JPH10253622A - 細胞(組織)の活動(エネルギー)状態の測定方法 - Google Patents

細胞(組織)の活動(エネルギー)状態の測定方法

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JPH10253622A
JPH10253622A JP6140497A JP6140497A JPH10253622A JP H10253622 A JPH10253622 A JP H10253622A JP 6140497 A JP6140497 A JP 6140497A JP 6140497 A JP6140497 A JP 6140497A JP H10253622 A JPH10253622 A JP H10253622A
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rhodamine
energy
tissue
absorbance
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JP6140497A
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Mamoru Tamura
守 田村
Yasutomo Nomura
保友 野村
Atsushi Sakanoue
淳 坂野上
Kazuhiko Ichikawa
和彦 市川
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NIPPON SCHERING KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より透過性の高い細胞や組織の活動(エネル
ギー)状態の測定方法の提供。 【解決手段】 ローダミン800を細胞および/または
組織とを接触させた後、近赤外光領域における吸光度ま
たは蛍光強度の変化を測定することを特徴とする細胞
(組織)の活動(エネルギー)状態の測定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】ローダミン800を用いた、
近赤外光領域での吸光度あるいは蛍光強度の変化を測定
することによる細胞(組織)の活動(エネルギー)状態
の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生体系は極めて多くの成分により構成さ
れており、その光吸収スペクトルも複雑である。この光
吸収スペクトルの違いを利用して様々な生体環境の測定
がなされている。さらにこの様な生体環境の変化と光吸
収特性との関係に加え、種々の蛍光色素(例えばCa2+
感受性色素、膜電位色素など)が細胞の代謝や機能を記
録する為に用いられている。
【0003】最近臨床医学の分野で注目を集めているの
は、近赤外光(700〜1300nm)の適用である。
紫外−可視(UV−VIS)光は、1mm以上の生体組
織を通過できないので1つの細胞やクラスター化した培
養細胞への適用に限られていたのに対し、近赤外光は1
0cm程、即ち新生児の頭程の厚い組織をも透過するこ
とができる為である(Jobsis, F.F. (1979) Adv. Neuro
l. 26 299-318 )。この高い透過性の為に、近赤外分光
測光法は特に脳組織の酸素モニタリングの様な臨床医学
の場において非挿入的に広範囲に用いられてきた(Kuro
da, S. et al.,(1996) Surg. Neurol. 45, 450-458
)。循環血中のヘモグロビン、筋肉中のミオグロビ
ン、ミトコンドリア中のチトクロームオキシダーゼなど
は酸素化状態と脱酸素化状態とでその光吸収特性が大き
く異なり、その特性を利用して、無侵襲での組織の酸素
化度測定が試みられている。しかしながら近赤外光のin
vivo での適用は上述のヘモグロビンや、ミオグロビ
ン、チトクロームオキシダーゼといった内在性の発色団
を有するものに限られていた。細胞や組織内での活動
(エネルギー)の状態(膜電位の状態)を測定する場
合、膜電位の状態を反映するような内在性の発色団がな
いため、外来性の蛍光色素が利用されている。例えばE
mausらは陰イオン性蛍光色素のローダミン123の
吸収および励起スペクトルがミトコンドリアのマトリッ
クスに取り込まれることによって長波長側へシフトする
ことを報告している(Emaus, R.K., (1986)Biochimica
et Biophysica Acta 850, 436-448)。しかしながらロ
ーダミン123をはじめとした従来の蛍光色素はUV−
VIS光の範囲に吸収を有するものでその透過力が限ら
れ、従ってその対象は単離した細胞など、極めて限られ
たものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、細胞や組織
内の活動(エネルギー)状態を測定する方法の提供、よ
り詳しくは臓器などの厚い組織をも測定可能な透過性の
高い、活動(エネルギー)状態の測定方法を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意研究を重ねた結果、細胞のミトコンドリアに特
異的に取り込まれ、ミトコンドリア膜電位の変化に伴っ
て近赤外光領域で吸収スペクトルあるいは蛍光スペクト
ルが変化するローダミン800を細胞および/または組
織と接触させ、吸光度あるいは蛍光強度の変化を測定す
ることにより細胞(組織)の活動(エネルギー)状態を
測定することが可能であること、吸光度の変化が波長7
30〜850nmの範囲および波長730〜900nm
の範囲からそれぞれ選択される異なる2つの波長での吸
光度の差、好ましくは730nmと800nmでの二波
長吸光度の差の変化を測定することによって好適に検出
し得ること、さらにミトコンドリアに取り込まれたロー
ダミン800はミトコンドリアの膜電位の変化に伴って
ミトコンドリア内で錯体を形成し、それによって蛍光ス
ペクトルが変化することを見い出し本発明を完成するに
到った。
【0006】即ち、本発明は以下の通りである。 (1)ローダミン800と細胞および/または組織とを
接触させた後、波長730〜850nmの範囲および波
長730〜900nmの範囲からそれぞれ選択される異
なる2つの波長での吸光度の差、特に波長730nmと
波長800nmとの吸光度の差を測定することを特徴と
する細胞(組織)の活動(エネルギー)状態の測定方
法。 (2)ローダミン800と細胞および/または組織とを
接触させた後、ミトコンドリア内での錯体の形成による
蛍光強度の変化を測定することを特徴とする細胞(組
織)の活動(エネルギー)状態の測定方法。 (3)波長600〜680nmの範囲から選択される波
長で蛍光励起し、波長680〜730nmの範囲から選
択される、励起波長とは異なる波長で蛍光発光強度を測
定する、特に波長660nmで蛍光励起し波長692n
mで蛍光発光強度を測定することを特徴とする上記
(2)記載の細胞(組織)の活動(エネルギー)状態の
測定方法。 (4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法によ
る肝細胞および/または心筋細胞の活動(エネルギー)
状態の測定方法。 (5)細胞のエネルギー状態が不可逆的な細胞死(膜電
位の消失)を表すものである上記(1)〜(4)のいず
れかに記載の細胞(組織)の活動(エネルギー)状態の
測定方法。
【0007】ミトコンドリアは呼吸における物質の酸化
により得られるエネルギーを用いてATPを合成する酸
化的リン酸化を主要な役割とする真核細胞特有の細胞内
小器官である。本発明におけるミトコンドリアの膜電位
の変化はミトコンドリアの共役および脱共役状態の変遷
に依る。ミトコンドリアにおける共役状態とは電子伝達
のエネルギーを利用してADPとリン酸からATPが合
成される、即ち酸化的リン酸化を受けた状態(以後、単
に共役状態あるいはエネルギー化状態ともいう)にある
ことをいう。脱共役状態とはその酸化的リン酸化が阻害
された状態をいい、脱共役剤(アンカプラー)や膜構造
を破壊する界面活性剤、イオノフォアのようにイオンを
透過させて膜のH+ 電気化学ポテンシャル差を減少させ
るものなどによって引き起こされる。脱共役剤としては
カルボニルシアニド m−クロロフェニルヒドラゾン
(CCCP)やカルボニルシアニド p−トリフルオロ
メトキシフェニルヒドラゾン(FCCP)などが、界面
活性剤としては通常生体膜を可溶化する為に用いられる
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)など公知のものが、
イオノフォアとしては、中性イオノフォアであるバリノ
マイシンや、カルボキシイオノフォアであるモメンシン
などが挙げられる。ミトコンドリアの脱共役状態はこれ
ら薬物を用いる他にも、例えばミトコンドリアを単離し
て保存している間に膜のリン脂質の分解によってリゾレ
シチンや脂肪酸が形成されることによって脱共役が引き
起こされる場合、ミトコンドリア内膜が損傷した場合、
嫌気状態による細胞の不可逆的な死により膜が破壊され
た場合など生物学的、生理学的な要因によっても引き起
こされる。
【0008】呼吸速度は種々の生理的な要因により制御
されているが酸化的リン酸化において必須のADPおよ
び/またはリン酸の有無によって大きく変動する。即ち
ADPあるいはリン酸が存在しないと呼吸速度は著しく
減少する。このADPあるいはリン酸の存在しない遅い
呼吸速度の状態を状態4といい、ADPとリン酸が消費
されATPが合成された状態、即ち酸化的リン酸化を受
けた状態にあたる。ADPあるいはリン酸の存在する速
い呼吸速度の状態を状態3といい、脱共役状態にあた
る。その速度の比(状態3の呼吸速度/状態4の呼吸速
度)を呼吸調節率(respiratory control ratio;RC
R)といい、ミトコンドリアの膜などが損傷し、酸化的
リン酸化が起こらない場合には脱共役状態のままでこの
値が1となる。
【0009】本発明においては細胞および/または組織
と接触させる物質として、細胞のミトコンドリアに特異
的に取り込まれ、ミトコンドリアの膜電位の変化に伴っ
て吸収スペクトルおよび/または蛍光スペクトルが変化
する、近赤外光領域に吸収帯および/または蛍光発光帯
を有する、近赤外光用レーザー色素である式Iで示され
るローダミン800が用いられる。
【0010】
【化1】
【0011】ローダミン800は細胞のミトコンドリア
の膜電位の変化によってミトコンドリアに取り込まれる
量が変化する物質であって、脱共役状態の時では添加し
た量の約半分が、エネルギー化状態においては実にその
添加量のおよそ90%が取り込まれる。本発明において
細胞および/または組織と接触させるために添加するロ
ーダミン800の量は、ミトコンドリアの主要な働きで
ある呼吸作用、即ち酸化的リン酸化の機能に影響を及ぼ
さず、尚且つミトコンドリアに取り込まれる量(upt
ake)とミトコンドリアに取り込まれずに遊離の状態
で残っている量(free)との比(uptake/f
ree)が最大になる様に選択され、2〜15μM、特
に好ましくは2〜5μMの濃度になる様に添加する。1
5μMより多いとミトコンドリアへの取り込みが飽和状
態に達しuptake/freeが減少する。添加する
量が2μMよりも少ないと、高いuptake/fre
eが得られない。
【0012】本発明は吸光度の変化あるいは蛍光強度の
変化でもって膜電位変化を検出し、ひいては組織あるい
は細胞の活動(エネルギー)状態(以下、単にエネルギ
ー状態という)を測定する方法であるが、既に述べた様
に近赤外光領域に吸収帯あるいは蛍光発光帯を有するロ
ーダミン800を用いることにより透過性を高めること
が可能となり、より厚い組織をも測定できる。脱共役状
態およびエネルギー化状態間で吸光度の変化を測定する
場合には、両吸光度の差が検出、測定できるような異な
る二波長を選択し、各状態において各々の波長での吸光
度を測定し、その差を測る。測定波長として選択される
異なる二波長は用いる物質やその溶媒によっても異なる
が、例えば水性緩衝液中では、図2にも示される様に脱
共役状態とエネルギー化状態との吸光度差は730nm
と640nmで極大となり685nmおよび630nm
で極小となり、さらにより赤側の波長である800nm
付近でかなり低い値が得られる。従って、両状態での吸
光度の変化は640〜685nmと685〜730nm
のそれぞれの範囲から選択される異なる二波長、特に6
85nmと730nm、あるいは730〜800nmと
730〜900nmのそれぞれの範囲から選択される異
なる二波長、特に730nmと800nm間での吸光度
の差の変化を測定することが好ましい。より好ましく
は、生体組織における透過率がより高く、通常広く使用
されている測定器(フォトマル)で検出容易な波長の組
み合わせである730nmと800nm間での吸光度差
(△730- 800 )の変化を測定する。この二波長での吸光
度差が大きい程シフトが大きく細胞がエネルギー化状態
にあることを示している。
【0013】蛍光強度の変化を測定する場合、エネルギ
ー化状態では脱共役状態に比べ、その膜電位の変化によ
り蛍光スペクトルがシフトすることを利用し、蛍光クエ
ンチングを観察する。即ち、ローダミン800はエネル
ギー化状態では図3に示される様にエネルギー化状態に
あるミトコンドリアに取り込まれることにより蛍光ピー
クは692nmから710nmへと赤側にシフトするの
で、680〜730nmの範囲から選択される波長、特
に好ましくは692nmでの蛍光強度を測定する。この
際、蛍光励起波長は、励起可能な範囲の波長であればよ
く、具体的には600−680nmの範囲で蛍光強度の
測定波長とは異なるものが選択される。
【0014】一般的に吸光度と蛍光強度の変化とは鏡像
関係にあり、吸光度変化とは逆に蛍光強度が小さくなる
(即ち、クエンチング現象が大きくなる)程、細胞がエ
ネルギー状態にあることを示している。
【0015】本発明の測定方法を用いてそのエネルギー
状態を測定する対象はミトコンドリアを含むものであれ
ば特に限定はされないが、単離ミトコンドリアや肝ミト
コンドリア、細胞であればミトコンドリアの含有量が多
く生体のエネルギー供給にも密接に関与している肝細胞
などが好適に測定される。さらに、ミトコンドリアの膜
電位が高く、変化の大きい心筋細胞の測定に対しても好
適に用いられる。
【0016】
【実施例】以下に本発明をより詳細に説明するために参
考例、実施例および実験例を挙げるが、本発明はこれら
によって何ら限定されるものではない。
【0017】参考例1 種々の溶媒におけるローダミン
800の光学的特性 レーザー色素用のローダミン800をジメチルスルホキ
シド(DMSO)に4mg/mlの濃度になる様に溶解
しストック溶液とし、室温で保存した。ストック溶液の
少量を水性の緩衝液あるいは各種有機溶媒に3μMにな
る様に溶解して、その光学的吸収スペクトルを可視およ
び近赤外領域で調べた。水、アセトンおよびDMSOに
ついての結果を図1(A)に示した。さらに同様にして
蛍光スペクトルを調べた。結果を図1(B)に示した。
種々の溶媒中でのローダミン800の誘電率、吸収極大
波長と、放射極大波長および相対蛍光強度をそれぞれ表
1にまとめた。蛍光の励起波長は660nmで、相対蛍
光強度は水中での値を100%として求めた。
【0018】
【表1】
【0019】実施例1 ミトコンドリアにおけるローダ
ミン800のエネルギー状態依存的なスペクトルの変化 ミトコンドリアの脱共役状態およびエネルギー化状態に
おけるミトコンドリアに取り込まれたローダミン800
の吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルの変化について
調べた。
【0020】i)ミトコンドリアの調製 体重200−300gの雄性ウイスターラットの肝から
常法(Nedergaard, J., and Cannon, B. (1979) Method
s in Enzymolozy vol. 55, pp.3-28, AcademicPress, N
ew York)に従って単離し、緩衝液(0.25Mマンニ
トール、2.5mMコハク酸、2.5mMリン酸カリウ
ム、10mMKCl、2.5mMMgCl2 および1m
MEGTAをそれぞれ含有する5mMトリス塩酸緩衝液
(pH7.4)に懸濁した。得られた単離ミトコンドリ
アの内、呼吸調節率(RCR)が4以上のもののみを実
験に用いた。ミトコンドリアの量の指標として、ローリ
ー法により測定したタンパク質濃度を用いた。
【0021】ii)試薬の調製 参考例1で調製したローダミン800のストック溶液
を、5mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で0.8−
29.4μMの間で段階希釈して種々の濃度のローダミ
ン800溶液を調製した。さらに脱共役状態を誘導する
為に脱共役剤として、CCCP(シグマ社製)を最終濃
度2μMになるように調製して用いた。
【0022】iii)測定 脱共役状態への誘導はCCCPを2μM添加することに
より行った。 i)で調製したラットの肝ミトコンドリア
懸濁液(タンパク質濃度として0.2mg/ml)を吸
光度の変化を測定する場合は2.1μMのローダミン8
00と、蛍光強度の変化を測定する場合は3μMのロー
ダミン800とそれぞれインキュベートした。
【0023】吸収スペクトルは吸光度計(Shimad
zu UV−3000)を用いてセル内の温度を25℃
に一定にして測定した。CCCPの添加によりミトコン
ドリアを脱共役状態にすると吸収スペクトルは青側へシ
フトした。結果を図2に示す。エネルギー化状態にある
ミトコンドリアにおける吸収スペクトルおよび脱共役状
態にあるミトコンドリアにおけるスペクトルを比較し両
吸光度の差〔エネルギー化状態(共役状態)−脱共役状
態〕をとると、その差は730nmと640nmで極大
値を、685nmおよび630nmで極小値を示し、ま
た、より赤側の800nm付近でもかなり低い値が得ら
れた。これらの結果より、組織および/または細胞のエ
ネルギー状態を測定する為には、この吸光度のシフトの
様子を測定すれば良いことが示され、好ましくはシフト
の変化をより大きく反映する730nmと800nmで
の吸光度差(△A730-800 )あるいは730nmと68
5nmでの吸光度差(△A730-685 )が、より好ましく
は、より生体組織での透過率の高い△A730-800 を測定
すれば良いことが示された。
【0024】蛍光スペクトルは蛍光光度計(Shima
dzu RF−540)を用いて励起波長を660nm
にセットして、さらに励起光の混雑による妨害を避ける
為にカットオフフィルター(東芝社製、R−68)を用
いた。セル内の温度は25℃に一定にして測定した。結
果を図3に示す。ミトコンドリアに取り込まれず水性緩
衝液中に存在するローダミン800はその蛍光ピークが
692nmであるがミトコンドリアに取り込まれエネル
ギー化状態にあるミトコンドリアにおいては蛍光ピーク
は710nmにシフトしその強度はもとの水性緩衝液中
のローダミン800の蛍光強度の約22%にまで減少し
た。CCCPを添加して、ミトコンドリアを脱共役状態
にすると、蛍光ピークは693nmにシフトし、その蛍
光強度はもとの水性緩衝液中に比べ約70%にまで回復
する。従ってこの結果より、蛍光強度の変化によりエネ
ルギー状態を測定するには680〜730nmの範囲か
ら選択される波長、より好ましくは692nmでの蛍光
クエンチング、即ち、蛍光強度の減少の程度を測定すれ
ば良いことが示唆された。
【0025】ミトコンドリアに取り込まれる前の水性緩
衝液中、共役状態にあるミトコンドリア中および脱共役
状態にあるミトコンドリア中でのローダミン800の各
々における吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルの変化
を表2に吸収極大波長、放射極大波長および相対蛍光強
度を用いてまとめた。脱共役状態にあるミトコンドリア
内でのローダミン800の光学的特性とミトコンドリア
外の水性緩衝液における場合でのローダミン800の光
学的特性とが類似していることはローダミン800が膜
電位に関連してミトコンドリアに取り込まれ、脱共役に
よってミトコンドリアから排除されることを示唆してい
る。
【0026】
【表2】
【0027】実験例1 K+ 拡散電位とローダミン80
0の光学的特性の関係 K+ 拡散電位とローダミン800の吸収スペクトルの変
化(即ち、エネルギー状態の変化)との関係を調べる為
に、中性イオノフォアとして知られているバリノマイシ
ンおよび脱共役剤であるCCCPを用いてミトコンドリ
アにおいてK+拡散電位を変化させ、それに伴うローダ
ミン800の相対吸光度の変化を観察した。ミトコンド
リア膜のK+ 拡散電位は培地中のK+ 濃度の変化を用い
て次のネルンストの式から算出される。(ここで
〔K+ 〕in=120mM(Rossi, E., and Azzone, G.
F. (1969) Eur. J. Biochem. 7, 418-426)) K+ 拡散電位(mV)=59・log(〔K+ 〕in/
〔K+ 〕out ) まずバリノマイシンおよびCCCPを添加した時のロー
ダミン800の相対吸光度の変化を調べた。
【0028】緩衝液(0.25Mマンニトール、2.5
mMリン酸ナトリウム、1mMKCl、2.5mMMg
Cl2 、3μMロテノンおよび1mMEGTAを各々含
有する5mMトリス塩酸緩衝液、pH7.4)中に、実
施例1で調製したミトコンドリア懸濁液(タンパク質濃
度で0.31mg/ml)、30nMバリノマイシン、
そして2μMCCCPを順次添加していき△A730-800
を測定し、その変化を図で表した(図4A)。K+ 拡散
電位はバリノマイシンにより誘発され、添加後15−3
0秒を要して形成される。バリノマイシン添加後、ロー
ダミン800の相対吸光度は最初上昇するが、形成され
たK+ 拡散電位のゆるやかな衰退とともに徐々に減少し
た。またCCCPを添加することによりK+ 拡散電位は
衰退し、吸光度はもとの水性緩衝液中のレベルにまで減
少した。同様にしてK+ 拡散電位の変化と蛍光強度の変
化についても調べたが同様の傾向を示した(図4B)。
バリノマシンおよびCCCPの添加あるいはKClを
0.1−16mMの範囲で順次濃度を変えて添加するこ
とによってK+ 拡散電位を変化させ、得られたK + 拡散
電位に対してローダミン800の△A730-800 をプロッ
トし、図5(A)に示した。図5(A)に示される様に
ローダミン800の二波長吸光度差の変化はK+ 拡散電
位に対して直線関係にあり、この結果から共役状態およ
び脱共役状態の膜電位を外挿すると、それぞれ191m
V(図5(A)中の○で示される)および184mV
(図5(A)中の●で示される)であることがわかっ
た。さらに同様にして蛍光強度とK+ 拡散電位の間にも
直線関係が示された(図5(B))。この結果から共役
状態と脱共役状態の膜電位を外挿すると203mV(図
5(B)中の○で示される)および194mV(図5
(B)中の●で示される)であった。
【0029】実験例2 アデニンヌクレオチドのローダ
ミン800の蛍光クエンチングに及ぼす影響 細胞のエネルギー状態に密接に関与する呼吸および酸化
的リン酸化において重要な働きを持つアデニンヌクレオ
チドと細胞のエネルギー状態との関係について調べた。
3μMローダミン800を含有する5mMトリス塩酸緩
衝液中で、0−50mMで段階的に濃度を変えてADP
あるいはATPをそれぞれ添加し、さらに5mMMgC
2 の存在下または非存在下で660nmで蛍光励起
し、692nmで蛍光強度を測定し、添加したアデニン
ヌクレオチドの濃度に対してF0/F(アデニンヌクレオ
チド存在下での蛍光強度に対する非存在下での蛍光強度
の割合)をプロットした。結果を図6に示した。ATP
およびADPの添加はともに同程度の濃度で同様の蛍光
クエンチングを示した。また、過剰のMg2+の添加によ
ってもこれらのクエンチングに影響を与えなかった。こ
れらの結果より、種々のエネルギー状態において観察さ
れる蛍光強度の変化にADPおよびATPの量比は影響
しないことが示唆された。
【0030】実験例3 単離肝細胞における好気状態お
よび嫌気状態での電子伝達系の状態とエネルギー状態 単離肝細胞を用いて好気状態および嫌気状態での電子伝
達系の状態およびエネルギー状態を調べた。電子伝達系
を測定する為にはチトクロームオキシダーゼに基づく吸
光度の変化を、エネルギー状態を測定する為にはローダ
ミン800の△A730-800 あるいは692nmでの蛍光
強度を測定することにより行った。ここで好気状態は通
常の、大気中の酸素濃度であることを意味し、嫌気状態
には呼吸により酸素濃度がゼロ近くにまで減じることに
より到達する。
【0031】肝細胞はコラゲナーゼ灌流法(Okajima,
F., and Ui, M. (1982) Arch. Biochem. Biophys. 213,
658-668 )によってラット肝から単離した。灌流液
は、改良クレブス−リンゲル重炭酸緩衝液を95%O2
+5%CO2 、37℃、pH7.4で平衡化したものを
用いた。生存率はトリパンブルー排出テストによってチ
ェックし、90%以上完全な細胞が残っているものを実
験に用いた。また、本実験例において、好気状態および
嫌気状態を確かめる為に酸素消費率をclark型酸素
電極を用いて測定した。反応混液(10mMHEPE
S、139mMNaCl、3.57mMNaHCO3
5.63mMKCl、1.42mMMgSO4 、1.4
3mMKH2 PO4 、3.03mMCaCl2 )に5μ
Mローダミン800を添加し、37℃でゆるやかに攪拌
しながら測定した。エネルギー状態についてはローダミ
ン800の吸光度変化、即ち△A730-800 を、チトクロ
ームオキシダーゼの吸光度変化については605nm−
620nmの二波長吸光度差を測定した。ローダミン8
00とチトクロームオキシダーゼの同時測定には2チャ
ンネル2波長分光光度計(USP 430B、UNIS
OKU)を用いた。エネルギー状態を知る為に692n
mでの蛍光強度を測定する場合にはShimadzu
RF−540蛍光光度計を用い、参考例1と同様にして
測定した。ローダミン800とインキュベートしたラッ
ト肝細胞を水晶体キュベットに注入した(図中Htで示
す)後、O2 濃度、620nm−605nmでの二波長
吸光度差(チトクロームオキシダーゼによる)、△A
730-800 (ローダミン800による)を各々測定した。
【0032】さらに、脱共役状態における酸素濃度とエ
ネルギー状態および電子伝達系の状態の関係について調
べるべく、45分程経過して完全にチトクロームオキシ
ダーゼが減少してから2μMのCCCPを添加した場合
についても同様にして測定した。O2 濃度、620nm
−605nmでの二波長吸光度差についての結果は図7
に示した。
【0033】呼吸により酸素濃度は0近くにまで減少
し、チトクロームオキシダーゼは36分程たったところ
で減少し始める。酸素欠乏状態になってもローダミン8
00の二波長吸光度差は変化しないがCCCPの添加に
よって急速に減少した。対照的にチトクロームオキシダ
ーゼについてはCCCPを添加してもさらなる減少は観
察されなかった。このことから、酸素欠乏状態の初期の
状態では、酸素レベルは0に近いが肝細胞がまだエネル
ギー化状態にあることを示している。これらの結果より
酸素欠乏状態において、チトクロームオキシダーゼの酸
化還元にかかわる電子伝達系状態とエネルギー状態は別
であるということを示唆している。酸素欠乏状態では、
チトクロームオキシダーゼの減少の後、肝細胞ミトコン
ドリアのエネルギー状態は5分間程持続し、ローダミン
800の吸光度がゆるやかな減少を示す、即ちエネルギ
ー状態は次第に低下する(次第に脱共役状態へと変遷す
る)。さらにこの状態に少量の酸素を添加すると、チト
クロームオキシダーゼの吸光度は再び増加し、再酸化が
引き起こされるが、ローダミン800の吸光度は変わら
ずエネルギー状態は回復しなかった。同様の結果が蛍光
強度の測定においても観察された。即ち、酸素欠乏状態
では蛍光強度の変化は見られず、47分でのCCCPの
添加は蛍光強度の著しい増加を引き起こした。
【0034】実験例4 心筋細胞(灌流心)のエネルギ
ー状態の測定 灌流心を用いて、心筋細胞のエネルギー状態を測定し
た。灌流心の調製は今村らの方法(Tamura, M., et al.
(1978) Arch. Biochem. Biophys. vol.191, No.1, 8-2
2 参照)に準じた。灌流液は、改良クレブス−リンゲル
重炭酸緩衝液を95%O2 +5%CO2 、37℃、pH
7.4で平衡化したものを用いた。灌流速度は流量計に
より計測し一定を保った。脱共役状態を誘導する為には
2μMCCCPを含む灌流液にて灌流することにより行
い、該処理により心臓は停止する。心臓の状態は左心室
圧および心拍数の変化により以下の様にして測定し確認
する。まず心臓を15mm径のガラス管内にセットし、
左心室前壁の一部をガラス内面壁に密着させた。左心房
より左心室へ挿入したラテックスバルーンに蒸留水を満
たし、ポリエチレンチューブを介して圧トランスデュー
サー(DTX−PLUS、SPECTRAMED)に接
続し、連続的に左心室圧と心拍数を測定した。光源にハ
ロゲンランプを使用し、ガラス管を介して左心室前壁に
照射し、左心室表面で反射した光を光検出器(MCPD
−2000、大塚電子)で経時的に測定した。
【0035】上記で調製した灌流心に0.2μMのロー
ダミン800を灌流し吸収スペクトルを測定した(図
8)。灌流後、ローダミン800を灌流液で洗浄した
が、洗浄後もローダミン800の吸収スペクトルが観察
されたことから、心筋細胞にローダミン800が取り込
まれていることを確認した。次に、2μMのCCCPを
含む灌流液で灌流すると、心臓が停止し、心停止に伴い
ローダミン800の吸収スペクトルが変化し(図8)、
差スペクトルが観察された(図9)。即ち、心筋細胞の
エネルギー状態はローダミン800の吸収スペクトルの
変化で測定することができる。
【0036】
【発明の効果】本発明の測定方法を用いることにより、
従来、生体内に適切な発色団が存在しないが故に測定が
困難とされていた細胞(組織)の活動(エネルギー)状
態の測定に、より透過性に優れた近赤外分光測光法を利
用することが可能となる。さらに又、本発明の測定方法
において用いられるローダミン800を体内に適応すべ
く改良することにより、例えば血液循環組織などの生体
内でのエネルギー状態を教示することのできる造影剤の
開発が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A);有機溶媒(アセトンおよびDMSO)
および水中でのローダミン800の近赤外光領域での吸
収スペクトル図である。 (B);有機溶媒(アセトンおよびDMSO)および水
中でのローダミン800の近赤外光領域での蛍光スペク
トル図である。
【図2】共役状態あるいは脱共役状態にあるミトコンド
リアにおけるローダミン800の近赤外光領域での吸収
スペクトル図である。
【図3】共役状態あるいは脱共役状態にあるミトコンド
リアおよび水性緩衝液中のローダミン800の近赤外光
領域での蛍光スペクトル図である。
【図4】A;K+ 拡散電位によって引き起こされるロー
ダミン800の△A730-800 の変化を示した図である。 B;K+ 拡散電位によって引き起こされるローダミン8
00の蛍光強度の変化を示した図である。 各図のMIT、VALおよびCCCPの記載は、その時
点で各々が添加されることを示している。
【図5】(A);ミトコンドリア懸濁液におけるK+
散電位に対するローダミン800の△A730-800 の変化
を示した図である。■は測定値を、▲は適当な係数を乗
じた値を示している。○は状態4での、●は状態3での
膜電位の外挿値を示している。 (B);ミトコンドリア懸濁液におけるK+ 拡散電位に
対するローダミン800の蛍光強度の変化を示した図で
ある。■は測定値を示し、さらに、○は状態4での、●
は状態3での膜電位の外挿値を示している。
【図6】アデニンヌクレオチドおよびマグネシウムのロ
ーダミン800の蛍光クエンチングに及ぼす影響を示し
たグラフである。■はADPを、□はADPとマグネシ
ウムを、▲はATPを、△はATPとマグネシウムをそ
れぞれ添加した場合の値を示す。
【図7】単離肝細胞における酸素濃度の変化とチトクロ
ームオキシダーゼの酸化還元状態の変化との関係を示し
た図である。
【図8】灌流心におけるCCCP灌流前および灌流後の
ローダミン800の吸収スペクトルを示した図である。
【図9】灌流心におけるCCCP灌流前後のローダミン
800の差吸収スペクトルを示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市川 和彦 北海道札幌市北区新琴似11条9丁目4−7

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ローダミン800と細胞および/または
    組織とを接触させた後、波長730〜850nmの範囲
    および波長730〜900nmの範囲からそれぞれ選択
    される異なる2つの波長での吸光度の差を測定すること
    を特徴とする細胞(組織)の活動(エネルギー)状態の
    測定方法。
  2. 【請求項2】 波長730nmと800nmでの吸光度
    の差を測定することを特徴とする請求項1記載の測定方
    法。
  3. 【請求項3】 ローダミン800と細胞および/または
    組織とを接触させた後、ミトコンドリア内で錯体を形成
    することによって生じる蛍光強度の変化を測定すること
    を特徴とする細胞(組織)の活動(エネルギー)状態の
    測定方法。
  4. 【請求項4】 波長600〜680nmの範囲から選択
    される波長で蛍光励起し、波長680〜730nmの範
    囲から選択される、励起波長とは異なる波長で蛍光発光
    強度を測定することを特徴とする請求項3記載の細胞
    (組織)の活動(エネルギー)状態の測定方法。
  5. 【請求項5】 波長660nmで蛍光励起し波長692
    nmで蛍光発光強度を測定することを特徴とする請求項
    4記載の測定方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の方法に
    よる肝細胞の活動(エネルギー)状態の測定方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の方法に
    よる心筋細胞の活動(エネルギー)状態の測定方法。
  8. 【請求項8】 細胞のエネルギー状態が不可逆的な細胞
    死(膜電位の消失)を表すものである請求項1〜7のい
    ずれかに記載の細胞(組織)の活動(エネルギー)状態
    の測定方法。
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