JPH10260434A - 非線形光学媒質および非線形光学装置 - Google Patents

非線形光学媒質および非線形光学装置

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JPH10260434A
JPH10260434A JP6684397A JP6684397A JPH10260434A JP H10260434 A JPH10260434 A JP H10260434A JP 6684397 A JP6684397 A JP 6684397A JP 6684397 A JP6684397 A JP 6684397A JP H10260434 A JPH10260434 A JP H10260434A
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nonlinear optical
light
optical
optical medium
nonlinear
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JP6684397A
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Tsutomu Yanagawa
勉 柳川
Hirohisa Kanbara
浩久 神原
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小さな光強度でも応答速度が速く、比較的大
きな非線形屈折率を有し、低損失で加工性に優れ、相互
作用長を長くできる非線形光学媒質およびそれを用いた
非線形光学装置を実現する。 【解決手段】 Si 結晶、アモルファスSi 、ポーラス
Si 、Si 微粒子分散材料、Si 高分子の少なくとも1
つを主成分として非線形光学媒質を構成し、非共鳴領域
(光の吸収が少ない透過領域)に限って使用する。この
非共鳴領域には、バンドギャップエネルギーの1/2、
1/3の値に対応する波長や、Si 高分子や微粒子系に
特徴的に見られる離散的な2光子吸収または3光子吸収
に対応する波長を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非線形光学効果を
有する非線形光学媒質、およびその非線形光学媒質を光
スイッチングや光信号演算処理等を行う機能素子として
用いた非線形光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】非線形光学効果とは、物質中の電気分極
Pが、 P=χ(1)E+χ(2)2 +χ(3)3 +… …(1) に示すように、光の電界Eに比例するだけでなく、E2
やE3 に比例する高次項を含む場合に起こる効果であ
る。ただし、χ(1) は線形感受率、χ(2) ,χ(3)はそ
れぞれ2次および3次の非線形感受率と呼ばれるもので
ある。特に、第3項は3次の非線形光学効果を示し、第
3高調波を発生させたり、光強度Iに依存して屈折率n
が n=n0 +n2I …(2) で表される変化をもたらす。なお、n0 は線形屈折率で
あり、非線形屈折率n2〔cm2 /w〕と、非線形感受
率χ(3)〔esu〕の関係は、
【0003】
【数1】
【0004】で表される。ただし、cは光速である。上
記の屈折率変化をもたらす非線形光学媒質は、偏光子、
光共振器、反射鏡等の光学素子と共に用いることによ
り、光制御が可能な光スイッチや光双安定素子、あるい
は位相共役波発生装置など、光情報処理や光通信のシス
テムにおいて将来的に用いられる重要なデバイスを実現
することができる。
【0005】図1は、非線形光学媒質を用いた光カーシ
ャッタの第1の構成例を示す。光カーシャッタは、入力
光Pi をゲートパルス光Pg でスイッチングし、ゲート
パルスの時間波形に対応する出力光を得るものである。
図において、非線形光学媒質1の入出力側に、偏光軸を
互いに直交させた偏光子2a ,2b を配置する。この構
成では、ゲートパルス光Pg が非線形光学媒質1に入射
している間だけ、偏光子2a を通過した入力光Pi の直
線偏光が、非線形光学媒質1の屈折率変化によって楕円
偏光に変わり、入力光Pi の一部が直交偏光子2b を通
過して出力光Pt となる。すなわち、入力光Pi はゲー
トパルス光Pg によって光スイッチングされる。
【0006】入力光Pi のスイッチオン時の透過率T
は、ゲートパルス光Pg の偏光方向と入力光Pi の偏光
方向が45°傾いたときに最大となる。この場合の透過率
Tは、 T= sin2(Δφ/2) …(4) Δφ=2πn2 LIg /λ …(5) で表される。ただし、Lは媒質長であり、n2 はその非
線形屈折率、λは入力光の波長、Ig はゲートパルス光
の強度である。なお、Δφが充分小さいときには、 T∝ (χ(3))2 2 Ig2 …(6) が成立する。
【0007】図1の構成において、非線形光学媒質1と
してCS2 を用いた場合、λ=0.83μm、L=1mm、
Ig =100 MW/cm2 で、透過率T= 0.3%が得られ
た。この結果と式(4),(5) から、n2 =3.1×10-14cm
2 /Wが得られた。また、このn2 と式(3) から、χ
(3) =1.6×10-12esu が算出できた。上記のCS2 の非
線形屈折率n2 の起源は、光電界に応じた分子の配向に
よるので、使用可能な入射光波長が可視光から近赤外光
の広い範囲にわたる利点を有する。しかし、応答時間が
分子の回転配向の緩和時間によって制限されているの
で、10-11 〜10-12 秒程度を越える高速な信号処理には
使用できない問題点があった。また、n2 がさほど大き
くないため、入射光強度がかなり大きいものになってし
まう問題点もあった。
【0008】図2は、非線形光学媒質を用いたエタロン
型光双安定素子の構成例を示す。図において、非線形光
学媒質1の入力側および出力側に、反射率90%の誘電体
多層膜ミラー3a,3bを平行に配置し、光共振器を構
成する。この構成では、入力光Pi の波長、または2枚
の誘電体多層膜ミラー3a,3bの間隔を変化させて光
共振器の共振条件を調整すると、入力光強度Ii に対す
る出力光強度Itは、図3,図4に示すような特性を示
す(Appl. Phys. Lett. 35, 451 (1976))。
【0009】図3に示す特性はリミッタ作用、図4に示
す特性は双安定動作に対応している。このような特性を
示すエタロン型光双安定素子は、光通信や光情報システ
ムにおいて、入力光パルスの波形整形や光スイッチ、光
信号メモリや光論理演算等への応用が可能である。ま
た、このエタロン型光双安定素子の動作に要する最小入
力光強度Ii (min)は、解析的に Ii (min) =Kλ/n2 L …(7) で表される。ただし、λは入力光波長、n2 は非線形屈
折率、Lは媒質長、K(〜0.01) はミラーの反射率と共
振器長の調整で決まる係数である。
【0010】ここで用いる非線形光学媒質1としては、
GaAsとGaAlAs の半導体薄膜を交互に成長させて作
製した超格子結晶を用いたものが知られている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、非線形光学
媒質には、共鳴型と非共鳴型が存在する。共鳴型は非線
形性は大きいが、応答または繰り返しが遅い。非共鳴型
は、共鳴型の逆の特性を示すことが一般的に知られてい
る。半導体のバルク結晶は主に共鳴領域で用いられ、高
い非線形性を示すが、光誘起キャリヤの寿命がナノ秒オ
ーダとなるため、応答速度もこのオーダとなる。
【0012】一方、上記の超格子、すなわち量子井戸構
造(MQW:Multi Quantum Well)を有する半導体結晶
では、井戸(ウェル)層、障壁(バリヤ)層の厚みを変
えたり(A.Tackeuchi, et al., Appl. Phys. Lett. 58,
1670 (1991))、または低温成長を行った試料にベリリウ
ム(Be)をドープしたりして(R.Takahashi, et al.,Ap
pl. Phys. Lett. 65, 1790 (1994)) 、キャリヤ寿命を
短くする試みが行われている。しかし、応答速度が高速
化するとされている試料、例えばTBQ(Tunneling bi
quantum well)の応答時間は、1ピコ秒程度の速い成分
と1ナノ秒以上の遅い成分が重畳されており、それぞれ
が電子、正孔の寿命に対応すると報告されている。した
がって、この試料の応答時間は正孔の寿命で決定され
る。
【0013】また、速い緩和を示すΓ−Χ散乱を用いた
タイプII型量子井戸の非線形性利用も提案され(Y. Mas
umoto, et al., Phys. Rev. B40, 8581 (1989)) 、数ピ
コ秒の応答が報告されている。しかし、この例も遅い緩
和成分が残存しており、この遅い緩和成分を制御するこ
とが重要となる。また、吸収飽和にのみ着目しており、
信号として利用できる透過光強度の変化は、高々1%オ
ーダにすぎない。
【0014】また、上述した低温成長の試料では、反射
を利用して効率向上を図るなどかなりの改善効果が示さ
れたが、高繰り返し周波数での動作は確かめられておら
ず、吸収飽和を利用している限り限界がある。したがっ
て、これらの材料は、ナノ秒(10-9秒)以下の高速な信
号処理や10GHz以上の高繰り返しに利用することができ
ない。以上のことからも、非線形光学装置の性能は、非
線形光学媒質の特性によってほぼ決定されるので、使用
可能な波長範囲が広く、3次非線形効果の効率が高く、
応答速度が速い材料の開発が切望されている。
【0015】なお、3次の非線形光学材料として、CS
2 やGaAs/GaAlAs 超格子材料の他に、ベンゼン環
や2重あるいは3重結合などのπ電子共役系を有する有
機非線形光学材料が知られている。代表的な材料とし
て、ポリジアセチレンビスー(パラトルエンスルホネー
ト、略称PTS)は、χ(3) が10-10 esu 、n2 は2×
10-12cm2/Wにも及ぶ。さらに、この非線形性のメカ
ニズムが吸収や分子、結晶との相互作用によるものでは
なく、分子内π電子の分極(3次分極)に由来するもの
であるため、光信号の強度変化に追従可能な応答時間は
10-14 秒と極めて高速である。しかし、このPTSの代
表であるポリジアセチレン系材料は、一般に不溶、不融
であり、加工性に大きな問題点を有する。現にPTSを
光学媒質とする非線形光学装置は実現されていない。
【0016】本発明は、小さな光強度でも応答速度が速
く、比較的大きな非線形屈折率を有し、低損失で加工性
に優れ、相互作用長を長くできる非線形光学媒質および
それを用いた非線形光学装置を提供することを目的とす
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の非線形光学媒質
は、Si 結晶、アモルファスSi 、ポーラスSi 、Si
微粒子分散材料、Si 高分子の少なくとも1つを主成分
として構成され、従来用いられていない非共鳴領域(光
の吸収が少ない透過領域)に限って使用する。この非共
鳴領域には、バンドギャップエネルギーの1/2、1/
3の値に対応する波長や、Si 高分子や微粒子系に特徴
的に見られる離散的な2光子吸収または3光子吸収に対
応する波長を含む。これらの波長とその近傍で非線形光
学媒質を使用することにより、2光子共鳴、3光子共鳴
の非線形性強調効果を利用することができる。
【0018】ここで、Si 結晶の非線形屈折率を利用し
た光カーシャッタを図1のように構成すると、Si 結晶
の非共鳴領域における非線形性を測定できる。例えばC
2を用いた場合と比較すると、試料内の入射光強度、
試料の厚さが同程度と仮定すれば、Si 結晶を用いた場
合、ピコ秒以下の高速応答を示す成分の信号強度は、C
2 を用いた場合の 180倍程度、As23 ガラスを用い
た場合の10倍程度が得られる。
【0019】このように、本発明の非線形光学媒質は、
Si 結晶を非共鳴領域で用いると、従来の非共鳴型の非
線形光学媒質より大きな非線形性を有し、かつ測定限界
を越える高速性を有するという新しい知見に基づいてい
る。なお、従来のSi 結晶は、吸収領域での共鳴型非線
形光学材料として注目されているものであり、本発明の
非共鳴領域での使用法とは異なるものである。
【0020】アモルファスSi についてもSi 結晶と同
様に使用することができる。ポーラスSi は、短波長側
の発光現象からSi 結晶やアモルファスSi より高い非
線形性を有すると考えられており(Jian Wang, et al.,
Phys. Rev. B 48,5653 (1993))、上記光カーシャッタ
の非線形光学媒質として利用できる。なお、この文献
は、高調波発生に伴うホトルミネッセンスについてなさ
れたもので、二重共鳴強調を用いた第三高調波発生(T
HG)と呼ばれる極めて特殊な波長において観測された
現象を報告している。
【0021】Si 微粒子分散材料とポリシランで知られ
るSi 高分子は、それぞれ天然の量子箱、量子細線とし
て知られている。Si 微粒子や径やSi 細線の太さ、す
なわちSi のサイズそのものが小さくなると、電子や正
孔が微粒子や細線という形態を有する深いポテンシャル
に閉じ込められることになり、量子化される。したがっ
て、量子化されたエネルギー準位が形成され、急峻で離
散的な光学遷移が実現される。これが量子閉じ込め効果
による励起子吸収になる。Si 高分子や微粒子系に特徴
的にみられるこの離散的な2光子吸収または3光子吸収
に対応する波長とその近傍では、前述の2光子共鳴、3
光子共鳴の非線形性強調効果が利用でき、1桁程度の非
線形性の向上が得られる。したがって、上記光カーシャ
ッタの非線形光学媒質として利用できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)図1に示す光カーシャッタの非線形
光学媒質1として、Si 結晶を非共鳴領域で用い、例え
ば波長1.55μm の光パラメトリック発振器(OPO)の
出力光を光源に用いてインコヒーレント分光(T. Yanag
awa, et al., Opt. Lett. 21. 318(1996)) を行うと、
非共鳴で高速かつ高n2 材料としてよく知られるAs2
3 の信号光(透過率)より1桁程度大きい出力光が得ら
れた。
【0023】このSi 結晶を用いた光カーシャッタの応
答速度を示す信号光の減衰曲線を図5に示す。この信号
光波形から、Si 結晶の非共鳴領域における応答速度
は、2ps程度以下と見積もることができる。この値は光
源の電場相関時間(パルス幅、あるいはコヒーレンス時
間)程度にほぼ相当するので、Si 結晶の非共鳴領域の
応答は、この値より更に速いといえる。
【0024】図6は、非線形光学媒質を用いた光カーシ
ャッタの第2の構成例を示す。図において、符号1は非
線形光学媒質、符号2a,2bは偏光子、符号4a,4
bはレンズ、符号8はダイクロイックミラー、符号9は
光学フィルタである。信号光強度(n2 )の比較は、こ
のコリニア系の光カーシャッタを用いた。ゲートパルス
光Pg をOPOのアイドラ光とし、入力光(プローブ
光)Pi を1.32μmの半導体レーザ励起YLFレーザと
して、OPOに同期させて非線形光学媒質1に入射させ
た。この結果、ゲートパルス光Pg のオン・オフに従っ
て、図7(a), (b)に示す信号波形が観測された。図7に
おいて、横軸は時間、縦軸は信号強度であり、入力光
(パルス幅60ns)Pi がゲートパルス光Pg のパルス
幅8nsで撃ち抜かれていることがわかる。
【0025】図8は、図6のコリニア系の光カーシャッ
タの透過率(出力光強度)のゲート光依存性、すなわち
スイッチング効率を示す。図において、横軸はゲート光
エネルギー、縦軸は信号光透過率T/T0 を示す。Si
の信号強度がAs23 より10倍程度大きいことから、高
速応答成分のn2 はAs23 より3倍以上大きく、この
波長ではn2 =3×10-182/V2 と見積もることがで
きる。したがって、図1および図6の光カーシャッタ系
において高速かつ高効率なスイッチング特性が得られる
ことがわかる。図1は縮退系、図6は非縮退系として説
明したが、双方とも縮退系、非縮退系の構成が可能であ
る。
【0026】さらに高効率化を目指すには、Si の導波
路化が有効である。SOI(Siliconon Insulator)技術
を用いればSi の導波路化は容易である(U.Fischer,et
al., Electron. Lett. 30, 406 (1994)) 。また、光路
長を長くするには、図2のような共振器を構成し、共振
器までを含めた全体を非線形光学媒質とすればよい。S
i 結晶は単結晶、多結晶を問わないが、この他に前述の
アモルファスSi 、ポーラスSi 、Si 微粒子分散材
料、ポリシランに代表されるSi 高分子が、同様に非共
鳴領域での光カーシャッタに使用でき、同等の応答が得
られる。
【0027】(第2の実施形態)第1の実施形態におけ
るSi 結晶、アモルファスSi 、ポーラスSi 、Si 微
粒子分散材料、ポリシランに代表されるSi 高分子にお
いて、それぞれバンドギャップエネルギーEg の1/2
に相当するエネルギーの有する波長近傍で、光カーシャ
ッタを行うと2光子強調の非線形性を利用できる。
【0028】また、量子閉じ込め効果を有するポリシラ
ン(量子細線)、Si 微粒子やポーラスSi (量子箱)
に関しては、急峻な励起子準位や量子準位に対する共鳴
効果が利用できる。1光子過程の遷移は共鳴効果となり
損失が大きくなるのでここでは用いない。1光子過程で
は禁制遷移であっても、電場変調スペクトルや2光子吸
収スペクトル測定を行うと、これらナノ構造を有する材
料については2光子準位が観測できる。1光子遷移がな
いために損失が小さい2光子強調の非線形性は、非線形
性自身の強さと損失との大小関係による材料の長さに固
有の最適値が存在するものの、一般の共鳴非線形効率と
は異なり、入射光の強度や材料の長さによって所望の非
線形特性を実現できる。バルクとしての利用以外に素子
形態としては、第1の実施形態でも示したように導波路
化が最適である。
【0029】(第3の実施形態)図9は、非線形光学媒
質を用いた光カーシャッタの第3の構成例を示す。ここ
では、第1および第2の実施形態で述べた材料を光導波
路(非線形光学媒質導波路10)で構成する。符号4
a,4b,4cはいずれも各光ビームを結合させるため
の光学レンズ、符号5は光ファイバ結合器であり、符号
51a,51bは光ファイバ結合器5の入力側アーム、
51c,51dは光ファイバ結合器5の出力側アームを
指す。符号6a,6bは互いに偏光軸が直交するように
配置された光ファイバ偏光子であり、偏波面保持ファイ
バをループ状に巻いて構成される。符号9は光ファイバ
偏光子6bの出力側に配置され、ゲートパルス光Pg を
遮断し出力光Pt のみを取り出すための光学フィルタで
ある。
【0030】第1の光ファイバ偏光子6aは、光ファイ
バ結合器5の入力側アーム51aに接続される。非線形
光学媒質導波路10は光ファイバ結合器5の出力側アー
ム51dに接続される。第2の光ファイバ偏光子6bは
非線形光学媒質導波路1に接続される。入力光Pi およ
びゲートパルス光Pg は、それぞれ光学レンズ4a,4
bを介して光ファイバ偏光子6aおよび入力側アーム5
1bから光ファイバ結合器5に入射される。光ファイバ
結合器5は、入力側アーム51aから入射した入力光P
i を1:999 の分岐比で出力側アーム51c,51dに
分岐し、入力側アーム51b から入射したゲートパルス
光Pg を1:999 の分岐比で出力側アーム51c,51
dに分岐する機能をもっている。したがって、上記の第
1および第2の光カーシャッタと同様の機能を果たす。
【0031】本構成の光カーシャッタは、光学レンズ4
a,4b,4cおよび光学フィルタ9を除くすべての光
学部品がファイバ形である。したがって、端面結合を用
いて一体構成することができるので、小型、軽量、安定
性に優れている。非線形光学媒質導波路10について
は、場合によって入射部位、出射部位に結合レンズを要
する。
【0032】(第4の実施形態)図10は、非線形光学
媒質を用いたループミラー干渉計型の光ゲートスイッチ
の構成例を示す。ここでは、第1および第2の実施形態
で述べた材料を光導波路(非線形光学媒質導波路10)
で構成する。符号4a,4b,4c,51a,51b,
51c,51dは、第3の実施形態のものと同様であ
り、各光ビームを結合させるための光学レンズ、光ファ
イバ結合器やその一部を表している。符号52は第2の
光ファイバ結合器であり、52a,52bは入力側アー
ム、52c,52dは出力側アームである。入力光Pi
はレンズ4aを通して入力側アーム51aより光ファイ
バ結合器51に入射される。ゲート光Pg はレンズ4b
を通して入力側アーム51bより光ファイバ結合器51
に入射される。
【0033】非線形光学媒質導波路10は、第2の光フ
ァイバ結合器52の2つの出力側アーム52c,52d
に接続される。第1の光ファイバ結合器51の出力側ア
ーム51dは、第2の光ファイバ結合器52の入力側ア
ーム52aに接続される。出力光Pt は第2の光ファイ
バ結合器52のアーム52bより取り出される。例え
ば、第1の光ファイバ結合器51に、入力側アーム51
aから入射した入力光Pi を1:999 の分岐比で出力側
アーム51c,51dに分岐し、他方の入力側アーム5
1bから入射したゲートパルス光Pg についても、1:
999 の分岐比で出力側アーム51c,51dに分岐する
機能を持たせる。一方、第2の光ファイバ結合器52で
は、入力側アーム52aから入射した入力光Pi を50:
50の分岐比で出力側アーム52c,52dに分岐し、入
力側アーム52aから入射したゲートパルス光Pg を
1:999 の分岐比で出力側アーム52c,52dに分岐
する。
【0034】したがって、入力光Pi は、第2の光ファ
イバ結合器52により50:50に分岐され、それぞれ右回
り、左回りに非線形光学媒質導波路10を透過する。そ
れぞれの光は第2の光ファイバ結合器52に再入射し、
再び50:50の比率に分岐されてアーム52a,52bに
戻る。このときアーム52a,52bに戻る2つの光
は、ゲートパルス光Pg が入射していない場合、光ファ
イバ結合器の性質によりΔφ=πだけの位相差を生じて
いる。すなわち、Pg =0のとき、最終的にアーム52
a,52bに戻る光の分岐比は1:0であり、第2の光
ファイバ結合器52の入力側アーム52bから出力され
る出力光Pt の強度Io は0である。
【0035】一方、ゲートパルス光Pg が入射すると、
Pg はすべてアーム52dから入射して左回りに非線形
光学媒質導波路10を通過する。すなわち、ゲートパル
ス光Pg は、第2の光ファイバ結合器52で分岐された
左回りの光パルスにのみ屈折率変化を与える。このとき
出力光Pt の光強度Io は Io =Ii sin2(Δφ/2) …(8) で表される。ただし、Ii は入力光Pi のパワーであ
り、Δφは非線形光学媒質導波路10を右回りおよび左
回りしてきた光の位相差であり、式(5) で与えられる。
【0036】(第5の実施形態)図11は、非線形光学
媒質を用いたマッハツェンダ干渉計型の光ゲートスイッ
チの構成例を示す。ここでは、第1および第2の実施形
態で述べた材料を光導波路(非線形光学媒質導波路1
0)で構成する。符号4a,4b,4cは光学レンズを
表す。符号51,52は光ファイバ結合器であり、a,
bは入力側アーム、c,dは出力側アームを表す。入力
光Pi はレンズ4aを通して入力側アーム51aから光
ファイバ結合器51に入射される。ゲートパルス光Pg
はレンズ4bを通して入力側アーム51bより光ファイ
バ結合器51に入射される。
【0037】非線形光学媒質導波路10およびダミー導
波路11は、長さが等しく、それぞれ第1の光ファイバ
結合器51の出力側アーム51cと第2の光ファイバ結
合器52の入力側アーム52aとの間、および第1の光
ファイバ結合器51の出力側アーム51dと第2の光フ
ァイバ結合器52の入力側アーム52bとの間に接続さ
れる。
【0038】光ファイバ結合器51は、入力側アーム5
1aから入射した入力光Pi を50:50の分岐比で出力側
アーム51c,51dに分岐し、入力側アーム51bか
ら入射したゲートパルス光Pg を 999:1の分岐比で出
力側アーム51c,51dに分岐する。一方、第2の光
ファイバ結合器52は、入力側アーム52a,52bか
ら入射された入力光Pi を50:50の分岐比で出力側アー
ム52c,52dに分岐し、入力側アーム52aから入
射されたゲートパルス光Pg を 999:1の分岐比で出力
側アーム52c,52dに分岐する。
【0039】したがって、入力光Pi は光ファイバ結合
器51により50:50に分岐され、それぞれ非線形光学媒
質導波路10およびダミー導波路11を透過し、第2の
光ファイバ結合器52によって合波される。この構成は
マッハ・ツェンダ干渉計と呼ばれ、出力側アーム52
c,52dからそれぞれ出射される出力光Pt の光強度
Ic ,Id は、 Ic ≒Ii cos2(Δφ/2) …(9) Id ≒Ii sin2(Δφ/2) …(10) で表すことができる。ただし、Ii は入力光Pi のパワ
ー、Δφは非線形光学媒質導波路10とダミー導波路1
1を透過してきた光の位相差であり、式(5) で与えられ
る。なお、ダミー導波路11の非線形屈折率は無視し
た。
【0040】(第6の実施形態)図12は、非線形光学
媒質を用いた位相共役波発生装置の構成例を示す。位相
共役発生装置は、Si 系材料の非線形光学媒質1の一方
にビームスプリッタ12a,12bを配置し、他方に全
反射ミラー13を配置することによって構成される。こ
の構成は、一般には図13に示す進行波型(前方型)縮
退4光波混合、または縮退4光波混合と呼ばれており、
非線形光学媒質1にA1 ,A2 (A1と反対方向)、AP
(斜入射)の3光波が入射すると、AP に対して空間位
相項のみが共役である第4の光波AC が発生するもので
ある。なお、A1, A2, AP,AC は、ともに前方へ進行
する進行波となるので、図13では波数ベクトルk1
2 ,k3 を用いて信号光の進行方向を明示している。
【0041】図12,図13に示したこれら縮退4光波
混合をパルス光で構成する場合には、パルスのコヒーレ
ンス時間に応じて非線形光学媒質1にパルスが到達する
時刻(タイミング)を調整する必要性が出てくるため、
光路にタイミング調節のため遅延を要する。この遅延の
確保には、パルスステージで駆動させるミラーやプリズ
ムが用いられる。パルス光での動作には、A2 にA1
反射光は利用できず、3本の光波が必要になる。1本の
光源からこの3本の光波を確保する場合には上述の縮退
系となり、ビームスプリッタで光を3分割してから光路
遅延を経て非線形光学媒質1に入射させることになる。
複数の光源を用いる場合には非縮退系になるが、ビーム
スプリッタの数が変わるだけで基本構成は変化しない。
進行波型の場合には2本の光波で実施することも可能で
ある。
【0042】本実施形態においても、装置の高速性、高
効率化が確認され、画像情報処理技術における像修正
や、実時間ホログラフィーなどへの有効な手段と成り得
ることが示された。 (第7の実施形態)図2に示すエタロン型光双安定素子
の非線形光学媒質1として、実施例1,2で述べたSi
結晶を非共鳴領域で用いる。符号3a,3bは非線形光
学媒質1の表面に直接蒸着した誘電体多層膜ミラーであ
る。動作は、図4で説明したとおりであり、入力光Pi
の波長を僅かに変化させて共振器の共振条件に調整すれ
ばよい。1500nm使用では最小入力光強度Ii(min)は約
2MW/cm2 である。本装置の応答時間は、媒質の応
答時間tと共振器内光子寿命tp の大きい方の値で決ま
る。ここで、共振器内光子寿命tp は、 tp =−Lop/c・lnR …(11) で表される。ただし、Lopは共振器の光学長、cは光
速、Rは誘電体多層膜ミラー3a,3bの反射率であ
る。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
Si 系材料を非共鳴領域で使用することにより、従来の
非線形光学媒質では得ることができなかった高速かつ高
効率な非線形光学応答を実現できる。また、広い波長範
囲で動作させることができる。このため、高速光スイッ
チ、変調器等のデバイスとしての応用が可能である。さ
らに、光パルス圧縮、光波形整形、光ソリトンの発生、
位相共役像の発生、量子雑音レベルの抑圧、量子非破壊
測定等の各分野において、空間並列処理を含め、簡便か
つ安価に必要な材料を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】非線形光学媒質を用いた光カーシャッタの第1
の構成例を示す図。
【図2】非線形光学媒質を用いたエタロン型光双安定素
子の構成例を示す図。
【図3】光双安定素子のリミッタ動作特性を示す図。
【図4】光双安定素子の双安定動作特性を示す図。
【図5】第1の実施形態における光カーシャッタの応答
速度を示す図。
【図6】非線形光学媒質を用いた光カーシャッタの第2
の構成例を示す図。
【図7】第2の構成例における光カーシャッタの出力信
号波形を示す図。
【図8】第2の構成例における光カーシャッタの透過率
のゲート光依存性を示す図。
【図9】非線形光学媒質を用いた光カーシャッタの第3
の構成例を示す図。
【図10】非線形光学媒質を用いたループミラー干渉計
型の光ゲートスイッチの構成例を示す図。
【図11】非線形光学媒質を用いたマッハツェンダ干渉
計型の光ゲートスイッチの構成例を示す図。
【図12】非線形光学媒質を用いた位相共役波発生装置
の構成例を示す図。
【図13】進行波型(前方型)縮退4光波混合の概略構
成を示す図。
【符号の説明】
1 非線形光学媒質 2 偏光子 3,13 全反射ミラー 4 レンズ 5,51,52 光ファイバ結合器 6 光ファイバ偏光子 7 光源 8 ダイクロイックミラー 9 光学フィルタ 10 非線形光学媒質導波路 11 ダミー導波路 12 ビームスプリッタ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン(Si )結晶、アモルファスS
    i 、ポーラスSi 、Si 微粒子分散材料、Si 高分子の
    少なくとも1つを主成分として構成され、非共鳴領域
    (バンドギャップエネルギー(Eg )以下のエネルギー
    に相当する波長の領域)で使用することを特徴とする非
    線形光学媒質。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の非線形光学媒質におい
    て、 2光子吸収または3光子吸収の最大値または極大値を示
    す波長とその近傍の波長で使用することを特徴とする非
    線形光学媒質。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の非線形
    光学媒質と、前記非線形光学媒質に光を入射する少なく
    とも1つの入力手段と、前記非線形光学媒質を透過した
    光を出射する出力手段とを備えたことを特徴とする非線
    形光学装置。
JP6684397A 1997-03-19 1997-03-19 非線形光学媒質および非線形光学装置 Pending JPH10260434A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010250350A (ja) * 2004-09-01 2010-11-04 Fujitsu Ltd 光スイッチおよび光スイッチを利用した光波形モニタ装置
JP2011145495A (ja) * 2010-01-15 2011-07-28 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 全光信号処理デバイス

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