JPH106232A - ラチェットレンチ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々のサイズのナットを傷付けることなく保
持して回転させることができるラチェットレンチを提供
する。 【解決手段】 ラチェットレンチの可動顎３を、本体中
央の長孔部８にガイドピン９により枢着し、丸ナット１
１を螺合させた調節ネジ１０により無段階に進退可能と
する。またナット２０を銜えたときの固定顎２と可動顎
３とのナット銜部４、５の頂角部４ａ、４ｂを、可動顎
３の進退方向と平行な軸線上に配置し、種々のサイズの
ナット２０を傷付けることなく保持して回転できるよう
にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ガス配管、給水用
配管、給湯用配管、油圧配管等に用いられているメカニ
カル継手のナットを回転させる場合等に適したラチェッ
トレンチに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ラチェットレンチは、対向するＶ字状の
ナット銜部を有する一対の固定顎と可動顎とを本体にそ
れぞれ枢着しておき、これらの間にナットを嵌めて本体
を下方へ回転させるとナットが締め込まれ、本体を上方
へ戻したときには上顎部材が自然に開いてレンチ全体を
ナットに対して上方へ空回りさせることができる構造の
工具である。

【０００３】このようなラチェットレンチは、固定顎と
可動顎とが完全に閉じた状態でなければナットを確実に
保持できないものである。このため、従来はナットのサ
イズ毎に専用のものを使用していたのであるが、本出願
人は実公平２−３６７００号公報に示されるように偏心
ピンを利用して可動顎を段階的に進退動させることによ
り、１本で種々のサイズのナットに対応できるようにし
たラチェットレンチを提案した。

【０００４】ところが、上記したサイズ毎に専用のラチ
ェットレンチ及び可動顎を段階的に進退動させるように
したラチェットレンチはいずれも、ナットに傷を付ける
おそれがあった。すなわち、ラチェットレンチはナット
を銜える幅寸法（口幅）がナットの基準寸法よりも＋側
に設定されており、反対にナットは基準寸法よりも−側
に設定されているため、ナットを銜えてラチェットレン
チを回転させたときにナット銜部にその寸法差分の隙間
ができ、ナットの頂角部分を線接触で保持することとな
るため、ナットに傷を付けることとなるのである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の問題点を解決して、種々のサイズのナットを傷付ける
ことなく面接触で保持して回転させることができるラチ
ェットレンチを提供するためになされたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明は、対向するＶ字状のナット銜部を
有する固定顎と可動顎とを本体にそれぞれ枢着したラチ
ェットレンチにおいて、本体の先端にバネにより可動顎
側に付勢される固定顎を枢着し、また可動顎の後端を本
体中央の長孔部にガイドピンにより枢着して丸ナットを
螺合させた調節ネジにより無段階に進退可能とするとと
もに、可動顎を固定顎側に付勢するバネを調節ネジと可
動顎との間に設け、かつナットを銜えたときの固定顎と
可動顎とのナット銜部の頂角部を、可動顎の進退方向と
平行な軸線上に配置したことを特徴とするものである。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい実施の形
態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図１は本発明
のラチェットレンチのカバーを外した状態の正面図、図
２は中央横断面図である。

【０００８】これらの図中、１は中央部分が中空となっ
ている本体であり、２は固定顎、３は固定顎２よりも先
端側に位置する可動顎である。これらの固定顎２と可動
顎３の内側には、対向するＶ字状のナット銜部４、５が
それぞれ形成されている。固定顎２は本体１の先端にピ
ン６によって回転自在に枢着されており、バネ７によっ
て常に可動顎３側に付勢されている。

【０００９】可動顎３の後端は、本体１の中央の長孔部
８にガイドピン９により枢着されている。またこのガイ
ドピン９には、本体１の内部に設けられた調節ネジ１０
の先端が取り付けられている。この調節ネジ１０のおね
じ部は丸ナット１１と螺合している。そしてこの丸ナッ
ト１１は本体１の窓孔から側面を露出させているので、
丸ナット１１を回転させることにより、調節ネジ１０と
ともに可動顎３を本体１の長手方向に無段階に進退動さ
せることができる。図３に可動顎３を後退させた状態を
示す。さらに可動顎３の後端と調節ネジ１０との間に
は、可動顎３を固定顎２側に付勢するバネ１２が設けら
れている。

【００１０】また本発明のラチェットレンチにおいて
は、上記した固定顎２と可動顎３のナット銜部４、５の
頂角部４ａ、４ｂは、図４に示すように可動顎３の進退
方向（長孔部８の方向）と平行な軸線上に配置されてい
る。このため、可動顎３を無段階に進退動させたとき、
対向するＶ字状のナット銜部４、５は角度を変えること
なく平行に開閉することができる。

【００１１】このように構成されたラチェットレンチに
より配管中のナット２０を締めるには、図５のように可
動顎３をバネ１２に抗して大きく開き、回転させようと
するナット２０に可動顎３を掛ける。このとき、固定顎
２はバネ７によって上方を向き、ナット２０を対向する
Ｖ字状のナット銜部４、５の内部に導くうえで邪魔にな
らない姿勢を取る。この状態から本体１を下方に回転さ
せれば、図４に示すように可動顎３は閉じてナット２０
をナット銜部４、５の間に挟み込む。

【００１２】この状態でナット２０とナット銜部４、５
との間に隙間があるときは、丸ナット１１を回転させる
ことにより、調節ネジ１０とともに可動顎３を無段階に
後退させる。しかも前記したように、ナット銜部４、５
の頂角部４ａ、４ｂは可動顎３の進退方向と平行な軸線
上に配置されており、Ｖ字状のナット銜部４、５は角度
を変えることなく平行に開閉するから、ナット２０のサ
イズの大小にかかわらず、Ｖ字状のナット銜部４、５は
ナット２０と正しく密着し面接触できる。

【００１３】そこで本体１を上下動させれば、ナット２
０はナット銜部４、５間に保持されて回転されることと
なる。本発明によれば従来のように隙間があるままでナ
ット２０を回転させることがなくなるので、ナット２０
を傷付けることがない。しかも可動顎３を付勢するバネ
１２は可動顎３と調節ネジ１０との間に設けられている
ので、調節ネジ１０とともに可動顎３を進退動させて
も、バネ１２が可動顎３を付勢する力は一定である。こ
のため、バネの一端を本体に取り付けていた従来品とは
異なりナット２０のサイズが変化してもナット２０の保
持力が変化することはない。またバネの一端を本体に取
り付けていた従来品では可動顎３を前進させる場合にバ
ネ１２の反発力が抵抗となっていたが、本発明品では可
動顎３を前進させる場合にバネ１２の反発力は作用しな
いから、可動顎３の進退動を容易に行うことができる。

【００１４】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明のラチェ
ットレンチは無段階にサイズ調整を行うことができ、種
々のサイズのナットを傷付けることなく面接触で保持し
て回転させることができる。また可動顎を進退動させて
も、バネによるナットの保持力が変化することはなく、
常に安定した力でナットを保持することができる利点が
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のラチェットレンチのカバーを外した
状態の正面図である。

【図２】 本発明のラチェットレンチの中央横断面図で
ある。

【図３】 可動顎を後退させた状態の正面図である。

【図４】 ナットを保持した状態の正面図である。

【図５】 可動顎を開いた状態の正面図である。

【符号の説明】

１ 本体 ２ 固定顎 ３ 可動顎 ４ Ｖ字状のナット銜部 ４ａ ナット銜部４の頂角部 ５ Ｖ字状のナット銜部 ５ａ ナット銜部５の頂角部 ６ ピン ７ バネ ８ 長孔部 ９ ガイドピン １０ 調節ネジ １１ 丸ナット １２ バネ ２０ ナット

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 対向するＶ字状のナット銜部(4) 、(5)
   を有する固定顎(2) と可動顎(3) とを本体(1) にそれぞ
   れ枢着したラチェットレンチにおいて、本体(1)の先端
   にバネ(7) により可動顎(3) 側に付勢される固定顎(2)
   を枢着し、また可動顎(3) の後端を本体中央の長孔部
   (8) にガイドピン(9) により枢着して丸ナット(11)を螺
   合させた調節ネジ(10)により無段階に進退可能とすると
   ともに、可動顎(3) を固定顎(2) 側に付勢するバネ(12)
   を調節ネジ(10)と可動顎(3) との間に設け、かつナット
   (20)を銜えたときの固定顎(2) と可動顎(3) とのナット
   銜部(4) 、(5) の頂角部(4a)、(4b)を、可動顎(3) の進
   退方向と平行な軸線上に配置したことを特徴とするラチ
   ェットレンチ。