JPH10251653A - コークス炉付着カーボンの除去装置および除去方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来は、炉内に設備部品を挿入すること無く、
従来方法では除去し難い天井カーボン、上昇管カーボン
に有効なコークス炉付着カーボンの除去装置及び除去方
法を提供することを目的としている。 【解決手段】コークス炉押出機の上部に搭載され、原料
炭のレベリングで不要になった戻り炭を受ける筒状シュ
ートに、該筒状シュート内に空気を送るダクトと、該ダ
クト内に送風するブロワとを設けてなることを特徴とす
るコークス炉付着カーボンの除去装置である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コークス炉付着カ
ーボンの除去装置及び除去方法に関し、特に、コークス
炉の天井や上昇管に付着したカーボンの除去に有効な技
術である。

【０００２】

【従来の技術】一般に、室炉式コークス炉では、石炭の
乾留の進行に伴い炭化室内の炉壁、天井、原料炭の装入
口（以下、装入口という）、排ガスの上昇管（以下、上
昇管という）等にカーボンが付着する。それらは、それ
ぞれ炉壁カーボン、天井カーボン、装入口カーボン、上
昇管カーボンと呼ばれ、除去せず放置しておくと、強固
な付着物として成長する。その結果、装入口カーボンが
邪魔になって原料炭の装入が不能になったり、炉壁や天
井カーボンが邪魔になって、乾留終了後にコークスを炭
化室から抜き出す際に押出機が動かず、あるいは途中で
停止し、所謂コークスの「押し詰まり」現象が生じる。
そこで、従来より様々な方法でかかる付着カーボンの除
去が行われている。

【０００３】例えば、乾留末期に、装入口と上昇管のト
ップ・カバーを開放し、ドラフトする空気で天井、装入
口、上昇管等の付着カーボンを燃焼除去する所謂ホール
焼きや、１６〜２０時間にわたり炭化室内を一時的に空
窯とし、付着カーボンを焼却除去する所謂サイクル焼き
が行われる。また、最近では、装入口からガス吹きノズ
ルを装入し、炉内に空気を吹き込み付着カーボンを焼却
する方法や、特開平５−００１２８７号公報に開示され
たように、コークス炉のドアに設けられた小窓から空気
供給管を内部に挿入し、該空気供給管の先端部から上昇
管内に空気を吹き込み、上昇管カーボンを焼却する方
法、さらには、特開平５−２７１６６２号公報に開示さ
れたように、回動可能なＵ字型ノズルをコークス押し出
し作業中の炉内に起立させ、それを上下動させながら、
付着カーボン支燃剤を噴射して上昇管カーボンを除去す
る方法もある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記ホ
ール焼きやサイクル焼き等の付着カーボン除去方法は、
自然現象としてのドラフト空気で付着カーボンの燃焼を
図るため、流通する空気が流れにくい空気の滞留部が生
じ、そこに生成する例えば天井カーボンの如きは、除去
し難い。従って、天井カーボンに起因する前記「押し詰
まり」は、それらの除去方法を用いたのでは、回避でき
ない状況にある。また、上部の装入口からガス吹きノズ
ルを装入し、炉内に空気を吹き込んで付着カーボンを焼
却する方法では、該ノズルの前方にある炉壁カーボンの
除去効果はあるものの、ノズルの後方に当たる天井カー
ボンや上昇管カーボンの除去にまでは至らない。また、
コークス炉のドアの小窓から空気供給管を挿入したり、
回動可能なＵ字型ノズルをコークス押し出し作業中に起
立させ、上下動させるような、炉内へ空気供給管やノズ
ルを挿入する方法では、炉内の高温雰囲気に部品が曝さ
れるため、設備トラブルが多く、安定して使用するには
至っていないのが現状である。

【０００５】本発明は、かかる事情に鑑み、炉内に設備
部品を挿入すること無く、従来方法では除去し難い天井
カーボン、上昇管カーボンに有効なコークス炉付着カー
ボンの除去装置及び除去方法を提供することを目的とし
ている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】発明者は、前記目的を達
成するために、従来技術の利点及び欠点を熟考した結
果、天井カーボン及び上昇管カーボンの効果的除去に
は、天井部及び上昇管部の全面にわたって大量の空気を
流通させることが必要と考えた。また、その空気の流通
を行うに当たっては、除去装置の安定稼働を第１とし、
炉内に多くの除去装置用部品を挿入することなく、空気
の流通を実現する必要があると考えた。そして、この考
えを具現化するため鋭意研究し、コークス炉の既存設備
であるコークス炉押出機に搭載された原料炭レベリング
装置の活用に想到し、本発明を完成させた。

【０００７】すなわち、上記目的を達成する本発明は、
コークス炉押出機の上部に搭載され、原料炭のレベリン
グで不要になった戻り炭を受ける筒状シュートの一部
に、該シュート内に空気を送るダクトと、該ダクト内に
送風するブロワとを設けてなることを特徴とするコーク
ス炉付着カーボンの除去装置である。また、本発明は、
コークス炉押出機の上部に搭載され、原料炭のレベリン
グで不要になった戻り炭を受ける筒状シュートに、該コ
ークス炉内の雰囲気ガスを吸引するダクトと、該ダクト
内を排気するブロワとを設けてなることを特徴とするコ
ークス炉付着カーボンの除去装置である。

【０００８】さらに、本発明は、コークス炉内の各部に
付着したカーボンを、該コークス炉のコークス押出機側
のドア上部に設けられた蓋付き小窓を介して、空気で燃
焼あるいは雰囲気ガスと共に吸引除去するにあたり、原
料炭の装入直前に、原料炭の装入口、排ガスの上昇管の
トップ・カバー及び前記小窓の蓋を開放した後、前記装
置を用い、その筒状シュートの先端を該小窓に取付け、
該筒状シュートに取り付けた可撓性ダクトを介して通風
して付着カーボンを除去することを特徴とするコークス
炉付着カーボンの除去方法でもある。

【０００９】本発明では、コークス炉押出機に搭載した
筒状の戻り炭シュートに、移動式の可撓性ダクトとブロ
ワを連設し、コークス炉ドアの小窓を開放して該戻り炭
シュートの先端を該小窓に取付けた時に、前記可撓性ダ
クトを介しブロワで炉内雰囲気ガスを吸引、もしくは送
風したので、特別な設備部品を炉内に挿入せずに、大容
量の雰囲気ガスや空気が流通できるようになる。その結
果、天井カーボンや上昇管カーボンを迅速に剥離した
り、燃焼除去させることができるようになり、該天井カ
ーボンや上昇管カーボンに起因した前記「押詰まり」が
低減された。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１に、本発明に係るコークス炉
付着カーボンの除去装置を、コークス炉に取り付けた状
況を側面図で示す。それは、コークス炉押出機１に搭載
された既存の原料炭レベリング装置２を利用するものな
ので、該レベリング装置２を説明する。

【００１１】原料炭レベリング装置２とは、原料炭をコ
ークス炉内に装入後、炉内に堆積した石炭層１７の頂部
を平坦に均す設備である。その使用方法としては、図２
に示すように、コークス炉押出機１側のドア上部（石炭
層１７頂部とほぼ同じ高さ）に設けた小窓６の蓋を開放
し、そこから棒状レベラ１５を炉内に挿入して原料炭を
掻きならし、該頂部の堆積面を平坦にするものである。
該レベラ１５を炉内から抜き出す時には、小窓６から石
炭がドアの外側へこぼれ落ちるので、これを受けるため
の戻り炭シュート３を開放した小窓に取付けている。こ
の戻り炭シュート３は、内部をレベラ１５が移動するよ
うに、角状の筒になっており、前記レベラ１５をコーク
ス炉に挿入する際には、前記ドアの小窓６にその先端を
密着させる構造となっている。該ダクト４の後端は、開
閉可能となっており、レベラ１５を使用するときは開状
態として戻り炭を回収するようになっている。

【００１２】本発明は、この筒状シュート３を炉内に空
気を送ったり、あるいは雰囲気ガスを吸引する手段の一
部として用いるものである。すなわち、該筒状の戻り炭
シュート３に、移動式の可撓性ダクト４とブロワ５とを
連設し、該シュート３を介して空気や雰囲気ガスの流通
を可能とした。なおこのとき、装入口１１及び上昇管の
トップカバー８を開放することで、装入口近辺及び上昇
管７内の空気の流通が可能となる。また、戻り炭シュー
ト３の後端は閉状態とすれば、送風、排気にあたり該後
端部からの漏風をなくすこともできる。

【００１３】炉内へ送気する場合は、ブロワ５の送気口
を可撓性ダクト４に接続して戻り炭シュート３を介して
炉内に空気を送る。ドアの小蓋６は炉内の天井直下に向
かっているため、戻り炭シュート３から送気することに
より天井カーボン１２は吹き飛ばされ、あるいは送気中
の酸素と反応して燃焼する等してカーボン除去が達成さ
れる。また、上昇管７のトップカバー８から排気される
空気により、上昇管カーボン９の除去も同様にできる。

【００１４】炉内から排気を行う場合にはブロワ５の吸
気口を可撓性ダクト４に接続して戻り炭シュート３を介
して炉内ガスを排気する。この場合装入口１１並びに上
昇管７のトップカバー８の開口部から空気が炉内へ吸引
され、ドアの小蓋６への空気の流れが発生するため、そ
の経路となる天井部および上昇管内に付着している天井
カーボン１２、上昇管カーボン９は剥離する、あるいは
燃焼するといった変化を受けてカーボン除去が達成され
る。

【００１５】本発明に係る装置の使用時期は、レベラ１
５の使用時期の都合から、通常、コークス炉内への石炭
装入直前が好ましい。そのためには、まず、前記ドアの
小窓６を開放して筒状の戻り炭シュート３を前記ドアの
小窓６に密着させる。そして、前記移動式の可撓性ダク
ト４を介し、送風や雰囲気ガスの吸引を行う。その際、
上昇管７のトップ・カバー８や原料炭の装入口を開放状
態にしておく必要がある。

【００１６】

【実施例】本発明に係る装置及び方法を用い、コークス
炉付着カーボンの除去を試行した。その際、除去生成を
比較するため、前記した「ホール焼き」及び「サイクル
焼き」による従来法も実施した。これらの実施期間は、
本発明法及び従来法ともに１ケ月間である。

【００１７】なお、コークス炉としては、９０門の炭化
室を有し、月２３００トンのコークス生産が可能な炉を
用いた。各炭化室に装入した原料炭量は、２５トン／窯
である。実施結果を、表１に一括して示す。表１によれ
ば、本発明の実施後には、所謂コークスの「押し詰ま
り」が皆無になり、コークス炉操業が安定して円滑に行
えるようになった。これに対して、従来法の実施後は、
いぜんとして５回／月の頻度でコークスの「押し詰ま
り」が発生した。また、本発明によるコークス除去作業
は、準備時間も含めて１炉当り５分間であったが、装炭
車の移動炉中に作業できるため、スケジュールの延長は
なかった。これは、従来法のサイクル焼きのように２週
間に一度１６〜２０時間を空窯として保持するに比し格
段の時間短縮であり、本発明は、コークスの生産性向上
にも寄与することが確認された。

【００１８】

【表１】

【００１９】

【発明の効果】以上述べたように、本発明により、コー
クス炉の天井や上昇管に付着したカーボンが、迅速且つ
程度良く除去できるようになった。その結果、付着カー
ボンに起因した所謂「押し詰まり」が低減され、コーク
ス炉操業が安定して行えるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るコークス炉付着カーボン除去装置
をコークス炉に取り付ける直前の様子を示す側面図であ
る。

【図２】コークス炉の原料炭レベリング装置を説明する
斜視図である。

【符号の説明】

１ コークス炉押出機 ２ レベリング装置 ３ 筒状の戻り炭シュート（筒状シュート） ４ 移動式の可撓性ダクト（ダクト） ５ ブロワ ６ ドアの小窓 ７ 上昇管 ８ トップ・カバー ９ 上昇管カーボン １０ 原料炭の装炭車 １１ 装入口 １２ 天井カーボン １３ ダクト接続口 １４ 戻り炭排出口 １５ 棒状レベラ（レベラ） １６ 押出機の上面デッキ １７ 石炭層

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コークス炉押出機の上部に搭載され、原
   料炭のレベリングで不要になった戻り炭を受ける筒状シ
   ュートに、該筒状シュート内に空気を送るダクトと、該
   ダクト内に送風するブロワとを設けてなることを特徴と
   するコークス炉付着カーボンの除去装置。
2. 【請求項２】 コークス炉押出機の上部に搭載され、原
   料炭のレベリングで不要になった戻り炭を受ける筒状シ
   ュートに、該コークス炉内の雰囲気ガスを吸引するダク
   トと、該ダクト内を排気するブロワとを設けてなること
   を特徴とするコークス炉付着カーボンの除去装置。
3. 【請求項３】 コークス炉内の各部に付着したカーボン
   を、該コークス炉のコークス押出機側のドア上部に設け
   られた蓋付き小窓を介して、空気で燃焼あるいは雰囲気
   ガスと共に吸引除去するにあたり、 原料炭の装入直前に、原料炭の装入口、排ガスの上昇管
   のトップ・カバー及び前記小窓の蓋を開放した後、請求
   項１又は２記載の装置を用い、前記筒状シュートの先端
   を該小窓に取付け、該筒状シュートに取り付けた可撓性
   ダクトを介して通風して付着カーボンを除去することを
   特徴とするコークス炉付着カーボンの除去方法。