JPH10274616A - A重油の実用低温流動性試験方法、及び同試験装置 - Google Patents

A重油の実用低温流動性試験方法、及び同試験装置

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JPH10274616A
JPH10274616A JP9526297A JP9526297A JPH10274616A JP H10274616 A JPH10274616 A JP H10274616A JP 9526297 A JP9526297 A JP 9526297A JP 9526297 A JP9526297 A JP 9526297A JP H10274616 A JPH10274616 A JP H10274616A
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JP
Japan
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temperature
oil
fuel oil
suction pressure
pressure
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Application number
JP9526297A
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English (en)
Inventor
Michiya Miyamoto
美知也 宮本
Fumio Fukui
文夫 福井
Haruo Takizawa
治夫 滝澤
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実機シミュレート法と相関性の高い、A重油
の実用低温流動性試験方法及び同試験装置を提供する。 【解決手段】 流動性向上剤を含有する100〜500
mlのA重油をその曇り点よりも少なくとも5℃高い温
度から0.6〜1.8℃/Hrの冷却速度で冷却すると
共に、前記冷却過程における通油限界温度の近傍におい
て、順次所望温度間隔ずつ低い温度に到達する毎に、濾
過面積が15〜320mmで目開き75〜135μmの
網体で前記A重油を初期吸引圧−66〜−94kPaで
所定時間通油させながら吸引圧を測定することを繰り返
し、前記所定時間内の吸引圧変動によりA重油の実用低
温流動性能を評価する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(社)石油学会で
規定するA重油の低温流動性試験方法(実機シミュレー
ト法)で得られる評価結果と高い相関性のあるA重油の
実用低温流動性試験方法、及び同試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】A重油の流動性はその使用環境温度によ
り影響され、特に寒冷時には重油中にワックスが析出
し、このワックスにより燃焼装置等のフィルターにおい
て目詰まりが発生する場合がある。
【0003】JIS法では、A重油の流動性管理はその
流動点により行なわれているが、フィルターを閉塞させ
る温度(通油限界温度)と、流動点との相関が低いとい
う解決すべき課題が存在する。
【0004】この課題を解決するため、従来、軽油のJ
IS目詰まり点試験(JIS−K2288)を用いてA
重油の管理をすることが行われている。しかし、軽油の
JIS目詰まり点試験によりA重油の管理を行っても、
的確に流動性管理を行えない場合もある。
【0005】その原因は、軽油のJIS目詰まり点試験
は、本来、軽油の低温流動性を管理するために開発され
た試験法であり、短時間で目詰まり点を測定できるよう
に、自然界の温度変化よりも早い冷却速度で試験を行う
ことが規定されているので、冷却によりA重油中に生成
するワックスの結晶が小さくなり、実機を運転している
場合と相違が生じることにある。そして、この相違を少
なくするため、実機よりも細かいフィルターを使用する
ことも行われている。
【0006】しかし、A重油は軽油と比較して、軽質軽
油、重質軽油、分解軽油など多くの基材と残炭調整材、
及び流動性向上剤等とが配合されているため、冷却速度
と、冷却により析出するワックスの結晶サイズとの関係
が軽油のそれと異なると考えられ、単にフィルターを選
択する程度でこの課題を解決することは困難と考えられ
る。そこで、この課題を解決するため、A重油の実用低
温流動性を評価する方法が前記石油学会で検討され、フ
ィルター閉塞が比較的数多く見られるハウス栽培用加温
設備をシミュレートした実機シミュレート法(JPI−
5S−47−96)が開発された。
【0007】ところが、前記実機シミュレート法は評価
試験に15lのA重油試料を必要とされるため、これを
冷却する冷却槽は大型のものになる。特に、迅速に多く
のA重油試料を評価する必要がある場合には、極めて大
型の冷却槽が必要となり、装置が大がかりになるという
難点がある。
【0008】この課題を解決するため、実機シミュレー
ト法で使用している冷却槽(内容量300〜500l)
と同程度のものを用いて、複数のA重油試料を効率的に
試験する方法が検討され、例えば特開平5−30288
2号に記載される技術が提案されている。この方法によ
れば、試験時間を短くするため(7時間以内にするた
め)、A重油試料を2〜20℃/Hrの冷却速度で冷却
している。しかし、前記石油学会の実機シミュレート法
(JPI−5S−47−96)に記載されているよう
に、ある冷却速度のときに実機シミュレート法の評価が
同じである2つのA重油であっても、冷却速度を変える
と両者の析出するワックスの形状、サイズが大きく異な
る場合があるため、冷却速度が大きくなる程実機シミュ
レート法(実機シミュレート法の冷却速度は1℃/H
r)で得ることのできる評価との相関が小さくなる可能
性が考えられる。このため、特開平5−302882号
においては、重油試料毎に直径5〜40mm、10〜4
00メッシュのフィルターが適宜選択して使用されてい
るが、これは煩雑なものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記課題
を解決するため、種々検討した結果、ワックスが重油中
に析出した状態で、重油を吸引してフィルターを通油さ
せる場合、吸引圧は通油できるか否かに関する極めて重
要な因子であることを発見した。即ち、吸引圧が強すぎ
る場合には、ワックスはフィルターを極めて短時間に閉
塞させる。また、吸引圧が弱すぎる場合は、通油できな
かったり、通油時間が極端に長くなる。
【0010】更に、本発明者はA重油の低温流動性の判
定基準として、フィルター通油流量が常温で測定した通
油流量よりも低下した温度を通油限界温度と判定する方
法には解決すべき課題があることを見いだした。即ち、
重油の種類によって重油中に析出するワックスの質が相
違するため、析出したワックスの影響で通油流量がある
程度低下した場合でも、実際の実機でフィルターを通油
させる場合には、吸引圧の大小によりワックスの結晶が
崩壊したり、重油がワックスの結晶間隙を通り抜けるこ
とがあり、一概に通油流量の低下だけで通油限界温度を
決定することができない場合もある。
【0011】なお、石油学会で実用低温流動性を評価す
る方法としてハウス栽培用加温設備をシミュレートした
前記実機シミュレート法では、判定基準としてフィルタ
ーが閉塞したときの圧力変動で実用低温流動性を評価し
ている。
【0012】本発明は上記知見に基づいてなされたもの
で、その目的とするところは、多数のA重油試料を評価
でき、しかも実機シミュレート法(JIP−5S−47
−96)との相関性が高いA重油の実用低温流動性試験
方法、及びその試験装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、〔1〕 流動性向上剤を含有する100〜
500mlのA重油をその曇り点よりも少なくとも5℃
高い温度から0.6〜1.8℃/Hrの冷却速度で冷却
すると共に、前記冷却過程における所定温度においてそ
の占める濾過面積が15〜320mm2で目開き75〜
135μmの網体で前記A重油を初期吸引圧−66〜−
94kPaで所定時間通油させながら吸引圧を測定し、
前記所定時間内の吸引圧変動によりA重油の実用低温流
動性能を評価することを特徴とするA重油の実用低温流
動性試験方法、及び〔2〕 流動性向上剤を含有する1
00〜500mlのA重油をその曇り点よりも少なくと
も5℃高い温度から0.6〜1.8℃/Hrの冷却速度
で冷却すると共に、前記冷却過程における通油限界温度
の近傍において、順次所望温度間隔ずつ低い温度に到達
する毎に、その占める濾過面積が15〜320mm2
目開き75〜135μmの網体で前記A重油を初期吸引
圧−66〜−94kPaで所定時間通油させながら吸引
圧を測定することを繰り返し、前記所定時間内の吸引圧
変動によりA重油の実用低温流動性能を評価することを
特徴とするA重油の実用低温流動性試験方法を提案する
ものである。
【0014】更に本発明は、〔3〕 圧力測定部の測定
圧力を記録すると共にこれを表示する手段を備えた制御
器と、槽内部を所定の冷却速度で冷却する冷却槽と、前
記冷却槽内に配設した100〜500mlのA重油を収
納する所定数の試料容器と、前記所定数の試料容器内に
配設したその占める濾過面積が15〜320mmで目開
き75〜135μmの網体を有する濾過器と、前記制御
器の制御信号により前記濾過器内を初期吸引圧−66〜
−94kPaで所定時間吸引する減圧ポンプと、前記吸
引圧を測定して測定値を制御器に送ると共に吸引圧が所
定の圧力よりも高くなると制御器に信号を送り前記減圧
ポンプを停止させる圧力測定部とを備えてなることを特
徴とするA重油の実用低温流動性試験装置である。
【0015】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明
する。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のA重油の実用低
温流動性試験装置の一構成例を示すものである。図1
中、2は冷却槽で、冷却温度のプログラミングができる
ものが好ましい。例えば、冷却開始温度、冷却終了温
度、冷却速度(℃/Hr等)、冷却時間等を予め設定で
きるものが望ましい。
【0017】前記冷却槽2内には、回転テーブル4が設
置してある。この回転テーブル4は制御器6の信号によ
り回転するようになっている。前記回転テーブル4には
所定個数(本図においては、A〜Hの8個の内、Aの1
個だけを示している)の重油試料容器8A〜8H(8B
〜8Hは不図示)を載置でき、前述のように回転テーブ
ル4を回転することにより、重油試料容器8A〜8H内
に入った重油試料10A〜10H(10B〜10Hは不
図示)を均一に冷却させるものである。
【0018】12A〜12H(12B〜12Hは不図
示)は、濾過器で、前記重油試料10A内に浸漬してあ
る。この濾過器12A〜12Hには、その占める濾過面
積が15〜320mm2で、目開きが75〜135μm
の網体が取り付けてある。特に、直径5〜20mm、好
ましくは直径10〜15mmで、その目開きが75〜1
35μm、好ましくは95〜115μmの円形の網体
(不図示)が好都合である。網体としては金属製の金網
が好ましい。
【0019】本発明においては、上記の網体を用いるこ
とにより、初めて実機シミュレート法と極めて高い相関
性のある試験結果を得ることができるものである。網体
の目開きが上記の範囲から外れると、実機シミュレート
法との相関が悪くなる。
【0020】前記濾過器12A〜12Hには、それぞれ
吸引細管14A〜14H(14F〜14Hは不図示)の
一端が連結してあり、その他端は吸引主管16の一端側
18に連結してある。なお、20A〜20H(20F〜
20Hは不図示)は前記吸引細管14A〜14Hにそれ
ぞれ介装した電磁弁で、制御器6の信号に応じて開閉す
るものである。
【0021】前記吸引主管16は気密に介装したスナッ
プジョイント(不図示)を有し、この働きにより、吸引
主管16の上部側が前記回転テーブル4の回転に同期し
て回転するようになっている。また、吸引主管16の他
端は、回収槽22に連結してあり、後述するように、濾
過器12A〜12Hを通過した重油試料10A〜10H
は、順次吸引細管14A〜14H、吸引主管16を通過
し、回収槽22内に回収試料24として回収される。
【0022】前記回収槽22には、減圧管26の一端が
連結してあり、減圧管26の他端は減圧ポンプ28の吸
引口30に接続してある。この減圧ポンプ28は制御器
6の制御信号により作動、停止を行うものである。
【0023】なお、32は減圧管26に取り付けた逃が
し弁で、前記制御器6の信号により作動するものであ
る。また、34は接点付き真空計で、−66±5kPa
の任意の圧力になると信号を制御器6に送出するもので
ある。
【0024】また、制御器6において、6A〜6Hはタ
イマーで、ここで後述するように冷却開始から重油試料
の吸引を開始するまでの時間を設定する。Xは後述する
所定時間の設定部である。Yは冷却槽2の温度プログラ
ムの設定部であり、重油試料の曇り点よりも少なくとも
5℃高い温度から0.6〜1.8℃/Hrの冷却速度で
冷却するプログラムが設定ができるようになっている。
【0025】次に、上記試験装置を用いてA重油の実用
低温流動性を評価する場合につき、説明する。
【0026】本発明において評価するA重油は、軽油基
材の他に重質軽油留分、あるいは分解軽油留分等を使用
し、更に常圧残油、減圧残油、脱硫残油、スラリーオイ
ル或いはエキストラクト等の1又は2種を加え、更にこ
れに流動性向上剤を添加したJIS K2205重油1
種に規定しているものである。
【0027】添加する流動性向上剤(FI)としては、
市販のものをはじめ、各種の流動性向上剤が使用できる
が、特にエチレンーエチレン性不飽和エステル共重合体
に代表されるポリマータイプ、例えばエチレンー酢酸ビ
ニル共重合体、或いは長鎖ジカルボン酸アミドに代表さ
れる油溶性分散剤タイプのものが好ましい。流動性向上
剤の添加量は50〜1000ppmが好ましく、特に1
00〜500ppmが望ましい。
【0028】上記の評価するべき重油試料を、まず重油
試料容器8A〜8Hに入れ、回転テーブル上に載置す
る。容器に入れる重油試料量は、100〜500mlが
好ましく、特に200〜400mlが望ましい。重油試
料量が100ml未満の場合は冷却時に析出するワック
スの絶対量が少なく、このため試験結果は実機シミュレ
ート法による試験結果よりも低い値になり、好ましくな
い。また、重油試料量が500mlを超える場合は、重
油試料の冷却速度が冷却槽の冷却速度に追従できなくな
り、実機シミュレート法の結果との相関が低くなる。
【0029】次いで、制御器6の温度プログラム設定部
Yに冷却槽2の冷却温度プログラムを設定する。温度プ
ログラムの開始温度は重油試料の曇り点より少なくとも
5℃高い温度とする。冷却速度は,0.6〜1.8℃/
Hrが好ましく、0.8〜1.5℃/Hrがより好まし
い。冷却速度がこの範囲よりも大きいと、析出するワッ
クスの結晶が小さくなるため、実機シミュレート法との
相関が低くなり、またこれより小さいと析出するワック
スの結晶が大きくなるため実機シミュレート法との相関
が小さくなる。
【0030】更に、タイマー6A〜6Hに吸引を開始す
るまでに要する時間を設定する。(例えば、曇り点0℃
の重油試料を5℃から1℃/Hrで冷却し、−5℃まで
試験するときは、「10時間」と設定する。) 次いで、重油試料を均等に冷却するため、回転テーブル
4を回転させ、試験を開始する。即ち、制御器6の信号
により、冷却槽2内の温度が温度プログラムに従って低
下する。この冷却過程において、予めタイマー6Aに設
定した時間が経過すると、冷却槽2内の温度は温度プロ
グラムに従って、第1の所定の温度になっているが、こ
のとき制御器6は減圧ポンプ28に信号を送り、これに
より減圧ポンプ28が作動し、前記減圧管26、回収槽
22、吸引主管16内を−66〜−94kPaの初期吸
引圧にする。
【0031】次いで、初期吸引圧が安定するための比較
的短時間が経過した後、制御器6の送出する信号によ
り、減圧ポンプ28を作動させた状態で、電磁弁20A
が開き、これにより第1の所定温度になった重油試料1
0Aが吸引されて濾過器12Aの網体の網目を通り、吸
引細管14A、吸引主管16を順次通過して回収槽22
内に回収試料として貯留される。上記安定するために必
要な時間は装置の形状、ポンプの性能等により異なる
が、一般に1〜2分間以下であることが望ましい。
【0032】制御器6の所定時間設定部Xには、前記電
磁弁20Aが開いてから経過する時間を設定するように
なっており、ここに所定時間(3±2min)を設定し
てある。
【0033】所定時間を3±2minとする理由は、本
発明者が検討した結果、上記所定時間以内に通油するこ
とのできない試料は、ほとんどの場合網体の閉塞を生じ
ており、また通油できたとしても試験時間が長くなり、
しかも実機シミュレート法の結果との相関性が低くなる
ことを知見したからである。
【0034】前記第1の所定温度が通油限界温度よりも
高い場合は、前記所定時間以内に重油試料10Aは抵抗
無く濾過器12Aを通り抜け、その結果重油試料容器8
内は空になる。すると、濾過器12Aは空気を吸引し始
め、これにより減圧管26内の吸引圧変動が起こり、圧
力が急激に上昇する。この吸引圧が−66±5kPa
(判定基準圧)になると、接点付き真空計34の針が移
動して接点に触れ、これにより接点付き真空計34が信
号を制御器6に送る。上記−66±5kPaを濾過器の
網体の閉塞の判定基準圧とした理由は、上記網体を用い
て検討した結果、通油のための吸引圧が上記−66±5
kPaよりも低圧の場合は通油限界温度に達していない
重油試料でも網体の閉塞を起こすが、上記範囲において
はそのようなことを生じなかったからである。なお、こ
のことは実機シミュレート装置を用いる実験によっても
同様の傾向にあることを確認している。
【0035】接点付き真空計34から信号を受けた制御
器6は、減圧ポンプ28に信号を送りポンプ28を停止
すると共に、逃がし弁32に信号を送り逃がし弁32を
解放し、減圧管26内を大気圧に戻す。更に、制御器6
は「通油した」と判断し(まだ通油限界温度よりも高い
温度と判断し)、その判断を制御器6の表示ランプ(不
図示)で表示する。
【0036】上記の場合は、第1の所定温度が通油限界
温度に達していないので、続いて前記第1の所定温度よ
りも更に所望の温度間隔(例えば、1℃)だけ低い第2
の所定温度で、上記と同様の吸引による試験を行う。す
なわち、タイマー6Bに設定した時間が経過し、冷却槽
内が所望の温度間隔だけ第1の所定温度よりも低い温度
(第2の所定温度)になると、前記と同様にして制御器
6は減圧ポンプ28に信号が送り、これにより減圧ポン
プ28が作動し、前記減圧管26、回収槽22、吸引主
管16内を−66〜−94kPaの初期吸引圧にする。
【0037】次いで、初期吸引圧が安定するための比較
的短時間が経過した後、制御器6の送出する信号によ
り、減圧ポンプ28を作動させた状態で、電磁弁20B
が開き、これにより第2の所定温度になった重油試料1
0Bが吸引されて濾過器12Bの網体の網目を通り、吸
引細管14B、吸引主管16を順次通過して回収槽22
内に回収試料として貯留される。
【0038】そして、前記第2の所定温度が通油限界温
度よりも高い場合は、前記第1の所定温度におけると同
様に本試験装置は動作し、更に、「まだ通油限界温度よ
りも高い温度」と判断し、その判断を制御器6の表示ラ
ンプ(不図示)で表示することも前記と同様である。
【0039】以下同様にして、所望の温度間隔ずつ低い
所定温度毎に原油試料8C、8Dの試験を順次繰り返し
て行う。
【0040】前記所定温度が通油限界温度以下になった
場合は、例えばこのときの重油試料が10Gであったと
仮定すると、この重油試料10G中に析出するワックス
により濾過器12Gが目詰まりを起こし、所定時間が経
過しても重油試料容器8G内に重油試料が残る。このた
め、減圧管26内は−66±5kPaよりも低圧状態が
保たれ、接点付き真空計34の針は接点に接触しない。
これにより、制御器6はこのワックスが濾過器12Gを
閉塞させていることを検知し、前記同様にして減圧ポン
プ28の停止、逃がし弁32の解放、濾過器12Gの閉
塞を示すランプ表示等を行う。
【0041】試験者は閉塞を示すランプ表示により、通
油した最も低い温度を知り、これを通油限界温度とする
ものである。なお、上記操作においては、所望温度間隔
を1℃にする例により説明したが、2℃以上の所望の温
度間隔に設定することができ、この場合は概略の実用低
温流動性の評価を迅速にできるものである。
【0042】上記本発明の試験装置においては、重油試
料容器を8個用いる装置構成としたがこれに限られず、
冷却槽内の容積の許す範囲で任意の個数の重油試料容器
を備え、これに応じて濾過器等も適宜増減して装置を構
成することができる。
【0043】また、回転テーブルを用いて重油試料の冷
却の均一性を図ったが、温度均一性の高い冷却槽を用い
ることにより回転テーブルを省略しても良く、その他本
発明の要旨を変更しない範囲で種々変形しても良い。
【0044】更に、上記の場合は同一の重油試料を8個
用いて、通油限界温度を決定する場合につき説明した
が、これに限られず、異なる試料を回転テーブル4の上
に置き、上記と同様に冷却し、それぞれ異なる試料の所
望の温度における実用低温流動性の概略情報を迅速に求
めるように利用しても良い。
【0045】また更に、温度プログラムの設定方法も上
記に限られないものである。
【0046】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0047】(実施例1〜14、参考例1〜14)図1
に示す本発明のA重油の実用低温流動性試験装置を用い
て、A〜NのA重油試料の通油限界温度を求めた。冷却
速度は1.0℃/Hr(但し、実施例13は1.5℃/
Hr)、試料量200ml(但し、実施例14は試料量
500ml)、濾過器に取り付けた金網は直径12mm
で目開き105μm、初期吸引圧−80kPaで、所定
時間3min、判定基準圧を−66kPa、所望温度間
隔を1℃とした。結果を表1に示した。
【0048】参考のため、実機シミュレート法によりA
〜NのA重油試料の通油限界温度を求めた。結果を表1
に示した。
【0049】
【表1】 表1から明らかなように、本発明方法により求めた通油
限界温度と、実機シミュレート法により求めた通油限界
温度とは良好な一致を示した。
【0050】図2は、表1に示した、本発明方法により
求めた通油限界温度と実機シミュレート法により求めた
通油限界温度との関係を示すグラフである。
【0051】(比較例1〜5)実機シミュレート法によ
る通油限界温度が−6℃のA重油を試料とし、図1に示
す試験装置を用いて、比較試験を行った。比較試験条件
は、表2に示す比較例1〜5に付記した条件以外は前記
実施例と同様の操作で通油限界温度を求めた。即ち、冷
却速度は1.0℃/Hr(但し、比較例1〜3を除
く)、試料量200ml、濾過器に取り付けた金網は直
径12mmで目開き105μm(但し、比較例4、5を
除く)、初期吸引圧−80kPaで、所定時間3mi
n、判定基準圧を−66kPa、所望温度間隔を1℃と
した。 結果を表2に示した。
【0052】
【表2】 図3に、表1、及び表2の結果を示した。図3中、○は
実施例を、●は比較例を示す。比較例は明らかに相関が
低い。
【0053】
【発明の効果】本発明においては、試料量、冷却速度、
濾過器の網体の目開き、初期吸引圧、判定基準圧等を前
記のように構成したので、これらが一体になって通油限
界温度を簡単に求めることができる。そして、本発明に
より求めた通油限界温度は、実機シミュレート法により
求める通油限界温度と極めて高い相関を示す。さらに、
本発明における試料の体積は100〜500mlで、実
機シミュレート法に要する15lの試料量と比較して大
幅に少なく、このため冷却槽を小さくできる。若しく
は、同一の冷却槽を用いる場合は、同時に多数の試料を
試験に供することができ、効率的なものである等の利点
を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のA重油の実用低温流動性試験装置の一
例を示す概略構成図である。
【図2】本発明方法により求めた通油限界温度と、実機
シミュレート法により求めた通油限界温度との関係を示
すグラフである。
【図3】本発明方法及び比較例により求めた通油限界温
度と、実機シミュレート法により求めた通油限界温度と
の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2 冷却槽 4 回転テーブル 6 制御器 6A〜6H タイマー 8 重油試料容器 10A 重油試料 12A 濾過器 14A 吸引細管 16 吸引主管 18 一端側 20A 電磁弁 22 回収槽 24 回収試料 26 減圧管 28 減圧ポンプ 30 吸引口 32 逃がし弁 34 接点付き真空計 X 所定時間設定部 Y 温度プログラム設定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝澤 治夫 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流動性向上剤を含有する100〜500
    mlのA重油をその曇り点よりも少なくとも5℃高い温
    度から0.6〜1.8℃/Hrの冷却速度で冷却すると
    共に、前記冷却過程における所定温度においてその占め
    る濾過面積が15〜320mm2で目開き75〜135
    μmの網体で前記A重油を初期吸引圧−66〜−94k
    Paで所定時間通油させながら吸引圧を測定し、前記所
    定時間内の吸引圧変動によりA重油の実用低温流動性能
    を評価することを特徴とするA重油の実用低温流動性試
    験方法。
  2. 【請求項2】 流動性向上剤を含有する100〜500
    mlのA重油を、その曇り点よりも少なくとも5℃高い
    温度から0.6〜1.8℃/Hrの冷却速度で冷却する
    と共に、前記冷却過程における通油限界温度の近傍にお
    いて、順次所望温度間隔ずつ低い温度に到達する毎に、
    その占める濾過面積が15〜320mm2で目開き75
    〜135μmの網体で前記A重油を初期吸引圧−66〜
    −94kPaで所定時間通油させながら吸引圧を測定す
    ることを繰り返し、前記所定時間内の吸引圧変動により
    A重油の実用低温流動性能を評価することを特徴とする
    A重油の実用低温流動性試験方法。
  3. 【請求項3】 圧力測定部の測定圧力を記録すると共に
    これを表示する手段を備えた制御器と、槽内部を所定の
    冷却速度で冷却する冷却槽と、前記冷却槽内に配設した
    100〜500mlのA重油を収納する所定数の試料容
    器と、前記所定数の試料容器内に配設した濾過面積が1
    5〜320mm2で目開き75〜135μmの網体を有
    する濾過器と、前記制御器の制御信号により前記濾過器
    内を初期吸引圧−66〜−94kPaで所定時間吸引す
    る減圧ポンプと、前記吸引圧を測定して測定値を制御器
    に送ると共に吸引圧が所定の圧力よりも高くなると制御
    器に信号を送り前記減圧ポンプを停止させる圧力測定部
    とを備えてなることを特徴とするA重油の実用低温流動
    性試験装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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