JPH10305362A - 鋳造物の封孔処理法とこれに基づく耐蝕性鋳造物ならびにその複合体の製法 - Google Patents

鋳造物の封孔処理法とこれに基づく耐蝕性鋳造物ならびにその複合体の製法

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JPH10305362A
JPH10305362A JP6782498A JP6782498A JPH10305362A JP H10305362 A JPH10305362 A JP H10305362A JP 6782498 A JP6782498 A JP 6782498A JP 6782498 A JP6782498 A JP 6782498A JP H10305362 A JPH10305362 A JP H10305362A
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sealing
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Kunio Mori
邦夫 森
Akiyoshi Suzuki
昭美 鈴木
Masayuki Kanno
昌之 管野
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S R KAIHATSU KK
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S R KAIHATSU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳造物の効果的な封孔処理。 【解決手段】 チアジアゾ−ル誘導体や芳香族ジチオ−
ル、トリアジンジチオ−ル類などの有機硫黄化合物水溶
液やこれに高級脂肪酸とそのアルカリ塩および高分子ラ
テックス、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属塩など
を加えた封孔処理剤で鋳造物を陽極酸化し鋳造物を封孔
処理する。さらに封孔処理した鋳造物に高級脂肪酸、高
級不飽和脂肪酸、およびこれらのアルカリ金属塩または
エステル類、アマニ油、植物油、シリコンオイルまたは
ワニス類、フッ素化合物などを被覆して耐蝕性鋳造物を
得、また、得られた耐蝕性鋳造物にタ−ルエポキシ塗
料、高分子エマルジョン塗料、ニトロセルロ−スラッカ
−、アクリルウレタン塗料、エポキシ樹脂、硬化型アク
リル塗料、メラミン塗料、フェノ−ルホルマリ塗料など
の塗料を塗布後、熱処理して複合体を得る。 【効果】 封孔処理や複合体を形成した鋳造物は、いず
れもすぐれた耐蝕性を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鋳造物表面の細孔を
化学的手段により封孔処理してから耐蝕性鋳造物を得、
さらに塗料で処理してその複合体を得ることに関する。
【0002】
【従来の技術】鋳造物はその表面に無数の細孔が存在す
るため、大気や土壌、淡水において湿気や水に接触する
と容易に腐食する。このため、鋳造物は塗装して使用さ
れることが多いが、余りにも腐食しやすいので、塗装す
る前に腐食が生じてしまうことがある。梅雨時期などに
はしばしば輸送中に腐食がおこり、不良品を多数出して
しまうこともある。このように、鋳造物、とくに鋳鉄の
腐食は1000年来の懸案とされており、いまだに解決
策が見出されていない。一般に塗装の前に水系でのプラ
イマ−処理がおこなわれるが、鋳造物は水との接触で容
易に腐食するため、これが全くおこなわれていないのが
現状である。現在、鉄や亜鉛メッキ金属等でおこなわれ
ているクロメイト処理やリン酸処理等のプライマ−処理
は水系でおこなわれるため、これらを鋳造物には適用す
ることができない。鋳造物の腐食は目視で判断できない
レベルでも塗膜の密着性や耐久性に重大な影響をおよぼ
す。したがって、鋳造物のプライマ−処理技術が開発さ
れれば鋳造物の用途を著しく拡大させることになる。
【0003】鋳造物の防錆方法としては、鋳造物表面に
金属錆び止め塗料を刷毛やスプレ−により塗布して、皮
膜を形成させることが一般的に普及している。他にも溶
融メッキや電気メッキ、合成樹脂被覆などがおこなわれ
ている。変わった方法として鋳物鉄瓶の防錆に古来漆が
使用されており、鉄瓶を100°Cから300°C前後
に加熱し、その表面に漆を刷毛や布等で塗り鋳物鉄瓶の
表面に酸化皮膜を形成させている。鋳鉄水管やマンホ−
ル蓋等はガスバ−ナ−や熱処理炉で100°Cから50
0°C前後に加熱し、それをコ−ルタ−ル等に浸漬して
鋳造物表面に皮膜を形成させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は鋳造物の封孔
処理に基づく防錆処理法を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】ここにおいて本発明者
は、チアジアゾ−ル誘導体や芳香族ジチオ−ル、トリア
ジンジチオ−ル類から選ばれた少なくとも1種の有機硫
黄化合物の水溶液やこれに高級脂肪酸とそのアルカリ塩
および高分子ラテックス、アルカリ金属水酸化物、アル
カリ金属塩から選ばれた少なくとも1種を加えた封孔処
理剤を用いて鋳造物を陽極酸化する鋳造物の封孔処理法
を見出し、さらに、この封孔処理により得られた鋳造物
に、高級脂肪酸、高級不飽和脂肪酸、およびこれらのア
ルカリ金属塩またはエステル類、アマニ油、植物油、シ
リコンオイルまたはワニス類、フッ素化合物から選ばれ
た少なくとも1種を被覆して耐蝕性鋳造物を得、また、
得られた耐蝕性鋳造物に少なくともタ−ルエポキシ塗
料、高分子エマルジョン塗料、ニトロセルロ−スラッカ
−、アクリルウレタン塗料、エポキシ樹脂、硬化型アク
リル塗料、メラミン塗料、フェノ−ルホルマリ塗料から
選ばれた少なくとも1種の塗料を塗布後、熱処理してそ
の複合体を得ることを見出すにいたった。なお、本発明
におけるこれら各成分の具体的内容は、以下の説明箇所
において詳述する。
【0006】
【発明の実施の形態】鋳造物の腐食性は表面に存在する
細孔に起因すると考えられ、これをいかに簡易な手段で
解消させるかが課題であった。本発明は鋳造物を有機硫
黄化合物等の水溶液による電解槽中での陽極酸化処理に
より、鋳造物表面に存在する細孔に有機硫黄化合物の酸
化反応物を生成させて細孔を塞ぎ、鋳造物のプライマ−
処理を可能にし、さらに、このように封孔処理して得ら
れた鋳造物表面に高級脂肪酸等の皮膜を被覆させること
により、細孔を完全に封孔して耐蝕性を一層向上させ、
また、このようにして得られた耐蝕性鋳造物に各種塗料
を塗布し、加熱処理することにより複合体を形成させ、
著しく耐蝕性に優れた鋳造物を得ることができた。本発
明で処理可能な鋳造物金属は、鉄および鉄合金(ステン
レス、パ−マロイ等)、銅および銅合金、ニッケル、ア
ルミニウム、亜鉛、鉛、スズおよび錫合金、チタン、コ
バルト、クロムなどである。
【0007】〔最初の封孔処理に使用される有機硫黄化
合物〕本発明における最初の封孔処理に使用される有機
硫黄化合物は、チアジアゾ−ル、ベンゼンジチオ−ル、
トルイレンジチオ−ル、ピリジンジチオ−ル、ジメルカ
プトフェニレンスルフィ−ド、6−置換アミノ基−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジチオ−ル、およびこれ
らのLi,Na,K,Ca,NH3 およびアミン類塩な
どの二官能性チオ−ル化合物であり、これらは鋳造物表
面の細孔内で酸化して皮膜を形成し、細孔を塞ぐ役割を
する。
【0008】上記の二官能性チオ−ル化合物のなかで、
6−置換アミノ基−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジチオ−ルの置換アミノ基として、代表的にはメチルア
ミノ基、ブチルアミノ基、オクチルアミノ基、ドデシル
アミノ基、ステアリルアミノ基、アリルアミノ基、デセ
ニルアミノ基、ウンデセニルアミノ基、リノ−ルアミノ
基、オレイルアミノ基、アニリノ基、ブチルアニリノ
基、オクチルアニリノ基、ドデシルイミダゾ−ル基、C
n 2n+1CH2 NH−基、Cn 2n+1CH2 CH2 NH
−基、(CF3 2 CHCn 2n+1CH2 CH2 (CH
2 =CHCH2 )N−基、ジメチルアミノ基、ジブチル
アミノ基、ジオクチルアミノ基、ジドデシルアミノ基、
ジステアリルアミノ基、ジアリルアミノ基、ジデセニル
アミノ基、ジウンデセニルアミノ基、ジリノ−ルアミノ
基、ジオレイルアミノ基、Cn 2n+1CH2 (CH2
CHCH2 )N−基、Cn 2n+1CH2 CH2 (CH2
=CHCH2 )N−基、(CF3 2 CHCn 2n+1
2 CH2 (CH2 =CHCH2 )N−基、Cn 2n+1
CH2 (C4 9 )N−基、Cn 2n+1CH2 CH
2(C4 9 )N−基、(CF3 2 CHCn 2n+1
2 CH2 (C4 9 )N−基、Cn 2n+1CH2 (C
8 17)N−基、Cn 2n+1CH2 CH2 (C8 17
N−基、(CF3 2 CHCn 2n+1CH2 CH2 (C
8 17)N−基等をあげることが可能であり、nは1か
ら10で示される。
【0009】〔封孔処理剤〕最初の封孔処理に使用され
る水溶液組成物は上記の有機硫黄化合物を0.01mm
ol/lから100mmol/lの濃度、好ましくは、
0.1mmol/lから10mmol/lの濃度で使用
する。さらに効果を向上させる目的でアルキルベンゼン
スルホン酸およびそのアルカリ塩、オクチル酸、ステア
リン酸等の高級脂肪酸とそのアルカリ塩、およびオレイ
ン酸、レノレン酸、リノ−ル酸、ウンデセニル酸等の高
級脂肪酸とそのアルカリ塩を0.01mmol/lから
100mmol/lの濃度、好ましくは0.1mmol
/lから10mmol/lの濃度で使用する。
【0010】またポリ塩化ビニルラテックスやポリアク
リル酸エステルラテックス、ポリニトリル−ブタジエン
ラテックス、スチレン−ブタジエンラテックス等のラテ
ックス類が有効であり、0.01重量%から40重量%
の濃度、好ましくは0.1重量%から4重量%の濃度で
使用する。
【0011】さらに反応性を高めるために、アルカリ金
属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩、
ホウ酸塩誘導体などが使用され、これらを0.01mm
ol/lから10mmol/lの濃度、好ましくは0.
1mmol/lから5mmol/lの濃度が有効であ
る。これらの最適濃度は必ずしも一義的にきめられない
が、一般的には少なすぎると効果がなくなり、また多す
ぎると処理した鋳造物の表面に汚れが発生して商品価値
を失う。
【0012】〔陽極酸化による封孔処理〕最初の封孔処
理は鋳造物を上記水溶液を用い、電解槽中で陽極酸化を
おこなうことによってなされる。陽極酸化は上記水溶液
中に鋳造物を陽極にし、白金やステンレス板などの不活
性導電体を陰極として、サイクリック法、定電流法、定
電位法、パルス定電位法およびパルス定電流法等の電解
法によっておこない、鋳造物の細孔中に有機硫黄化合物
の酸化皮膜を生成させる。電解槽はメッキなどに使用さ
れる一般的なプラスチック槽、金属槽、バレル槽などが
利用できる。ここでいう鋳造物とは導電性のある鋳造成
型された金属製品で、表面に無数の細孔があれば、いず
れでも目的を達成することができる。
【0013】電解槽の温度は水溶液の凝固点や沸点と関
係するので一義的に特定できないが、一般的には1°C
〜99°C、好ましくは20°C〜80°Cである。サ
イクリック法の電位幅は水溶液の分離しない範囲でおこ
なわれる。この範囲は電解質や添加剤の種類などの影響
を受けるので一義的に限定できない。定電位法の電位は
0.5〜2Vvs.C.E.S.、好ましくは自然電位
から酸化電位の範囲である。自然電位以下では全く酸化
しないし、酸化電位以上では溶剤の分解がおこる危険性
がある。定電流法において電流密度は0.005〜50
mA/Cm2 、好ましくは0.01〜5mA/Cm2
適当である。0.005mA/Cm2 より少ないと皮膜
成長に時間がかかりすぎる。また、50mA/Cm2
り大きいと皮膜に亀裂が生成したり、金属の溶出が見ら
れ好ましくない。パルス定電位法およびパルス定電流法
における電位および電流密度は、上記定電位法および定
電流法におけるそれぞれと同じであるが、時間幅は0.
01〜10分間、好ましくは0.1〜2分間である。
0.1分間より短くてもまた2分間より長くとも、パル
ス定電位法およびパルス定電流法の効果が充分に発揮さ
れなくなる。鋳造物は有機物などの異物が付着している
場合、これを前処理で除去しなければならないが、酸化
物等は表面の導電性を著しく低下させない限り問題がな
い。
【0014】〔第2次の封孔処理〕陽極酸化による最初
の封孔処理で細孔が完全に塞がれるわけではなく、更な
る耐蝕性の向上が要求される場合は、下記の封孔剤に最
初に封孔処理された鋳造物を浸漬後、乾燥または熱処理
して細孔を完全に塞ぐことが可能であり、耐蝕性鋳造物
が得られる。封孔剤は有機硫黄化合物による酸化処理を
おこなわない場合、封孔剤が細孔に入っても表面自由エ
ネルギ−が異なるため、乾燥や熱処理により発散または
収縮して効果を発揮しないが、有機硫黄化合物の酸化皮
膜が存在する場合にはよく吸着して細孔を隙間なく完全
に埋めるものと解される。
【0015】なお、最初の封孔処理は鋳造物を陽極酸化
に用いるものと同様な水溶液に浸漬しておこなうことも
できる。浸漬による場合は、常温の鋳造物を20°Cか
ら80°Cの当該水溶液に単に浸漬する方法と、100
°Cから350°Cに加熱された鋳造物を当該水溶液に
投入して処理する方法とがある。また、加熱された鋳造
物を当該水溶液の噴霧に接触せると有効な場合がある。
したがって、浸漬により封孔処理された鋳造物も第2次
の封孔処理を受けることが可能である。
【0016】〔第2次の封孔処理に用いる封孔剤〕鋳造
物に対する第2次の封孔処理に用いられる封孔剤は、オ
クチル酸、デセニル酸、パルミチン酸、ステアリン酸な
どの高級脂肪酸、ウンデセニル酸、オレイン酸、リノレ
ン酸、リノ−ル酸などの高級不飽和脂肪酸、およびこれ
らのアルカリ金属塩またはオクチル酸メチル、デセニル
酸アリル、パルミチン酸ブチル、ステアリン酸アリル、
ウンデセニル酸メチル、オレイン酸メチル、リノレン酸
ブチル、リノ−ル酸オクチルなどのエステル類 、アマ
ニ油、植物油、シリコンオイルまたはメチルフェニルシ
リコンワニス、シリコンアルキッドワニス、シリコンポ
リエステルワニス、ポリジメチルシロキサン、ポリメチ
ルフェニルシロキサン、シリコン含有アクリレ−ト、シ
リコン含有エポキサイド、末端ジアミノポリジメチルシ
ロキサン、末端ジグリシジルポリジメチルシロキサンな
どのワニス類、パ−フロロエチルアクリレ−ト、パ−フ
ロロエチルグリシジルエ−テル、ポリヘキサフロロプロ
ピレンオキサイドなどのフッ素化合物から選ばれた少な
くとも1種からなり、これらはエタノ−ル、トルエン等
の有機溶剤溶液や水溶液のかたちで使用する。
【0017】これら溶液の濃度は0.001重量%から
20重量%で、好ましくは0.01重量%から5重量%
で通常使用される。処理温度と時間は生産性と要求性能
の関係から一義的にはきめられないが、20°Cから5
0°Cで0.01分間から60分間の範囲が適当であ
る。最初に封孔処理した鋳造物をこれら溶液に浸漬、ま
たは溶液を鋳造物に噴霧後、乾燥もしくは熱処理をす
る。浸漬処理物は単にドライヤ−などで乾燥する場合
と、80°Cから200°Cで1分間から60分間の範
囲で加熱乾燥する場合とがある。どちらが有効かは封孔
剤の種類と最初の封孔処理との組合わせによって異な
り、一義的にはきめることができない。
【0018】〔複合体生成〕鋳造物に対して長期間の耐
蝕性を要求する場合には、各種塗料による複合化が必要
になる。これまでに封孔処理がなされた鋳造物は有機物
で覆われているため、表面自由エネルギ−が酸化皮膜で
被覆されている通常の鋳造物より低いため、各種塗料と
の密着性がよい。したがって、塗装後加熱処理された鋳
造物は効果的な表面皮膜ができ、長期間の使用に耐え
る。
【0019】〔複合体生成に用いる塗料〕これまでに封
孔処理がなされた鋳造物に複合体を生成するために用い
られる材料は、タ−ルエポキシ塗料、ゴムラテックス、
アクリルラテックス、ポリ塩化ビニルラテックス、など
の高分子エマルジョン塗料、ニトロセルロ−スラッカ
−、アクリルウレタン塗料、エポキシ塗料、硬化型アク
リル塗料、メラミン塗料、フェノ−ルホルマリ塗料など
の塗料であり、これらをしかるべき鋳造物に塗布後、風
乾または電子線などで熱処理して複合体が得られる。
【0020】
【実施例】
〔実施例1−12〕(陽極酸化による封孔処理) 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
第1表−1に示される各種の6−置換基−1,3,5−
トリアジン−2,4−ジチオ−ルのNa塩を5×10-3
mol/lの濃度で、またNa2 CO3 を1M濃度で水
に溶解し、電解溶液とする。これを電解セルに入れ、陽
極に鋳鉄(30×60×4mm)を,陰極に白金板を用
い、0.5mA/cm2 の電流密度、40°Cで20分
間電解重合した。電解重合後、メタノ−ルで洗浄して付
着未反応物を除き乾燥させた。鋳鉄板は1%オレイン酸
ナトリウム水溶液に超音波振動下で40°C、10分間
浸漬して脱脂をおこなって使用した。
【0021】腐食水は100mlのト−ルビ−カ−に5
0mlの盛岡市水(20°C)を入れたものを用意し
た。ビ−カ−には4cmの高さまで水が入っている。こ
れに上記の処理した鋳鉄板を入れると、半分まで鋳鉄板
が水に浸漬し、残りは空気中に出ている。この容器をフ
イルムで密閉し、20°Cに放置して腐食試験をおこな
い、封孔処理効果を調べた。この腐食試験では水に浸漬
した部分が耐水性を、また残りの部分は100%関係湿
度(100%RH、飽和水蒸気)における耐蝕性を示す
ことになる。
【0022】通常鋳鉄は水に触れた後、乾燥と共に赤錆
が発生するので、まず水溶液中での陽極酸化処理後に赤
錆が発生する範囲を目視による百分率で表現した。0時
間処理は盛岡市水に瞬間的に浸漬し、そのまま放置して
乾燥し、赤錆の発生する範囲を調べた。第1表−2の上
段は100%RHの耐蝕性を、また下段は耐水性を示
す。
【0023】
【表1】
【表2】
【0024】未処理の鋳鉄は参考例1に示されるよう
に、水に瞬間的に接触すると乾燥するまでに赤錆が全面
に発生する。しかし、瞬間的な飽和水蒸気との接触では
まだ錆びない。しかし、1時間連続して飽和水蒸気中に
放置し、その後自然乾燥すると赤錆が浮き出てくる。さ
らに、3時間の連続飽和水蒸気接触では全面が赤錆で覆
われる。このような参考例1に対して、実施例1〜12
の封孔処理鋳鉄は水中での処理にもかかわらず、処理後
自然乾燥によって錆の発生は何れも全く認められなく、
商品としての価値のあることがわかる。置換基の種類に
よって封孔処理効果は異なるが、最低でも1時間の盛岡
市水浸漬および飽和水蒸気放置において赤錆は目視で全
く認められず、さらに置換基を選択することにより、飽
和水蒸気では20時間以上、また盛岡市水浸漬において
も5時間以上赤錆が発生しなかったことがわかった。
【0025】〔実施例13−24〕(陽極酸化処理物の
封孔処理) 有機硫黄化合物により陽極酸化しても鋳鉄表面の細孔は
完全に埋まっていない。陽極酸化処理では細孔の表面層
が有機的に被覆されているにすぎない。そこで、オイル
溶液に浸漬して細孔をさらに封孔した結果について、第
2表−1および第2表−2に示す。鋳鉄はあらかじめ1
%オレイン酸ナトリウム水溶液に超音波振動下で40°
C、10分間浸漬して脱脂をおこない、陽極酸化処理は
1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオ−ル
(TTN)、または6−オクチルアミノ−1,3,5−
トリアジン−2,4−ジチオ−ル(DON)、6−パ−
フロロオクチルエチルアリルアミノ−1,3,5−トリ
アジン−2,4−ジチオ−ル(F17A)のNa塩を5
×10-3mol/lの濃度で、またNa2 CO3 を1M
濃度で水に溶解したものを電解溶液とした。これを電解
セルに入れ、陽極に鋳鉄(30×60×4mm)を、陰
極に白金板を用い、0.5mA/cm2 の電流密度、4
0°Cで20分間電解重合した。電解重合後、メタノ−
ルで洗浄して付着未反応物を除き乾燥させた。この陽極
酸化鋳鉄は第2表−1に示す種々のオイルの5%溶液
に、20°Cで10分間浸漬し、第2表−2に示す自然
乾燥または加熱乾燥をしてオイル封孔処理をおこなっ
た。
【0026】封孔処理効果は以下のようにして評価し
た。腐食水は100mlのト−ルビ−カ−に50mlの
盛岡市水(20°C)を入れたものを用意した。ビ−カ
−には4cmの高さまで水が入っている。これに上記の
処理した鋳鉄板を入れると、半分まで鋳鉄板が水に浸漬
し、残りは空気中に出ている。この容器をフイルムで密
閉し、20°Cに放置して腐食試験をおこない、封孔処
理効果を調べた。この腐食試験では水に浸漬した部分が
耐水性を、またまた残りの部分は100%関係湿度(1
00%RH、飽和水蒸気)における耐蝕性を示すことに
なる。第2表−2の上段は100%RHの耐蝕性を、ま
た下段は耐水性を示し、浸漬時間ごとに赤錆の発生する
範囲を目視による百分率で表現した。
【0027】
【表3】
【表4】
【0028】第2表−2にみられるように、有機皮膜で
被覆されていない参考例の鋳鉄は、封孔剤を使用すると
飽和水蒸気による腐食を短時間防ぐことが可能である
が、一度水に接触するともはや赤錆の発生を防ぐことが
できない。これに対し、有機皮膜で被覆された実施例の
鋳鉄は、有機硫黄化合物と封孔剤の種類により異なる
が、細孔に有機物が詰め込まれているので、著しく赤錆
の発生を防ぐことが認められる。
【0029】
【発明の効果】本発明で得られる有機硫黄化合物等で最
初に封孔処理された鋳造物や、第2次の封孔処理を受け
た鋳造物、さらに複合体を形成した鋳造物は、いずれも
それぞれの処理程度に応じすぐれた耐蝕性を示す。さら
に、複合体を形成した鋳造物に対しては、複合体皮膜の
高分子化合物を含有させた漆等各種の塗料を、常温で鉄
瓶などの鋳造物表面に塗布して強力な更なる複合体皮膜
を得ることができる。したがって、従来おこなわれてい
る、塗装するための鋳造物に対する再加熱処理が省略で
きるので、高温にともなう臭いや煤煙発生による作業環
境の問題も改善され、製品のコストダウンにつながり、
茶釜や鉄瓶等の画期的な製品市場が得られる。また、完
全に表面の細孔を封孔された自動車部品、建築部品、工
芸品、精密部品等の鋳造物は、防水性や耐震性にすぐれ
たシリコンゴム混合物等との強固な密着性が容易に得ら
れるので、従来の煩雑な接着工程が省略され、大幅なコ
ストダウンが見込まれ、その経済効果は計り知れない。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チアジアゾ−ル誘導体や芳香族ジチオ−
    ル、トリアジンジチオ−ル類から選ばれた少なくとも1
    種の有機硫黄化合物の水溶液からなる封孔処理剤を用い
    て鋳造物を陽極酸化することを特徴とする鋳造物の封孔
    処理法。
  2. 【請求項2】 封孔処理剤が請求項1記載の有機硫黄化
    合物に、高級脂肪酸とそのアルカリ塩および高分子ラテ
    ックス、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属塩から選
    ばれた少なくとも1種を加えたものである請求項1記載
    の鋳造物の封孔処理法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の鋳造物の封孔処理
    法により得られた鋳造物に、高級脂肪酸、高級不飽和脂
    肪酸、およびこれらのアルカリ金属塩またはエステル
    類、アマニ油、植物油、シリコンオイルまたはワニス
    類、フッ素化合物から選ばれた少なくとも1種を被覆す
    ることを特徴とする耐蝕性鋳造物の製法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の耐蝕性鋳造物に少なくと
    もタ−ルエポキシ塗料、高分子エマルジョン塗料、ニト
    ロセルロ−スラッカ−、アクリルウレタン塗料、エポキ
    シ樹脂、硬化型アクリル塗料、メラミン塗料、フェノ−
    ルホルマリ塗料から選ばれた1種の塗料を塗布後、熱処
    理することを特徴とするその複合体の製法。
JP6782498A 1997-03-05 1998-03-03 鋳造物の封孔処理法とこれに基づく耐蝕性鋳造物ならびにその複合体の製法 Pending JPH10305362A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006283307A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Lonseal Corp 金属製ドレイン
CN102358946A (zh) * 2011-08-05 2012-02-22 华南理工大学 一种金属材料表面减摩抗磨纳米复合膜的制备方法

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JP2006283307A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Lonseal Corp 金属製ドレイン
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