JPH1053537A - 活性化免疫グロブリン - Google Patents

活性化免疫グロブリン

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JPH1053537A
JPH1053537A JP8227493A JP22749396A JPH1053537A JP H1053537 A JPH1053537 A JP H1053537A JP 8227493 A JP8227493 A JP 8227493A JP 22749396 A JP22749396 A JP 22749396A JP H1053537 A JPH1053537 A JP H1053537A
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immunoglobulin
histamine
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JP8227493A
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Haruo Yoshii
春夫 吉井
Mitsuru Uchiki
充 内木
Yuriko Fukada
有理子 深田
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Nippon Zoki Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Nippon Zoki Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】好酸球増多抑制剤、免疫調整剤、自己免疫疾患
治療剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤として有用な活性化
免疫グロブリンを提供する。 【解決手段】本発明は天然型の免疫グロブリンが本来示
さない新たな薬理活性を免疫グロブリンに付与する方
法、該方法により得られる活性化免疫グロブリン並びに
該活性化免疫グロブリンを有効成分として含有する医薬
組成物に関する。 【効果】本発明活性化免疫グロブリンは、従来の免疫抑
制剤とは明らかに異なる免疫調整作用を有し、慢性関節
リウマチ、全身性エリスマトーデス、多発性硬化症等の
自己免疫疾患や各種の免疫不全症候群などの免疫系が異
常に陥った疾患に対する治療剤として有用である。また
本発明活性化免疫グロブリンは、感染症、寄生虫疾患、
呼吸器疾患、自己免疫疾患、悪性腫瘍等に伴う好酸球増
多症に対する薬剤として、また優れた抗炎症剤や抗アレ
ルギー剤としても用いることができ非常に有用性が高
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は天然型の免疫グロブ
リンが本来示さない好酸球増多抑制作用、免疫調整作
用、自己免疫疾患改善作用、抗炎症作用、抗アレルギー
作用等の新たな薬理活性を免疫グロブリンに付与する方
法、該方法により得られる活性化免疫グロブリン並びに
該活性化免疫グロブリンを有効成分として含有する医薬
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】異物が生体内に侵入すると、生体内では
その異物を排除しようとして様々な反応が起こる。その
反応の一つに免疫反応があり、その異物(抗原)に対応
して特異的な蛋白質(抗体)が産生される。免疫反応
は、病原体やその他種々の蛋白質・多糖類などの自己以
外の異物の侵入に際して、自己を防衛するための生体反
応であり、その本態は抗体が特異的に抗原と結合する抗
原抗体反応に基づく。
【0003】抗体の主たる活性は異物である抗原との特
異的な結合活性であり、抗原が細菌などの粒子状の場合
には、抗体が粒子間に架橋を形成することによる凝集反
応、または抗原が毒性・酵素活性などを有する場合は、
抗体が結合することによる中和反応、或いは抗原抗体複
合体が血液中の補体成分と結合し活性化することによる
溶血反応、溶菌反応、免疫粘着反応、免疫食反応などが
誘導され、異物の侵入に対する生体内の免疫応答反応が
行われる。
【0004】免疫グロブリンは、抗体蛋白質及びこれと
構造・機能上類似する蛋白質の総称であり、その性状か
ら5つのクラスに分類されている。例えば、IgGは免
疫グロブリンの主成分であり産生量・血中濃度ともに最
も高く、且つ抗原刺激によって持続的に産生され血液中
の半減期も長いので、持続的に免疫を維持するための重
要な抗体成分として認識されている。これに対してIg
Mは微量の抗原刺激でも早期に産生されるが、その量は
少なく且つ一過性であり早期防御の中心となる抗体と考
えられており、またIgAはその大半が唾液、消化管や
気道の分泌液、乳汁などに分泌されて、外界からの経気
道・経口感染に対する第一線の防御の主体を担っている
ものとみなされている。
【0005】上述したような免疫グロブリン本来の抗体
活性に基づいて、ヒト血漿から調製した免疫グロブリン
製剤が医薬品として用いられている。血漿から精製濃縮
しただけの天然型免疫グロブリンよりなる製剤は、各種
感染症の病原体やその産生物質に対する抗体を種々含ん
でいることから、適応症として無又は低γ−グロブリン
血症のみならず、麻疹、A型肝炎、ポリオ等のウイルス
性疾患の予防及び症状の軽減、並びに重症感染症におけ
る抗生物質との併用が認められている。また特殊な血漿
を原料とした、抗破傷風、B型肝炎などの特殊疾患に対
する天然型の免疫グロブリン製剤もある。
【0006】天然型免疫グロブリンの静脈内投与を可能
にするため、ショック様症状の原因となるグロブリン分
子凝集体を除く目的で、酵素的・化学的な処理や修飾を
加えた静注用の処理型免疫グロブリン製剤がある。例え
ば、ペプシン、プラスミン、ポリエチレングリコール、
イオン交換樹脂、pH4の条件などで処理した製剤や、
アルキル化又はスルホ化した免疫グロブリン製剤等が挙
げられるが、これら処理型製剤の薬理作用も天然型免疫
グロブリン製剤と同様に、免疫グロブリン本来が有する
抗体活性に基づくものであることには変わりはない。こ
のように現在用いられている免疫グロブリン製剤は、前
述した抗体本来の生理活性に基づく治療効果を期待した
ものであり、天然型免疫グロブリンに何らかの処理を加
えて新たな薬理活性を付与したという報告はまだない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、天然
型の免疫グロブリンが本来示さない好酸球増多抑制作
用、免疫調整作用、自己免疫疾患改善作用、抗炎症作用
又は抗アレルギー作用等の薬理活性を付与するための免
疫グロブリンの活性化方法及びその活性化免疫グロブリ
ン並びに該活性化免疫グロブリンを有効成分として含有
する医薬組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決しようとする手段】本発明活性化免疫グロ
ブリンは、免疫グロブリンをヒスタミン成分と適宜混合
処理した後にヒスタミン成分を除去する活性化操作によ
って得ることができる。人間に用いる医薬品としては、
もちろん人免疫グロブリンを原料として用いればよく、
人免疫グロブリンは血清又は胎盤血漿等から通常の方法
で得ることができる。医薬品としての安全性を確保する
ためには、血漿分画製剤に対して通常定められているよ
うな規格を満たすべきである。例えば、原料血漿として
HBs抗原、HCV抗体及びHIV抗体陰性のヒト血漿
を用い且つ加熱処理を行うことによって、肝炎ウイルス
やエイズウイルス等が混入する危険性を回避することが
できる。加熱処理はウイルスの不活化に一般的に利用さ
れており、例えば60℃−10時間液状加熱処理、60
℃−10時間蒸気化加熱処理、65℃−96時間乾燥加
熱処理などが血漿分画製剤において通常用いられてい
る。
【0009】人間以外への適用の場合は、対象とする動
物の種類に応じて、免疫グロブリンをヒト以外の動物か
ら調製して使用すればよい。免疫グロブリンはIgG、
IgA、IgM等のクラスより成るが、本発明免疫グロ
ブリンとしては各クラスの一種又は数種より成るものを
用いてもよい。ヒスタミン成分としては、遊離のヒスタ
ミンやその塩酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩など薬学上
許容される塩を利用することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】免疫グロブリンをヒスタミン成分
と混合処理した後にヒスタミン成分を除去することによ
って、本来は好酸球増多抑制作用、免疫調整作用、自己
免疫疾患改善作用、抗炎症作用又は抗アレルギー作用等
の薬理活性を有さなかった天然型の免疫グロブリンを活
性化することができる。混合処理は水又は生理食塩液等
の水性溶液に免疫グロブリンとヒスタミン成分を溶解
し、溶液が凍結せず且つ免疫グロブリンが熱変性しない
ような適当な温度、例えば室温にて適宜攪拌或いは攪拌
後放置しておけばよく、特に特別な操作は必要でない。
免疫グロブリンをヒスタミン成分と混合処理する比率に
ついては、免疫グロブリンが活性化されるような適当な
ヒスタミン成分量を適宜設定すればよく、例えば1gの
免疫グロブリンに対して0.015乃至150μg、好
ましくは0.075乃至75μgのヒスタミン成分(ヒ
スタミン換算)を用いて実施することができるが、本発
明は上記比率に特に限定されるものではない。
【0011】上記の混合処理後、ヒスタミン成分を除去
すれば本発明活性化免疫グロブリンを得ることができる
が、ヒスタミン成分の除去方法としては、透析法、ゲル
濾過法等の通常用いられている方法が簡便で実施容易で
あるが、その他の吸着カラムクロマト、イオン交換クロ
マト、アフィニティークロマトなど、活性化免疫グロブ
リンとヒスタミンを分離できる方法であれば如何なる方
法を用いてもよい。以下の実施例において、本発明活性
化免疫グロブリンの製造方法について更に詳細に説明す
る。
【0012】
【実施例】後述する薬理試験においてはマウスやラット
を実験動物として使用しているため、人免疫グロブリン
の代わりに実験対象である動物の免疫グロブリン、即ち
マウス免疫グロブリンやラット免疫グロブリンを用い
た。従って、以下の実施例では活性化マウス免疫グロブ
リンの製造法を一例として挙げる。
【0013】実施例1.活性化マウス免疫グロブリンの
製造 50mlのマウス免疫グロブリン溶液(20mg/ml)に、50μl
のヒスタミン二塩酸塩溶液(0.25mg/ml)を添加し、この
混合溶液を室温で2時間緩やかに攪拌した。次いでこの
溶液を、分画分子量12,000〜14,000の透析膜を用いて4
℃で3日間透析を行い、ヒスタミン成分を除去して本発
明活性化マウス免疫グロブリン溶液を得た。具体的には
10〜50mlの溶液を2リットルの生理食塩液で透析し、透
析外液は1日に3回交換してヒスタミン成分を実質的に
完全に除去した。透析終了後、凍結乾燥処理して保存
し、用時に水や生理食塩液等に溶解して用いた。
【0014】実施例2.残存するヒスタミン成分の測定 上記実施例の如く製造した本発明活性化マウス免疫グロ
ブリン中に残存するヒスタミンをラジオイムノアッセイ
法(商品名:ヒスタミンキット「栄研」)を用いて測定
した。本アッセイ法は、標準ヒスタミン及び検体をアシ
ル化して、125I標識ヒスタミン及びヒスタミン抗体チュ
ーブと共にインキュベートした後、未反応の125I標識ヒ
スタミンを除去し、ヒスタミン抗体チューブに結合した
放射能をウエル型シンチレーションカウンターで測定す
る方法である。検体中のヒスタミン濃度は、同時に作成
した標準曲線から求めた。この測定法の感度は 0.2nMで
あるが、上記の本発明活性化マウス免疫グロブリン中に
は残存するヒスタミンは検出されなかった。
【0015】またHPLC−蛍光法による別のヒスタミ
ン測定系を用いたアッセイ法においても、残存ヒスタミ
ンは検出されなかった。さらに、トリチウムで標識した
ヒスタミンと免疫グロブリンを実施例1と同様に混合し
た後、透析してヒスタミンを除去した場合も、最終の透
析内液において測定された放射能は非標識ヒスタミンを
用いた場合(対照)と同じであり、残存ヒスタミンの痕
跡はなかった。このようにいずれの測定法によっても残
存するヒスタミンは測定されず、上記の透析処理によっ
てヒスタミンが実質的にほぼ完全に除去されていること
が確認された。
【0016】
【作用】次に本発明活性化免疫グロブリンの薬理試験の
結果を述べる。 1.好酸球増多抑制作用 Kaneko等の方法(Int. Archs Allergy Appl. Immunol.,
96 巻、 41-45頁、1991年)に従って、6〜8週齢の雌
性BALB/cマウスに、生理食塩液で1000倍希釈したブタク
サ花粉エキスを、開始日及び第1日目には 0.1ml、更に
第6、8、14日目には 0.2mlを皮下注射して感作した。
第20日目に1000倍希釈した 0.2mlのブタクサ抗原をマウ
ス腹腔内に注射し反応を誘発した後、腹腔浸潤細胞を回
収しギムザ染色して好酸球数等を計測した結果、好酸球
数は誘発後24時間目でピークとなった。
【0017】上述の好酸球増多モデルを用いて、本発明
活性化マウス免疫グロブリン(150mg/kg/日) を各々誘
発日まで週に2回3週間皮下投与して好酸球増多に対す
る作用を調べた。また天然型のマウス免疫グロブリンを
同様に投与して比較試験を行った。
【0018】結果の一例を表1に示す。尚、以下の試験
結果においては、Student's t-testを用いて対照との平
均値の有意差を求め*印を付した。〔*:p<0.05, **:p<
0.01,***:p<0.001〕
【0019】
【表1】
【0020】2.免疫調整作用 免疫調整作用はトリニトロフェニル(TNP)特異的抗
体産生及びTNP特異的遅延型過敏(DTH)反応を指
標として測定した。
【0021】(1) トリニトロフェニル結合羊赤血球(TNP
-SRBC)の調製 トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)をリン酸緩衝化生
理食塩液に溶解し(40mg/7.0ml、pH7.2)、これに1mlの
羊赤血球ペレットを攪拌しながら滴下した。遮光状態で
数回攪拌しながら20分間室温で放置した後、生理食塩液
で3回洗浄した。3000rpm で5分間遠心分離した後、生
理食塩液で 5×109/mlに調製した。
【0022】(2) TNP特異的抗体産生 6〜8週齢の雌性BALB/cマウスに 109個のTNP-SRBCを腹
腔内投与し、血清中の抗TNP抗体をジニトロフェニル
−ウシ血清アルブミンを用いた酵素免疫測定法で測定し
た。その結果、抗TNP−IgM、抗TNP−IgGの
強い抗体産生が、各々4〜6日目、6〜8日目をピーク
として認められた。
【0023】(3) TNP特異的DTH反応 上記の抗体産生を測定したマウスを引き続き利用し、TN
P-SRBCの感作後14日目にTNBS(4.7mg/ml, 0.025ml) を後
肢右足蹠に注射し、TNP特異的DTH反応を誘発させ
た。誘発後24時間後に両足蹠の厚さをダイヤルゲージに
て測定し、左右の腫脹の差をDTH反応の強さとして表
した。その結果、誘発24時間後に明確なDTH反応が観
察された。
【0024】(4) 被験薬剤の作用測定 上述の試験系を用いて、本発明活性化マウス免疫グロブ
リン(150mg/kg/日)、天然型のマウス免疫グロブリン
(150mg/kg/日)及びシクロスポリンA(100mg/kg/
日) をTNP-SRBC感作日から4日間皮下投与し、抗TNP
抗体産生及びTNP特異的DTH反応に対する作用を調
べた。
【0025】抗TNP抗体産生系の結果を図1に、TN
P特異的DTH反応系の結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】3.自己免疫疾患改善作用 実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)は、自己免疫疾
患、特に多発性硬化症、ワクチン接種後脳炎等の脱髄性
疾患の好適な実験モデルとして用いられている。受動的
EAEは常法(M. Naiki等、Int. J. Immunopharmac.,
13巻、 2/3号、235-243頁、1991年などに記載)に従っ
て次のように誘導した。モルモットのミエリン塩基性蛋
白質の炎症惹起部位である68番目から84番目のアミノ酸
配列に相当する合成ペプチド(MBP 68-84 )のリン酸緩
衝食塩水溶液(0.2mg/ml) と、加熱結核死菌 2.5mg/ml
を含む完全アジュバント(H37Ra) とを等量混合し、雌ル
イス系ラット(160〜170g) の左後肢足蹠皮内に 0.1ml投
与した。12日後に免疫したラットの脾臓細胞を取り出
し、 2μg/mlのコンカナバリンAを含む培養液を用いて
in vitroで72時間培養した。洗浄後 2×107 個の培養細
胞を別の無処理ラットに尾静脈より投与して受動的EA
Eを発症させた。
【0028】培養脾臓細胞を移入した日から隔日で4
回、生理食塩水に溶解した被検薬を皮下投与し、臨床症
状を連日観察して評価した。臨床的判定は、0=正常、
1=尾下垂、2=軽度の歩行困難又は対麻痺、3=中等
度の運動失調又は下肢の麻痺、4=重度の両下肢麻痺、
5=重度の四肢麻痺及び瀕死の状態、という6段階で評
価した。EAEに対する本発明活性化免疫グロブリンの
改善効果を臨床的に評価した結果の一例を図2に示す。
【0029】
【発明の効果】表1に示したように、本発明活性化免疫
グロブリンはブタクサ花粉抗原誘導の好酸球増多モデル
において、腹腔内への好酸球浸潤を著明に抑制した。ま
た図1の結果から明らかなように、本発明活性化免疫グ
ロブリンは、IgM及びIgG抗体産生に対して顕著な
増強作用を示した。これに対して免疫抑制剤であるシク
ロスポリンAは両抗体産生を著しく抑制した。しかし、
表2に示したとおり、遅延型過敏(DTH)反応に対し
ては、シクロスポリンAと同様に本発明活性化免疫グロ
ブリンは優れた抑制作用を示した。
【0030】このように従来の免疫抑制剤であるシクロ
スポリンAは、IgM及びIgG抗体産生及びDTH反
応の両免疫反応を共に著しく抑制したが、本発明活性化
免疫グロブリンは、抗体産生に対しては増強作用を示
し、DTH反応に対しては抑制作用を示した。従って、
本発明活性化免疫グロブリンは従来の免疫抑制剤とは明
らかに異なる免疫調整作用を有することが明らかであ
る。さらに図2の結果から明らかなように、本発明活性
化免疫グロブリンは、自己免疫疾患モデルである実験的
アレルギー性脳脊髄炎(EAE)において、EAE発症
に伴う臨床症状を有意に抑制した。これに対して天然型
のマウス免疫グロブリンを投与した群においては、対照
と同様にEAE抑制作用は認められなかった。
【0031】本発明活性化免疫グロブリンを製造する際
の免疫グロブリンとヒスタミン成分の混合比について検
討した結果、実施例1における免疫グロブリンに対する
ヒスタミン成分の比を10分の1量にして製造した本発
明活性化免疫グロブリンの場合は実施例1のものと同様
に顕著な好酸球増多抑制作用及びEAE抑制作用が認め
られたが、100分の1量又は10倍量で製造した場合
は抑制傾向は見られたが作用はそれほど強いものではな
かった。また皮下投与に代えて経口投与した場合も、ほ
ぼ同等の好酸球増多抑制作用や抗体産生増強作用等の薬
理活性が観察された。上記のいずれの薬理試験において
も、本発明活性化処理を行っていない通常の免疫グロブ
リンでは作用は認められないため、これらの薬理作用は
本発明活性化処理によって免疫グロブリンに特異的に付
与された作用であることが明らかに示される。
【0032】以上の薬理試験結果から明らかなように、
免疫グロブリンをヒスタミン成分と混合処理した後にヒ
スタミン成分を除去する活性化操作によって得られた本
発明活性化免疫グロブリンは、免疫グロブリン単独成分
でありながら天然型の免疫グロブリンが示さない有用な
薬理作用を有することが明らかになった。この優れた薬
理作用はシクロスポリンA等の従来の免疫抑制剤とは明
らかに異なる特異な免疫調整作用である。さらに本発明
活性化免疫グロブリンは好酸球増多抑制作用を有するこ
とに加え、自己免疫疾患モデルであるEAEに対しても
顕著な改善効果を示すため、全身性エリテマトーデス、
慢性関節リウマチ等の膠原病、多発性硬化症、ワクチン
接種後脳炎等の脱髄性疾患、自己免疫性溶血性貧血、慢
性甲状腺炎、橋本病等の自己免疫疾患や各種の免疫不全
症候群を治療するための薬剤として有用である。好酸球
増多に対する抑制作用に基づき、感染症、寄生虫疾患、
呼吸器疾患、自己免疫疾患、悪性腫瘍等に伴う好酸球増
多症の治療剤としても本発明活性化免疫グロブリンは利
用することができる。
【0033】好酸球は炎症の原因となる刺激を受けた部
位に集まり、炎症症状を引き起こすエフェクター細胞と
して知られている。従って、好酸球の増多を抑制する薬
剤は炎症を抑制する薬剤として用いることができる。本
発明活性化免疫グロブリンは、上記好酸球増多抑制作用
に加え、DTH反応における腫張を抑制する作用や炎症
性の自己免疫疾患(受動的EAE)に対する改善効果も
確認されており、優れた抗炎症剤としても非常に有用性
が高い。また好酸球はアレルギー症状の発現にも深く関
与しており、本発明活性化免疫グロブリンは、気管支喘
息、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎や蕁麻疹、慢性
湿疹、アトピー性皮膚炎などの各種アレルギー性疾患の
治療・予防剤としても用いることができる。
【0034】本発明活性化グロブリンは、適当な医薬用
の担体若しくは希釈剤と組み合わせて医薬とすることが
でき、経口又は非経口投与するための固体、半固体、液
体又は気体の剤形に、当該分野で用いられている通常の
方法によって処方することができる。処方にあたって
は、有効成分として本発明活性化グロブリンを単独で用
いるか若しくは他の医薬活性成分との配合剤としてもよ
い。
【0035】注射剤としては、注射用蒸留水又は生理食
塩液等を用いた等張溶液として製剤化するのが好まし
い。また製剤化の際に本発明活性化免疫グロブリン成分
の他に、溶解補助剤、等張化剤、安定剤、緩衝剤、保存
剤等の添加剤を適宜加えることができ、例えばクエン
酸、安息香酸ナトリウム、グリシン、亜硫酸ナトリウ
ム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、チ
オ硫酸ナトリウム、塩酸システイン、リン酸塩、アスコ
ルビン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリ
ウム等が利用できる。また本発明医薬組成物は用時溶解
して用いるための注射剤として製剤化してもよく、乾燥
した粉末をバイアル瓶等に充填するか、もしくは薬剤溶
液をバイアル瓶等に注入した後に凍結乾燥して製造する
ことができる。この場合には、前記添加剤の他にも必要
に応じてブドウ糖、マンニトール、ソルビトール等の賦
形剤などを加えてもよい。
【0036】本発明活性化グロブリンを経口投与用に製
剤化する場合は、そのまま或いは適当な添加剤、例えば
乳糖、マンニット、トウモロコシデンプン、バレイショ
デンプン等の慣用の賦形剤と共に、結晶セルロース、セ
ルロース誘導体、アラビアゴム、トウモロコシデンプ
ン、ゼラチン等の結合剤、トウモロコシデンプン、バレ
イショデンプン、カルボキシメチルセルロースカリウム
等の崩壊剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム等の滑
沢剤、その他増量剤、湿潤化剤、緩衝剤、保存剤、香料
等を適宜組み合わせて錠剤、散剤、顆粒剤或いはカプセ
ル剤とすることができる。また患者の状態や疾患の種類
に応じて、その治療に最適な上記以外の剤形、例えば吸
入剤、エアゾール剤、軟膏、点眼剤、坐剤等に適宜製剤
化することが可能である。
【0037】本発明活性化グロブリンの望ましい投与量
は、疾患の種類、重症度、患者の年齢・性別、剤形、投
与方法、投与期間等によって適宜設定するのが好まし
い。例えば注射剤で所望の効果を得るためには、一般の
成人に対して通常1乃至300mg、好ましくは5乃至
150mgを週1回乃至数回皮下投与することができる
が、本発明はこれによって特に限定されるものではな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明活性化免疫グロブリンの抗TNP抗体産
生に対する増強作用を示したグラフである。
【図2】実験的アレルギー性脳脊髄炎発症に対する本発
明活性化免疫グロブリンの抑制作用を示したグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 9/08 A61K 9/08 F C07K 16/18 C07K 16/18 (72)発明者 深田 有理子 兵庫県加東郡社町木梨字川北山442番1 日本臓器製薬株式会社生物活性科学研究所 内

Claims (12)

    【整理番号】 PC−257 【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性化免疫グロブリン。
  2. 【請求項2】 好酸球増多抑制作用、免疫調整作用、自
    己免疫疾患改善作用、抗炎症作用又は抗アレルギー作用
    を有する請求項1記載の活性化免疫グロブリン。
  3. 【請求項3】 免疫グロブリンをヒスタミン成分と混合
    処理した後にヒスタミンを除去する活性化操作によって
    得られる請求項1記載の活性化免疫グロブリン。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の活性化免疫グロブリンを
    含有する医薬。
  5. 【請求項5】 好酸球増多抑制剤である請求項4記載の
    医薬。
  6. 【請求項6】 免疫調整剤である請求項4記載の医薬。
  7. 【請求項7】 自己免疫疾患治療剤である請求項4記載
    の医薬。
  8. 【請求項8】 抗炎症剤である請求項4記載の医薬。
  9. 【請求項9】 抗アレルギー剤である請求項4記載の医
    薬。
  10. 【請求項10】 注射剤である請求項4記載の医薬。
  11. 【請求項11】 経口剤である請求項4記載の医薬。
  12. 【請求項12】 免疫グロブリンをヒスタミン成分と混
    合処理した後にヒスタミンを除去する免疫グロブリンの
    活性化方法。
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