プチドからなるエピトープが移植されたことを特徴とす
る。
トープ分子移植抗体からなるエピトープ分子移植抗体オ
リゴマーである。さらにまた、本発明は、上記エピトー
プ分子移植抗体および/または上記エピトープ分子移植
抗体オリゴマーを含むヒト免疫不全ウイルス用ワクチン
である。
る。本発明においては、免疫グロブリンの超可変部の複
数箇所にヒト免疫不全ウイルスのエピトープを移植し、
エピトープ分子移植抗体を作製してヒト免疫不全ウイル
スに対するワクチンを製造する。
(H鎖)と軽鎖(L鎖)からなる免疫グロブリンG(Ig
G )を意味する。この免疫グロブリンは、いかなる動物
種から得られるものであってもよく、特に限定されない
が、マウス、ヒト、ラットなどから得られるものが遺伝
子構造や生物活性についての情報が豊富であることから
好ましい。特に、ワクチン活性を容易に検定できること
から、マウスIgG を好適に使用することができる。
が、マウスIgG2b 、マウスIgG2a を好適に使用すること
ができる。免疫グロブリンのL鎖およびH鎖には、それ
ぞれ3つの超可変部(相補性決定部ともいい、CDR1
〜3と略される)が存在する。本発明においては、後述
するヒト免疫不全ウイルスのエピトープを、これらのC
DRのうちの複数の箇所に移植する。免疫グロブリンの
CDRの複数箇所に後述するHIVのエピトープを移植
すると、免疫原性が増強することによる。
しては、L鎖のCDR1とCDR3、あるいはH鎖のC
DR2とCDR3などの組み合わせを挙げることがで
き、特に限定されない。しかし、L鎖のCDR1とCD
R3、あるいはH鎖のCDR2とCDR3といったよう
に異なるCDRに移植することが、複数のエピトープを
同一免疫グロブリン分子上に提示できる点から好まし
い。
種のヒト免疫不全ウイルスのV3塩基配列から得られた
ペプチドである。HIVはHIV−1とHIV−2に大
別されるが、このように分けられた種類のHIVには、
さらにHIV−1 IIIB 、HIV−1 MN、HIV−
1 SF2、HIV−1 JRCS、およびHIV−1
JY1などといった幾つかの系統(株)があることが
知られている。本発明においては、HIV−1 IIIB 株
およびHIV−1 MN株を使用することが、液性免
疫、細胞性免疫の両者を誘導する目的から好ましい。
は、上記のウイルス株より得られる主要抗原のV3配列
から得られたペプチドを好適に使用することができる。
これらのペプチドは、上記の超可変部の複数箇所に同一
のものを移植してもよく、異なるものを移植してもよ
い。しかし、液性免疫および細胞性免疫の双方を効率的
に誘導するためには、上記V3配列の異なる上記エピト
ープを上記超可変部の複数箇所に移植することが好まし
い。
たは2に示されるアミノ酸配列、または配列表の配列番
号1または2に示されるアミノ酸配列と実質的に同一な
アミノ酸配列を有する。ここで、「配列表の配列番号1
または2に示されるアミノ酸配列と実質的に同一なアミ
ノ酸配列」とは、配列表の配列番号1または2に示され
るアミノ酸配列の1もしくは数個のアミノ酸残基につい
て、欠失、置換、付加などの変化が生じた配列であっ
て、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列を有す
るタンパク質と同様の機能を有するエピトープをいう。
1もしくは数個のアミノ酸残基についての欠失、置換、
付加などの変化は、本願の出願時において常用される技
術、例えば、部位特異的変異誘発法(Nucleic Acid Res
earch, vol.10, No.20, p6487-6500)により生じさせる
ことができる。
配列であり配列表の配列番号1に示されるSIHIGPGRAFYT
TGE、またはHIV−1 IIIB 株のV3コア配列であ
り、配列表の配列番号2に示されるRIQRPGRAFVTIGK(い
ずれもgp120 のposition 315-329)を移植すると、良好
な抗体応答を得ることができる。
っては、HIVのV3領域のDNA塩基配列から想定さ
れるアミノ酸配列と対応した遺伝子断片を、IgG H鎖の
CDR1およびCDR3、およびL鎖(λ鎖)のCDR
1とCDR3の遺伝子断片と、それぞれ遺伝子増幅法を
用いて入れ換える。ついで、常用される遺伝子導入法を
用いて、免疫グロブリン産生能を欠落した形質細胞腫
(たとえばSP2/0細胞)で発現させる。
体は、ヒト免疫不全ウイルスに特異的に反応する抗体や
CTLを誘導する。ウイルスは一般的に突然変異を起こ
し易く、HIVも高い突然変異性を有するためにワクチ
ンの製造が難しい。しかし、上述のようにして、HIV
のV3の配列を免疫グロブリンのCDRの複数箇所に移
植してライブラリー化を行うと、このようなHIVにお
ける高いウイルスの突然変異性に対応することが可能と
なる。
エピトープ分子移植抗体をジチオビス(スクシミジルプ
ロピオネート)、ジサクシミジルスベレートなどの化学
架橋剤を用いて、弱アルカリ性条件下で化学架橋させ
る。特に、ジチオビス(スクシミジルプロピオネート)
を用いて架橋することが架橋度の制御が容易な点から好
ましい。
のまま後述するワクチンに使用することもできる。ま
た、こうしたモノマーを化学架橋してオリゴマー、すな
わち、多価免疫グロブリンとしてもよい。上記モノマー
をオリゴマーとすると、これらの抗体をワクチンとして
使用したときに抗原提示細胞上のFcレセプターとの相
互作用が増強されてin vivoにおける免疫原性を高める
ことができ、また、細胞性免疫の誘導性、特に、細胞傷
害性T細胞(CTL)の誘導性を高めることができる。
ためには、アジュバントなどの免疫増強剤とハプテンと
を結合させるという方法が採用されるが、このような免
疫増強剤は、細胞性免疫の誘導を抑制することがある。
本発明においては、このような細胞性免疫の誘導抑制を
回避するために、免疫増強剤を使用せず、上記のエピト
ープ分子移植抗体オリゴマーを使用する。
植抗体からなるエピトープ分子移植抗体オリゴマーは、
2〜3量体程度であることが、抗原提示細胞上のFcレ
セプターとの結合とプロセッスィングの効率が高いこと
から好ましい。さらにまた、本発明は、上記エピトープ
分子移植抗体および/または上記エピトープ分子移植抗
体オリゴマーを含むヒト免疫不全ウイルス用ワクチンで
ある。
移植抗体オリゴマーの他に、防腐剤、安定化剤などを含
んでもよい。上記エピトープ分子移植抗体は、他の生物
製剤で使用される適当な賦形剤、吸着防止剤などととも
に処理して、組換え沈降ワクチンあるいは凍結乾燥ワク
チンとすることができる。
抗体モノマーおよび/またはオリゴマーと上記成分とを
混合して、組換え沈降ワクチン溶液を製造し、一定量ず
つアンプルに充填・封入し、組換え沈降ワクチン製剤と
することができる。あるいは、所望量の上記エピトープ
分子移植抗体モノマーおよび/またはオリゴマーを抗原
性を有しないタンパク成分と水溶液の状態で混合し、一
定量ずつバイアルに分注して凍結乾燥し、凍結乾燥ワク
チン製剤としてもよい。このようなワクチンの製造は、
通常のタンパク製剤を製造する工程と同様に行うことが
できる。
ワクチンをHIVの予防のために投与する場合には、例
えば、所定量を4週間間隔で2回皮下ないし筋肉内に投
与し、20〜24週経過後にさらに1回、皮下ないし筋肉内
に投与する。投与量は、上記エピトープ分子移植抗体モ
ノマーおよび/またはオリゴマーとして、1〜500 μg
程度を投与することができ、0.1 〜100 μgを投与する
ことが好ましい。
重、年齢、健康状態などによって適宜調整する。また、
投与期間についても、血中抗体価の上昇をモニターしな
がら調整する。
プルに0.50 mL ずつ分注し、封入して組換え沈降ワクチ
ン製剤とした。
アルに0.50 mL ずつ分注し、−20℃で終夜凍結乾燥し
て凍結乾燥ワクチン製剤とした。
1.02mg
リーをLamda Zap II(Stratagen
e 社製)で作製し、γ2bのH鎖の定常部およびλ1 の
L 鎖の定常部のDNA配列をプローブとして、可変部全
体を含むγ2bのH鎖およびλ1 のL 鎖のcDNAを遺伝
子クローニングした。これらを鋳型として使用し、プラ
イマーとしてオーバーラッピングプライマーを用いて遺
伝子増幅を行った。遺伝子増幅の条件は、常法に従い20
サイクル行った。
5’側20〜30DNAの塩基配列あるいはCDRの3’側
20〜30DNAの塩基配列と化学合成し、連続したHIV
−1のV3コア配列をプライマーとして用いたリコンビ
ナント遺伝子増幅法(Nucleic Acid Res., vol.17, 723
-733(1989))により、HIV−1 MN株のV3コアセ
ンス配列であるSIHIGPGRAFYTTGE( gp120の position 3
15-329 )と入れ替えた。また、上記抗体の超可変部を
HIV−1 IIIB株のV3コアセンス配列であるRIQRGP
GRAFVTIGKで入れ替えた遺伝子コンストラクトを同様に
して作製した。
プの分子移植 上記(1)で得た遺伝子コンストラクトを、常法として
用いられている免疫グロブリン遺伝子発現法(Proc. Na
tl. Acad. Sci., USA, 80, 2495 )により組み込んだ。
来の骨髄種細胞であるSP2/0細胞へエレクトロポレ
ーションにより導入し、10%ウシ胎児血清を含むRPMI 1
640培地(5L)中、37℃にて、5%CO2 インキュベ
ーター中で72時間までの適当な時間培養し、発現させ
た。得られたエピトープ分子移植抗体(700 μg)を、
プロテインAアフィニティークロマトグラフィー(ファ
ルマシア社製)により、培養産物から回収、精製した。
ゴマーの調製 上記のようにキメラ遺伝子産物として発現したエピトー
プ分子移植抗体(500μg)を、1mMのジチオビスサ
クシミジルプロピオネート(dithiobis(succimidyl pro
pionate))を含む0.1 Mのカーボネートバッファー(pH
8.0)中で30分間37℃で保温して化学架橋した。その
後、Sephacryl S-300 HR(ファルマシア社製)およびSe
phacryl S-400 HR(ファルマシア社製)を用いて、リン
酸緩衝生理食塩水(1mMリン酸バッファー、pH 7.2、0.
15M NaCl 、以下PBSと略す)を溶出液としてゲルク
ロマトグラフィーを行い、後述する画分を調製した。
の調製と命名 上述のようにして、エピトープ分子移植抗体を精製し、
得られた画分からモノマー、ダイマー、トライマーとし
て調製した。これらの画分の分子量を、ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動で分子量を検定した。その後、V3ペ
プチドで免疫したマウス血清を用いた酵素抗体法によ
り、これらの抗体のCDRの複数箇所に移植されたエピ
トープの発現を調べた。
プが抗体分子H鎖の第二超可変部(CDR2)と第三超
可変部(CDR3)に移植されている抗体と、そのエピ
トープ分子移植抗体がL鎖の第一超可変部(CDR1)
と第三超可変部(CDR3)とに移植されている抗体と
が産生されていることを確認した。
れているV3配列がHIV−1 MN株のV3配列のみ
である抗体(ホモエピトープ移植抗体)と、HIV−1
MN株のV3配列とHIV−1 IIIB株のV3コア配
列の両方を抗体1分子の超可変部に有するヘテロエピト
ープ移植抗体とを作製した(図1)。得られた抗体を、
それらの超可変部に含まれるHIV−1 MN株または
HIV−1 IIIB株のV3配列によって以下のように命
名した(図1参照)。
us graft):HIV−1 MN株のV3配列またはHI
V−1 IIIB株のV3コア配列のいずれかのみを抗体超
可変部に分子移植したもの HIV−1 MN株のV3配列のみを有する抗体;Ig-P
NDMN8 HIV−1 IIIB株のV3コア配列のみを有する抗体;
Ig-PNDIIIB8
logous graft):HIV−1 MN株のV3配列とHI
V−1 IIIB株のV3コア配列の両方を抗体1分子の超
可変部に有するもの;Ig-PNDMN4IIIB4
る動物の免疫と抗体応答の測定 (1)エピトープ分子移植抗体による動物の免疫 免疫する動物として、BALB/cマウス(8週令、
雌、日本チャールズリバー社より購入)した。このマウ
スを、アラム5mgとともに上記モノマー、ダイマーおよ
びトライマー抗体10μg/300 μL /マウスで投与する
A群(1群5匹)、アラムなしで上記各抗体(PBS(pH
7.2))に溶解したもの)10 μg/300 μL/マウスで投
与するB群、PBS 300μL のみを投与する陰性対照
群、およびアラム 300μL のみを投与するアラム対照群
とした。初回免疫として、実施例2および3で調製した
エピトープ移植抗体のモノマーあるいはオリゴマーを、
A群及びB群に腹腔内投与した。
に初回免疫に使用したと同じ上記エピトープ移植抗体の
モノマーあるいはオリゴマーを、アラム非存在下で腹腔
内投与した。この2度目の免疫の2週後に、各群5匹の
マウスの尾静脈から血液を採取してプールし、血清を調
製した。
す SIHIGPGRAFYTTGE(MN)と配列表の配列番号2 に示
すRIQRGPGRAFVTIGK(IIIB)とに対する力価、およびH
IV−1のMN株とHIV−1のIIIB株とに対するウイ
ルス中和活性とを表1に示す。
は、ELISAを用いてA405nm で測定した。ウイルス
中和活性は、7日間アッセイでHIV−1感受性細胞で
あるMT−4細胞へのHIV−1感染阻止をp24産生
阻害により測定した。
ムの存在下、非存在下に関わらず、モノマー抗体<ダイ
マー抗体<トライマー抗体の順で高くなっていた。アラ
ム存在下では、ダイマー抗体およびトライマー抗体を用
いると、モノマー抗体を使用した場合に比べて、40倍以
上抗体価が上昇した。また、アラムの非存在下でも、ダ
イマー抗体とトライマー抗体を使用すると、モノマー抗
体を使用した場合に比して、70倍以上抗体価が上昇して
いた。
傾向を示した。以上より、エピトープ分子移植抗体を化
学架橋させてオリゴマーを形成させると、モノマーより
高いin vivo での免疫原性を賦与することができること
が示された。
測定には、上記(1)と同様に初回免疫を行い、その後
4週目に各群のマウスから腹膜切開により脾臓を摘出
し、各マウスから脾細胞を採取して効果細胞(エフェク
ター)としてプールした。こうして得た脾細胞を通常の
マウス細胞培養条件下で、試験管内で1週間、1μg/
mLの上述したhomologous graftまたはheterologous gra
ftを用いて再刺激した。
胞(DBA/2 マウス由来、5×107 個/mL)を20μLの51
Cr(比活性5mCi/mL)とともに、RPMI1640培地中にて
1時間インキュベートし、51Crを細胞内に取り込ませ
た。ついで、このようにラベルしたP815細胞をPBSで
調製した10μg/mLの上記2種類のペプチド、MNV3
またはIIIBV3ペプチドで37℃で1時間保温することに
よりパルスした。
ー細胞(E)とし、上記のように51Crでラベルし、M
NV3またはIIIBV3ペプチドでパルスしたP815細胞を
標的細胞(T)として、E/T比=50:1または100 :
1で混合し、51Cr遊離試験を行った。結果を表2に示
す。
およびトライマーで、いずれのパルスの場合において
も、CTL活性が誘導された。また、SIHIGPGRAFYTTGE
(MN)およびMNでパルスし、アラムとともに抗体を
投与した場合には、CTLの誘導は観察されなかった
が、RIQRGPGRAFVTIGK(IIIB)およびIIIBでパルスした
場合には、CTLの誘導が観察された。
8 は、モノマー、オリゴマーともにMNV3特異的免疫
応答は誘導できるが、CTLの誘導は不十分であること
が示された。また、別のhomologous graftとして調製し
たIg-PNDIIIB8 は、モノマー、オリゴマーともにIIIBV
3特異的免疫応答並びにCTLを誘導することも観察さ
れた。
NM4IIIB4は、モノマー、オリゴマーともにMNV3並び
にIIIBV3特異的免疫応答とCTLを誘導することが示
された(表1および2)。
テロエピトープ移植抗体は化学架橋によりオリゴマーを
形成すると、アラムの非存在下でも、有意な免疫応答を
誘導できること、およびアラムを初回免疫刺激に用いる
と、CTL誘導に対しては抑制的に働くことが判明し
た。
チドに比べて500 倍から1,000 倍高い抗原提示能を有す
るが、この抗原提示活性はオリゴマー形成によりさらに
増強された。また、オリゴマーの抗原提示活性は、低親
和性Fcγレセプターに対する単クローン抗体のFabフ
ラグメント、アンモニウムクロリドやクロロキン処理、
抗I−Ad 抗体で阻害されることも示された。
HIV中和主要エピトープ(PND)を、抗体分子H鎖
の第二超可変部(CRD2)と第三超可変部(CRD
3)、またはL鎖の第一超可変部(CRD1)と第三超
可変部(CRD3)とに分子移植をし、HIVのV3エ
ピトープに対する免疫応答反応を誘導するHIVに対す
るワクチンを製造することができる。また、このように
して作製されたエピトープ分子移植抗体をさらに化学架
橋してHIVに対するワクチンとして製造することがで
きる。
トープ分子移植抗体を作製することができ、また、これ
らを化学的に架橋させてオリゴマーとし、複合型多価エ
ピトープ分子移植抗体を作製することができる。この複
合型多価エピトープ移植抗体では。その免疫原性がオリ
ゴマー形成により増強されるのでアジュバントなどの免
疫誘導抑制を生じることがある免疫増強剤を利用しない
という利点を有する。さらにまた、免疫学的特性の異な
る主要エピトープを共有結合的に複合型エピトープとし
て移植抗体において表現提示することにより、液性免疫
および細胞性免疫機能におけるリンパ球スペクトラムを
抑制できる。
Phe Tyr Thr Thr Gly Glu 1 5
10 15
Phe Val Thr Ile Gly Lys 1 5 10 15
ープが移植されたエピトープ移植抗体を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 免疫グロブリンの超可変部の複数箇所に
ヒト免疫不全ウイルスのエピトープを移植し、エピトー
プ分子移植抗体を作製する工程を有するヒト免疫不全ウ
イルスに対するワクチンの製造方法。 - 【請求項2】 前記エピトープ分子移植抗体の作製にあ
たり、前記移植されるエピトープが、少なくとも1種の
ヒト免疫不全ウイルスのV3配列から得られたペプチド
である請求項1に記載のワクチンの製造方法。 - 【請求項3】 前記エピトープ分子移植抗体を化学架橋
する工程をさらに含む請求項1または2に記載のワクチ
ンの製造方法。 - 【請求項4】 ヒト免疫不全ウイルスに特異的に反応す
るエピトープ分子移植抗体。 - 【請求項5】 少なくとも1種のヒト免疫不全ウイルス
のV3配列から得られたペプチドからなるエピトープが
移植された請求項4に記載のエピトープ分子移植抗体。 - 【請求項6】 化学架橋された前記エピトープ分子移植
抗体からなるエピトープ分子移植抗体オリゴマー。 - 【請求項7】 請求項4もしくは5に記載のエピトープ
分子移植抗体および/または請求項6に記載のエピトー
プ分子移植抗体オリゴマーを含むヒト免疫不全ウイルス
用ワクチン。
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---|---|---|---|
JP23237896A JP3780421B2 (ja) | 1996-09-02 | 1996-09-02 | ヒト免疫不全ウイルスに対するワクチンおよびその製造方法 |
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