JPH10501612A - 湿地地帯での遊戯狩猟用の散弾ペレット及びそのような散弾の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、湿地地帯又は同様の湿潤な地域での狩猟用の散弾ぺレットに関する。本発明の散弾は、内部コアが銅又は銅合金であり、外層が銀又は銀合金である。散弾から周囲の環境に重金属が浸出することはなく、鳥が大量の散弾を摂取したとしても、散弾は鳥に対して毒性はない。本発明の散弾は、銅又は銅合金を粒状化して、電気化学的に散弾のコアを得て、その後に、少なくとも一層を該コアに施すことにより製造される。該外層は、常に、銀又は銀合金からなる。

Description

【発明の詳細な説明】 湿地地帯での遊戯狩猟用の散弾ペレット及び そのような散弾の製造方法 本発明は、湿地地帯での狩猟用、特に、鳥の狩猟用の、ＢＢ−散弾ペレット等 の散弾(shot)、及び、そのような散弾の製造方法に関する。 非常に多くの鉛散弾ペレットが、鳥の狩猟において世界的に使用されている。 該ペレットの大部分は、標的には命中せずに、比較的損傷を受けないで地面に落 ちるか、又は、水路や湖の底に沈み、時間の経過とともに蓄積する。例えば、湿 地地帯で狩猟をする場合は、例えば野鴨や同種の鳥などの水鳥の群れが多く住ん でいる地域の中に、散弾が蓄積するであろう。 最近の10年間を通じて、特に猟鳥及び野鴨に、鉛中毒の徴候が見られるという ことが調査から明らかになっている。鳥は、食物、及び摂取された食物の消化を 助ける砂粒(grit)を捜して、地面或いは川や湖の底から、鉛ペレットを摂取して いることが確認されている。 該鉛ペレットは、７〜15日の間、鳥の砂嚢内の留まる。鳥が作る胃液は、pHが 約１の強い酸で、主に塩酸からなり、そのため、大量の鉛が該ペレットから浸出 する。その後、浸出した鉛は、血管を通って、生命維持に必要な体の器官に移動 して、苦痛を生じ、多くの場合、その鳥に死をもたらす。科学的な研究によれば 、そのような生物の繁殖能力もまた、鉛の摂取により影響を受ける。この危険性 は、狩猟が非常に集中する水鳥が多く生息する地域で、増大している。 鳥が鉛中毒になるのを回避するために、次第に多くの国々が、少なくとも湿地 地帯及び川や湖での狩猟に鉛散弾を使用することを完全に禁止しつつある。現在 の鉛散弾の代わりは、鉄又はスチールの散弾である。極めて量が限定されるが、 ビスマスの散弾も利用することができる。しかしながら、鉄とスチールの散弾に は、別に重大な欠点があり、狩猟者はそのような散弾をほとんど使用していない 。とりわけ、スチールと鉄の散弾の密度は、鉛散弾の密度よりも30％低いため、 多量の発射薬を必要とし、それ故、銃身を裂く危険性がある。さらに、鉄とスチ ー ルの散弾は、鉛散弾よりも侵入力(penetrating force)が小さく、非常に多くの 傷を負わせることになる。さらに、スチールと鉄の散弾は、銃身をさらに多く疲 労させる。鉄とスチールの散弾を用いて狩猟するときに跳弾によって生ずる火花 にはまた、重大な危険性、例えば重大な火災の危険性がある。 本明細書中に含まれるものとされる、我々の以前の国際公開第WO94/08199号は 、銀メッキした鉛ペレットを提案しており、そのペレットは、周囲への鉛の浸出 が極僅かであり、鳥の胃、特に砂嚢内での鉛の溶解が、他の公知のコーティング 又はメッキした鉛散弾に比べて、大きく減っている。しかしながら、該散弾は鳥 の砂嚢内で曝される非常に粗い研摩の影響のために、銀を密にコーティングした としても銀メッキした鉛散弾が、７〜15日後、恐らくもっと長い時間の後であっ ても、砂嚢から散弾の残留物が排出される前に、該散弾から鉛を浸出できる程度 にすり減らされないであろうということを排除することができない。従って、前 記の特許公報から明らかなように、我々が以前にした銀メッキした鉛散弾を使用 する場合に、たとえ水鳥が鉛中毒となる危険性が極めて少ないとしても、非常に 敏感な湿地地帯又は水地域では、銀メッキした散弾を含む全ての鉛散弾の使用の 完全な禁止を、当局は認めることができる。鉛は、銀メッキした鉛散弾から固い 地面には浸出しないので、該散弾は、いずれにしても、森や森林地帯における使 用（ドライハンティング）に非常に適している。 従って、湿地地帯及び同様の地域での鳥の狩猟に使用できる散弾であって、従 来公知の他の散弾に比べて、最大限可能な程度まで鉛散弾の良好な性質を全て具 備し、一方で同時に、緒論で述べた水鳥が鉛中毒になる欠点と、周囲に重金属を 浸出する危険性とを完全に排除した、鉛ベースの散弾の代わりとなる散弾が必要 である。 驚くべきことに、本発明により、湿地地帯及び同様の地域での猟鳥の狩猟に使 用することができる散弾であって、鉛を含まないにも関わらず良好な射撃性を有 し、且つ、重金属が土壌に浸出する危険性が実質的に完全になく、また、食物や 消化過程を助ける砂粒を捜して、水鳥が落ちた散弾を大量に摂取したとしても、 水鳥が鉛中毒になる危険性が実質的に完全にない散弾を製造することができる。 本発明の特徴は、本出願の請求の範囲から明らかとなるであろう。 従って、本発明の散弾は、銅又は銅合金の内部コア、並びに、電気化学的に施 されている銀又は銀合金の外層を含む。 本発明の散弾は、銅又は銅合金を粒状化して、球状のコアを形成し、該銅表面 を完全にカバーするか又はカバーする一層以上の層で、該コアを電気化学的にコ ーティングすることによって製造され、このとき、外層は、常に、銅表面上に薄 く密度の高い層で施される銀又は銀合金からなっている。 中間層を有するか又は有しない散弾のコアは、洗浄及び活性化により適切に前 処理される。 １つの有利かつ簡潔な方法は、アルカリ性シアン化物ベースの電解質を使用し て、連続的な電気化学メッキ工程により、散弾のコアを一層以上の層でコーティ ングすることである。 最終的な製造、即ち、粒状化された銅コアから開始する製造は、銀メッキした 鉛散弾の製造に使用するのと同じ装置で行うことができる。 本発明の銀メッキした銅散弾は、銀メッキした鉛散弾の正の特徴を全て有し、 とりわけ、銀と銅は、銀と鉛に比べてより密接な電気化学的関係があるので、従 って、銅表面に電解質により施された銀の層を有する散弾は、同様の銀メッキし た鉛散弾と同じかそれよりも良好な性質を有しており、又、該鉛散弾と同じかそ れより良好な結果を生ずる。さらに、銅の密度は、鉄の密度よりも鉛の密度に近 く、代用の鉄散弾の使用に比べて非常に有利である。従って、鉄散弾の射撃特性 に関して、緒論中で論じた問題点は、銅散弾により大きく軽減される。 比較試験により示されているように、鉛のコアの代わりに銅のコアを使用する 場合は、銀の層の機械的性質と、密度が高くほぼ不活性な層であって周囲へ重金 属が漏れるのを防ぐ層を形成する能力が、十分に維持されている。 我々の以前の国際公開第WO94/08199号の実施例において、メッキした鉛散弾に ついて報告した試験で観られる重金属の浸出速度であって、本発明の場合に適用 することが合理的に仮定できる浸出速度では、たとえ鳥が多量の散弾を摂取して 、長期間に渡って散弾を保持することができるとしても、保護管理論者は、鳥が 散弾によって中毒になる危険性をほぼ完全に排除することができる。これは、銅 が鉛に比べてほとんど毒性がないからである。 我々が以前にした銀メッキした鉛散弾と同様に、銀のコーティングは、鉛表面 と同様に銅表面にも同じ接着性を持ち、且つ、銅と同様な可塑化特性を持つため 、重金属は土壌中或いは地面の上には漏れないであろう。 本発明の銀メッキした銅散弾は、湿地地帯又は水鳥の群れが住む縄張りにおい て、狩猟に使用される散弾ペレットに必要とされる有効な性質の唯一の組合せを 具備している。 本発明の散弾は優れた発射性を有しているが、その最も重要な性質は、環境に 完全に安全なことであり、これは、自然環境中に重金属を浸出する危険性がなく 、また、地面に落ちている散弾又は例えば湖や川の底に沈んでいる散弾を摂取し ても鳥が中毒する危険性がないからである。それ故、非常に敏感な地域、主に、 水鳥及び他の種類の鳥の群れが多く住んでいる湿地地帯での狩猟でなくても、自 然保護当局は、本発明の散弾の使用を禁止する理由を見出せないと考えられる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，Ｓ Ｚ，ＵＧ)，ＵＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＺ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＨＵ，Ｉ Ｓ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ， ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，Ｓ Ｄ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ (72)発明者 パウルソン カーリン スウェーデン エス−93232 スケーレフ テーハムン ハーマルガタン ６

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．湿地地帯及び同様の湿潤な地域での狩猟用の散弾ペレットであって、内部コ アが銅又は銅合金であり、そこに銀又は銀合金の外層が電気化学的に施され、該 内部コアの銅表面が完全にカバーされていることを特徴とする、散弾ペレット。 ２．銀又は銀合金の外層の厚さが、10〜15μｍである、請求項１に記載の散弾。 ３．銅又は銅合金を粒状化にして球状の散弾コアを生成し、少なくとも一層によ って銅表面全体を電気化学的にカバーし、外層が常に銀又は銀合金からなる、請 求項１又は請求項２に記載の散弾の製造方法。 ４．アルカリ性シアン化物ベースの電解質を用いて、銀又は銀合金の電解質のコ ーティングを施す、請求項３に記載の方法。