JPH10283859A - パイロット碍子及びそれを用いた等価塩分測定方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 碍子に付着した塩分を短時間で容易かつ正
確に測定できる手段を提供する。 【解決手段】４層のひだ部(1)，(2)を有するパイロット
碍子である。被取付部(26)に取り付けるための取付手段
(3)，(9)が最下層(2)の下方に設けられており、上部３
層(1)と前記最下層(2)とは着脱可能である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はパイロット碍子及び
そのパイロット碍子を用いた等価塩分測定方法に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】碍子に潮風等に起因する塩分が付着する
と絶縁性が低下する。そこで、変電所等の施設において
は碍子に付着した塩分を測定するために同一形状のパイ
ロット碍子といわれる測定用碍子を隣接して設置し、こ
のパイロット碍子に付着した塩分を測定することにより
設備に使用している碍子の塩分の付着状態を想定してい
る。このような塩分付着条件の等しいパイロット碍子の
付着塩分を測定して、使用碍子の付着塩分を想定する方
法は等価塩分測定方法と呼ばれている。

【０００３】パイロット碍子は条件をそろえるために使
用碍子と略同じ高さのポール上に取り付けられる。測定
に際してはまずポールからパイロット碍子を取り外す。
４層のひだ部を有する碍子の最上層と最下層は誤差が大
きいため、内側２層に付着した塩分を測定する。具体的
にはハケを用いてパイロット碍子の内側２層に付着した
塩分を洗い流すように洗浄し洗浄水の抵抗値を絶縁抵抗
計にて測定し、換算表により単位面積当たりの塩分付着
量を算出している。

【０００４】しかし筆洗い方式と呼ばれるこの方法で
は、パイロット碍子の脱着や測定，計算に時間がかかる
のみならず、ハケを用いた洗浄は手作業となるため熟練
しないと誤差が生じやすい。

【０００５】更に、屋外で作業する必要が有るため風雨
が強いときには風雨の影響を受けやすく測定が困難とな
るが、実際に碍子に付着する塩分が最も深刻な問題とな
るのは、台風等の強風時に海水が霧状に飛散して付着す
るような場合であり（このような場合は短時間で急速に
塩分付着量が増大し、最悪の場合には碍子表面で放電が
生じて停電の原因となる）、台風などの際に正確に測定
できない筆洗い方式は実用性が低い。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】そこで、風雨の強いと
きでも短時間で容易かつ正確に付着塩分を測定できる手
段が求められている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のパイロット碍子
は、４層のひだ部(1)，(2)を有するパイロット碍子であ
って、被取付部(26)に取り付けるための取付手段(3)，
(9)が最下層(2)の下方に設けられており、上部３層(1)
と前記最下層(2)とは着脱可能であることを特徴とす
る。

【０００８】又、本発明の等価塩分測定方法は、上記の
パイロット碍子を屈曲可能なポール(20)，(21)の上部(2
6)に取り付け、測定に際してポール(20)，(21)を屈曲さ
せることによりパイロット碍子の取付位置(26)を下方に
移動させ、パイロット碍子の上３層(1)をポール側に取
り付けられた最下層(2)から分離して取り外し、取り外
したパイロット碍子の中間２層(1b)，(1c)のみが洗浄水
(11)に浸るように超音波洗浄器の洗浄槽(10)に入れて超
音波洗浄し、洗浄後の洗浄水の電導率を電導率計にて測
定し、測定結果に基づいてパイロット碍子に付着した塩
分を算出することを特徴とする。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明を好適な実施例を用
いて説明する。 ［実施例］図１は実施例のパイロット碍子の半断面図で
ある。４重の傘状の碍子の上部３層(1)と最下層(2)とは
別体であり、最下層(2)から上方に突出したボルト(7)を
上部３層の下面のネジ溝(8)に螺入することにより連結
することができる。したがって、上部３層(1)と最下層
(2)とを相対的に回すことによって着脱が可能である。

【００１０】図２はパイロット碍子を取り付ける屈曲可
能なポールを示した図であり、図では屈曲した状態を示
している。ポール上部(20)はポール基部(21)に対して回
転軸(25)を軸として屈曲する。(22)はワイヤーロープ(2
3)を巻き取るウインチであり、(24)は最大屈曲角度を制
限するための鎖である。

【００１１】ポール上部(20)の上端(20a)には図３に示
すような取付架台(26)が取り付けられる（図２において
は取付架台は図示せず）。１つの取付架台(26)には２つ
のパイロット碍子が取り付けられる。取付は取付架台(2
6)を碍子の最下層の座部(9)とボルト(3)との間で取付架
台(26)の上部を挟み込むことにより行っている。

【００１２】尚、図３において取付架台(26)には２つの
パイロット碍子が取り付けられているが、左側のパイロ
ット碍子は後述するように碍子の上部(1)が取り外され
た状態を示している。

【００１３】パイロット碍子の取り付け又は取り外し作
業を行う際はポールを屈曲させてポール上部(20)の取付
架台(26)を作業者の手の届く位置まで下げる。

【００１４】パイロット碍子の最上部に設けられた取手
(4)を掴んで反時計回りに回すと、上部３層(1)と最下層
(2)との間(6)の接続が緩み、最下層(2)以下をポールの
取付架台(26)に残して上部のみが取り外される。

【００１５】最下層(2)以下を残して取り外されたパイ
ロット碍子は、図４に示すように超音波洗浄器の洗浄槽
(10)に入れられる。洗浄槽(10)には洗浄水(11)が入れら
れており、浸けた際に洗浄水(11)の液面がパイロット碍
子の最上層(1a)とその下の層(1b)との間に位置するよう
に調整されている。

【００１６】尚、実施例では洗浄水(11)の水位を容易に
確認するために碍子の最上層(1a)とその下の層(1b)との
間に赤いライン(5)が描かれている。

【００１７】これにより碍子の内側の２層(1b)，(1c)の
みが洗浄水(11)に浸かることとなる。この状態で超音波
洗浄器を作動させると、超音波洗浄によりパイロット碍
子の内側２層(1b)，(1c)が６０秒程度の短時間でムラな
く洗浄される。

【００１８】洗浄後に電導度計で洗浄水の電導度を計測
する。そして、塩分量に換算し、単位面積当たりの塩分
付着量を算出する。

【００１９】パイロット碍子を取り外してしまえば、後
の洗浄，計測等の作業は室内で行うことができるので、
屋外の風雨の影響は受けにくく、作業もしやすい。

【００２０】

【発明の効果】以上述べたように本発明により短時間で
正確かつ容易に碍子の付着塩分量を知ることができるよ
うになった。更に、作業者がポールに上がってパイロッ
ト碍子の取り外し作業を行う必要がないので、作業の安
全性も向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の半断面図。

【図２】屈曲可能なポールを示した図。

【図３】パイロット碍子の取付架台を示した図。

【図４】実施例を超音波洗浄器の洗浄槽に入れた状態を
示した図。

【符号の説明】

(1) 碍子の上部３層 (2) 碍子の最下槽 (3) 取付用ボルト (4) 取手 (5) 洗浄水の水位確認用ライン (6) 碍子の分割部 (10) 超音波洗浄器の洗浄槽 (11) 洗浄水 (20)，(21) 屈曲可能なポール (26) 取付架台

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森本 淳生 大阪市北区中之島３丁目３番22号 関西電 力株式会社内 (72)発明者 池田 健司 大阪市北区中之島６丁目２番27号 株式会 社関西テック内 (72)発明者 宮本 良治 大阪市北区中之島６丁目２番27号 株式会 社関西テック内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ４層のひだ部を有するパイロット碍子で
   あって、被取付部に取り付けるための取付手段が最下層
   の下方に設けられており、上部３層と前記最下層とは着
   脱可能であることを特徴とするパイロット碍子。
2. 【請求項２】 請求項１のパイロット碍子を屈曲可能な
   ポールの上部に取り付け、測定に際してポールを屈曲さ
   せることによりパイロット碍子の取付位置を下方に移動
   させ、パイロット碍子の上３層をポール側に取り付けら
   れた最下層から分離して取り外し、取り外したパイロッ
   ト碍子の中間２層のみが洗浄水に浸るように超音波洗浄
   器の洗浄槽に入れて超音波洗浄し、洗浄後の洗浄水の電
   導率を電導率計にて測定し、測定結果に基づいてパイロ
   ット碍子に付着した塩分を算出することを特徴とする等
   価塩分測定方法。