JPH10287690A - クロム錯体 - Google Patents

クロム錯体

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JPH10287690A
JPH10287690A JP4771397A JP4771397A JPH10287690A JP H10287690 A JPH10287690 A JP H10287690A JP 4771397 A JP4771397 A JP 4771397A JP 4771397 A JP4771397 A JP 4771397A JP H10287690 A JPH10287690 A JP H10287690A
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JP
Japan
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group
borate
pyrazolyl
hydrotris
chromium
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Application number
JP4771397A
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English (en)
Inventor
Kazuhide Tani
一英 谷
Kazuyuki Majima
和志 真島
Toshiyuki Oshiki
俊之 押木
Hisao Urata
尚男 浦田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 α−オレフィンの重合触媒又は低重合触媒と
して有用なヒドロトリス(ピラゾリル)ボレートが結合
した新規なクロム錯体を提供する。 【解決手段】 一般式(1)で表わされるクロム錯体。 【化1】LCrRaXbYc …(1) (式中、Lはピラゾール環の炭素原子に置換基を有して
いてもよいヒドロトリス(ピラゾリル)ボレートであ
り、Rは水素原子又は有機基、Xは無機基又は陰性原
子、Yは電子供与性化合物を示す。Crの価数は2又は
3であり、Crが2価の場合にはaは0又は1、a+b
=1であり、Crが3価の場合にはaは1又は2、a+
b=2である。aが2の場合には2つのRは互に異って
いてもよいし、2つのRが互いに結合してさらにクロム
原子と共に環状構造を形成していてもよい。cは0〜3
の数であり、cが2又は3の場合には複数のYは互いに
異なっていてもよい。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はクロムにヒドロトリ
ス(ピラゾリル)ボレートが結合した新規なクロム錯体
に関するものである。このクロム錯体は、α−オレフィ
ンの重合反応及び/又は低重合反応の触媒として有用で
ある。
【0002】
【従来の技術】クロムにヒドロトリス(ピラゾリル)ボ
レートと陰性原子又は無機基が結合した3価のクロム錯
体は公知である(Inorganica Chimic
a Acta,106(1985)69〜74)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ヒドロトリス
(ピラゾリル)ボレートが結合した2価のクロム錯体は
知られていない。また3価のクロム錯体でも、クロムに
ヒドロトリス(ピラゾリル)ボレートに加えて水素又は
他の有機基が結合したものは知られていない。本発明は
このようなクロム錯体を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係るクロム錯体
は、下記の一般式(1)で表わされる。
【0005】
【化3】LCrRaXbYc …(1) (式中、Lはピラゾール環の炭素原子に置換基を有して
いてもよいヒドロトリス(ピラゾリル)ボレートであ
り、Rは水素原子又は有機基、Xは無機基又は陰性原
子、Yは電子供与性化合物を示す。Crの価数は2又は
3であり、Crが2価の場合にはaは0又は1、a+b
=1であり、Crが3価の場合にはaは1又は2、a+
b=2である。aが2の場合には2つのRは互いに異っ
ていてもよいし、2つのRが互いに結合してさらにクロ
ム原子と共に環状構造を形成してもよい。cは0〜3の
数であり、cが2又は3の場合には複数のYは互に異っ
ていてもよい。)
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に係るクロム錯体について
更に詳細に説明すると、一般式(1)においてLで表わ
されるピラゾール環の置換基としては、アルキル基、ア
リール基、複素環基、ハロゲン原子などが挙げられる。
また、これらのアルキル基やアリール基、複素環基には
更に置換基が結合していてもよい。アルキル基は通常
は、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル
基、n−ペンチル基など、炭素数1〜6のものである。
アリール基はフェニル基、ナフチル基、アンスリル基な
どである。複素環基はチエニル基、フリル基などであ
る。また、アルキル基に結合する置換基としては、ハロ
ゲン原子やフェニル基、フリル基などが挙げられる。ア
ルキル基の置換基として存在する場合も含め、アリール
基や複素環基の置換基としては、ハロゲン原子やC1
4 のアルキル基、アルコキシ基などが挙げられる。
【0007】一般式(1)におけるLとして好ましいの
は、下記式(2)で示されるものである。
【0008】
【化4】
【0009】(式中、R1 〜R3 は、それぞれ独立し
て、水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、
アリール基、ベンジル基、複素環基及びハロゲン原子か
ら選ばれる置換基であり、アリール基及びベンジル基に
は更にアルキル基又はアルコキシ基が置換していてもよ
い。) 一般式(1)においてLで表されるヒドロトリス(ピラ
ゾリル)ボレートのいくつかを例示すると、ヒドロトリ
ス(ピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジ
メチル−1−ピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス
(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−1−ピラゾリ
ル)ボレート、ヒドロトリス(3−t−ブチル−1−ピ
ラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3−フェニル−1
−ピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3,5−ジフ
ェニル−1−ピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3
−(p−トリル)−1−ピラゾリル)ボレート、ヒドロ
トリス(3−(p−アニシル)−1−ピラゾリル)ボレ
ート、ヒドロトリス(3−イソプロピル−1−ピラゾリ
ル)ボレート、ヒドロトリス(3−イソプロピル−4−
ブロモ−1−ピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3
−イソプロピル−5−メチル−1−ピラゾリル)ボレー
ト、ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピル−1−ピラ
ゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3−(2−チエニ
ル)−1−ピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3−
ネオペンチル−1−ピラゾリル)ボレート、ヒドロトリ
ス(3−(トリフルオロメチル)−5−メチル−1−ピ
ラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3−メシチル−1
−ピラゾリル)ボレート、ヒドロトリス(3−(9−ア
ンスリル)−1−ピラゾリル)ボレート、等が挙げら
れ、これらのなかでもピラゾール環の3位及び5位に置
換基、特にC1 〜C6 のアルキル基を有するものが好ま
しい。
【0010】一般式(1)において、Rで表わされる有
機基としては、炭化水素基、アルコキシ基、アミド基、
カルボキシル基、β−ジケトナート基、β−ケトカルボ
キシル基、β−ケトエステル基、アシル基、カルボニル
基、イミド基などが挙げられ、これらは場合によっては
結合している置換基部分も含めて通常は20個以下の炭
素原子を有している。炭化水素基としてはアルキル基、
シクロアルキル基、アリール基、アリル基、アリールア
ルキル基、アルキルアリール基などが挙げられ、これら
はアルコキシ基、ハロゲン原子、シリル基などの置換基
を有していてもよい。これらの炭化水素基のいくつかを
例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプ
ロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、シク
ロヘキシル基、デシル基、ドデシル基、フェニル基、シ
クロペンタジエニル基、アリル基、ベンジル基、o−ト
リル基、m−トリル基、p−トリル基、ナフチル基、メ
トキシメチル基、メトキシエチル基、o−メトキシフェ
ニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニ
ル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、o−クロロ
フェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニ
ル基、トリメチルシリルメチル基などが挙げられる。
【0011】また、2つのRで表される有機基が互いに
結合してさらにクロム原子と共に環状構造を形成するこ
ともできる。2つのRで表される有機基がお互いに結合
した基としては、置換または無置換のアルキレン基、ア
ルケニレン基、フェニレン基、キシリレン基、エーテル
結合チオエーテル結合を有するアルキレン基、アルケニ
レン基などが挙げられる。これらの有機基はクロム原子
と共に環状構造を形成するが、錯体の安定性は、環の員
数に依存する。従って、4〜9員環を形成するような有
機基が好ましく、さらに5〜7員環を形成するような有
機基が好ましい。置換基としては、炭素数20個までの
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、シリル基、ハ
ロゲン原子などが挙げられる。アルキレン基としては、
1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−
ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチ
レン基、1,8−オクチレン基、1,9−ノニレン基、
2,3−ジメチル−1,4−ブチレン基、2,3−ジフ
ェニル−1,4−ブチレン基、3−メチル−1,5−ペ
ンチレン基、1,5−(2,4−ジオキソ)ペンチレン
基などが挙げられる。アルキレン基としては、1,4−
(2−ブテニレン)基、1,5−(2−ペンテニレン)
基、1,6−(2,4−ヘキサジエニレン)基、1,7
−(3−ヘキセニレン)基などが挙げられる。フェニレ
ン基としては、1,3−フェニレン基、1,4−フェニ
レン基、2,4−ジメチル−1,4−フェニレン基、
2,3−ジクロロ−1,4−フェニレン基などが挙げら
れる。キシリレン基としては、o−キシリレン基、m−
キシリレン基、p−キシリレン基などが挙げられる。エ
ーテル結合またはチオエーテル結合を有するアルキレン
基としては、3−オキサ−1,5−ペンチレン基、3−
チア−1,5−ペンチレン基、4−オキサ−1,7−ヘ
プチレン基などが挙げられる。
【0012】一般式(1)において、Xで表わされる無
機基又は陰性原子としては、硝酸基、水酸基、塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子などが挙げられ
る。またYで表わされる電子供与性化合物としては、窒
素、酸素、リン、硫黄原子のいずれかを含む化合物が挙
げられる。窒素含有化合物ではニトリル、アミン、ニト
ロ化合物、アミドなどが挙げられ、そのいくつかを例示
すると、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルピリジ
ン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルホルムアミド、
N−メチルホルムアミド、アニリン、ニトロベンゼン、
テトラメチルエチレンジアミン、ジエチルアミン、イソ
プロピルアミン、ヘキサメチルジシラザン、ピロリド
ン、ピラゾール、イミダゾール等が挙げられる。これら
のうち置換基を有してもよいピリジン誘導体が好まし
い。酸素含有化合物としては、水、エステル、エーテ
ル、ケトン、アルコール、アルデヒド等が挙げられ、そ
のいくつかを例示すると、エチルアセテート、メチルア
セテート、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチル
エーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライ
ム、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタ
ノール、アセトアルデヒド等が挙げられる。これらのう
ちテトラヒドロフラン誘導体が好ましい。リン化合物と
しては、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルホ
スホラストリアミド、トリエチルホスファイト、トリブ
チルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィン等が挙
げられる。硫黄含有化合物としては、二硫化炭素、ジメ
チルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、チオフェ
ン、ジメチルスルフィド等が挙げられる。
【0013】本発明に係るクロム錯体のいくつかを例示
すると、2価のクロム錯体としては、[ヒドロトリス
(ピラゾリル)ボレート]塩化クロム(テトラヒドロフ
ラン)錯体、[ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−
ピラゾリル)ボレート]塩化クロム(テトラヒドロフラ
ン)錯体、[ヒドロトリス(3−t−ブチル−1−ピラ
ゾリル)ボレート]塩化クロム(テトラヒドロフラン)
錯体、[ヒドロトリス(3,5−ジイソプロピル−1−
ピラゾリル)ボレート]塩化クロム(テトラヒドロフラ
ン)錯体、[ヒドロトリス(ピラゾリル)ボレート]メ
チルクロム(テトラヒドロフラン)錯体、[ヒドロトリ
ス(3,5−ジメチル−1−ピラゾリル)ボレート]ベ
ンジルクロム(テトラヒドロフラン)錯体などが挙げら
れる。3価のクロム錯体としては、ヒドロトリス(ピラ
ゾリル)ボレート(t−ブチルイミド)塩化クロム錯
体、ヒドロトリス(ピラゾリル)ボレート(フェニルイ
ミド)塩化クロム錯体、ヒドロトリス(ピラゾリル)ボ
レート(2,6−ジメチルフェニルイミド)塩化クロム
錯体、ヒドロトリス(ピラゾリル)ボレート(2,6−
イソプロピルフェニルイミド)塩化クロム錯体、ヒドロ
トリス(3,5−ジメチル−1−ピラゾリル)ボレート
(t−ブチルイミド)塩化クロム錯体、ヒドロトリス
(3,5−ジメチル−1−ピラゾリル)ボレート(フェ
ニルイミド)塩化クロム錯体、ヒドロトリス(3,5−
ジメチル−1−ピラゾリル)ボレート(2,6−ジメチ
ルフェニルイミド)塩化クロム錯体、ヒドロトリス
(3,5−ジメチル−1−ピラゾリル)ボレート(2,
6−ジイソプロピルフェニルイミド)塩化クロム錯体、
[ヒドロトリス(ピラゾリル)ボレート]ジメチルクロ
ム(テトラヒドロフラン)錯体、[ヒドロトリス(3,
5−ジメチル−1−ピラゾリル)ボレート]ジメチルク
ロム(テトラヒドロフラン)錯体、[ヒドロトリス(ピ
ラゾリル)ボレート]ジメチルクロム(4−ジメチルア
ミノピリジン)錯体、[ヒドロトリス(3,5−ジメチ
ル−1−ピラゾリル)ボレート]ジメチルクロム(4−
ジメチルアミノピリジン)錯体、[ヒドロトリス(ピラ
ゾリル)ボレート]ジベンジルクロム(テトラヒドロフ
ラン)錯体、[ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−
ピラゾリル)ボレート]ジベンジルクロム(テトラヒド
ロフラン)錯体、[ヒドロトリス(ピラゾリル)ボレー
ト]ジベンジルクロム(4−ジメチルアミノピリジン)
錯体、[ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピラゾ
リル)ボレート]ジベンジルクロム(4−ジメチルアミ
ノピリジン)錯体などが挙げられる。クロム原子と共に
環状構造を形成した錯体としては、ヒドロトリス(ピラ
ゾリル)ボレートクロマシクロブタン錯体、ヒドロトリ
ス(ピラゾリル)ボレートクロマシクロペンタン錯体、
ヒドロトリス(ピラゾリル)ボレートクロマシクロヘキ
サン錯体、ヒドロトリス(ピラゾリル)ボレートクロマ
シクロヘプタン錯体、{ヒドロトリス(3,5−ジメチ
ル−1−ピラゾリル)ボレート}クロマシクロブタン錯
体、{ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピラゾリ
ル)ボレート}クロマシクロペンタン錯体、{ヒドロト
リス(3,5−ジメチル−1−ピラゾリル)ボレート}
−1−クロマ−3,4−ジメチルシクロペンタン錯体、
{ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピラゾリル)
ボレート}−1−クロマ−3,4−ジフェニルシクロペ
ンタン錯体、{ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−
ピラゾリル)ボレート}−1−クロマシクロペンタ−3
−エン錯体、{ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−
ピラゾリル)ボレート}クロマシクロヘキサン錯体、
{ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピラゾリル)
ボレート}−1−クロマ−3,5−ジオキソシクロヘキ
サン錯体、{ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピ
ラゾリル)ボレート}クロマシクロヘプタン錯体、{ヒ
ドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピラゾリル)ボレ
ート}−1−クロマシクロヘプタ−4−エン錯体、{ヒ
ドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピラゾリル)ボレ
ート}−2−クロマインダン錯体などが挙げられる。
【0014】本発明に係るクロム錯体は、クロム塩とヒ
ドロトリス(ピラゾリル)ボレート塩とを、溶媒中で、
好ましくは分子状酸素の不存在下に反応させることによ
り製造することができる。クロム塩としては0〜6価の
有機又は無機のクロム塩が用いられるが、2価又は3価
のものを用いるのが好ましい。すなわちクロム塩として
は、下記(3)式で表わされるものが用いられる。
【0015】
【化5】CrQn …(3) (式中、Qは有機基、無機基、陰性原子又は電子供与性
化合物を表わし、nは1ないし6の整数を表わす。但し
nが2〜6の場合には複数のQは互に異っていてもよ
い) (3)式において、有機基としてはC1 〜C20のアルコ
キシ基、エステル基、ケトン基、イミド基又はアミド基
が挙げられ、その炭化水素部分は直鎖状、分岐鎖状又は
環状のいずれでもよい。無機基としては硝酸基、硫酸基
などが挙げられ、陰性原子としてはハロゲン原子が挙げ
られる。電子供与性化合物としては窒素、酸素、リン、
硫黄原子のいずれかを含むものが挙げられ、具体的には
先に本発明に係るクロム錯体を構成する電子供与性化合
物として例示したものが挙げられる。
【0016】好ましくはクロム塩としてはハロゲンを含
むもの、例えば塩化第1クロム、塩化第2クロム、塩化
第2クロム(テトラヒドロフラン)3 錯体、臭化第1ク
ロム、臭化第2クロム、ヨウ化第1クロム、ヨウ化第2
クロム、フッ化第1クロム、フッ化第2クロムなどが用
いられる。特に好ましいのは塩化物であり、塩化第1ク
ロム、塩化第2クロム、塩化第2クロム(テトラヒドロ
フラン)3 錯体などを用いるのが好ましい。
【0017】クロム塩と反応させるヒドロトリス(ピラ
ゾリル)ボレート塩としては、リチウム、ナトリウム、
カリウム、セシウムなど周期律表の1族の金属、タリウ
ム、スズ化合物基、アンモニウム基などとの塩が用いら
れる。スズ化合物基としては下記(4)式で表わされる
ものが用いられる。
【0018】
【化6】R4 3 Sn+ …(4) (式中、3個のR4 はそれぞれ異っていてもよく、水素
原子、C1 〜C20のアルキル基、アリール基、アルキル
アリール基などの炭化水素基、ハロゲン原子などを表わ
す) (4)式で表わされるスズ化合物基のいくつかを例示す
ると、トリメチルスズ基、トリブチルスズ基、トリフェ
ニルスズ基、ジブチルクロロスズ基、ブチルジクロロス
ズ基、クロロジフェニルスズ基、ジクロロフェニルスズ
基、トリクロロスズ基などが挙げられる。また、アンモ
ニウム基としては下記(5)式で表わされるものが用い
られる。
【0019】
【化7】R5 4+ …(5) (式中、4個のR5 はそれぞれ異っていてもよく、水素
原子、C1 〜C20のアルキル基、アリール基、アルキル
アリール基などの炭化水素基を表わす) (5)式で表わされるアンモニウム基のいくつかを例示
すると、アンモニウム、メチルアンモニウム、エチルア
ンモニウム、イソプロピルアンモニウム、デシルアンモ
ニウム、ジメチルアンモニウム、ジベンジルアンモニウ
ム、トリエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウ
ム、テトラブチルアンモニウム、トリエチルイソプロピ
ル、トリエチルデシルアンモニウムなどが挙げられる。
【0020】クロム塩とヒドロトリス(ピラゾリル)ボ
レート塩との反応の溶媒としては、ヘキサン、シクロヘ
キサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、クロロ
ホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、クロロベンゼン、
ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒド
ロフラン、エーテル、ジオキサン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトア
ミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶
媒、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等
のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル等のアルコール類などが挙げられる。これらのうちテ
トラヒドロフラン、エーテル、ジオキサン等の非プロト
ン性極性溶媒が好ましい。
【0021】反応は、−78℃から100℃、好ましく
は−30℃から50℃で行われる。反応時間は、特に限
定されるものではないが、通常1分から48時間、好ま
しくは1時間から24時間である。反応終了後、減圧に
したり不活性ガスを吹き込んだりして溶媒を除去する
と、本発明に係るクロム錯体と副生塩とが固体として得
られる。これに副生塩は溶解しないがクロム錯体は選択
的に溶解する溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレ
ンなどの芳香族炭化水素を加え、濾過して副生塩を除去
する。次いで濾液から溶媒を除去し、残留物をテトラヒ
ドロフランのようなエーテル溶媒に溶解し、この溶液か
ら溶媒を留去させてクロム錯体を再結晶させる。溶媒を
留去する代りにペンタン、ヘキサン、ヘプタンのような
クロム錯体が不溶の脂肪族炭化水素を加えてクロム錯体
を再結晶させることもできる。再結晶は通常は常温以下
で行うのが好ましい。再結晶に際しては、溶媒のエーテ
ルやその中の水を含むクロム錯体が生成することがあ
る。
【0022】ここで得られたクロム錯体をさらに有機金
属試薬と反応させると、有機クロム錯体へ導くことがで
きる。有機金属試薬としては、メチルリチウム、ブチル
リチウム、メチルマグネシウムブロミド、フェニルリチ
ウム、フェニルマグネシウムブロミド、ベンジルマグネ
シウムクロリド、トリメチルアルミニウム、1,4−ジ
リチオブタン、1,5−ジリチオペンタン、1,6−ジ
リチオヘキサン、o−キシリレンジマグネシウム、1,
4−ジリチオ−2−ブテンのような1族、2族、または
13族金属との金属アルキル、アラルキル、アルキレ
ン、アルケニレンまたはアリールが用いられる。
【0023】クロム錯体と有機金属試薬との反応は、両
者を所定の比率で溶媒中で混合し、好ましくは分子状酸
素の不存在下に、反応させることにより容易に行うこと
ができる。溶媒としてはジエチルエーテル、テトラヒド
ロフランのようなエーテル類が好ましい。反応温度に−
78℃〜室温、好ましくは−78〜−30℃である。反
応時間は通常1分間〜48時間、好ましくは1〜24時
間である。この反応に際し、溶媒中にクロム錯体に配位
できるような電子供与性化合物を存在させると、有機ク
ロム錯体の収率が向上するので好ましい。電子供与性化
合物としては窒素含有化合物、例えばピリジン、ジメチ
ルアミノピリジンなどが好ましい。特に好ましいのは置
換基を有するピリジン類である。
【0024】反応終了後、減圧または不活性ガス吹込み
により溶媒を除去すると、本発明に係る有機クロム錯体
と副生塩とが固体として得られる。これに副生塩は溶解
せずに有機クロム錯体を選択的に溶解する溶媒、例えば
ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素
を加え、濾過して副生塩を除去する。次いで濾液から溶
媒を除去して有機クロム錯体を取得し、これをテトラヒ
ドロフランのような溶媒に溶解し、有機クロム化合物を
再結晶させる。再結晶は溶媒を留去したり、有機クロム
錯体の不溶媒であるペンタン、ヘキサン、ヘプタンのよ
うな脂肪族炭化水素を加えるなど、常法により行うこと
ができる。再結晶の温度に常温以下が好ましい。
【0025】本発明に係るクロム錯体は、炭化水素基を
有するアルミニウム化合物と組合せて、α−オレフィン
の重合触媒として用いることができる。アルミニウム化
合物が2〜3個の炭化水素基を有する場合には、炭化水
素基は互に同一であっても異なっていてもよい。好まし
いアルキルアルミニウム化合物としてはトリアルキルア
ルミニウム、トリアリールアルミニウム、ハロゲン化ジ
アルキルアルミニウム、ジハロゲン化モノアルキルアル
ミニウム、ハロゲン化ジアリールアルミニウム、ジハロ
ゲン化アリールアルミニウムを挙げることができる。こ
れらのいくつかを例示すると、トリアルキルアルミニウ
ムとしてはトリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n
−ペンチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウ
ム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−プロピ
ルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリメチル
アルミニウムなどが挙げられる。トリアリールアルミニ
ウムとしてはトリフェニルアルミニウムが挙げられる。
ハロゲン化ジアルキルアルミニウムとしてはジエチルア
ルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミドな
どが挙げられる。ジハロゲン化モノアルキルアルミニウ
ムとしてはエチルアルミニウムジクロリド、エチルアル
ミニウムジブロミドなどが挙げられる。ハロゲン化ジア
リールアルミニウムとしてはジフェニルアルミニウムク
ロリド、ジフェニルアルミニウムブロミドなどが挙げら
れる。ジハロゲン化アリールアルミニウムとしてはフェ
ニルアルミニウムジクロリド、フェニルアルミニウムジ
ブロミドなどが挙げられる。また、本発明ではこれらの
複数の混合物を用いることもできる。
【0026】これらの例示したアルキルアルミニウム化
合物の中でも本発明に係るクロム錯体と組合せて触媒に
特に好ましく使用することができる化合物はトリアルキ
ルアルミニウムであり、なかでもトリエチルアルミニウ
ムが最も好ましい。本発明に係るクロム錯体と炭化水素
基を有するアルミニウム化合物との組合せから成る触媒
を用いてα−オレフィンを重合する際には、重合反応系
に反応性の乏しい嵩高い電子吸引性基を有する非配位性
のホウ素化合物、例えば中性のホウ素化合物又はアニオ
ン性のホウ素化合物の塩を添加すると、反応活性が向上
するので好ましい。好ましい中性のホウ素化合物として
はトリフェニルホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニ
ル)ホウ素などが挙げられる。好ましいアニオン性のホ
ウ素化合物の塩としては、アニオン性のホウ素化合物の
金属塩としてテトラフェニルボレートカリウム、テトラ
フェニルボレートナトリウム、テトラフェニルボレート
リチウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ートカリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)
ボレートナトリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェ
ニル)ボレートリチウムなど、トリチル塩としてテトラ
フェニルボレートトリチル、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)ボレートトリチルなど、アミン塩としてテ
トラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートジメチル
アニリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)
ボレートトリエチルアンモニウムなどが挙げられる。こ
れらの非配位性のホウ素化合物は重合反応における活性
種のカチオン性の金属種の安定化に寄与しているものと
考えられる。
【0027】重合反応は通常は溶媒中で行われる。溶媒
としては、ブタン、ペンタン、3−メチルペンタン、ヘ
キサン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、オクタン、シ
クロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンなどの
鎖状又は脂環式の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、
キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリンな
どの芳香族炭化水素、クロロホルム、四塩化炭素、塩化
メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラ
クロロエタンなどの鎖状ハロゲン化炭化水素、クロロベ
ンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化
水素、さらには原料であるα−オレフィンを溶媒として
用いることができる。これらは単独で使うこともできる
が、2種類以上の混合物を溶媒として使用することもで
きる。
【0028】反応媒体中のクロム錯体の濃度は、通常は
1.0×10-7〜0.5モル/リットルである。1.0
×10-6〜0.2モル/リットル、特に1.0×10-5
〜0.05モル/リットルであるのが好ましい。クロム
錯体と組合わされる炭化水素基を有するアルミニウム化
合物は、クロム錯体1モル当り少なくとも0.05モ
ル、通常は0.1モル以上用いられる。その使用量の上
限は経済的観点から1.0×104 モルである。
【0029】非配位性のホウ素化合物は、クロム錯体1
モル当り少なくとも0.001モル、通常は0.01モ
ル以上用いられる。その上限は経済的観点から1.0×
10 4 モルである。重合圧力は常圧〜200kg/cm
2 Gから選択されるが、通常は100kg/cm2 G以
下の圧力で十分である。重合温度は通常0〜250℃で
あるが、0〜200℃、特に0〜150℃が好ましい。
反応に要する時間は通常1分間〜20時間、好ましくは
0.5〜6時間である。反応は回分式、半回分式又は連
続式のいずれの方式でも行うことができる。
【0030】反応生成物は、室温で固体である高重合体
から室温で気体ないしは液体である低重合体まで多岐に
亘る。α−オレフィンとしてエチレンを用いた場合に
は、三量体である1−ヘキセンを高収量で得ることがで
きる。
【0031】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。 参考例1 [ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピラゾリル)
ボレート]二塩化クロム(アコ)(テトラヒドロフラ
ン)1.5 錯体の合成;テトラヒドロフラン90mlに、
塩化クロム(III)231.0mg(0.62mmol)
を加え、さらにテトラヒドロフランに0.62mmol
のカリウムヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピラ
ゾリル)ボレートを加えた懸濁液1.24mlを加え
た。室温で一夜撹拌したのち溶媒を留去し、20mlの
トルエンで抽出した。トルエンを留去し、残留物をテト
ラヒドロフラン−ヘキサン混合溶媒中で結晶化して、緑
色の結晶145.5mg(収率48%)を得た。
【0032】この結晶の結晶解析の結果を図1に示す。
但し図1では結晶溶媒は省略されている。また、代表的
な結合距離及び結合角を表1に、結晶データを表2に示
す。 Mp251−252.5℃(分解、未補正);IR(N
ujol/Csl)2540,1540,1415,1
365,1200,1180,1065,1020,8
60,810,790,690,650,480,38
0,340,310cm-1
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】実施例1 [ヒドロトリス(3,5−ジメ
チル−1−ピラゾリル)ボレート]塩化クロム(テトラ
ヒドロフラン)錯体の合成;塩化クロム(II)281.
6mg(2.29mmol)をテトラヒドロフラン15
mlに加え、さらにこれにテトラヒドロフランに2.2
9mmolのカリウムヒドロトリス(3,5−ジメチル
−1−ピラゾリル)ボレートを加えた懸濁液4.6ml
を加えた。室温で一夜撹拌したのち溶媒を留去し、残留
物を10mlのヘキサンで洗浄したのち40mlの塩化
メチレンで抽出した。塩化メチレンを留去し、残留物を
40mlのテトラヒドロフランに溶解して再結晶させ、
うすい黄緑色の結晶性粉末293.3mg(収率24
%)を得た。
【0036】Mp>300℃;IR(Nujol/Cs
l)3105,2540,1545,1450,141
5,1200,1070,1050,985,900,
860,815,780,740,695,650,4
80,420,395,320cm-1 実施例2 [ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピ
ラゾリル)ボレート]ジメチルクロム(4−ジメチルア
ミノピリジン)錯体の合成;参考例1で得られたクロム
錯体79.7mg(0.16mmol)をテトラヒドロ
フラン5mlに加え、次いで0.16mmolの4−ジ
メチルアミノピリジンをテトラヒドロフランに溶解させ
た溶液0.32mlを加えた。室温で一夜撹拌したのち
−78℃に冷却し、これに0.32mmolのメチルリ
チウムをエーテルに溶解させた溶液0.30mlを加え
た。−78℃で30分間撹拌したのち室温に戻しさらに
一夜撹拌した。溶媒を留去したのち残留物を10mlの
トルエンで抽出した。トルエンを留去し、残留物をテト
ラヒドロフラン−エーテル混合溶媒に溶解して再結晶さ
せることにより、赤色の結晶32.5mg(収率40
%)を得た。このものの結晶解析の結果を図2に示す。
また、代表的な結合距離及び結合角を表3に、結晶デー
タを表4に示す。
【0037】Mp235−236℃(分解、未補正);
IR(Nujol/Csl)2510,1610,15
40,1445,1415,1225,1200,11
15,1065,1040,1020,980,95
0,850,810,775,695,655,62
0,535,470cm-1
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】実施例3 [ヒドロトリス(3,5−ジメ
チル−1−ピラゾリル)ボレート]ジベンジルクロム
(4−ジメチルアミノピリジン)錯体の合成;参考例1
で得られたクロム錯体285.1mg(0.58mmo
l)をテトラヒドロフラン20mlに加え、次いでこれ
に71.0mg(0.58mmol)の4−ジメチルア
ミノピリジンを加えた。室温で一夜撹拌したのち−78
℃に冷却し、これに1.16mmolのベンジルマグネ
シウムクロリドをエーテルに溶解させた溶液2.32m
lを加えた。−78℃で30分間撹拌したのち室温に戻
し、さらに一夜撹拌した。次いでこれに1,4−ジオキ
サン2.0mlを加え、さらに一夜室温で撹拌した。溶
媒を留去し、残留物を40mlのトルエンで抽出した。
トルエンを留去し、残留物をテトラヒドロフラン−エー
テル−ヘキサンの混合溶液から再結晶させることによ
り、赤色の結晶154.4mg(収率40%)を得た。
結晶解析の結果を図3に示す。また、代表的な結合距離
及び結合角を表5に、結晶データを表6に示す。
【0041】Mp282−285℃(分解、未補正);
IR(Nujol/Csl)2540,1620,15
45,1490,1450,1420,1290,12
40,1205,1120,1070,1050,10
20,980,950,880,860,820,79
0,765,750,700,650,600,54
0,480,430,290cm-1
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】実施例4 {ヒドロトリス(3,5−ジメ
チル−1−ピラゾリル)ボレート}クロマシクロペンタ
ン成分を含む錯体の合成 参考例1で得られたクロム錯体486mg(0.99m
mol)にテトラヒドロフラン30mlを加え、次いで
1.01mmolの4−ジメチルアミノピリジンを加え
た。反応液は緑色の懸濁液となった。この懸濁液を−7
8℃に冷却し、1,4−ジクロロブタンと金属リチウム
から調製した0.99mmolの1,4−ジリチオブタ
ンのエーテル溶液を加えた。反応液をゆっくりと昇温し
ていくと、−10℃から反応が開始し、均一の溶液とな
った。さらに1時間−10℃で撹拌を続けた。この温度
で溶媒を減圧下に留去し、残さにトルエン30mlを加
え、析出した塩をセライトにより濾過した。−10℃以
下の温度でろ液を減圧下に留去し、約10mlに濃縮し
た。残さに40mlのヘキサンを加え、目的物を沈殿さ
せた。沈殿物を2回ヘキサン(40ml)で洗浄するこ
とにより赤褐色の{ヒドロトリス(3,5−ジメチル−
1−ピラゾリル)ボレート}クロマシクロペンタン成分
を含む錯体得た。収率は4−ジメチルアミノピリジン付
加体として51%であった。
【0045】Mp139−142℃(分解、未補正) この化合物の同定は、化合物の熱分解によりC4成分で
あるブテン類が検出されることにより行った。 実施例5 {ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピ
ラゾリル)ボレート}クロマシクロヘキサン成分を含む
錯体の合成 実施例4において、1,4−ジリチオブタンの代わりに
1,5−ジリチオペンタンを用いる以外は、実施例4と
同様の操作を行い、赤褐色の{ヒドロトリス(3,5−
ジメチル−1−ピラゾリル)ボレート}クロマシクロヘ
キサン成分を含む錯体を得た。収率は4−ジメチルアミ
ノピリジン付加体として76%であった。
【0046】Mp92−109℃(分解、未補正) 得られた錯体の熱分解により1−ペンテン及び2−ペン
テンの混合物が44%の収率で得られたことから錯体の
同定を行った。 実施例6 {ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピ
ラゾリル)ボレート}クロマシクロヘプタン成分を含む
錯体の合成 実施例4において、1,4−ジリチオブタンの代わりに
1,6−ジリチオヘキサンを用いる以外は、実施例4と
同様の操作を行い、赤褐色の{ヒドロトリス(3,5−
ジメチル−1−ピラゾリル)ボレート}クロマシクロヘ
プタン成分を含む錯体を得た。収率は4−ジメチルアミ
ノピリジン付加体として31%であった。
【0047】Mp131−152℃(分解、未補正) 得られた錯体の熱分解により1−ヘキセン及び2−ヘキ
セン混合物が15%の収率で得られ、さらにシクロヘキ
サンが8%得られたことから錯体の同定を行った。 実施例7 {ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピ
ラゾリル)ボレート}−2−クロマインダン成分を含む
錯体 実施例4において、1,4−ジリチオブタンの代わりに
ジマグネシウム−o−キシリレンを用いる以外は、実施
例4と同様の操作を行い、赤色微結晶の{ヒドロトリス
(3,5−ジメチル−1−ピラゾリル)ボレート}−2
−クロマインダン成分を含む錯体を得た。収率は4−ジ
メチルアミノピリジン付加体として94%であった。
【0048】Mp68−72℃(分解、未補正) 得られた錯体の加水分解により、o−キシレンと1,2
−ジメチリデン−3,5−シクロヘキサジエンの二量体
が54%収率(38:62の生成比)で得られたことか
ら錯体の同定を行った。 エチレンの重合例;シュレンク管に実施例1〜3で得ら
れたクロム錯体を仕込み、管内をエチレンガスで置換し
た。シュレンク管に所定量の溶媒を加え、次いでその中
に50mlのエチレンガスを導入した。激しく撹拌しな
がら、これにトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
のトルエン溶液を所定量加え、さらに5分後にトリエチ
ルアルミニウムを所定量加え重合反応を行わせた。重合
反応は大気圧下、室温で激しく撹拌しながら行った。1
時間反応させたのち塩化水素のメタノール溶液を加えて
反応を停止させた。反応液を濾過してポリマーを取得
し、その重量を秤量した。濾液はウンデカンを標準物質
としてガスクロマトグラフィーで分析した。結果を表7
に示す。
【0049】
【表7】
【0050】
【発明の効果】本発明に係るクロム錯体は新規な化合物
であり、α−オレフィンの重合反応及び/又は低重合反
応の触媒として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】[ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピラ
ゾリル)ボレート]二塩化クロム(アコ)(テトラヒド
ロフラン)1.5 錯体の結合状態を示す図である(但し、
結晶溶媒は省略)
【図2】[ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピラ
ゾリル)ボレート]ジメチルクロム(4−ジメチルアミ
ノピリジン)錯体の結合状態を示す図である。
【図3】[ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1−ピラ
ゾリル)ボレート]ジベンジルクロム(4−ジメチルア
ミノピリジン)錯体の結合状態を示す図である。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1)で表わされるクロム
    錯体。 【化1】LCrRaXbYc …(1) (式中、Lはピラゾール環の炭素原子に置換基を有して
    いてもよいヒドロトリス(ピラゾリル)ボレートであ
    り、Rは水素原子又は有機基、Xは無機基又は陰性原
    子、Yは電子供与性化合物を示す。Crの価数は2又は
    3であり、Crが2価の場合にはaは0又は1、a+b
    =1であり、Crが3価の場合にはaは1又は2、a+
    b=2である。aが2の場合には2つのRは互に異って
    いてもよいし、2つのRが互いに結合してさらにクロム
    原子と共に環状構造を形成していてもよい。cは0〜3
    の数であり、cが2又は3の場合には複数のYは互に異
    っていてもよい。)
  2. 【請求項2】 一般式(1)において、Crが3価であ
    り、aが2であり、bが0であることを特徴とする請求
    項1記載のクロム錯体。
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、Crが2価であ
    り、aが0又は1であることを特徴とする請求項1記載
    のクロム錯体。
  4. 【請求項4】 一般式(1)において、Lが下記式
    (2)で表わされるものであることを特徴とする請求項
    1ないし3のいずれかに記載のクロム錯体。 【化2】 (式中、R1 〜R3 は、それぞれ独立して、水素原子、
    アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ベ
    ンジル基、複素環基及びハロゲン原子から選ばれる置換
    基であり、アリール基及びベンジル基には更にアルキル
    基又はアルコキシ基が置換していてもよい。)
  5. 【請求項5】 一般式(1)において、Lがヒドロトリ
    ス(3,5−ジメチル−1−ピラゾリル)ボレートであ
    ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載
    のクロム錯体。
  6. 【請求項6】 一般式(1)において、Yが置換基を有
    するピリジン誘導体又はテトラヒドロフラン誘導体であ
    ることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載
    のクロム錯体。
  7. 【請求項7】 {ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1
    −ピラゾリル)ボレート}ジメチルクロム(4−ジメチ
    ルアミノピリジン)錯体。
  8. 【請求項8】 {ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1
    −ピラゾリル)ボレート}ジベンジルクロム(4−ジメ
    チルアミノピリジン)錯体。
  9. 【請求項9】 {ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1
    −ピラゾリル)ボレート}塩化クロム(テトラヒドロフ
    ラン)錯体。
  10. 【請求項10】{ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1
    −ピラゾリル)ボレート}クロマシクロペンタン成分を
    含むクロム錯体。
  11. 【請求項11】{ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1
    −ピラゾリル)ボレート}クロマシクロヘキサン成分を
    含むクロム錯体。
  12. 【請求項12】{ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1
    −ピラゾリル)ボレート}クロマシクロヘプタン成分を
    含むクロム錯体。
  13. 【請求項13】{ヒドロトリス(3,5−ジメチル−1
    −ピラゾリル)ボレート}−2−クロマインダン成分を
    含むクロム錯体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001040322A1 (en) * 1999-12-03 2001-06-07 Polimeri Europa S.P.A. Tris-(3,5-dimethylpyrazolyl)chromium borate dichloride as component of catalytic systems for the polymerization of olefins and polymerization process using it
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