JPH1068301A - ベーン回転式容積変化装置及びそれを用いた内燃機関 - Google Patents

ベーン回転式容積変化装置及びそれを用いた内燃機関

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JPH1068301A
JPH1068301A JP9695797A JP9695797A JPH1068301A JP H1068301 A JPH1068301 A JP H1068301A JP 9695797 A JP9695797 A JP 9695797A JP 9695797 A JP9695797 A JP 9695797A JP H1068301 A JPH1068301 A JP H1068301A
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vane
housing
rotor
tip
internal combustion
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Teruo Toritsuka
輝男 鳥塚
Hiroko Toritsuka
弘子 鳥塚
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TORIZUKA SOGO KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベーン回転式容積変化装置を高回転で使用す
ることができなかった。 【解決手段】 内部に収容空間4を有するハウジング5
の壁面に流入開口部6と流出開口部7を設け、収容空間
4内にロータ8を設け、同ロータ8の放射状の溝9にベ
ーン10を設け、ロータ8を回転するとベーン10の周
面10aがハウジング5の内面に摺接して回転して収容
空間4に二以上の区分空間11を形成すると共に、夫々
の区分空間11の容積が変化し、その回転に伴ってハウ
ジング5の流入開口部6の流体を流出開口部7へと移送
する容積変化装置において、前記ベーン10に溝9内で
の出入りを案内する案内体12を設け、ハウジング5内
に案内体12を案内する円形ガイド13を設け、円形ガ
イド13はベーン10を本体ハウジング1の内周面に摺
接するように案内体12を案内可能な本体ハウジング1
と同心円状とした。またこの容積変化装置のハウジング
5のうち、ロータ8の近死点付近に常時燃焼室16を設
け、同常時燃焼室16に点火装置17をハウジング5の
外側に突出するように設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明のベーン回転式容積変
化装置は各種産業分野でポンプ、膨張機、圧縮機、変速
機、動力伝達機等として利用可能なものであり、また本
発明のベーン回転式容積変化装置を用いた内燃機関はガ
ソリン、灯油、重油、アルコール等の各種燃料を燃焼し
て動力を発生する原動機として利用可能なものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりあるベーン回転式容積変化装置
は主にポンプとして利用されており、通常、この装置は
図16に示すような構造である。即ち、円筒形の本体ハ
ウジングAの軸線方向両側に円盤型のサイドハウジング
B、Cが配置されて、内部に収容空間Dを有するハウジ
ングEが形成され、このハウジングEの壁面に収容空間
Dと外部とに貫通する流入開口部Fと流出開口部Gが設
けられ、収容空間D内にその内部を偏心して回転するロ
ータHが設けられ、ロータHにその中心側から外周に向
けて放射状に形成された二以上の溝I内にベーンJが出
入り自在に配置されてなる。
【0003】このベーン回転式容積変化装置では、ロー
タHを図中の矢印方向に回転駆動すると、溝I内に配置
されたベーンJが遠心力によりロータHの外周側へと突
出され、同ベーンJの周面がハウジングEの内面に摺接
されながら回転されて、ハウジングE内の収容空間Dに
二以上の区分空間Kを形成すると共に、夫々のベーンJ
が夫々の溝I内を出入りして夫々の区分空間Kの容積を
変化させ、回転に伴ってハウジングEの流入開口部Fの
流体を流出開口部Gへと移送する。
【0004】同様のベーン回転式容積変化装置として、
ロータHの各溝Iの内側に夫々にバネを設け、同バネの
力で各溝C内のベーンJをロータHの外周側へと付き出
させ、ベーンJを本体ハウジングAの内周面に押し付け
る構造のものもある。
【0005】また容積変化装置を拡大解釈すれば、その
一種としてとらえることもできる内燃機関としては、往
復ピストン式エンジンやバンケル式ロータリーエンジ
ン、ガスタービン式エンジンが広く知られている。往復
ピストン式エンジンの一つである4サイクルガソリンエ
ンジンは図18に示すような構造であり、その動作は、
シリンダーLの上部の吸気バルブM1が開いてピストン
Nが降下されると燃焼空間O内に空気と燃料の混合気が
導入され(吸気行程)、前記吸気バルブM1が閉じてピ
ストンNが上昇されると混合気が圧縮され(圧縮行
程)、点火プラグPにより圧縮混合気が着火されて爆発
されるとピストンNが降下され(爆発行程)、ここで動
力が発生され、シリンダーL上部の排気弁M2が開いて
ピストンNが上昇されると燃焼ガスが燃焼空間O内から
外に排出され(排気行程)、燃焼ガスが排気されて排気
弁M2が閉じると、前記吸気行程に戻り、同行程から排
気行程までを繰り返し行う。この往復ピストン式エンジ
ンでは、前記各行程におけるピストンNの往復移動がコ
ンロッドQを介してクランクシャフトRに伝達され、往
復運動が回転運動に変換されて動力が取り出される。通
常、この種のエンジンは、ガソリンを燃料とする場合、
最大回転数が毎分9000回転程度であり、出力はリッ
ター当りおよそ65〜100馬力である。
【0006】同様の往復ピストン式エンジンには軽油を
燃料とするディーゼルエンジンもある。これは、構造的
には前記ガソリンエンジンと同じであるが、混合気の圧
縮比を極めて高く設定してあり、ガソリンに比べて燃焼
性の良くない軽油、その他の多様な燃料を高圧下で燃焼
する多燃料機関となるものである。このディーゼルエン
ジンは、軽油を燃料とする場合、最大回転数が毎分40
00回転程度であり、出力はリッター当たりおよそ35
〜60馬力である。
【0007】バンケル式ロータリーエンジンは図19に
示すような構造であり、その動作は、本体ハウジングS
内を偏心して回転する略三角形状のロータTによって同
本体ハウジングS内に3つの独立した燃焼室Uが形成さ
れ、これら燃焼室Uの一つ一つで混合気の吸気、圧縮、
爆発燃焼、排気が逐一行われるものである。従って、こ
のロータリーエンジンは図18の往復ピストン式エンジ
ンよりも小型で高出力となり、またロータTの回転がギ
アを介して直接に主軸Vに伝達されるため、回転がスム
ーズで振動が少なく、さらにハウジングSの吸気口や排
気口に給排気弁が不要なため、弁駆動のためのロスもな
い。
【0008】タービン式エンジンは図20に示すような
構造であり、筒型のハウジングWの内周と同ハウジング
Wの中心にある回転軸Xの外周に夫々、回転軸Xの軸線
方向に沿って交互に放射状の固定ブレードY1と回転ブ
レードY2が設けられてなり、ハウジングWの前方開口
部から吸気される空気は回転軸Xによって高速回転され
る回転ブレードY2により段階的に圧縮されて、ハウジ
ングWの中程に設けられた解放型の燃焼室Zに送り込ま
れ、同燃焼室Z内の圧縮空気に燃料が噴射されて燃焼さ
れ、高圧の燃焼ガスが後方の開口部から噴射されるもの
である。このエンジンでは、燃焼室Zの後方にも固定ブ
レードY1と回転ブレードY2が設けられ、燃焼ガスの
力を利用して回転軸Xを回転駆動するようにしてある。
【0009】内燃機関には以上説明したものの他に蓄熱
式再生器を使用した内燃スターリングエンジンも知られ
ているが、熱効率の良い再生器がいまだ開発されておら
ず、また圧縮比を大きくとれない点で実用化はされてい
ない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のベーン回転
式容積変化装置及び内燃機関には夫々次のような問題が
あった。図16のベーン回転式容積変化装置は、回転速
度を上げると、ベーンJに遠心力が作用しても、図17
に示すように近死点側でロータHの中心側に押し込めら
れベーンJが遠死点側でも外側に突き出せないまま元の
近死点側に到達してしまい、ベーンJが本体ハウジング
Aの内周面と接しないまま空回りする。図17の空回り
状態ではハウジングE内に区分空間Kが形成されず、ポ
ンプ、膨張機、圧縮機等としての機能を果たさなくな
る。
【0011】なお、ベーンJをロータHの溝I内に設け
たバネで強制的に押し出すタイプのものでは遠心力の他
にバネの力も加わるので良さそうであるが、バネによっ
て押し出されるベーンJは本体ハウジングAとの間に大
きな抵抗を発生し、この抵抗が高回転化を阻害すること
になる。通常、バネを設けるのはロータHを高速回転す
る場合でなく、遠心力が働きにくい低速回転で使用する
場合である。
【0012】図18の往復ピストン式エンジンは、4サ
イクルエンジンにおいてはクランクシャフトRが2回転
して1回の爆発が生じるため高出力化に限界があり、ま
たシリンダーLに設けられる給気バルブM1や排気バル
ブM2に関して、バルブジャンプ、バルブ径の制約、バ
ルブの慣性重量が問題となってエンジンの高回転化、高
出力化が難しく、またピストンNが往復運動であること
からも高回転化が難しく、単機筒、2機筒等の小機筒エ
ンジンでは振動も多く発生する。また給気バルブM1、
排気バルブM2を駆動するために動力の一部が消費され
るため、これも高出力化を難しくしている。
【0013】同様の往復ピストン式内燃機関でも軽油を
燃料とするディーゼル機関は、高出力を達成できないの
と、極めて高い圧縮比のために排気ガスに有害物質を多
量に含まれるという問題がある。
【0014】図19のバンケル式ロータリーエンジン
は、給排気バルブがなく、毎回転爆発であるため高出力
となり得るが、低回転時のトルク不足に難がある。
【0015】図20のタービン機関は航空機用のジェッ
トエンジンが主流であり、大型のものでは何万馬力も発
生するが、高出力を維持した上での小型化が難しく、こ
れ以外にも低回転時のトルク不足と、応答性に難があ
り、乗用車等には使用されていない。ガスタービンはタ
ーボチャージゃーのような過吸機としての利用もあり、
この場合は特にこれといった難点はなく、これは広く使
用されている。
【0016】本発明の目的は、ベーン回転式容積変化装
置の高回転化を達成し、また容積を可変可能にして、こ
れまでポンプ等としてしか利用されなかったものを圧縮
機、膨張機、無段変速機、動力伝達機等としても利用可
能にし、またベーン回転式容積変化装置に高回転化技術
を取り入れることにより、これを内燃機関としても利用
できるようにして、高回転、高出力、高トルク、低公
害、高燃費の原動機として利用できる様にすることであ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明のベーン回転式容
積変化装置は図1〜7に示すように、円筒形の本体ハウ
ジング1の軸線方向両側にサイドハウジング2、3が配
置されて、内部に収容空間4を有するハウジング5が形
成され、ハウジング5の壁面に収容空間4と外部とに貫
通する流入開口部6と流出開口部7が設けられ、収容空
間4内にその内部を偏心して回転するロータ8が設けら
れ、ロータ8にその中心側から外周に向けて放射状に形
成された二以上の溝9内にベーン10が出入り自在に配
置され、ロータ8が回転するとベーン10の周面10a
がハウジング5の内面に摺接して回転して収容空間4が
二以上の区分空間11に区分されると共に、夫々のベー
ン10が夫々の溝9内を出入りして夫々の区分空間11
の容積が変化し、その回転に伴ってハウジング5の流入
開口部6の流体が流出開口部7へと移送されるようにし
たベーン回転式容積変化装置において、夫々のベーン1
0に溝9内での出入りを案内する案内体12が設けら
れ、ハウジング5内には案内体12を案内する円形ガイ
ド13が設けられ、円形ガイド13はベーン10が本体
ハウジング1の内周面に摺接するように案内体12を案
内可能なるように本体ハウジング1と同心円状に設けら
れてなることを特徴とするものである。
【0018】本発明の内燃機関は図9、10に示すよう
に、円筒形の本体ハウジング1の軸線方向両側にサイド
ハウジング2、3が配置されて、内部に収容空間4を有
するハウジング5が形成され、ハウジング5の壁面に収
容空間4と外部とに貫通する流入開口部6と流出開口部
7が設けられ、収容空間4内にその内部を偏心して回転
するロータ8が設けられ、ロータ8にその中心側から外
周に向けて放射状に形成された二以上の溝9内にベーン
10が出入り自在に配置され、ロータ8が回転するとベ
ーン10の周面10aがハウジング5の内面に摺接して
回転して収容空間4が二以上の区分空間11に区分され
ると共に、夫々のベーン10が夫々の溝9内を出入りし
て夫々の区分空間11の容積が変化し、その回転に伴っ
てハウジング5の流入開口部6の流体が流出開口部7へ
と移送されるようにしたベーン回転式容積変化装置にお
いて、夫々のベーン10に溝9内での出入りを案内する
案内体12が設けられ、ハウジング5内には案内体12
を案内する円形ガイド13が設けられ、円形ガイド13
はベーン10が本体ハウジング1の内周面に摺接するよ
うに案内体12を案内可能なるように本体ハウジング1
と同心円状に設けられてなるベーン回転式容積変化装置
の前記ハウジング5のうち、ロータ8の近死点付近に常
時燃焼室16を設け、同常時燃焼室16に点火装置17
をハウジング5の外側に突出するように設けたことを特
徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態1】図1は本発明のベーン回転式容
積変化装置の第1の実施形態である。このベーン回転式
容積変化装置のハウジング5は図1(a)、(b)に示
されるように、円筒形に作製された本体ハウジング1
と、円盤形に作製されて前記本体ハウジング1の軸線方
向両側の開口面に配置されるサイドハウジング2、3と
で構成され、ハウジング5内には一つの収容空間4が形
成される。この収容空間4内の本体ハウジング1の中心
軸線より偏心した位置には円柱型のロータ8が内装さ
れ、同ロータ8はその中心に設けられた主軸(回転軸)
20がサイドハウジング2、3の軸受け21、22に支
持されて、収容空間4内で回転自在となっている。この
ロータ8はサイドハウジング2、3と対向する平面が夫
々サイドハウジング2、3の内壁面と緩く接触されてお
り、ロータ8はサイドハウジング2、3と摺接するもの
の、極めてスムーズに回転させることが可能である。ま
た、前記ロータ8の主軸20はサイドハウジング2、3
を貫通して外部に突出されており、この突出した先を図
示されていない原動機等に連結することにより所望の回
転速度、回転トルクで回転駆動することができる。前記
ロータ8はその主軸20が本体ハウジング1の中心軸線
と相対的に偏心しており、これは本体ハウジング1を基
準とすればロータ8の主軸20が偏心していることであ
り、ロータ8を基準にとれば本体ハウジング1の中心軸
線が偏心していることである。
【0020】前記ロータ8は図1、2に示されるよう
に、その外周面に16本の放射状の溝9が形成されてお
り、この放射状の溝9の夫々に図3(a)、(b)に示
されるベーン(羽根)4が1枚づつ差し込まれている。
個々の溝9はベーン10を狭着しておらず、ベーン10
は溝9内をロータ8の中心側及び外周側に極めてスムー
ズにスライドできるようになっている。
【0021】前記ベーン10は図3(a)、(b)に示
すように長方形の平板に作成されており、その周面10
aはハウジング5の内面に密着できるように精度の高い
平滑な面にしてある。このベーン10のロータ8の溝9
から突き出される先端側の両サイド部分には夫々案内体
12が取り付けられおり、各案内体12はサイド部分に
突出させて取り付けられた軸ピン25と、同ピン25に
回転自在なるように取り付けられた回転ローラ26とか
ら構成されている。この案内体12は後述する円形ガイ
ド13にガイドされて、ベーン10を本体ハウジング1
の内壁面に常時摺接するように溝9から突き出したり、
溝9内に押し込んだりするようにスライドさせるのに使
われる。
【0022】前記サイドハウジング2、3は図2に示す
ように、本体ハウジング1の前後開口面27、28に同
開口面27、28を閉塞するように取り付けられてお
り、また本体ハウジング1とサイドハウジング2、3と
の接触面には図示されていないがシール材が挟み込ま
れ、本体ハウジング1とサイドハウジング2、3との間
に高度な機密性が確保されている。このサイドハウジン
グ2、3のベーン10が摺接される内壁面には夫々リン
グ状の溝が形成されており、この溝が円形ガイド13と
して機能するようにしてある。前記溝、即ち円形ガイド
13は本体ハウジング1の中心軸に対して同心円であ
り、この円形ガイド13内に各ベーン10の案内体12
が差し込まれており、これら案内体12が円形ガイド1
3に沿って走行可能とされている。この結果、ハウジン
グ5内の合計16枚のベーン10は、ロータ8の回転に
より回転されると、夫々が円形ガイド13を走行する案
内体12によりロータ8の溝9を出し入れされ、夫々の
先端面が本体ハウジング1の内壁面に常に摺接されるよ
うになる。
【0023】図1(a)に示すように、本体ハウジング
1のベーン10が摺接される内壁面には気体や液体等の
流体を導入するための流入開口部6と流体を排出するた
めの流出開口部7が開口されている。流入開口部6や流
出開口部7の開設位置は希望する任意箇所に設定するこ
とができるが、流入開口部6側の流体を流出開口部7側
に輸送できるようにするためには、流入開口部6を本体
ハウジング1の区分空間11の容積膨張側に形成し、流
出開口部7を本体ハウジング1の区分空間11の容積収
縮側に形成すると良い。この場合、流入開口部6、7の
大きさや開設位置を変化すると、流体の輸送方向、輸送
量を希望する値に設定することができ、また流体が気体
等の圧縮性流体である場合には圧縮率、膨張率を調整す
ることができる。
【0024】前記ベーン回転式容積変化装置において本
体ハウジング1、サイドハウジング2、3は軽合金で作
製すると良く、この場合、本体ハウジング1の内側には
鉄系金属製のスリーブを圧入すると良い。鉄系金属製の
スリーブを使用しないときは本体ハウジング1の内壁面
に金属メッキを施しても良い。同様にサイドハウジング
2、3の内壁面に金属メッキを施すことも良い。
【0025】以上説明したベーン回転式容積変化装置で
は、ロータ8の主軸20を原動機等で図1(a)中の矢
印a方向に回転駆動すると、ロータ8の放射状の溝9に
差し込まれた各ベーン10が、サイドハウジング2、3
の円形ガイド13にガイドされる案内体12により溝9
から出し入れされてその先端部が本体ハウジング1の内
周面に接触されると共に、両サイド部もサイドハウジン
グ2、3の内壁面に接触されてハウジング5内を回転さ
れて、ハウジング5の内側の収容空間4に16枚のベー
ン10による16個の区分空間11が形成され、これら
の区分空間11の容積がロータ8の近死点側では圧縮さ
れ、遠死点側では膨張されるように変化される。そし
て、流入開口部6側に流体がある場合、同流体は流入開
口部6からハウジング5の収容空間4内に吸引され、流
出開口部7から外に吐き出される。
【0026】さらに前記ベーン回転式容積変化装置で
は、ベーン10が円形ガイド13によりガイドされる案
内体12により誘導されて本体ハウジング1の内壁面に
摺接されるため、高速回転時、例えば10、000rp
m〜40、000rpmの高速回転時にも、ベーン10
の確実な摺接が達成され、図17のようにベーンJが本
体ハウジングA内で空回りすることや、ベーンJがバネ
で強制的に本体ハウジング1に押し付けられて同本体ハ
ウジング1との間に高速回転を妨げる大きな摩擦を発生
することもない。
【0027】
【発明の実施の形態2】図4(a)〜(c)は本発明の
ベーン回転式容積変化装置の第2の実施形態であり、実
施の形態1で説明した容積変化装置の各ベーン10の先
端に小型で軽量な先端ベーン14が図中の矢印a−b方
向に伸縮可能なるように設けられている。そしてベーン
10と本体ハウジング1の内周面とが先端ベーン14で
摺接されると共に、この伸縮可能な先端ベーン14でベ
ーン10と本体ハウジング1間の隙間の変動が吸収され
て、ハウジング5内の各区分空間11の密閉性が高めら
れるようになっている。
【0028】具体的には、各ベーン10の本体ハウジン
グ1と近接される先端部分が少し肉厚に作製されてお
り、この肉厚部分30に同図(c)に示すように、先端
部が狭く奥が広い溝31がベーン10の幅方向に連続し
て形成され、この溝31の内側に波型に整形された板状
のバネ15が内装され、さらに溝31の内側に先端部を
細く、根元部を太くして溝31から抜け出ないようにし
た先端ベーン14が取り付けられている。先端ベーン1
4はバネ15により常時矢印a方向の力が付与されてお
り、先端ベーン14は矢印a−b方向に伸縮できるよう
になっている。
【0029】図5はバネ15のより実用的で、好ましい
ものの例である。このバネ15は、形状的には断面角型
の金属製棒材が円弧状に湾曲されてなるものであり、実
際はエンジンのピストンに使用されているピストンリン
グを図示されているようにカットして得られたものであ
る。ピストンに使用されているピストンリングは先端ベ
ーン14用のバネ15として望ましいバネ特性を有して
おり、大きなバネ定数を得ることができる。本件発明の
ベーン回転式容積変化装置はロータ8を10、000〜
40、000rpmの高速で回転させる場合、先端ベー
ン14に極めて高速の伸縮動作が要求され、これを可能
にするためバネ定数の大きなバネが求められる。図5で
はバネ15が湾曲した中央部を下向きにして配置されて
いるが、湾曲した中央部を上向きにして配置しても良
い。なお、前記図4(c)、図5のバネ15を含め、バ
ネ15はベーン10側でなく、先端ベーン14側に取り
付けられた構造としても良く、また、先端ベーン14自
体がバネ性を有する素材で作成されて、先端ベーン14
が自身のバネ力で本体ハウジング1の内周面に接触され
るような構造にしても良い。
【0030】次に、前記先端ベーン14を取り付けたベ
ーン回転式容積変化装置の作用について説明する。 1.ベーン10の先端は円形ガイド13により本体ハウ
ジング1の内壁面に常時接近されるため、同ベーン10
の先端に設けられる先端ベーン14の変位は極めて小さ
いものにすることができる。図13は先端ベーン14の
変位を数値計算により求めたものであるが、この結果に
よると先端ベーン14の変位幅は極めて小さく、通常で
あればハウジング内径に対して1〜2%の範囲に設定す
ることができる。 2.先端ベーン14は非常に小さく、軽量とすることが
できるため、同ベーン14を伸縮させるバネ15のバネ
定数を高回転化に適した高いものとすることができる。
即ち、ロータ8の最高回転数を支配する[先端ベーン1
4の重量/バネ15のバネ定数]の値を極めて小さくす
ることができる。 3.先端ベーン14は高いバネ定数のバネ15によりき
わめて高速で伸縮させることができ、ロータ8の高速回
転時にもベーン10と本体ハウジング1との間の高速で
はあるが大きさ的には小さい距離変動に確実に追随する
ことができ、ベーン10間の区分空間11の気密性を高
度に維持することができる。
【0031】4.前記気密性は固有振動数の発生する回
転数以下で保たれるが、固有振動数を超えるような高速
回転領域でも本体ハウジング1との間には微小な隙間し
か発生せず、ベーン10間の区分空間11の気密性を大
きく低下させることはない。 5.先端ベーン14の変位量が非常に小さく、先端ベー
ン14に作用させるバネ15を強力に設計できることに
より、先端ベーン14の重量を先端ベーン14に作用さ
せるバネ15の定数で割った値の平方根に定数を乗じた
値、即ち、共振の固有振動数となる回転数を極めて高い
ものにすることができ、10、000〜40、000r
pmの超高回転を比較的容易に可能とする。
【0032】
【発明の実施の形態3】図6は本発明のベーン回転式容
積変化装置の第3の実施形態であり、図1〜3の容積変
化装置、或いは図4、図5の先端ベーン14を取り付け
たものにおいて、リング状の円形ガイド13がサイドハ
ウジング2、3の内壁面に独立して設けられ、この独立
した円形ガイド13が後述する機構によりロータ8と同
期して回転されるようにしてある。具体的には、リング
状の円形ガイド13を図中に仮想線で示されるサイドハ
ウジング2、3の内側で本体ハウジング1と同心で回転
自在なるように支持し、また円形ガイド13の内周面に
内歯を形成し、この内歯に第1歯車35を噛み合わせ、
この第1歯車35と連動して回転する第2歯車36に第
3歯車37を噛み合わせ、この第3歯車37にロータ8
の主軸20に取り付けた第4歯車38を噛み合わせる構
造とした。前記円形ガイド13の内歯、第1〜4の歯車
35、36、37、38の歯数は適切に設定してあり、
円形ガイド13がロータ8と同速(同じ角速度)で回転
するようにしてある。円形ガイド13の内側に設けられ
る他の3つの小歯車39は円形ガイド13を回転可能に
支持するものである。なお、サイドハウジング2、3は
円形ガイド13が回転可能な構造となっても、サイドハ
ウジング2、3の内側で回転するロータ8及び同ロータ
8に取り付けられたベーン10がサイドハウジング2、
3か、サイドハウジング2、3の内側に別途設けたシー
ル材等(図示されていない)と摺接されるようにし、ハ
ウジング5内の区分空間11の機密性が高度に保たれる
ようにすることはいうまでもない。
【0033】図6のベーン回転式容積変化装置において
は、ベーン10の案内体12をガイドする円形ガイド1
3がロータ8と同期して同速或いはほぼ同速で回転され
るため、案内体12と円形ガイド13との間の相対速度
が0か或いはそれに近い値になり、案内体12と円形ガ
イド13との間の運動抵抗が殆ど解消されて、ベーン1
0をよりスムーズに、より高速に回転することが可能と
なる。
【0034】
【発明の実施の形態4】図7は本発明のベーン回転式容
積変化装置の第4の実施形態であり、ハウジング5内で
回転されるロータ8の主軸20を図中の矢印a−b方向
に移動できる構造としたものである。具体的には、サイ
ドハウジング2、3の主軸20を受ける軸受21、22
を矢印a−b方向に共に平行して移動可能としてある。
この装置では、サイドハウジング2、3の円形ガイド1
3をサイドハウジング2、3と別体としてあり、図6に
示した円形ガイド13の回転機構によりロータ8と同期
して回転するようにもしてある。
【0035】前記ベーン回転式容積変化装置では、ロー
タ8の主軸20を本体ハウジング1の中心軸側に移動し
て本体ハウジング1の中心に配置したり、主軸20を図
7中の矢印a方向に移動してロータ8を本体ハウジング
1の上部内周面に近接させたりすることができる。そし
て、ロータ8が中央にあると各区分空間11の容積変化
は0となり、ロータ8が上側にあると各区分空間11の
容積が近死点側と遠死点側とで大きく変化するようにな
る。このことは、ロータ8の回転数を一定に保ったま
ま、ロータ8の偏心量を可変するだけで流体の移送量を
制御することができ、ポンプとして使用する場合は、搬
送量を調整することができることを意味する。また、圧
縮機、膨張機として使用すれば、ロータ8の回転数を変
化させずにその圧縮率、膨張率を変化することが可能と
なり、この装置を用いれば新しいタイプの無断変速機を
構成することもできる。
【0036】
【発明の実施の形態5】図8は本発明のベーン回転式容
積変化装置の第5の実施形態であり、案内体12をベー
ン10のロータ8の溝9から突き出される先端側ではな
く、溝9に差し込まれる根元側に設け、それに併せてサ
イドハウジング2、3の円形ガイド13もより小径に作
成するものである。
【0037】このベーン回転式容積変化装置では、ベー
ン10が溝9の内側部分で案内体12によりロータ8の
中心側外側へと可動されるので、同ベーン10がロータ
8の外に大きく突き出した際にも同ベーン10が案内体
12によってハウジング1の周方向にふらつかされず、
また高速回転時に案内体12の慣性重量がロータ8の回
転のレスポンスを悪化させるのを軽減することもでき
る。また、案内体12の円形ガイド13を走行する速度
が低下されるので、両者間の抵抗が少なくなり、円形ガ
イド13をロータ8と同期して回転させなくても比較的
高回転を達成することが可能となる。
【0038】
【発明の実施の形態6】図9は本発明のベーン回転式容
積変化装置を用いた内燃機関の実施形態である。これは
実施の形態1〜5で説明したベーン回転式容積変化装置
において、本体ハウジング1の内壁面に燃焼室(本発明
では常時燃焼室と呼ぶ)16を設け、同燃焼室16内に
噴射ノズル18と点火装置17を設けるものである。
【0039】前記常時燃焼室16は本体ハウジング1の
ロータ8の近死点付近に設けた窪みであり、ロータ8の
厚み方向(ロータ8の軸線方向)に沿って細長く設けて
ある。
【0040】前記噴射ノズル18は図示されていない燃
料ポンプから燃料が供給されるようにしてあり、燃料は
高圧の常時燃焼室16内に直接噴射できるように高圧で
供給される。なお、噴射される燃料は霧化されて常時燃
焼室16内に分散され、効率的な燃焼がなされるように
してある。燃料にはガソリンの他、軽油、重油、アルコ
ール、水素等、多様な燃料を使用することができる。
【0041】前記点火装置17は常時燃焼室16内の燃
料が混合された空気(混合気)を着火するための点火プ
ラグである。図示されていないが点火プラグには高圧電
源装置が接続され、スパークが発生されるようにしてあ
る。この内燃機関では常時燃焼室16において燃焼が継
続され続けるため、点火装置17は内燃機関の始動時の
み作動し、始動後は停止するものでよい。なお、内燃機
関始動後も点火装置17は継続して点火を続けてもよい
が、ガソリンエンジンのように回転数に応じて点火時期
を細かく制御する必要はない。具体的には、ディーゼル
エンジンのグロープラグ点火装置でよい。
【0042】この内燃機関においては給気口、排気口と
なる流入開口部6、流出開口部7はいずれも遠死点側に
形成されており、ここではサイドハウジング2に給気口
となる流入開口部6が形成され、サイドハウジング3に
排気口となる流出開口部7が形成されている。前記流入
開口部6、流出開口部7の開口位置はロータ8の回転方
向の先方側、手前側に少しずらしてあり、遠死点を挟ん
で回転方向先方側が給気口、手前側が排気口となってい
る。なお、図9には紙面奥側のサイドハウジング3に開
口された流出開口部7が実線で示され、手前側のサイド
ハウジング2に開口された流入開口部6は点線で示され
ている。
【0043】前記図9の内燃機関において、給気口であ
る流入開口部6にキャブレター等を通じて燃料と空気と
の混合気が供給される場合、噴射ノズル18は不要であ
る。
【0044】また、前記内燃機関において、本体ハウジ
ング1やサイドハウジング2、3は軽合金製とし、本体
ハウジング1の内側には鉄製その他金属製の金属スリー
ブを装着する。本体ハウジング1の内周面は金属スリー
ブを圧入する代わりに金属メッキを施しても良く、サイ
ドハウジング2、3にも金属メッキを施すことができ
る。この他、本体ハウジング1とサイドハウジング2、
3の接触面にはシール材を介在させ、ガス漏れを防止で
きる構成とする。
【0045】以上説明した本発明の内燃機関について、
高トルク型、高回転型、高出力型、高効率型、多燃料型
であることの説明を行う。 1.ハウジング1、2、3内のロータ8のベーン10で
区分けされる区分空間11の一つ一つが独立した燃焼室
となり、これら区分空間11の燃焼室で断熱圧縮行程、
常時受熱行程、断熱膨張行程、排気行程、吸気行程が独
立した形態で逐一進行するため(ベーン狭角が小さけれ
ば、即ち区分空間11が多数形成されれば、ほぼ同時に
複数の断熱圧縮行程、常時受熱行程、断熱膨張行程、排
気行程、吸気行程が存在することもある)、常時、断熱
膨張による仕事を得ることができる。 2.ベーン10間の区分空間11の燃焼室で毎回転燃焼
となるために、小型で熱効率が高く、ベーン機構の特性
による燃焼ガス圧力をトルクに変換するときの変換効率
が高いものとなる。
【0046】3.常時燃焼室16では燃焼が途絶えるこ
となく継続されるため、この常時燃焼室16を次々と通
過するベーン10間の区分空間11の燃焼室において混
合気が確実に着火され、常時燃焼室16から区分空間1
1への常時拡散燃焼が行われ、20000〜40000
rpmの高速回転でも着火遅れ等のない安定した動作が
得られる。 4.常時燃焼室16は、仮想の超高熱効率再生器付き内
燃スターリング機関における再生器がもつ役割を備え
る。即ち、先行する区分空間11の燃焼ガスが圧力上昇
により常時燃焼室16を通過して次の区分空間11に侵
入して常時燃焼が継続されるが、侵入するときは仮想の
超高熱効率再生器付き内燃スターリング機関の再生器に
蓄熱をするために入って、次のベーン間空間11に出る
ときは即座に同量の燃焼ガスにより即座に熱効率が10
0%で再生されるという仮想の超高熱効率再生器の機構
が存在することに等しい。
【0047】5.常時拡散燃焼であるため、ガソリン以
外の軽油、重油、アルコール、さらには気体、液体の水
素等も燃料として使用することができる。 6.従来のディーゼルエンジンのように圧縮比を高くし
なくても燃料を燃焼させることができ、具体的には圧縮
比[ε=8〜12程度]で燃焼することができることか
ら、排ガスは有害物質を多量に含まないクリーンなもの
となる。 7.本発明の内燃機関はベーン機構の持つ高い圧力−ト
ルク変換効率のため、従来の往復ピストン機構に比較し
て大きなトルクを発生することができる。図14、15
は本件発明の内燃機関及び従来の往復ピストン内燃機関
の主軸回転角に対する容積変化を示したものであるが、
本件発明のものは、従来の往復ピストン機構の容積であ
る図15と比較して、近死点付近(回転角度0付近)に
おける容積変化が穏やかであり、常時微小体積下の圧縮
と燃焼と膨張で圧力からトルク変換効率が高く、圧力が
高い主軸角度における回転角度が極めて大きいことか
ら、従来の往復ピストン機構よりも極めて大幅に大きな
トルクを得ることができるものである。 8.高回転でしかも大トルクを発生することがでるの
で、トルク値に回転数と定数を乗じた出力値は非常に大
きなもとなる。
【0048】
【発明の実施の形態7】図10は本発明の内燃機関の他
の実施形態であり、ハウジング5を構成する本体ハウジ
ング1及びサイドハウジング2、3のうち、本体ハウジ
ング1のみを、同本体ハウジング1の外周の歯と噛み合
わせた歯車40で図中の矢印a−b方向に回動できるよ
うにしたものである。この内燃機関では、別途図示され
ていない検出器でロータ8の回転数を検出し、ロータ8
の回転数に応じて前記歯車40を回転駆動して本体ハウ
ジング1の回転角度を制御することにより、常時燃焼室
16の位置を燃焼に最も適した位置に調整して燃焼効率
を良くすることができる。
【0049】
【発明の実施の形態8】図11は本発明のベーン回転式
容積変化装置とそれを用いた内燃機関の応用例であり、
実施の形態6で説明した内燃機関50に、実施の形態1
で説明したベーン回転式容積変化装置を過給機51、膨
張機52、燃料ポンプ53として取り付けた構造のエン
ジンである。具体的には、図9の内燃機関の給気口であ
る流入開口部6に図1の容積変化装置を過給機51とし
て取り付け、排気口である流出開口部7に図1の容積変
化装置を膨張機52として取り付け、噴射ノズル18に
図1の容積変化装置を燃料ポンプ53として取り付け、
さらに過給機51、膨張機52、燃料ポンプ53が図9
の内燃機関50で駆動されるように夫々の主軸20を同
軸に連結して構成したものである。
【0050】前記内燃機関では、内燃機関50に膨張機
52を取り付けることにより、内燃機関50側の区分空
間11の約145〜165度の膨張期間に、膨張機52
の約160〜170度の膨張期間を加えることができ、
合計で膨張期間を約305〜335度とすることができ
る。これは、従来の往復ピストンエンジンが吸排気弁の
オーバーラップを除いた有効の膨張角で約155〜16
5度を持つことに比べて著しく大きいので、燃膨張によ
る仕事を多く取り出すことができ、排気ガス損失熱量を
著しく低減することができる。
【0051】また前記内燃機関では、膨張機を装備する
ことにより膨張比を15〜25と極めて大きくとること
ができ、等圧排気で排気熱損失活用のボトミングサイク
ルを行わせることが可能であり、サディ・カルノーの1
824年の論文に記載された、後にカルノーサイクルと
呼ばれる機関に近いものとなり得る。
【0052】また、膨張機52を装備することにより、
膨張比が大きくなりガス温度が下がるのでアフターファ
イアーを少なくすることもできる。
【0053】図12は前記内燃機関のT−S線図であ
り、ベーン狭角を小さくしたものである。このT−S線
図で考察すると燃料噴射があると再生式圧力増加燃焼で
噴射ノズルあたりに主軸回転あたりのエントロピー変化
分を並列に並べた総和は、内燃機関を高回転、大トル
ク、大出力、高熱効率型とできる。
【0054】
【使用例】本発明のベーン回転式容積変化装置とそれを
用いた内燃機関の使用例を2つ説明する。 本発明のベ
ーン回転式容積変化装置は高回転に対応できるため、こ
れまでは不可能であった航空機のジェットエンジンの回
転主軸に直接取り付けて使用することができ、例えばこ
れをポンプとして使用すれば気体、液体を効率良く送出
することができる。
【0055】可変式のロータを採用したベーン回転式容
積変化装置を使用すれば、乗用車等において無段変速を
構成することもでき、またエンジンの出力を車輪に伝達
する伝達装置として用いて車輪の回転速度を制御するよ
うな使い方もできる。
【0056】
【発明の効果】本発明のベーン回転式容積変化装置を用
いれば次のような効果を得ることができる。 1.請求項1の発明では、ベーン10が円形ガイド13
により可動されてハウジング5の内面に確実に摺接され
るため、超高速回転でも極低速回転でも容積変化装置と
しての機能が損なわれず、用途が拡大される。 2.請求項2の発明では、小さく軽量な先端ベーン14
が高速で可動できるため、ベーン10単独では塞ぎきれ
ないようなハウジング5との間の微少な隙間をも確実に
塞いで、区分空間11間の流体の漏れを非常に少ないも
のとすることができ、超高回転、極低回転での確かな使
用が期待できる。 3.請求項3の発明では、円形ガイド13がベーン10
の案内体12と同速で回転するため、ベーン10の高速
な回転が案内体12と円形ガイド13との間の抵抗で阻
害されるのを防止できる。 4.請求項4の発明では、ロータ8の偏心量を調整する
ことができるため、ロータ8の回転数を一定に保ったま
までも、流体の搬送量を変化することができる。 5.請求項5の発明では、円形ガイド13により可動さ
れるベーン10とその先の先端ベーン14により、高速
回転しても区分空間11間の流体の漏れが非常に少な
く、高回転型のポンプ、膨張機、圧縮機等として使用す
ることができる。 6.請求項6の発明では、高回転型の動力伝達装置、無
段変速機として使用することができる。 7.請求項7の発明では、例えばエンジンのピストンに
使用されているピストンリングを加工して簡単且つ安価
に高いバネ定数のバネ15を得ることができ、ハウジン
グ5内周面への追従性に優れた先端ベーン14を実現す
ることができ、ロータ8を高速回転させることができ
る。 8.請求項8の発明では、先端ベーン14自体にバネ性
を持たせることで、ベーン10の先端部の構造を簡素化
できる。
【0057】本発明の内燃機関によれば次のような効果
を得ることができる。 1.請求項9の発明では、ハウジング5に設けられた常
時燃焼室16の常時燃焼により、またベーン機構の特性
により、従来のレシプロエンジンやロータリーエンジン
でも達成することができない高回転、高トルク、高効率
のエンジンを実現することができる。 2.常時拡散燃焼によりガソリンのみならず軽油、重
油、アルコール等の多様な燃料を使用することができ、
しかも従来のディーゼルエンジンのように圧縮比が高く
ないため、有害な物質を多量に排気することもない。即
ち、低公害のエンジンとなる。 3.請求項10の発明では、常時燃焼室16に燃料噴射
ノズル18を設けるため直噴型のエンジンとなる。 4.請求項11の発明では、先端ベーン14のシール効
果によりガス漏れの非常に少ない低燃費のエンジンとな
り、しかも高回転を達成することができる。 5.請求項12の発明では、円形ガイド13の回転によ
り高回転を達成することができる。 6.請求項13の発明では、ハウジング5の回転により
燃焼タイミングの最適化を図ることができ、例えば燃料
を切り替えて使用したりするようなことも可能となる。 7.請求項14の発明では、高回転、高トルク、高効率
の直噴エンジンを得ることができる。 8.請求項15の発明では、請求項14のエンジンをよ
り高回転型にすることができる。 9.請求項16の発明では、請求項14のエンジンの燃
焼タイミングを最適化することができる。 10.請求項17の発明では、先端ベーン14、円形ガ
イド13の回転により、高回転のエンジンを得ることが
できる。 11.請求項18の発明では、請求項17のエンジンの
燃焼タイミングを最適化でき、多様な燃料を使用でき、
高回転、高トルク、高校率のエンジンを得ることができ
る。 12.請求項19の発明では、例えばエンジンのピスト
ンに使用されているピストンリングを加工して簡単且つ
安価に高いバネ定数のバネ15を得ることができ、ハウ
ジング5内周面への追従性に優れた先端ベーン14を実
現することができ、高速回転の内燃機関を得ることがで
きる。 13.請求項20の発明では、先端ベーン14自体にバ
ネ性を持たせることで、ベーン10の先端部の構造を簡
素化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のベーン回転式容積変化装置の第1の実
施形態であり、(a)はサイドハウジングを外した状態
での正面図、(b)はサイドハウジングを取り付けた状
態での縦断面図。
【図2】図1のベーン回転式容積変化装置の分解透視斜
視図。
【図3】図1のベーン回転式容積変化装置のベーンであ
り、(a)は正面図、(b)は側面図。
【図4】本発明のベーン回転式容積変化装置の第2の実
施形態であり、(a)はベーンの正面図、(b)はベー
ンの側面図、(c)はベーンの部分斜視図。
【図5】図4のベーン回転式容積変化装置において他の
バネを用いたベーンの部分斜視図。
【図6】本発明のベーン回転式容積変化装置の第3の実
施形態を示した斜視図。
【図7】本発明のベーン回転式容積変化装置の第4の実
施形態であり、(a)はサイドハウジングを外した状態
での正面図、(b)はサイドハウジングを取り付けた状
態での縦断面図。
【図8】本発明のベーン回転式容積変化装置の第5の実
施形態であり、サイドハウジングを外した状態での正面
図。
【図9】本発明の内燃機関の第1の実施形態であり、サ
イドハウジングを外した状態での正面図。
【図10】本発明の内燃機関の他の実施形態であり、サ
イドハウジングを外した状態での正面図。
【図11】本発明のベーン回転式容積変化装置と内燃機
関を組み合わせたエンジンの概略図。
【図12】本発明の内燃機関の燃焼サイクルを説明する
T−S線図。
【図13】本発明のベーン回転式容積変化装置及び内燃
機関における先端ベーンの変位を示した説明図。
【図14】本発明のベーン回転式容積変化装置及び内燃
機関における容積変化を示す説明図。
【図15】従来のピストン機構における容積変化を示す
説明図。
【図16】従来のベーン回転式容積変化装置の透視斜視
図。
【図17】図15のベーン回転式容積変化装置の問題点
を示した説明図。
【図18】従来のピストンエンジンの説明図。
【図19】従来のロータリーエンジンの説明図。
【図20】従来のジェットエンジンの説明図。
【符号の説明】 1 本体ハウジング 2 サイドハウジング 3 サイドハウジング 4 収容空間 5 ハウジング 6 流入開口部 7 流出開口部 8 ロータ 9 溝 10 ベーン 10a 周面 11 区分空間 12 案内体 13 円形ガイド 14 先端ベーン 15 バネ 16 常時燃焼室 17 点火装置 18 燃料噴射ノズル

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒形の本体ハウジング(1)の軸線方向
    両側にサイドハウジング(2、3)が配置されて、内部
    に収容空間(4)を有するハウジング(5)が形成さ
    れ、ハウジング(5)の壁面に収容空間(4)と外部と
    に貫通する流入開口部(6)と流出開口部(7)が設け
    られ、収容空間(4)内に本体ハウジング(1)の中心
    軸と相対的に偏心した位置を回転軸として回転するロー
    タ(8)が設けられ、ロータ(8)にその回転軸側から
    外周に向けて放射状に形成された二以上の溝(9)内に
    ベーン(10)がスライド自在に配置され、ロータ
    (8)が回転するとベーン(10)の周面(10a)が
    ハウジング(5)の内面に摺接して回転して収容空間
    (4)が二以上の区分空間(11)に区分されると共
    に、夫々のベーン(10)が夫々の溝(9)内をスライ
    ドして夫々の区分空間(11)の容積が変化し、その回
    転に伴ってハウジング(5)の流入開口部(6)の流体
    が流出開口部(7)へと移送されるようにしたベーン回
    転式容積変化装置において、夫々のベーン(10)に溝
    (9)内でのスライドを案内する案内体(12)が設け
    られ、ハウジング(5)内には案内体(12)を案内す
    る円形ガイド(13)が設けられ、円形ガイド(13)
    はベーン(10)が本体ハウジング(1)の内周面に摺
    接するように案内体(12)を案内可能なるように本体
    ハウジング(1)と同心円状に設けられてなることを特
    徴とするベーン回転式容積変化装置。
  2. 【請求項2】前記各ベーン(10)の先端にそれとは別
    体の先端ベーン(14)が設けられ、同先端ベーン(1
    4)をバネ(15)により本体ハウジング(1)側に押
    し出して同ハウジング(1)の内周面に圧接させるよう
    にしたことを特徴とする請求項1記載のベーン回転式容
    積変化装置。
  3. 【請求項3】前記円形ガイド(13)がロータ(8)と
    同期してハウジング(5)内を回転して、円形ガイド
    (13)と案内体(12)との相対速度が0又は0付近
    に保持されるようにしたことを特徴とする請求項1記載
    のベーン回転式容積変化装置。
  4. 【請求項4】前記ロータ(8)の回転軸の本体ハウジン
    グ(1)の中心軸に対する偏心量を可変可能としたこと
    を特徴とする請求項1記載のベーン回転式容積変化装
    置。
  5. 【請求項5】請求項1のベーン回転式容積変化装置にお
    ける各ベーン(10)の先端に先端ベーン(14)が設
    けられ、同ベーン(10)内に先端ベーン(14)を本
    体ハウジング(1)側に押し出して同ハウジング(1)
    の内周面に圧接させるバネ(15)が設けられ、前記円
    形ガイド(13)がロータ(8)と同期してハウジング
    (5)内を回転して、円形ガイド(13)と案内体(1
    2)との相対速度が0又は0付近に保持されるようにし
    たことを特徴とするベーン回転式容積変化装置。
  6. 【請求項6】前記ロータ(8)の回転軸の本体ハウジン
    グ(1)の中心軸に対する偏心量を可変可能としたこと
    を特徴とする請求項5記載のベーン回転式容積変化装
    置。
  7. 【請求項7】前記バネ(15)はバネ性を有する角柱状
    の金属材料を略弓形に湾曲させてなるものであることを
    特徴とする請求項2又は請求項5又は請求項6記載のベ
    ーン回転式容積変化装置。
  8. 【請求項8】前記各ベーン(10)の先端にそれとは別
    体の先端ベーン(14)が設けられ、同先端ベーン(1
    4)をそれ自体のバネ性により本体ハウジング(1)側
    に押し出して同ハウジング(1)の内周面に圧接させる
    ようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項3又は
    請求項4に記載のベーン回転式容積変化装置。
  9. 【請求項9】請求項1のベーン回転式容積変化装置にお
    けるハウジング(5)のうち、ロータ(8)の近死点付
    近に常時燃焼室(16)を設け、同常時燃焼室(16)
    に点火装置(17)をハウジング(5)の外側に突出す
    るように設けたことを特徴とする内燃機関。
  10. 【請求項10】前記常時燃焼室(16)に燃料噴射ノズ
    ル(18)を設けたことを特徴とする請求項9記載の内
    燃機関。
  11. 【請求項11】各ベーン(10)の先端に先端ベーン
    (14)が設けられ、同ベーン(10)内に先端ベーン
    (14)を本体ハウジング(1)側に押し出して同ハウ
    ジング(1)の内周面に圧接させるバネ(15)が設け
    られてなることを特徴とする請求項9記載の内燃機関。
  12. 【請求項12】円形ガイド(13)がロータ(8)と同
    期して回転して、円形ガイド(13)と案内体(12)
    との相対速度が0又は0付近に保持されるようにしたこ
    とを特徴とする請求項9記載の内燃機関。
  13. 【請求項13】ハウジング(5)をその周方向に回動可
    能とし、同ハウジング(5)をロータ(8)の回転数に
    応じて回転させることにより、燃焼タイミングを最適な
    状態に保持可能とすることを特徴とする請求項9記載の
    内燃機関。
  14. 【請求項14】請求項1のベーン回転式容積変化装置に
    おけるハウジング(5)のうち、ロータ(8)の近死点
    付近に常時燃焼室(16)を設け、同常時燃焼室(1
    6)に点火装置(17)をハウジング(5)の外側に突
    出するように設け、前記常時燃焼室(16)に燃料噴射
    ノズル(18)を設け、各ベーン(10)の先端に先端
    ベーン(14)が設けられ、同ベーン(10)内に先端
    ベーン(14)を本体ハウジング(1)側に押し出して
    同ハウジング(1)の内周面に圧接させるバネ(15)
    が設けられてなることを特徴とする内燃機関。
  15. 【請求項15】円形ガイド(13)がロータ(8)と同
    期して回転して、円形ガイド(13)と案内体(12)
    との相対速度が0又は0付近に保持されるようにしたこ
    とを特徴とする請求項14記載の内燃機関。
  16. 【請求項16】ハウジング(5)をその周方向に回動可
    能とし、同ハウジング(5)をロータ(8)の回転数に
    応じて回転させることにより、燃焼タイミングを最適な
    状態に保持可能とすることを特徴とする請求項14記載
    の内燃機関。
  17. 【請求項17】請求項1のベーン回転式容積変化装置に
    おけるハウジング(5)のうち、ロータ(8)の近死点
    付近に常時燃焼室(16)を設け、同常時燃焼室(1
    6)に点火装置(17)をハウジング(5)の外側に突
    出するように設け、前記常時燃焼室(16)に燃料噴射
    ノズル(18)を設け、各ベーン(10)の先端に先端
    ベーン(14)が設けられ、同ベーン(10)内に先端
    ベーン(14)を本体ハウジング(1)側に押し出して
    同ハウジング(1)の内周面に圧接させるバネ(15)
    が設けられ、円形ガイド(13)がロータ(8)と同期
    して回転して、円形ガイド(13)と案内体(12)と
    の相対速度が0又は0付近に保持されるようにしたこと
    を特徴とする内燃機関。
  18. 【請求項18】ハウジング(5)をその周方向に回動可
    能とし、同ハウジング(5)をロータ(8)の回転数に
    応じて回転させることにより、燃焼タイミングを最適な
    状態に保持可能とすることを特徴とする請求項17記載
    の内燃機関。
  19. 【請求項19】前記バネ(15)はバネ性を有する角柱
    状の金属材料を略弓形に湾曲させてなるものであること
    を特徴とする請求項11又は請求項14乃至請求項18
    の夫々に記載の内燃機関。
  20. 【請求項20】前記各ベーン(10)の先端にそれとは
    別体の先端ベーン(14)が設けられ、同先端ベーン
    (14)をそれ自体のバネ性により本体ハウジング
    (1)側に押し出して同ハウジング(1)の内周面に圧
    接させるようにしたことを特徴とする請求項9又は請求
    項10又は請求項12又は請求項13に記載の内燃機
    関。
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