JPH10329899A - 給油装置 - Google Patents

給油装置

Info

Publication number
JPH10329899A
JPH10329899A JP7953198A JP7953198A JPH10329899A JP H10329899 A JPH10329899 A JP H10329899A JP 7953198 A JP7953198 A JP 7953198A JP 7953198 A JP7953198 A JP 7953198A JP H10329899 A JPH10329899 A JP H10329899A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
infrared light
vapor
oil vapor
light emitting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7953198A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahisa Hirasawa
貴久 平澤
Koyata Sugimoto
小弥太 杉本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokico Ltd
Original Assignee
Tokico Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokico Ltd filed Critical Tokico Ltd
Priority to JP7953198A priority Critical patent/JPH10329899A/ja
Publication of JPH10329899A publication Critical patent/JPH10329899A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Loading And Unloading Of Fuel Tanks Or Ships (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は給油される燃料タンクに残留する油
液の油種を正確に判定できることを課題とする。 【解決手段】 給油ホース7には、燃料タンクに残留す
る油液の油蒸気を吸引する油蒸気吸引チューブ14が途
中まで並設されており、油蒸気吸引チューブ14の一端
は、吐出パイプ9と一体に設けられた油蒸気吸引パイプ
15に連通されている。油蒸気吸引チューブ14の他端
は、油種検出ユニット17に接続され、油種検出ユニッ
ト17の内部には、夫々が特定波長を持つ赤外線を発光
する発光部と、発光部から発光された赤外線を受光する
受光部とが対面するよう取り付けられている。制御装置
20は、赤外線受光素子が受光した吸光度比とあらかじ
め実験により求められてメモリ21に記憶されているデ
ータとを比較し、燃料タンクから吸引した油蒸気の油種
がガソリンか軽油かを判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は給油装置に係り、特
に車両の燃料タンクに誤った油種の油液を給油すること
を防止する油種判定機能が付加された給油装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】給油所等においては、ガソリン供給用,
軽油供給用といったように、供給油種毎に給油装置が設
置されている。そこで、この種の給油装置では、顧客の
自動車の燃料タンク等に給油する際、例えばガソリンを
供給すべきところを誤って軽油供給用の給油装置を使っ
て給油してしまうといった異油種給油事故を防止するた
めに、油種判定機能が備えられる傾向にある。そして、
この油種判定機能を備えた給油装置では、ガソリンと軽
油とでは飽和蒸気圧(蒸気濃度)が異なることに着目
し、給油前に燃料タンク内の残存油液のベーパ(油蒸
気)を油種判定装置の油種センサに当てて油蒸気濃度を
検出するようになっている。
【0003】そして、この検出結果に基づき燃料タンク
内の残存油液の油種を判定し、この燃料タンク内の残存
油液の油種と予め記憶された給油装置からの供給油液の
油種とが一致したときのみ、給油が可能となり、給油ポ
ンプが起動される。上記油種センサとしては、例えばベ
ーパの油蒸気濃度を検出する半導体式や接触燃焼式のガ
スセンサが使用されている。この半導体式ガスセンサよ
りなる油種センサは、ガソリン、軽油等の油蒸気濃度の
違いに応じた抵抗値の変化を出力電圧の変化として検出
するものである。
【0004】また、従来の給油装置に用いられている油
蒸気センサとしては、上記半導体式や接触燃焼式のガス
センサ以外にも超音波送受信素子を用いて、油蒸気中の
音速が当該油種の濃度によって異なることを利用し、音
波の伝搬時間差より油種を判定するものがある。更に、
他の従来技術による油蒸気センサとしては超音波送受信
素子を用いて、油蒸気中の音速が異なることを利用し、
音波の伝搬時間差より油種を判定するものがある。
【0005】更に、特開平6−312796号公報にみ
られるようにガスクロマトグラフを用いて油蒸気成分分
子の沸点の違いより油種を判定するものなどがある。ま
た、特開平3−2657号公報では、放射線源である
241 Amや147 Pmを用いて油蒸気をイオン化し、イオ
ン電流の差異によって油種を判別するものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】また、上記従来技術
は、次のような問題点があった。 (1)油蒸気センサに半導体式のガスセンサを用いた場
合、高温状態で使用するため応答性が悪く、センサが劣
化しやすい。また、油種の正常判定率が90(%)程度
と低く、利用者が誤給油をする可能性がある。 (2)他の従来技術による超音波送受信素子を用い、超
音波伝搬時間に基づいて油種を判定する場合、伝搬時間
変化が微小なことからノイズの混入などにより誤検出が
発生するおそれがある。また、超音波送受信素子の取り
付け位置や、寸法の精度の高さが要求される。従って、
製造が難しく、コスト高になるという問題が生じ、正常
判定率も90(%)程度と低く、誤給油をする可能性が
ある。 (3)また、ガソリンでの長寿命化を図るため、ガソリ
ンでは大気と混合してセンサへ油蒸気を送っているが、
このままでは飽和蒸気圧が低く検知信号が小さい軽油で
は検出できなくなる。そのため、ガソリンと軽油では異
なった構成や閾値を設定する必要がある。 (4)赤外線吸収体は、液体と気体状態では波長が異な
り、2波長では吸収割合が異なるので、芳香族に関係す
る1400cm-1での感度が低いという傾向があった。 (5)特開平6−312796号公報にみられるガスク
ロマトグラフを用いた場合、分離カラムにより分子を分
離するため、カラム透過に時間を必要とし、検出に非常
に時間がかかる。 (6)特開平3−2657号公報にみられる放射線源を
用い油蒸気のイオン化電流の差異で油種判別する場合、
線源に放射線を用いていることから非常に取り扱いが悪
く、安全性に欠ける。また、本原理では、イオン化電流
が油蒸気濃度によって変化するため使用環境に大きく作
用され、正常判定率も大幅に低いことが予想される。 (7)また、油蒸気濃度を検出した場所が可燃性の燃料
が流れる場所であるので、防爆構造をとる必要があり、
構造的に高価なものとなっていた。
【0007】そこで、本発明は上記課題を解決した給油
装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は、以下のような特徴を有する。上記請求項1記
載の発明は、給油ノズルを被給油タンクの給油口に挿入
して該被給油タンク内の油蒸気を吸引する油蒸気吸引系
路と、該油蒸気吸引系路により吸引された油蒸気の油種
を判定する油種判定手段と、該油種判定手段により油種
一致と判定されたとき給油を許可する給油許可手段とを
有する給油装置において、前記油種判定手段が、油蒸気
の油種によって異なる赤外線吸光度を測定して油種を判
定することを特徴とするものである。
【0009】従って、請求項1記載の発明によれば、油
蒸気の油種によって異なる赤外線吸光度を測定して油種
を判定するため、油種の成分比の違いを赤外線の吸光度
として検出することにより、油種判定を正確に行うこと
ができ、使用環境によらない高い正常判定率を持つ検出
が可能となる。また、請求項2記載の発明は、前記請求
項1記載の給油装置において、前記油種判定手段が、前
記油蒸気吸引系路に波長の異なる複数の赤外線発光部を
設け、前記複数の赤外線発光部に対向する位置に前記複
数の赤外線発光部から発光された赤外線を個々に受光す
る複数の赤外線受光部を設けてなることを特徴とするも
のである。
【0010】従って、請求項2記載の発明によれば、油
蒸気吸引系路に波長の異なる複数の赤外線発光部と複数
の赤外線受光部とを設けてなるため、油蒸気吸引系路を
流れる油蒸気に吸収されなかった波長の赤外線が赤外線
受光部で受光されることにより油蒸気に含まれる成分を
検出して油種の判定を行うことができ、油種判定精度を
高めて使用環境の影響を受けず正常判定率を向上させる
ことができる。
【0011】また、請求項3記載の発明は、前記請求項
2記載の給油装置において、前記複数の赤外線発光部
が、前記油蒸気吸引系路を通過する油蒸気中の飽和炭化
水素に吸収される波長の赤外線を発光する第1の赤外線
発光部と、前記油蒸気吸引系路を通過する油蒸気中の芳
香族に吸収される波長の赤外線を発光する第2の赤外線
発光部とを有することを特徴とするものである。
【0012】従って、請求項3記載の発明によれば、油
蒸気中の飽和炭化水素に吸収される波長の赤外線を発光
する第1の赤外線発光部と、油蒸気中の芳香族に吸収さ
れる波長の赤外線を発光する第2の赤外線発光部とを有
するため、異なる波長を持つ赤外線光源を使用するだけ
という簡単な機構で、油種の成分比の違い、特に飽和炭
化水素と芳香族とを赤外線の吸光度として検出すること
ができ、油種判定精度を高めることができる。
【0013】また、請求項4記載の発明は、前記請求項
3記載の給油装置において、前記複数の赤外線発光部
が、前記油蒸気吸引系路の外周に対し前記第1の赤外線
発光部と前記第2の赤外線発光部とを異なる向きに取り
付けたことを特徴とするものである。従って、請求項4
記載の発明によれば、第1の赤外線発光部と第2の赤外
線発光部とが異なる向きに取り付けられているため、第
1の赤外線発光部から発光された赤外線と第2の赤外線
発光部から発光された赤外線とが干渉することがなく、
第1の赤外線発光部又は第2の赤外線発光部から発光さ
れた赤外線が第2の赤外線受光部又は第1の赤外線受光
部に影響することを防止して誤検出を防止できる。
【0014】また、請求項5記載の発明は、前記請求項
2記載の給油装置において、前記油種判定手段が少なく
とも前記一対の赤外線受光部から出力された2つの波長
の吸光度の軌跡に基づいて吸引した油蒸気の油種を判定
することを特徴とするものである。従って、請求項5記
載の発明によれば、少なくとも一対の赤外線受光部から
出力された2つの波長の吸光度の軌跡に基づいて吸引し
た油蒸気の油種を判定するため、油種判定の正常判定率
の向上を図ることができると共に、油種検出時間の短縮
化を図ることができる。
【0015】また、請求項6記載の発明は、前記請求項
1記載の給油装置において、前記油種判定手段は、油蒸
気の吸引流量が設定値以下のとき、前記吸引流量を設定
値に変更して再度油蒸気を吸引することを特徴とするも
のである。従って、請求項6記載の発明によれば、油蒸
気の吸引流量が設定値以下のとき、吸引流量を設定値に
変更して再度油蒸気を吸引するため、油蒸気の吸引不足
による誤検出を防止できる。
【0016】また、請求項7記載の発明は、前記請求項
2乃至4記載の給油装置において、前記赤外線発光部及
び赤外線受光部は、フッ素系樹脂により形成された光フ
ァイバに接続されたことを特徴とするものである。従っ
て、請求項7記載の発明によれば、赤外線発光部及び赤
外線受光部がフッ素系樹脂により形成された光ファイバ
に接続されているので、可燃性の油液が流れる流路にも
安全に配設できると共に、フッ素系樹脂により油種検知
の波長を効率よく転送することができると共に、油種判
定精度を高めることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明の実施の
形態について説明する。図1に本発明になる給油装置の
一実施例を示す構成図である。この給油装置は、一端が
地下タンク(図示せず)に挿入され、他端が装置内に延
在された給油管路1を有し、この給油管路1には地下タ
ンクに貯蔵された油液を汲み上げる給油ポンプ2と、給
油ポンプ2を駆動するポンプモー夕3と、給油ポンプ2
により送液された油液の流量を計測する給油用流量計4
とが配設されている。尚、給油用流量計4は、給油管路
1を流れる油液の流量に比例した流量パルスを出力する
流量パルス発振器5を有している。
【0018】装置本体6の側面には、給油管路1の他端
に接続された給油ホース7が引き出されている。この給
油ホース7の先端には、給油ノズル8が取り付けられて
いる。給油ノズル8は、ノズル本体8aにノズルレバー
8bの回動操作により開弁する弁機構が内蔵されてお
り、先端側に燃料タンクの給油口(共に図示せず)に挿
入される吐出パイプ9を有する。
【0019】車両への給油を行う際は、給油ノズル8の
吐出パイプ9を燃料タンクの給油口(図示せず)に挿入
した状態で後述する油種判定が行われ、燃料タンクの油
種と地下タンクの油種とが一致した場合に給油ポンプ2
が駆動されて給油ノズル8による給油が可能となる。す
なわち、油種一致の場合のみノズルレバー8bの回動操
作により、給油ポンプ2により汲み上げられた油液が吐
出パイプ9から燃料タンクに吐出される。
【0020】また、装置本体6の側面には、上記給油ノ
ズル8を着脱自在に支持するノズル掛け10と、ノズル
掛け10に対する給油ノズル8の着脱により給油作業中
か否かを検出するノズルスイッチllとが設けられてい
る。また、装置本体6の正面には、給油量などを表示す
る表示器l2が設けられている。ここで、上記給油ホー
ス7には、燃料タンクに残留する油液の油蒸気を吸引す
る油蒸気吸引チューブ14が途中まで並設されている。
また、油蒸気吸引チューブ14の一端は、吐出パイプ9
の先端近傍まで延在されて、吐出パイプ9と一体に設け
られた油蒸気吸引パイプ15に連通されている。そし
て、油蒸気吸引パイプ15の先端には、吐出パイプ9と
共に燃料タンクの給油口(共に図示せず)に挿入される
油蒸気吸引口15aが開口している。
【0021】油蒸気吸引チューブ14の他端は、油種判
定手段としての油種検出ユニット17に接続され、油蒸
気吸引チューブ14の他端が連通された油蒸気吸引管路
18の途中には油蒸気吸引チューブ14を介して吸引さ
れた油蒸気の吸引量を計測する油蒸気用流量計19が配
設され、油蒸気吸引管路18の端部は、吸気・排気ポン
プ16に接続されている。
【0022】油種検出ユニット17は、後述するように
2組の赤外線センサが内蔵されており、油蒸気に含まれ
る成分固有の性質として各成分毎に特有な赤外線吸収ス
ペクトルを有することを利用してある波長の赤外線が吸
収されたか否かを検出して油種判定を行うように構成さ
れている。吸気・排気ポンプ16は、装置本体6の内部
に設けられた油種判定時には燃料タンク内の油蒸気を吸
引し、油種判定終了後には油蒸気吸引チューブ14に残
留する油蒸気を排気させる。
【0023】20は制御装置で、給油用流量計4、ノズ
ルスイッチll、油種検出ユニット17、油蒸気用流量
計19から出力された各種信号に基づいて給油ポンプ
2、吸気・排気ポンプ16、表示器l2を駆動制御す
る。また、制御装置20のメモリ21には、制御装置2
0が実行する各種の制御プログラムが格納されており、
例えばノズルスイッチllがオンになると吸気・排気ポ
ンプ16を吸気動作させて油蒸気吸引口15aから燃料
タンク内の油蒸気を吸引させる油蒸気吸引プログラム
と、油種検出ユニット17により検出された油種検出信
号に基づいて油種判定を行う油種判定プログラムと、油
種判定結果が油種一致であるとき給油許可を出力して給
油ポンプ2を起動させる給油許可プログラムとが格納さ
れている。
【0024】ここで、油蒸気吸引チューブ14を介して
吸引された油蒸気の油種検出を行う油種検出ユニット1
7の内部構成について説明する。図2は油種検出ユニッ
ト17の内部構成を示す縦断面図である。油種検出ユニ
ット17の内部には、夫々が特定波長を持つ赤外線(赤
外放射ともいい可視放射よりも単色成分の波長が長く1
mm程度までのもの)を発光する一対の発光部22,2
3の発光面と、発光部22,23から発光された赤外線
を受光する受光部24,25の受光面とが対面するよう
取り付けられている。
【0025】また、油種検出ユニット17の内部には、
一端が油蒸気吸引チューブ14に連通され、他端が油蒸
気吸引管路18に連通された油蒸気通路26が形成され
ている。油蒸気通路26の両側には、油蒸気通路26と
直交する方向に延在して油蒸気通路26と交差する2組
のセンサ取付孔17a〜17dが設けられている。一方
のセンサ取付孔17aと17bとは同一軸上に形成さ
れ、他方のセンサ取付孔17cと17dとは同一軸上に
形成されている。センサ取付孔17a,17bとセンサ
取付孔17c,17dとは、油蒸気通路26と直交する
方向に平行な向きで、所定距離L離間した位置に設けら
れている。尚、離間距離Lは、発光部22,23から発
光された赤外線が互いに干渉しない距離である。
【0026】そして、センサ取付孔17aには、第1発
光部22が挿入され、センサ取付孔17aに対向するセ
ンサ取付孔17cには、第1受光部24が挿入されてい
る。また、センサ取付孔17bには、第2受光部25が
挿入され、センサ取付孔17cに対向するセンサ取付孔
17dには、第2発光部23が挿入されている。そのた
め、第1発光部22と第2発光部23が夫々180度逆
方向を向くように取り付けられており、第1受光部24
と第2受光部25も180度逆方向を向くように取り付
けられているので、第1発光部22,第2発光部23か
ら発光された赤外線が夫々対向する第1受光部24,第
2受光部25のみに検出されるように設けられている。
よって、受光部24,25が他の発光部から発光された
赤外線を受光してしまうといった誤検出を防止できる。
【0027】発光部22,23は、円筒状のホルダ28
と、ホルダ28内に収納された第1、第2の赤外線発光
素子(特定波長光源)29,30と、赤外線発光素子2
9,30の発光面を覆う窓31とからなる。また、赤外
線発光素子を半導体レーザ(鉛塩基)や発熱体による赤
外線発光素子や赤外発光ダイオード(LED)により形
成することで小型化が可能なだけでなく、メンテナンス
性を向上させることができる。尚、ホルダ28の外周に
は、センサ取付孔17a,17dのめねじに螺合するお
ねじが設けられている。
【0028】また、受光部24,25は、上記発光部2
2,23と同様、円筒状のホルダ28と、ホルダ28内
に収納された第1、第2の赤外線受光素子32,33
と、赤外線受光素子32,33の受光面を覆う窓31と
からなる。尚、赤外線受光素子には、サーモパイルやサ
ーミスタホロメータ、又はフォトトランジスタやフォト
ダイオード、CCDで形成することでローコスト、小型
化が可能となり、発光素子と同様なホルダ形状とするこ
とができ、メンテナンス性も向上している。
【0029】赤外線発光素子29,30は、通電される
と、それぞれ波長の異なる赤外線を発光し、これらの赤
外線が油蒸気通路26を横断して受光部24,25に受
光される。そして、油蒸気通路26を流れる油蒸気があ
る特定の波長を有する赤外線を吸収するといった性質を
利用しており、受光部24,25に受光された波長によ
り油種を判定することができる。
【0030】また、窓31は、油種判定に使用される特
定波長光を効率よく透過し油蒸気に侵されない材質(例
えば、臭化カリウム(KBr),フッ化カルシウムな
ど)により形成されている。そのため、赤外線発光素子
29,30から発光された光は、窓31を通過する際に
油種判定に使用される特定波長の赤外線が吸収されない
ため、油種判定が影響されないようになっている。
【0031】また、赤外線発光素子29,30及び赤外
線受光素子32,33は、油蒸気に直接触れないように
取り付けられており、油蒸気により検出精度が低下した
り経年変化しないようになっている。赤外線受光素子3
2,33は、受光した赤外線を電気信号に変換して制御
装置20に出力する。そして、制御装置20は、赤外線
受光素子32,33が受光した吸光度比とあらかじめ実
験により求められてメモリ21に記憶されているデータ
とを比較し、燃料タンクから吸引した油蒸気の油種がガ
ソリンか軽油かを判定する。
【0032】このように、2組の赤外線発光素子29,
30及び赤外線受光素子32,33により油蒸気の油種
によって異なる赤外線吸光度を測定して油種を判定する
ため、油種の成分比の違いを赤外線の吸光度の差として
検出することにより、油種判定を正確に行うことができ
る。そのため、ガスセンサ等を用いた従来のものより
も、高い正常判定率で油種判定が可能となる。
【0033】また、赤外線受光素子32,33が受光し
た光強度比、すなわち油蒸気の分子の振動による光の吸
収を基に波長の異なる2種の赤外線の受光量を比較して
油種判定を行うため、蒸気濃度などの環境の影響を受け
にくく正常判定率を高くすることができる。さらに、油
種の判定を発光素子と受光素子の光の授受により行うた
め、応答性が良く、油種判別を短時問で行える。
【0034】しかも、本実施例では、2点の光の吸収の
相対値から油種を判定しているため、判定に要する時間
が短くて済むばかりか、2組の発光部22,23と受光
部24,25のみという簡単な構成にできるため生産性
を向上させることができると共にコストダウンを図るこ
とができる。尚、発光部22,23及び受光部24,2
5は、油蒸気が吸引される油蒸気吸引系路であれば、油
種検出ユニット17以外の場所、例えばノズル本体8a
など、どこに設置しても良いことはいうまでもない。
【0035】本実施例では、給油ノズル8に設けられた
油蒸気吸引口15aから吸引された燃料タンク内の油蒸
気は、油蒸気吸引チューブ14を通過して油蒸気用流量
計19により流量が計測される。この油蒸気用流量計1
9により計測された油蒸気の流量値は、制御装置20に
入力される。そして、制御装置20は、油蒸気吸引チュ
ーブ14を介して油種検出ユニット17に供給される油
蒸気の流量が規定流量を保つように吸気・排気ポンプ1
6を駆動するモータ(図示せず)の回転を制御する。こ
れにより、油蒸気通路26を流れる油蒸気の流量が一定
となり、赤外線受光素子32,33が受光する吸光度比
が安定して油種判定精度が高められる。
【0036】尚、通常は吸引された油蒸気の流量が不明
でも油種判定が行えるが、より正確に油種判定を行う場
合には、本実施例のように油蒸気用流量計19を用い
る。ここで、赤外線発光素子29,30及び赤外線受光
素子32,33が油蒸気通路26を流れる油蒸気の油種
検出を行う原理について説明する。給油装置で扱う油液
の種類には、大きく分けてガソリン(レギュラーガソリ
ンエンジン用、ハイオクガソリンエンジン用)と軽油
(ディーゼルエンジン用)とがある。そして、ガソリン
成分中には、主として飽和炭化水素(Cn 2n+2)と約
40%のベンゼンのような炭素環式芳香族が含まれてい
る。これに対し、軽油成分は、主として飽和炭化水素
(Cn 2n+2)であり、芳香族は数%含まれているだけ
である。
【0037】そこで、本実施例では、第1の赤外線発光
素子29の波長λとして飽和炭化水素を検出できるλ=
3.4μm付近を用い、C−CH3 逆対称伸縮振動によ
る吸収を利用する。また、第2の赤外線発光素子30の
波長としては、芳香族を検出できるλ=7.2μm付近
を用い、CH3 芳香族変角振動による吸収を利用する。
これにより、ガソリン、軽油蒸気成分中の飽和炭化水素
と炭素環式芳香族の含有比の違いから赤外線受光素子3
2,33が受光する光強度比は、油蒸気の種類によって
異なる。
【0038】図3は吸光度と波長との関係を示すグラフ
である。このグラフでは、レギュラーガソリン及び軽油
の夫々4種類のサンプルについて実験した結果であり、
波長がλ=3.4μmでは飽和炭化水素が多く含まれて
いるガソリンの油蒸気の吸光度が高い値となり、飽和炭
化水素の少ない軽油の吸光度が低い値となる。また、波
長がλ=7.2μmでは芳香族が多く含まれているガソ
リンの油蒸気の吸光度が高い値となり、芳香族の少ない
軽油の吸光度が低い値となる。
【0039】ところが、上記油種検出ユニット17の油
蒸気通路26を流れる油蒸気量が変動すると、吸光度
(あるいは透過度)が変動してガソリンと軽油との吸光
度(あるいは透過度)の値が近似してしまう可能性があ
る。そこで、本実施例では、2組の赤外線吸収式センサ
により油蒸気通路26を流れる油蒸気の吸光度を測定
し、両者の比、すなわち赤外線受光素子32と33との
光強度比から油種判定を行う。そのため、油種検出ユニ
ット17に供給される油蒸気量が変動しても油種判定を
正確に行うことができ、油種判定精度が高められてい
る。
【0040】次に、上記構成の油種検出ユニット17に
赤外線吸収式センサを具備する給油装置の制御装置20
が実行する処理動作について、図4のフローチヤートを
参照して説明する。図4のステップS1(以下「ステッ
プ」を省略する)において、給油ノズル8がノズル掛け
10から外されてノズルスイッチ11がオンになったこ
とを検出すると、S2に進み、油蒸気吸引系路の末端に
設けられた吸気・排気ポンプ16を吸気動作させる。こ
れにより、吸気・排気ポンプ16は、油蒸気吸引チュー
ブ14及び油蒸気吸引パイプ15を介して油蒸気吸引口
15a周辺の気体を吸引する。
【0041】そして、S3では、吸気・排気ポンプ16
を吸気動作により油蒸気吸引口15a周辺の気体が油蒸
気吸引チューブ14に吸引されると、油蒸気吸引チュー
ブ14を流れる気体の流量が油蒸気用流量計19により
計測される。油蒸気用流量計19は、流量を計測すると
共に、その流量計測値の信号を制御装置20へ出力す
る。
【0042】次のS4では、油蒸気吸引チューブ14を
流れる気体の流量が予め設定された所定流量値であるか
否かをチェックする。その信号がステップS4において
メモリ21に予め設定された所定流量と異なる場合は、
S5に進み、油蒸気吸引チューブ14から油種検出ユニ
ット17の油蒸気通路26に供給される流量が異常値で
あることを認識する。その後、S6で吸気・排気ポンプ
16を駆動するモータの回転数を制御して吸気量が予め
設定された所定流量となるように調整し、再びS3に戻
る。
【0043】一方、上記S4において、油蒸気用流量計
19により計測された流量がメモリ21に予め記憶され
た所定の流量値と一致した場合、油種検出ユニット17
に設けられた赤外線発光素子29,30を発光させる。
そして、油蒸気が吸引される前にこのときの赤外線受光
素子32,33から出力された信号の電流値(ゼロ点)
をメモリ21に記憶し、S7に進む。
【0044】ここで、給油を行う車両の燃料タンクの給
油口に給油ノズル8の吐出パイプ9及び油蒸気吸引パイ
プ15が挿入される。これにより、給油ノズル8に設け
られた油蒸気吸引パイプ15の油蒸気吸引口15aから
燃料タンク内の油蒸気が吸引される。さらに、油蒸気吸
引パイプ15及び油蒸気吸引チューブ14に吸引された
油蒸気は、油種検出ユニット17の油蒸気通路26に供
給される。
【0045】油蒸気通路26に供給され油蒸気は、発光
部22,23と受光部24,25との間を通過して油蒸
気吸引管路18へ流出する。その際、発光部22,23
の赤外線発光素子29,30から発光された波長がλ=
3.4μm及び7.2μmの赤外線を通過する。油蒸気
に含まれている成分によって吸収される波長が異なるた
め、赤外線発光素子29,30から発光された赤外線を
受光した赤外線受光素子32,33は、油蒸気に吸収さ
れなかった波長の赤外線の光強度を検出し、受光した光
強度に応じた電流値の信号を制御装置20へ出力する。
そのため、赤外線発光素子29,30から発光された赤
外線の波長がλ=3.4μm、7.2μmと夫々異なる
ので、油蒸気通路26を流れる油種に応じた電流値を生
じる。
【0046】S7では、赤外線受光素子32,33から
出力された信号の電流変化を検出し、第1の赤外線受光
素子32の電流値と第2の赤外線受光素子33の電流値
とを比較し、赤外線受光素子32,33で受光された光
強度比を求める。この光強度比は、図3に示すように油
蒸気通路26を流れる油蒸気の吸光度の差に比例してお
り、赤外線受光素子32,33で受光された波長がλ=
3.4μmの光強度と、波長がλ=7.2μmの光強度
とを比較することにより油蒸気の流量変動、すなわち油
蒸気通路26に供給された油蒸気濃度に関わりなく油種
判定を行うことができる。
【0047】次のS8においては、赤外線受光素子3
2,33により検出された光強度の変化量と、前述した
S4においてメモリ21に記憶されたゼロ点からの変化
量を演算し、それぞれの素子の電流値の比(光強度比)
とあらかじめ用意されているデータ(光強度比)とを比
較して今回油蒸気通路26に吸引された油蒸気の油種が
ガソリンか軽油か判断し、燃料タンクに残留している油
液の油種と当該給油ノズル8から給油される油液の油種
とが一致するか否かを判定する。
【0048】このS8において、検出した油蒸気の油種
と給油ノズル8から給油される油液の油種とが一致しな
い場合には、S9に進み、吸気・排気ポンプ16の吸気
動作を排気動作に切り換える。これにより、油蒸気吸引
パイプ15及び油蒸気吸引チューブ14及び油蒸気通路
26内の油蒸気が油蒸気吸引パイプ15の油蒸気吸引口
15aから排出される。
【0049】次のSl0では、給油ポンプ2の駆動を禁
止した後、Sl1に進み、給油ノズル8から給油しよう
とする油種と燃料タンク内に存在する油液の油種とが異
なることを表示器12に表示する。そして、Sl2にお
いて、ノズル掛け10のノズルスイッチllがオフにな
ったか否かをチェックしており、ノズルスイッチllが
オフになると、給油ノズル8がノズル掛け10に戻され
たものと判断して後述するSl8に進む。
【0050】一方、上記S8において、検出した油蒸気
の油種と給油ノズル8から給油される油液の油種とが一
致した場合には、Sl3に進み、吸気・排気ポンプ16
の吸気動作を排気動作に切り換える。これにより、油蒸
気吸引パイプ15及び油蒸気吸引チューブ14及び油蒸
気通路26内の油蒸気が油蒸気吸引パイプ15の油蒸気
吸引口15aから排出される。
【0051】次のSl4では、給油ポンプ2を駆動する
ポンプモータ3を起動させて地下タンクの油液を汲み上
げる。そして、給油ノズル8のノズルレバー8bが開弁
操作されると、給油ノズル8に内蔵された弁機構が開弁
して給油ポンプ2により送液された油液が給油ホース
7、給油ノズル8を介して燃料タンクに給油される。こ
のようにして燃料タンクへの給油が開始されると共に、
給油管路1を流れて給油される油液の瞬時流量が給油用
流量計4により計測され、その積算された流量値を表示
器12に表示させる。
【0052】そして、S16で給油を行う燃料タンクに
対する給油作業が終了したか否か、すなわち給油ノズル
8がノズル掛け10に戻されたか否かをチェックする。
すなわち、S16において、ノズルスイッチllがオフ
になったか否かを監視しており、ノズルスイッチllが
オフになるとSl7に進み、給油ポンプ2を停止させ
る。
【0053】続いて、Sl8では、次回の給油に際して
センサ復帰処理を行う。これは、次回の給油の際、赤外
線受光素子32,33の電流変化量による油種判定を正
確に検出するため、発光部22,23及び受光部24,
25の窓31に付着した油蒸気を除去するクリーニング
処理を行う。すなわち、吸気・排気ポンプ16の吸気動
作を排気動作に切り換えて油蒸気通路26内の油蒸気を
油蒸気吸引パイプ15の油蒸気吸引口15aから大気中
に排出させる。
【0054】尚、このセンサクリーニング処理は、油蒸
気吸引パイプ15及び油蒸気吸引チューブ14及び油蒸
気通路26内の油蒸気が完全に排気されるまで、今回の
給油の油種検出の際の油蒸気を完全に油蒸気吸引チュー
ブ14及び油種検出ユニット17から排出するためのも
のである。その排出時間は、前述したS2においてメモ
リ21に記憶された赤外線受光素子32,33の初期電
流値(ゼロ点)に再び復帰するまでの時問が設定され、
その都度油蒸気の残量、濃度等に応じて変化する。
【0055】上記センサクリーニング処理が終了する
と、Sl9に進み、吸気・排気ポンプ16を停止させて
次回給油に備える。尚、油種検出ユニット17の赤外線
受光素子32,33により検出された油種判定情報を光
ファイバ(図示しない)を介して制御装置20へ送信す
るようにしても良い。
【0056】さらに、2組の赤外線吸収センサ(発光部
22,23、受光部24,25)は、同一平面上に位置
するように設けられているが、これに限らず、例えば発
光部22,23から発光された赤外線が相互に干渉しな
い位置であれば2組の赤外線吸収センサの相対位置を油
蒸気通路26の周方向にずらすようにしても良い。次
に、本発明の変形例1について説明する。
【0057】図5は変形例1の給油装置の構成図であ
る。尚、図5において、上記図1と同一部分には、同一
符号を付してその説明を省略する。図5に示されるよう
に、この給油装置は、油蒸気吸引チューブ14の系路途
中には、吸気・排気ポンプ16と、赤外線の吸収を測定
する赤外吸光式ガスセンサ37,38と、流量計19
と、油蒸気の温度を測定する感温素子40とが設けられ
ている。
【0058】給油ノズル8の油蒸気吸引パイプ15及び
油蒸気吸引チューブ14を介して導入された油蒸気は、
感温素子40で温度を測定され、流量計19で吸引量を
測定される。そして、制御装置20には、感温素子40
からの温度測定値及び流量計19からの流量測定値が入
力される。また、制御装置20は、流量計19の流量測
定値が設定値となるように吸気・排気ポンプ16を制御
する。
【0059】図6は赤外吸光式ガスセンサ37,38の
構成を示すブロック図である。図6に示されるように、
赤外吸光式ガスセンサ37,38は、装置本体6の内部
に設けられており、赤外線発光ランプからなる光源(赤
外線発光素子)43と、受光した波長を分別するための
フィルタ(BPF)47,48と、油蒸気が通過する流
路62の露光量を測定する赤外線受光素子49,50
と、からなる。
【0060】赤外吸光式ガスセンサ37,38において
は、ランプ電源供給部から電力が供治されると、発振器
41、ドライバ42により設定された周波数で光源43
が発光する。光源43から発光された赤外線は、チョッ
パ(光変調用)44で変調されてガス流路39を横切っ
て集光レンズ45,46で受光される。また、集光レン
ズ45,46で受光された赤外線は、フィルタ(BP
F:1400cm-1)47,48を介して受光素子4
9,50に至り、電気信号に変換される。そして、受光
素子49,50から出力された信号は、夫々プリアンプ
51,52で増幅された後、同期検波53,54で周波
数及び位相を入力信号の中心周波数と一致されて判断回
路55へ入力される。
【0061】ここで、給油装置により給油される各油種
の特性について説明する。図7はガソリンと軽油との成
分の違いを示すグラフである。車両に給油される油種と
しては、ガソリンと軽油とがあり、それぞれの蒸気成分
は図7の欄外に示す炭化水素C6〜C20が混ざったも
のである。ガソリンは、成分中には主として飽和炭化水
素(Cn 2n+2)のn=4〜9が含まれており、その他
に特徴的な成分として、ベンゼンのような炭素環式芳香
族が含まれている。
【0062】これに対し、軽油は、成分中に主として飽
和炭化水素(Cn 2n+2)のn=7〜21が含まれてい
る。尚、図3において、欄外の中で下線を引いたものが
芳香族である。飽和炭化水素(Cn 2n+2)に外部から
ある波長の赤外線を照射すると、炭素や水素の結合部分
に共振するので、赤外線は吸収される。この吸収される
量を用いて物質の特定と行うものが「赤外吸光分析」と
呼ばれる検出方法である。
【0063】ここで、炭素と水素の結合に共振する周波
数fが、f=3000cm-1で波長がλ=約3.4μm
の近赤外線である。また、炭素環式芳香族は、その結合
中にπ結合を有しており、そのπ結合に共振する周波数
fがf=1400cm-1で波長がλ=約7.2μmの赤
外線である。尚、炭化水素に含まれるC−H結合の数と
芳香族のベンゼン核の数の比を考えると、ベンゼン核1
つに対してC−H結合の数は6個程度である。
【0064】さらに、芳香族の数よりも飽和炭化水素
(鎖状に炭素がつながっているもの)の数が多いことを
考えると、ベンゼン核の数の10倍以上C−H結合の数
が存在することになる。従って、赤外線吸収の割合(吸
光度)は、λ=3.4μm(f=3000cm-1)の方
がλ=7.2μm(f=1400cm-1)よりも大きい
ことが考えられる。
【0065】図8はガソリンと軽油の蒸気濃度を変えた
場合の吸光度の測定結果を示すグラフである。図8にお
いて、横軸は、常温での飽和蒸気濃度をフルスケール
(100%)としてスケーリングしている。グラフIに
示すガソリンでは、f=3000cm-1では、飽和蒸気
濃度の2%で、吸光度が70%(すベて吸収される)状
態になる。また、グラフIIに示すガソリンのf=140
0cm-1の方は、飽和蒸気濃度の50%の濃度で、吸光
度が70%(すべて吸収される状態)となる。
【0066】ガソリンでは、吸光度の感度という点で考
えると、f=3000cm-1とf=1400cm-1で2
5倍異なると言える。また、ガソリンに芳香族が40%
程度しか含まれていないことから、同じ濃度の感度を考
えると10倍となる。グラフIII に示す軽油の場合は、
飽和蒸気濃度100%でもf=3000cm -1の吸光度
は30%程度である。また、グラフIVに示す軽油の場合
は、f=1400cm-1の吸光度は2%程度で測定限界
に近い。
【0067】ここでは、芳香族に関係する波長としてf
=1400cm-1で説明したが、波長の吸収プロセスを
考えると、整数倍の波数(波長でいうと整数分の1)で
も吸収される。また、f=1400cm-1の2倍のf=
2800cm-1(λ=3.6μm)、3倍の4200c
-1(λ=2.4μm)などがある。そのため、芳香族
の濃度を検出するための波長としてf=1400cm-1
のn倍であっても良い。
【0068】図9(A)は上記構成の赤外線吸光方式の
ガスセンサ37,38によりガソリンの油蒸気を検出し
た場合の信号波形を示すグラフであり、図9(B)は上
記構成の赤外線吸光式ガスセンサ37,38により軽油
の油蒸気を検出した場合の信号波形を示すグラフであ
る。上記構成とされた給油装置において、ガソリンや軽
油の蒸気が給油ノズル8の油蒸気吸引パイプ15及び油
蒸気吸引チューブ14を介して吸引されると、赤外線吸
光式ガスセンサ37,38には、徐々に炭化水素の蒸気
が吸い込まれる。このことは、給油ノズル8が車両の給
油口(図示せず)に挿入された時点を測定開始時点とす
れば、時刻0で蒸気濃度は0であり、時間が進むにつれ
て蒸気濃度は上昇することになる。
【0069】さらに、油蒸気を吸入していくと、ガソリ
ンタンク内の油蒸気がすべて吸い出されるので、徐々に
蒸気濃度が減少することになる。従って、時間の経過に
対する吸光度の変化は、図9(A)(B)に示されるグ
ラフのようになる。ここで、吸光度の変化を説明する。
図9(A)(B)に示されるように、油蒸気の濃度に相
当するC−H結合の周波数f=3000cm-1(λ=
3.4μmの波長)では、蒸気濃度を上げていくと吸光
度も上昇するが、飽和蒸気濃度に達するまでにすべて吸
収され、70%の吸光度となる。すなわち、図9(A)
中グラフIで示すf=3000cm-1のような波形とな
る。
【0070】これに反して、ベンゼン核の吸収周波数で
あるf=1400cm-1(λ=7.2μmの波長)は、
図9(A)中グラフIIで示すように飽和蒸気濃度の50
%までの濃度が上がった状態でやっと70%吸収され
る。従って、ガソリン蒸気のf=3000cm-1の吸光
度が台形であるのに対し、f=1400cm-1の吸光度
の波形は山形となる。
【0071】また、 軽油の場合、波形はガソリンとは
異なり、図9(B)中グラフIII で示すf=3000c
-1と、図9(B)中グラフIVで示すf=1400cm
-1の両者とも吸光度が70%(限界値)となるのはあり
えないので、両者とも山形の波形となる。図10はガソ
リンと軽油の吸光度をxyグラフで示した実験結果であ
る。
【0072】図10において、X軸がf=1400cm
-1の吸光度であり、Y軸がf=3000cm-1の吸光度
である。ガソリンの場合の軌跡と軽油の場含の軌跡は、
Y=αXの一次関敦のラインを境に区別されることが分
かる。このグラフのカーブは、芳香族の含有率に相当す
ることになる。図10中、グラフCで示すように、一次
関数のαの値(以下、αを「判定係数」という)を芳香
族の含有率の割合で20%程度にすると、図10中グラ
フD,Eで示すガソリンと図10中グラフA,Bで示す
軽油は完全に区別できる。
【0073】また、給油ノズル8からの油蒸気の濃度を
高めてガソリンのf=3000cm -1の吸光度が70%
となるようにすると、図10から分かるように、判定係
数α一定のY=αXの直線から遠ざかるように働く。こ
れにより、ガソリンでの吸引する濃度を上げても、本変
形例では、判定率が上がることになる。また、ガソリン
や軽油の濃度が高い状態で赤外線吸光式ガスセンサ3
7,38に油蒸気が到達するように大気開放口や配管系
を構成すると判定率が上がる方向になるので、従来設け
られていた大気開放口を無くしても良い。
【0074】次に、ガソリンや軽油に水抜剤を入れた場
合の波形について説明する。水抜剤は、主成分がアルコ
ールである。この水抜剤により燃料タンクの底部に溜ま
った水を除去する原理は、燃料タンク内に存在する水を
アルコールに溶かして同時にエンジンに送り込むことで
燃料タンク内の水を除去する方法である。アルコールは
同じ分子量の炭化水秦に比べ、蒸発しやすい傾向がある
ので、軽油に水抜剤を混入すると、蒸気濃度は上がる傾
向にある。そして、吸光度の波形では、f=3000c
-1の方が増加し、アルコールにはベンゼン核が存在し
ないので、f=1400cm-1の吸光度は変化しない。
従って、図10のグラフで濃度が高い軽油の波形(破線
で示した)となる。
【0075】これは、判定係数が同じでもそのカーブか
ら遠ざかる傾向になるので、油種判定には有利となる。
ガソリンに水抜剤を混入した場合、蒸気濃度が増大する
が水抜剤の混入割合は、最大でも5%程度であるので、
f=3000cm-1の吸光度は最大でも5%アップする
だけである。また、f=1400cm-1の吸光度は、変
わらないので、図10でのグラフは水抜剤を混入しない
実線のグラフとほとんど重なる。
【0076】また、温度が低い場合や、ガソリンの使用
量が大きく燃料タンク内の気体体積が増加する割合に比
べ蒸発量が少ない場合には、蒸気濃度が低くなる。この
場合のグラフは、蒸気濃度の減少に伴い、f=3000
cm-1とf=1400cm-1との吸光度は、両者とも減
沙するので、図10の破線で示すグラフのようになる。
この場合でも、f=1400cm-1の吸光度とf=30
00cm-1の吸光度ととの関係は同じとなるので、判完
係数が同じでも同様に判定できる。
【0077】次に、変形例2の制御装置20が実行する
制御処理について図11のフローチャートを参照しつつ
説明する。車両の燃料タンクヘ給油を行うべ<、給油ノ
ズル8がノズル掛け10から外されると、S21におい
て、ノズルスイッチ11がオンになったことを検出し、
S22に進む。S22では、吸気・排気ポンブ16を吸
気動作させ、吸気チューブ14を介して油蒸気吸引パイ
プ15の開口付近の気体(外気)を吸気し始める。
【0078】そして、S23では、油蒸気吸引チューブ
14内の気体は、流量計19により流量が計測されると
共に、感温素子40により温度が計測される。この場合
は感温素子40によって温度袖正などが必要な場合と、
不必要な場合があるが、得られた温度で補正するものと
して説明している。温度袖正すべき対象としては、赤外
線吸光式ガスセンサ37,38の感度である。これは、
温度が高くなると赤外線吸光式ガスセンサ37,38の
表面の反射率が変化したり、光強度から電圧信号に直す
部分で電気回路に含まれる抵抗値が変わるなどの要因で
センサ感度に温度係数を持つことがあるためである。
【0079】検出された流量は信号として、制御装置2
0に出力される。その信号がS24において、制御装置
20内のメモリに予め記憶された所定流量と異なる場合
は、S25に進む。S25では、油蒸気吸引チューブ1
4内の気体の量が異常値であることを認識した後、S2
6で吸気・排気ポンブ16の吸気量を調整し、再びS2
3に戻る。
【0080】一方、S24において、流量計19により
検出された流量計測値が、制御装置20内のメモリに予
め記憶された所定の流量値と一致した場合は、制御装置
20に赤外吸光式ガスセンサ37,38の吸光慶をゼロ
点(2点)として記憶する。この赤外吸光式ガスセンサ
37,38は、f=1400cm-1とf=3000cm
-1の波長における吸光度を測定するためのものである。
その後、S27に進む。
【0081】ノズル掛け10から外された給油ノズル8
は、燃料タンクの給油口に挿入される。給油ノズル8の
油蒸気吸引パイプ15の開口から燃料タンク内の油蒸気
が吸気される。吸気された油蒸気は、赤外吸光式ガスセ
ンサ37,38に達し、その油種に応じた吸光度が得ら
れる。S27では、赤外吸光式ガスセンサ37,38の
受光素子49,50に生じる出力信号(サーモバイルの
場合は温度上昇)の変化量を検出する。そして、S28
においては、検出した変化量とS24において制御装置
20のメモリに記憶させたゼロ点からの変化量を演算
し、検出した変化量をf=1400cm-1とf=300
0cm-1の2つに分けて測定する。
【0082】ここで、f=1400cm-1とf=300
0cm-1の吸光度の比を求める。この比がある値以上の
場合をガソリン、また、所定量より小さい場合を軽油と
して検出し、その検出した油液の油種と給油ノズル8か
ら給油される油液の油種とが一致するか否かを判定す
る。次のS28では、検出した油液に油種と給油ノズル
8から給油される油液の油種とが一致しない場合は、S
29に進む。このS29では、油蒸気吸引チューブ14
内の油蒸気を排出すべく、吸気・排気ポンブ16の吸気
動作を排気動作に切り換える。そして、次のS30で給
油ポンプ2の駆動を禁止した後、S31で給油ノズル8
から給油しようとする油種と燃料タンク内に存在する油
液の油種とが異なることを表示器12に表示する。
【0083】次のS32において、給油ノズル8がノズ
ル掛け10に戻ったか否かをノズルスイッチ11がオフ
になったか否かにより検出する。ここで、ノズルスイッ
チ11がオフになった時は、後述するS38に進む。一
方、S38で、検出した油液の油種と給油ノズル8が給
油する油液の油種とが一致した場合には、S33に進
む。S33では、油蒸気吸引チューブ14内の油蒸気を
排出するべく、吸気・排気ポンプ16の吸気動作を排気
動作に切り換え、S34で給油ポンプ2を駆動する。
【0084】次のS35では、給油処理で利用者が所望
する量の油液を給油する。そして、S36では、給油を
行う燃料タンクに対して給油作業が終了したか否か、す
なわちノズルスイッチ11がオフになったか否かにより
給油ノズル8がノズル掛け10に戻ったか否かを判断す
る。S36において、ノズルスイッチ11がオフになっ
たときは、S37に進む。次のS37では、給油ポンプ
2を停止させた後、S38に進む。S38では、次回の
給油に際して赤外吸光式ガスセンサ37,38の電流変
化量を正確に検出するための処理が行われる。これは、
今回の給油の油種検出の際の油蒸気を完全に油蒸気吸引
チューブ14や赤外吸光式ガスセンサ37,38から排
出するためのものである。
【0085】その排出時間は、S22において、制御装
置20のメモリに記憶された赤外吸光式ガスセンサ3
7,38の初期電圧値(ゼロ点)に再び赤外吸光式ガス
センサ37,38の電圧値が復帰するまでの時間で環境
に応じて変化する。次に赤外吸光式ガスセンサ37,3
8での吸光度を高めるための手段として、他の例を挙げ
る。燃料タンクから吸引することで燃料タンク内の蒸気
濃度が下がってしまうので、吸気・排気ポンプ16を吸
気駆動開始してから赤外吸光式ガスセンサ37,38が
油蒸気が検出されてことを感知すると、制御装置20が
吸気・排気ポンプ16の電源を停止し、赤外吸光式ガス
センサ37,38の前面の濃度を一定とするように保持
する方法もある。この方式では、赤外吸光式ガスセンサ
37,38を装置本体6の内部に組込むのではなく、給
油ノズル8に組み込んだ場合に非常に効果がある方法で
ある。
【0086】このように赤外吸光度を2つの波長で測定
することで、芳香族の割合が測定できるので、確実にガ
ソリンと軽油を、高い正常判定率で区別できる。また、
ガソリンや軽油に水抜き剤を混入した場合でも、2つの
センサ信号から判定する場合に、安全サイドに働くの
で、正確に弁別できる。また、現在、油種センサに高濃
度のガソリン蒸気を与えると、溶剤として働くので、半
導体式や接触燃焼式のセンサを劣化させていくが、この
場合、赤外吸光式センサでは、赤外吸収の量が増えるの
で、センサ感度が増加するだけであり、性能劣化するお
それはない。そのため、軽油の感度を上げるために、蒸
気濃度を上げても問題は生じない。
【0087】実際には、ガソリン用給油ノズルと軽油用
給油ノズルで、適性濃度とするために、空気と蒸気を混
合しているが、その機構を区別する必要がなくなる。ま
た、本変形例においては、燃料タンク内に油蒸気が全く
存在せず、大気が存在している場合、ベンゼン核の割合
で判別しているので、大気と軽油蒸気との識別も可能で
ある。
【0088】次に、本発明の変形例2について説明す
る。図12は変形例2の赤外吸光式ガスセンサの構成例
を示すブロック図である。図12に示されるように、本
変形例2においては、赤外吸光式ガスセンサ37,38
は、給油ノズル8の内部で油蒸気濃度を検出するように
構成されている。そして、赤外吸光式ガスセンサ37,
38には、赤外線を送るための光ファイバケーブル56
が接続されている。
【0089】この光ファイバケーブル56は、フッ素樹
脂材により形成されており、油蒸気吸引チューブ14内
に挿通されて給油ノズル8まで延在されている。光ファ
イバケーブル56は、第1〜第5ケーブル57〜61か
らなり、油蒸気吸引チューブ14内に挿通されて給油ノ
ズル8の油蒸気吸引パイプ15の先端まで延在されてい
る。
【0090】また、赤外吸光式ガスセンサ37,38
は、装置本体6の内部に設けられており、赤外線発光ラ
ンプからなる光源43と、受光した波長を分別するため
のフィルタ(BPF)47,48と、油蒸気が通過する
油蒸気流路63の露光量を測定する受光素子49,50
とからなる。すなわち、赤外線発光ランプからなる光源
43から発光された光は、第1のケーブル57を介して
給油ノズル8内のスプリッタ62により2系統に分光さ
れる。また、スプリッタ62より分岐された第2,3ケ
ーブル58,59は、並列に配されており、先端部が給
油ノズル8の油蒸気吸引パイプ15の先端に形成された
油蒸気流路63に接続されている。
【0091】また、油蒸気流路63を介して反対側で第
2,3ケーブル58,59の端部に対向するように配置
された第4,5ケーブル60,61の端部が接続されて
いる。そして、第4,5ケーブル60,61の他端は、
油蒸気吸引チューブ14内に挿通されてフィルタ(BP
F)47,48に接続されている。そのため、第2,3
ケーブル58,59から油蒸気流路63に出射された赤
外線は、油蒸気が流れる油蒸気流路63を横切って第
4,5ケーブル60,61の端部に受光される。さら
に、第4,5ケーブル60,61を伝播した赤外線は、
フィルタ(BPF)47,48により油種判別に適した
特定波長に変換されて受光素子49,50に至り、ここ
で電気信号に変換される。
【0092】上記のように光ファイバケーブル56は、
光信号を伝送するため、ガソリンや軽油等の燃料が通過
する給油ノズル8及び、油蒸気吸引チューブ14内に挿
通されても安全である。しかも、給油ノズル8の油蒸気
流路63において、光ファイバケーブル56の第2,3
ケーブル58,59の端部と第4,5ケーブル60,6
1の端部との間を流れる油蒸気濃度に応じた光強度の赤
外線が検出信号として受光素子49,50に送信される
ため、給油ノズル8が燃料タンクの給油口(図示せず)
に挿入された直後に油種検知することができ、油種判定
結果の精度をより高められると共に、油種判定時間を短
縮できる。
【0093】ここで、上記のように赤外線を伝播するた
めの光ファイバケーブル56と赤外線について説明す
る。光源43で赤外線を発生させる方法は、フィラメン
トもしくはヒータに電流を流すことが一般的である。こ
れは、分析したい波長が連続的に変化する必要があり、
連続にするために黒体輻射を利用できるためである。
【0094】一般的に市販されているアクリル系プラス
チック光ファイバでの吸収割合は、次のように知られて
いる。アクリル系プラスチックの吸収は、C−H結合の
振動モードの高次高調波で起こるため、実際には、実際
に使用したい波長である3.4μmおよびその高調波で
吸収が起こる。例を挙げると、次にようになる。 3400nm:108 dB/km 1750nm:107 dB/km 1133nm:〜106 dB/km 850nm:〜105 dB/kmであり、 ガソリンや軽油を分析するための波長が一致しているの
で、アクリル系光ファイバは使用できないことが判って
いる。他のファイバ材料としては、石英ガラスを使用し
たものがある。
【0095】ここで、プラスチックの吸収損失の原因が
C−H結合にあるので、Hの部分を他の元素に置き換
え、重くすれば振動モードの周波数が下がり、吸収帯域
が変わる。例えば、フッ素樹脂が考えられる。このフッ
素樹脂材により光ファイバケーブル56を構成すると、
C−F結合での伸縮振動のモードは、8μm(8000
nm)となるので、2つの波長7.2μmと3.4μm
と異なってくる。
【0096】このフッ素樹脂を利用した光ファイバで
は、目的とする波長で吸収がないので、光源43からな
る発光体と受光素子49,50からなる検出器を離れた
場所に設置した構成で、例えば上記のように給油ノズル
8の先端でも油蒸気濃度を検出することが可能となる。
このように、給油ノズル8の先端に配設された光ファイ
バケーブル56の第2,3ケーブル58,59の端部と
第4,5ケーブル60,61の端部との間を流れる油蒸
気の赤外吸光度を2つの波長で測定することで、芳香族
の割合を遠隔地で測定できるので、安全上有利であり。
【0097】また、給油ノズル先端でガソリンと軽油
を、高い正常判定率で区別できる。そのため、吸引ポン
プがなくでも燃料タンク内の成分を測定できるので、吸
引することでガソリンタンク内の蒸気濃度を減らすこと
がないので、長時間かけて検出しても問題がない。ま
た、赤外吸光式ガスセンサ37,38に直接油蒸気が当
たらないので、給油ノズル8全体をクリーニングしても
油種判定精度に影響しない。さらに、赤外吸光式ガスセ
ンサ37,38の劣化もないので、前回の油種検知の残
留物の影響を受けないようにできる。
【0098】実際には、ガソリン用給油ノズルと軽油用
給油ノズルで、適性濃度とするために、空気と蒸気を混
合しているが、その機構が区別する必要がなくなる。ま
た、燃料タンク内に油蒸気が全く存在せず、大気が存在
している場合、ベンゼン核の割合で判別しているので、
大気と軽油蒸気との識別も可能となる。
【0099】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、油蒸気の油種によって異なる赤外線吸光度を測定し
て油種を判定するため、油種の成分比の違いを赤外線の
吸光度の差として検出することにより、油種判定を正確
に行うことができ、高い正常判定率で油種判定が可能と
なる。また、分子の振動による光の吸収を基に油種判定
を行うため、蒸気濃度などの環境の影響を受けにくく正
常判定率を高くすることができる。さらに、油種の判定
を光源と受光素子の光の授受により行うため、応答性が
良く、油種判別を短時問で行える。また、請求項2記載
の発明によれば、油蒸気吸引系路に波長の異なる複数の
赤外線発光部と複数の赤外線受光部とを設けてなるた
め、油蒸気吸引系路を流れる油蒸気に吸収されなかった
波長の赤外線が赤外線受光部で受光されることにより油
蒸気に含まれる成分を検出して油種の判定を行うことが
でき、油種判定精度を高めて使用環境の影響を受けず正
常判定率を向上させることができる。
【0100】また、請求項3記載の発明によれば、油蒸
気中の飽和炭化水素に吸収される波長の赤外線を発光す
る第1の赤外線発光部と、油蒸気中の芳香族に吸収され
る波長の赤外線を発光する第2の赤外線発光部とを有す
るため、異なる波長を持つ赤外線光源を使用するだけと
いう簡単な機構で、油種の成分比の違い、特に飽和炭化
水素と芳香族とを赤外線の吸光度の差から検出すること
ができ、油種判定精度を高めることができる。また、2
点の光の吸収の相対値から油種を判定しているため、判
定に要する時間が短くて済む。さらに、2組の特定波長
光源としての赤外線発光部と赤外線受光部のみという簡
単な構成にできるため生産性を向上させることができる
と共にコストダウンを図ることができる。
【0101】また、請求項4記載の発明によれば、第1
の赤外線発光部と第2の赤外線発光部とが異なる向きに
取り付けられているため、第1の赤外線発光部から発光
された赤外線と第2の赤外線発光部から発光された赤外
線とが干渉することがなく、第1の赤外線発光部又は第
2の赤外線発光部から発光された赤外線が第2の赤外線
受光部又は第1の赤外線受光部に影響することを防止し
て油種判定時の誤検出を防止できる。
【0102】また、請求項5記載の発明によれば、少な
くとも一対の赤外線受光部から出力された2つの波長の
吸光度の軌跡に基づいて吸引した油蒸気の油種を判定す
るため、油種判定の正常判定率の向上を図ることができ
ると共に、油種検出時間の短縮化を図ることができる。
また、請求項6記載の発明によれば、油蒸気の吸引流量
が設定値以下のとき、吸引流量を設定値に変更して再度
油蒸気を吸引するため、油蒸気の吸引不足による誤検出
を防止できる。
【0103】また、請求項7記載の発明によれば、赤外
線発光部及び赤外線受光部がフッ素系樹脂により形成さ
れた光ファイバに接続されているので、可燃性の油液が
流れる流路にも安全に配設できると共に、フッ素系樹脂
により油種検知の波長を効率よく転送することができる
と共に、油種判定精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる給油装置の一実施例の概略構成図
である。
【図2】油種検出ユニットの内部構成を示す縦断面図で
ある。
【図3】吸光度と波長との関係を示すグラフである。
【図4】制御装置が実行する油種判定及び給油処理のフ
ローチャートである。
【図5】変形例1の給油装置の構成図である。
【図6】赤外吸光式ガスセンサ37,38の構成を示す
ブロック図である。
【図7】ガソリンと軽油との成分の違いを示すグラフで
ある。
【図8】ガソリンと軽油の蒸気濃度を変えた場合の吸光
度の測定結果を示すグラフである。
【図9】赤外線吸光方式のガスセンサ37,38により
ガソリン、軽油の油蒸気を検出した場合の信号波形を示
すグラフである。
【図10】ガソリンと軽油の吸光度をxyグラフで示し
た実験結果である。
【図11】変形例2の制御装置20が実行する制御処理
のフローチャートである。
【図12】変形例2の赤外吸光式ガスセンサの構成例を
示すブロック図である。
【符号の説明】
1 給油管路 2 給油ポンプ 4 給油用流量計 7 給油ホース 8 給油ノズル 11 ノズルスイッチ 14 油蒸気吸引チューブ 15 油蒸気吸引パイプ 16 吸気・排気ポンプ 17 油種検出ユニット 18 油蒸気吸引管路 19 油蒸気用流量計 20 制御装置 21 メモリ 22,23 発光部 24,25 受光部 26 油蒸気通路 28 ホルダ 29,30 赤外線発光素子 31 窓 32,33 赤外線受光素子 37,38 赤外吸光式ガスセンサ 40 感温素子 47,48 フィルタ(BPF) 49,50 受光素子 43 光源 45,46 集光レンズ 49,50 受光素子 55 判断回路 57 光ファイバケーブル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 給油ノズルを被給油タンクの給油口に挿
    入して該被給油タンク内の油蒸気を吸引する油蒸気吸引
    系路と、該油蒸気吸引系路により吸引された油蒸気の油
    種を判定する油種判定手段と、該油種判定手段により油
    種一致と判定されたとき給油を許可する給油許可手段と
    を有する給油装置において、 前記油種判定手段は、油蒸気の油種によって異なる赤外
    線吸光度を測定して油種を判定することを特徴とする給
    油装置。
  2. 【請求項2】 前記請求項1記載の給油装置において、 前記油種判定手段は、前記油蒸気吸引系路に波長の異な
    る複数の赤外線発光部を設け、前記複数の赤外線発光部
    に対向する位置に前記複数の赤外線発光部から発光され
    た赤外線を個々に受光する複数の赤外線受光部を設けて
    なることを特徴とする給油装置。
  3. 【請求項3】 前記請求項2記載の給油装置において、 前記複数の赤外線発光部は、前記油蒸気吸引系路を通過
    する油蒸気中の飽和炭化水素に吸収される波長の赤外線
    を発光する第1の赤外線発光部と、前記油蒸気吸引系路
    を通過する油蒸気中の芳香族に吸収される波長の赤外線
    を発光する第2の赤外線発光部とを有することを特徴と
    する給油装置。
  4. 【請求項4】 前記請求項3記載の給油装置において、 前記複数の赤外線発光部は、前記油蒸気吸引系路の外周
    に対し前記第1の赤外線発光部と前記第2の赤外線発光
    部とを異なる向きに取り付けたことを特徴とする給油装
    置。
  5. 【請求項5】 前記請求項2記載の給油装置において、 前記油種判定手段は、少なくとも前記一対の赤外線受光
    部から出力された2つの波長の吸光度の軌跡に基づいて
    吸引した油蒸気の油種を判定することを特徴とする給油
    装置。
  6. 【請求項6】 前記請求項1記載の給油装置において、 前記油種判定手段は、吸引した油蒸気の吸引流量が設定
    値以下のとき、前記吸引流量を設定値に変更して再度油
    蒸気を吸引することを特徴とする給油装置。
  7. 【請求項7】 前記請求項2乃至5記載の給油装置にお
    いて、 前記赤外線発光部及び赤外線受光部は、フッ素系樹脂に
    より形成された光ファイバに接続されたことを特徴とす
    る給油装置。
JP7953198A 1997-04-01 1998-03-26 給油装置 Pending JPH10329899A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7953198A JPH10329899A (ja) 1997-04-01 1998-03-26 給油装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-82622 1997-04-01
JP8262297 1997-04-01
JP7953198A JPH10329899A (ja) 1997-04-01 1998-03-26 給油装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10329899A true JPH10329899A (ja) 1998-12-15

Family

ID=26420546

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7953198A Pending JPH10329899A (ja) 1997-04-01 1998-03-26 給油装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10329899A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008004477A1 (fr) * 2006-07-04 2008-01-10 Dkk-Toa Corporation Procédé et unité d'identification de type de pétrole
JP2010145252A (ja) * 2008-12-18 2010-07-01 Nippon Soken Inc 液体燃料性状検出装置
JP2011196937A (ja) * 2010-03-23 2011-10-06 Ihi Inspection & Instrumentation Co Ltd 油種判定装置と方法
US11796464B2 (en) 2019-06-19 2023-10-24 Wayne Fueling Systems Llc Fuel quality sensor

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008004477A1 (fr) * 2006-07-04 2008-01-10 Dkk-Toa Corporation Procédé et unité d'identification de type de pétrole
US7659512B2 (en) 2006-07-04 2010-02-09 Dkk-Toa Corporation Oil type discrimination method and oil type discriminator
JP2010145252A (ja) * 2008-12-18 2010-07-01 Nippon Soken Inc 液体燃料性状検出装置
JP2011196937A (ja) * 2010-03-23 2011-10-06 Ihi Inspection & Instrumentation Co Ltd 油種判定装置と方法
US11796464B2 (en) 2019-06-19 2023-10-24 Wayne Fueling Systems Llc Fuel quality sensor

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10337949B2 (en) Leak detector
DK2356432T3 (en) SENSOR DEVICE
CN106706542B (zh) 低温安全传感器组件及流体传感器
US7132661B2 (en) System and method for detecting water vapor within natural gas
US11614400B2 (en) Apparatus and method for detecting phase changes in a fluid using spectral recognition
US8547554B2 (en) Method and system for detecting moisture in natural gas
US8593636B2 (en) Pipe system, a fluid sensing system for a pipe system, and a method of determining a fluid component in an annulus cavity of a pipe
EP0988521A1 (en) Sensor assembly and method for measuring nitrogen dioxide
JPH0261557A (ja) オートサンプラ
JP2001503865A (ja) 新規な多重ガスndir分析器
EP1617201B1 (en) A method of reducing condensation of water in a gas sensor arrangement and a device for use in the method
JP2023011020A (ja) 気相媒質の品質を監視するための方法及び装置
JPH10329899A (ja) 給油装置
US20060249681A1 (en) Gas Sensor Arrangement With Improved Long Term Stability and Measuring Method
JP2000506974A (ja) 光ファイバ式感知装置
JP4159177B2 (ja) 給油装置
US7166843B2 (en) Technique for detecting ethylene oxide in air
CN114303053A (zh) 光学燃料质量传感器
KR100616557B1 (ko) 유사 휘발유 판별장치
JPH11223630A (ja) 光ファイバを利用した化学的又は生物学的種検知装置及びそれを使用した遠方監視システム
EP1206694A1 (en) Automatic etchant regeneration system with highly accurate sensor for monitoring etchant composition
KR101812783B1 (ko) 블랙카본 측정 장치
JPH10267840A (ja) 防水機構を配設した揮発性有機物質漏洩検知器
WO1997021098A1 (fr) Detecteur optique de vapeur de carburant utilisant une pellicule en polymere, et systeme de controle des fuites de carburant
US20230065553A1 (en) Device and method for measuring multiple analyte concentrations in a measuring medium

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040219

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20040219

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070123

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070522