JPH10283953A

JPH10283953A - 陰極線管体及び陰極線管

Info

Publication number: JPH10283953A
Application number: JP8104197A
Authority: JP
Inventors: Yukinobu Iguchi; 如信井口
Original assignee: Sony Corp
Current assignee: Sony Corp
Priority date: 1997-03-31
Filing date: 1997-03-31
Publication date: 1998-10-23

Abstract

(57)【要約】【課題】パネルとファンネルとネックとから成る陰極
線管体に、偏向ヨークを装着した陰極線管において、偏
向ヨークの消費電力の低下を図る。【解決手段】ファンネル部３側の偏向ヨーク装着部の
一部に、内面に窪み１１を形成するように外面に膨出す
る膨出部１２を形成し、偏向ヨーク９をネック部４側に
ずらして装着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばカラー受像
管等に適用される陰極線管体および陰極線管に係わる。

【０００２】

【従来の技術】通常の陰極線管、例えば現在一般的とな
っているカラー受像管は、主に色選別マスクを装着した
パネル部、コーン状のファンネル部及び３本の電子ビー
ムを出射する電子銃を装着したネック部より成る陰極線
管体（いわゆるガラスバルブ）とファンネル部のネック
側に装着された偏向ヨーク（ＤＹ）とから構成されてい
る。

【０００３】最近、省エネルギーの観点から、陰極線
管、特にその偏向ヨークの消費電力を削減する要望が高
い。偏向ヨークの消費電力を削減するためには、陰極線
管軸（Ｚ軸）方向の長さをあまり短くせずに、偏向ヨー
クの容積を小さくして、全体の磁界エネルギーを減らす
ことが一般に効果的である。例えば偏向ヨークをファン
ネル部のネック側にずらして、ファンネル部に掛かる部
分を減らせば、偏向ヨークの径、従って容積を減らすこ
とが出来る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしこの場合、偏向
中心がネック側にずれ、電子ビームはよりネック側から
偏向される事となり、ファンネル部の内面とのクリアラ
ンス（接触余裕）が少なくなり、極端な場合ファンネル
部内面と接触してしまい、スクリーン（蛍光面）上にシ
ャドー（かげ）が生じ、画質が悪化する。又、陰極線管
や偏向ヨークの組立精度は、ある程度はバラツキが生ず
るので、余裕のない設計であると、スクリーン上にシャ
ドーが生じてしまうことがある。

【０００５】このシャドーが生じないように、ファンネ
ル部のネック側で、偏向された電子ビームが接触する近
傍のガラス肉厚を薄くして、電子ビームとのクリアラン
スを確保することが行われている。しかし、陰極線管に
は、常に大気圧が掛かっており、むやみにガラス肉厚を
薄くすることは、必要な強度を維持出来ないので、この
方法による改善には限界がある。

【０００６】本発明は、上述の点に鑑み、偏向ヨークを
消費電力の削減等を可能とした、陰極線管体および陰極
線管を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明に係る陰極線管体
は、そのファンネル部側の偏向ヨーク装着部分の一部
に、内面に窪みを形成するように外面に膨らむ膨出部を
形成した構成とする。

【０００８】かかる構成の陰極線管体においては、ファ
ンネル部の偏向ヨーク装着部分の一部に、内面に窪みを
形成するように外面に膨出部を形成することにより、偏
向ヨークをネック側にずらして装着した場合でも、ファ
ンネル部内面と電子ビームとのクリアランスが確保され
る。従って、容積を小さくして、全体の磁界エネルギー
を減らすように構成した偏向ヨークの装着が可能とな
る。

【０００９】本発明に係る陰極線管は、前記の陰極線管
体を用い、その偏向ヨーク装着部分に偏向ヨークを装着
した構成とする。

【００１０】かかる構成の陰極線管においては、ファン
ネル部の偏向ヨーク装着部分の一部に、内面に窪みを形
成するように外面に膨出部を有する陰極線管体を用いる
ことにより、ファンネル内面と電子ビームとのクリアラ
ンスが確保され、偏向ヨークをネック側にずらして装着
することが可能となる。このため、偏向ヨークの容積を
小さくし、磁界エネルギーを小さく出来るので、偏向ヨ
ークにおける消費電力の低減が可能となる。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明に係る陰極線管体は、パネ
ル部とファンネル部とネック部とから成る陰極線管体に
おいて、ファンネル部側の偏向ヨークの一部に、内面に
窪みを形成するように外面に膨出した膨出部が形成され
た構成とする。

【００１２】本発明は、上記陰極線管体において、その
膨出部がパネルの四隅部に対応した部分に形成された構
成とする。

【００１３】本発明に係る陰極線管は、パネル部とファ
ンネル部とネック部とから成り、ファンネル部側の偏向
ヨーク装着部分の一部に、内面に窪みを形成するように
外面に膨出した膨出部が形成された陰極線管体を有し、
この陰極線管体の偏向ヨーク装着部に、偏向ヨークが装
着された構成とする。

【００１４】本発明は、上記陰極線管において、膨出部
がパネルの四隅に対応した部分に形成された陰極線管体
を用いた構成とする。

【００１５】以下、図面を参照して本発明の実施例を説
明する。図１は、本発明による陰極線管を、カラー受像
管に適用した場合の一実施例を示す。図２は、その要部
の拡大図である。本実施例のカラー受像管１は、パネル
部２、ファンネル部３及びネック部４からなる陰極線管
体（いわゆるガラスバルブ）５において、そのパネル部
２の内面にカラー蛍光面６を形成すると共に、カラー蛍
光面６に近接対向するように、色選別マスク７を配置
し、ネック部４内に赤，緑及び青に対応する３つの電子
ビームＢ_R，Ｂ_G，及びＢ_Bを出射する電子銃８を配置
し、更に、陰極線管体５の外側、即ちファンネル部３か
らネック部４に掛かる偏向ヨーク装着部分に、偏向ヨー
ク９を装着して成る。

【００１６】そして、本実施例では、特に陰極線管体５
において、その偏向ヨーク９の装着部分、即ちファンネ
ル側の装着部分の一部に、ガラス肉厚が周りと等しくな
るように、内面に窪み１１を形成するようにして外面に
膨出する膨出部１２を形成する。

【００１７】この窪み１１を形成する膨出部１２は、パ
ネル部２のカラー蛍光面６の対角方向の四隅部に対応す
る位置に形成する（図３参照）。即ち、偏向途中の電子
ビームＢ_R，Ｂ_G，及びＢ_Bが形成するＸ−Ｙ断面のラ
スターは、カラー蛍光面６が長方形の場合には、その形
に対応してほぼ長方形となる。従って、例えば、インラ
イン配列で出射される電子ビームのうち外側ビーム、例
えば、赤の電子ビームＢ_R（又は青の電子ビームＢ_B）
は、カラー蛍光面６の長方形の隅部に対応した位置で最
もファンネル部３と近接し易いので、その隅部に対応す
る位置に、前記窪み１１を形成した膨出部１２を形成す
る。

【００１８】この実施例では、この窪み１１の深さは、
１．５ｍｍ程度とすることができるが、ファンネル部３
が充分な大気圧強度を有すれば、ガラスの肉厚を薄くで
きるので、窪み１１の深さをさらに深くすることが出来
る。

【００１９】偏向ヨーク９は、図２及び図３に示すよう
に、例えばプラスチックセパレータを介して、その内側
にサドル型の水平偏向コイル２２が保持され、外側にト
ロイダル型の垂直偏向コイル（図示せず）が保持されて
形成される。水平偏向コイル２２は、フロントベントア
ップ２２Ｆとリアベントアップ部２２Ｒとの間に、メイ
ンコイル２２Ｍを有するようにサドル型に形成される。

【００２０】そして、この偏向ヨーク９は、管軸（Ｚ
軸）方向の長さを通常と同程度とするも、その容積及び
全体の磁界エネルギーが、通常よりも小さくなるように
構成し、陰極線管体５に対して、その装着位置が通常よ
りもネック側にずれるように、即ちファンネル部からネ
ック部４に渡るように装着する。

【００２１】一方、ファンネルガラスの外面に形成され
た膨出部と、水平偏向コイルの構造との関係について
は、最近の偏向ヨークでは、コンバージェンスフリーの
設計が一般的であり、強いピン磁界を形成するために、
水平偏向コイル２２の巻線（銅線）密度は、図３中Ｘ軸
近傍に行くに従い密になっており、長方形の対角近傍か
らＹ軸側にかけては殆ど巻線がない。

【００２２】このため偏向ヨーク９の設計上、ファンネ
ル部３の外面に設ける膨出部１２と干渉しない構造が可
能である。例えば、Ｘ軸近傍に巻かれた巻線自体の厚み
は２ｍｍ近くあるため、巻線部分がファンネル部３に密
着しても、偏向ヨーク本体９とファンネル部３の四隅部
の膨出部１２とは接触しない。もし、接触する可能性が
あるならば、例えば水平偏向コイル２２を保持している
プラスチックセパレータの該当部分に窪み、もしくは孔
を設ければよい。

【００２３】上述の実施例によれば、陰極線管体５のフ
ァンネル部３側の偏向ヨーク装着部分の一部に、即ちカ
ラー蛍光面６の対角四隅部に対応する対角四箇所の位置
に、内面に窪み１１を形成するように外面に膨出部１２
を形成することにより、偏向ヨーク９を通常よりもネッ
ク部４側にずらして装着した場合にも、偏向ヨーク９に
干渉することなく、簡単にファンネル部３の内面と電子
ビーム（Ｂ_R，Ｂ_G，Ｂ_B）とのクリアランスを増すこ
とが出来る。従って、コンパクトな偏向ヨーク９の設計
ができ、これによって、偏向ヨーク９の磁界エネルギー
を小さくすることが出来、消費電力を削減することがで
きる。

【００２４】また、偏向ヨーク９を小さくすることによ
り、材料費の節減も可能となる。前記四箇所の窪み１１
は、ファンネル部３の成形時に同時に形成することがで
きるので、ファンネル部３の製造コストの増加はほとん
ど無い。

【００２５】因みに、ファンネル部３の内面窪み１１は
１．５ｍｍ程度で、偏向ヨーク９を通常より３ｍｍ程ネ
ック部４側にずらしても、電子ビーム（Ｂ_R，Ｂ_G，Ｂ
_B）はファンネル部３に接触しない。この場合、偏向ヨ
ーク９とファンネル部３の外面とは同様の隙間が生ずる
が、偏向ヨーク９の外径をより小さいものに再設計すれ
ば、それだけ偏向ヨーク９の容積を小さくできる。偏向
ヨーク９に必要とされる磁界のエネルギーは、ほぼ偏向
ヨーク９の容積に比例しているので、その分、磁界エネ
ルギーが削減され、消費電力も削減される。例えば、偏
向ヨーク９をネック側にずらすことによる１ｍｍ当たり
のエネルギー削減は５％であり、３ｍｍでは約１５％の
削減が可能となる。

【００２６】

【発明の効果】本発明に係る陰極線管体によれば、特別
な製作コストを要さずに製作することができ、ファンネ
ル部内面と電子ビームとのクリアランスを容易に増やす
ことができるので、コンパクトかつ磁界エネルギーを小
さく設計した偏向ヨークを、ネック側にずらして装着す
ることが可能である。

【００２７】本発明に係る陰極線管によれば、ファンネ
ル部内面と電子ビームとのクリアランスを充分に確保す
ることができるので、偏向ヨークをネック側にずらして
装着することができ、磁界エネルギーの小さいコンパク
トな偏向ヨークの設計が可能となる。その結果、パネル
（蛍光面）隅部のシャドーを防止し、画像を劣化するこ
となく偏向ヨークの消費電力の節減を図ることができ
る。また、偏向ヨーク自体の材料費も節減される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る陰極線管の一実施例の構成図であ
る。

【図２】図１の要部の拡大図である。

【図３】水平偏向コイルと図２の陰極線管体の窪み及び
膨出部の位置，形状との関係を示す正面図である。

【符号の説明】

１カラー受像管、２パネル部、３ファンネル部、
４ネック部、５陰極線管体、６カラー蛍光面、７
色選別マスク、８電子銃、９偏向ヨーク、１１
窪み、１２膨出部、２２水平偏向コイル、２２Ｒ
リアベントアップ部、２２Ｍメインコイル部、２２Ｆ
フロントベントアップ部Ｂ_R，Ｂ_G，Ｂ_B；電子ビーム

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】パネル部とファンネル部とネック部とか
らなる陰極線管体において、前記ファンネル部側の偏向
ヨーク装着部分の一部に、内面に窪みを形成するように
外面に膨出した膨出部が形成されて成ることを特徴とす
る陰極線管体。
【請求項２】前記膨出部が、パネル部の四隅に対応し
た部分に形成されて成ることを特徴とする請求項１に記
載の陰極線管体。
【請求項３】パネル部とファンネル部とネック部とか
ら成り、前記ファンネル部側の偏向ヨーク装着部分の一
部に、内面に窪みを形成するように外面に膨出した膨出
部が形成された陰極線管体を有し、前記陰極線管体の偏
向ヨーク装着部に、偏向ヨークが装着されて成ることを
特徴とする陰極線管。
【請求項４】前記膨出部が、パネルの四隅に対応した
部分に形成された陰極線管体を用いて成ることを特徴と
する請求項３に記載の陰極線管。