JPH10309148A - 骨形成能欠損トランスジェニック動物 - Google Patents

骨形成能欠損トランスジェニック動物

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JPH10309148A
JPH10309148A JP9247346A JP24734697A JPH10309148A JP H10309148 A JPH10309148 A JP H10309148A JP 9247346 A JP9247346 A JP 9247346A JP 24734697 A JP24734697 A JP 24734697A JP H10309148 A JPH10309148 A JP H10309148A
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JP
Japan
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cbfa1
pebp2
transgenic animal
mouse
mice
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Hisafumi Komori
壽文 小守
Chuzo Kishimoto
忠三 岸本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コア結合因子/ポリオーマエンハンサー結合蛋
白質(CBFA1/PEBP2 αA)の生体内での機能を解明するた
めに有用なCBFA1/PEBP2 αA をコードする遺伝子に変異
を導入させたトランスジェニック動物および該トランス
ジェニック動物の作製方法を提供すること。 【解決手段】CBFA1/PEBP2 αA をコードする遺伝子に変
異を導入させてなるトランスジェニック動物および動物
にCBFA1/PEBP2 αA をコードする遺伝子の変異を導入す
ることを特徴とする骨形成能欠損トランスジェニック動
物の作製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、骨形成能欠損トラ
ンスジェニック動物に関する。さらに詳しくは、CBFA1/
PEBP2 αA 遺伝子に変異を導入して得られる骨形成能欠
損トランスジェニック動物および該骨形成能欠損トラン
スジェニック動物の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コア結合因子(CBFA1)はポリオーマエン
ハンサー結合蛋白質(PEBP2 αA)とも呼ばれるものであ
り、runt領域を有する遺伝子ファミリーに属する転写因
子の一つである。これまでに、3つのrunt領域を有する
遺伝子(CBFA1/PEBP2αA, CBFA2/PEBP2αB, CBFA3/PEBP2
αC)が同定されている(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,68
59-6863(1993) 、Oncogene 8,809-814(1993)、Gene 15
9,245-248(1995))。これらの転写因子は、ショウジョ
ウバエのペアルール遺伝子であるrunt遺伝子がコードす
るアミノ酸配列と非常に相同性の高いrunt領域と呼ばれ
るDNA 結合領域を持っている(Genes Dev.4,1701-1713
(1990))。また、これらの転写因子は共役転写因子であ
るCBFB/PEBP2βとヘテロ2量体を形成し、それによりDN
A 結合活性が高められることがin vitroで示されている
(Virology 194,314-331(1993) 、Mol.Cell.Biol.13,332
4-3339(1993)) 。
【0003】CBF/PEBP2 はPuACCPuCA というコンセンサ
ス配列を特異的に認識するが、この配列は、元々はポリ
オーマウイルスのエンハンサー内で(J.Virol.64,4808-4
819(1990))、また齧歯類の白血病ウイルスのエンハンサ
ー内で(Mol.Cell.Biol.12,89-102(1992))、同定されて
いたものである。該コンセンサス配列はまた、T 細胞特
異的遺伝子(TCR α, TCR β, TCR δ, TCR γ, CD3
ε)(Genes Dev.9,995-1008(1995)、Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 89,9934-9938(1992) 、Mol.Cell.Biol.12,4817-
4823(1992)、J.Immunol.150,3905-3916(1993) 、Nucl.A
cids Res.20,6495-6499(1992) )、酵素遺伝子(ミエロ
ペルオキシダーゼ、好中球エラスターゼ、グランザイム
Bセリンプロテアーゼ)(Mol.Cell.Biol.14,5558-5568
(1994)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,6930-6934(1995)
)、サイトカイン遺伝子とその受容体遺伝子(GM-CSF,
IL3, CSF-1)(Oncogene 11,2667-2674(1995) 、Blood
86,607-616(1995)、Blood 83,2851-2859(1994)、Mol.C
ell.Biol.14,8085-8095(1994))でも見つかっている。
最近の研究では、CBF/PEBP2 関連因子がオステオカルシ
ン遺伝子のプロモーター領域に結合することが示されて
いる(J.Biol.Chem.270,30973-30979(1995) 、Biochemi
stry 34,13125-13132(1995) 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
93,4968-4973(1996))。
【0004】またCBFA2/PEBP2 αB/AML1とCBFB/PEBP2β
は、急性骨髄性白血病において染色体転座を頻繁に起こ
している(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88,10431-10434(19
91)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,7784-7788(1993) 、E
MBO J.13,504-510(1994) 、Blood 85,3662-3670(199
5)、Science 261,1041-1044(1993))。CBFA2/PEBP2 αB/
AML1は、マウスの胎児と成体各組織で広く発現しており
(Dev.Dyn.203,61-70(1995) 、Mol.Cell.Biol.15,1662-
1670(1995))、また、CBFB/PEBP2βは普遍的に発現して
いる(Virology 194,314-331(1993)、Mol.Cell.Biol.1
3,3324-3339(1993)、Mol.Cell.Biol.15,1662-1670(199
5))。CBFA2/PEBP2 αB/AML1とCBFB/PEBP2βとのヘテロ
2量体化は、in vitroでこの2量体がDNA に結合するの
に必要である(Virology 194,314-331(1993)、Mol.Cel
l.Biol.13,3324-3339(1993))。CBFA2/PEBP2 αB/AML1
の遺伝子破壊を行なうと、中枢神経系における出血によ
り妊娠中期に胎生致死が起きる。また、肝臓における胎
児性造血が欠損する。CBFB/PEBP2β欠損マウス(Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 93,12359-12363(1996) 、Cell 87,69
7-708(1996))の表現型は、CBFA2/PEBP2 αB/AML1欠損マ
ウス(Cell 84,321-330(1996) 、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 93,3444-3449(1996))の表現型とほぼ同一である。従
ってCBFB/PEBP2βは、in vivo でのCBFA2/PEBP2 αB/AM
L1の機能に必須であると考えられる。CBFB/PEBP2βはま
た、CBFA1/PEBP2 αA のin vitroでのDNA 結合にも必要
であることから(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,6859-6863
(1993)) 、CBFA2/PEBP2 αB/AML1は、runt領域を有する
遺伝子ファミリーのなかでは、胎児発生において最も早
期から必要な遺伝子であることが示唆される(Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 93,12359-12363(1996) 、Cell 87,697-
708(1996))。
【0005】それに対し、CBFA1/PEBP2 αA の発現に関
しては、T 細胞株とNIH3T3細胞では発現が検出される
が、B 細胞株では検出されない(Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 90,6859-6863(1993))。また胸腺と精巣では発現が検
出されるが、脳、肺、心臓、脾臓、肝臓及び腎臓を含む
組織においては検出されない(Mol.Cell.Biol.15,1662-
1670(1995))。かかる知見において一致していること
は、T 細胞受容体α、β、γ、δ遺伝子を含む多くのT
細胞特異的遺伝子の調節領域中にCBF/PEBP2 結合部位が
あるということ、そしてCBFA1/PEBP2 αA はT 細胞受容
体βのエンハンサーに結合し、in vitroでのエンハンサ
ー活性を刺激するということである(Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 90,6859-6863(1993))。かかる知見は、CBFA1/PE
BP2 αA はTリンパ球特異的な遺伝子転写制御に何らか
の役割を果たしているものと考えられる(Mol.Cell.Bio
l.15,1662-1670(1995))。しかしin vivo でのCBFA1/PE
BP2 αA の機能については解明されていない。
【0006】ところで、骨格組織は間葉系細胞の様々な
種類から成り立っている。すなわち、骨芽細胞、軟骨細
胞、筋芽細胞及び脂肪細胞を含む骨髄ストローマ細胞か
ら成り立っている。これらの細胞系列は共通の間葉系起
源細胞から分化していると考えられている(Osteoblast
ic lineage. In Cellular and Molecular Biology ofBo
ne, M.Noda,ed.(London Academic Press),pp.1-45.(199
3))。これらの間葉系起源細胞は、分化の過程でその細
胞系列の分化段階に応じて特異的な表現系を獲得してい
く。骨格筋の場合では、塩基性 Helix-Loop-Helix ファ
ミリーに属する筋特異的な転写因子であるMyoDファミリ
ーが、筋細胞系列の分化を決定付けるのに必要である
(Cell 75,1241-1244(1993))。また、脂肪細胞系列への
分化を決定付けるには、PPARγ2(peroxisome prolifera
tor-activated receptorγ2)が重要な役割を果たしてい
る(Cell 79,1147-1156(1994))。しかしながら、骨芽細
胞系列への分化を決定付ける特異的な転写因子はいまだ
明らかにされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、CBFA
1/PEBP2 αA の生体内での機能を解明するために有用な
CBFA1/PEBP2 αA をコードする遺伝子に変異を導入させ
たトランスジェニック動物および該トランスジェニック
動物の作製方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはCBFA1/PEBP
2 αA の機能を解明するために、ジーンターゲッティン
グにより、CBFA1/PEBP2 αA 遺伝子に変異を導入したト
ランスジェニックマウスを作製した。すなわち、CBFA1/
PEBP2 αA のDNA結合能を欠損させるためにrunt領域
のはじめの41アミノ酸をコードするDNAを含むエクソ
ン1の1.2kb をPGKneoベクターで置換したトランスジェ
ニックマウスを作製した。その結果、CBFA1/PEBP2 αA
対立遺伝子の双方に変異を有するマウス(ホモ変異マウ
ス、あるいはホモ結合体マウス)は、呼吸できずに出生
直後に死んでしまった。それらのマウスの骨格系を調べ
てみると、驚くべきことに、骨形成の完全な欠損が起こ
っていた。アルカリフォスファターゼは弱く発現してい
るがオステオポンチンやオステオカルシンは発現してい
ないような未熟な骨芽細胞、また、数は少ないが未分化
な破骨細胞が軟骨膜には出現してくるものの、軟骨組織
には血管も間葉系細胞も侵入していなかった。これらの
結果により、ホモ変異マウスでは、骨芽細胞の分化成熟
が阻害されることにより膜性骨化も内軟骨性骨化も完全
に阻害されることが示唆され、現在までT リンパ球での
機能しか示唆されていなかったCBFA1/PEBP2 αA が、骨
形成において必須の役割を果たしていることが初めて明
らかとなり、本発明を完成するに到った。
【0009】すなわち本発明の要旨は、(1) コア結
合因子/ポリオーマエンハンサー結合蛋白質(CBFA1/PE
BP2 αA)をコードする遺伝子に変異を導入させてなるト
ランスジェニック動物、(2) CBFA1/PEBP2 αA をコ
ードする遺伝子内のrunt領域DNAに変異を導入させて
なる前記(1)記載のトランスジェニック動物、(3)
CBFA1/PEBP2 αA をコードする遺伝子の少なくとも一
部を欠損させる変異を導入させてなり、かつ、骨形成能
が欠損した前記(1)または(2)記載のトランスジェ
ニック動物、(4) 骨芽細胞の分化成熟阻害が生じて
いる前記(1)〜(3)いずれか記載のトランスジェニ
ック動物、(5) トランスジェニック動物がホモ変異
動物である前記(1)〜(4)いずれか記載のトランス
ジェニック動物、(6) トランスジェニック動物がヘ
テロ変異動物である前記(1)または(2)記載のトラ
ンスジェニック動物、(7) 前記(6)記載のトラン
スジェニック動物を交配させて得られる前記(5)記載
のトランスジェニック動物、(8) 動物がマウスであ
る前記(1)〜(7)いずれか記載のトランスジェニッ
ク動物、(9) 動物にCBFA1/PEBP2 αA をコードする
遺伝子の変異を導入することを特徴とする、骨形成能欠
損トランスジェニック動物の作製方法、(10) CBFA
1/PEBP2 αA をコードする遺伝子の少なくとも一部から
なる骨形成用DNA、に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のトランスジェニック動物
は、CBFA1/PEBP2 αA をコードする遺伝子に変異を導入
することにより得られるものである。
【0011】本発明において、遺伝子に変異を導入する
とは、前記遺伝子の塩基配列の1以上の塩基に置換、欠
失、挿入または付加の変異を導入することをいう。該変
異により、前記遺伝子の少なくとも一部を欠損させる変
異を導入させたトランスジェニック動物が好ましく、具
体的には、CBFA1/PEBP2 αA 遺伝子のエクソン1がコー
ドするDNA結合領域であるrunt領域の一部、あるいは
全部をコードするDNA部分を欠損させたものが一例と
して挙げられる。即ち、CBFA1/PEBP2 αA の最初のエク
ソンの一部または全部を欠損させたものである。
【0012】本発明のトランスジェニック動物は、前記
遺伝子の欠損変異により、骨形成能が欠損したトランス
ジェニック動物が好ましい。骨形成能の欠損は、実施例
に記載のように全身に及んでいる。該欠損の原因は、CB
FA1/PEBP2 αA のDNA結合能の欠損により、骨芽細胞
の分化成熟阻害が生じているためと考えられる。従っ
て、骨芽細胞の分化成熟阻害が生じているトランスジェ
ニック動物が好適に使用される。
【0013】なお、本発明のトランスジェニック動物と
は、前記遺伝子の変異が対立遺伝子の両方に導入された
ホモ変異動物、前記遺伝子の変異が対立遺伝子の片方に
導入されたヘテロ変異動物およびそれらの出生前の胎児
も含まれる。該ホモ変異動物は、該ヘテロ変異動物を交
配することにより、得られるものである。
【0014】本発明において、CBFA1/PEBP2 αA をコー
ドする遺伝子とは、用いられる動物に応じて、内因性の
遺伝子が選ばれる。
【0015】用いられる動物としては、ヒト以外の、マ
ウス、ラット、ハムスター、ウサギ等の実験動物等が挙
げられるが、遺伝子工学的に利用が容易であるところか
ら、マウスが好適である。
【0016】また、本発明は、動物にCBFA1/PEBP2 αA
をコードする遺伝子の変異を導入することにより、骨形
成能欠損トランスジェニック動物を作製する方法を提供
する。用いられる方法としては、ジーンターゲティング
等の公知の方法が挙げられる(MEDSiバイオ実験シ
リーズ ジーンターゲティング メディカル・サイエン
ス・インターナショナル発行(1995年))。マウス
を用いたトランスジェニックマウスの具体的な作製方法
は、実施例に記載されている。
【0017】前記により得られた本発明の好適なトラン
スジェニックマウスは、前記したように、全身的に骨形
成能が欠損したものであり、そして骨芽細胞の分化成熟
阻害が生じているものと判断される。従って本発明のト
ランスジェニックマウスを用いてその組織あるいは遺伝
子等の解析を行うことにより、骨形成、中でも骨芽細胞
の分化におけるCBFA1/PEBP2 αA あるいはその標的遺伝
子の役割の解明が進むことが考えられる。そしてこのよ
うな解明により、骨芽細胞の分化に対する作用を特徴と
する骨粗鬆症の治療法、あるいはその他の骨代謝異常症
の治療法を確立する上での重要な情報が得られるものと
期待される。さらに、本発明の好適なトランスジェニッ
クマウスでは破骨細胞の分化にも異常が認められるた
め、本マウスを用いて破骨細胞の分化機構を解明するこ
とは、破骨細胞に対する作用を特徴とする骨粗鬆症の治
療法あるいはその他の骨代謝異常症の治療法を確立する
上でも極めて重要である。
【0018】このようにCBFA1/PEBP2 αA が骨形成にお
いて必須の役割を果たしているという本発明における知
見から、換言すればCBFA1/PEBP2 αA をコードする遺伝
子の全部又は一部からなるDNAは、骨形成に必須の役
割を果たすDNA、即ち骨形成用DNAとして認識され
る。従って、本発明は一面においてCBFA1/PEBP2 αAを
コードする遺伝子の少なくとも一部からなるDNAを骨
形成用DNAとして提供するものと言える。このような
本発明の骨形成用DNAは、常法により遺伝子治療にお
ける有効成分として用いることができる。即ち、CBFA1/
PEBP2 αA をコードする遺伝子の少なくとも一部からな
るDNAを遺伝子治療剤として使用することにより、細
胞内でCBFA1/PEBP2 αA あるいはその一部分が高発現
し、該細胞内において骨形成の行われることが期待され
る。従って、本発明の骨形成用DNAは、骨粗鬆症、あ
るいはその他の骨代謝異常症に対する治療又は予防剤と
なる。
【0019】例えば、本発明の骨形成用DNAを遺伝子
治療剤として細胞内に導入する方法としては、ウイルス
ベクターを利用した遺伝子導入方法、あるいは非ウイル
ス性の遺伝子導入方法(日経サイエンス、1994年4
月号、20−45頁、実験医学増刊12(15)(19
94)、実験医学別冊「遺伝子治療の基礎技術」、羊土
社(1996))のいずれの方法も適用することができ
る。
【0020】ウイルスベクターによる遺伝子導入方法と
しては、例えばレトロウイルス、アデノウイルス、アデ
ノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイル
ス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンビスウイ
ルス等のDNAウイルス、又はRNAウイルスに、CBFA
1/PEBP2 αA をコードする遺伝子の少なくとも一部から
なるDNAを組み込んで導入する方法が挙げられる。こ
のうち、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連
ウイルス、ワクシニアウイルスを用いた方法が、特に好
ましい。非ウイルス性の遺伝子導入方法としては、発現
プラスミドを直接筋肉内に投与する方法(DNAワクチ
ン法)、リポソーム法、リポフェクチン法、マイクロイ
ンジェクション法、リン酸カルシウム法、エレクトロポ
レーション法等が挙げられ、特にDNAワクチン法、リ
ポソーム法が好ましい。
【0021】また、本発明の骨形成用DNAを遺伝子治
療剤として実際に作用させるには、DNAを直接体内に
導入するin vivo法、およびヒトからある種の細
胞(例えば、骨髄細胞など)を取り出し体外でDNAを
該細胞に導入し、その細胞を体内に戻すex vivo
法があり(日経サイエンス、1994年4月号、20−
45頁、月刊薬事、36(1)、23−48(199
4)、実験医学増刊、12(15)(1994))、特
に限定されないが、in vivo法がより好ましい。
【0022】in vivo法により投与される場合
は、疾患、症状等に応じた適当な投与経路により投与さ
れ得る。例えば、静脈、動脈、皮下、皮内、筋肉内等に
投与することができる。in vivo法により投与す
る場合は、一般的には注射剤等とされ、必要に応じて慣
用の担体を加えてもよい。また、リポソームまたは膜融
合リポソーム(センダイウイルス(HVJ)−リポソー
ム等)の形態にした場合は、懸濁剤、凍結剤、遠心分離
濃縮凍結剤等のリポソーム製剤とすることができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の一例として実施例により本発
明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例
によりなんら限定されるものではない。
【0024】実施例1ターゲッティングベクターの構築 ラムダフィックス2ファージベクターの129/Svマウスゲ
ノミックライブラリー(ストラタジーン社製)を、CBFA
2/PEBP2 αB 遺伝子のrunt領域cDNAでスクリーニングし
た。制限酵素地図の作製及び塩基配列決定の後、CBFA1/
PEBP2 αA 遺伝子、CBFA2/PEBP2 αB 遺伝子、CBFA3/PE
BP2 αC 遺伝子のrunt領域DNAを含むゲノム断片をそ
れぞれ得た。CBFA1/PEBP2 αA 遺伝子の第一エクソンを
含む断片を、CBFA1/PEBP2 αA の遺伝子破壊に用いた。
ターゲッティングベクターを作製するために、2.3 kbの
ゲノムCla I - Bgl II断片を、Ssp I サイトにPGK-HSV-
tk(以下、PGK-tk)を連結しているブルースクリプトS
K(ストラタジーン社製)のCla I - Bam HIサイトにク
ローニングした。PGK-neo を含むEcoRI - Bgl II断片を
平滑末端化して、やはり平滑末端化したXba I サイトに
挿入した。最終的なターゲッティングベクターを得るた
めに、1.3 kbの BstEII - Cla I ゲノム断片を平滑末端
化して、平滑末端化されたNot I サイトに挿入し、続い
て11.2 kb のSal I(Sal I はクローニングベクターのサ
イト)- Cla I ゲノム断片を、2.3 kbのゲノムCla I -
Bgl II断片、PGK-tk、PGK-neo を含んでいるブルースク
リプトSKのSal I - Cla I サイトに挿入した(図
1)。
【0025】実施例2トランスジェニックマウスの作製 ES細胞の培養・選択およびターゲッティングされたクロ
ーンのスクリーニングは公知の方法で行った(Science
261,1171-1174(1993))。すなわち、ES細胞(E14,2x107)
にSal I で直鎖状にしたターゲッティングベクター(1
6μg )をトランスフェクトし、G418(0.4mg/ml)とganc
(gancyclovir,2μM)で選択した。薬剤選択されたクロー
ンからゲノムDNAを抽出した後、ターゲットとする構
築物に含まれる3 ’側領域であるCla I- Sal I(Sal I
はクローニングベクターのサイト)断片をプローブとし
て用い、BamHI 切断したゲノムDNAのサザンブロット
分析によりクローンをスクリーニングした。ターゲッテ
ィングされたESクローンはC57BL/6J(日本クレア)から
取り出した胚盤胞にインジェクションされ、ICR (日本
クレア)メスを常法(MEDSiバイオ実験シリーズ
ジーンターゲティング メディカル・サイエンス・イン
ターナショナル発行(1995年))により偽妊娠させ
た後、その子宮に移された。発生したキメラマウスはC5
7BL/6Jに戻し交配して、尾のDNAのサザンブロットに
よりヘテロ変異マウスを確認した。得られたヘテロ変異
マウスを近親交配することにより、ホモ変異マウスを作
製した。
【0026】実施例3胎児DNAのサザンブロット分析 野生型(以下、WT)(+/+ )マウス、ヘテロ変異(+/
- )マウス及びホモ変異(-/- )マウスのd18.5 (胎生
18.5日、以下同様)胎児の肝臓よりゲノムDNAを単離
し、Bam HIで切断した後電気泳動に付し、実施例2に記
載のClaI-SalIプローブを用いてサザンブロット分析を
行なった(図2)。
【0027】実施例4胎児におけるCBFA1/PEBP2 αA のrunt領域DNAのRT
−PCR分析 WT(+/+ )マウス、ヘテロ変異(+/- )マウス及びホ
モ変異(-/- )マウスのd18.5 胎児の肝臓より抽出した
全RNAを使用し、CBFA1/PEBP2 αA のrunt領域DNA
のRT−PCR分析を行った(図3)。
【0028】実施例5エックス線検査 軟エックス線(SRO-M50,ソフロン社製)により、WTマ
ウス及びホモ変異マウスのX線写真を撮影した(図
4)。
【0029】実施例6骨格サンプル調製 d15.5からd18.5の胎児及び新生児の内蔵を摘出して10
0 %エタノールで4日間固定した後、アセトンに移し
た。3日後に水でリンスして、等容量の95%エタノール
に溶解した0.1 %アリザリンレッドS(シグマ社製)、
等容量の70%エタノールに溶解した0.3 %アルシアンブ
ルー8GX(シグマ社製)、等容量の100%酢酸及び1
7倍容量エタノールからなる染色液で、10日間染色し
た。96%エタノールでリンスした後、標本を20%グリセ
ロール-1%水酸化カリウム液中に37℃、16時間置き、そ
の後室温で骨格が明らかに見えるようになるまで置いた
(図5)。保存用には、標本を50%、80%グリセロール
に順次移していき、最後に100 %グリセロールに移し
た。
【0030】実施例7組織学的評価 d18.5の胎児を、PBSに溶解した10%中性ホルマリン
緩衝液で20時間処理することにより固定した。頭部と下
肢を胎児から分離し、PBSで洗浄した。アルコール系
列で脱水してテクノビット8100(ヘラウスクルツアー社
製)に包埋した。未脱灰の4μm厚切片を作製し、ヘマ
トキシリン−エオジン染色、アルカリホスファターゼ(
以下、ALP)染色、酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ( 以
下、TRAP) 染色、あるいはフォンコッサ染色を行った。
切片上でのALP 活性の検出は、0.1mg/mlナフトールAS
−MXホスフェート(シグマ社製)、0.5% N, N−ジ
メチルホルムアミド、2mM 塩化マグネシウム、0.6mg/ml
ファストブルー塩(シグマ社製)を含む 0.1M トリス
塩酸溶液(pH.8.5)で30分室温で処理することにより行
った。TRAP活性は、0.1mg/mlナフトールAS−MX
ホスフェート(シグマ社製)、0.5% N, N−ジメチル
ホルムアミド、0.6mg/mlファストレッドAL塩(シグマ
社製)を含む0.1M酢酸緩衝液(pH.5.0)で30分間37℃で
処理することにより行った(図6)。
【0031】実施例8In situ ハイブリダイゼーション ジゴキシゲニン-11-UTP で標識された一本鎖RNAプロ
ーブは、DIG RNA 標識キット(ベーリンガーマンハイム
社製)を用い、キットに添付されているプロトコールに
従って調製した。1.0kb のマウスオステオネクチン(以
下、OSN )cDNA断片、1.2kb のマウスオステオポン
チン(以下、OSP )cDNA断片、0.47kbのマウスオス
テオカルシン(以下、OSC )cDNA断片(Cell Tissu
e Res.277,27-32(1994))、そして0.5kb のマウスマトリ
ックスグラタンパク質(以下、MGP )cDNA断片(Ac
ta Histochem.Cytochem.26,303-309(1993))を、それぞ
れアンチセンス鎖及びセンス鎖のプローブを作製するの
に用いた。ハイブリダイゼーションは公知の方法で行っ
た(Acta Histochem.Cytochem.26,303-309(1993))(図
7)。
【0032】実施例9頭蓋骨由来細胞の分離と培養 WTマウスの頭蓋骨とホモ変異マウスの頭蓋骨部分にあ
たる繊維状の組織を、それぞれd18.5の胎児から分離し
た。これらを約2mm 四方の大きさに小さく切り、3次元
コラーゲンゲル(セルマトリックス;ニッタゼラチン社
製)中で10-14日間、10%FBS を含むα-MEM培地で培養
した。植えて増殖してきた細胞を、0.2%コラゲナーゼ
(和光純薬社製)を含むPBS(−)溶液で30分間37℃
で処理して回収した。WTマウス及びホモ変異マウス由
来の細胞は、それぞれ別個に10%FBS を含むα-MEM培地
中で培養した。サブコンフルエントに達した後、培養フ
ラスコからはがして1x104cells/cm2の細胞密度でマルチ
ウエルプレートに播きこんだ。それらは、様々な濃度の
rhBMP-2 と共に培養した。該rhBMP-2 はCHO 細胞にて産
生させたもので、公知の方法により精製した(Science
242, 1528-1534 (1988))。rhBMP-2 は山之内製薬株式会
社より供与された。以下に記載の全ての実験には2継代
あるいは3継代の細胞を用いた。
【0033】実施例10ノーザンブロット分析及びRT−PCR 塩化リチウム法によりd18.5胎児の骨・皮膚・頭蓋骨由
来細胞から全RNAを調製し、ナイロン膜にRNAを転
写して、32Pで標識した0.78kbのラット ALP cDNA 断片
(J.Bone Miner.Res.2,161-164(1987))、1.2kb のマウ
スOSP cDNA断片及び0.47 kb のマウスOSC cDNA断片(Ce
ll Tisssue Res.277,27-32(1994))とハイブリダイズさ
せることによりノーザンブロット分析を行った(図
8)。
【0034】RT−PCRは、M-MuLV逆転写酵素(ギブ
コBRL社製)とランダムヘキサマーを用いてcDNA
を作製し、該cDNAのPCRを50μlの系で、アンプ
リタックDNAポリメラーゼ(パーキンエルマー社製)
を用いて行った。用いたプライマーのリストを表1に示
す。
【0035】
【表1】
【0036】PCRはジーンアンプ2400(パーキンエル
マー社製)を用いて、94℃30秒・50-63 ℃30秒・72℃30
-45 秒のサイクルを30回行った(図9)。
【0037】実施例11ALP 活性とOSC 産生量の測定 培養細胞は、0.1 %トライトンX−100を含む0.1 M
トリス緩衝液(pH7.2)中で超音波破砕した。ALP 活性
は、パラ−ニトロフェニルホスフェートを基質として0.
05M 2- アミノ- 2−メチルプロパノール、2mM 塩化マ
グネシウム(pH10.5) 溶液中で測定した。410 nmの吸光
度を測定することで、パラ- ニトロフェノール放出量を
測定した。タンパク濃度はBCAタンパクアッセイキッ
ト(ピアスケミカル社製)を用いて測定した。最後の3
日間に培地中に分泌されたOSC 量は、マウスOSC アッセ
イキット(バイオメヂカルテクノロジー社製)を用い
て、RIAで定量した(図10)。
【0038】実施例12血液学的解析 末梢血のサイトスピンサンプル及び肝臓の塗末標本は、
メイ−グルンワルド−ギムザで染色した。有核細胞数は
ツエルク液で末梢血を20倍希釈して計測した。赤血球数
は、PBSで末梢血を400 倍希釈して測定した。ヘモグ
ロビンは、ヘモグロビンアッセイキット(和光純薬社
製)を用いプロトコールに従って評価した。
【0039】実施例13フローサイトメトリー解析 胸腺・肝臓・脾臓から、4%FCS含有PBSを用いて
単一細胞懸濁液を調製した。これらの懸濁液は、染色前
に、0.14M 塩化アンモニウムを含む17mMトリス(pH.7.3)
液で処理をして赤血球を除いている。細胞(5x105)を以
下に示す標識抗体(ファーミンジェン社製)と混合し
た。フルオロセイン(FITC )標識−53-6.7(抗CD
8)、フィコエリスリン(PE)標識−RM4-5 (抗CD
4)、FITC標識-H57-597(抗αβ)、PE標識-GL3(抗γ
δ)、FITC標識-R6-60.2(抗IgM )、PE標識-RA3-6B2
(抗 B220 )、FITC標識-RB6-8C5(抗 Gr-1 )、PE標識
-M1/70(抗Mac1)。解析はファクスキャン(ベクトンデ
ィッキンソン社製)により行った(図11)。死細胞は
ヨウ化プロピヂウム染色により除き、10000 個の生細胞
を解析した。
【0040】結果1. CBFA1/PEBP2 αA 欠損マウスは
出生後すぐに死亡する CBFA1/PEBP2 αA 遺伝子を破壊するために、runt領域の
はじめの41アミノ酸をコードするDNAを含むエクソ
ン1の1.2kb をPGK-neo ベクターで置換し、ターゲッテ
ィングベクターを作製した( 図1) 。このターゲッティ
ングベクターをE14 ラインのES細胞に電気的に導入し、
G418とgancで選択した。ターゲットされたES細胞をC57B
L/6 マウスの胚盤胞に注入し、その結果作製されたキメ
ラマウスをC57BL/6 マウスと交配し、CBFA1/PEBP2 αA
の欠損を生殖系列にトランスミットした。相同遺伝子の
一方が破壊されたヘテロ変異マウス(CBFA1/PEBP2 αA+
/-)は、全体的な外観は通常のマウスとほとんど変わら
なかった。加えて、4週令ではWTマウスと体重にも有
意な差はなく(雄:+/- は18.6±3.4g、+/+ は20.8±2.
6g、雌:+/- は16.7±2.9g、+/+ は17.0±2.7g)また、
生殖できる個体であった。ヘテロ変異マウスを掛け合わ
せても、4週令の遺伝子系の解析で、ホモ変異マウス
(CBFA1/PEBP2 αA-/-)を検出しなかった。
【0041】
【表2】
【0042】表2より、ヘテロ変異マウスを掛け合わせ
た場合、常に新生児が2.3 匹死んでいたが、その遺伝子
系は常にCBFA1/PEBP2 αA-/-であった。しかし、胎生1
8.5日(d18.5 )においては、メンデルの法則で予想さ
れる頻度で生きたホモ変異マウスの胎児を認めた(表2
及び図2)。ヘテロ変異マウスを掛け合わせると出産は
行われるが、通常より小さな新生児がほとんど呼吸する
ことなくすぐに死んでいくことが明らかになった。それ
らはすべてホモ変異マウスであった。また、ホモ変異マ
ウスをつついてやると2ないし3分間は反応することか
ら出産直後は生存していることを確認したが、すぐに呼
吸不全を起こした。ホモ変異マウスの胎児のd18.5 時の
体重は、ヘテロ変異マウスおよびWTマウスの胎児の約
80%であり(+/+ ;1.16±0.21g ,+/- ;1.17±0.14g
,-/- ;0.93±0.22g )、四肢が短かった。
【0043】CBFA1/PEBP2 αA 遺伝子が破壊されている
ことを確認するために、本発明者はrunt領域部分のRT
−PCRを行った(図3)。ホモ変異マウスの胎児で
は、runt領域部分のcDNAは増幅されなかった。runt領域
部分は、DNA結合及びCBFB/PEBP2βとのヘテロ2量体
形成の両方に必須であるので、ホモ変異マウスの胎児で
はCBFA1/PEBP2 αA の機能は確実に損なわれている。
【0044】結果2. CBFA1/PEBP2 αA ホモ変異(-/
-) マウスでは骨化が起こらない ホモ変異マウス(CBFA1/PEBP2 αA-/-)の胎児および新
生児では、全体的に矮小化を示し、四肢が短い。そこで
軟X線及びアリザリンレッド/アルシアンブルーの2重
染色で、骨格系の発達を調べた(図4及び図5)。アリ
ザリンレッドは石灰化した骨を染め、アルシアンブルー
は軟骨を染めるものである。WTマウスd18.5胎児を軟
X線で調べると、頭蓋骨/顎/上肢・下肢/肋骨/脊椎
を含む様々な骨格成分で石灰化が見られた。一方、d1
8.5のホモ変異マウスでは、脛骨/とう骨/脊椎の一部
は弱く石灰化しているものの、頭蓋骨/顎/上腕骨/大
腿骨では全く石灰化が見られなかった(図4)。さら
に、WTマウスの胎児では充分に石灰化された骨格が見
られるのに、d15.5-16.5 のホモ変異マウスでは全身に
わたって石灰化がないことが、アリザリンレッド染色で
示された。WTマウスではd15.5から出生にかけてアリ
ザリンレッド染色で染められる石灰化部分が増大した。
それに対してd17.5からd18.5のホモ変異マウス胎児・
新生児では、脛骨/腓骨/とう骨/尺骨において、また
脊椎背側の弓形部分・肋骨の背側にピンポイントで、ア
リザリンレッドでの弱い染色が見られるに過ぎない。ま
た一方、ホモ変異マウスにおける軟骨の発達は、アルシ
アンブルー染色で見るかぎりは正常のように見えた。ヘ
テロ変異マウス(CBFA1/PEBP2 αA +/-)胎児・新生児
では、骨格の発達には明らかな異常は認められなかった
(図5) 。さらに本発明者は、CBFA1/PEBP2 αA とCBFB
/PEBP2βのヘテロ変異マウスを掛け合わせ、CBFA1/PEBP
2 αA+/-:CBFB/PEBP2β+/- という子供を得た。アリザ
リンレッド/アルシアンブルー染色からは、この掛け合
わせたマウスは正常な骨格形成を示した。
【0045】d18.5の胎児の骨格の組織切片を、ALP 、
フォンコッサ及びTRAPで染色して調べた(図6)。ALP
は骨芽細胞を、フォンコッサは石灰化組織を、またTRAP
は破骨細胞を染めるものである。d18.5のWTマウス胎
児は、脛骨は3つの部分からなる。すなわち2つの骨端
の軟骨部分(近位・遠位)と、軟骨部分に挟まれる部分
の骨化した骨幹である(図6A)。骨幹部では、皮質骨
と骨幹でよく石灰化が進んだ骨組織が観察される(図6
C)。これらの石灰化した骨の周りには、数多くのALP
陽性骨芽細胞が存在している(図6E)。TRAP陽性の破
骨細胞は、多くは石灰化した骨・軟骨の周辺に散在して
いる (図6G) 。骨幹部の中央には大きな骨髄腔が形成
されている(図6A)。d18.5のホモ変異マウスの胎児
では、脛骨の中程は骨髄腔を形成せず石灰化した軟骨の
ままであった(図6B及び図6D) 。血管も間葉系細胞
も両方とも石灰化軟骨には侵入しない様子が観察され
た。石灰化軟骨の軟骨膜部分にはALP 陽性細胞が出現し
ているものの、骨形成は全くされなかった(図6D及び
図6F) 。TRAP陽性細胞は数少ないが、石灰化軟骨の軟
骨膜部分に出現していた(図6H) 。しかし細胞の大き
さと核の数は、WTマウス胎児に比べて少なかった(図
6J及び図6I) 。ホモ変異マウスの大腿骨は石灰化し
ていない軟骨でできており、ALP 陽性細胞もTRAP陽性細
胞も、大腿骨の軟骨膜には出現していなかった。d18.5
のWTマウス胎児では、脳とその皮下の結合組織の間で
良く石灰化の進んだ骨が形成される(図6K) 。骨の表
面は数多くのALP 陽性骨芽細胞でおおわれる(図6M)
。骨膜にはTRAP陽性破骨細胞もいくつか認められる。
それに対し、d18.5のホモ変異マウスの胎児では、脳と
その皮下の結合組織の間にはただ薄い繊維状の結合組織
が観察されるに過ぎなかった(図6L) 。ALP 陽性細胞
は、繊維性の結合組織に認められるが、石灰化した骨は
全く認められなかった(図6N) 。ホモ変異マウスの頭
蓋骨部分にはTRAP陽性細胞は認められなかった。
【0046】結果3. 骨芽細胞におけるCBFA1/PEBP2
αA の優先的発現 CBFA1/PEBP2 αA の発現を調べるため、d18.5のWTマ
ウス胎児の切片をCBFA1/PEBP2 αA のRNAプローブで
ハイブリダイズしたところ、骨格系でポジティブなシグ
ナルが検出された。このようなCBFA1/PEBP2 αA の骨格
系での発現は、今まで報告されていなかったことであ
る。骨では、軟骨細胞より骨芽細胞の方が強く発現して
いる一方、破骨細胞には明らかな発現は認められなかっ
た。胸腺にはこれまでの知見通り(Mol.Cell.Biol.15,1
662-1670(1995))、CBFA1/PEBP2 αA が発現していた
が、ホモ変異マウスの胸腺は組織学的にはなんら異常を
認めなかった。CBFA1/PEBP2 αA は、腱にも発現し真皮
にも弱く発現しているが、組織学的には、腱はWTマウ
スとホモ変異マウスで違いを認めなかった。真皮におい
ては、CBFA1/PEBP2 αA は線維芽細胞に発現していた。
ホモ変異マウス胎児の真皮の線維芽細胞は、WTマウス
胎児にくらべてやや数が少ないようにみえるが、厚さは
ほぼ同じであった。胎盤ではCBFA1/PEBP2 αA の明らか
な発現は検出されなかったが、ホモ変異マウスでは胎盤
の血管壁にミネラルの凝集が認められたこと、血管が拡
張していたことが観察された。肝臓におけるCBFA1/PEBP
2 αA のmRNAは、RT−PCRにより観察されたが
(図3)、d18.5 のWTマウス胎児の脳・心臓・肺・腸
・肝臓・筋肉などの臓器では、in situ ハイブリダイゼ
ーションによるCBFA1/PEBP2 αA の発現は観察されなか
ったし、ホモ変異マウスではこれらの組織に異常は認め
られなかった。
【0047】結果4. 非コラーゲン性骨基質タンパク
の発現 非コラーゲン性骨基質タンパクであるOSN は、初期の骨
芽前駆細胞から骨細胞まで発現している。また骨芽細胞
の分化においては、ALP の発現が、そしてOSPの発現が
起こり、その後にOSC の発現が起こることが知られてい
る。また軟骨細胞の分化マーカーとしてMGP が知られて
いる。本発明者は、そのうちOSN 、OSP、OSC 及びMGP
のRNAをプローブに用い、コントロール(+/- )及び
ホモ変異マウス(-/- )のd18.5胎児の切片とのin sit
u ハイブリダイゼーションを行うことにより、これら胎
児の骨芽細胞及び軟骨細胞の分化成熟ステージを決定す
る実験を行った(図7) 。コントロールの骨芽細胞に
は、OSN 、OSP 、OSC のRNAがハイブリダイズした(
図7C、7E、7G) 。しかしホモ変異マウスでは、骨
芽細胞は扁平で、軟骨膜周辺にみられるのみであり、そ
れらはOSN ではハイブリダイズするものの(図7D)、
OSP では非常に弱く、OSC では全くハイブリダイズしな
かった(図7F、7H) 。コントロール及びホモ変異マ
ウス胎児の軟骨細胞は、共にOSN 、MGP で染まった( 図
7C、7D、7I、7J) 。しかし肥大軟骨は、ホモ変
異マウスでは、かろうじて検出できる程度にしかOSP を
発現していなかった。それに対し、コントロール胎児で
はもっと強く発現していた(図7F、図7E)。
【0048】結果5. 骨形成に関連する遺伝子の発現 ALP 、 OSP 、 OSC の発現を、骨のRNAを用いたノーザ
ンブロット分析により調べた(図8) 。WTマウス胎児
では3つ全てが発現しているが、ホモ変異マウスはALP
は弱く発現しているものの、OSP はかろうじて検出でき
る程度、またOSC は全く検出されなかった。これらは、
in situ ハイブリダイゼーションの結果と一致していた
(図7) 。次に、骨形成に関与していると言われている
因子の遺伝子の発現を調べた。すなわちTGF-βスーパー
ファミリーとその受容体遺伝子、すなわちTGF-β1 、TG
F-β2 、TGF-β3 、BMP-2 、BMP-4 、BMP-6 、TGF-βI
型受容体、TGF-βII型受容体、 BMP受容体IA型(ALK
3)、BMP 受容体IB型(ALK6)、アクチビン受容体I型
(ALK2)、BMP 受容体II型の遺伝子発現について、d1
8.5胎児の骨・皮膚・頭蓋骨由来細胞のRNAを用いて
RT−PCRにて検討した(図9) 。上記のいずれの遺
伝子も、骨・皮膚・頭蓋骨由来細胞いずれにおいても、
ホモ変異マウスはWTマウスと同様に発現していた。さ
らに、IGF-1 、IGF-2 、I型IGF 受容体、II型IGF 受容
体についても、骨・皮膚・頭蓋骨由来細胞いずれにおい
てもホモ変異マウスとWTマウスで同様な発現が認めら
れた。
【0049】結果6. in vitroでの骨芽細胞の分化 d18.5WTマウス胎児とホモ変異マウス胎児から分離し
た頭蓋骨由来細胞において、ALP 活性とOSC 産生に対す
る組み換えヒトBMP2(rhBMP-2 )の効果を検討した
(図10)。rhBMP-2 存在下で3日間培養すると、WT
マウス胎児でもホモ変異マウス胎児でもALP 活性は上昇
するが、ホモ変異マウス胎児のほうではWTマウスの約
1/3 の活性であった( 図10A) 。さらに3日間rhBMP-
2 存在下で培養し続けると、ホモ変異マウスでもWTマ
ウスの半分をこえるところまで活性が上昇してきた(図
10B) 。rhBMP-2 処理3日間では、ホモ、WTマウス
双方ともOSC 産生は上昇してこないが、さらに3日間rh
BMP-2 処理を続けると、両方でOSC 産生は上昇してき
た。しかし、ホモ変異マウスではWTマウスの約1/3し
か産生されなかった(図10C) 。ALP 、OSC 遺伝子発
現の上昇は、RT−PCRでも確認した。
【0050】結果7. 骨髄の欠損による髄外造血 d18.5のホモ変異マウス胎児は少し貧血ぎみであり、末
梢血中に通常の10倍多い有核細胞が存在していた(表
3) 。末梢血塗抹標本を調べると、有核細胞の多くは成
熟した赤芽球であり、若干の好中球が混ざっていた。ホ
モ変異マウス胎児の脾臓細胞の数は、WTマウス、ヘテ
ロ変異マウス胎児に比べて有意に多かった(表3) 。ホ
モ変異マウス胎児の肝臓における細胞数は、WTマウ
ス、ヘテロ変異マウス胎児に比べて有意に少なかったが
(表3) 、ホモ変異マウス胎児の肝臓の標本は、骨髄球
系列の細胞の増加を示していた。これらの結果は、ホモ
変異マウス胎児の肝臓と脾臓のFACS解析によっても確認
され、Gr-1陽性の顆粒球が比較的増加していた(図1
1) 。これらの結果は、ホモ変異マウス胎児における骨
髄の欠損が引き起こす髄外造血に一致した結果であっ
た。CBFA1/PEBP2 αA は胸腺にも発現しているが、αβ
T細胞とγδT細胞は胸腺では正常に分化しているよう
である(図11) 。しかし、胸腺細胞の数は、ホモ変異
マウスではWTマウス、ヘテロ変異マウスに比べて明ら
かに少なかった(表3) 。その上、ホモ変異マウスで
は、B細胞のIgM 陽性細胞への分化成熟が、胎児肝と脾
臓で見られた(図11) 。
【0051】
【表3】
【0052】考察 以上の結果につき総括する。CBFA1/PEBP2 αA-/-マウス
の新生児は呼吸できずに死んでしまった。グルコースを
注入しても効果がなく、肺のサーファクタントタンパク
の発現も正常であった。肋骨の骨化がないことが、呼吸
できない一番大きな原因であり、そのため、死ぬものと
考えられる。肺の拡張に必要な陰圧を十分に達成できる
だけの強さが、骨化していない肋骨にはないためと考え
られる。
【0053】CBFA1/PEBP2 αA-/-胎児は骨形成の完全な
欠損が認められたため、本発明者らは骨芽細胞の分化成
熟段階を調べるために、OSN 、ALP 、 OSP、OSC の遺伝
子発現を検討した。OSN は分泌性のタンパクであり、リ
ン酸化されるし、1型コラーゲンに結合するカルシウム
結合性糖タンパクである。そして、初期の骨芽前駆細胞
から骨細胞まで発現が検出される(J.Bone Miner.Res.
7,743-754(1992)、J.Bone Miner.Res.9,1551-1557(199
4))。OSP はシアル酸リッチなリン酸化糖タンパクであ
る。OSC は、カルシウム結合性のタンパク質であるが、
骨Gla タンパク質(BGP )としても知られており、ハイ
ドロキシアパタイトに結合することのできるビタミンK
依存性タンパクである。骨芽細胞の分化においては、AL
P の発現が、そしてOSP の発現が起こり、その後にOSC
の発現が起こることが知られている。
【0054】ホモ変異マウスの骨芽細胞では、OSN は発
現しているものの、ALP 発現は低く、OSP とOSC はかろ
うじて発現が検出される程度であった(図6、図7、図
8)。これらのデータにより、CBFA1/PEBP2 αA-/-胎児
においては骨芽細胞の分化の初期の段階で、その分化成
熟の阻害が起こっていることが示された。
【0055】OSC は、プロモーター領域に3つのCBF/PE
BP2 サイトがあり、そこにCBF/PEBP2 関連因子が結合す
るが(J.Biol.Chem.270,30973-30979(1995) 、Biochemi
stry34,13125-13132(1995) 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
93,4968-4973(1996))、おそらく該OSC はCBFA1/PEBP2
αA の標的遺伝子の一つであると考えられる。CBFA1/PE
BP2 αA-/-の胎児から分離され、rhBMP-2 存在下で培養
した頭蓋骨由来細胞は、WTマウス胎児のそれと比較し
てOSC をあまり産生しなかった(図10)。しかし高濃
度のrhBMP-2 存在下で、ホモ変異マウスの胎児由来の細
胞においてもOSC の産生量の増大が観察された。従っ
て、少なくともin vitroでは、CBFA1/PEBP2 αA 以外の
転写因子が、BMP-2 により誘導されたOSC の産生におい
て重要な役割を果たしていることが示唆される。実際
に、OSC の発現が下がったことがホモ変異マウスの完全
な骨形成欠損の説明にはならない。なぜならば、OSC 遺
伝子のノックアウトマウスは骨形成の上昇が示されてい
るからである(Nature 382,448-452(1996))。
【0056】本発明者らはまた、骨形成に関係する遺伝
子の発現を調べた。TGFβファミリーに属する遺伝子
(TGF-β1 、TGF-β2 、TGF-β3 、BMP-2 、BMP-4 、BM
P-6)とその受容体(TGF-βI型受容体、TGF-βII型受容
体、BMP 受容体IA型、BMP 受容体IB型、アクチビン受容
体I 型、BMP 受容体II型) 、IGFs及びその受容体は、W
Tマウス・ホモ変異マウス両方の骨、皮膚及び頭蓋骨由
来細胞で発現していた(図9)。従って、これらの遺伝
子発現を制御できないことが、ホモ変異マウスの骨形成
欠損の説明になるとは思えない。しかし、これらの遺伝
子の微妙な発現の違いを検出するのはむずかしい。とい
うのは、発現のレベルは骨芽細胞の分化段階によって違
ってくるし(Mol.Cell.Biol.15,3273-3281(1995))、さ
らに、ホモ変異マウスでは骨芽細胞の分化がブロックさ
れているため、WTマウスとホモ変異マウスの胎児で同
じ細胞集団で比較することが不可能であるからである。
従って、これらの遺伝子のうちの一部が骨芽細胞の分化
の阻害に重要である可能性を排除することはできない。
【0057】OSN 、MGP 、OSP の発現も、軟骨細胞の分
化マーカーとして調べた。OSN もまた、軟骨細胞で発現
している(J.Cell.Biol.106,441-450(1988) 、J.Anat.1
62,43-51(1989)、Histochem.J.23,281-289(1991))。MG
P はGla をふくむ、ビタミンK依存性のタンパクであ
り、胎児・成体の骨において軟骨細胞で発現が見られる
(J.Biol.Chem.263,5820-5824(1988) 、J.Histochem.Cy
tochem.40,1079-1088(1992))。OSP は、骨芽細胞だけで
なく肥大軟骨細胞でも発現が検出される(J.Cell.Biol.
106,441-450(1988) 、Differentiation 37,123-136(198
8))。ホモ変異・WTマウス胎児の軟骨細胞は、OSN,MG
P は両方とも発現していた(図7)。しかし、WTマウ
ス胎児とは違って、ホモ変異マウスの胎児の肥大軟骨細
胞では明らかなOSP の発現は認められなかった(図7
F)。さらに、肥大軟骨細胞が最終分化したところで通
常見られる石灰化が、ホモ変異マウスの胎児では限られ
た軟骨でしか観察されなかった( 図5 、図6)。これら
のデータは、軟骨の最終分化も、ホモ変異マウスでは損
なわれていることを示唆している。
【0058】ホモ変異マウスでは、石灰化した軟骨周辺
に少数の破骨細胞が観察される。しかし、大きさは小さ
くて単核であることから、分化成熟していないことが示
される(図6H及びJ)。CBFA1/PEBP2 αA は破骨細胞
では発現を検出できなかったので、破骨細胞の分化阻害
の原因が、破骨細胞自身にあるのか否かは明らかではな
い。破骨細胞の前駆細胞が、骨髄ストローマ細胞を含む
骨形成細胞とコンタクトすることが、破骨細胞の分化に
必要であることが示されている(Endocrinology 123,26
00-2602(1988) 、J.Exp.Med.173,1291-1294(1991))。破
骨細胞の分化が阻害されていることの主たる原因は、骨
芽細胞の分化成熟阻害にあると考えることができるが、
その証明にはさらなる研究を要すると思われる。
【0059】哺乳類での長骨の発生の間には、骨髄が形
成される前に石灰化した軟骨の周りに骨膜下骨が形成さ
れる。その後、骨形成性細胞と毛細血管が骨膜付近から
石灰化軟骨へと侵入し、内軟骨性の骨と骨髄腔が形成さ
れる。しかし、ホモ変異マウスの場合には、脛骨および
とう骨の石灰化軟骨の周囲では骨膜下骨は全く形成され
なかった。ホモ変異マウス胎児のこの場所での骨形成不
全は、引き続いて起こるはずの内軟骨性骨化と骨髄形成
が起こらないということの原因であると考えられる。あ
るいは、軟骨の分化が充分進まないことが、骨芽細胞・
破骨細胞の分化に影響を与えていると考えられる。ホモ
変異マウス胎児の肥大軟骨におけるOSP遺伝子発現の
低下は、骨芽細胞と破骨細胞が軟骨に侵入することがで
きない理由のひとつであると考えられる。というのは、
OSPは、5' −発現調節領域にCBF/PEBP2 結合推定サ
イトを持つし(J. Biol. Chem. 265, 14432-14438 (199
0)) 、細胞外マトリックスへの骨芽細胞・破骨細胞の接
着を促進する働きを持つと考えられているからである
(J. Bone Miner. Res. 2, 259-265 (1987)、 Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA 87, 4473-4475 (1990)、 J. Biol. C
hem. 266, 20369-20374 (1991)) 。内軟骨性骨化に対し
て膜性骨化の場合は、軟骨形成を経ずに直接骨が形成さ
れる。ホモ変異マウス胎児の頭蓋骨においては、骨芽細
胞の分化・成熟阻害を伴う膜性骨化の完全なブロックが
起こっている。以上の結果は、骨芽細胞の分化・成熟阻
害が、骨形成の完全な阻害のもっとも重要な原因の一つ
であることを示している。
【0060】ホモ変異マウス胎児では、胎児発生段階に
おける最終的な造血器官である骨髄が全く形成されなか
った。肝臓と脾臓における顆粒球数の増加は、髄外造血
の症状と一致している。なぜなら、マウス胎児において
は骨髄造血は顆粒球形成に限られるからである(Blood
Cells 1, 269-281 (1991))。ホモ変異マウス胎児におい
て末梢血の赤芽球数が増加している理由は今後明らかに
する必要がある。しかし、貧血は、おそらく肝臓と脾臓
での顆粒球形成過剰によると思われるが、末梢血での赤
芽球数の増加の原因の一つであろうし、顆粒球形成過剰
それ自体も赤芽球の分化・成熟やあるいは肝臓と脾臓か
らの移動に影響を与えているであろう。
【0061】結論として本発明者らは、CBFA1/PEBP2 α
A が骨形成、特に骨芽細胞の分化に必須であることを示
した。しかしながら、骨芽細胞と破骨細胞の分化がブロ
ックされるメカニズムについてはさらに検討が必要であ
る。軟骨への血管侵入の必要性も調べる必要がある。そ
して最も重要なことは、CBFA1/PEBP2 αA によって調節
される標的遺伝子の同定である。CBFA1/PEBP2 αA は骨
形成におけるマスタージーンの一つであろうし、OSP 、
OSC 、そしてそのほか未知の遺伝子の発現調節をすると
考えられる。トランスジェニックマウスの更なる解析が
これらのことを明らかにするであろう。
【0062】本発明は、CBFA1/PEBP2 αA が骨形成に必
須の因子であることを初めて明らかにしたものである。
従って、本発明のトランスジェニック動物を用いてその
組織あるいは遺伝子等の解析を行うことにより、骨形
成、中でも骨芽細胞の分化におけるCBFA1/PEBP2 αA あ
るいはその標的遺伝子の役割の解明が進むことが考えら
れ、骨芽細胞の分化に対する作用を特徴とする骨粗鬆症
の治療法あるいはその他の骨代謝異常症の治療法を確立
する上での重要な情報が得られるものと期待される。な
かでも、CBFA1/PEBP2 αA をコードする遺伝子の少なく
とも一部からなるDNAは、骨形成用DNAとして遺伝
子治療に使用することにより、骨髄細胞などの細胞内で
CBFA1/PEBP2 αA あるいはその一部分が高発現し、該細
胞内において骨形成の行われることが期待されるので、
骨粗鬆症、あるいはその他の骨代謝異常症に対する治療
又は予防に有用である。
【0063】
【発明の効果】本発明により、CBFA1/PEBP2 αA の生体
内での機能を解明するために有用なCBFA1/PEBP2 αA を
コードする遺伝子に変異を導入させたトランスジェニッ
ク動物および該トランスジェニック動物の作製方法が提
供される。
【0064】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 CCGCACGACA ACCGCACCAT 20
【0065】配列番号:2 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 CGCTCCGGCC CACAAATCTC 20
【0066】配列番号:3 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 GAACCCCCAT TGCTGTCCCG 20
【0067】配列番号:4 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 TCACAAGAGC AGTGAGCGCT 20
【0068】配列番号:5 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 GTTGGGAACG CGTTGCATTT 20
【0069】配列番号:6 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 GCGCATAAAC TGATCCATGT 20
【0070】配列番号:7 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 CGTTTCAATG TGTCCTCAGT G 21
【0071】配列番号:8 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 GGTCATCTTC ATTGTCCACT C 21
【0072】配列番号:9 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 AGGGAATTCA GTGTTTCTGC CACCTCT 27
【0073】配列番号:10 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 CCTCTGAAAT GAAAGGGCGA TCTA 24
【0074】配列番号:11 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 TGAAGTCTGC GTGGCCGTGT GG 22
【0075】配列番号:12 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 CTATGGCAAT CCCCAGCGGA GG 22
【0076】配列番号:13 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 TGTACCGCAG GCACTCAGGC 20
【0077】配列番号:14 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 GGTGTGTCCC TGTGTGGTCC 20
【0078】配列番号:15 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 GCGCCGTCAT TCCGGATTAC 20
【0079】配列番号:16 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 CATTGTGATG GACTAGTCTG 20
【0080】配列番号:17 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 GCGCTGCACA CTCCTTGAAC 20
【0081】配列番号:18 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 GTCCATCCCG AGTCACCACA 20
【0082】配列番号:19 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 CCGATGGCTG GTTGTGCTCA T 21
【0083】配列番号:20 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 GCACAGACCA CAAGCAGCAG A 21
【0084】配列番号:21 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 GGCCTTGCTT ATCTCTGTGA 20
【0085】配列番号:22 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 CTATTCAAGC TCTCGTCCAG 20
【0086】配列番号:23 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 AGATGAGAAG CCCAAGGTCA AC 22
【0087】配列番号:24 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 GGTACCATAC TCCACGTCTC TG 22
【0088】配列番号:25 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 AATCAAGAAC GGCTGTGTGC A 21
【0089】配列番号:26 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 CATGCTGTGA AGACCCTGTT T 21
【0090】配列番号:27 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 GGACCAGAGA CCCTTTGCGG GG 22
【0091】配列番号:28 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 GGCTGCTTTT GTAGGCTTCA GTGG 24
【0092】配列番号:29 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 CGCCCCAGCG AGACTCTGTG C 21
【0093】配列番号:30 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 GCCCACGGGG TATCTGGGGA A 21
【0094】配列番号:31 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 ATGCTGTTTG AACTGCAGCG CATGTGCTGG 30
【0095】配列番号:32 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 CCGCTCGAGC TTGCGGCCCC CGTTCAT 27
【0096】配列番号:33 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 TGTACACTCT TCTTCTGGCA 20
【0097】配列番号:34 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 ACAGATGTTG ATGTAGAAGA CAGG 24
【0098】配列番号:35 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 CTATACTGGC AGTTCCACCT GTCTGT 26
【0099】配列番号:36 配列の長さ:29 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列 AGTGAGGGAT TTTTGACCCA GGAAGCAAA 29
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ゲノムCBFA1/PEBP2 αA 遺伝子座のタ
ーゲッティングベクター、部分的な制限酵素地図、及び
相同性組換えにより作成された変異対立遺伝子の構造を
示した模式図である。図中、斜線のボックスはエクソン
1を示し、黒塗りのボックスはPGK-neo 及びPGK-tkを示
す。B はBam HI部位を、ClはCla I 部位を、BgはBgl II
部位を、Bst はBst EII 部位を、N はNot I 部位を示
す。3'側のCla I とBam HI部位の間のCla I 、Bgl II及
びBst EII 部位は決定していない。
【図2】図2は、胎児の肝臓由来のゲノムDNAをBam
HIで切断し、図1に示したClaI-SalI *プローブ(*は
クローニングベクターのサイトを示す)とハイブリダイ
ズさせたサザンブロット分析の結果を示す電気泳動の写
真である。各バンドは、WTマウス(12.5kb)及び変異
マウス(9.5kb )の遺伝子への対応を示している。
【図3】図3は、WTマウス(+/+ )、ヘテロ変異マウ
ス(+/- )及びホモ変異マウス(-/- )のd18.5 胎児の
肝臓より抽出した全RNAを使用し、CBFA1/PEBP2 αA
のrunt領域のRT-PCR分析を行った結果を示す電気泳動の
写真である。図中Nは、PCR 反応液中にcDNAを含まない
陰性コントロールを示す。また図中Mは、分子量マーカ
ーを示す。
【図4】図4は、WTマウス及びホモ変異マウスのd18.
5 胎児のX線写真である。ホモ変異マウスでは、石灰化
した骨格はほとんど見当たらない。
【図5】図5は、WTマウス、ヘテロ変異マウス及びホ
モ変異マウスのd15.5-d18.5 胎児及び新生児の骨格を、
アリザリンレッド及びアルシアンブルーで染色した結果
を示す、生物の形態の写真である(ただしd16.5 はアリ
ザリンレッドでのみ染色している)。図中、横棒は1cm
に相当する。
【図6】図6は、d18.5 胎児の骨格の組織学的評価を行
った結果を示す顕微鏡写真である。 AとB:ALP 及びフォンコッサ法により染色した脛骨の
全体像を示す。WTマウス胎児では骨髄の発生が見られ
るが(A)、ホモ変異マウスではそれが見られない
(B)。図中、横棒は1mm に相当する。 CとD:WTマウス胎児の骨幹では骨化及びALP 陽性骨
芽細胞が見られる(C)。ホモ変異マウスでは石灰化し
た軟骨は見られるが、骨膜下骨化は見られない。またAL
P 陽性細胞は軟骨膜部分では観察されたが、軟骨への侵
入は見られない(D)。これら(C)及び(D)は、
(A)及び(B)の枠で囲んだ部分を拡大したものであ
る。図中、横棒は0.2mm に相当する。 EとF:WTマウスでは骨髄中の海綿骨表面において、
球状のALP 陽性骨芽細胞が見られる(E)。ホモ変異マ
ウスでは軟骨膜において、平らなALP-陽性骨芽細胞が見
られる(F)。これら(E)及び(F)は、(C)及び
(D)の枠で囲んだ部分を拡大したものである。図中、
横棒は20μm に相当する。 GとH:脛骨を、TRAP及びフォンコッサ法で染色したも
のである。WTマウスでは、石灰化した骨表面にTRAP陽
性の破骨細胞が多数見られる(G)。ホモ変異マウスで
は、TRAP陽性破骨細胞が少数ではあるが石灰化軟骨周辺
に出現している。しかしこれらの細胞の軟骨への侵入は
見られない(H)。図中、横棒は0.2mmに相当する。 IとJ:WTマウスの骨髄中には、大きくて多核の破骨
細胞が見られる(I)。ホモ変異マウスの軟骨周辺に
は、小さくて単核の破骨細胞が見られる(J)。これら
(I)及び(J)は、(G)及び(H)の枠で囲んだ部
分を拡大したものである。図中、横棒は20μm に相当す
る。 KとL:WTマウス(K)およびホモ変異マウス(L)
の頭蓋骨を、ALP 、フォンコッサ法により染色したもの
である。図中、横棒は0.2mm に相当する。 MとN:WTマウスでは、骨化及び球形のALP 陽性骨芽
細胞が見られる(M)。ホモ変異マウスでは骨化は見ら
れず、ALP 陽性骨芽細胞も平らである(N)。図中、横
棒は20μm に相当する。
【図7】図7は、OSN 、OSP 、OSC 及びMGP のmRNAの分
布を調べたin situ ハイブリダイゼーションの結果を示
す顕微鏡写真である。A、C、E、G及びIは、d18.5
のコントロール(+/- )胎児由来のとう骨を用いてお
り、B、D、F、H及びJは、d18.5 のホモ変異マウス
(-/- )胎児由来のとう骨を用いている。AとBは、ヘ
マトキリシン及びエオシンで染色したものである。Cと
DはOSNのアンチセンスプローブを用いた結果である。
EとFはOSP のアンチセンスプローブを用いた結果であ
る。GとHはOSC のアンチセンスプローブを用いた結果
である。IとJはMGP のアンチセンスプローブを用いた
結果である。図中、横棒は0.15mmに相当する。
【図8】図8は、ALP 、OSP 及びOSC 遺伝子の発現を調
べたノーザンブロット分析の結果を示す電気泳動の写真
である。d18.5 のコントロール(+/- )及びホモ変異マ
ウス(-/- )胎児の骨格より抽出した全RNAを、1 レ
ーンあたり15μg 泳動している。GAPDH (グリセルアル
デヒド-3- ホスフェート- デヒドロゲナーゼ)プローブ
とのハイブリダイゼーションは、各RNAサンプルを等
量泳動したことを示すための内部標準として行った。
【図9】図9は、TGF βスーパーファミリーとその受容
体、IGF とその受容体及びM-CSF 遺伝子の発現を調べた
RT-PCRの結果を示す電気泳動の写真である。d18.5 のW
Tマウス(+/+ )及びホモ変異マウス(-/-) 胎児の頭蓋
骨由来細胞(a)、骨格(b)及び皮膚(c)由来のR
NAを、分析に用いている。
【図10】図10は、d18.5 のWTマウス及びホモ変異
マウス胎児由来の頭蓋骨由来細胞における、ALP 活性に
対するrhBMP-2 の効果(AとB)及びOSC の産生に対す
るrhBMP-2 の効果(C)を示したグラフである。ALP 活
性は、3 日後(A)、あるいは6日後(B)に測定し
た。OSC の濃度は、6日後(C)に測定した。いずれも
rhBMP-2 の濃度を変化させて、測定した。
【図11】図11は、d18.5 のWTマウス(+/+ )、ヘ
テロ変異マウス(+/- )及びホモ変異マウス(-/- )由
来の胸腺細胞、肝臓細胞及び脾臓細胞のFACS分析の
結果を示す図である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コア結合因子/ポリオーマエンハンサー
    結合蛋白質(CBFA1/PEBP2 αA)をコードする遺伝子に変
    異を導入させてなるトランスジェニック動物。
  2. 【請求項2】 CBFA1/PEBP2 αA をコードする遺伝子内
    のrunt領域DNAに変異を導入させてなる請求項1記載
    のトランスジェニック動物。
  3. 【請求項3】 CBFA1/PEBP2 αA をコードする遺伝子の
    少なくとも一部を欠損させる変異を導入させてなり、か
    つ、骨形成能が欠損した請求項1または2記載のトラン
    スジェニック動物。
  4. 【請求項4】 骨芽細胞の分化成熟阻害が生じている請
    求項1〜3いずれか記載のトランスジェニック動物。
  5. 【請求項5】 トランスジェニック動物がホモ変異動物
    である請求項1〜4いずれか記載のトランスジェニック
    動物。
  6. 【請求項6】 トランスジェニック動物がヘテロ変異動
    物である請求項1または2記載のトランスジェニック動
    物。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のトランスジェニック動物
    を交配させて得られる請求項5記載のトランスジェニッ
    ク動物。
  8. 【請求項8】 動物がマウスである請求項1〜7いずれ
    か記載のトランスジェニック動物。
  9. 【請求項9】 動物にCBFA1/PEBP2 αA をコードする遺
    伝子の変異を導入することを特徴とする、骨形成能欠損
    トランスジェニック動物の作製方法。
  10. 【請求項10】 CBFA1/PEBP2 αA をコードする遺伝子
    の少なくとも一部からなる骨形成用DNA。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005038022A1 (ja) * 2003-10-20 2005-04-28 Teijin Pharma Limited 骨及び/又は関節疾患関連遺伝子

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