JPH10306902A - 蒸気過熱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性に優れて実用に供すことのできる蒸気
過熱装置を提供する。 【解決手段】 ボイラ１からの蒸気を通すチューブエレ
メント１３を有する過熱器１０と、この過熱器１０に対
して溶融金属からなる熱媒を加熱して循環させる熱媒ボ
イラ２０とを備え、加熱された熱媒によってチューブエ
レメント１３を通る蒸気を加熱して過熱蒸気を生成する
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ焼却ボイラ等
のボイラからの蒸気を加熱して過熱蒸気を生成する蒸気
過熱装置の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ごみ焼却ボイラ等の廃熱を利用
して蒸気を生成し、この蒸気でタービンを駆動して発電
する発電システムは知られている。

【０００３】この種の発電システムにおいてはエネルギ
ー効率を改善するためにボイラからの蒸気を加熱して過
熱蒸気を生成し、この過熱蒸気でタービンを駆動するこ
とが望ましいとされている。従来の一般的な過熱器で
は、当該過熱器を通る蒸気を燃焼ガスで直接加熱する構
成を採用している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、燃焼ガ
スで直接加熱する構成にすると、過熱蒸気の伝熱係数が
小さいことに起因して燃焼ガスの高温部の伝熱管の温度
が高くなり過ぎるので、蒸気過熱器の材料の耐熱性に問
題が生じる。従って、現実的にはこの種の蒸気過熱器は
使用することができないという問題がある。

【０００５】そこで、本発明の目的は、上述した従来の
技術が有する課題を解消し、実用に供すことのできる蒸
気過熱装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、ボイラからの蒸気を通すチューブエレメントを本体
内に有する過熱器と、この過熱器の本体に対して溶融金
属からなる熱媒を加熱して循環させる熱媒ボイラとを備
えることを特徴とするものである。

【０００７】請求項２に記載の発明は、請求項１に記載
のものにおいて、過熱器は筒状の本体を有し、この本体
内には多数のチューブエレメントを外周を接触させて収
納し、各チューブエレメントの両端の外径を絞り、この
絞られた両端の位置する本体内を熱媒の出入りするヘッ
ダー部としたことを特徴とするものである。

【０００８】請求項３に記載の発明は、請求項１または
２に記載のものにおいて、前記ボイラはごみ焼却ボイラ
であることを特徴とするものである。

【０００９】請求項４に記載の発明は、請求項１ないし
３のいずれか１項に記載のものにおいて、前記熱媒はポ
ンプで強制循環されることを特徴とするものである。

【００１０】これらの発明によれば、燃焼熱のほとんど
を吸収できる例えばナトリウム、カリウム等の溶融金属
からなる熱媒を利用するので、この熱媒の得た熱を過熱
器において蒸気に与えることにより、過熱蒸気を生成す
ることができる。従ってこの過熱蒸気で例えばタービン
を駆動すれば発電システムにおけるエネルギー効率を従
来のものに比べて大幅に改善することができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面に基づいて説明する。

【００１２】図１において、参照符号１はごみ焼却廃熱
を利用したごみ焼却ボイラ（以下、単に「ボイラ」とい
う。）を示している。このボイラ１には本実施形態にか
かる蒸気過熱装置３を介して発電用のタービン５が接続
されている。

【００１３】蒸気過熱装置３は、図２に示すように、ボ
イラ１から供給される飽和蒸気を加熱して過熱蒸気を生
成し、この過熱蒸気をタービン５に供給する。

【００１４】この蒸気過熱装置３は過熱器１０と熱媒ボ
イラ２０とを備えている。過熱器１０は筒状の本体１１
を有し、この本体１１内にはボイラ１からの蒸気を通す
多数本のチューブエレメント１３が、図３に示すように
外周を接触させて収納される。各チューブエレメント１
３の両端１３ａの外径は、図２に示すように絞られ、こ
の絞られた両端１３ａの位置する本体１１内には熱媒の
出入りするヘッダー部１５が形成されている。このヘッ
ダー部１５には管３０を介して熱媒ボイラ２０が接続さ
れる。この熱媒ボイラ２０は例えばナトリウム、カリウ
ム等の溶融金属を熱媒とするボイラであり、当該熱媒を
貯留する第一タンク２１と第二タンク２３とこれらを接
続する多数の細管２５とを備えている。多数の細管２５
は環状に接触して配置され、その内部には燃焼室２７が
設けられる。この燃焼室２７には燃料が供給され、この
燃料は燃焼室２７内で燃焼される。

【００１５】この燃焼により生じる熱は各細管２５の管
壁を通じて熱媒を加熱し、この加熱された熱媒は管３０
を介して図２に実線矢印で示すように過熱器１０の入口
ヘッダー部１５ａに流入し、多数本のチューブエレメン
ト１３の間を通って出口ヘッダー部１５ｂに集合し、管
３０を通って熱媒ボイラ２０に還流する。

【００１６】この実施形態によれば、熱媒ボイラ２０に
おいて多数の細管２５を接触させて環状に配置し、これ
らの細管２５の各外周部を溶接する構成にしたので、そ
れぞれの細管２５の輻射面を最大限に有効利用すること
ができる。

【００１７】また、熱媒ボイラ２０の高さＨを高くする
ことによって本体１１内を通過する熱媒の循環流速を速
めることができる。尚、図示は省略したが熱媒を循環さ
せるポンプを設けることが望ましい。このポンプを設け
る場合には熱媒の流速を一層速めることができる。この
ように本体１１内を通過する熱媒の流速を速めると、本
体１１内に位置するチューブエレメント１３の管表面温
度を低下させることができると共に、熱媒と蒸気との間
の熱伝導率を高めることができる。

【００１８】過熱器１０においては、熱伝達が蒸気律速
であるので、蒸気の流速を速めることが望ましい。その
ためにこの実施形態では本体１１内に多数本の細径チュ
ーブエレメント１３を収納することにより各チューブエ
レメント１３内を流れる蒸気の流速を速めるように設定
している。

【００１９】また、チューブエレメント１３の耐熱性の
問題からしてもチューブエレメント１３の管表面温度は
低下させることが望ましい。そのためにこの実施形態で
はチューブエレメント１３の管壁の厚さを可能な限り薄
く形成している。

【００２０】理想的には、チューブエレメント１３を流
れる蒸気の水当量と本体１１を流れる熱媒の水当量とを
等しくカウンターフローとすることが望ましい。このよ
うに設定すれば、チューブエレメント１３の長さ方向の
全有効伝熱面において図４に示すように温度差がほぼ一
定になるので効率のよい熱交換が行われる。

【００２１】この実施形態では、燃焼熱のほとんどを吸
収できる例えばナトリウム、カリウム等の溶融金属から
なる熱媒を利用するので、この熱媒の得た熱を過熱器１
０において蒸気に与えることにより、過熱蒸気を生成す
ることができる。従ってこの過熱蒸気でタービンを駆動
することができるので発電システムにおけるエネルギー
効率を従来のものに比べて大幅に改善することができ
る。

【００２２】図５に本実施形態にかかる発電システムに
おけるｉ−ｓ線図を示す。図１に示す蒸気過熱装置３の
効率を略８５％であると仮定すれば、本システムを採用
することによって、蒸気過熱装置３にインプットされる
化石燃料に対して、 発電効率ηe ＝発電量（Ｍｃａｌ／ｈ）／燃料熱（Ｍｃａｌ／ｈ） ＝（８２６−５６０）／（８２６−６６９）×０．８５ ＝１４４％ という高い発電効率を得ることができる。

【００２３】図６は別の実施形態を示している。この実
施形態では蒸気の流れが直列で、熱媒の流れが並列に設
定される。各チューブエレメント１３の伝熱面積の都合
によるものである。この実施形態においても、理想的に
は、チューブエレメント１３を流れる蒸気の水当量と本
体１１を流れる熱媒の水当量とを等しくカウンターフロ
ーとすることが望ましい。尚、図示は省略したが各チュ
ーブエレメント１３の伝熱面積の都合により、蒸気の流
れ、および熱媒の流れを共に直列に構成にすることは可
能である。

【００２４】以上、一実施形態に基づいて本発明を説明
したが、本発明はこれに限定されるものでないことは明
らかである。例えば上記の実施形態によればごみ焼却ボ
イラ１について説明したがこれに限定されず太陽熱、他
の廃蒸気を主体としたボイラに適用が可能であることは
いうまでもない。

【００２５】

【発明の効果】請求項１〜４に記載の発明によると、燃
焼熱のほとんどを吸収できる例えばナトリウム、カリウ
ム等の溶融金属からなる熱媒を利用するので、この熱媒
の得た熱を過熱器において蒸気に与えることにより、過
熱蒸気を生成することができる。従ってこの過熱蒸気で
例えばタービンを駆動すれば発電システムにおけるエネ
ルギー効率を従来のものに比べて大幅に改善することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】発電システムの一例を示す図である。

【図２】本発明による蒸気過熱装置の一実施形態を示す
断面図である。

【図３】チューブエレメントの配置例を示す図である。

【図４】熱媒と過熱蒸気の温度勾配を示す図である。

【図５】図２の実施形態を用いた発電システムにおける
ｉ−ｓ線図である。

【図６】本発明による蒸気過熱装置の別の実施形態を示
す断面図である。

【符号の説明】

１ ボイラ（ごみ焼却ボイラ） ３ 蒸気過熱装置 ５ タービン １０ 過熱器 １１ 本体 １３ チューブエレメント １３ａ 両端 １５ ヘッダー部 ２０ 熱媒ボイラ ２１ 第一タンク ２３ 第二タンク ２５ 細管 ３０ 管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 貴雄 大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号 三 洋電機株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボイラからの蒸気を通すチューブエレメ
   ントを本体内に有する過熱器と、この過熱器の本体に対
   して溶融金属からなる熱媒を加熱して循環させる熱媒ボ
   イラとを備えることを特徴とする蒸気過熱装置。
2. 【請求項２】 前記過熱器は筒状の本体を有し、この本
   体内には多数の前記チューブエレメントを外周を接触さ
   せて収納し、各チューブエレメントの両端の外径を絞
   り、この絞られた両端の位置する本体内を前記熱媒の出
   入りするヘッダー部としたことを特徴とする請求項１に
   記載の蒸気過熱装置。
3. 【請求項３】 前記ボイラはごみ焼却ボイラであること
   を特徴とする請求項１または２に記載の蒸気過熱装置。
4. 【請求項４】 前記熱媒はポンプで強制循環されること
   を特徴とする請求項１ないし３のいずれか１項に記載の
   蒸気過熱装置。