JPH10298002A - 哺乳動物胚の保存剤 - Google Patents
哺乳動物胚の保存剤Info
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- JPH10298002A JPH10298002A JP9109095A JP10909597A JPH10298002A JP H10298002 A JPH10298002 A JP H10298002A JP 9109095 A JP9109095 A JP 9109095A JP 10909597 A JP10909597 A JP 10909597A JP H10298002 A JPH10298002 A JP H10298002A
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- lif
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】 哺乳動物由来の白血病阻害因子を有効成
分とする哺乳動物胚の保存剤およびこれを用いて該胚を
保存する方法、並びに哺乳動物由来の白血病阻害因子を
有効成分する哺乳動物胚の分化促進剤およびこれを用い
て該胚を分化させる方法である。 【効果】 哺乳動物胚の生存率を向上させることができ
るとともに、哺乳動物胚の分化を促進させることができ
る。
分とする哺乳動物胚の保存剤およびこれを用いて該胚を
保存する方法、並びに哺乳動物由来の白血病阻害因子を
有効成分する哺乳動物胚の分化促進剤およびこれを用い
て該胚を分化させる方法である。 【効果】 哺乳動物胚の生存率を向上させることができ
るとともに、哺乳動物胚の分化を促進させることができ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、哺乳動物由来の白
血病阻害因子の利用法に関する。
血病阻害因子の利用法に関する。
【0002】
【従来の技術】哺乳動物胚の凍結保存により、受胚牛の
発情周期にあわせて凍結保存した胚を融解し胚移植を行
なうことが可能となり、また凍結させた状態での胚の長
距離輸送も可能となった。様々な凍結および融解方法が
開発され、その効果を確認するため、融解した胚をイン
ビトロで培養して胞胚腔が再形成され脱出胚盤胞に発育
するか否かを観察することがある。融解した胚をインビ
トロで培養する方法としては、卵丘細胞や卵管上皮細胞
との共培養があるが、これらの細胞を準備するためには
卵巣や卵管が必要であり、手間がかかる。一方、共培養
しない場合の凍結融解胚の生存率と脱出胚盤胞への発育
率は共培養した場合に比べて低下することが知られてい
る(Massipら.,Joural of Reproduction and Fertility
97.65-69.1993) 。
発情周期にあわせて凍結保存した胚を融解し胚移植を行
なうことが可能となり、また凍結させた状態での胚の長
距離輸送も可能となった。様々な凍結および融解方法が
開発され、その効果を確認するため、融解した胚をイン
ビトロで培養して胞胚腔が再形成され脱出胚盤胞に発育
するか否かを観察することがある。融解した胚をインビ
トロで培養する方法としては、卵丘細胞や卵管上皮細胞
との共培養があるが、これらの細胞を準備するためには
卵巣や卵管が必要であり、手間がかかる。一方、共培養
しない場合の凍結融解胚の生存率と脱出胚盤胞への発育
率は共培養した場合に比べて低下することが知られてい
る(Massipら.,Joural of Reproduction and Fertility
97.65-69.1993) 。
【0003】白血病阻害因子(LIF:leukemia inhib
itory factor)(以下、「LIF」という)はサイトカイ
ンの一種として分化誘導、増殖抑制、血小板の増加など
の作用を示すこと(富田ら、蛋白核酸酵素、36,162-16
9.1991)、および胚性幹細胞(ES 細胞) の分化阻止作用
を示すこと(Smithら.,Nature 336,688-690,1988)が知ら
れている。マウスでは着床時に子宮内膜でのLIFの発
現が一過性に高まる(Stewart ら.,Nature 359.76-79.1
992)ことから、他の哺乳動物でも胚の着床率向上にLI
Fが貢献しうることが考えられる。
itory factor)(以下、「LIF」という)はサイトカイ
ンの一種として分化誘導、増殖抑制、血小板の増加など
の作用を示すこと(富田ら、蛋白核酸酵素、36,162-16
9.1991)、および胚性幹細胞(ES 細胞) の分化阻止作用
を示すこと(Smithら.,Nature 336,688-690,1988)が知ら
れている。マウスでは着床時に子宮内膜でのLIFの発
現が一過性に高まる(Stewart ら.,Nature 359.76-79.1
992)ことから、他の哺乳動物でも胚の着床率向上にLI
Fが貢献しうることが考えられる。
【0004】なお、ヒトおよびマウスにおけるLIFは
特開平1-502985号公報に、ヒツジおよびブタにおけるL
IFは特開平4-502554号公報に、並びにウシのLIFは
特開平8-154681号公報に、それぞれ記載されている。
特開平1-502985号公報に、ヒツジおよびブタにおけるL
IFは特開平4-502554号公報に、並びにウシのLIFは
特開平8-154681号公報に、それぞれ記載されている。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、哺乳動物由
来のLIFを有効成分とする哺乳動物胚の保存剤及びこ
れを用いて該胚を保存する方法、並びに哺乳動物由来の
LIFを有効成分とする哺乳動物胚の分化促進剤及びこ
れを用いて該胚を分化させる方法を提供することを目的
とする。
来のLIFを有効成分とする哺乳動物胚の保存剤及びこ
れを用いて該胚を保存する方法、並びに哺乳動物由来の
LIFを有効成分とする哺乳動物胚の分化促進剤及びこ
れを用いて該胚を分化させる方法を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究した結果、哺乳動物由来のL
IFが哺乳動物胚の生存率を向上させるとともに、分化
を促進させることを見い出し、本発明を完成させるに至
った。
を達成するために鋭意研究した結果、哺乳動物由来のL
IFが哺乳動物胚の生存率を向上させるとともに、分化
を促進させることを見い出し、本発明を完成させるに至
った。
【0007】すなわち、本発明は、哺乳動物由来のLI
Fを有効成分として含有する、哺乳動物胚の保存剤であ
る。また、本発明は、哺乳動物由来のLIFを用いて哺
乳動物胚を保存する方法である。
Fを有効成分として含有する、哺乳動物胚の保存剤であ
る。また、本発明は、哺乳動物由来のLIFを用いて哺
乳動物胚を保存する方法である。
【0008】さらに、本発明は、哺乳動物由来のLIF
を有効成分として含有する、哺乳動物胚の分化促進剤で
ある。さらに、本発明は、哺乳動物由来のLIFを用い
て哺乳動物胚を分化させる方法である。
を有効成分として含有する、哺乳動物胚の分化促進剤で
ある。さらに、本発明は、哺乳動物由来のLIFを用い
て哺乳動物胚を分化させる方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の哺乳動物胚の保存剤は、哺乳動物由来のLIF
を有効成分として含有する限り、いかなる態様をもとり
得る。ここで、本発明の哺乳動物とは、特に限定され
ず、ヒト、マウス、又はウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ロ
バ等の家畜を含む最も一般的な意味で用いられる。従っ
て、本発明の哺乳動物胚および哺乳動物由来のLIFと
して、いかなる哺乳動物胚および哺乳動物由来のLIF
をも用いることができる。また、本発明の哺乳動物胚と
哺乳動物由来のLIFとは、同一の哺乳動物に由来して
もよいし、異なった哺乳動物に由来していてもよい。
本発明の哺乳動物胚の保存剤は、哺乳動物由来のLIF
を有効成分として含有する限り、いかなる態様をもとり
得る。ここで、本発明の哺乳動物とは、特に限定され
ず、ヒト、マウス、又はウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ロ
バ等の家畜を含む最も一般的な意味で用いられる。従っ
て、本発明の哺乳動物胚および哺乳動物由来のLIFと
して、いかなる哺乳動物胚および哺乳動物由来のLIF
をも用いることができる。また、本発明の哺乳動物胚と
哺乳動物由来のLIFとは、同一の哺乳動物に由来して
もよいし、異なった哺乳動物に由来していてもよい。
【0010】哺乳動物由来のLIFに関して、例えば、
ヒトLIFについては市販されており(AMRAD,オースト
ラリア)、ウシLIFについてはウシLIFの塩基配列
(特開平8-154681)に基づいて一般的な遺伝子工学的手
法に従って作製することができる。また、他の哺乳動物
由来のLIFについては、塩基配列が知られている場合
には、ウシLIFと同様にして作製することができ、塩
基配列の知られていない場合には、塩基配列の知られて
いるLIFの遺伝子をプローブとして、該哺乳動物の適
当なcDNAライブラリーをスクリーニングし塩基配列
を特定することにより、上記と同様にして作製すること
ができる。
ヒトLIFについては市販されており(AMRAD,オースト
ラリア)、ウシLIFについてはウシLIFの塩基配列
(特開平8-154681)に基づいて一般的な遺伝子工学的手
法に従って作製することができる。また、他の哺乳動物
由来のLIFについては、塩基配列が知られている場合
には、ウシLIFと同様にして作製することができ、塩
基配列の知られていない場合には、塩基配列の知られて
いるLIFの遺伝子をプローブとして、該哺乳動物の適
当なcDNAライブラリーをスクリーニングし塩基配列
を特定することにより、上記と同様にして作製すること
ができる。
【0011】本発明の哺乳動物胚の保存剤の使用方法
は、該保存剤を用いる限りいかなる態様をもとり得る。
例えば、本発明の保存剤を含有する培養液を用いて哺乳
動物胚を保存することができる。ここで、培養液は、特
に限定されず、哺乳動物胚が生存し得る培養液であれ
ば、いかなるものをも用いることができる。哺乳動物胚
を保存するために、培養液中の哺乳動物由来のLIFの
含有量を 2〜100 ng/ml とすることができるが、10〜10
0ng/mlとするのが好ましく、10〜50ng/ml とするのが最
も好ましい。また、本発明の保存剤は、凍結融解した胚
の保存に特に適している。凍結融解は常法に従って行な
えばよい。凍結融解した胚は、凍結融解後 0〜1 時間以
内に該保存剤を用いて保存するのが好ましく、凍結融解
後 0〜0.5 時間以内に該保存剤を用いて保存するのが最
も好ましい。
は、該保存剤を用いる限りいかなる態様をもとり得る。
例えば、本発明の保存剤を含有する培養液を用いて哺乳
動物胚を保存することができる。ここで、培養液は、特
に限定されず、哺乳動物胚が生存し得る培養液であれ
ば、いかなるものをも用いることができる。哺乳動物胚
を保存するために、培養液中の哺乳動物由来のLIFの
含有量を 2〜100 ng/ml とすることができるが、10〜10
0ng/mlとするのが好ましく、10〜50ng/ml とするのが最
も好ましい。また、本発明の保存剤は、凍結融解した胚
の保存に特に適している。凍結融解は常法に従って行な
えばよい。凍結融解した胚は、凍結融解後 0〜1 時間以
内に該保存剤を用いて保存するのが好ましく、凍結融解
後 0〜0.5 時間以内に該保存剤を用いて保存するのが最
も好ましい。
【0012】本発明の哺乳動物胚の分化促進剤は、哺乳
動物由来のLIFを有効成分として含有する限り、いか
なる態様をもとり得る。ここで、「哺乳動物」、「哺乳
動物胚」、及び「哺乳動物由来のLIF」は、上記と同
様に定義される。
動物由来のLIFを有効成分として含有する限り、いか
なる態様をもとり得る。ここで、「哺乳動物」、「哺乳
動物胚」、及び「哺乳動物由来のLIF」は、上記と同
様に定義される。
【0013】哺乳動物由来のLIFに関しては、ヒトL
IFについては上記の通り市販されており(AMRAD, オー
ストラリア) 、その他の哺乳動物由来のLIFについて
は上記と同様にして作製することができる。
IFについては上記の通り市販されており(AMRAD, オー
ストラリア) 、その他の哺乳動物由来のLIFについて
は上記と同様にして作製することができる。
【0014】本発明の哺乳動物胚の分化促進剤の使用方
法は、該分化促進剤を用いる限り、いかなる態様をもと
り得る。例えば、本発明の分化促進剤を含有する培養液
を用いて、哺乳動物胚の分化を促進することができる。
ここで、培養液は、特に限定されず、哺乳動物胚が生存
し得る培養液であれば、いかなる培養液をも用いること
ができる。哺乳動物胚を分化させるために、培養液中の
哺乳動物由来のLIFの含有量を 2〜100 ng/ml とする
ことができるが、10〜100 ng/ml とするのが好ましく、
10〜50ng/ml とするのが最も好ましい。また、本発明の
分化促進剤は、凍結融解した胚を分化させるのに、特に
適している。凍結融解は常法に従って行なうことができ
る。凍結融解した胚は、凍結融解後 0〜1 時間以内に該
分化促進剤を用いて分化を促進するのが好ましく、凍結
融解後 0〜0.5 時間以内に該分化促進剤を用いて分化を
促進するのが最も好ましい。
法は、該分化促進剤を用いる限り、いかなる態様をもと
り得る。例えば、本発明の分化促進剤を含有する培養液
を用いて、哺乳動物胚の分化を促進することができる。
ここで、培養液は、特に限定されず、哺乳動物胚が生存
し得る培養液であれば、いかなる培養液をも用いること
ができる。哺乳動物胚を分化させるために、培養液中の
哺乳動物由来のLIFの含有量を 2〜100 ng/ml とする
ことができるが、10〜100 ng/ml とするのが好ましく、
10〜50ng/ml とするのが最も好ましい。また、本発明の
分化促進剤は、凍結融解した胚を分化させるのに、特に
適している。凍結融解は常法に従って行なうことができ
る。凍結融解した胚は、凍結融解後 0〜1 時間以内に該
分化促進剤を用いて分化を促進するのが好ましく、凍結
融解後 0〜0.5 時間以内に該分化促進剤を用いて分化を
促進するのが最も好ましい。
【0015】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの実施例に限
定されるものではない。
に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0016】(1) ウシ体外受精胚の作製 屠場で屠殺された雌ウシの卵巣を採取し、200IU/mlベン
ジルペニシリンカリウム( 明治製菓) および 200μg/ml
硫酸ストレプトマイシン( 明治製菓) 添加生理食塩水(
大塚製薬) に入れ実験室に持ち帰り、3mg/mlウシ血清ア
ルブミン( 和光純薬) 添加PB1(Quinn ら.,Journal of R
eproduction and Fertility.66.161-168.1982)を入れ、
20G の注射針( テルモ) を装着した5ml シリンジ( テル
モ) を用いて卵巣の小卵胞から卵子を吸引採取した。卵
丘細胞が緊密に付着している卵子を選抜し、5%子牛血清
(Gibco, アメリカ) および0.5mM ピルビン酸ナトリウム
(Sigma, アメリカ) 添加TCM-199(25mM-HepesTCM 199 wi
th Earle's salts,Sigma,アメリカ) で約24時間の成熟
培養をした。凍結精液を液体窒素から取り出し、空気中
で10秒間保持後に38℃の温水に入れて融解した。3mg/ml
ウシ血清アルブミン、5mM カフェイン( 和光純薬) およ
び10μg/mlヘパリン(Novo-Nordisk A/S,デンマーク) 添
加BO液(Brackeet & Oliphant,Biology Reproduction,1
2,260-274.1975)を使用して精子を洗浄後、約2 時間の
前培養により受精能を獲得させた。これらの精子浮遊液
に成熟させた卵子を入れ、体外受精を行なった。媒精 3
時間後に0.1%ヒアルロニダーゼ(Sigma, アメリカ) およ
び3mg/mlウシ血清アルブミン添加PB1 を用いて卵丘細胞
を除去した。卵丘細胞を除去した受精卵を5%子牛血清お
よび3mg/ml脂肪酸不含ウシ血清アルブミン(Sigma, アメ
リカ) 添加CR1aa(小西正人と青柳敬人、Journal of Rep
roduction and Development,40,j1-j4,1994)を用いて培
養した。実施に用いる培養液はすべて0.2 μm フィルタ
ー(Corning, アメリカ) により濾過滅菌した。培養のと
きには培養用ディッシュ( 岩城硝子) に培養液でドロッ
プを作りミネラルオイル(Bristol Myers Squibb & Son
s, アメリカ)で培養液の表面を覆った。培養はすべて
39℃、5%CO2 、95% 空気の条件でCO2 インキュベータ
ー( タバイインスペック) 内で培養した。受精日を 0日
として、 7または 8日目に発生した拡張胚盤胞を使用し
た。
ジルペニシリンカリウム( 明治製菓) および 200μg/ml
硫酸ストレプトマイシン( 明治製菓) 添加生理食塩水(
大塚製薬) に入れ実験室に持ち帰り、3mg/mlウシ血清ア
ルブミン( 和光純薬) 添加PB1(Quinn ら.,Journal of R
eproduction and Fertility.66.161-168.1982)を入れ、
20G の注射針( テルモ) を装着した5ml シリンジ( テル
モ) を用いて卵巣の小卵胞から卵子を吸引採取した。卵
丘細胞が緊密に付着している卵子を選抜し、5%子牛血清
(Gibco, アメリカ) および0.5mM ピルビン酸ナトリウム
(Sigma, アメリカ) 添加TCM-199(25mM-HepesTCM 199 wi
th Earle's salts,Sigma,アメリカ) で約24時間の成熟
培養をした。凍結精液を液体窒素から取り出し、空気中
で10秒間保持後に38℃の温水に入れて融解した。3mg/ml
ウシ血清アルブミン、5mM カフェイン( 和光純薬) およ
び10μg/mlヘパリン(Novo-Nordisk A/S,デンマーク) 添
加BO液(Brackeet & Oliphant,Biology Reproduction,1
2,260-274.1975)を使用して精子を洗浄後、約2 時間の
前培養により受精能を獲得させた。これらの精子浮遊液
に成熟させた卵子を入れ、体外受精を行なった。媒精 3
時間後に0.1%ヒアルロニダーゼ(Sigma, アメリカ) およ
び3mg/mlウシ血清アルブミン添加PB1 を用いて卵丘細胞
を除去した。卵丘細胞を除去した受精卵を5%子牛血清お
よび3mg/ml脂肪酸不含ウシ血清アルブミン(Sigma, アメ
リカ) 添加CR1aa(小西正人と青柳敬人、Journal of Rep
roduction and Development,40,j1-j4,1994)を用いて培
養した。実施に用いる培養液はすべて0.2 μm フィルタ
ー(Corning, アメリカ) により濾過滅菌した。培養のと
きには培養用ディッシュ( 岩城硝子) に培養液でドロッ
プを作りミネラルオイル(Bristol Myers Squibb & Son
s, アメリカ)で培養液の表面を覆った。培養はすべて
39℃、5%CO2 、95% 空気の条件でCO2 インキュベータ
ー( タバイインスペック) 内で培養した。受精日を 0日
として、 7または 8日目に発生した拡張胚盤胞を使用し
た。
【0017】(2) 胚の凍結および融解 20%子牛血清添加PB1 を基本液として、10% エチレング
リコール( 和光純薬) および0.1Mトレハロース( 半井薬
品) を耐凍剤に使用した。胚を室温で15分間平衡させ、
0.25mlプラスチックストロー(IMV, フランス) に充填し
た。あらかじめ-7.0℃に冷却してあるプログラムフリー
ザー( フジヤ矢野) にセットして 2分後に植氷し、さら
に13分間同温度で保持し、その後は毎分-0.3℃の割合で
-30.0 ℃まで冷却し、液体窒素に投入した。液体窒素か
らストローを取り出し、空気中で10秒間保持後、30℃の
温水に入れることで融解した。融解後は5%子牛血清およ
び3mg/ml脂肪酸不含ウシ血清アルブミン添加CR1aa で胚
を洗浄した。
リコール( 和光純薬) および0.1Mトレハロース( 半井薬
品) を耐凍剤に使用した。胚を室温で15分間平衡させ、
0.25mlプラスチックストロー(IMV, フランス) に充填し
た。あらかじめ-7.0℃に冷却してあるプログラムフリー
ザー( フジヤ矢野) にセットして 2分後に植氷し、さら
に13分間同温度で保持し、その後は毎分-0.3℃の割合で
-30.0 ℃まで冷却し、液体窒素に投入した。液体窒素か
らストローを取り出し、空気中で10秒間保持後、30℃の
温水に入れることで融解した。融解後は5%子牛血清およ
び3mg/ml脂肪酸不含ウシ血清アルブミン添加CR1aa で胚
を洗浄した。
【0018】(3) LIF ヒトLIFタンパク質は市販品(AMRAD, オーストラリ
ア) を使用した。ウシLIFタンパク質はウシLIFの
塩基配列( 特開平8-154681) をもとにし、ヒトLIFタ
ンパク質の発現と精製( 特開平1-502985) に準じた方法
により作製した。
ア) を使用した。ウシLIFタンパク質はウシLIFの
塩基配列( 特開平8-154681) をもとにし、ヒトLIFタ
ンパク質の発現と精製( 特開平1-502985) に準じた方法
により作製した。
【0019】(4) 融解後の培養 5% 子牛血清および3mg/ml脂肪酸不含ウシ血清アルブミ
ン添加CR1aa に2 、10、25、50および100ng/mlのヒトL
IFまたは2 、10、25、50および100ng/mlのウシLIF
を添加して凍結融解胚を培養した。融解後24、48および
72時間後に観察を行い、明確な胞胚腔の回復がみられる
胚を生存胚とし、脱出胚盤胞への発育についても記録し
た。
ン添加CR1aa に2 、10、25、50および100ng/mlのヒトL
IFまたは2 、10、25、50および100ng/mlのウシLIF
を添加して凍結融解胚を培養した。融解後24、48および
72時間後に観察を行い、明確な胞胚腔の回復がみられる
胚を生存胚とし、脱出胚盤胞への発育についても記録し
た。
【0020】(5) 結果 融解後の生存率および脱出胚盤胞への発育率を表1 に示
した。ヒトLIFでは10ng/ml 以上添加した場合、融解
後72時間で生存率が50% 以上あり、無添加の場合(28.3
%) に対して生存率が約 2倍に向上し、有意な差が認め
られた。脱出胚盤胞への発育率については、ヒトLIF
を50ng/ml 添加した場合に34.8% となり無添加の場合
(8.3%)に対し発育率が約 4倍に向上して有意な差が認め
られた。ウシLIFでは10ng/ml 以上 添加した場合に
融解後72時間で生存率が60% を越え、無添加の場合の 2
倍以上に生存率が向上し、有意差が認められた。脱出胚
盤胞への発育率についても 3倍以上に向上した。これら
の結果より凍結融解後の胚の培養にLIFの添加が有効
であることが示された。
した。ヒトLIFでは10ng/ml 以上添加した場合、融解
後72時間で生存率が50% 以上あり、無添加の場合(28.3
%) に対して生存率が約 2倍に向上し、有意な差が認め
られた。脱出胚盤胞への発育率については、ヒトLIF
を50ng/ml 添加した場合に34.8% となり無添加の場合
(8.3%)に対し発育率が約 4倍に向上して有意な差が認め
られた。ウシLIFでは10ng/ml 以上 添加した場合に
融解後72時間で生存率が60% を越え、無添加の場合の 2
倍以上に生存率が向上し、有意差が認められた。脱出胚
盤胞への発育率についても 3倍以上に向上した。これら
の結果より凍結融解後の胚の培養にLIFの添加が有効
であることが示された。
【0021】
【表1】 表1 融解後のウシ体外受精胚の生存性に与えるLIFの影響 LIF 融解後の生存胚数(%) 脱出 濃度 供試数 24時間 48時間 72時間 胚盤胞数(%) 0 60 25(41.7)a 21(35.0)a 17(28.3)a 5(8.3)a 卵丘1) 43 34(79.1)b 31(72.1)b 31(72.1)b 8(18.6) ヒトLIF(ng/ml) 2 27 17(63.0) 15(55.6) 11(40.7) 3(11.1) 10 33 20(60.6) 20(60.6)c 18(54.5)c 8(24.2) 25 36 23(63.9)c 22(61.1)c 19(52.8)c 10(27.8)c 50 46 35(76.1)b 34(73.9)b 31(67.4)b 16(34.8)b 100 33 23(69.7)b 23(69.7)b 21(63.6)b 6(18.2) ウシLIF(ng/ml) 2 30 22(73.3)b 18(60.0)c 16(53.3)c 6(20.0) 10 30 22(73.3)b 20(66.7)b 20(66.7)b 8(26.7)c 25 32 25(78.1)b 23(71.9)b 21(65.6)b 10(31.3)c 50 30 24(80.0)b 21(70.0)b 20(66.7)b 8(26.7)c 100 32 25(78.1)b 21(65.6)b 20(62.5)b 9(28.1)c 各観察時間において、ab間(P<0.01) 、ac間(P<0.05) 有意差( χ2 検定) 1)LIFを添加せずに卵丘細胞と共培養した
【0022】
【発明の効果】本発明により、哺乳動物胚の生存率を向
上させることができるとともに、哺乳動物胚の分化を促
進させることができる。
上させることができるとともに、哺乳動物胚の分化を促
進させることができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 哺乳動物由来の白血病阻害因子を有効成
分として含有する、哺乳動物胚の保存剤。 - 【請求項2】 哺乳動物由来の白血病阻害因子を用いて
哺乳動物胚を保存する方法。 - 【請求項3】 前記哺乳動物由来の白血病阻害因子が、
ヒト又は家畜動物由来の白血病阻害因子である、請求項
2記載の方法。 - 【請求項4】 前記哺乳動物胚が、ヒト又は家畜動物由
来の胚である、請求項2記載の方法。 - 【請求項5】 哺乳動物由来の白血病阻害因子を有効成
分として含有する、哺乳動物胚の分化促進剤。 - 【請求項6】 哺乳動物由来の白血病阻害因子を用いて
哺乳動物胚を分化させる方法。 - 【請求項7】 前記哺乳動物由来の白血病阻害因子が、
ヒト又は家畜動物由来の白血病阻害因子である、請求項
6記載の方法。 - 【請求項8】 前記哺乳動物胚が、ヒト又は家畜動物由
来の胚である、請求項6記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9109095A JPH10298002A (ja) | 1997-04-25 | 1997-04-25 | 哺乳動物胚の保存剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9109095A JPH10298002A (ja) | 1997-04-25 | 1997-04-25 | 哺乳動物胚の保存剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10298002A true JPH10298002A (ja) | 1998-11-10 |
Family
ID=14501468
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9109095A Pending JPH10298002A (ja) | 1997-04-25 | 1997-04-25 | 哺乳動物胚の保存剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10298002A (ja) |
-
1997
- 1997-04-25 JP JP9109095A patent/JPH10298002A/ja active Pending
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