JPH10331609A - コンバインド・サイクル発電方法及びその発電装置 - Google Patents

コンバインド・サイクル発電方法及びその発電装置

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JPH10331609A
JPH10331609A JP9153055A JP15305597A JPH10331609A JP H10331609 A JPH10331609 A JP H10331609A JP 9153055 A JP9153055 A JP 9153055A JP 15305597 A JP15305597 A JP 15305597A JP H10331609 A JPH10331609 A JP H10331609A
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boiler
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正樹 飯島
Hiroshi Makihara
洋 牧原
Masahito Kaneko
雅人 金子
Hiroshi Suzumura
鈴村  洋
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  • Engine Equipment That Uses Special Cycles (AREA)
  • Control Of Eletrric Generators (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 価格の安い石炭を利用して、部分分解処理装
置の製造能力や熱損失の面からの影響を受けることを少
なくして発電用燃料を製造し、得られた燃料を有効に使
用して高効率の発電を行うことであり、環境への悪影響
が少なく、設備費の安い方法を提供すると同時に、発電
負荷の変動に対処できると共に、部分分解処理装置の操
業の変動が少なくなるようにすることである。 【解決手段】 石炭を乾留して留出分並びに残分に分離
し、該留出分をガスタービンに供給して燃焼させ、燃焼
により発生した駆動用燃焼ガスによりガスタービンを駆
動して発電し、残分をボイラ・スチームタービンシステ
ムのボイラに供給して燃焼させ、発生したスチームによ
りスチームタービンを駆動して発電するコンバインド・
サイクル発電装置において、該留出分を貯蔵しガスター
ビンに供給する留出分貯槽、残分を貯蔵しボイラに供給
する残分貯槽のいずれか又は両者を設けたコンバインド
・サイクル発電装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭を部分分解処
理して留出分と残分に分離し、燃料として貯蔵して、他
の貯蔵燃料と共に、留出分を発電のガスタービン用に、
又は残分をボイラ・スチームタービンシステムの蒸気を
発生するボイラに使用することによる、コンバインド・
サイクル発電の、特に排気再燃コンバインド・サイクル
発電の負荷変動に対処する発電方法及び発電装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】燃焼によるエネルギーをタービン等の原
動機を通じて電気エネルギーに変換する方法には、スチ
ームタービンによる発電方法、ガスタービンによる発電
方法及びこれらを組み合わせたコンバインド・サイクル
発電方法がある。スチームタービンは、燃料に重油、原
油又は石炭等を使用し、ボイラで発生した高温、高圧の
スチームによりタービンを駆動して発電するが、熱効率
が38〜39%/HHV基準(HHV:高位発熱量、以
下特に断らない限り発電の熱効率はHHV基準で示す)
と比較的低い。又、ガスタービンは、燃料に液化天然ガ
ス(LNG)、軽油等を使用して、燃料を圧縮空気で、
さらには、圧縮空気を燃焼熱で加熱して燃焼させ、発生
した高温、高圧のガスによりタービンを駆動して発電す
る。発電効率は15〜20%であるが、ガスタービンの
排ガスは、例えば、450〜650℃と高温であるので
この熱を利用することができる。
【0003】これらを組み合わせたコンバインド・サイ
クル発電では、燃料にLNGを使用し、圧縮空気で燃料
を燃焼させ、その高温高圧ガスでガスタービンを回転さ
せて発電させ、さらにその排ガスを排熱回収ボイラに供
給してスチームを発生させ、スチームタービンにより発
電する方法が実施されており、熱効率が46〜47%と
高いことが特徴である。従って発電装置の老朽化により
設備を新設する際には、燃料使用量の増加によらないで
今後の電力需要増に対処するため、熱効率の高いコンバ
インド・サイクル発電への転換が進められている。しか
しながら、前記LNGによるコンバインド・サイクル発
電では、燃料のLNGは貯蔵にコストがかかり、供給に
問題を生じるおそれがある。
【0004】欧米では、LNGや軽油以外に、原油や残
渣油をガスタービンの燃料に使用している実績がある
が、それらに含まれる不純物のためトラブルが多く発生
し、軽油やLNGを使用する場合に比べ保守費用がかさ
むという問題点が指摘されている。金属製ガスタービン
に使用する燃料の不純物含有量として、ナトリウム分と
カリウム分を0.5ppm以下、バナジウム分を0.5
ppm以下にすることが望ましい。特にナトリウム、カ
リウムの塩分とバナジウム分は相互に影響して金属製ガ
スタービンのブレード金属の溶融点を低下させたり、灰
分のブレードへの付着の原因となる。なお、金属製ガス
タービンとはタービンノズル、ロータ、ブレード、熱交
換器、高温ガス流路等の高温に接触する部分が金属材料
で構成されているものであり、セラミック製ガスタービ
ンとは上記高温に接触する部分の一部又は全部がセラミ
ック材料で構成されているものである。
【0005】火力発電は、石油やLNGの他に、天然に
多量に埋蔵されている石炭を燃料として使用することが
できる。しかしながら、石炭をコンバインド・サイクル
発電に利用するには、石炭を一度ガスに変換する必要が
あり、ガスへの変換効率が問題である。このため、ガス
化炉に噴流床方式を使用し、送電端効率約43〜47%
の石炭ガス化複合発電(IGCC)が検討されている。
この方法では、石炭を全量ガス化するものであり、その
ために原料となる石炭の乾燥、微粉砕等に過大の設備を
必要としたり、特別な形式のガス化炉を必要としたり、
操作条件が過酷であったり、洗浄脱塵等のガス生成に設
備が大きくなったり、溶融灰の処理が必要であったり、
蒸気タービンに使用する燃料までガス化する等の問題点
があった。石炭を部分分解処理して、留出分並びに残分
に分離し、該留出分をガスタービンに供給して燃焼さ
せ、燃焼により発生した駆動用燃焼ガスによりガスター
ビンを駆動して発電し、残分をボイラ・スチームタービ
ンシステムのボイラに供給して燃焼させ、発生したスチ
ームによりスチームタービンを駆動して発電する発電装
置では、それぞれの燃料(留出分又は残分)をガスター
ビン又はボイラに供給する構成であるが、電力需要の変
動に伴う発電負荷の変動に対して柔軟に対応することが
困難であった。すなわち従来は、発電負荷の変動がある
と、ガスタービン燃料としての留出分の生成量と、ボイ
ラ用燃料としての残分の生成量との比率を所望の値に変
動させて、発電負荷の変動に応じるという運転操作が必
要であった。特に、発電負荷が昼夜で大きく異なるよう
な場合には、部分分解処理条件を変動させて、留出分の
生成量と、ボイラ用燃料としての残分の生成量との比率
を、発電負荷の大きな変動に合わせて変更することは、
部分分解処理装置を、一日の平均値よりも大きな製造能
力のものにする必要があったり、操作面でも熱損失が大
きくなる等の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、化石
燃料として豊富に存在し、石油等に比べて価格の安い石
炭を利用して、上記のような部分分解処理装置の製造能
力や熱損失の面からの影響を受けることを少なくして発
電用燃料を製造し、得られた燃料を有効に使用して高効
率の発電を行うことであり、燃料のエネルギーを有効に
利用することであり、更には、環境への悪影響が少な
く、設備費の安い方法を提供すると同時に、発電負荷の
変動に対処できると共に、部分分解処理装置の操業の変
動が少なくなるようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、石炭を利
用した発電について鋭意検討した結果、部分分解処理を
行ない、得られた留出分及び/又は残分を貯蔵するとと
もに、ガスタービン用燃料及び/又はボイラ用燃料を貯
蔵し、これらの燃料を必要に応じて使用することにより
発電負荷の変動に対処できると共に、部分分解処理装置
の操業の変動が少なくなることを見いだし本発明を完成
させるに至った。
【0008】すなわち、本発明は、石炭を部分分解処理
して留出分並びに残分に分離し、該留出分をガスタービ
ンに供給して燃焼させ、燃焼により発生した駆動用燃焼
ガスによりガスタービンを駆動して発電し、残分をボイ
ラ・スチームタービンシステムのボイラに供給して燃焼
させ、発生したスチームによりスチームタービンを駆動
して発電するコンバインド・サイクル発電装置におい
て、該留出分を貯蔵し、ガスタービンに供給する留出分
貯槽、残分を貯蔵しボイラに供給する残分貯槽のいずれ
か又は両者を設けたコンバインド・サイクル発電装置、
留出分から油分を分離して油分を留出分貯槽に貯蔵する
コンバインド・サイクル発電装置、並びに、前記ガスタ
ービンに供給するガスタービン補助燃料貯槽、前記ボイ
ラに供給するボイラ補助燃料貯槽のいずれか又は両者を
設けたコンバインド・サイクル発電装置に関するもので
ある。又本発明は、上記のいずれかのコンバインド・サ
イクル発電装置を用いたコンバインド・サイクル発電方
法であって、前記ガスタービンの燃料として使用する留
出分が、ボイラの燃料として使用する残分に対して過剰
となった場合に、留出分貯槽内の燃料を残分貯槽に供給
して、ガスタービンに使用する燃料とボイラに使用する
燃料の比率を調整することを特徴とするコンバインド・
サイクル発電方法に関するものであり、更に、ガスター
ビン補助燃料貯槽、ボイラ補助燃料貯槽のいずれか又は
両者を設けたコンバインド・サイクル発電装置を用いた
コンバインド・サイクル発電方法であって、石炭を部分
処理して、留出分並びに残分に分離する条件を、ガスタ
ービンにおける平均的な燃料消費量に相当する量の前記
留出分が得られる略一定値に維持し、前記ガスタービン
の燃料が不足した場合には、前記ガスタービン補助燃料
貯槽内のガスタービン補助燃料をガスタービンの燃料供
給系あるいはガスタービンに供給してその不足分を補
い、前記ボイラの燃料が不足し、且つ前記ガスタービン
の燃料が過剰の場合には、前記留出分貯槽内の燃料を前
記残分貯槽に供給してその不足分を補い、前記ボイラの
燃料が不足し、且つ前記ガスタービンの燃料が過剰でな
い場合には、前記ボイラ補助燃料貯槽内のボイラ補助燃
料を前記ボイラの燃料供給系あるいはボイラ・スチーム
タービンシステムのボイラに供給してその不足分を補う
ことを特徴とするコンバインド・サイクル発電方法に関
するものであり、特に、排気再燃コンバインド・サイク
ル発電方法に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で原料として用いられる石
炭としては、褐炭、黒褐炭、低度瀝青炭、高度瀝青炭、
半瀝青炭、半無煙炭、無煙炭等が挙げられる。好ましく
は揮発分含有量が20重量%以上のものである。
【0010】本発明で用いられる部分分解処理として
は、原料である石炭をガスタービン用燃料に使用できる
成分を含む留出分とボイラ用燃料に使用できる残分に少
なくとも分離できる方法であれば、いかなる方法も使用
できる。部分分解処理としては、例えば、乾留、水性ガ
ス化、燃焼ガス化、マイクロ波照射、水素化、液化等が
挙げられる。
【0011】本発明において、留出とは固体の石炭か
ら、部分分解処理により生じた成分を気体又は液体で分
離することをいう。従って、留出分はガス分又はガス及
び液体分であり、液体分は一度気化して凝縮して液化し
たものも、液体状態で発生したものも含まれる。本発明
において、残分とは固体の石炭から、上記留出分が発生
した後の残りのものをいい、常温で固体である。
【0012】留出分は、ガス成分又はガス及び液の混合
成分である。留出分は、一度気体又は気体と液体の混合
物となるので、固体分の混入は少ないが、必要によりサ
イクロン、フィルター、ストレーナー等により除去する
ことができる。留出分はそのままガスタービンの燃料と
して使用することもできるが、留出分を冷却して非凝縮
性のガス成分と凝縮した液成分に分離したものを使用す
ることができる。留出分にはガス成分の他に、通常、炭
化水素、アンモニア等の窒素化合物、硫化水素等の硫化
物、タール等が含まれる場合がある。ガス成分は、後述
する液成分、油分又はその他の洗浄油により洗浄して精
製してもよいし、又は脱塵後、脱硫装置により硫化水素
を除去することができる。脱塵方法として、サイクロ
ン、フィルターを使用すれば、留出物又はガスを高温、
高圧の状態でガスタービン燃焼室に供給することができ
る。
【0013】液成分は水分と油分であり、必要により水
分を分離して油分のみをガスタービン燃料として利用す
ることができる。本発明ではガスタービンに金属製ガス
タービンもセラミックガスタービンも使用できるが、水
分には塩分、バナジウム分等の無機物が濃縮されるの
で、金属製ガスタービンを使用する場合には油分のみを
利用することが好ましい。分離された水分は、後述する
アルコール等を含むのでボイラの燃料に混入することが
できる。又、液成分、水分もしくは油分はストレーナ
ー、フィルター等により固形分を除去して使用すること
ができる。油分は、主として、ナフサ、タール等であ
り、部分分解処理により生成したもの及び石炭の揮発分
がそのまま留出したものである。油分は、さらに蒸留等
により精製分離して使用してもよい。特に、留出分貯槽
に貯蔵する場合には、油分のみを貯蔵することが好まし
い。
【0014】蒸留残渣にはナトリウム、カリウム、カル
シウム等の塩分、鉛、バナジウム分等の無機物が濃縮さ
れるので、蒸留精製すればさらに好ましい金属製ガスタ
ービン用燃料が得られる。又、残渣はボイラの燃料に混
入することができる。金属製ガスタービンでは、ガスタ
ービン用燃料中の不純物は、例えば、ナトリウムとカリ
ウム分含有量0.5重量ppm以下及びバナジウム分含
有量0.5重量ppm以下であり、カルシウム分も硬い
析出物を生じるので0.5重量ppm以下が好ましく、
鉛分は腐食を生じ更に腐食防止のためのマグネシウム添
加物の効果を低下させるために0.5重量ppm以下で
あることが好ましい。
【0015】部分分解処理では、残分は炭種、処理条件
によっては粉末のままで得られたり、軟化溶融又は焼結
して塊となるが、ボイラの形式により使い分けることが
できる。残分には灰分が濃縮され、灰分には上記塩分、
バナジウム分等のタービンブレード腐食成分が濃縮され
る。
【0016】以下、本発明で用いられる種々の部分分解
処理方法について説明する。初めに、乾留について説明
する。乾留には、最終加熱温度が800℃以下の低温乾
留と、それ以上で通常1000℃付近で行われる高温乾
留とがあり、本発明では両方法が使用できる。低温乾留
では油分や燃料に使用されるチャーが多く得られ、高温
乾留ではコークス炉ガスや高炉又は鋳物用に使用される
コークスが多く得られる。又、本発明で行う乾留は、5
00℃以下の熱分解炭化過程のみでシンタリング過程を
含まないでもよい。この場合には、残分は、炭種によっ
ては粉末のままで得られたり、軟化溶融して塊となる
が、ボイラの形式により使い分けることができる。本発
明において乾留とは、上記低温乾留、高温乾留、熱分解
炭化又はこれらの組み合わされたものをいう。
【0017】本発明で用いられる部分燃焼ガス化処理を
説明すると、無触媒であっても、炭酸カリのようなアル
カリ金属化合物等の触媒の存在下に行われてもよい。部
分燃焼ガス化処理方法としては、例えば、固定床炉、流
動床炉、気流床炉、溶融層炉、移動床炉、固定床−気流
床組み合わせ炉、流動床−気流床組み合わせ炉、気流床
−溶融層組み合わせ炉等を用いた方法が挙げられる。石
炭に対して添加する酸素(空気を使用する場合には空気
中の酸素)、水蒸気の重量比率は、石炭1に対して酸素
約1.5以下、水蒸気3以下であり、好ましくは、酸素
0.1〜1.2であり、水蒸気0.1〜2.0であり、
処理温度は、炉の温度で300〜1600℃であり、圧
力は、常圧〜100気圧である。従って、留出分を常圧
から100気圧程度の加圧で得ることができる。添加す
る水蒸気の重量比率が3に近いほど一酸化炭素から水素
へのシフト反応が進行するために、留出分中の水素の比
率が増すし、酸素、水蒸気が少ないほど乾留に近くな
り、ガス成分が減少し、液成分が増加する。
【0018】本発明で用いられる部分水性ガス化処理を
説明すると、固定床炉、流動床炉、気流床炉、溶融層
炉、移動床炉、固定床−気流床組み合わせ炉、流動床−
気流床組み合わせ炉、気流床−溶融層組み合わせ炉等を
用いた方法が挙げられる。石炭を部分水性ガス化処理す
る条件はこれらの方式により異なるが、石炭に対して添
加する水蒸気の重量比率は、石炭1に対して3以下であ
り、好ましくは、0.1〜2であり、処理温度は、炉の
温度で300〜1600℃であり、圧力は、常圧〜10
0気圧である。添加する水蒸気の重量比率が2に近いほ
ど一酸化炭素から水素へのシフト反応が進行するため
に、留出分中の水素の比率が増すし、0.1に近づくほ
ど乾留に近くなり、ガス化分が減少する。
【0019】本発明で用いられる部分水素化処理を説明
すると、部分水素化は無触媒でも、金属触媒の存在下に
行うこともできる。無触媒では、得られる油を循環溶媒
に使用して、処理温度、圧力は熱分解ないし乾留の場合
とほぼ同じであるが、必要な熱供給量は、水素化が発熱
反応であるために、わずかな量ですむ。又、Co−Mo
/アルミナ又はNi−Mo/アルミナあるいは鉄系又は
亜鉛系のような使い捨て触媒の存在下に、得られる油を
循環溶媒に使用して、400〜500℃、20〜200
気圧で部分水素化処理を行うことができる。得られた留
出物は、メタン等の低級炭化水素ガスに富み、熱量が高
い。
【0020】本発明で用いられる部分液化処理を説明す
ると、得られる油を循環溶媒に使用して、石炭をそのま
ま、又は微粉化して循環溶媒に分散させる。無触媒又は
部分水素化処理触媒と同様の触媒を使用して、IG法、
EDS法、ダウ(Dow)法、塩化亜鉛触媒法、ベルグ
バウ−フォルシュンク(Bergbau−Forsch
ung)法、ザールベルグベルケ(Saarbergw
erke)法、SRC法、SRC−II法、三井−SRC
法、C−SRC法、H−Coal法、溶媒抽出法、超臨
界ガス抽出法、STC法、ソルボリシス法、CS/R
法、IGT−SRT法、NEDOL法等により液化が行
われる。部分液化処理条件は、300〜500℃、20
〜200気圧で行うことができる。低圧ではチャーや重
質油が多いが、本発明ではこれらはボイラに使用できる
ので、完全液化を行わなくてもよい。
【0021】本発明で用いられるマイクロ波照射処理
は、石炭を、好ましくは炭化水素の存在下に、部分分解
し、留出分を水冷等により冷却して、凝縮しないガス成
分と、凝縮する液化成分と、デカンテーションにより分
離される液体成分と固体成分とに転換する操作である。
マイクロ波照射処理方法は、反応器の外部からマイクロ
波を照射する方法であっても、反応器の内部で照射する
方法であってもよい。又、処理方法は回分法、半回分
法、連続法のいずれの操作方法によっても可能である。
炭化水素は、炭素数1〜20の飽和脂肪族、不飽和脂肪
族、飽和脂環族、不飽和脂環族、芳香族炭化水素であ
る。特に好ましくは炭化水素ガスであり、メタン、エタ
ン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロピレン、メ
チルアセチレン、ブタン、ブテン、ブタジエン、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、シクロヘキサンである。炭化水素ガスは液体の炭化
水素を加熱して生じたものでも、不活性ガスに同伴して
生じたものでもよい。炭化水素の存在下では、炭化水素
はマイクロ波によりプラズマ状態になり、これにより石
炭との反応が促進されて、石炭から効率よくガス成分、
液成分、及び残分を生ずる。マイクロ波照射処理は常温
でも、加熱下でも行うことができる。加熱は、単に反応
器を外部から加熱してもよいが、好ましくは、所定温度
に加熱された炭化水素ガスを送入して加熱し、同伴して
揮発分を留出させる。加熱温度は50℃以上、好ましく
は100〜1000℃である。
【0022】ガスタービン補助燃料貯槽に貯蔵される燃
料は、可燃性の気体、可燃性の軽質液体(常圧沸点が約
482℃(900゜F)以下の液体)であり、具体的に
は、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、
ブタン類、ブテン類、ヘキサン類、ヘプタン類、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジメチ
ルエーテル、ジエチルエーテル、LNG、LPG、ナフ
サ、ガソリン、灯油、軽油、天然ガス、炭層メタン、ラ
ンドフィルガス、高炉ガス、コークス炉ガス、転炉ガ
ス、水素等を含む化学プラントからの副生ガス、石炭又
は重質油等のガス化ガス、石炭乾留ガス、石炭水性ガス
化ガス、石炭部分燃焼ガス、重質油熱分解軽質油又はガ
ス、重質油酸化分解軽質油又はガス、超重質油熱分解軽
質油又はガス、超重質油酸化分解軽質油又はガス、発酵
ガス、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0023】ボイラ補助燃料貯槽に貯蔵される燃料は、
特に制限はなく、燃焼可能な燃料であれば全て使用でき
る。従って、上記ガスタービン補助燃料の他に、可燃性
の固体、可燃性の液体であり、具体的には、石炭、チャ
ー、コークス、重油、残渣油、ピッチ、ビチューメン、
石油コークス、カ−ボン、タールサンド、タールサンド
から得られるサンドオイル、オイルシェール、オイルシ
ェールから得られるシェールオイル、オリノコタール、
オリノコタールの水懸濁物であるオリマルジョン、アス
ファルト、アスファルトの水懸濁物であるアスマルジョ
ン、石炭−油混合物(COM)、石炭−水混合物(CW
M)、石炭−メタノールスラリー、木、草、油脂、搾油
滓等の天然物由来マス、廃プラスチック、可燃ゴミ、可
燃スラッジ及びこれらの混合物等が挙げられるが、好ま
しくは、ボイラ補助燃料貯槽に貯蔵される燃料は部分分
解処理に使用される石炭である。
【0024】又、製造された留出分と残分を本コンバイ
ンド・サイクル発電に使用する他に、その一部を外部の
他の燃料、合成原料等に使用することも本発明の基本的
考えに含まれるものである。
【0025】以下、本発明を図により説明する。図では
主要部のみ示し、ポンプ、熱交換器、サイクロン、スト
レーナー、フィルター、貯槽、固体搬送手段、加熱用ガ
ス発生設備等の装置及び付属装置や排煙脱硝、脱硫、脱
炭酸等の付帯設備は省略した。図1は、部分分解処理装
置と各種燃料貯槽を有する本発明のプロセスフロー図で
ある。図2は、得られた留出分をガス成分と液成分に分
離する場合のプロセスフロー図である。図3は、油分を
更に蒸留する場合のプロセスフロー図である。
【0026】図1において、石炭貯槽1内の石炭を部分
分解処理装置2(ここでは乾留装置を例にして説明す
る)に供給して、加熱用ガス15を加えて部分分解処理
した後、留出分3と残分4に分離し、留出分3をそのま
まガスタービンに供給するか、又は液成分あるいは油分
に分離して留出分貯槽42に貯蔵し、残分4を残分貯槽
43に貯蔵する。液成分あるいは油分に分離して留出分
貯槽42に貯蔵する場合でも、ガス分はそのままガスタ
ービンに供給することが好ましい。留出分3は、ガスタ
ービン(ガスタービンの本体21、空気圧縮機22、燃
焼室23からなる)の燃焼室23に供給され、圧縮空気
(酸素富化空気でもよい)25と混合され、燃焼させ
て、高温高圧の駆動用燃焼ガス27を発生させ、それに
よりガスタービンを駆動し、ガスタービンの軸に取り付
けられたガスタービン用発電機24により発電する。ガ
スタービンから排出されたガスタービン排ガス28は、
ボイラ31に供給される。一方、残分4は残分貯槽43
より配管48を経てボイラ31に供給されて、空気35
を供給して燃焼され、スチーム32を発生する。スチー
ム32はスチームタービン33に供給され、スチームタ
ービンの軸に取り付けられたスチームタービン用発電機
34により発電する。スチームタービン33には復水器
37が設けられ、負圧によりスチームの熱を使い切り、
スチームタービン排気を復水させて、メイクアップ水と
共にボイラ給水38としてボイラ31へリサイクルす
る。留出分貯槽42には配管46が設けられており、必
要時に留出分貯槽42内の燃料は残分貯槽43に供給さ
れる。配管44は留出分貯槽42とガスタービン補助燃
料貯槽52の間に設けられる。もちろん、留出分貯槽4
2内の燃料は、さらにガスタービン補助燃料貯槽52、
ボイラ補助燃料貯槽53に貯蔵されてもよい。
【0027】残分貯槽43には、配管47、48が設け
られており、配管48により残分貯槽43内の燃料はボ
イラ31に供給される。配管47は残分貯槽43とボイ
ラ補助燃料貯槽53の間に設けられる。もちろん、ガス
タービン補助燃料貯槽52からガスタービンの燃焼室2
3に配管が設けられていてもよいし、ボイラ補助燃料貯
槽53からボイラ31に配管が設けられていてもよい。
留出分貯槽42及び残分貯槽43の容量は、一日の平均
的な電力需要量をまかなうための留出分及び残分の量
と、平均を超える時間帯の電力需要量をまかなうための
燃料の差を少なくとも貯蔵できるように設定され、例え
ば、半日から一日分の燃料が貯留可能な容量に設定され
る。従って、平均を下回る電力需要時間帯には、過剰の
留出分及び残分を貯蔵し、平均を超える電力需要時間帯
には、過剰の留出分及び残分を使用する。
【0028】ガスタービン補助燃料貯槽52及びボイラ
補助燃料貯槽53は、例えば夏場のように、日間の需要
量の変動が大きい場合に必要とされ、それらの容量は、
一日の平均的な電力需要量をまかなうための留出分及び
残分の量と、平均を超える日の電力需要量をまかなうた
めの燃料の差を貯蔵できるように設定される。従って、
平均を超える電力需要日が続くと予想される場合には、
これらの補助燃料を加えて発電を行うことができる。こ
のため、最大電力需要量に相当する部分処理装置2を建
設する必要がないので、経済的に好ましい。
【0029】発電装置は、ガスタービン本体21,空気
圧縮機22及び燃焼室23、ガスタービン用発電機2
4、並びに、ボイラ31、スチームタービン33、復水
器37、スチームタービン用発電機34を備えている。
ガスタービンから排出された高温のガスタービン排ガス
28は、ボイラ31に供給されるが、ガスタービン排ガ
ス28に酸素を10〜15容量%残し、この酸素によ
り、残分4をボイラ31で燃焼させる方法(すなわち排
気再燃方法)は、新たに空気35(通常大気温度)を送
り込む必要がなく且つ高温であるために、コンバインド
・サイクル発電の熱効率を高めることができるし、排ガ
ス処理も経済的になるので好ましい。もちろん、残分4
をボイラ31で燃焼させるためにガスタービン排ガス2
8に空気35を加えることもできる。又、ガスタービン
排ガス28は、他の排熱回収ボイラ(図示せず)に供給
してスチーム発生等により熱回収してもよいし、排熱ボ
イラ排出ガスをボイラ31に供給して、排気ガス中の残
余の熱と、10〜15容量%の残存酸素により、残分4
をボイラ31で燃焼させる方法(すなわち排気再燃方
法)により処理することもできる。
【0030】なお、ボイラには、蒸気サイクルの熱効率
向上のためにボイラの排煙の熱によりボイラ給水を加熱
する熱交換器としてのエコノマイザーを設けてもよい。
又、蒸気タービンとしては、いわゆる再熱サイクルを形
成すべく、高圧、中圧、低圧といった具合に複数段の蒸
気タービンを備えた構成とするとともに、又はいわゆる
再生サイクルを形成すべく、複数の抽気給水加熱器を設
けて、熱効率を高度に確保した構成とするのが当然好ま
しい。
【0031】次に、以上のように構成された発電装置に
よる発電方法の一例として、石炭の部分分解処理条件及
び各貯槽の運用について説明する。本発明では、石炭の
部分分解処理条件は、ガスタービン21の燃料消費量を
基準に大まかに設定すればよく、常に変動するガスター
ビン用発電機24やスチームタービン用発電機34の発
電量に合わせて、留出分と残分とがそれぞれ正確に対応
するように微妙な操作や制御を行う必要はない。配管4
6により、留出分貯槽42内の燃料が任意の時期に任意
の量だけ残分貯槽43に供給可能となっているため、例
えば、残分に対して若干多めの留出分が得られるよう
に、石炭の部分分解処理量を設定しておき、留出分貯槽
42内のガスタービン用燃料が過剰となった場合にはこ
れを残分貯槽43に送ってボイラ用燃料として使用する
といった運転が可能であり、少なくとも留出分と残分の
生成量の比率を実際の発電量の比率に正確に対応させる
必要がないため、運転操作が容易になる。
【0032】なお、この留出分貯槽42から残分貯槽4
3への燃料の供給は、例えばガスタービン用燃料が過剰
となり(例えば留出分貯槽42内の燃料が一定レベルを
越えたとき)、且つボイラ用燃料が過剰でない場合(例
えば残分貯槽43内の燃料が許容最高レベルより少ない
とき)、あるいはボイラ用燃料が不足している場合(例
えば残分貯槽43内の燃料が許容最低レベル以下にある
とき)に、それを作業者が判断して作業者の操作により
行ってもよいし、レベルセンサ等の検出信号によりガス
タービン用燃料過剰等の上記条件の成立を検知した制御
装置が自動的に行う構成でもよい。
【0033】又本例では、ガスタービン補助燃料貯槽5
2やボイラ補助燃料貯槽53が設けられ、タービン補助
燃料やボイラ補助燃料が任意の時期に任意の量だけ補給
可能となっているので、部分分解処理条件や石炭の処理
量を、例えばガスタービン発電機24における平均的な
出力に相当する略一定量の留出分が得られる略一定値に
維持するという極めて簡単な運転方法が採用できる。す
なわち、生成量が略一定量に設定された留出分に対し
て、実際のガスタービンの燃料の必要量が発電負荷の変
動等により増加した場合でも、その超過分のタービン補
助燃料をガスタービン補助燃料貯槽52から留出分貯槽
42に供給すれば、設備の運転を安定的に続行すること
ができる。又、この場合残分の生成量も結果的に略一定
量となり、発電負荷の変動等により常に変動する実際の
ボイラ用燃料の必要量に対して不足する懸念があるが、
この場合には、留出分貯槽42内の過剰なガスタービン
用燃料を配管46を介して残分貯槽43に供給するか、
あるいはボイラ補助燃料貯槽53から残分貯槽43にボ
イラ補助燃料を供給することで、その不足分を容易に補
って運転を安定的に続行できる。
【0034】なお、ガスタービン補助燃料貯槽52から
留出分貯槽42へのタービン補助燃料の供給は、ガスタ
ービン用燃料が不足した場合(例えば留出分貯槽42内
の燃料が所定の最低レベル以下となったとき)に、それ
を作業者が判断して作業者の操作により行ってもよい
し、レベルセンサ等の検出信号によりガスタービン用燃
料の不足を検知した制御装置が自動的に行う構成でもよ
い。又、ボイラ補助燃料貯槽53から残分貯槽43への
ボイラ補助燃料の供給も、ボイラ用燃料が不足した場合
(例えば残分貯槽43内の燃料が所定の最低レベル以下
となったとき)に、それを作業者が判断して作業者の操
作により行ってもよいし、レベルセンサ等の検出信号に
よりボイラ用燃料の不足を検知した制御装置が自動的に
行う構成でもよい。
【0035】図2に示すように、留出分3は熱交換器1
6により冷却されて、ガス成分と液成分に分離し、ガス
洗浄塔5により洗浄されて、ガス成分6と液成分7に分
離することができる。ガス洗浄塔5の洗浄液には液成分
7を使用して、ガス洗浄塔5の頂部に供給して気液接触
させることができる。ガス成分6はガス成分圧縮機26
により燃焼室23へ供給される。あるいは、ガス洗浄塔
5の液成分7を冷却してガス洗浄塔5の頂部に供給して
もよい。液成分7はそのままガスタービン用燃料にして
もよいが、分液槽8により水層10を分離して油分9の
みをガスタービン用燃料にしてもよい。水層10はボイ
ラ31の燃料として加えることができる。
【0036】図3に示すように、油分9はさらに精製手
段(例えば蒸留)により精製してもよい。油分9は蒸留
塔11に供給され精製留分12と残渣13に分離され
る。精製留分12はガスタービン用燃料として燃焼室2
3に供給され、残渣13はボイラ31の燃料として加え
ることができる。このように精製処理することにより、
金属製ガスタービンを使用した場合にも塩分、バナジウ
ム分による腐食が防止され、金属製ガスタービンの寿命
を長くすることができる。
【0037】なお、本発明は上記の態様に限られず、各
種の態様があり得る。例えば、ガスタービン補助燃料貯
槽52あるいはボイラ補助燃料貯槽53のうちの少なく
とも一つを設けた構成でもよい。この場合でも、留出分
あるいは残分のいずれかの不足分をガスタービン補助燃
料あるいはボイラ補助燃料により補うことができるの
で、部分分解処理条件の調整操作(人的操作又は自動制
御)が容易化できる。又、ガスタービン補助燃料貯槽5
2あるいはボイラ補助燃料貯槽53を設けないで、部分
分解処理量の調整操作により、必要量に応じた留出分或
いは残分の生成量を維持する態様もあり得る。この場合
でも、配管46の機能により、留出分と残分の生成量の
比率を正確に調整する必要がないという利点がある。さ
らに、ガスタービン補助燃料貯槽52あるいはボイラ補
助燃料貯槽53から補助燃料を供給する箇所は、留出分
貯槽42あるいは残分貯槽43に限らず、燃料の供給系
であればいずれの場所でもよく、配管、ガスタービン燃
焼室23あるいはボイラ31に直接供給する構成でもよ
い。なお、発電量は昼間、夜間で時々刻々変化するが時
間帯の平均で表すと過不足の量が判りやすい。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】(実施例1)図2に示す装置を使用して、
下記の乾燥した石炭を約1000℃で高温乾留し、留出
分とコークス(残分)を得る。留出分をガス成分と油分
と水層に分離して、油分を留出分貯槽に貯蔵し、残分は
残分貯槽に貯蔵する。ガス成分はガスタービンに供給
し、水層は有機物を含むのでボイラに供給して燃焼させ
る。 一日の平均発電量:700,000kw・hr 原料炭(乾燥後) 水分:2重量% 揮発分:30重量% 固定炭素:51重量% 灰分:17重量% 発熱量:5,780kcal/kg 乾留用供給量:231.4t/hr コークス 生成量:148.6t/hr 揮発分:2重量% 固定炭素:67重量% 灰分:31重量% 発熱量:6,300kcal/kg ガス成分 生成量:39,740Nm3/hr 発熱量:5,050kcal/Nm3 油分 生成量:22.0t/hr 発熱量:9,100kcal/kg ガス成分と油分は、ガスタービン用燃料とし、残分と留
出分中の分離した水層はボイラ用燃料とする。一日の平
均発電量になるように乾留装置を稼働させて上記油分及
び残分を使用して発電し、夜間に発電量が低下して油分
及びコークスが過剰になった時に油分を留出分貯槽に、
コークスを残分貯槽に貯蔵し、昼間に発電量が増加した
時に油分をガスタービン用燃料に、コークスをボイラ用
燃料に使用する。 夜間発電量:最大発電量の50%(500,000kw
・hr) コークス供給量:119.8t/hr ガス成分供給量:39,740Nm3/hr 油分供給量:なし 昼間発電量:最大発電量(1,000,000kw・h
r) コークス供給量:218.4t/hr ガス成分供給量:39,740Nm3/hr 油分供給量:36.7t/hr
【0040】(比較例1)実施例1で石炭を乾留処理す
ることなく、全量をボイラに供給して、スチームタービ
ンにより発電を行った。この結果、一日の平均発電量は
607,000kw・hrとなり発電効率は著しく低
い。
【0041】(実施例2)図1に示す装置を使用して、
実施例1と同様にして石炭の乾留により得られる留出分
をガスタービンに供給して燃焼させ、ガスタービン排ガ
スはスチームタービン用ボイラに供給する。ガスタービ
ン排ガスは、580℃であり、酸素を13容量%含んで
いる。このガスにより残分のコークスを燃焼させた。こ
の結果、コンバインド・サイクル発電の熱効率は46%
に達っする。
【0042】(実施例3)図3に示す装置を使用して、
実施例1の原料を使用して、石炭を乾留の代わりに部分
燃焼ガス化処理して、留出分と、残分を得た。留出分は
脱塵、脱硫後、液成分により冷却洗浄し、分液槽により
水層を分離して、ガス成分と油分を得る。油分は減圧蒸
留して精製留分と残渣ピッチに分離する。ガス成分と精
製留分は、金属製ガスタービン用燃料とし、残分と分離
した水層と残渣ピッチはボイラ用燃料として、空気を供
給して燃焼させる。液成分中のナトリウム及びカリウム
分、バナジウム分はそれぞれ0.5重量ppmであり、
タービンブレード等の腐食は見られない。
【0043】(実施例4)図2に示す装置を使用して、
実施例1と同様に油分と残分を得る。夏期に最大発電量
の時間が増加して、部分分解処理装置による燃料の製造
及び夜間に貯蔵された油分と残分だけでは電力需要を満
たすことができないので、ガスタービン補助燃料貯槽に
貯蔵されたLNGとボイラ補助燃料に貯蔵した石炭を使
用して発電量を増加する。 夜間発電量×発電時間:最大発電量の50%(500,
000kw・hr)×6hr 油分過剰量:132t(1日当たり) 最大発電量×発電時間:100%(1,000,000
kw・hr)×18hr 油分不足量:132.6t(1日当たり) コークス不足量:1083.6t(1日当たり) LNG追加使用量:128.4t(1日当たり) 石炭追加使用量:1181t(1日当たり)
【0044】
【発明の効果】石炭を原料にして、部分分解処理するこ
とにより必要な全ての基準を満たすガスタービン用燃
料、及びボイラ用燃料が得られる。これらの燃料をコン
バインド・サイクル発電に使用することにより、全量を
ボイラで焚いてスチームタービンで発電する場合の熱効
率約38〜39%に比べて、熱効率約46%で発電する
ことができ、この熱効率は石炭ガス化発電と同程度の効
率であってしかも設備費が安く、金属製ガスタービンを
使用しても腐食が起こらず、原料の豊富さ、経済性、既
存設備の利用、熱効率が高いため排ガス量が少なく地球
環境保護の点で極めて有利であると同時に、昼夜又は季
節ごとの発電負荷の変動に対処できると共に、部分分解
処理装置の一日間の操業の変動を少なくできる。
【図面の簡単な説明】 【符号の説明】
【図1】本発明のプロセスフロー図である。
【図2】本発明で、留出分をガス成分と液成分に分離す
る場合のプロセスフロー図である。
【図3】本発明で、油分を更に蒸留する場合のプロセス
フロー図である。
【符号の簡単な説明】
1 石炭貯槽 2 部分分解処理装置 3 留出分 4 残分 5 ガス洗浄塔 6 ガス成分 7 液成分 8 分液槽 9 油分 10 水層 11 蒸留塔 12 精製留分 13 残渣 15 加熱用ガス 16 熱交換器 21 ガスタービン本体 22 空気圧縮機 23 燃焼室 24 ガスタービン用発電機 25 空気 26 ガス成分圧縮機 27 駆動用燃焼ガス 28 ガスタービン排ガス 31 ボイラ 32 スチーム 33 スチームタービン 34 スチームタービン用発電機 35 空気 36 スチームタービン排気 37 復水器 38 ボイラ給水 42 留出分貯槽 43 残分貯槽 44 配管 45 配管 46 配管 47 配管 48 配管 52 ガスタービン補助燃料貯槽 53 ボイラ補助燃料貯槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴村 洋 広島県広島市西区観音新町4丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭を部分分解処理して留出分並びに残
    分に分離し、該留出分をガスタービンに供給して燃焼さ
    せ、燃焼により発生した駆動用燃焼ガスによりガスター
    ビンを駆動して発電し、残分をボイラ・スチームタービ
    ンシステムのボイラに供給して燃焼させ、発生したスチ
    ームによりスチームタービンを駆動して発電するコンバ
    インド・サイクル発電装置において、該留出分を貯蔵し
    ガスタービンに供給する留出分貯槽、残分を貯蔵しボイ
    ラに供給する残分貯槽のいずれか又は両者を設けたコン
    バインド・サイクル発電装置。
  2. 【請求項2】 留出分から油分を分離し、油分を留出分
    貯槽に貯蔵する請求項1に記載のコンバインド・サイク
    ル発電装置。
  3. 【請求項3】 更に、前記ガスタービンに供給するガス
    タービン補助燃料貯槽、前記ボイラに供給するボイラ補
    助燃料貯槽のいずれか又は両者を設けた請求項1〜2の
    いずれかに記載のコンバインド・サイクル発電装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のコンバ
    インド・サイクル発電装置を用いたコンバインド・サイ
    クル発電方法であって、前記ガスタービンの燃料として
    使用する留出分が、ボイラ・スチームタービンシステム
    のボイラの燃料として使用する残分に対して過剰となっ
    た場合に、留出分貯槽内の燃料を残分貯槽に供給して、
    ガスタービンに使用する燃料と前記ボイラに使用する燃
    料の比率を調整することを特徴とするコンバインド・サ
    イクル発電方法。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のコンバインド・サイク
    ル発電装置を用いたコンバインド・サイクル発電方法で
    あって、石炭を部分分解処理して、留出分並びに残分に
    分離する条件を、ガスタービンにおける平均的な燃料消
    費量に相当する量の前記留出分が得られる略一定値に維
    持し、前記ガスタービンの燃料が不足した場合には、前
    記ガスタービン補助燃料貯槽内のガスタービン補助燃料
    をガスタービンの燃料供給系あるいはガスタービンに供
    給してその不足分を補い、前記ボイラの燃料が不足し、
    且つ前記ガスタービンの燃料が過剰の場合には、前記留
    出分貯槽内の燃料を前記残分貯槽に供給してその不足分
    を補い、前記ボイラの燃料が不足し、且つ前記ガスター
    ビンの燃料が過剰でない場合には、前記ボイラ補助燃料
    貯槽内のボイラ補助燃料を前記ボイラの燃料供給系ある
    いはボイラ・スチームタービンシステムのボイラに供給
    してその不足分を補うことを特徴とするコンバインド・
    サイクル発電方法。
  6. 【請求項6】 ガスタービン排ガスをボイラ・スチーム
    タービンシステムのボイラに供給して、残分又は残分と
    ボイラ補助燃料を燃焼させることを特徴とする請求項4
    又は5に記載のコンバインド・サイクル発電方法。
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